JP2015077843A - 車両前部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】前輪に対して車両幅方向内側斜め後方側への荷重が作用した場合に前輪の移動ストロークを抑えることができる車両前部構造を得る。【解決手段】ダッシュパネル16には、前輪30とフロントサイドメンバ22との間の空間Aに臨む部位にエアバッグ装置40のエアバッグ44が設けられている。エアバッグ44は、前面衝突時にインフレータ48からガス流路管46を介してガスが流入することにより前輪30の後部とフロントサイドメンバ22との間に膨張展開される。【選択図】図2

Description

本発明は、車両前部構造に関する。
車両前部においては、車両のオフセット衝突時に衝撃を吸収する構造が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。例えば、下記特許文献1では、バンパリンフォース及びサイドシルにおける各々の前輪との対向部にエアバッグを設けると共に、車両のオフセット衝突時にエアバッグを作動させることで、当該衝突時における入力荷重を効率良く車両後方側に伝達している。
特開2008−195261公報 特開2011−068313公報 特開2005−119537公報
しかしながら、前輪に対して車両幅方向内側斜め後方側への荷重が作用した場合に前輪の移動ストロークを抑える観点からは改善の余地がある。
本発明は、上記事実を考慮して、前輪に対して車両幅方向内側斜め後方側への荷重が作用した場合に前輪の移動ストロークを抑えることができる車両前部構造を得ることが目的である。
請求項1に記載する本発明の車両前部構造は、車体前部の側部に車両前後方向に沿って延在すると共に、前輪の車両幅方向内側に配置されたフロントサイドメンバと、前記前輪と前記フロントサイドメンバとの間の空間に臨む部位に設けられてガスが流入することにより前記前輪と前記フロントサイドメンバとの間に膨張展開されるエアバッグを備えるエアバッグ装置と、を有する。
上記構成によれば、フロントサイドメンバが前輪の車両幅方向内側に配置されており、前輪とフロントサイドメンバとの間の空間に臨む部位には、エアバッグ装置のエアバッグが設けられている。そして、エアバッグ装置のエアバッグは、ガスが流入することにより前輪とフロントサイドメンバとの間に膨張展開される。このため、前面衝突時にエアバッグが膨張展開すると、衝突荷重によって前輪が車両幅方向内側斜め後方側へ移動しようとしても、フロントサイドメンバに反力を得たエアバッグによって前輪が支持される。よって、前輪の車両幅方向内側への移動が抑えられる。
請求項2に記載する本発明の車両前部構造は、請求項1記載の構成において、前記エアバッグが前記フロントサイドメンバに設置されている。
上記構成によれば、エアバッグがフロントサイドメンバに設置されているので、前輪側とフロントサイドメンバ側との間にエアバッグを容易に介在させることができる。
請求項3に記載する本発明の車両前部構造は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記前輪と前記フロントサイドメンバとの間にサスペンションの一部を構成するショックアブソーバが配置され、前記エアバッグは、ガスが流入することにより前記ショックアブソーバと前記フロントサイドメンバとの間に膨張展開される。
上記構成によれば、エアバッグは、ガスが流入することによりショックアブソーバとフロントサイドメンバとの間に膨張展開される。このため、前面衝突時にエアバッグが膨張展開すると、衝突荷重によってショックアブソーバが前輪と共に車両幅方向内側斜め後方側へ移動しようとしても、フロントサイドメンバに反力を得たエアバッグによってショックアブソーバが支持される。よって、ショックアブソーバ及び前輪の車両幅方向内側への移動が抑えられる。
請求項4に記載する本発明の車両前部構造は、請求項1記載の構成において、前記前輪よりも車両幅方向内側で前記フロントサイドメンバよりも車両幅方向外側にサスペンションの一部を構成するサスペンションアームが配置され、前記エアバッグは、前記サスペンションアームよりも車両後方側に設置されると共に、ガスが流入することにより前記サスペンションアームへ向けて膨張展開される。
上記構成によれば、エアバッグは、サスペンションアームよりも車両後方側に設置されると共に、ガスが流入することによりサスペンションアームへ向けて膨張展開される。このため、前面衝突時にエアバッグが膨張展開すると、衝突荷重によってサスペンションアームがその車両幅方向内側の端部(車体側取付部)を回転中心として回転しようとしても、フロントサイドメンバに反力を得たエアバッグによってサスペンションアームが支持される。よって、サスペンションアームの回転移動が抑制され、前輪の車両幅方向内側への移動が抑えられる。
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両前部構造によれば、前輪に対して車両幅方向内側斜め後方側への荷重が作用した場合に前輪の移動ストロークを抑えることができるという優れた効果を有する。
請求項2に記載の車両前部構造によれば、前輪側とフロントサイドメンバ側との間にエアバッグを短時間で介在させることができるという優れた効果を有する。
請求項3に記載の車両前部構造によれば、ショックアブソーバを車両幅方向内側から保持することで前輪の車両幅方向内側への移動ストロークを効果的に抑えることができるという優れた効果を有する。
請求項4に記載の車両前部構造によれば、サスペンションアームを車両後方側から支持することで前輪の車両幅方向内側への移動ストロークを効果的に抑えることができるという優れた効果を有する。
本発明の第1の実施形態に係る車両前部構造を示す側面図である。 図1の車両前部構造の車両左側部分を示す概略平面図である。 図1の車両前部構造のエアバッグ装置及びその周囲部を示す分解斜視図である。 図2のエアバッグが膨張展開した状態を示す概略平面図である。 本発明の第2の実施形態に係る車両前部構造の車両左側部分を示す概略斜視図である。 図5の車両前部構造の一部を示す概略平面図である。 図6のエアバッグが膨張展開した状態を示す概略平面図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る車両前部構造について図1〜図4を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
図1には、本実施形態に係る車両前部構造10が側面図で示され、図2には、車両前部構造10の車両左側部分が概略平面図で示されている。これらの図に示されるように、車体前部12とキャビン14とは、ダッシュパネル16によって隔成されている。図1に示されるダッシュパネル16の上端部は、図示しないカウルの下面に結合されている。また、ダッシュパネル16の下端部は、車体フロア18の前端部に結合されている。図2に示されるダッシュパネル16の車両幅方向の両端部には、略車両上下方向に延在する左右一対のフロントピラー20が立設されている。フロントピラー20は、ピラーインナ20A及びピラーアウタ20Bによって中空柱状に形成されている。
また、車体前部12の両側部には、左右一対のフロントサイドメンバ22が車両前後方向に沿って延在している。フロントサイドメンバ22は、前輪30の車両幅方向内側に配置され、矩形閉断面構造を備えて長尺状に形成されている。また、図1に示されるように、フロントサイドメンバ22は、車両側面視でダッシュパネル16よりも車両前方側に位置する上部22Aを備えると共に、上部22Aの後端に連続するキック部22Bと、キック部22Bの後端に連続する下部22Cと、を備えている。フロントサイドメンバ22のキック部22Bは、フロントサイドメンバ22の上部22Aの後端部からダッシュパネル16の下部側の面形状に沿って車両後方下側へ傾斜しており、フロントピラー20(図2参照)に対して車両幅方向内側に配置されている。また、フロントサイドメンバ22の下部22Cは、キック部22Bの後端部から車体フロア18の下面に沿って車両後方側へ延在している。
図2に示されるように、左右一対のフロントサイドメンバ22の前端部は、衝撃吸収部材として機能するクラッシュボックス24の後端部にそれぞれ結合されている。また、左右一対のクラッシュボックス24の前端部同士は、フロントバンパリインフォース26によって連結されている。フロントバンパリインフォース26は、フロントバンパの一部を構成する高強度の長尺状の部材であり、車体前部12の前端部に配置されて車両幅方向に延在している。フロントバンパリインフォース26の車両幅方向外側の両端部26Aは、クラッシュボックス24の前端部よりも車両幅方向外側に張り出している。
また、フロントサイドメンバ22と前輪30との間の車両上方側を含む範囲には、略筒状のサスペンションタワー64が形成されている。なお、後述する第2の実施形態の図5にサスペンションタワー64の一部を斜視図で図示しているので、そちらを参照されたい。
図1に示されるように、前輪30の車両上方側には、ホイールハウス28が配置されている。ホイールハウス28は、前輪30の上部を車両上方側から覆うと共に、前輪30の周方向に沿って湾曲されている。
また、前輪30は、回転軸線に垂直な円板部を有するホイール30Aと、ホイール30Aの外周部に保持されるタイヤ30Bと、を備えている。図2に示されるように、前輪30は、フロントピラー20の車両前方側に位置している。この前輪30と車体前部12とは、サスペンション32によって連結されている。
サスペンション32は、前輪30からの車体前部12への振動を緩衝させる装置である。サスペンション32は、前輪30を回転可能に支持する車輪支持部材34を備えている。この車輪支持部材34には、サスペンションアーム(平面視で車両幅方向内側に開く略V字状のアッパアーム36A及び図示しないロアアーム)の車両幅方向外側の端部が連結されている。なお、本実施形態の図面ではサスペンションアームのうちロアアームの図示を省略しているが、後述する第2の実施形態の図6にロアアーム36Bを図示しているので、そちらを参照されたい。
図2に示されるアッパアーム36Aの車両幅方向内側の端部は、サスペンションタワー64の内側部位に対して車両前後方向の軸周りに揺動可能に連結されている。また、前記ロアアームの車両幅方向内側の端部は、フロントサイドメンバ22に固定された図示しないサスペンションメンバに対して車両前後方向の軸周りに揺動可能に連結されている。なお、サスペンションアームの配置は、サスペンションの種類によって異なっている。
アッパアーム36Aの車両下方側に設けられた前記ロアアームと、サスペンションタワー64の頂部と、の間には、略車両上下方向に立設されたショックアブソーバ38が介在されている。ショックアブソーバ38は、サスペンション32の一部を構成しており、前輪30とフロントサイドメンバ22との間に配置されている。図中では、ショックアブソーバ38の詳細構成の図示を省略している。
ショックアブソーバ38の車両後方側には、エアバッグ装置40がダッシュパネル16に固定されている。図3には、ダッシュパネル16の一部及びエアバッグ装置40が分解された状態の斜視図で示されている。図3に示されるように、エアバッグ装置40は、略箱体形状に形成された金属製のケース42を備えている。ケース42の開口側端部(図中左側の端部)の外周面は、ダッシュパネル16に貫通形成された矩形の開口部16Bの内周端面に隣接配置される。
図2に示されるように、ケース42の内部には、布製のエアバッグ44が折り畳み状態で格納されている。すなわち、エアバッグ44は、前輪30とフロントサイドメンバ22との間の空間Aに臨む部位に設けられている。なお、図2では、ケース42の上壁部を透視した状態でエアバッグ44を図示している(図4も同様)。
エアバッグ44は、ガス流路管46の一端部に接続されている。ガス流路管46は、ケース42を貫通すると共に、他端部がインフレータ48のガス噴出部に接続されている。そして、エアバッグ44は、インフレータ48からガス流路管46を介してガスが流入することにより前輪30とフロントサイドメンバ22との間に膨張展開されるように配置されている。エアバッグ44の膨張展開のエリアは、本実施形態では一例として前輪30の後部とフロントサイドメンバ22との間に設定されている。
図3に示されるように、インフレータ48は、略円柱形状に形成されると共に、軸方向の一方の端部側(図3では下端部側)にガス噴出部が形成され、作動することによりガス噴出部からガスを噴出する。なお、このインフレータ48は略円柱状に形成されているが、略円盤状に形成された所謂ディスクタイプのインフレータを用いてもよい。また、このインフレータ48は、内部にガス発生剤が充填されて図示しない点火装置に通電されることにより、ガス発生剤が燃焼して大量のガスが発生されるタイプ(ガス発生剤封入タイプ)のものであるが、これに限らず、高圧ガスが封入されたタイプ(高圧ガス封入タイプ)のものを使用してもよい。また、インフレータ48の着火には、電気着火式と機械着火式とがあり、いずれを使用することも可能であるが、本実施形態では一例として、電気着火式を使用している。
図1に示されるように、インフレータ48には、エアバッグECU56が接続されており、エアバッグECU56には、車両の前面衝突を検出するエアバッグセンサ58が接続されている。エアバッグECU56は、エアバッグセンサ58によって車両の前面衝突が検出された場合にインフレータ48を作動させる。本実施形態では一例として、エアバッグセンサ58によって車両の前面衝突が検出されると、エアバッグECU56による制御で点火装置に所定電流が通電されるようになっている。
図3に示されるように、エアバッグ装置40におけるケース42の開口側は、エアバッグドア50によって閉止されている。詳細図示を省略するが、エアバッグドア50は、ケース42に係止されている。また、エアバッグドア50の外周端部は、ケース42の開口端部の開口外側に張り出しており、四隅のコーナ部がダッシュパネル16の開口部16Bの外周部に対してボルト54A及びウエルドナット(図示省略)で締結固定されている。なお、図2では、ボルト締結箇所におけるボルト等の図示を省略してボルト締結線を一点鎖線で示している(図4も同様)。図2に示されるエアバッグドア50の車両前方側の面は、ダッシュパネル16の車両前方側の面に概ね揃えられており、車両操舵時に前輪30と干渉しないようになっている。
図3に示されるように、エアバッグドア50には、ティア部52が形成されている。ティア部52は、エアバッグドア50におけるケース42の側の面(裏面)の一部が溝状に凹むことで薄肉部として構成されたものであり、所定値以上のバッグ膨張圧が作用すると破断(開裂)するように設定されている。本実施形態では、ティア部52は、縦方向ティア部52Aと、斜め方向ティア部52Bと、を備えている。縦方向ティア部52Aは、エアバッグドア50の上下方向中間部に形成されてドア幅方向の中央線に沿って上下に延びており、斜め方向ティア部52Bは、縦方向ティア部52Aの上下端部からそれぞれ二股にV字状に分岐してエアバッグドア50のコーナ部の側へ向けて延びている。
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
図2に示されるフロントサイドメンバ22よりも車両幅方向の外側において車両が前面衝突する微小ラップ衝突時、又は斜め衝突(オブリーク衝突)時には、前輪30に対して車両幅方向内側斜め後方側(言い換えれば、ダッシュパネル16の側)への荷重が作用し得る。これに対して、本実施形態では、前輪30とフロントサイドメンバ22との間の空間Aに臨む部位にエアバッグ装置40のエアバッグ44が設けられ、エアバッグ44は、ガスが流入することにより前輪30とフロントサイドメンバ22との間に膨張展開される。このため、微小ラップ衝突時又は斜め衝突時に図4に示されるように、エアバッグ44が膨張展開すると、衝突荷重によって前輪30が車両幅方向内側斜め後方側へ移動しようとしても、フロントサイドメンバ22に反力を得たエアバッグ44によって前輪30が支持される。よって、前輪30は、強制的に保持され、前輪30の車両幅方向内側への移動が抑えられる。
以上説明したように、本実施形態に係る車両前部構造10によれば、前輪30に対して車両幅方向内側斜め後方側への荷重が作用した場合に前輪30の移動ストロークを抑えることができる。
[第1の実施形態の変形例]
次に、本発明の第1の実施形態の変形例を第1の実施形態の図2を援用しながら説明する。第1の実施形態の変形例は、エアバッグ44をアッパアーム36Aへ向けて膨張展開させる点を除き、第1の実施形態と実質的に同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して適宜説明を省略する。
図2に示されるように、サスペンション32の一部を構成するサスペンションアームとしてのアッパアーム36Aは、前輪30よりも車両幅方向内側でフロントサイドメンバ22よりも車両幅方向外側に配置されている。また、エアバッグ装置40のエアバッグ44は、アッパアーム36Aよりも車両後方側に設置されている。エアバッグ44は、ガスが流入することにより、アッパアーム36Aへ向けて膨張展開され、かつ前輪30とフロントサイドメンバ22との間に膨張展開されるように配置されている。
上記変形例の構成によれば、前述した第1実施形態と同様の作用及び効果が得られるうえ、微小ラップ衝突時又は斜め衝突時に、アッパアーム36Aを車両後方側から支持することができるので、前輪30の車両幅方向内側への移動ストロークをより効果的に抑えることができる。以下、この点について説明する。
微小ラップ衝突時又は斜め衝突時に、前輪30に衝突荷重が入力されることで、例えば、アッパアーム36Aのサスペンションタワー64への連結部a、bのいずれか一方が外れると、アッパアーム36Aは、連結部a、bのいずれか他方を回転中心として回転しようとする。このような微小ラップ衝突時又は斜め衝突時に、エアバッグ44が膨張展開すると、アッパアーム36Aが前記のように回転しようとしても、フロントサイドメンバ22に反力を得たエアバッグ44によってアッパアーム36Aが支持される。よって、アッパアーム36Aの回転移動が抑制され、前輪30の車両幅方向内側への移動が抑えられる。
なお、他の変形例として、エアバッグ44は、ガスが流入することにより、(サスペンション32の一部を構成する)サスペンションアームとしてのロアアーム36B(後述する第2の実施形態の図6参照)へ向けて膨張展開され、かつ前輪30とフロントサイドメンバ22との間に膨張展開されるような設定も採り得る。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両前部構造60について、図5〜図7を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図5には、本発明の第2の実施形態に係る車両前部構造60の車両左側部分が概略斜視図で示されている。図5に示されるように、フロントサイドメンバ22の車両幅方向外側かつ車両上方側には、エプロンアッパメンバ62が配置されている。エプロンアッパメンバ62の車両幅方向内側にはサスペンションタワー64が設けられている。サスペンションタワー64の内側には、ショックアブソーバ38の上部が配置されている。ショックアブソーバ38は、その上下方向中間部が前輪30の上部とフロントサイドメンバ22との間に配置されている。
図6には、車両前部構造60の一部が概略平面図で示されている。なお、図6では、サスペンションアームのうちアッパアームについては図示を省略しており(図7も同様)、また、フロントサイドメンバ22は上壁部を透視した状態で内部を示している(図7も同様)。図6に示されるように、ショックアブソーバ38の下端部38Aは、ロアアーム36Bに対して車両前後方向の軸周りに揺動可能に連結されている。
ショックアブソーバ38の車両幅方向内側には、フロントサイドメンバ22の内部にエアバッグ装置70が固定されている。エアバッグ装置70は、図3等に示される第1の実施形態におけるエアバッグ装置40と同様のガス流路管46及びインフレータ48を備えると共に、図5及び図6に示されるように、ガス流路管46の一端部に接続された金属製のエアバッグ72を備えている。インフレータ48は、フロントサイドメンバ22に固定されている。
エアバッグ72は、車両幅方向を伸長方向として蛇腹状に折り畳まれたような状態でフロントサイドメンバ22の内部に設置されている。すなわち、エアバッグ72は、前輪30とフロントサイドメンバ22との間の空間Aに臨む部位に設けられている。なお、図5では、エアバッグ72の形状を分かり易く示すためにエアバッグ72が若干膨張した状態を図示している。
図5に示されるようにフロントサイドメンバ22の車両幅方向外側の縦壁部には、ショックアブソーバ38との対向部に開口部66が貫通形成されている。エアバッグ72における車両幅方向外側の端部72Aは、フロントサイドメンバ22の開口部66に配置されている。そして、図6に示されるエアバッグ72は、インフレータ48からガス流路管46を介してガスが流入することにより、前輪30とフロントサイドメンバ22との間のうちショックアブソーバ38とフロントサイドメンバ22との間に膨張展開されるように配置されている。
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、微小ラップ衝突時又は斜め衝突時に図7に示されるように、エアバッグ72が膨張展開すると、衝突荷重によってショックアブソーバ38が前輪30と共に車両幅方向内側斜め後方側へ移動しようとしても、フロントサイドメンバ22に反力を得たエアバッグ72によってショックアブソーバ38が支持される。よって、ショックアブソーバ38及び前輪30は、強制的に保持され、ショックアブソーバ38及び前輪30の車両幅方向内側への移動が抑えられる。
また、本実施形態では、エアバッグ72がフロントサイドメンバ22に設置されている。このため、前輪30側とフロントサイドメンバ22側との間にエアバッグ72を容易かつ短時間で介在させることができる。
また、本実施形態では、エアバッグ72の膨張展開のエリアが、ショックアブソーバ38とフロントサイドメンバ22との間に設定されている。このため、エアバッグ72に衝突荷重を作用させる相手部材(本実施形態ではショックアブソーバ38)とフロントサイドメンバ22との距離を、例えば、第1の実施形態の場合と比較して、短くすることができる。これにより、エアバッグ72の車両幅方向外側への膨張量が小さくても、エアバッグ72がショックアブソーバ38を保持してショックアブソーバ38及び前輪30の移動を効果的に抑制することができる。換言すれば、例えば、エアバッグの膨張展開のエリアが、前輪(30)とフロントサイドメンバ(22)との間に設定された場合と比較して、エアバッグ72は前輪30の移動をより迅速に抑制することが可能になる。また、ショックアブソーバ38とフロントサイドメンバ22との間の距離は、例えば、前輪30の後部とフロントサイドメンバ22との間の距離と比べて、車両の操舵に起因した変動が小さいので、本実施形態では、より安定的に前輪30の移動を抑えることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る車両前部構造60によれば、前輪30に対して車両幅方向内側斜め後方側への荷重が作用した場合に前輪30の移動ストロークを抑えることができる。
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態の変形例として、エアバッグは、ホイールハウスに設置されてガスが流入することにより前輪とフロントサイドメンバとの間に膨張展開されるものであってもよい。
また、上記実施形態の変形例として、インフレータ(48)を図2及び図6等に示される上記第1、第2の実施形態の場合とは異なる空きスペースに設置し、当該インフレータ(48)とエアバッグ(44、72)とをガス流路管(46)で繋いでもよい。
また、上記実施形態の構成に加えて、例えば、ミリ波レーダ等によって衝突体との前面衝突を予測するプリクラッシュセンサをフロントバンパに配設すると共に前記プリクラッシュセンサがエアバッグECU56に接続されてもよい。すなわち、エアバッグECU56は、プリクラッシュセンサによって前面衝突することが予測された場合、及び、エアバッグセンサ58によって車両の前面衝突が検出された場合のいずれかに該当した場合に、インフレータ48を作動させるものであってもよい。
また、車両前部に、例えば、車両の前面衝突のうち微小ラップ衝突を検出する第一検出部と、車両の前面衝突のうち斜め衝突を検出する第二検出部と、を設けると共に、前記第一検出部及び前記第二検出部がエアバッグECU56に接続される構成としてもよい。そして、エアバッグECU56は、前記第一検出部によって微小ラップ衝突が検出された場合、及び、前記第二検出部によって斜め衝突が検出された場合のいずれかに該当した場合に、インフレータ48を作動させるものであってもよい。
また、上記実施形態では、エアバッグ44、72の作動によって前輪30を当初位置に保持しようとする設定になっているが、変形例として、エアバッグ44、72の作動によって前輪30を車両幅方向外側に押し出すような設定にしてもよい。
また、上記第1の実施形態の変形例として、図2等に示されるエアバッグ44は、ガスが流入することにより、前輪30とフロントサイドメンバ22との間のうち、例えば、ショックアブソーバ38とフロントサイドメンバ22との間に膨張展開されてもよい。この場合、微小ラップ衝突時又は斜め衝突時にエアバッグ44が膨張展開すると、衝突荷重によってショックアブソーバ38が前輪30と共に車両幅方向内側斜め後方側へ移動しようとしても、フロントサイドメンバ22に反力を得たエアバッグ44によってショックアブソーバ38が支持される。すなわち、ショックアブソーバ38を車両幅方向内側から保持することで前輪30の車両幅方向内側への移動ストロークを効果的に抑えることができる。また、上記第2の実施形態の変形例として、図6に示されるエアバッグ72は、ガスが流入することにより、前輪30の後部とフロントサイドメンバ22との間に膨張展開される位置に配置されてもよい。
また、上記第1の実施形態の変形例として、エアバッグ装置は、図2等に示されるエアバッグ44に代えて、第2の実施形態におけるエアバッグ72(図6等参照)が適用されてもよい。また、上記第2の実施形態の変形例として、エアバッグ装置は、図6等に示されるエアバッグ72に代えて、第1の実施形態におけるエアバッグ44(図2等参照)が適用されてもよい。また、上記第2の実施形態の変形例として、エアバッグ装置70は、フロントサイドメンバ22の下面に設置されてもよい。
さらに、車両前部における車両右側部分に、上記第1、第2の実施形態におけるエアバッグ装置40、70と同様のエアバッグ装置が同様の位置関係(車両前部における車両幅方向中心線に対して図2や図6と左右対称となる位置関係)で配置されてもよい。換言すれば、車両前部には、上記第1、第2の実施形態におけるエアバッグ装置40、70に相当するエアバッグ装置が、車両幅方向の一方側に配置されても、車両幅方向の両側に配置されてもよい。
さらにまた、請求項4に記載の「サスペンションアーム」には、上記実施形態におけるアッパアーム36Aやロアアーム36Bの他、例えば、マルチリンク式のサスペンションにおけるリンク等のような他のサスペンションアームも含まれる。
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
10 車両前部構造
12 車体前部
22 フロントサイドメンバ
30 前輪
32 サスペンション
36A アッパアーム(サスペンションアーム)
36B ロアアーム(サスペンションアーム)
38 ショックアブソーバ
40 エアバッグ装置
44 エアバッグ
60 車両前部構造
70 エアバッグ装置
72 エアバッグ
A 前輪とフロントサイドメンバとの間の空間

Claims (4)

  1. 車体前部の側部に車両前後方向に沿って延在すると共に、前輪の車両幅方向内側に配置されたフロントサイドメンバと、
    前記前輪と前記フロントサイドメンバとの間の空間に臨む部位に設けられてガスが流入することにより前記前輪と前記フロントサイドメンバとの間に膨張展開されるエアバッグを備えるエアバッグ装置と、
    を有する車両前部構造。
  2. 前記エアバッグが前記フロントサイドメンバに設置されている、請求項1記載の車両前部構造。
  3. 前記前輪と前記フロントサイドメンバとの間にサスペンションの一部を構成するショックアブソーバが配置され、
    前記エアバッグは、ガスが流入することにより前記ショックアブソーバと前記フロントサイドメンバとの間に膨張展開される、請求項1又は請求項2に記載の車両前部構造。
  4. 前記前輪よりも車両幅方向内側で前記フロントサイドメンバよりも車両幅方向外側にサスペンションの一部を構成するサスペンションアームが配置され、
    前記エアバッグは、前記サスペンションアームよりも車両後方側に設置されると共に、ガスが流入することにより前記サスペンションアームへ向けて膨張展開される、請求項1記載の車両前部構造。
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