JP2004305953A - 中空糸膜の製造法 - Google Patents

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正樹 阿部
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Abstract

【課題】紡糸速度を高くしても十分な機械的特性、すなわち、高い破断強度と破断伸度を有する中空糸膜の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】チューブインオリフィス型紡糸口金の内管より内部凝固液を、外管より紡糸原液を同時に吐出させて紡糸する中空糸膜の製造方法において、紡糸原液を吐出させる紡糸口金の外管の吐出面から内管の吐出面が0.3〜20mm突出した紡糸口金を用い、0.95〜1.3のドラフト率で紡糸することを特徴とする中空糸膜の製造方法である。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紡糸速度を高くしても十分な機械的特性、すなわち、高い破断強度と破断伸度を有する中空糸膜の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チューブインオリフィス型紡糸口金の内管より内部凝固液を、外管より紡糸原液を同時に吐出させて紡糸する中空糸の製造方法はよく知られた方法であり、従来、この方法を用いた中空糸膜の製造方法が提案されてきている。
例えば、血液浄化用のポリスルホン系中空糸膜の製造方法は、特許文献1〜3等に記載されている。また、血液浄化用のポリアクリロニトリル系中空糸膜の製造方法は、特許文献4に記載されている。しかしながら、これらの製造方法では紡糸速度を上げていくと、その紡糸される中空糸膜の機械的特性が劣化する、すなわち、破断強度および破断伸度が低下し、中空糸膜が切れやすくなるという問題点があった。このため、あまり高くない紡糸速度で、生産性を犠牲にして、血液浄化用の中空糸膜が製造されている。
【0003】
また、中空糸膜の安定紡糸を課題として、外管の吐出面から突出した内管を有するチューブインオリフィス型紡糸口金を用いた中空糸膜の製造方法は、特許文献5および6に開示されているが、中空糸膜の機械的特性については触れられていない。これら文献の記載によると、中空糸膜の製造工程において150〜800%のような高い倍率の延伸が行われている。その結果、膜構造の破壊が生じており、中空糸膜の機械的特性が優れたものとは考えられない。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−104940号公報
【特許文献2】
特開昭61−93801号公報
【特許文献3】
特開平6−165926号公報
【特許文献4】
特開平2−273522号
【特許文献5】
特開昭55−12815号公報
【特許文献6】
特開昭57−66113号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消し、紡糸速度を高くしても十分な機械的特性、すなわち、高い破断強度と破断伸度を有する中空糸膜の製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような問題点を解決するために、種々の紡糸制御因子について鋭意検討した結果、バラス効果により紡口直下で紡糸原液が膨らんでおり、これが原因で、内部凝固液と接触して中空糸膜の内表面構造形成された後に、この内表面構造の破壊が延伸により生じており、このバラス効果の影響を少なくしてできるだけ内表面構造を破壊しないようにすることによって、十分な機械的特性を有する中空糸膜が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)チューブインオリフィス型紡糸口金の内管より内部凝固液を、外管より紡糸原液を同時に吐出させて紡糸する中空糸膜の製造方法において、内管の吐出面が外管の吐出面から0.3〜20mm突出した紡糸口金を用い、0.95〜1.3のドラフト率で紡糸することを特徴とする膜の製造方法、
(2)巻き取り速度を30m/分以上で紡糸することを特徴とする上記(1)記載の中空糸膜の製造方法、
(3)紡糸口金の温度における紡糸原液の粘度が、1,000〜3,500mPa・sであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の中空糸膜の製造方法、
(4)(紡糸口金の紡糸原液吐出部の長さ)/(紡糸口金の紡糸原液吐出のスリット幅)の値が3〜20であるチューブインオリフィス型紡糸口金を用いることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の中空糸膜の製造方法、及び(5)紡糸原液がポリスルホンとポリビニルピロリドンの高分子溶液であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の中空糸膜の製造方法、
に関するものである。
そして、本発明は特に血液浄化膜用の中空糸膜の製造に適するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
中空糸膜の紡糸は、紡糸口金外管の環状ノズルから紡糸原液を、紡糸口金内管のノズルから内部凝固液を、凝固浴中に同時に吐出させることにより、あるいは空中に同時に吐出させた後に凝固浴中に走行させることにより行われる。このような、紡糸原液が吐出される環状ノズルと内部凝固液が吐出される内管ノズルを有する二重管構造の紡糸口金は、図1に示される断面構造を有しており、チューブインオリフィス型紡糸口金あるいは鞘芯型複合紡糸口金と呼称されている。
【0009】
紡糸原液が紡糸口金のノズルより吐出されたとき、吐出された紡糸原液が膨らんでその径がノズルの口径よりも大きくなる現象は、バラス効果あるいはダイ・スウエル効果と呼ばれ、繊維製造技術において知られている。チューブインオリフィス型紡糸口金を用いて紡糸した場合にも、環状ノズルから吐出された紡糸原液は、吐出直後に膨らんで、吐出された紡糸原液の直径が環状ノズルの外径よりも大きくなり、その後延伸されて所定の直径になる。環状に吐出された紡糸原液の厚みからいうと、吐出された紡糸原液の厚みは、環状ノズルのスリット幅よりも厚くなり、その後延伸されて所定の厚みになる。
【0010】
紡糸原液が内部凝固液と接触して形成される中空糸膜の内表面構造の破壊は、紡糸原液と内部凝固液膜の接触後に、中空糸膜が延伸されることによって生じる。紡糸原液と内部凝固液が接触して内表面構造が形成された後に、上記のように、バラス効果による紡糸原液の膨らみを解消するために紡糸原液が延伸され、形成された内表面構造の破壊が起こる。この内表面構造の破壊により、中空糸膜の機械的特性が低下する。
【0011】
このような問題を解決するために、本発明は、チューブインオリフィス型紡糸口金の内管を紡糸口金の外管の吐出面から突出させることにより、バラス効果による紡糸原液の膨らみが減少した後に、紡糸原液と内部凝固液の接触を生じさせ、バラス効果の影響を少なくするものである。これにより、形成される中空糸膜内表面の破壊が軽減され、中空糸膜の機械的特性が向上する。このため、本発明において用いられるチューブインオリフィス型紡糸口金において、紡糸原液を吐出させる紡糸口金の外管の吐出面から内管の吐出面が突出していることが必要である。内管の吐出面の突出が短すぎると、この効果が少なく、反対に長すぎると、内管壁と紡糸原液の摩擦力が大きくなりすぎ、紡糸の安定性が悪くなる。このため、本発明では、0.3〜20mm突出していることが好ましく、0.5〜20mm突出していることがより好ましい。
【0012】
バラス効果が小さいほど、バラス効果による紡糸原液の膨らみを解消するための延伸が小さいので、本発明の目的には有利である。
紡糸原液の粘度は、バラス効果に影響する。紡糸原液の粘度が低くなるにつれてバラス効果が小さくなるが、曳糸性が低下する。従って、本発明では、紡糸口金の温度における紡糸原液の粘度が、1,000〜3,500mPa・sであることが好ましい。
【0013】
また、チューブインオリフィス型紡糸口金の構造も、バラス効果に影響する。紡糸原液はチューブインオリフィス型紡糸口金の環状スリットから吐出されるが、(紡糸口金の紡糸原液吐出部の長さ)/(紡糸口金の紡糸原液吐出のスリット幅)、すなわちL/Dの値が大きいほど、バラス効果が小さくなる。L/Dは大きくなるほどバラス効果を抑制できるが、必要以上に大きくしても送液圧損が大きくなるため吐出できなくなる。このため、本発明では、L/Dの値が3〜20であることが好ましく、5〜15であることがより好ましい。
【0014】
上述のように、本発明の課題解決には内表面構造の破壊を軽減することが重要であるが、内表面構造の破壊は、高いドラフト率での紡糸でも起きる。したがって、本発明では、ドラフト率が適切な範囲にあることが必要である。本発明で言うドラフト率とは、中空糸膜の巻き取り速度を原液吐出線速度で除した値であり、原液吐出線速度は紡糸原液の吐出液速度を環状スリットの断面積で除し算出される。ドラフト率が高すぎると、中空糸膜の延伸による中空糸膜内表面構造の破壊が大きくなり、中空糸膜の機械的特性の劣化が見られる。反対に、ドラフト率が低すぎると、中空糸膜製造時の走行する中空糸が弛んで、紡糸安定性が悪くなる。このため、本発明では、ドラフト率が、0.95〜1.3であることが好ましく、0.95〜1.1であることがより好ましい。
【0015】
本発明に用いられる中空糸膜の素材ポリマーとしては、適切な溶媒に可溶性あり、適切な内部凝固液が選定される高分子材料であれば任意のものが用いられ、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。また、ポリスルホン−ポリビニルピロリドンのように、疎水性ポリマーと親水性ポリマーからなる混合系も挙げられる。特に、ポリスルホン−ポリビニルピロリドンは、血液浄化膜としての生体適合性が良好であり、好ましい。
【0016】
本発明で用いられる紡糸原液は、中空糸膜素材ポリマーを公知の方法で適切な溶媒に溶解して調整される。紡糸原液の粘度は、用いるポリマーの分子量、溶剤の種類、ポリマーの濃度等によって変動するので、適宜条件が設定される。具体的には、素材ポリマーとしてポリスルホン−ポリビニルピロリドンを用いる場合、13〜20質量%のポリスルホン、2〜15質量%のポリビニルピロリドンをジメチルアセトアミド溶媒に溶解した紡糸原液が用いられる。
【0017】
本発明で用いられる内部凝固液は、紡糸原液を凝固させることができる液体であり、素材の高分子材料の貧溶媒を含む液体である。取扱いが容易なことから、貧溶媒としては水が好ましく、紡糸原液の溶剤として水溶性のものを採用し、この溶剤と水の混合液を内部凝固液として用いることが好ましい。内部凝固液中の溶剤濃度は、中空糸膜の透過性能に影響を与えるので、適宜設定される。具体的には、素材ポリマーとしてポリスルホン−ポリビニルピロリドンを用いる場合、内部凝固液として水または60質量%以下のジメチルアセトアミド水溶液が用いられる。
【0018】
また、本発明で用いられる凝固浴は、紡糸原液を凝固させることができる浴であり、素材の高分子材料の貧溶媒を含む浴が採用される。取扱いが容易なことから、貧溶媒としては水が好ましく、紡糸原液の溶剤として水溶性のものを採用して、この溶剤を含んだ水を凝固浴として用いることが好ましい。具体的には、素材ポリマーとしてポリスルホン−ポリビニルピロリドンを用いる場合、凝固浴として水または10質量%以下のジメチルアセトアミド水溶液が用いられる。
【0019】
本発明において、紡糸口金から紡糸原液と内部凝固液を同時に空中に吐出し、内表面からの凝固を開始させ、その後凝固浴に導入して、中空糸膜の外表面から凝固を開始する、いわゆる乾湿式紡糸法、凝固浴中に設置した紡糸口金から紡糸原液と内部凝固液を同時に凝固浴に吐出し、内表面と外表面の両面から同時に凝固を開始させる、通常の湿式紡糸法等任意の方法が採用される。中空糸膜内に形成される空孔の構造から、乾湿式紡糸法を用いることが好ましい。
【0020】
乾湿式紡糸法においては、同時に空中に吐出された紡糸原液と内部凝固液が凝固浴に導入されるまで、空中を走行し、この間が空走部と呼ばれる。この空走部の距離が長いと、自重による延伸が大きくなる。このため、空走部の距離は紡糸原液の粘度、吐出される環境等を考慮して、自重による延伸によってドラフト率が大きくならないように適宜設定する。具体的には、素材ポリマーとしてポリスルホン−ポリビニルピロリドンを用いる場合、空走部の距離は300〜1,150mmである。
【0021】
凝固した中空糸巻き取り速度の下限には制限がないが、本発明の効果を生かすために30m/分以上が好ましい。上限値は、紡糸原液の吐出圧力損失およびバラス効果の大きさを考慮して適宜設定する。すなわち、本発明では、ドラフト率が適切な範囲にあることが必要であり、巻き取り速度を上げるためには、紡糸原液の吐出線速度を上げなければならない。このため、紡糸原液の吐出圧力損失が大きくなり、紡糸の安定性が損なわれるとともに、バラス効果が大きくなり、本発明の目的に反してくる。したがって、用いられる紡糸原液の粘度、紡糸口金の温度の影響を受けるが、紡糸原液粘度の上記好適範囲では、巻き取り速度は120m/分以下が好ましい。
【0022】
上記のようにして、紡糸され、巻き取られた中空糸膜は公知の方法で後処理される。すなわち、水等により洗浄して溶剤及び過剰な添加物を除去し、必要に応じてグリセリン等を付与した後乾熱乾燥する。その他、洗浄および乾熱乾燥した後に巻き取ってもよい。
【0023】
本発明では、ポリスルホン−ポリビニルピロリドンから成る中空糸膜のように、親水性を付与するために親水性ポリマーをブレンドした中空糸膜の場合、中空糸内表面構造の破壊が抑えられることにより親水性ポリマーの内表面濃度が高まるという付随的な効果ももたらされる。すなわち、従来法のように、一旦形成された中空糸内表面構造が延伸のために破壊されると、表面に出現する紡糸原液と内部凝固液が接触して新たに内表面構造が形成されることになる。当然、親水性ポリマーは内部凝固液に拡散していくわけであり、後からの内表面構造の形成の時には紡糸原液中での親水性ポリマーの濃度が低下しており、形成される内表面での親水性ポリマーの濃度も低下していくものと推測される。
【0024】
以下に実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
本発明に用いられる測定法は以下の通りである。
(1)透過性能
乾燥させたポリスルホン中空糸膜100本からなるミニモジュール(有効長18cm)を組立成型し、膜間圧力差を200mmHgとしてストップ法にて透水量を測定する(単位は、ml/Hr/m2/mmHg)。
(2)中空糸膜の破断強度、破断伸度
オリエンテック社製引っ張り試験機テンシロンRTC−1210を用いて測定する。中空糸膜を破断するまで引っ張り、その時の強度を破断強度、伸び率を破断伸度とする。
【0025】
【実施例1】
ポリスルホン(BPアモコポリマーズ社製ユーデルP−1700)18質量部、ポリビニルピロリドン(アイエスピー社製プラスドンK−90)4.2質量部、ジメチルアセトアミド77.8質量部を10時間攪拌して紡糸原液とした。この紡糸原液の粘度は、50℃で2300mPa・sであった。
この紡糸原液を用い、50%ジメチルアセトアミド(DMAC)水溶液を内部凝固液とし、チューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径300μm、スリット幅50μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長2mm、L/D=6)より紡糸口金温度50℃で吐出して、50cm下方に設置した55℃の水中に浸漬し、ドラフト率1.10、巻き取り速度80m/分で巻き取った。その後、水洗乾燥して、内径198μm、膜厚49μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。この膜は、0.25N/fil以上の高い破断強度と60%以上の高い破断伸度を有する膜であった。
【0026】
【実施例2】
実施例1と同じ紡糸原液をチューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径300μm、スリット幅50μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長10mm、L/D=6)より40℃(40℃の粘度3100mPa・s)で吐出して、50cm下方に設置した55℃の水中に浸漬し、ドラフト率1.05、巻き取り速度80m/分で巻き取った。その後、水洗乾燥して、内径200μm、膜厚49μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。この膜は、0.25N/fil以上の高い破断強度と60%以上の高い破断伸度を有する膜であった。
【0027】
【実施例3】
実施例1と同じ紡糸原液をチューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径300μm、スリット幅50μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長0.5mm、L/D=6)より40℃で吐出して、50cm下方に設置した55℃の水中に浸漬し、ドラフト率1.10、巻き取り速度80m/分で巻き取った。その後、水洗乾燥して、内径198μm、膜厚51μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。この膜は、0.25N/fil以上の高い破断強度と60%以上の高い破断伸度を有する膜であった。
【0028】
【実施例4】
実施例1と同じ紡糸原液をチューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径300μm、スリット幅50μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長10mm、L/D=6)より40℃で吐出して、50cm下方に設置した55℃の水中に浸漬し、ドラフト率0.96、巻き取り速度80m/分で巻き取った。その後、水洗乾燥して、内径201μm、膜厚51μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。この膜は、0.25N/fil以上の高い破断強度と60%以上の高い破断伸度を有する膜であった。
【0029】
【実施例5】
実施例1と同じ紡糸原液をチューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径300μm、スリット幅50μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長2mm、L/D=6)より40℃で吐出して、50cm下方に設置した55℃の水中に浸漬し、ドラフト率1.28、巻き取り速度80m/分で巻き取った。その後、水洗乾燥して、内径197μm、膜厚46μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。この膜は、0.25N/fil以上の高い破断強度と60%以上の高い破断伸度を有する膜であった。
【0030】
【実施例6】
紡糸口金の紡糸原液吐出部の長さを100μm(すなわち、L/D=2)に変えた以外は、実施例1と同じ紡糸原液原液、同じ操作により中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。この膜は、0.25N/fil以上の高い破断強度を有するが、L/D=2と低いため破断伸度において実施例1より若干劣っていた。
【0031】
【実施例7】
アクリロニトリル92質量%、アクリル酸メチル6質量 %、アクリル酸1.5質量%、メタリルスルホン酸ソーダ0.5質量%からなる重合体を、水系懸濁重合で得た。この重合体を70%硝酸に溶解し、重合体濃度13%の紡糸原液を得た。この紡糸原液の粘度は、0℃で1,100mPa・sであった。
この原液を用い、20質量%のポリビニルピロリドン(アイエスピー社製プラスドンK−15)水溶液を内部凝固液とし、チューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径330μm、スリット幅45μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長2mm、L/D=6)より紡糸口金温度0℃で吐出し、空中走行の後、50℃の水中に浸漬し、ドラフト率1.15、巻き取り速度40m/分で巻き取った。水洗工程を経て、40質量%の グリセリン水溶液中で40℃×6時間浸漬した。その後、 40℃の真空乾燥機内で乾燥して、内径240μm、膜厚39μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表2に示す。この膜は、0.25N/fil以上の高い破断強度と60%以上の高い破断伸度を有する膜であった。
【0032】
【比較例1】
チューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径300μm、スリット幅50μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長0.0mm、L/D=6)を用いて、実施例1と同様に紡糸し、ドラフト率1.05、巻き取り速度80m/分で巻き取った。その後、水洗乾燥して、内径202μm、膜厚49μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。紡糸紡口の外管の吐出面から内管の吐出面が0.3mm未満であるので、この膜は、破断強度が0.25N/fil未満でさらに破断強度も60%未満であった。
【0033】
【比較例2】
チューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径340μm、スリット60μm、紡糸原液吐出部の長さ340μm、内管の突出長2mm、L/D=5.7)を用いて、実施例1と同様に紡糸し、ドラフト率2.30、巻き取り速度80m/分で巻き取った。その後、水洗乾燥して、内径193μm、膜厚48μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。ドラフト率が1.3を超えているので、この膜は、破断強度が0.25N/fil未満でさらに破断強度も60%未満であった。
【0034】
【比較例3】
チューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径300μm、スリット50μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長10mm、L/D=6)を用いて、実施例4と同様に紡糸し、ドラフト率0.92、巻き取り速度80m/分で巻き取った。その後、水洗乾燥して、内径199μm、膜厚52μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表1に示す。ドラフト率が0.95を下回っているので、この膜は、破断強度が0.25N/fil未満であった。
【0035】
【比較例4】
チューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径300μm、スリット50μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長23mm、L/D=6)を用いて、実施例1と同様に紡糸し、ドラフト率1.12、巻き取り速度80m/分で巻き取ったが、途中、糸切れが多く発生し、紡糸状態は不安定であった。得られた中空糸膜についても、断面の内径、膜厚が大きくばらついており、破壊強度、破壊伸度ともばらつきの大きいものとなった。内管の突出長が20mmを超えているため、紡糸状態が不安定となり、正常な中空糸膜を得ることができなかった。
【0036】
【比較例5】
チューブインオリフィス型紡糸口金(環状スリットの径400μm、スリット幅100μm、紡糸原液吐出部の長さ300μm、内管の突出長2mm、L/D=4)を用いて、実施例7と同じ紡糸原液を実施例7と同様に紡糸し、ドラフト率4.30、巻き取り速度40m/分で巻き取った。その後、水洗乾燥して、内径242μm、膜厚40μmの中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の破断強度、破断伸度の測定、透過性能の測定を行った。これらの結果を表2に示す。ドラフト率が1.3を超えているので、この膜は、破断強度が0.25N/fil未満でさらに破断強度も60%未満であった。
【表1】
Figure 2004305953
【0037】
【発明の効果】
本発明によると、チューブインオリフィス型紡糸口金の内管を紡糸口金の外管の吐出面から突出させることにより、バラス効果による紡糸原液の膨らみが減少した後に、紡糸原液と内部凝固液の接触を生じさせることができる。よって、バラス効果の影響が少なくなくなり、紡糸速度を高くしても十分な機械的特性、すなわち、高い破断強度と破断伸度を有する中空糸膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の中空糸膜の製造方法で用いる紡糸口金の形状を示す模式図である。
【符号の説明】
t:内管の突起長
L:紡糸原液吐出部の長さ
D:紡糸原液吐出のスリット幅

Claims (5)

  1. チューブインオリフィス型紡糸口金の内管より内部凝固液を、外管より紡糸原液を同時に吐出させて紡糸する中空糸膜の製造方法において、内管の吐出面が外管の吐出面から0.3〜20mm突出した紡糸口金を用い、0.95〜1.3のドラフト率で紡糸することを特徴とする膜の製造方法。
  2. 巻き取り速度を30m/分以上で紡糸することを特徴とする請求項1記載の中空糸膜の製造方法。
  3. 紡糸口金の温度における紡糸原液の粘度が、1,000〜3,500mPa・sであることを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜の製造方法。
  4. (紡糸口金の紡糸原液吐出部の長さ)/(紡糸口金の紡糸原液吐出のスリット幅)の値が3〜20であるチューブインオリフィス型紡糸口金を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸膜の製造方法。
  5. 紡糸原液がポリスルホンとポリビニルピロリドンの高分子溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸膜の製造方法。
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