JP4036740B2 - 中空糸型血液浄化膜の製造方法 - Google Patents

中空糸型血液浄化膜の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4036740B2
JP4036740B2 JP2002366428A JP2002366428A JP4036740B2 JP 4036740 B2 JP4036740 B2 JP 4036740B2 JP 2002366428 A JP2002366428 A JP 2002366428A JP 2002366428 A JP2002366428 A JP 2002366428A JP 4036740 B2 JP4036740 B2 JP 4036740B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spinning
hollow fiber
blood purification
purification membrane
spinneret
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002366428A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003245524A (ja
Inventor
正哉 福家
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Medical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd filed Critical Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd
Priority to JP2002366428A priority Critical patent/JP4036740B2/ja
Publication of JP2003245524A publication Critical patent/JP2003245524A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4036740B2 publication Critical patent/JP4036740B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、中空糸型血液浄化膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、血液浄化用の中空糸膜として、セルロース系、セルロースアセテート系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系などのポリマーを素材とする中空糸膜が知られており、これらはチューブインオリフィス型と呼ばれる二重紡糸口金を用いて製造されている。
例えば、特許文献1には、血液浄化用のポリアクリロニトリル系中空糸膜の製造方法が記載されている。また、特許文献2〜4には、血液浄化用のポリスルホン系中空糸膜の製造方法が記載されている。
【0003】
しかしながら、慢性腎不全患者数の増加に伴う生産性向上の一手段として、高速紡糸技術が必要であるにもかかわらず、従来技術で開示されている紡糸速度はせいぜい50m/分と概して低いものであった。このような低速の紡糸速度で生産性を上げようとすると、必然的に紡糸錘数をかせがねばならず、その結果生産設備を拡大せざるを得なかった。
また、上記のように紡糸速度を高くすると、膜の微細構造が部分的に破壊されることにより、得られる中空糸膜の機械的特性や膜の分画性が損なわれることもあった。この問題に対しては、紡糸制御因子を如何様に制御しても紡糸速度が高い限りは膜の伸度や分子量分画性の低下を抑制することができず、血液浄化膜としては満足すべきものが得られなかった。
このため、50m/分以下というあまり高くない紡糸速度で生産性を犠牲にしながら血液浄化用の中空糸膜が製造されているのが現状である。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−273522号公報
【特許文献2】
特公平2−018695号公報
【特許文献3】
特公平5−054373号公報
【特許文献4】
特開平6−165926号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術の問題点を解消し、生産性を上げるために、紡糸速度を高めても十分な糸伸度を持ち、分子量分画性に優れた中空糸型血液浄化膜の製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、中空糸型血液浄化膜の高速紡糸方法を確立すべく、種々の紡糸制御因子について鋭意検討した結果、紡糸口金直下で起こるバラス効果を抑制することにより、膜の微細構造の破壊によって生じる機械的強度や分画性の低下を抑制できることを見出した。なお、バラス効果とは、紡糸原液が紡糸口金から吐出された直後に径の外方向に膨らむことをいう。
そして、ドラフト率を、従来知られているノズルドラフト率(所謂みかけのドラフト率:巻き取り速度/ノズル吐出線速度(【0012】))ではなく、紡糸口金直下のドラフト率(落下部ドラフト率)として特定すると、伸度低下を起さずしかもシャープな分画性を有する膜が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(7)に関するものである。
(1)紡糸原液をチューブインオリフィスよりなる紡糸口金より中空内液とともに吐出して、紡糸する中空糸型血液浄化膜の製造方法であって、紡糸原液吐出部の長さ/径が0.5以上2.5以下である紡糸口金を使用して、落下部ドラフト率を2.0以下で紡糸することを特徴とする中空糸型血液浄化膜の製造方法。(2)50m/分を超える巻き取り速度で紡糸することを特徴とする(1)記載の中空糸型血液浄化膜の製造方法。
(3)紡糸原液の粘度が1000mPa・s以上3500mPa・s以下である
ことを特徴とする(1)または(2)記載の中空糸型血液浄化膜の製造方法。
(4)中空内液の吐出線速度を紡糸原液の落下部吐出線速度で除した線速度比が5以上10以下で紡糸することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の中空糸型血液浄化膜の製造方法。
(5)紡糸原液吐出部の面積を内液吐出部の面積で除した値が4.0以上9.0以下である紡糸口金を使用して紡糸する(1)〜(4)のいずれかに記載の中空糸型血液浄化膜の製造方法。
(6)紡糸原液吐出部のスリット幅を中空糸膜厚に対して±20%以内にして紡糸することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の中空糸型血液浄化膜の製造方法。
(7)ポリスルホンとポリビニルピロリドンと溶剤よりなる紡糸原液を用いてポリスルホン系血液浄化膜を製造する(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を述べる。
本発明に用いられる中空糸膜の素材としては、適当な溶媒に可溶性であり、適切な中空内液が選定される高分子材料であれば任意のものが用いられる。例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート等が挙げられ、これらを単独に用いて膜としても、これらを主体成分として副次成分を含む膜としてもよい。中でも、ポリスルホンを主体とし、親水化材としてポリビニルピロリドンを添加した場合は、血液浄化膜としての生体適合性が高まるため、特に好ましく用いられる。以下、中空糸膜素材にポリスルホンを用いる場合を例として説明する。
本発明で言うポリスルホン(以下PSf)とは、スルホン結合を有する高分子結合物の総称であり特に規定するものでないが、例を挙げると
【化1】
Figure 0004036740
または
【化2】
Figure 0004036740
に示される繰り返し単位をもつポリスルホン樹脂が広く市販されており、入手も容易なため好ましく用いられる。前者の構造を持つポリスルホンはAMOCO社より「ユーデル」の商標名で、またBASF社より「ウルトラゾーン」の商標名で市販されており、重合度等によっていくつかの種類が存在する。
【0009】
また、本発明のポリビニルピロリドン(以下PVP)は、N−ビニルピロリドンをビニル重合させた水溶性の高分子化合物であり、ISP社より「プラスドン」の商標名で、また、BASF社より「コリドン」の商標名で、市販されており、それぞれいくつかの分子量のPVPがある。
【0010】
これらPSfとPVPを両方に共通溶媒に溶解し、均一な紡糸原液を調整する。共通溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド(以下DMACと呼ぶ)、ジメチルスルホキシド(以下DMSOと呼ぶ)、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、スルホラン、ジオキサン等の多種の溶媒あるいは上記2種以上の混合液からなる溶媒が挙げられる。また、孔径制御のため、紡糸原液には水などの添加物を加えても良い。
【0011】
本発明においては、紡糸口金から凝固液に浸漬される前に空気中を通過させる乾湿式法で紡糸するのが好ましい。具体的には、中空糸膜を製膜するに際してはチューブインオリフィス型の紡糸口金を用い、該紡糸口金から紡糸原液と該紡糸原液を凝固させる為の中空内液とを同時に空中に押し出し、50〜150cmの空走部を走行させた後、紡糸口金下部に設置した水を主体とする凝固浴中へ浸漬、凝固させた後巻き取る。中空内液は紡糸原液を凝固させる液体であり、膜素材の貧溶媒を含む液体である。通常、水または水を主体とした凝固液が使用でき、目的とする中空糸膜の膜性能に応じてその組成等は決めていけば良く一概には決められないが、一般的には紡糸原液に使った溶剤と水との混合溶液が好適に使用される。例えば0〜60重量%のDMAC水溶液などが用いられる。
【0012】
この時、巻き取り速度が50m/分に満たない低紡速の場合は、ノズルドラフト率を従来技術の範囲(およそ0.95以上)に設定することで、伸度や分子量分画性を損なわない範囲で中空糸の形成が可能であった。ここでいうノズルドラフト率とは、巻き取り速度を紡糸原液の吐出線速度で割った値(みかけのドラフト率)である。また、ここで言う紡糸原液の吐出線速度とは紡糸時に紡糸口金から紡糸原液が吐出される時の線速度で、単位時間当たりの紡糸原液の吐出流量を紡糸口金の原液吐出断面積で割った値である。
【0013】
一方、巻き取り速度が50m/分を超えそれ以上の高紡速で紡糸する場合、ノズルドラフト率を従来技術の範囲に設定しても伸度の低下が著しく、また、分子量分画性も損なわれるため、血液浄化用膜として満足できるものではなかった。
【0014】
本発明者は、この問題を解決すべく、紡糸口金直下の紡糸原液の流れを解析した。その結果、本発明のようなチューブインオリフィス型紡糸口金を用いる中空糸膜の紡糸工程においても、従来の繊維紡糸工程において知られていた、紡糸原液が紡糸口金から吐出された直後に径の外方向に膨らむ「バラス効果」が生じることを確認した。即ち、図1に示すように、紡糸原液が紡糸口金から吐出された直後に、紡糸原液が流れる紡糸口金のスリット幅より径の外方向に大幅に膨らみ、その後、延伸によって所定の幅に戻る。この事は、紡糸口金直下で紡糸原液の線速度が大幅に低下することを示している。このようにバラス効果によって紡糸口金直下での原液吐出線速度が変わってしまい、また、紡糸速度が高くなるほどバラス効果がより顕著になるので、従来のノズルドラフト率を特定するだけでは、膜物性や膜構造を制御するうえで不十分であることが分かった。
【0015】
本発明者はここで新たに真のドラフト率という概念を提案し、落下部ドラフト率と定義する。本発明でいう落下部ドラフト率とは、巻き取り速度を落下部吐出線速度で除した値であり、ここで、落下部吐出線速度は、マイクロスコープ等で実際に紡糸口金直下のバラス効果状態を確認したときに、紡糸原液吐出流量を図1に示すようなバラス部の径が最大となる部分(b)の断面積で除して求める。図1の例では、下記の式(1)より求め、次元をm/分に合わせた数値を言う。落下部吐出線速度=原液吐出流量/[π(b/2)2−π(c/2)2] (1)落下部ドラフト率は巻き取り速度と凝固開始直後の紡糸原液の流れが最も遅い部分の比であるため、紡糸原液がどれだけ延伸されているかを実質的に表しており、真のドラフト率と言うことができる。
【0016】
本発明者の検討によると、50m/分を超えそれ以上の高速紡糸において、中空糸の伸度、分子量分画性を損なわずに紡糸するには、落下部ドラフト率を2.0以下にすることが必要であることが分かった。落下部ドラフト率を2.0よりも大きくすると、延伸の効果で糸の伸度が低下すること、部分的な構造破壊から分子量分画性が悪化し、アルブミン等の有用蛋白のリークが避けられない事、等の問題が生じてしまう。落下部ドラフト率の下限は特に限定しないが、中空糸膜を全く引張らずに弛ませて紡糸すると、糸道が安定せず錘間トラブル等が発生するおそれがあるので、落下部ドラフト率の範囲は1.0を越えて2.0以下としておくと好ましい。
【0017】
紡糸口金から吐出される中空内液および紡糸原液の吐出線速度は、各々絶対値としては重要ではないので範囲を特に限定しないが、相対的なこれらの線速度比を特定することはバラス効果を抑制する上で重要である。紡糸口金から吐出された紡糸原液は、自重に加えて中空内液の流れの影響も受けながら空走部を経て凝固浴に導かれるため、中空内液の吐出線速度を落下部吐出線速度に比して相対的に高めることが、紡糸原液が必要以上に延伸される作用を緩和する上で好ましい。
この線速度比、即ち、中空内液の吐出線速度を紡糸原液の落下部吐出線速度で除した値は、5倍以上10倍以下であることが好ましく、中空内液の吐出線速が遅いと巻き取りの力で延伸され、膜構造の破壊が生じて中空糸の伸度が低下する。反対に、中空内液の吐出線速が紡糸原液の落下部吐出線速度よりも速すぎると、中空内液と紡糸原液の速度差から、中空糸内表面の構造破壊、構造の不均一化が起こるので好ましくない。従って、線速度比は5倍以上10倍以下が好ましく、より好ましくは6倍以上9.5倍以下である。
【0018】
また、この時、落下部の空走距離も重要であり、空走距離が短すぎると紡糸口金から吐出した紡糸原液の落下部吐出線速がまだ遅いうちに凝固浴に入り、凝固するため、巻き取りからの力で延伸され、中空糸の伸度が低下する。また、空走距離が長すぎると凝固浴に進入する速度が速すぎて、落下部及び凝固浴上で中空糸が激しく動き、生産性に問題が生じる。従って空走距離は50cm〜150cmが好ましく、より好ましくは80cm〜110cmである。
【0019】
落下部ドラフト率を2.0以下にするために重要なことは、紡糸原液の粘度を適切な範囲に設定することである。紡糸原液粘度が低い方が、バラス効果の影響が少なく、落下部ドラフト率は低くなるのであるが、紡糸原液粘度が低すぎる場合、膜内部に大きなマクロボイドが顕著に現れるようになる。血液浄化用の中空糸膜の場合、こうしたマクロボイドが多数存在すると、血液透析中に血液凝固が起こりやすくなり、血液透析に用いる中空糸膜においてはマクロボイドがないことが好ましい。ここで言うマクロボイドとは膜内でポリマーが存在しない空間のうち、その最大径が5μm以上のものを言う。一方、原液粘度が高くなりすぎると紡糸原液吐出時のバラス効果が大きくなり、落下部ドラフト率が上昇するだけでなく、紡糸口金前の圧力が上がりすぎ、安定な紡糸ができなくなってくる。従って、本発明では、紡糸原液粘度は1000mPa・s以上3500mPa・s以下の範囲が好ましい。本発明で言う粘度とは、製膜条件下の紡糸口金温度と同温度で紡糸原液を回転式の粘度計で測定したものである。
【0020】
なお、紡糸原液の粘度は、原液に溶解するポリマーの分子量、及び濃度、紡糸原液の温度等に依存し、どの要因も膜構造の形成に重大な影響を及ぼす。紡糸原液の組成も原液粘度を左右するが、本発明の紡糸原液の組成は公知の組成のものなら何でもよく、特に組成範囲を設けない。用いる原料を適切に選択し、濃度および温度の条件を設定することにより、上記の範囲に原液粘度を調整すればよい。
【0021】
落下部ドラフト率を2.0以下にする上で次に重要なことは、紡糸口金の設計である。中空内液の吐出線速度もバラス効果に影響し、線速度が大きいほどバラス効果を抑制することができる。中空内液の吐出線速度は紡糸口金の中空内液吐出部の断面積を制御することによって達成され、吐出面積を小さくすれば吐出線速度は速くなり、吐出面積を大きくすれば吐出線速度は遅くなる。面積範囲は、設定する中空糸の内径、膜厚によって決めれば良いが、通常の血液浄化用途に用いる場合、0.5×10−4cm〜3.0×10−4cmの範囲が好ましい。
また、この時、原液吐出部の面積との比すなわち原液吐出部の面積を内液吐出部の面積で除した値が4.0〜9.0の範囲にあることが好ましい。この範囲にすることにより、紡糸時に内液吐出線速度を原液吐出線速度で除した値を5倍以上、10倍以下にすることができる。
なお、原液原液吐出部の面積は、図1によれば、π(a/2)−π(c/2)であり、内液吐出部の面積はπ(d/2)2である。
【0022】
一方、紡糸原液に関しては、紡糸原液吐出スリット幅の中空糸膜厚に対する割合(膜厚比)が±20%以内にあることが好ましい。中空糸膜厚に対して+20%より大きい場合、延伸しなければ設定膜厚にならないため、落下部ドラフト率が大きくなってしまう。また、−20%以下になると、落下部ドラフト率は低く設定できるが、紡糸原液吐出スリット幅が狭くなりすぎるため、紡糸口金での圧損が大きくなり、紡糸が不安定になりやすい。また、原液の吐出ムラが生じるため、膜構造が乱れ、透水性能、溶質透過性能のバラツキも大きくなる。さらに、スリット幅が狭いため、紡糸口金の芯合わせが困難になること、紡糸口金の作成自体が困難になり高コストになることなどの問題が指摘される。
【0023】
また、バラス効果を抑制するための紡糸口金の設計に関しては、紡糸原液吐出部の長さ/径の比であるL/Dが0.5以上2.5以下である紡糸口金を使用して紡糸する事が必要である。L/Dが0.5以下では、紡糸原液の直線性が不十分で中空糸形状が安定せず、偏芯が起こりやすい。また、L/Dが2.5以上では紡糸口金での圧損が大きくなり、紡糸が不安定となる。尚、ここでいう紡糸原液吐出部のL/Dとは、図2に示すように、紡糸口金中の紡糸原液の流路のうち、吐出までの直線部分の長さを径で除した値である。
【0024】
本発明の紡糸速度範囲は50m/分を超えそれ以上の高速であり、生産性の点から好ましくは60m/分以上、より好ましくは70m/以上である。上限は特に設けないが、落下部ドラフト率を2.0以下にしても、紡糸速度が極端に速くなると、伸度低下を起こしたり、分子量分画性や紡糸安定性が悪化傾向を示すので、上限が150m/分以下であることが好ましく、より好ましくは120m/分以下である。
ノズルドラフトについては、紡糸性の点から0.95以上であればよいが、ノズルドラフトが大き過ぎると、膜の微細構造が破壊される傾向にあるので、上限を1.3に留めることが好ましい。
【0025】
上記のようにして、紡糸され、巻き取られた中空糸は公知の方法で後処理される。すなわち、熱水等による洗浄で溶剤及び過剰なPVPが除去され、乾熱乾燥される。また、中空糸を巻き取った後に後処理するのでなく、熱水等による洗浄や乾熱乾燥した後に巻き取る方法も本発明の範囲内である。
【0026】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
本発明での透水量および篩い係数は、以下のように測定したものである。すなわち、乾燥させたポリスルホン中空糸膜100本からなるミニモジュール(有効長18cm)を組立成型し、膜間圧力差を200mmHgとしてストップ法にて透水量を測定した(単位はml/Hr/m2/mmHg)。続いてさらに、人血清を用いてβ−ミクログロブリン(以下β−mg)、アルブミン(以下Alb)の篩い係数を測定した。篩い係数の測定は、0.4cm/secの線速になるように流量を調整し、膜間圧力差25mmHgの濾過圧力をかけて次式から算出した。β−mgおよびAlbの濃度は、それぞれEIA法、BCG法を用いて求めた。
篩い係数 = 濾液の濃度 / 元液の濃度
尚、人血清は使用前、生理食塩水を加えて総タンパク濃度を6.5g/dlになるように調整したものを用いた。
中空糸の伸度はORIENTEC社TENSILON;RTC−1210を用い、中空糸膜を破断するまで引っ張り、その時の伸びを伸度とした。
【0027】
【実施例1】
ポリスルホン(P−1700:AMOCO社製)18重量部、PVP(K−90:ISP社製)4.2重量部、DMAC77.8重量部を10時間攪拌して紡糸原液とした。この紡糸原液の粘度は、40℃で2600mPa・sであった。この紡糸原液を50%DMAC水溶液を中空内液とし、中空内液吐出面積0.79×10−4cm、落下部(c)200μm、紡糸原液吐出部のスリット幅50μm、紡糸原液吐出部の長さ(L)が300μm、径(D)が300μm、L/Dが1.0の環状口金より吐出して85cm下方に設置した55℃の水中に浸漬し、巻き取り速度80m/分で巻き取った。乾燥後の中空糸膜厚を45μm、内径を200μmに合わせるように紡糸原液、中空内液の吐出量を調製したので、この時の中空内液の吐出線速度は408m/分、バラス効果による最も膨らんだ径(b)は354μm、落下部吐出線速度は52.3m/分で線速度比は7.9倍であった。9500フィラメント巻き取ったところで、ロープを300mmに切断し、85℃にて7時間熱風乾燥させた。乾燥後、中空糸膜を二亜硫酸ナトリウム300ppmと炭酸ナトリウム100ppmを溶解させた水溶液に浸漬させ、25kGyのγ線を照射し、中空糸型ポリスルホン系血液浄化膜を得た。得られた中空糸膜の伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。
【0028】
【実施例2】
紡糸原液吐出部のスリット幅50μm、紡糸原液吐出部のL/Dが1.2の環状口金を使用し、巻き取り速度90m/分で実施例1と同様な方法で中空糸型ポリスルホン系血液浄化膜を得た。得られた中空糸膜の伸度の測定、透過性能の測定を行った。その他の条件とともにこれらの結果を表1に示す。
【0029】
【実施例3】
紡糸原液の吐出温度を60℃とし、48%DMAC水溶液よりなる中空内液とともに紡糸口金より吐出し、巻き取り速度110m/分で実施例1と同様の方法で中空糸型ポリスルホン系血液浄化膜を得た。得られた中空糸膜の伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。
【0030】
【実施例4】
中空内液吐出面積0.79×10−4cm、紡糸原液吐出部のスリット幅35.5μm、紡糸原液吐出部のL/Dが1.0の環状口金を使用して実施例1と同様な方法で中空糸型ポリスルホン系血液浄化膜を得た。得られた中空糸膜の伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。Albのリーク量がやや多いが、これは紡糸口金での圧損が大きく、紡糸原液の吐出ムラが起こり、部分的な構造破壊が起きたものと推測される。
【0031】
【実施例5】
中空内液吐出面積0.42×10−4cmの紡糸口金を用いて実施例1と同様な方法で中空糸型ポリスルホン系血液浄化膜を得た。この時の中空内液の吐出線速度711m/分、落下部吐出線速度53.0m/分で線速度比は13.4倍であった。Albのリーク量がやや多いが、これは線速度比が大きすぎるため、中空糸内表面に部分的な構造破壊が生じたためと思われる。
【0032】
【比較例1】
中空内液吐出面積1.8×10−4cm、紡糸原液吐出部のスリット幅60μm、紡糸原液吐出部のL/Dが1.0の環状口金を使用し、80m/分の紡速で実施例1と同様な方法で中空糸型ポリスルホン系血液浄化膜を得た。得られた中空糸膜の伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。紡糸原液吐出部のスリット幅が広いために落下部ドラフト率が高くなり、糸伸度が低下している。また、Albのリーク量もやや多いが、これは落下部ドラフト率が大きく、部分的な構造破壊が起こったためと推察される。
【0033】
【比較例2】
中空内液吐出面積0.79×10−4cm、紡糸原液吐出部のL/Dが0.3の紡糸口金を使用して実施例1と同様な方法で中空糸型ポリスルホン系血液浄化膜を得た。得られた中空糸膜は中空形状が安定せず、厚い部分と薄い部分が脈動していたため、透過性能の評価を省略した。
【0034】
【比較例3】
中空内液吐出面積0.79×10−4cm、紡糸原液吐出部のL/Dが2.7の紡糸口金を使用して実施例1と同様な方法で中空糸型ポリスルホン系血液浄化膜を得た。紡糸口金での圧損が大きく、吐出が不安定、脈動、糸切れ多発等を繰り返し、また、紡糸原液ラインからの紡糸原液漏れも多発し、紡糸の継続ができなかった。
【0035】
【表1】
Figure 0004036740
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の中空糸型ポリスルホン系血液浄化膜は従来技術の問題点を解消し、紡速60m/分以上の高紡速においても糸伸度が低下することなく、分子量分画性にも優れた中空糸膜を提供することが可能となり、生産性に大きく寄与することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】紡糸原液吐出部における紡糸原液の流れを示す模式図である。
【図2】紡糸口金の断面図を示す。

Claims (7)

  1. 紡糸原液をチューブインオリフィスよりなる紡糸口金より中空内液とともに吐出して紡糸する中空糸型血液浄化膜の製造方法であって、紡糸原液吐出部の長さ/径が0.5以上2.5以下である紡糸口金を使用して、落下部ドラフト率を2.0以下で紡糸することを特徴とする中空糸型血液浄化膜の製造方法。
  2. 50m/分を超える巻き取り速度で紡糸することを特徴とする請求項1記載の中空糸型血液浄化膜の製造方法。
  3. 紡糸原液の粘度が1000mPa・s以上3500mPa・s以下であることを特徴とする請求項1または2記載の中空糸型血液浄化膜の製造方法。
  4. 中空内液の吐出線速度を紡糸原液の落下部吐出線速度で除した線速度比が5以上10以下で紡糸することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸型血液浄化膜の製造方法。
  5. 紡糸原液吐出部の面積を内液吐出部の面積で除した値が4.0以上9.0以下である紡糸口金を使用して紡糸する請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸方血液浄化膜の製造方法
  6. 紡糸原液吐出部のスリット幅を中空糸膜厚に対して±20%以内にして紡糸することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中空糸型血液浄化膜の製造方法。
  7. ポリスルホンとポリビニルピロリドンと溶剤よりなる紡糸原液を用いてポリスルホン系血液浄化膜を製造する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
JP2002366428A 2001-12-18 2002-12-18 中空糸型血液浄化膜の製造方法 Expired - Fee Related JP4036740B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002366428A JP4036740B2 (ja) 2001-12-18 2002-12-18 中空糸型血液浄化膜の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001-384035 2001-12-18
JP2001384035 2001-12-18
JP2002366428A JP4036740B2 (ja) 2001-12-18 2002-12-18 中空糸型血液浄化膜の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003245524A JP2003245524A (ja) 2003-09-02
JP4036740B2 true JP4036740B2 (ja) 2008-01-23

Family

ID=28676800

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002366428A Expired - Fee Related JP4036740B2 (ja) 2001-12-18 2002-12-18 中空糸型血液浄化膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4036740B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006187768A (ja) * 2004-12-09 2006-07-20 Toray Ind Inc ポリスルホン系中空糸膜の製造方法およびそれを用いた医療用途モジュールの製造方法。
JP5121470B2 (ja) 2007-01-26 2013-01-16 株式会社日本触媒 ポリビニルピロリドン粉体組成物
US9616393B2 (en) 2007-12-06 2017-04-11 Asahi Kasei Medical Co., Ltd. Porous hollow fiber membrane for treating blood
EP2494101B1 (en) 2009-10-29 2014-03-19 Basf Se Process for the preparation of hyperbranched hollow fibers
CN110064310A (zh) * 2019-05-15 2019-07-30 海宁一泓环境科技有限公司 一种纤维管增强型中空纤维复合生物膜的生产工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003245524A (ja) 2003-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2916446B2 (ja) 非対称微孔性中空繊維の製造方法
CN111549448B (zh) 用于纤维形成的性能增强用添加剂和聚砜纤维
JP5218044B2 (ja) 性能安定性に優れた中空糸膜および血液浄化器および中空糸膜の製造方法
JP2792556B2 (ja) 血液浄化用モジュール、血液浄化膜及びその製造方法
JP5292762B2 (ja) 大量液置換特性に優れた血液浄化器
JP4036740B2 (ja) 中空糸型血液浄化膜の製造方法
JPH0569571B2 (ja)
JP2011050881A (ja) 中空糸膜の紡糸方法
JP2703266B2 (ja) ポリスルホン中空繊維膜およびその製法
JP2004305953A (ja) 中空糸膜の製造法
JPH11309355A (ja) ポリスルホン系中空糸型血液浄化膜とその製造方法
JP2008246402A (ja) 中空糸型血液浄化膜およびその製造方法
JP4386607B2 (ja) ポリスルホン系血液浄化膜の製造方法およびポリスルホン系血液浄化膜
JP3317876B2 (ja) 中空糸型血液浄化膜の製造方法
JP2011020071A (ja) ポリスルホン系中空糸膜の製造方法
JP5423326B2 (ja) 中空糸膜の製造方法
JP5299617B2 (ja) 中空糸膜の製造方法
JP2005065725A (ja) 中空糸型血液浄化膜
HK40012093B (zh) 用於纤维形成的性能增强用添加剂和聚碸纤维
HK40034112B (en) Performance enhancing additives for fiber formation and polysulfone fibers
HK40034112A (en) Performance enhancing additives for fiber formation and polysulfone fibers
HK40012093A (en) Performance enhancing additives for fiber formation and polysulfone fibers
JPS63100902A (ja) 芳香族ポリスルホン中空糸膜およびその製法
JPH0523556A (ja) セルロースジアセテート中空糸
JP2009136763A (ja) 中空糸型分離膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051213

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071025

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071030

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4036740

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111109

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121109

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121109

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121109

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121109

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131109

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees