JP7456339B2 - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Description
この問題点を解決するためには、ヒンジピラーの前面をサイドシルの前端位置まで延長することが考えられるが、この場合には、車体重量が増加するという新たな問題点が発生する。
すなわち、車両のオフセット衝突時には、ホイールが後退し、該ホイールがサイドシル前端に当接する。車両の重心はサイドシルよりも上方に位置するので、オフセット衝突により車両下方部のサイドシルが止められると、車両前方が下方に沈み込もうとする回転が生ずる。この際、サイドシルの前端を中心として高剛性部の前方が下方に回転する挙動の過程で、高剛性部に対してホイールの上半分が当接する。
上記構成によれば、上述のガセットからの荷重を、補強部材を備えたヒンジピラー閉断面で支持することができ、ヒンジピラーの断面変形を抑制することができる。
上記構成によれば、ガセットに入力される後方かつ上方向の衝突荷重が上記補強部材の前方下部から後方上部を介してヒンジピラーに伝達できる。すなわち、上記衝突荷重を斜め後上方向に向けてヒンジピラーに伝達する経路が形成される。これにより、ガセットに生じる反力を、ヒンジピラー閉断面で支持することができる。
上述のスピーカボックスは、合成樹脂製の内側ボックス部と、高強度金属部材による外側ボックス部とのうちの外側ボックス部に設定してもよい。
上記構成によれば、補強部材(スピーカボックス)により、スピーカの保持と、ガセットからの荷重支持機能との両立を図ることができる。
上記構成によれば、オフセット衝突時に、上記ガセットに入力される後方かつ上方向の衝突荷重を、上述のドアヒンジ取付け部からドアヒンジを介してフロントドアにも荷重伝達することができる。
さらに、車両側突時には、フロントドアが車幅方向内側に引き込まれるが、その際、上記ガセットが引っ張り力にて支えるので、ヒンジピラーを内側に引き込む変形をも抑制することができる。
図面は車両の前部車体構造を示し、図1は当該車両の前部車体構造を示す外側面図、図2は図1からキャブサイドアウタパネル16を取外した状態で示す外側面図、図3は図2からヒンジピラーアウタ32を取外した状態で示す外側面図である。また、図4は図3の要部拡大側面図、図5は図4のA-A線矢視断面図、図6は図4のB-B線矢視断面図である。
上述のフロアパネル10の上記折曲げ部11には、図2、図3、図4、図5、図6に示すように、サイドシル20(詳しくは、後述するサイドシルインナ21の内壁部21c)を接合固定している。
上述のサイドシル20は、図5に示すように、サイドシルインナ21とサイドシルアウタ22とを接合固定して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面23を有する車体骨格部材である。
また、同図に示すように、サイドシルインナ21の上側の接合フランジ部21aと、サイドシルアウタ22の上側の接合フランジ部22aとが接合固定される。同様に、サイドシルインナ21の下側の接合フランジ部21eと、サイドシルアウタ22の下側の接合フランジ部22eとが接合固定される。
上述のフロアフレーム後部14とフロアパネル10との間には、車両前後方向に延びるフロアフレーム閉断面14Sが形成され、これにより、下部車体剛性の向上を図るように構成している。
また、図1、図2に示すように、上述のヒンジピラー30におけるヒンジピラーアウタ32の車両前側下部には、車両前方かつ下方に延びる前下延出部32fが一体形成されており、この前下延出部32fがサイドシル20の前方突出部24における各要素24a,24d,24eに溶接手段にて固定されている。
図1に示すように、上述のサイドシル20、フロントピラー15およびヒンジピラー30の車外側の面は、キャブサイドアウタパネル16により一体的に覆われている。
図7の(a)に示すように、上側のヒンジレインフォースメント36は、少なくとも、側壁部36aと、この側壁部36aに上下および前後のスラント部36b,36c,36d,36eを介して一体形成されたフラットな隆起部36fと、を備えている。
上述の連結レイン後部26Rと連結レイン前部26Fとは一直線状に連結されている。
上述の各フランジ部43a,43b,43c,43dのうちの上側フランジ部43a、前側フランジ部43c、後側フランジ部43dは、ヒンジピラーインナ31の開口部35の口縁において当該ヒンジピラーインナ31の内壁部31cにおける車幅方向内側の面にスポット溶接等の接合手段にて固定されている(図5、図6参照)。
この裏面壁42cの全体は、外側ボックス部43の各フランジ部43a~43dを介してヒンジピラーインナ31に当接する当接部47を形成するものである。そして、上記裏面壁42cには、外側ボックス部43側の空洞部45と、内側ボックス部42側の内部空間46とを連通する連通開口部48が形成されている。
図2、図6に示すように、サイドシル20の前端部である前方突出部24の上方と、連結レインフォースメント26における連結レイン後部26Rの後端下部との間において上述のヒンジピラー30に固定されたガセット50を設けている。
上述の上壁50bは外側壁50aの上端から車幅方向の内方に延びている。上述の下壁50cは外側壁50aの下端から車幅方向の内方に延びている。上述の前部フランジ50dは外側壁50aの前端から車両前方に延びている。上述の後部フランジ50eは外側壁50aの後端から車両後方に延びている。
すなわち、車両のオフセット衝突時には、前輪29のホイール27が後退し、該ホイール27がサイドシル前端20Fに当接する。車両の重心はサイドシル20よりも上方に位置するので、オフセット衝突により車両下方部のサイドシル20が止められると、車両前方が下方に沈み込もうとする回転が生ずる。この際、サイドシル20の前端20Fを中心として高剛性部(下部稜線X2)の前方が図4に示す仮想円CIRに沿って下方に回転する挙動の過程で、高剛性部(下部稜線X2)に対してホイール27の上半分が当接する。
この構成によれば、ガセット50に入力される後方かつ上方向の衝突荷重が上記補強部材(外側ボックス部43)の前方下部から後方上部を介してヒンジピラー30に伝達できる。すなわち、上記衝突荷重を斜め後上方向に向けてヒンジピラー30に伝達する経路が形成される。これにより、ガセット50に生じる反力を、ヒンジピラー閉断面33で支持することができる。
この構成によれば、補強部材(スピーカボックス40における外側ボックス部43)により、スピーカ41の保持と、ガセット50からの荷重支持機能との両立を図ることができる。
さらに、車両側突時には、フロントドアが車幅方向内側に引き込まれるが、その際、上記ガセット50が引っ張り力にて支えるので、ヒンジピラー30を内側に引き込む変形をも抑制することができる。
<他の実施例>
図11は車両の前部車体構造の他の実施例を示す要部側面図、図12は図11のC-C線矢視断面図、図13は図11で示したガセットを車両前方かつ上方から見た状態で示す斜視図である。
図6、図10で示した先の実施例においては、車両平面視において三角形状に形成されたガセット50を採用したが、図11~図13に示すこの実施例においては、車両平面視において四角形状に形成されたガセット60を採用している。
しかも、この実施例においても、図11に示すように、高剛性部である上部稜線Y1、下部稜線Y2(特に、下部稜線Y2)の前端とサイドシル20の前端(前方突出部24の前端20F)との間の上下方向の領域αと、ホイール27の中心位置CEと当該ホイール27の上端位置WUとの間の上下方向の領域βと、が車両正面視で上下方向に重複するように設けられている。
すなわち、車両のオフセット衝突時には、前輪29のホイール27が後退し、該ホイール27がサイドシル前端20Fに当接する。車両の重心はサイドシル20よりも上方に位置するので、オフセット衝突により車両下方部のサイドシル20が止められると、車両前方が下方に沈み込もうとする回転が生ずる。この際、サイドシル20を中心として高剛性部(下部稜線Y2)の前方が図11に示す仮想円CIRに沿って下方に回転する挙動の過程で、高剛性部(下部稜線Y2)に対してホイール27の上半分が当接する。
<さらに他の実施例>
図14はガセット60の他の実施例を示す斜視図である。図14に示すこの実施例においては、図13で示した先の実施例の構成に加えて、ガセット60の前後方向に延びる上記上部稜線Y1と上記下部稜線Y2との上下方向中間に、外側壁60aから車幅方向外方へ突出する側方ビード61を一体形成し、この側方ビード61により中間稜線Y3を形成している。
さらにまた、上述の中間稜線Y3は上部稜線Y1および下部稜線Y2と略平行に形成されており、上述の中間稜線Z3は上部稜線Z1および下部稜線Z2と略平行に形成されている。
このように構成すると、上記各ビード61,62によりガセット60の強度向上を図ることができ、しかも、車両のオフセット衝突時に、高剛性部である各稜線Y1,Y2,Y3を介してヒンジピラー30に伝達する荷重伝達率の向上を図ることができる。
この発明のサイドシル20の前端部は、実施例の前方突出部24に対応し、
以下同様に、
高剛性部は、ガセット50,60の稜線X1,X2,Y1,Y2に対応し、
補強部材は、スピーカボックス40の外側ボックス部43に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
20F…サイドシルの前端
24…前方突出部(サイドシルの前端部)
27…ホイール
29…前輪
30…ヒンジピラー
31…ヒンジピラーインナ
32…ヒンジピラーアウタ
32G…ドアヒンジ取付け部
33…ヒンジピラー閉断面
40…スピーカボックス
41…スピーカ
43…外側ボックス部(補強部材)
50…ガセット
50a…外側壁
50b…上壁
50c…下壁
60…ガセット
60a…外側壁
60c…上壁
60d…下壁
α,β…領域
CE…ホイールの中心位置
WU…ホイールの上端位置
X1,X2,Y1,Y2…稜線(高剛性部)
Claims (5)
- 車両の上下方向に延びるヒンジピラーと、
上記ヒンジピラーの下端に固定され、車両前後方向に延びて前端部が上記ヒンジピラーよりも車両前方に位置するサイドシルと、
上記ヒンジピラーの前方に設けられる前輪のホイールと、を備える車両の前部車体構造であって、
上記ヒンジピラーは、ヒンジピラーインナとヒンジピラーアウタとを接合固定して、車両の上下方向に延びるヒンジピラー閉断面を備え、
上記サイドシル前端部の上方において、上記ヒンジピラーに固定され車両前方に延びるガセットと、
該ガセットの後部から前部にかけて設けられ、前方ほど下方に位置するように傾斜した車両前後方向に延びる高剛性部と、
上記ヒンジピラー閉断面内に上記ヒンジピラーインナと上記ヒンジピラーアウタとを連結する補強部材とを備え、
上記ガセットは、少なくとも上壁と外側壁と下壁とを有して平面視で四角形状に形成されており、
上記高剛性部は、上記上壁と上記外側壁との間の稜線、並びに上記外側壁と上記下壁との間の稜線であり、
上記高剛性部前端と上記サイドシル前端との間の上下方向の領域と、上記ホイールの中心位置と当該ホイールの上端位置との間の上下方向の領域と、が車両正面視で上下方向に重複するように設けられ、
上記ガセットが車両正面視で上記補強部材と重複することを特徴とする
車両の前部車体構造。 - 上記ガセットは上記補強部材の下半分の部位と車両正面視で重複する
請求項1に記載の車両の前部車体構造。 - 上記補強部材は、スピーカを保持した状態で上記ヒンジピラーに固定されるスピーカボックスで構成された
請求項1または請求項2に記載の車両の前部車体構造。 - 上記補強部材と対向する上記ヒンジピラーアウタには、上記ガセットの高さ位置と略同じ高さ位置にドアヒンジ取付け部が設けられた
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の車両の前部車体構造。 - 車両の上下方向に延びるヒンジピラーと、
上記ヒンジピラーの下端に固定され、車両前後方向に延びて前端部が上記ヒンジピラーよりも車両前方に位置するサイドシルと、
上記ヒンジピラーの前方に設けられる前輪のホイールと、を備える車両の前部車体構造であって、
上記ヒンジピラーは、ヒンジピラーインナとヒンジピラーアウタとを接合固定して、車両の上下方向に延びるヒンジピラー閉断面を備え、
上記サイドシル前端部の上方において、上記ヒンジピラーに固定され車両前方に延びるガセットと、
該ガセットの後部から前部にかけて設けられ、前方ほど下方に位置するように傾斜した車両前後方向に延びる高剛性部と、
上記ヒンジピラー閉断面内に上記ヒンジピラーインナと上記ヒンジピラーアウタとを連結する補強部材とを備え、
上記ガセットは、少なくとも上壁と外側壁と下壁とを有して平面視で三角形状に形成されており、
上記高剛性部は、上記上壁と上記外側壁との間の稜線、並びに上記外側壁と上記下壁との間の稜線であり、
上記高剛性部前端と上記サイドシル前端との間の上下方向の領域と、上記ホイールの中心位置と当該ホイールの上端位置との間の上下方向の領域と、が車両正面視で上下方向に重複するように設けられ、
上記ガセットが車両正面視で上記補強部材と重複することを特徴とする
車両の前部車体構造。
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