JP2009136247A - 卵白様食品素材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】卵アレルギーを有する人でも摂取することが可能であるように、卵白を用いること無しに、しかも、天然の卵白の味覚や食感に極めて近似したテクスチャーや味覚を有する卵白様食品素材、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】水に懸濁したカードランを攪拌ゲル化した後、加温・攪拌して膨潤ゲル化する第1の工程;膨潤ゲル化したカードランに、乳化剤を添加し、該乳化剤の存在下に食用油脂を添加して攪拌する第2の工程;該食用油脂添加膨潤ゲル化カードランにアルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、攪拌する第3の工程;該混合物を脱気処理及び加熱処理を行なう第4の工程により、卵白様食品素材を製造する。本発明の卵白様食品素材の製造方法により、天然の卵白の味覚や食感に極めて近似したテクスチャーや味覚を有する卵白様食品素材を提供することができる
【選択図】なし

Description

本発明は、卵白様食品素材及びその製造方法、特に、カードランを用い、これに油脂、アルギン酸塩、遅効性カルシウムを混合、攪拌し、これを加熱凝固することにより、卵白を用いること無しに、天然の卵白に類似したテクスチャー及び味覚の卵白様食品素材及びその製造方法を提供することに関する。更に、該卵白様食品素材により、卵アレルギー患者でも摂取することができる卵白様食品素材を用いて調製した食品を提供することに関する。
近年、素材の調達、コスト的な狙い、或いは健康上の目的等、種々の狙いから、天然の食材に似た食感や味覚の人工的代用食品が製造され、市場に提供されている。しかしながら、このような人工的代用食品においては、一般的に人間の舌の感覚は鋭敏なため、一見同じように見える食品であっても、食感や味覚において、実物との相違が鋭敏に感じ取られ、したがって、完全に、実物の代替品として満足のいくものを製造し、提供することは、技術的な面で困難な要素を含んでいる。例えば、ゲル状食品として知られている食品の代用品の製造に際しても、一見同じように固まったように見えるゲルでも、その食感や味覚は複雑であり、口に入れるとゲル化剤の種類や加工方法の違いを鋭敏に感じ取り、それぞれ別なものとして感じることが多い。したがって、ある特定のゲルと近いテクスチャーや味覚のものを、別なゲル化剤で模倣して作り上げようとしても、複雑かつ繊細な技術が要求され、なかなか満足いくものが得られないというのが実情である。
ところで、鶏卵は、栄養価が高いことに加え、特有の食感や味覚と共に、さまざまな加工方法によってさまざまな物性を発揮し、食品にバラエティーを与えることができるため、古来より食品として、或いは、食品製造用素材として広く用いられている。しかし、一方で、鶏卵はアレルギーを起こす力が強いため、卵アレルギーを持つ人は卵製品を極力避けなくてはならず、上述した卵の優秀な食味や物性の恩恵を受けることが難しい。このような不都合を回避するために、ゆで卵の白身部分のような加熱凝固した卵白製品の代わりとして、豆乳や牛乳を寒天やゼラチンで固めたものを卵白代用品として提供しようとしても、これらは食感が大きく異なって感じられ、加熱凝固した卵白特有のおいしさは感じられない。
従来より、卵白とは異なる材料を用い、卵白特有の食味や物性を有する食品素材として製造し、卵白代用品として利用するために、卵白様素材を製造する試みがなされている。例えば、特開平7−284374号公報、特開2002−325564号公報には、ジェランガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、グアーガム、寒天、ゼラチンのような冷却凝固材と、大豆油、菜種油、米油などのサラダ油、或いはパーム油などの油脂と、カゼインナトリウム、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤とを、水中油型の状態で凝固して、酸性条件下でも、食感におけるゴム質化や色調における褐変現象を生じない卵白様凝固物を調製する方法が開示されている。
また、特開2004−147536号公報には、乳清タンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質、ミオシンタンパク質、コラーゲン、血漿タンパク質のような熱凝固性タンパク質と、コーンスターチ、甘藷デンプン、馬鈴薯デンプン、タピオカデンプンのようなデンプンを用いることにより、冷凍後解凍しても離水を生じたり、スポンジ状とならないゆで卵の卵白のような凝固卵白様組成物を製造することについて開示されている。しかし、これらの卵白様凝固物や卵白様組成物は、それぞれの目的に応じて調製されているものではあるが、一見卵白様の物性を示すものであっても、卵白様素材そのものの味覚や食感は、本来の卵白を代用するものとして必ずしも満足のいくものではない。
更に、特開平11−123066号公報には、カードラン、デンプン、及び、デキストリン、マルトデキストリン、水あめ等のデンプン分解物を混和した、脂肪含有食品に近い食感をもった脂肪低減食品が開示されている。しかしながら、該脂肪低減食品は、卵白とは味覚や食感において相違するものであり、卵白を代用する卵白様食品素材とはいえないものであった。
特開平7−284374号公報。 特開平11−123066号公報。 特開2002−325564号公報。 特開2004−147536号公報。
本発明の課題は、卵アレルギーを有する人でも摂取することが可能であるように、卵白を用いること無しに、しかも、天然の卵白の味覚や食感に極めて近似したテクスチャーや味覚を有する卵白様食品素材、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、卵白以外の食品素材を用い、種々の処理手段を用いて、鋭意検討する中で、カードランを攪拌ゲル化した膨潤ゲルに乳化剤の存在下に食用油脂を添加して攪拌し、更に、アルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、攪拌した後、脱気処理及び加熱処理を行なうことにより、天然の卵白の味覚や食感に極めて近似したテクスチャーや味覚を有する卵白様食品素材を得ることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水に懸濁したカードランを攪拌ゲル化した後、加温・攪拌して膨潤ゲル化する第1の工程;膨潤ゲル化したカードランに、乳化剤を添加し、該乳化剤の存在下に食用油脂を添加して攪拌する第2の工程;該食用油脂添加膨潤ゲル化カードランにアルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、攪拌する第3の工程;該混合物を脱気処理及び加熱処理を行なう第4の工程、からなることを特徴とする卵白様食品素材の製造方法からなる。
本発明において、第1の工程は、0℃〜50℃水にカードランを懸濁し、攪拌ゲル化した後、熱水を加えて品温を50℃以上に上げ、カードランを膨潤ゲル化することにより行なうことができる。本発明において、第2の工程は、乳化剤の存在下に食用油脂を添加して、0℃〜35℃の温度で、1〜10分間攪拌することにより行うことができる。また、本発明において、第2の工程は、乳化剤の存在下に食用油脂として米油又はサラダ油を添加して、攪拌することにより行うことができる。更に、本発明において、第2の工程は、乳化剤の存在下に食用油脂に、更に、キサンタンガム及び/又はワキシースターチを添加して、攪拌することにより行うことができる。
本発明において、第3の工程は、アルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、5〜50秒間攪拌し、均一に分散させることにより行なうことができる。本発明における第3の工程において、アルギン酸塩として、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、及び、アルギン酸アンモニウムから選択されるアルギン酸塩を用いることができる。また、本発明において、第3の工程において用いる遅効性を有するカルシウム塩としては、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、及び、グリセロリン酸カルシウムから選択される水難溶性カルシウム塩を用いることができる。更に、該遅効性を有するカルシウム塩として、油脂コーティングした乳酸カルシウム又は硫酸カルシウムのような、カルシウム塩を油脂コーティングしたものを用いることができる。
本発明における第4の工程においては脱気処理を行ない、卵白と近似した外観及び物性のゲル状物を調製する。該脱気処理は、真空ポンプを繋いだ密閉容器を用いて行なうことが望ましい。更に、本発明における第4の工程においては、脱気処理後、加熱処理を行なう。該加熱処理は、80〜97℃の温度で、3〜90分間行なわれる。本発明においては、該第1〜4の工程を組み合わせることにより、天然の卵白の味覚や食感に極めて近似したテクスチャーや味覚を有する卵白様食品素材を得ることができる。
すなわち具体的には本発明は、(1)水に懸濁したカードランを攪拌ゲル化した後、加温・攪拌して膨潤ゲル化する第1の工程;膨潤ゲル化したカードランに、乳化剤を添加し、該乳化剤の存在下に食用油脂を添加して攪拌する第2の工程;該食用油脂添加膨潤ゲル化カードランにアルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、攪拌する第3の工程;該混合物を脱気処理及び加熱処理を行なう第4の工程、からなることを特徴とする卵白様食品素材の製造方法や、(2)第1の工程を、0℃〜50℃水にカードランを懸濁し、攪拌ゲル化した後、熱水を加えて品温を50℃以上に上げ、カードランを膨潤ゲル化することにより行なうことを特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法や、(3)第2の工程を、乳化剤の存在下に食用油脂を添加して、0℃〜35℃の温度、1〜10分間攪拌することにより行うことを特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法からなる。
また本発明は、(4)第2の工程を、乳化剤の存在下に食用油脂として米油又はサラダ油を添加して、攪拌することにより行うことを特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法や、(5)第2の工程を、乳化剤の存在下に食用油脂に、更に、キサンタンガム及び/又はワキシースターチを添加して、攪拌することにより行うことを特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法や、(6)第3の工程を、アルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、5〜50秒間攪拌し、均一に分散させることにより行なうことを特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法や、(7)第3の工程において、アルギン酸塩として、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、及び、アルギン酸アンモニウムから選択されるアルギン酸塩を用いることを特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法や、(8)遅効性を有するカルシウム塩が、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、及び、グリセロリン酸カルシウムから選択される水難溶性カルシウム塩であることを特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法からなる。
さらに本発明は、(9)遅効性を有するカルシウム塩が、カルシウム塩を油脂コーティングしたものである事を特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法や、(10)油脂コーティングしたカルシウム塩が、油脂コーティングした乳酸カルシウム又は硫酸カルシウムであることを特徴とする上記(9)記載の卵白様食品素材の製造方法や、(11)第4の工程における脱気処理を、真空ポンプを繋いだ密閉容器を用いて行なうことを特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法や、(12)第4の工程における加熱処理を、80〜97℃の温度で、3〜90分間行うことを特徴とする上記(1)記載の卵白様食品素材の製造方法や、(13)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の製造方法によって製造された卵白成分を含有しない、卵白の味覚や食感に近似したテクスチャーや味覚を有する卵白様食品素材からなる。
鶏卵は、栄養価が高いことに加え、特有の食感や味覚と共に、さまざまな加工方法によってさまざまな物性を発揮し、食品にバラエティーを与えることができるため、古来より食品として、或いは、食品製造用素材として広く用いられている。しかし、一方で、鶏卵はアレルギー起こす力が強いため、卵アレルギーを持つ人は卵製品を極力避けなくてはならず、上述した卵の優秀な食味や物性の恩恵を受けることが難しい。本発明は、このような不都合を回避し、卵アレルギーを有する人でも摂取することが可能であるように、卵白を用いること無しに、しかも、天然の卵白の味覚や食感に極めて近似したテクスチャーや味覚を有する卵白様食品素材を提供することを可能とする。本発明の卵白様食品素材を用いることにより、卵アレルギー患者でも摂取することができ、しかも、本来の卵白の味覚や食感を具備した、卵白様食品素材を用いて調製した食品を提供することができる。
本発明は、水に懸濁したカードランを攪拌ゲル化した後、加温・攪拌して膨潤ゲル化する第1の工程;膨潤ゲル化したカードランに、乳化剤を添加し、該乳化剤の存在下に食用油脂を添加して攪拌する第2の工程;該食用油脂添加膨潤ゲル化カードランにアルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、攪拌する第3の工程;該混合物を脱気処理及び加熱処理を行なう第4の工程、よりなる卵白様食品素材の製造方法からなる。
カードランは、微生物、例えば、アルカリゲネス属又はアグロバクテリウム属の微生物によって生産されるβ−1,3−グルコシド結合を主体とする多糖類であり、加熱凝固性を有する。カードランとして、具体的には、アルカリゲネス・フェカリス・バール・ミクソゲネス菌株10C3Kにより生産されるカードラン(アグリカルチュラル・バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural Biological Chemistry) Vol. 30, p. 196 (1966)),アルカリゲネス・フェカリス・バール・ミクソゲネス菌株10C3Kの変異株NTK−u(IFO13140)により生産されるカードラン(特公昭48−32673号公報)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(IFO13127)及びその変異株U−19(IFO13126)により生産される多糖類(特公昭48−32674号公報)が挙げられる。また、カードランは和光純薬工業株式会社、キリンフードテック株式会社等から販売されている。
本発明の第2の工程は、乳化剤の存在下に食用油脂を添加して攪拌することにより行われるが、かかる食用油脂としては、通常、食用油脂として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、米油、サラダ油、大豆油、落花生油、綿実油、菜種油、コーン油、サフラワー油、ツバキ油等の常温で液状の食用油脂類を用いることができる。特に、望ましくは米油やサラダ油のように、癖の少ない風味のものを使用することが望ましい。また、本発明の第2の工程において使用する乳化剤としては、通常、食品用に用いられるものであれば、特に限定されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の食用乳化剤を挙げることができる。特に、望ましい乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステルを挙げることができ、市販乳化剤として、「ポエム−J0381V」(理研ビタミン株式会社)を挙げることができる。
本発明の第3の工程は、食用油脂添加膨潤ゲル化カードランにアルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、攪拌することにより行われるが、該第3の工程において用いられるアルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、又は、アルギン酸アンモニウム等を挙げることができる。また、第3の工程において用いられるカルシウム塩は、アルギン酸及びカードランの凝固を起こすために用いられるが、混合直後に固まることを防ぐために、遅効性を有するカルシウム塩が用いられる。かかる遅効性を有するカルシウム塩としては、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、又は、グリセロリン酸カルシウムのような水難溶性カルシウム塩を挙げることができる。特に望ましい遅効性を有するカルシウム塩としては、カルシウム塩を油脂コーティングしたものを挙げることができ、例えば、油脂コーティングした乳酸カルシウム又は硫酸カルシウムを挙げることができる。
本発明の第1の工程は、0℃〜50℃水にカードランを懸濁し、攪拌ゲル化した後、熱水を加えて品温を50℃以上に上げ、カードランを膨潤ゲル化することにより行なわれる。第1の工程において、使用する水は0℃〜50℃程度のものが使用できるが、望ましくは4℃〜30℃の水がよい。カードランは熱凝固性であるため、例えば50℃以上の温度の水を使用すると攪拌時の摩擦による温度上昇の程度によっては不可逆な凝固が起こり、その後の油脂やアルギン酸塩などの原料との混合が起こりにくくなるだけでなく、本発明の目的である卵白様の物性の発揮が不十分となる可能性があるので注意する。膨潤したゲルに熱水を加えて品温を約50℃に上げ、更に攪拌する。これにより試料中の未膨潤な部分を少なくすることができ、より強固なゲルを得ることができる。
本発明の第1の工程においては、カードラン粉末を水に懸濁し、ゲルを得るために攪拌を行なう。カードラン粉末を水に懸濁すれば時間とともに膨潤が起きて柔らかいゲルが得られるが、この反応を促進するために攪拌機が用いられる。該攪拌機としては、家庭用のミキサーでも充分な膨潤状態は得られるが、工業的にはカッターミキサーのような高速攪拌機や、ホモジナイザーを利用する。これらの高速攪拌機等を用いた場合、攪拌処理の時間は、約30秒程度で充分である。
本発明の第2の工程は、乳化剤の存在下に食用油脂を添加して、0℃〜35℃の温度、1〜10分間攪拌することにより行なわれる。第1の工程において、品温を約50℃に上げ膨潤したゲルは、第2の工程において、攪拌しながら氷を加えて品温を35℃以下に、望ましくは30℃以下に下げ、乳化剤を加えてカッターミキサー等で約4分間攪拌する。本発明の第2の工程においては、食用油脂と共に、キサンタンガム又はワキシースターチを加えて、更にカッターミキサー等で約5分間攪拌することにより行うことができる。キサンタンガムの代わりにグアガムを用いることもできる。油脂としては常温で液状のものであれば問題なく使用できるが、望ましくは米油やサラダ油のように、癖の少ない風味のものの使用が望ましい。
本発明の第3の工程は、アルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、5〜50秒間攪拌し、均一に分散させることにより行なうことができる。第3の工程の攪拌は、アルギン酸塩と遅効性カルシウム塩を加え軽く攪拌することにより行なう。アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムを用いることができる。遅効性カルシウム塩としては水溶性の低い、いわゆる水難溶性カルシウム塩を用いることができるが、水溶性のカルシウム塩を油脂コーティング又はカプセル化したものを用いることができる。特に、好ましい水難溶性カルシウムの例として、硫酸カルシウムを挙げることができる。
本発明の第4の工程においては、第3の工程において得られた混合物に対して、脱気処理及び加熱処理を行なう。第1〜3の工程における、ゲル調製工程において、該ゲル調製にともなう攪拌によって空気が小さな泡となって含まれることになるが、このまま加熱固化するといわゆるゆで卵の白身部分のような卵白とは異なった外観や物性となる。そのため、卵の白身に似た食感を得るために、脱気処理を行なう。脱気操作は、真空ポンプをつないだ密閉容器で行うのが好ましい。また、真空シーラーでも脱気は可能である。脱気後に成形用容器に移し、加熱工程に移す。また、袋状の容器に一旦ゲルを移した後に任意の形状にして加熱処理することもできる。
本発明の第4の工程における加熱処理は、処理温度は80〜97℃で行われる。望ましくは90〜95℃に設定する。処理時間は3〜90分で良いが、望ましくは10〜30分間加熱する。冷却後、袋から取り出し、用途に応じ切断などの加工を行う。本発明によって得られる卵白様食品素材は、天然の卵白の味覚や食感に極めて近似したテクスチャーや味覚を有し、しかも、卵白を用いていないので、卵アレルギー患者でも摂取することができる。本発明の卵白様食品素材を用いて、本来の卵白の味覚や食感を具備した食品を提供することができ、かかる卵白様食品素材の使用例として、サラダや惣菜のトッピングとしての使用や、或いは、ピザの具としての使用を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(配合成分及び配合割合)
本発明の卵白様食品素材の製造における実施例において、配合成分及び配合割合として、表1に示す配合成分及び配合割合を用いた。
Figure 2009136247
(卵白様食品素材の調製)
約20℃の水150mlにカードラン18gを添加してカッターミキサーを用い約30秒間攪拌し、これに75℃の熱水200mlを加えて品温を約50℃にあげ更に攪拌した。その後攪拌しながら氷を355g加えて約35℃に品温を下げ、グリセリン脂肪酸エステル3gを加えて約4分間攪拌した。これに米油250gとキサンタンガム4gを加えてさらに約5分間攪拌した。次にアルギン酸ナトリウム10gと硫酸カルシウム10gを加え30秒間攪拌した。これを真空シーラーで充填・成型し、95℃で30分加熱して固めた。冷却後、袋から取り出した。
(評価)
上記調製例で調製した卵白様食品素材は、ゆで卵の白身部分のような固さとと歯切れ良さ、癖の少ない風味を持っていた。一方、第1工程でカードラン以外のゲル化剤を用いると、食感がゆで卵の白身とは異なったものとなった。第2工程で、油脂として米油やサラダ油以外のものを用いると、食感は同等のものが得られるが、風味がゆで卵の白身とは違ったものとなった。またアルギン酸やキサンタンガムやワキシースターチを使用しないと、固まりはするものの食感がゆで卵の白身とは異なったものとなった。更に、第3の工程で、遅効性のカルシウムではなく塩化カルシウムのような水溶性の高いカルシウム塩を用いると混合中に固化が起こるため、アルギン酸ゲルを攪拌で破壊してしまうことになり、その後の加熱処理でカードランが加熱ゲルを形成しても、固さが不足した。さらに、第4の工程で脱気処理が不十分なまま加熱処理すると気泡を含んだままで固まるため、ゆで卵の白身とは違った食感であった。

Claims (13)

  1. 水に懸濁したカードランを攪拌ゲル化した後、加温・攪拌して膨潤ゲル化する第1の工程;膨潤ゲル化したカードランに、乳化剤を添加し、該乳化剤の存在下に食用油脂を添加して攪拌する第2の工程;該食用油脂添加膨潤ゲル化カードランにアルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、攪拌する第3の工程;該混合物を脱気処理及び加熱処理を行なう第4の工程、からなることを特徴とする卵白様食品素材の製造方法。
  2. 第1の工程を、0℃〜50℃水にカードランを懸濁し、攪拌ゲル化した後、熱水を加えて品温を50℃以上に上げ、カードランを膨潤ゲル化することにより行なうことを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  3. 第2の工程を、乳化剤の存在下に食用油脂を添加して、0℃〜35℃の温度、1〜10分間攪拌することにより行うことを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  4. 第2の工程を、乳化剤の存在下に食用油脂として米油又はサラダ油を添加して、攪拌することにより行うことを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  5. 第2の工程を、乳化剤の存在下に食用油脂に、更に、キサンタンガム及び/又はワキシースターチを添加して、攪拌することにより行うことを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  6. 第3の工程を、アルギン酸塩及び遅効性を有するカルシウム塩を添加し、5〜50秒間攪拌し、均一に分散させることにより行なうことを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  7. 第3の工程において、アルギン酸塩として、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、及び、アルギン酸アンモニウムから選択されるアルギン酸塩を用いることを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  8. 遅効性を有するカルシウム塩が、硫酸カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、及び、グリセロリン酸カルシウムから選択される水難溶性カルシウム塩であることを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  9. 遅効性を有するカルシウム塩が、カルシウム塩を油脂コーティングしたものであることを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  10. 油脂コーティングしたカルシウム塩が、油脂コーティングした乳酸カルシウム又は硫酸カルシウムであることを特徴とする請求項9記載の卵白様食品素材の製造方法。
  11. 第4の工程における脱気処理を、真空ポンプを繋いだ密閉容器を用いて行なうことを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  12. 第4の工程における加熱処理を、80〜97℃の温度で、3〜90分間行うことを特徴とする請求項1記載の卵白様食品素材の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法によって製造された卵白成分を含有しない、卵白の味覚や食感に近似したテクスチャーや味覚を有する卵白様食品素材。
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