JP2009136763A - 中空糸型分離膜の製造方法 - Google Patents

中空糸型分離膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、肉厚面で偏り(偏肉)を最大部と最小値の比で0.65以下に抑制し、内径の縦方向の変動幅を10%以内に抑制することで、分離膜としての特性と使用時の耐久性を維持した中空糸膜を提供することにある。
【解決手段】本発明は、ニ重管状ノズルの外側環状部より紡糸原液を吐出し、同時に中心孔より中空内液を吐出し、空走部を経た後、凝固浴に浸漬させる中空糸型分離膜の製造方法において、中心孔の孔径が中空糸型分離膜の内径の0.9倍以下であり、外側環状部の幅が中空糸型分離膜の膜厚の5倍以上であるニ重管状ノズルを用いる中空糸型分離膜の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、中空糸型分離膜の製造方法に関する。より詳しくは、膜厚斑が小さく、長さ方向の形状の均一性に優れる中空糸型分離膜の製造方法に関する。
血液浄化等で用いられる中空糸膜は、膜厚が薄く機械的強度が比較的低いものが多く、特に膜厚の偏りを有する場合には分離膜としての特性が低下するのみならず、使用時の応力が均一でないために耐久性が低い場合には、使用時に膜が破損するという問題がある。特に血液浄化膜として使用される場合には、患者の安全性にかかわる重要な欠陥となりうる。分離膜としての特性と使用時の耐久性を維持するためには、膜厚の最小値と最大値との比(偏肉度)を高めることが必要である。また、中空糸膜の内径が長さ方向に変動する場合に(内径斑)も同様の問題を引き起こす恐れがある。
偏肉は、紡糸原液が吐出される際の環状部の圧力損失がスリット幅の約3乗に比例して小さくなるので、わずかなスリット幅の差であってもスリット幅の大きいところと小さいところとでは紡糸原液の流量に差が生じ、その結果として偏肉が発生すると考えられる。偏肉度を向上させる手段としては、紡糸原液の吐出口であるノズルのスリット幅を厳密に均一にする方法がある。スリット幅とは、紡糸原液を吐出する環状部の幅を指すが、このスリット幅のばらつきを小さくすることで、紡糸された中空糸膜の偏肉を減らすことができると提案されている。(例えば特許文献1参照)。
しかし、上記技術では、スリット幅の均一性の測定が吐出面のみでしか実施できないため、偏肉を減らすことが可能となるのはスリット幅が流路に対し常に均一である場合のみに限定される。しかし、実際にはノズルの加工精度の限界からスリット幅が流路に対し均一でない場合が多く、更には繰り返し紡糸で使用することで紡糸原液中の異物などのつまりが生じることもあり、ノズルの環状部の圧力損失にバラツキが生じ、結果として、中空糸膜の偏肉が抑制された分離膜を製造することは困難である。
特許文献2には、紡糸原液吐出部の長さ/径、落下部ドラフト率、巻き取り速度、紡糸原液の粘度、中空内液と紡糸原液の吐出線速度比、紡糸原液吐出部と内液吐出部との面積比、紡糸原液吐出部のスリット幅と中空糸膜厚との関係を特定の範囲とすることにより、紡糸速度を高めても十分な糸伸度を持ち、分子量分画性に優れた中空糸型血液浄化膜の製造方法が開示されている。
特許文献3には、内管部の外径0.8mm、同内径0.5mm、外管部の径が1mmの環状オレフィスノズル、および内管部の外径0.6mm、同内径0.3mm、外管部の径が1mmの管状オレフィスノズルを用いた中空繊維の紡糸方法が開示されている。そして、得られた中空繊維は真円状であり、内径200μ、膜厚16.6μであったことが記載されている。
特開2005−21510号公報 特開2003−245524号公報 特開昭57−133211号公報
本発明は、膜厚の最小値と最大値との比である偏肉度を0.75以上とし、中空糸膜長さ20cmあたりの内径の変動幅を15%以内に抑制することで、分離膜としての特性と使用時の耐久性を両立させた中空糸膜を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため種々の試験を繰り返した。
偏肉発生の要因は、ノズル内部の紡糸原液流路において滞留部が発生し流路を閉塞させているのが原因と考えられる。偏肉発生の抑制には、ノズル内の流路壁面の研磨を施したり、流路の屈曲部に滑らかなアールをつける処理を施すことにより偏肉抑制の効果を検討したが、十分な効果は得られなかった。また、ノズル内の外側環状部(以下、スリットということがある)の長さを延ばし圧力損失を大きくし、加工精度による外側環状部の幅のバラツキ(外側環状部の偏心)を打ち消そうと試みたが、外側環状部の長さを長くすることで加工精度が一層低下し、狙った効果を得ることは出来なかった。
内径斑に対しては、内液を供給するギアポンプ方式を加圧による圧送方式への変更を試みたが、流量を均一にするためには個々のノズルに対し圧力制御する必要があり実用化が難しく、また、キャピラリーチューブを用いた流量の均一分配もギアポンプ方式と比較し定量性に劣ることから目標を達成することが出来なかった。
さらに鋭意研究した結果、偏肉に対しては、ノズルの外側環状部の幅のバラツキの影響を小さくし、かつ加工精度の向上が期待できることから、スリット幅を比較的広めに設定するという発想にたどり着いた。従来はスリット幅を大きくとると、ノズルから吐出した紡糸原液に過剰のドラフトを掛けることになり、ひいては中空糸膜の分離性能に悪影響を与えると考えていたが、その後の検討により紡糸原液吐出スリットの内径を中空糸膜の内径にほぼ合わせることで分離性能への悪影響を抑制できることがわかった。この発想のもと更なる試験を繰り返し、スリット幅を中空糸膜の膜厚よりも5倍以上大きくすることによって分離膜の膜厚斑(いわゆる偏肉)を0.75以上に抑制し、所望の分離性能を維持できることを見出した。
内径斑に関しては従来、内液(芯液)はギアポンプで定量押し出されてホース(チューブ)を介してノズルに供給されているが、そのホースの長さ、径により内径斑の状況が変動するという現象が確認されていた。また、ホースの材質を変更した場合にも内径斑の状況が確認されていた。この現象について調査したところ、ホースを短くする、ホースの材質を硬くすると内径斑が大きくなるという傾向を掴んだ。この結果からホースが適度に膨張、収縮を繰り返しギアポンプの脈動を吸収していると考えた。この効果を更に大きくするためにノズルでの圧力損失を高めるという考えで試験を繰り返し、中心孔の孔径を中空糸膜内径よりも小さくすることで内径斑を15%以下に軽減できることを見出した。これらを組み合わせ、本発明を完成するに到った。
すなわち、本願発明は以下のものである。
(1)本発明は、ニ重管状ノズルの外側環状部より紡糸原液を吐出し、同時に中心孔より中空内液を吐出し、空走部を経た後、凝固浴に浸漬させる中空糸型分離膜の製造方法において、ノズルの中心孔の孔径が中空糸型分離膜の内径の0.9倍以下であり、ノズルの外側環状部の幅が中空糸型分離膜の膜厚の5倍以上であるニ重管状ノズルを用いる中空糸型分離膜の製造方法である。
(2)また、ニ重管状ノズルの外側環状部の幅が100〜250μmであることを特徴とする中空糸型分離膜の製造方法である。
(3)また、ニ重管状ノズルの中心孔の孔径が70〜180μmであることを特徴とする中空糸型分離膜の製造方法である。
(4)また、ニ重管状ノズルの外側環状部の外径が400〜800μmであることを特徴とする中空糸型分離膜の製造方法である。
(5)さらに、前記いずれかに記載の中空糸型分離膜の製造方法により得られた中空糸膜であって、偏肉度が0.75以上であることを特徴とする中空糸膜である。
(6)また、中空糸膜の長さ20cmあたりの内径斑が中空糸膜平均内径の15%以内であることを特徴とする中空糸膜である。
本発明によれば、肉厚部の偏り(膜厚の偏肉)が少なく、かつ中空糸膜の内径斑を軽減した中空糸膜を提供することが可能である。且つ同時にこれを組み合わせ、紡糸原液と内液との吐出バランスを調整することによって中空糸膜生産性が向上し、しかも安定して高性能膜を生産することが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における偏肉度とは、中空糸膜断面を観察した際の膜厚の偏りのことであり、最大値と最小値の比で示す。本発明では、偏肉度は0.75以上であることが好ましい。本発明では、100本の中空糸膜の最小の偏肉度は0.75以上であることを特徴とする。100本の中空糸膜に1本でも偏肉度0.75未満の中空糸膜が含まれると、その中空糸膜が臨床使用時のリーク発生となることがあるので、本発明の偏肉度は平均値でなく、100本の最小値を表す。偏肉度は高い方が、膜の均一性が増し、潜在欠陥の顕在化が抑えられるので、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.85以上、さらにより好ましくは0.9以上である。偏肉度が低すぎると、潜在欠陥が顕在化しやすく、血液リークが起こりやすくなることがある。
また、本発明における内径斑とは、中空糸膜の長さ方向における内径の変動であり、中心値に対する変動幅をいう。本発明では、中空糸膜の長さ20cmあたりの内径斑が15%以内であることが好ましい。紡糸原液は通常ギアポンプを用いて送液されノズルより吐出されるが、ギアポンプの脈動を完全に抑えることは困難である。本発明においては、後述するようにギアポンプから押し出された紡糸原液がノズルより吐出される際に脈動の影響を打ち消しているので、内径斑を小さく抑えることが可能となっている。内径斑が小さいほど血液の流れ(流動圧損や剪断応力)が均一化されるため性能の安定性や血液の個体差による性能変動を抑制するために有利である。したがって、内径斑は14%以下がより好ましく、13%以下がさらに好ましい。
なお、本発明の製造方法は、内径が100〜300μm、より好ましくは130〜280μm、さらに好ましくは150〜240μmである中空糸膜の製造に好ましく適用できる。
本発明においては、ニ重管ノズルの外側環状部の幅が中空糸膜厚の5倍以上であることが好ましい。中空糸膜の製造に用いられるノズルは、孔径が数百μmと小さく、加工精度と生産性を両立することが非常に難しい。また、外側環状部の幅が小さくなればなるほど加工精度が同程度であっても膜厚斑や内径斑への影響が大きくなる。また、流路に異物等が付着した場合の影響も外側環状部の幅が小さい方が影響は大きくなる。ノズルの外側環状部の幅が大きくなることで、ノズルの加工精度が向上し、加工精度や流路への異物付着の影響も軽減することが出来る。またノズルの洗浄性の向上も期待できる。通常、血液浄化膜にあっては、膜厚が10〜50μm程度であるので、外側環状部の幅が5倍程度あれば、すなわち最低50μm程度あれば前記したような課題を効率的に回避できるといえる。
本発明において、中空部を形成するノズルの中心孔径が中空糸膜内径の0.9倍以下であることが好ましい。内液(芯液)はギアポンプで定量押し出されホースを通じてノズルに供給されているが、ノズルの内液孔が小さいほど、内液の圧力損失が高まるため、ギアポンプとノズルとを接続するホースがその圧力により膨張または収縮することで、ギアポンプによる内液の脈動の吸収することができ、中空糸膜の内径斑を軽減することができる。内液の圧力損失が高い方が良いので、より好ましくは0.8倍以下、さらに好ましくは0.7倍以下である。
このようにして得られた中空糸膜は、膜厚の偏り(偏肉)を最大部と最小値の比で0.75以上に抑制され、内径の長さ方向の変動幅を15%以内に抑制されることで、分離膜としての特性と使用時の耐久性の維持の両立が可能となる。
本発明の方法で製造された中空糸膜は、血液透析膜や血液濾過膜、血液透析濾過膜、血漿分離膜に対して特に好適に使用できるが、その他、逆浸透、限外ろ過(UF)、精密ろ過などの各種用途で利用でき、それぞれの目的に応じたものを得ることが可能である。
以下、本発明の中空糸膜の製造法について詳細に説明する。
本発明の中空糸膜の材質は特に限定されるものではなく、例えばセルロース系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー等を用いることができる。これらのポリマーの例として、セルロース系ポリマーの場合は、酢酸セルロース、三酢酸セルロースが挙げられ、ポリスルホン系ポリマーの場合は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンを用いるのが好ましい。これらのポリマーに、親水性ポリマーをさらに含有する紡糸原液に対しても有効である。
本発明の中空糸膜の基本的な部分の製造方法は特に限定されるものではなく、通常の製造方法によって得ることができる。紡糸原液は、ポリマーあるいは複数のポリマーの組合せと溶媒、非溶媒の3元素以上の組合せからなる。紡糸原液中での組成としては、総ポリマー重量分率は15〜45質量%が適切であり、ポリマーの重量分率が低すぎると紡糸原液の粘度が低くなるため可紡性が低くなるだけでなく、紡糸原液の流動圧損が上がらず偏肉に対して好ましくない影響がでることがある。また、ポリマー分率が高すぎると中空糸膜の構造が密になりすぎ所期の膜性能を得ることができないことがある。
紡糸原液中の総溶媒分率は30〜70質量%、総非溶媒分率は5〜50質量%が好ましい。上記の紡糸原液を室温〜190℃に加熱して均一に溶解させた後、脱泡、濾過した後に、ニ重管ノズルの外側環状部(スリット)から押し出し、中心孔からは内液(芯液)を供給する。ここで内液としては、流動パラフィンまたは不活性な気体を用いるのが好ましい。
ノズルより押し出された紡糸原液は40〜60mmの乾式部を走行させた後、5〜60℃の凝固性液体中を通過させて凝固、相分離し、膜構造が形成される。得られた中空糸膜を洗浄工程にて脱溶媒、脱非溶媒した後、膜構造を保持させるため30〜60質量%のグリセリン水溶液中を通過させグリセリンを含浸させた後、乾燥機にて乾燥させ、巻き取る。
上記の溶媒としては、いわゆる非プロトン性の極性溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンなどを単独または混合して用いる。
非溶媒としては、無機塩やアルコール類などが挙げられるが、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類を単独または混合して用いることが好ましい。
凝固性液体としては水、または水と紡糸原液で用いた溶媒並びに非溶媒の混合水溶液が使用できる。
本発明のチューブインオリフィスノズルの具体的な形態として、例えば内径200μm、膜厚15μmの中空糸膜を製造する場合には、ノズルの中心孔径は180μm以下であることが好ましい。高性能膜を製造しようとする場合、ノズルの外側環状部の内径と中空糸膜の平均内径とをほぼ同じにすることで、中空糸膜内表面側は紡糸原液の剪断あるいはドラフトの影響がかからないようにし、内表面側の細孔に変形などが起こらないように配慮するべきである。ノズルの中心孔径を必要以上に小さくすると、内液側の圧力損失が上昇しすぎて、ギアポンプの脈動の影響を打ち消す効果以上に、ギアポンプへの負荷が大きくなり内液の定量供給が困難となることがある。また、中心孔径を必要以上に大きくすると、中心孔と外側環状部との隔壁部分の厚みが薄くなるため、ノズルの加工精度の低下や使用時の流体の圧力による変形の恐れがある。以上の理由から、好ましいノズルの中心孔径は70〜180μmである。ノズルのスリット幅は75μm以上が好ましい。紡糸原液の周方向における吐出斑に対してはスリット幅は大きい方がよいが、無限に大きくすれば良いという訳ではなく、安定して紡糸製膜を行うためにはスリット部で一定以上の圧力損失をもたせる必要がある。また、膜の高性能化を図るためには、ノズルの外側環状部(スリット部)を紡糸原液が流れるときの線速度を高めてノズルでのドラフト比を下げる必要がある。このような理由から更に望ましいスリット幅は100〜250μmである。
本発明において、ニ重管状ノズルの外側環状部の外径は400〜800μmであることが好ましい。外側環状部の外径を大きくするということは、外側環状部の幅を大きくするか、隔壁部の厚みを大きくすることにつながり、いずれも内径斑や偏肉に対して悪影響を与える可能性が高まる。また、外側環状部の外径を小さくするということは、外側環状部の幅(スリット幅)を小さくするか、隔壁部の厚みを小さくすることにつながり、いずれも内径斑やノズルの加工精度に悪影響を与えることがある。
上記説明してきたように、本願発明の製造方法を適用することによって、中空糸膜の生産性を確保しながら、所望の膜性能を発現できる中空糸膜を得ることができる。より詳細には、ノズルの中心孔の孔径/中空糸型分離膜の内径を適正化することにより、内径斑の発生を効果的に抑制することが出来、ひいてはモジュール間の性能バラつきを最小限に留めることができる。また、ノズルのスリット幅/中空糸膜の膜厚を適正化することにより、偏肉の発生を最大限抑制することが可能となる。ここで、性能バラつきの指標として血液浄化器10本あたりのミオグロビンのクリアランスが±6%以下であるのが好ましい。また、偏肉抑制の指標として血液リーク率が0.04%以下であるのが好ましい。より好ましくは、0.03%以下である。
以下、実施例にて本発明の好ましい実施形態を説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
(透水性の測定)
血液浄化器の血液出口部回路(圧力測定点よりも出口側)を鉗子で挟んで封止した。37℃に保温した純水を加圧タンクに入れ、レギュレーターにより圧力を制御しながら、37℃恒温槽で保温した血液浄化器の血液流路側へ純水を送り、透析液側から流出した濾液量を測定した。膜間圧力差(TMP)は
TMP=(Pi+Po)/2
とする。ここでPiは透析器入り口側圧力、Poは透析器出口側圧力である。TMPを4点変化させ濾過流量を測定し、それらの関係の傾きから透水性(mL/hr/mmHg)を算出した。このときTMPと濾過流量の相関係数は0.999以上でなくてはならない。また回路による圧力損失誤差を少なくするために、TMPは100mmHg以下の範囲で測定する。中空糸膜の透水性は膜面積と血液浄化器の透水性から算出する。
UFR(H)=UFR(D)/A
ここでUFR(H)は中空糸膜の透水性(mL/m2/hr/mmHg)、UFR(D)は血液浄化器の透水性(mL/hr/mmHg)、Aは血液浄化器の膜面積(m2)である。
(ミオグロビンのクリアランス測定)
生理食塩液でプライミングし湿潤化した血液浄化器(膜面積1.5m2)の血液流路側に、0.01%ミオグロビン(キシダ化学社製)透析液水溶液を流量(Qbin)200ml/minで濾過をかけずにシングルパスで流しつつ、透析液側流路に透析液を流量(Qd)500ml/minで流す。最初のミオグロビン原液のミオグロビン濃度(Cbin)と血液浄化器を通って出てきた液のミオグロビン濃度(Cbout)、流量から、血液浄化器のクリアランス(CLmyo)を算出する。測定は37℃で実施する。血液浄化器10本について前記測定を行い、性能および性能ばらつきを評価した。
CLmyo=(Cbin−Cbout)/Cbin
(偏肉度の測定)
中空糸膜100本の断面を200倍の投影機で観察する。一視野中、最も膜厚差がある一本の糸断面について、最も厚い部分と最も薄い部分の厚さを測定する。
偏肉度=最薄部/最厚部
偏肉度=1で膜厚が完璧に均一となる。
(内径斑の測定)
中空糸膜を厚さ2mmのスライドガラスの中央に開けられたφ1mmの孔に適当数通し、スライドガラス上下面で剃刀によりカットし、中空部を露出させた断面サンプルを得る。サンプルは投影機(Nikon-12A)を用いて、200倍で観察する。一視野中、中空糸膜の内径が最も小さい一本の中空糸膜断面と、最も大きい一本の中空糸膜断面の、内径を測定する。長さ20cmの中空糸膜をほぼ均等に5分割し、それぞれについて内径を測定する。
内径斑=内径が最大の中空糸膜断面の内径−内径が最小の中空糸膜断面の内径
内径斑=0で内径斑が完璧になくなる。
(空孔率の測定)
1時間以上純水に浸漬した中空糸膜束を900rpmの回転数で5分間遠心脱液し、重量を測定する。その後、乾燥機中で絶乾し重量を測定する(Mp)。
Wt(空孔に詰まっている水の重量)=遠心後の糸束の重量−Mp
体積空孔率(Vt)%=Wt/(Wt+Mp/ポリマー密度)×100
(リーク率の測定)
生食にてプライミングしたモジュールを用いて、クエン酸を添加して凝固を抑制した37℃の牛血液を、血液浄化器に200ml/minで送液し、20ml/minの割合で血液をろ過する。このとき、ろ液は血液に戻し、循環系とする。60分後に血液浄化器のろ液を採取し、赤血球のリークに起因する赤色を目視で観察する。この血液リーク試験を各実施例、比較例ともに10,000本の血液浄化器を用い、血液リークしたモジュール数を調べる。
(実施例1)
セルローストリアセテート(ダイセル化学工業社)17.5質量%、N−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学社)およびトリエチレングリコール(TEG、三井化学社)を7対3の重量比で均一に溶解し、紡糸原液の脱泡を行った。得られた紡糸原液を105℃に加温したニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。ノズルは外側環状部の外径400μm、外側管状部幅(スリット幅)100μm、中心孔径70μmのノズルを用いた。長さ50mmの乾式部を通過後、30℃の20質量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させ、50℃の洗浄槽を経た後、50℃、60質量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥し、速度75m/minで巻き上げた。得られた中空糸膜を用いて種々の評価を行なった。結果を表1にまとめる。
(実施例2)
ポリエーテルスルホン(PES;住友化学社製、スミカエクセル)35重量%およびポリビニルピロリドン(PVP K90;BASF社製)7重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)とトリエチレングリコール(TEG)を8対2の重量比で均一に溶解した後、紡糸原液の脱泡を行った。得られた紡糸原液を125℃に加温した二重環ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔から流動パラフィンを芯液として吐出した。ノズルは外側環状部の外径600μm、スリット幅200μm、中心孔径100μmのノズルを用いた。長さ40mmの乾式部を通過後、25℃の10重量%のNMP/TEG(8/2)水溶液中で凝固させ、40℃の洗浄槽を経た後、50℃、30重量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥し、75m/minで巻き上げた。得られた中空糸膜を用いて種々の評価を行なった。結果を表1にまとめる。
(実施例3)
セルローストリアセテート(ダイセル化学工業社)17.5質量%、N−メチル−2−ピロリドンおよびトリエチレングリコールを7対3の重量比で均一に溶解し、紡糸原液の脱泡を行った。得られた紡糸原液を105℃に加温したニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。ノズルは外側環状部の外径500μm、スリット幅150μm、中心孔径100μmのノズルを用いた。長さ50mmの乾式部を通過後、30℃の20質量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させ、50℃の洗浄槽を経た後、50℃、60質量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥し、速度75m/minで巻き上げた。得られた中空糸膜を用いて種々の評価を行なった。結果を表1にまとめる。
(実施例4)
セルローストリアセテート(ダイセル化学工業社)17.5質量%、N−メチル−2−ピロリドンおよびトリエチレングリコールを7対3の重量比で均一に溶解し、紡糸原液の脱泡を行った。得られた紡糸原液を105℃に加温したニ重管ノズルの外側環状部より吐出し、同時に中心孔より流動パラフィンを芯液として吐出した。ノズルは外側環状部の外径760μm、スリット幅250μm、中心孔径180μmのノズルを用いた。長さ50mmの乾式部を通過後、30℃の20質量%NMP/TEG(7/3)水溶液中で凝固させ、50℃の洗浄槽を経た後、50℃、60質量%のグリセリン水溶液槽を通過させ、ドライヤーで乾燥し、速度75m/minで巻き上げた。得られた中空糸膜を用いて種々の評価を行なった。結果を表1にまとめる。
(比較例1)
ノズルを中心孔径500μm、外側環状部外径1000μm、スリット幅100μmのものに変更した以外は実施例1と同様にして、中空糸膜を得た。得られた中空糸膜を用いて種々の評価を行なった。結果を表1にまとめる。
本比較例においては、ノズルの中心孔径/中空糸膜の平均内径が2.5と低いため、内径斑が大きくなり、したがって血液浄化器間での性能バラつきが大きくなり、またリークの発生率が若干高めになったものと思われる。
(比較例2)
ノズルを中心孔径100μm、外側環状部外径300μm、スリット幅50μmのものに変更した以外は実施例1と同様にして、中空糸膜を得た。得られた中空糸膜を用いて種々の評価を行なった。結果を表1にまとめる。
本比較例においては、スリット幅/膜厚が3倍であり、ノズルから押し出される紡糸原液の脈動が十分に解消されておらず、したがって得られた中空糸膜の偏肉度が低くなり、リーク発生率が高まったものと思われる。
(比較例3)
ノズルを中心孔径200μm、外側環状部外径540μm、スリット幅70μmのものに変更した以外は実施例1と同様にして、中空糸膜を得た。得られた中空糸膜を用いて種々の評価を行なった。結果を表1にまとめる。
本比較例においては、中心孔径/中空糸膜の平均内径、およびスリット幅/膜厚のいずれもが好ましい範囲を外れている。したがって、性能のバラつき及びリーク発生率が高くなったものと思われる。
本発明によれば、肉厚部の偏り(膜厚の偏肉)が少なく、かつ中空糸膜の内径斑を軽減した中空糸膜を提供することが可能である。且つ同時にこれを組み合わせ、紡糸原液と内液との吐出バランスを調整することによって中空糸膜生産性が向上し、しかも安定して高性能膜を生産することが可能である。したがって、産業の発展に寄与することが大である。
ニ重管状ノズルの一例を示す模式図。
符号の説明
1:外側環状部(スリット)幅
2:中心孔径
3:紡糸原液導入口
4:内液導入口

Claims (6)

  1. ニ重管状ノズルの外側環状部より紡糸原液を吐出し、同時に中心孔より中空内液を吐出し、空走部を経た後、凝固浴に浸漬させる中空糸型分離膜の製造方法において、ノズルの中心孔の孔径が中空糸型分離膜の内径の0.9倍以下であり、ノズルの外側環状部の幅が中空糸型分離膜の膜厚の5倍以上であるニ重管状ノズルを用いる中空糸型分離膜の製造方法。
  2. ニ重管状ノズルの外側環状部の幅が100〜250μmであることを特徴とする請求項1に記載の中空糸型分離膜の製造方法。
  3. ニ重管状ノズルの中心孔の孔径が70〜180μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸型分離膜の製造方法。
  4. ニ重管状ノズルの外側環状部の外径が400〜800μmであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の中空糸型分離膜の製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の中空糸型分離膜の製造方法により得られた中空糸膜であって、偏肉度が0.75以上であることを特徴とする中空糸膜。
  6. 中空糸膜の長さ20cmあたりの内径斑が中空糸膜平均内径の15%以内であることを特徴とする請求項5に記載の中空糸膜。
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