JP2023177057A - 肉様食品素材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】肉に近い食感を有する、こんにゃくを原料とする肉様食品素材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
凝固した第1のこんにゃく部1と、前記第1のこんにゃく部よりも柔らかい、凝固した又は未凝固の第2のこんにゃく部2とが、前記第2のこんにゃく部の中に前記第1のこんにゃく部が分散した状態、あるいは前記第1のこんにゃく部の中に前記第2のこんにゃく部が分散した状態で、かつ、第2のこんにゃく部から第1のこんにゃく部に向けて次第に硬くなる境界層を介して接合している肉様食品素材を使用することで、二種類以上の硬さの異なる部分から構成される畜肉の様な食感を持つ食品の原料を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、こんにゃくを原料とする、肉様の食感を有する肉様食品素材及びその製造方法に関する。
牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類は、独特の食感と、風味とにより、多くの人々に好まれている食品素材であるが、動物性脂肪を含み、カロリーも比較的多いという問題があるため、健康志向の観点から、植物原料を主体とした肉代替食品の開発が望まれていた。また、先天性代謝異常疾患、あるいは糖尿病合併症による腎臓疾患などの理由により、タンパク質の摂取を制限されている人々においても、肉代替食品の開発が望まれていた。
このような要望に応える技術として、下記特許文献1には、(1)長さが30μm~300μmの不溶性食物繊維と、(2)こんにゃく精粉を含有し、(2)に対する(1)の重量比が0.3~3であり、水、塩基を加え、熱水中でゲル化したものを、不溶性食物繊維、こんにゃく精粉及びこんにゃく精粉以外の増粘性多糖類を含有するペーストで包み、これに塩基を加え、熱水中でゲル化させることを特徴とする、ヘテロ感を有する低タンパク肉様食品の製造法が記載されている。また、上記において、第2の熱水中でゲル化後、冷凍解凍し離水させることが記載されている。
また、こんにゃくの均質な食感や、調味しても味の染み具合が悪いという欠点を改善するため、下記特許文献2には、こんにゃく粉又はこんにゃく芋磨砕物に水を添加して混練し、凝固剤を添加して混練し、型内に注入し、加熱してゲル化させ、次いで型から取り出してシート状、紐状、粒状、団子状等の形状に成型するか、又は凝固剤を添加した後にシート状、紐状、粒状、団子状等の形状に成型しながら加熱してゲル化させることにより基材こんにゃくを調製する工程と、該基材こんにゃくとは水分量が異なるようにこんにゃく粉又はこんにゃく芋磨砕物に水を添加して混練し、凝固剤を添加して混練し、上記の成型された基材こんにゃくと混合し、該混合物を型内に導入し、加熱することによりこんにゃく芋含有後添加物をゲル化させて充填こんにゃくを調製する工程とを備えていることを特徴とする、不均質こんにゃくの製法が記載されている。
特許第5565612号公報 特開2002-95434号公報
肉の食感や歯ごたえの本質は、肉自身の構造から生まれるものである。すなわち、肉の構造の特徴は、筋原線維や結合組織からなる二重構造である。その構造は、硬さに注目すると不均一である。すなわち、本来の肉質の部分(加熱すると固まり歯ごたえが出てくる部分)とその周りを取り巻くように柔らかな脂身の多い部分との三次元構造になっている。部分によって本来の肉質の部分のみでできている場合と、わずかな脂身の多い部分になる場合もある。いずれにしても、噛み初めでは、柔らかい部分が変形して柔らかく感じ、また、噛みきる時は、硬い部分が抵抗を示すので、硬く感じられる。
上記特許文献1に記載された低タンパク肉様食品の製造法では、こんにゃくに不溶性食物繊維を含有させたり、冷凍し、解凍して離水させたりして、肉様の食感を付与している。しかし、こんにゃくに不溶性食物繊維を含有させたり、冷凍し、解凍し離水させたりして得られるものは、実際の肉の組織に見られるような不均一性は得られないことから、肉様の食感として未だ不十分であった。
また、前記特許文献2に記載された不均質こんにゃくの製法では、予めシート状、紐状、粒状、団子状等の形状に成型してゲル化した基材こんにゃくを、、該基材こんにゃくとは水分量が異なるようにこんにゃく粉又はこんにゃく芋磨砕物に水を添加して混練し、凝固剤を添加して混練した充填こんにゃくと混合して製造しているので、基材こんにゃくと充填こんにゃくとの境界がはっきりしていて、肉様の食感としては違和感があった。
したがって、本発明の目的は、より肉に近い食感を有する、こんにゃくを原料とする肉様食品素材及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の肉様食品素材は、凝固した第1のこんにゃく部と、前記第1のこんにゃく部よりも柔らかい、凝固した又は未凝固の第2のこんにゃく部とが、前記第2のこんにゃく部の中に前記第1のこんにゃく部が分散した状態、あるいは前記第1のこんにゃく部の中に前記第2のこんにゃく部が分散した状態で、かつ、第2のこんにゃく部から第1のこんにゃく部に向けて次第に硬くなる境界層を介して接合していることを特徴とする。
なお、本発明において、「こんにゃく部」とは、物性等が異なる塊どうしが接合されてできた構造における、それぞれの塊の部分を表す言葉として使用しており、塊状のものや、層状のものを含む意味である。
本発明の肉様食品素材においては、前記第1のこんにゃく部の中心部の貫入抵抗が0.4N以上5N未満であり、前記第2のこんにゃく部の前記第1のこんにゃく部から最も離れた部分は、貫入抵抗が0.4N未満であることが好ましい。
本発明の肉様食品素材の好ましい態様においては、前記第2のこんにゃく部の中に前記第1のこんにゃく部が分散した状態をなし、前記第1のこんにゃく部の最大径が、0.6~2cmの範囲にある。
本発明の肉様食品素材の別の好ましい態様においては、第1のこんにゃく部の中に第2のこんにゃく部が分散した状態をなし、第2のこんにゃく部の連続した部分の長さが、0.1~4cmの範囲にある。
また、本発明の肉様食品素材は、容器に充填され、加熱処理されていることが好ましい。
一方、本発明の肉様食品素材の製造方法は、こんにゃく粉と、粒状をなすアルカリ性の凝固剤と、水とを含有し、こんにゃく粉が膨潤した混合物を作成する工程と、前記混合物を容器に充填して、熱処理を行う工程とを含み、
前記アルカリ性の凝固剤が存在した部分を中心に強く凝固して硬くなった第1のこんにゃく部と、前記アルカリ性の凝固剤が存在した部分から離れた部分において、凝固が弱い状態又は未凝固の状態で形成された第2のこんにゃく部とを形成することを特徴とする。
本発明の肉様食品素材の製造法においては、前記アルカリ性の凝固剤は、粒子径4.7メッシュパス、30メッシュオンのものが80質量%以上含まれるものであることが好ましい。
また、本発明の肉様食品素材の製造法においては、前記こんにゃく粉100質量部に対して、前記アルカリ性の凝固剤2~6質量部、前記水2500~5000質量部を添加して、前記混合物を形成することが好ましい。
また、本発明の肉様食品素材の製造法においては、アルカリ性の凝固剤として、殻カルシウムを用いることが好ましい。
本発明の肉様食品素材によれば、食感が比較的硬い第1のこんにゃく部と、比較的柔らかい第2のこんにゃく部とが混在すると共に、第2のこんやく層から第1のこんにゃく部へ至る硬さが次第に変化した食感となるので、ゼラチン質様の柔らかい部分の中に弾力のある部分がある、肉に近い食感が得られる。また、この肉様食品素材は、調味液等を付与して加熱調理することによって、調味液等が浸透するので、肉風味を付与することもできる。
本発明の肉様食品素材の製造方法によれば、粒状をなすアルカリ性の凝固剤が、混合物中で次第に溶けて、膨潤した混合物を凝固させる。その際に、アルカリ性の凝固剤が存在した部分を中心に強く凝固して硬くなった第1のこんにゃく部と、アルカリ性の凝固剤が存在した部分から離れた部分において、凝固が弱められて形成された第2のこんにゃく部とが形成され、第2のこんにゃく部から第1のこんにゃく部へ至る硬さが次第に変化した食感となるので、上記のような肉様の食感を有する素材を得ることができる。
凝固剤として、貝殻焼成カルシウムを用いた場合と、水酸化カルシウムを用いた場合とのそれぞれについて、こんにゃくの凝固後のpHと破断強度との関係を示す図表である。 実施例1で得られた肉様食品素材を示す写真である。 実施例2で得られた肉様食品素材を示す写真である。 実施例3で得られた肉様食品素材を示す写真である。 実施例4で得られた肉様食品素材を示す写真である。 実施例6で得られた肉様食品素材を示す写真である。
本発明の肉様食品素材は、こんにゃくを主原料とする素材からなり、肉様の食感を有するものである。一般にこんにゃくは、こんにゃく原料に水を加えて膨潤させたこんにゃくのりを、アルカリ性の凝固剤により凝固させて作られている。本発明では、粒状をなすアルカリ性の凝固剤を用いることによって、アルカリ性の凝固剤が存在した部分を中心に凝固して硬くなった第1のこんにゃく部と、アルカリ性の凝固剤が存在した部分から離れた部分において、第1のこんにゃく部よりも凝固が弱い状態又は未凝固の状態で形成された第2のこんにゃく部とを形成することにより、食感の変化をもたらし、肉様の食感を実現したものである。以下、本発明について、その構成要件毎に説明する。
[こんにゃく原料]
こんにゃく原料には、下記のものがある。
(1)「こんにゃく芋」
(2)「荒粉」:こんにゃく芋の皮を取り除き、薄くスライスして乾燥させ粉状にしたもの
(3)「精粉」:「荒粉」をさらに細粉しながら比重の軽い部分を取り除いたもの
(4)「精製したこんにゃく粉」:「精粉」をアルコール等で精製したもの
工業的にこんにゃくを製造する場合の主流は、「(3)の精粉」である。また、これを「こんにゃく粉」とも呼ぶ。「(4)精製したこんにゃく粉」は、お菓子等匂いが気になるものの原料として使われている。また、「(1)こんにゃく芋」を磨り潰したものは、手作りこんにゃく等で使われている。
本発明において、こんにゃく原料としては、特に限定されず、(3)一般的なこんにゃく粉や、(4)精製したこんにゃく粉や、(1)こんにゃく芋を磨り潰したものを使用することができる。このうち、特に(4)精製したこんにゃく粉が好ましく用いられる。精製したこんにゃく粉としては、例えば「スーパーマンナン」(商品名、株式会社荻野商店製)などが知られており、本発明では、このような市販の精製したこんにゃく粉を用いることもできる。精製したこんにゃく粉は、生産ロットにより不純物の量が変動することが少ないので、安定した品質の肉様食品素材を製造できる。
[アルカリ性の凝固剤]
本発明において、アルカリ性の凝固剤としては、粒子径を制御できるものであれば特に限定されないが、貝殻焼成カルシウム、卵殻焼成カルシウムなどの殻カルシウムが好ましく用いられ、貝殻を1000℃以上で焼成して得られ、酸化カルシウム分が91%以上とされた貝殻焼成カルシウムが、特に好ましく用いられる。
殻カルシウムは、比較的粒径の大きなものを調製しやすく、こんにゃくのり中に混合したときに、徐々に溶解する傾向があるので、凝固剤が存在した部分を中心に凝固して硬くなった第1のこんにゃく部と、凝固剤が存在した部分から離れた部分において、第1のこんにゃく部よりも凝固が弱い状態又は未凝固の状態で形成された第2のこんにゃく部とを作りやすくすることができる。
また、後述する予備試験結果に示されるように、貝殻焼成カルシウムは、同じpHで比較した場合、水酸化カルシウムを用いた場合よりも、破断強度が大きいこんにゃくが得られるので、凝固剤として特に好ましく用いられる。
なお、本発明では、粒子径を制御できる条件を満たしていれば、例えば、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウムなどの他のアルカリ性の凝固剤を用いることもできる。また、ドロマイトや焼成ドロマイトのように複数のアルカリ性の凝固成分を含む凝固剤を用いることもできる。
前述したように、硬さの異なる第1のこんにゃく部と第2のこんにゃく部とを形成するためには、こんにゃくのりのゲル化の過程で、凝固剤が一度に溶解してしまわないように、その溶解性を一定時間制御する必要がある。そのためには、こんにゃくのり中に混合したとき、凝固剤の塊が所定時間溶け残るような粒径に調整する必要がある。このような観点から、本発明で用いる凝固剤の粒径は、4.7メッシュパス、30メッシュオンのものが80質量%以上含まれることが好ましく、5.5メッシュパス、18メッシュオンのものが80質量%以上含まれることがより好ましく、5.5メッシュパス、12メッシュオンのものが80質量%以上含まれることが最も好ましい。なお、本発明におけるメッシュサイズは、JIS規格によるメッシュサイズを意味する。
粒子径が30メッシュパスのものが多くなって、4.7メッシュパス、30メッシュオンのものが80質量%未満になる場合は、凝固剤が早期に溶解しやすくなって、pHが均一になってしまい、二種類以上の硬さの異なる部分を形成しにくくなる。また、粒子径が4.7メッシュオンのものが多くなって、4.7メッシュパス、30メッシュオンのものが80質量%未満になる場合は、混合物を形成する工程や、熱処理工程を経ても、凝固剤が完全に溶解せず、粒子状の残りが発生し、舌触りが悪くなる傾向がある。
上記のように粒度調整された凝固剤は、例えば、焼成した貝殻、あるいは焼成した卵殻などのアルカリ原料を適度な粒度になるように破砕して、目開きサイズの異なる複数の篩を用いて、大きい目開きサイズの篩から順次篩分けすることによって調製することができる。
[こんにゃく原料が膨潤した混合物を作成する工程]
本発明の肉様食品素材の製造に際しては、まず、こんにゃく原料と、粒状をなすアルカリ性の凝固剤と、水とを含有し、こんにゃく原料が膨潤した混合物を作成する。
こんにゃく原料としてこんにゃく粉を用いた場合、凝固剤の量は、こんにゃく粉100質量部に対し、1.5~6質量部が好ましく、2~4質量部がより好ましい。凝固剤の量が、こんにゃく粉100質量部に対し、1.5質量部未満では、こんにゃくを十分に凝固させにくくなり、6質量部を超えると、凝固は生じるが、凝固に使用されなかったアルカリ分が苦味として残るため、肉様食品素材として適さなくなる傾向がある。
水の量は、こんにゃく粉に対する重量比で20~50倍が好ましく、30~40倍がより好ましく、34~38倍が最も好ましい。水の量がこんにゃく粉に対する重量比で、20倍未満であると、膨潤後、水が不十分となり、凝固ができず、硬い塊になり、肉様食品素材には適さなくなる傾向がる。また、水の量がこんにゃく粉に対する重量比で50倍を超えると、こんにゃく粉の濃度が相対的に薄くなり、十分な弾力を得ることができず、肉様食品素材には適さなくなる傾向がある。
本発明の好ましい態様では、上記原料を混合した後、所定時間静置して、こんにゃく原料を膨潤させる。この場合、こんにゃく原料を膨潤させるために静置する時間は、0.5時間以上2時間以下が好ましく、0.75時間以上1.5時間以下がより好ましく、1時間前後最も好ましい。静置する時間が、0.5時間未満では、こんにゃく原料が水と十分に反応せず、凝固反応が十分に生じない傾向がある。また、静置する時間が2時間を超えても、膨潤する効果は向上しない傾向がある。
なお、凝固剤は、こんにゃく原料と水とを混合する際に最初から添加してもよいが、こんにゃく原料と水とを混合し、こんにゃく原料を膨潤させてから添加してもよい。また、こんにゃく原料と水とを混合する際に、凝固に不十分な量の凝固剤を添加し、こんにゃく原料を膨潤後、更に凝固剤を追加して、凝固に充分な凝固剤の量を加えてもよい。この場合、凝固剤を水などの液体と一緒に混合してもよい。
[熱処理工程]
こんにゃく原料が膨潤した混合物は、容器に充填して熱処理を行う。容器としては、開放した容器であってもよく、密封可能な容器であってもよいが、好ましくは耐熱性を有する密封容器、より好ましくは密封することのできるプラスチック製の袋状の容器が用いられる。こんにゃく原料が膨潤した混合物を容器に充填して密封し、その状態で加熱処理することによって、保存性を高めることができ、常温流通可能な製品とすることもできる。
熱処理は、例えば、湯中浸漬などの方法や、レトルト食品用の高圧高温殺菌機を用いる方法などが、好ましく採用される。熱処理条件は、40℃以上121℃以下で、0.02時間(1.2分)以上16時間以下が好ましく、60℃以上100℃以下で、0.5時間以上4時間以下がより好ましく、80℃以上100℃以下で、1時間以上2時間以下がより好ましい。ただし、40℃以下であっても凝固は生じるが、18時間以上必要であり、工業的には生産性が著しく損なわれる。また、121℃以上の加熱が可能な機器は、殺菌を目的とした場合には適しているが、殺菌が必要ない条件では、工業的にコストが大きくなる。また、熱処理時間が0.02時間(1.2分)未満では、均等に熱が作用しにくいので、安定的な工業的生産には向いていない。また、16時間を超える熱処理では、工業的には生産性が著しく損なわれる。
こうして容器に密封して熱処理した後、必要に応じて、容器を開封し、鍋などの容器に移し、ボイル加工を行ってもよい。ボイル加工条件は、60℃以上100℃以下で、3分以上30分以下が好ましく、80℃以上100℃以下で、3分以上20分以下がより好ましく、90℃以上100℃以下で、3分以上10分以下が最も好ましい。60℃未満であると、こんにゃくを硬くする離水の効果が極めて低くなる。また、100℃を超えるボイル加工では、加圧装置が必要であり、工業的にコストが大きくなりすぎる。また、3分未満の加工では、均等に熱が作用することがなく安定的な工業的生産には不適当である。また、30分を超える加工では、離水が終了し、時間を増加させても変化がなく工業的には生産性が著しく損なわれる。
[第1のこんにゃく部と第2のこんにゃく部の形成]
こんにゃくは、アルカリ性の凝固剤の添加により凝固する。その性状は、単位体積当たりの凝固剤の濃度に依存するが、凝固剤の粒子径にも依存する。本発明はこの知見を応用した発明であり、今までに全く知られていない発想の肉様食品素材として大いに期待が高まる優れたものである。
本発明において、「凝固」とは、液体または固体を分散した液体が固体に変化することを指し、凝固後は、固体の様に形状を維持でき、液体の様に流動性を持たない状態をさす。
そこで、本発明では凝固剤の濃度と粒子径を制御することで、ブロックにおいて、凝固剤の濃度勾配が形成され、二種類以上の硬さの異なる部分のどちらか一方の種類の部分に他方の種類の部分が分散していて形成されているこんにゃくを主成分とする肉様食品素材を製造する。
本発明において、「ブロック」とは、生産工程において、製造される例えばプラスチック製の袋状の容器に充填されたひとつのかたまりを指す。
凝固剤の濃度勾配の形成のためには、一定時間における凝固剤の粒子の溶解性を制御する必要があり、そのためには凝固剤の粒子径を前述したような粒径となるように制御する必要がある。凝固剤の粒子径によって、第1のこんにゃく部と、第2のこんにゃく部との形成状態が変わり、例えば下記のような事例が挙げられる。
事例1:凝固剤の粒子径が大きく、肉様食品素材の製造中に、凝固剤が十分に溶解しない場合、凝固剤のまわりの凝固剤の濃度が高くなり、凝固剤の粒子の周りが凝固し、それ以外は未凝固の状態となり、凝固していない流動性のある柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に、凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)が分散して形成される。
事例2:前述の凝固剤の粒子径がやや小さくなった場合、凝固していない流動性のある柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に、凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)がそれらの一部が接合した状態で、分散して形成される。
事例3:凝固剤の粒子径が更に小さくなり、肉様食品素材の製造中に、溶解するが拡散が不十分である場合、凝固剤から離れた部分では、凝固剤の濃度が低く、充分に未凝固の状態となり、凝固した硬い部分(第1のこんにゃく部)の中に、凝固した柔らかい部分(第2のこんにゃく部)が層状に分散して形成される。
事例4:上記事例1,事例2で得られたこんにゃくを、更にボイル加工を行うことで、凝固していない流動性のある柔らかい部分が凝固する。また、凝固した硬い部分が離水により、より硬くなる。このため、凝固した柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に、凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)が分散して形成されるようにすることが可能となる。
この様に、使用する凝固剤の粒子径を制御することで、硬い部分、柔らかい部分を形成させ、様々な分散状態の形態を作り出すことができる。
なお、本発明において、「ボイル加工」とは、密閉していない容器で、加熱加工を行うことであり、水からの加熱加工、お湯からの加熱加工、及び沸騰水からの加熱加工を含むものである。また、本明細書において、「離水」とは、ボイル加工により、凝固しているこんにゃく中の水分がこんにゃく外に出ることで、こんにゃくが硬くなる現象を指す。離水させる手段はボイル加工以外の公知の方法を使用すればよい。
更に、ボイル加工したこんにゃくを冷凍し、解凍して食することもできる。その場合には、離水により食感がより硬くなる傾向がある。
[肉様食品素材の物性]
本発明の肉様食品素材において、第1のこんにゃく部の中心部の貫入抵抗は、0.4N以上5N未満が好ましく、0.5N以上1.5N未満がより好ましい。また、第2のこんにゃく部の第1のこんにゃく部から最も離れた部分の貫入抵抗は、0.4N未満であることが好ましく、0.1N以下であることがより好ましい。これによって、第1のこんにゃく部と第2のこんにゃく部との硬さの違いが明確になり、肉様の食感を感じやすくなる。
なお、本発明における貫入抵抗は、プランジャーがサンプルに突き刺さったことを確認し、プランジャーを突き刺しながらその荷重を測定し、荷重の最大値を測定値とした。測定は、株式会社IMADA製「デジタルフォースゲージ ZTA-20N」に測定スタンドMX2-500Nを設置して行った。測定条件は、プランジャー:直径2mm、測定速度:100mm/secとした。
本発明の肉様食品素材において、第2のこんにゃく部の中に第1のこんにゃく部が分散した状態をなす場合(前記事例1、2、4の場合)は、第1のこんにゃく部の最大径が、0.6~3cmの範囲にあることが好ましく、1~2cmの範囲にあることがより好ましい。これにより、硬い部分の大きさが口に入りやすい適度な大きさとなり、食べたときに肉様の食感を感じやすくなる。
なお、第1のこんにゃく部の最大径は、例えば第1のこんにゃく部の形状が球形の場合は球形の直径、楕円形の場合は楕円形の長径の長さを意味し、第1のこんにゃく部の形状が球形又は楕円形であって、それらの一部が接合している場合は、接合部を境界にして形状を見たとき、球形又は楕円形をなす個々のこんにゃく部の球形の直径、又は楕円形の長径を意味する。
本発明の肉様食品素材において、第1のこんにゃく部の中に第2のこんにゃく部が分散した状態をなす場合(前記事例3の場合)は、第2のこんにゃく部の連続した部分の長さが、0.1~4cmの範囲にあることが好ましく、0.5~2cmの範囲にあることがより好ましい。
[その他の原料]
本発明の肉様食品素材は、こんにゃく原料、アルカリ性の凝固剤以外の原料を適宜含有していてもよい。このような原料としては、例えば、魚、肉、野菜、海藻などの具材や、食塩、糖、しょうゆ、旨味調味料などの調味料や、油脂、色素、香料、肉スープ、澱粉、植物繊維、増粘剤などが挙げられる。澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシースターチ、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、また、これらの澱粉にエステル化、エーテル化、酸化、架橋、α化などを施した加工澱粉などが使用できる。増粘剤としては、キサンタンガム、ローカストビンガム、タマリンドガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチンなどが挙げられる。
[肉様食品素材の利用例]
本発明の肉様食品素材は、例えば、原料として畜肉、鶏肉、魚肉などを含む各種の料理における肉代替品として利用することができる。具体的には、焼き物、煮物、揚げ物、炒め物などで使われる材料としての肉代替品として利用できる。例えば、本発明の肉様食品素材を適宜大きさにカットして、衣付けして揚げ物にしてもよく、野菜などと一緒に炒め物にしてもよく、肉やモツなどの代わりに鍋物の材料としてもよい。
本発明の肉様食品素材は、上記のような調理の過程で、煮汁や、調味液や、油脂などに接触して、それらが肉様食品素材の内部に浸透するため、好みの風味付けをすることができる。また、本発明の肉様食品素材は、食感が比較的硬い第1のこんにゃく部と、比較的柔らかい第2のこんにゃく部とが混在すると共に、第2のこんにゃく部から第1のこんにゃく部へ至る硬さが次第に変化しているので、食べたときに、ゼラチン質様の柔らかい部分の中に弾力のある部分がある、肉に近い食感が得られる。
以下に、本発明を更に具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明はかかる実施例によって制限されるものではない。
[予備試験]
予備試験として、貝殻焼成カルシウム及びこんにゃくの凝固剤で一般的に使用される水酸化カルシウムを用いて、その添加量を変え、いくつかのこんにゃくを試作し、その破断強度とpHを測定した。横軸をpH、縦軸を破断強度(N)としてプロットした相関図を図1に示す。白丸は貝殻焼成カルシウムの値を示し、それを点線でプロットした。また、黒丸は水酸化カルシウムの値を示し、それを一点鎖線でプロットした。
上記で使用した貝殻焼成カルシウムは、300メッシュパス95%以上の貝殻焼成カルシウムである。300メッシュパス95%以上とは、300メッシュの篩を用いたときに凝固剤の粒子の95%以上が篩を通過することを示す。
また、上記で使用した水酸化カルシウムは、関東化学株式会社製の鹿1級の水酸化カルシウムである。
破断強度の測定方法は、株式会社山電製クリープメーターRE2-33005Cを用い、破断するまで圧縮した。試料は約6cm四方に切り出し測定した。測定値は、試料4点の平均値とした。測定条件は、ロードセルは20N、プランジャーは先端角30度、先端幅1mm、先端長さ30mmのくさび型を用いた。圧縮速度は0.5mm/秒とした。
pHの測定方法は、ワイエスアイ・ナノテック株式会社製突刺し型pHメーターエコセンスPH100Aを用いこんにゃく内部のpHを測定した。測定値は、作製した試料の四隅のうち3カ所で測定した平均値とした。
図1に示すように、こんにゃくは、概ねpH8未満では凝固せず、概ねpH8以上で凝固する。更に、凝固したこんにゃくの硬さ(強度)は、pHが大きくなる、すなわちアルカリが強くなると上昇する。しかし、pH12を超えると逆に硬さ(強度)が低下する。また、同じpHであれば、凝固剤として貝殻焼成カルシウムを使用した場合の方が、破断強度は大きい。硬さの差が、食感に与える影響が大きいと考えたため、以下の実施例では、同じpHで、破断強度の大きい貝殻焼成カルシウムを凝固剤として用いた。
[実施例1](図2に対応)
(凝固剤の粒子径:4.7メッシュパス、12メッシュオン)
こんにゃく粉として、株式会社荻野商店の商品名「スーパーマンナン」を25gと、粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオンが100%となるように分級された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを0.75g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。こんにゃく粉が膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。
その後、株式会社神垣鉄工所製レトルト加工機「UHR-40CT」(製品名)で熱加工を行った。加熱条件は、昇温速度を90℃から98℃まで3分とし98℃で60分間保持した。降温速度は98℃から90℃まで3分とした。
これらの工程を行うことで、凝固していない流動性のある柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)が分散して形成されている肉様食品素材ができた。
こうして得られた肉様食品素材の写真を図2に示す。図2において、1は第1のこんにゃく部であり、2は第2のこんにゃく部である。
[実施例2](図3に対応)
(凝固剤の粒子径:12メッシュパス、18メッシュオン)
こんにゃく粉として、株式会社荻野商店の商品名「スーパーマンナン」を25gと、粒子径12メッシュパス、18メッシュオンが100%となるように分級された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを0.75g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。
その後、前記レトルト加工機で熱加工を行った。加熱条件は、実施例1と同様にした。
これらの工程を行うことで、凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)が、凝固していない流動性のある柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に分散して形成されおり、凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)の一部が互いに接合した、肉様食品素材ができた。
こうして得られた肉様食品素材の写真を図3に示す。図3において、1は第1のこんにゃく部であり、2は第2のこんにゃく部である。
[実施例3](図4に対応)
(凝固剤の粒子径:18メッシュパス、30メッシュオン)
こんにゃく粉として、株式会社荻野商店の商品名「スーパーマンナン」を25gと、18メッシュパス、30メッシュオンが100%となるように分級された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを0.75g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。
その後、前記レトルト加工機で熱加工を行った。加熱条件は、実施例1と同様にした。これらの工程を行うことで、凝固した硬い部分(第1のこんにゃく部)の中に凝固した柔らかい部分(第2のこんにゃく部)が層状に分散している肉様食品素材ができた。
こうして得られた肉様食品素材の写真を図4に示す。図4において、1は第1のこんにゃく部であり、2は第2のこんにゃく部である。
[実施例4](図5に対応)
(凝固剤の粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオン・ボイル追加)
こんにゃく粉として、株式会社荻野商店の商品名「スーパーマンナン」を25gと、粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオンが100%となるように分級された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを0.75g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。
その後、前記レトルト加工機で熱加工を行った。加熱条件は、実施例1と同様にした。
その後、レトルト袋を開封して凝固したこんにゃくを取出し、80℃のお湯に浸漬して5分間加熱した。これらの工程を行うことで、凝固していない流動性のある柔らかい部分が凝固する。また、凝固した硬い部分が離水により、より硬くなる。このため、凝固した柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)が分散している肉様食品素材ができた。
こうして得られた肉様食品素材の写真を図5に示す。図5において、1は第1のこんにゃく部であり、2は第2のこんにゃく部である。
[実施例5]
(凝固剤の粒子径:4.7メッシュパス、12メッシュオン)
こんにゃく粉として、株式会社荻野商店の商品名「スーパーマンナン」を30gと、粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオンが100%となるように分級された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを1.2g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。こんにゃく粉が膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。
その後、前記レトルト加工機で熱加工を行った。加熱条件は、実施例1と同様にした。これらの工程を行うことで、凝固していない流動性のある柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)が分散して形成されている肉様食品素材ができた。
[実施例6]
(凝固剤の粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオン・ボイル追加)
こんにゃく粉として、株式会社荻野商店の商品名「スーパーマンナン」を30gと、粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオンが100%となるように分級された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを1.2g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。
その後、前記レトルト加工機で熱加工を行った。加熱条件は、実施例1と同様にした。
その後、レトルト袋を開封して凝固したこんにゃくを取出し、80℃のお湯に浸漬して5分間加熱した。これらの工程を行うことで、凝固していない流動性のある柔らかい部分が凝固する。また、凝固した硬い部分が離水により、より硬くなる。このため、凝固した柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)が分散している肉様食品素材ができた。
こうして得られた肉様食品素材の写真を図6に示す。図6において、1は第1のこんにゃく部であり、2は第2のこんにゃく部である。
[実施例7]
(凝固剤の粒子径:4.7メッシュパス、12メッシュオン)
こんにゃく粉として、株式会社荻野商店の商品名「スーパーマンナン」を22.5gと、粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオンが100%となるように分級された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを0.45g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。こんにゃく粉が膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。
その後、前記レトルト加工機で熱加工を行った。加熱条件は、実施例1と同様にした。これらの工程を行うことで、凝固していない流動性のある柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)が分散して形成されている肉様食品素材ができた。
[実施例8]
(凝固剤の粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオン・ボイル追加)
こんにゃく粉として、株式会社荻野商店の商品名「スーパーマンナン」を22.5gと、粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオンが100%となるように分級された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを0.45g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。
その後、前記レトルト加工機で熱加工を行った。加熱条件は、実施例1と同様にした。
その後、レトルト袋を開封して凝固したこんにゃくを取出し、80℃のお湯に浸漬して5分間加熱した。これらの工程を行うことで、凝固していない流動性のある柔らかい部分が凝固する。また、凝固した硬い部分が離水により、より硬くなる。このため、凝固した柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の中に凝固した硬い粒状の部分(第1のこんにゃく部)が分散している肉様食品素材ができた。
[比較例1](粒子が細かいときは均一になる)
(こんにゃく粉と凝固剤の混合・静置・膨潤)
こんにゃく粉として、株式会社荻野商店の商品名「スーパーマンナン」を25gと、粒子径50メッシュパスが95%となるように製造された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを0.75g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。
その後、レトルト加工機で熱加工を行った。加熱条件は、実施例1と同様にした。これらの工程を行うことで、硬さの均一なこんにゃく素材ができた。
[比較例2](粒子が細かいときは均一になる)
比較例1において、貝殻焼成カルシウムとして、粒子径100メッシュパスが95%となるように製造された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを用いた他は、比較例1と同様にして、硬さの均一なこんにゃく素材を得た。
[食感の評価]
上記で得られた実施例1~8で得られた肉様食品素材、比較例1,2のこんにゃくについて、4名のパネラーにより試食して、硬さの均一性、肉様食感について評価した。この結果を下記表1に示す。
Figure 2023177057000002
表1において、食感の評価基準は下記の通りである。
◎:肉様に極めて近い食感
〇:肉様に近い食感
△:こんにゃくとは異なる食感
×:こんにゃくそのものの食感
表1に示すように、実施例1~8の肉様食品素材は、いずれも硬さが不均一であり、肉様食感を感じるものであった。これに対して、比較例1,2のこんにゃくは、いずれも硬さが均一であり、肉様食感は感じなかった。
[貫入抵抗の測定]
また、実施例1~8で得られた肉様食品素材、比較例1,2のこんにゃくについて、硬い部分(第1のこんにゃく部)と、凝固していない柔らかい部分又は凝固している柔らかい部分(第2のこんにゃく部)の貫入抵抗を測定した。
貫入抵抗の測定は、株式会社IMADA製「デジタルフォースゲージ ZTA-20N」に測定スタンドMX2-500Nを設置して行った。貫入抵抗の測定条件は、プランジャー:直径2mm、測定速度:100mm/secとし、プランジャーがサンプルに突き刺さったことを確認し、プランジャーを突き刺しながらその荷重を測定し、荷重の最大値を測定値とした。その結果を下記表2に示す。
Figure 2023177057000003
表2に示すように、実施例1~8は、貫入抵抗の差が顕著にある、硬い部分(第1のこんにゃく部)と、柔らかい部分(第2のこんにゃく部)とが存在するが、比較例1,2は、硬い部分のみからなるほぼ均一な層であった。
官能評価の結果、実施例の中では、実施例4が一番、畜肉に近い食感であったので、実施例4に準じて製造した肉様食品素材を用いて、実際に調理加工した応用例を下記に示す。
[応用例1](酢豚)
こんにゃく粉として株式会社荻野商店の商品名スーパーマンナンを25gと粒子径4.7メッシュパス、12メッシュオンに制御された株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の貝殻焼成カルシウムを0.75g混合し、ステンレスボウル中でスプーンを用い撹拌した。
更に、撹拌しながら蒸留水900mLを加え、時々攪拌しながら1時間放置した。膨潤後、外寸200mm×300mmである容積1L用のレトルト袋にスプーンで移し替え、卓上真空包装機を用いてレトルト袋の口を熱融着した。その後、冷蔵庫に2日間保管した。
その後、レトルト加工機で熱加工を行った。加熱条件は、実施例1と同様にした。その後、レトルト袋を開封して凝固したこんにゃくを取出し、沸騰したお湯で3分間加熱した。その後、ザルにあけ、水気を切り、流水洗いを行って肉様食品素材を得た。
この肉様食品素材をハサミで一口大に切り出し、表面の水気をキッチンペーパーで拭き取った。これに塩とこしょうをふり、片栗粉をまぶした。これを146g取り出し、油で揚げた。それらに味の素株式会社製クックドゥ酢豚用中華合わせ調味料を44.5g加え、フライパンで1分炒めた。
パネラー4人で食したところ、表面は一部焦げ、パリパリした状態であり、見た目は肉と区別ができなかった。硬さは不揃いで、硬い部分と柔らかい部分から構成されていた。ひと噛み目は、表面は硬さを感じ、少し噛むと、噛み切り易く香ばしさを感じた。咀嚼中は、柔らかい部分は脂身を噛むような柔らささで、硬い部分は引き締まった感じの弾力があり、硬すぎず、噛みごたえがあり、肉の繊維質に近い食感であった。また、飲み込みまでは、こんにゃくの一部が最後まで残るが、弾力のあるかみ応えの残した状態であり、柔らかい部分と硬い部分が双方からまることで、「もも肉」を連想させた。硬い部分は弾力があり、柔らかい部分は脂身を噛む様であり、「もも肉」の様な食感を有する肉様食品ができた。
[応用例2](モツ煮)
応用例1と同様な方法で製造した肉様食品素材を用いて、モツ煮を作成した。
すなわち、肉様食品素材の片面のみを弱火で3分間焼き、湯呑みの飲み口部分で一口サイズに切り、この肉様食品素材420gを博多もつなべ蟻月のもつ鍋スープで3分間煮込んだ。
パネラー4人で食したところ、モツ煮スープがしみこみ、味は肉に近くなった。硬さは不揃いで、硬い部分と柔らかい部分から構成されていた。ひと噛み目は、硬い部分は繊維質様で柔らかい部分はゼラチン質様でこれら不揃いで、モツ特有の噛みごたえに近くなった。また、噛んだ瞬間、よくからんだ濃厚なスープがあふれ出すようにしみ出てきた。咀嚼中は、硬い部分は繊維質様で、弾力があり、ほどよい噛みごたえを残しながら、細くなっていった。柔らかい部分はゼラチン質様でぷるぷるの食感から柔らかく粘り気を感じるような口どけのよい食感に変化した。また、飲み込みまでは、弾力がある硬い部分と、やや粘り気がある柔らかい部分とが混ざり合い「モツ」の様な食感を有していた。硬い部分は弾力があり、柔らかい部分はゼラチン質様な食感を有し、「モツ」の様な食感を有する肉様食品ができた。更に、モツ煮より優れた点として、モツ特有の獣味がなく、脂身の様な部分では脂っぽさが少なく、さっぱりしていた。そのため、モツが苦手な人にも食することができる。
[応用例3](焼き鳥)
応用例1と同様な方法で製造した肉様食品素材を用いて、焼き鳥を作成した。すなわち、肉様食品素材を包丁で一口大に切り出し、218gをフライパンで3分焼いた。これに株式会社ホティフーズコーポレーション製やきとりタレ味の焼きとりの缶詰216gを加え、フライパンで2分炒めた。
パネラー4人で食したところ、焼き鳥のタレがしみこみ、味は肉に近くなった。硬さは不揃いで、硬い部分と柔らかい部分から構成されていた。一部の表面に焦げ目が発生した。ひと噛み目は、硬い部分は、繊維質様であり、煮込んだ鶏肉の様な力を入れなくてもほぐれるような食感であった。また、柔らかい部分は、ゼラチン質様であり、鶏皮様の食感であった。咀嚼中は、硬い部分は、噛んでも噛み切れにくく、鶏皮の様であり、柔らかい部分は、ゼラチン質様な鶏皮の口溶け感があり、脂身に似ている食感であった。また、飲み込むまでは、柔らかい部分は、ゼラチン質様な鶏皮の様の食感であり、鶏肉を連想させた。硬い部分は噛んでも噛み切りにくく、柔らかい部分はゼラチン質様な口溶け感があり、「鶏皮」の様な食感を有する肉様食品ができた。
なお、本発明において、二種類以上の硬さを有する肉様食品素材とその製造方法を説明した。この発明の応用として、二種類の硬さではないが微妙な硬さを調整し、形状を工夫することにより、イカとかエビなど魚類の肉様食品素材にも応用できることを付記しておく。
本発明によれば、二種類以上の硬さの異なる部分から構成される畜肉の様な食感を持つ食品の原料を提供することができる。こんにゃくを主体としているため、低カロリーであり、カロリー制御を目的とした肉様食品として応用できる。また、これらの販売形態については、粒子径を一定の大きさに制御したアルカリ性の凝固剤、前述の凝固剤をこんにゃく原料と混合した状態、前述の状態に水を加えた状態、前述の状態に熱加工を行った状態、及び前述の状態にボイル加工を加えた状態など様々に考えられ、それぞれの段階で、商品とすることが可能となる。
1…第1のこんにゃく部
2…第2のこんにゃく部

Claims (9)

  1. 凝固した第1のこんにゃく部と、前記第1のこんにゃく部よりも柔らかい、凝固した又は未凝固の第2のこんにゃく部とが、前記第2のこんにゃく部の中に前記第1のこんにゃく部が分散した状態、あるいは前記第1のこんにゃく部の中に前記第2のこんにゃく部が分散した状態で、かつ、第2のこんにゃく部から第1のこんにゃく部に向けて次第に硬くなる境界層を介して接合していることを特徴とする肉様食品素材。
  2. 前記第1のこんにゃく部の中心部の貫入抵抗が0.4N以上5N未満であり、前記第2のこんにゃく部の前記第1のこんにゃく部から最も離れた部分の貫入抵抗が0.4N未満である、請求項1記載の肉様食品素材。
  3. 前記第2のこんにゃく部の中に前記第1のこんにゃく部が分散した状態をなし、前記第1のこんにゃく部の最大径が、0.6~2cmの範囲にある、請求項1又は2記載の肉様食品素材。
  4. 前記第1のこんにゃく部の中に前記第2のこんにゃく部が分散した状態をなし、前記第2のこんにゃく部の連続した部分の長さが、0.1~4cmの範囲にある、請求項1又は2記載の肉様食品素材。
  5. 容器に充填され、加熱処理されている請求項1又は2記載の肉様食品素材。
  6. こんにゃく原料と、粒状をなすアルカリ性の凝固剤と、水とを含有し、こんにゃく原料が膨潤した混合物を作成する工程と、
    前記混合物を容器に充填して、熱処理を行う工程とを含み、
    前記アルカリ性の凝固剤が存在した部分を中心に凝固して硬くなった第1のこんにゃく部と、前記アルカリ性の凝固剤が存在した部分から離れた部分において、前記第1のこんにゃく部よりも凝固が弱い状態又は未凝固の状態で形成された第2のこんにゃく部とを形成することを特徴とする肉様食品素材の製造方法。
  7. 前記アルカリ性の凝固剤は、粒子径4.7メッシュパス、30メッシュオンのものが80質量%以上含まれるものである、請求項6記載の肉様食品素材の製造方法。
  8. 前記こんにゃく粉100質量部に対して、前記アルカリ性の凝固剤2~6質量部、前記水2500~5000質量部を添加して、前記混合物を形成する、請求項6又は7記載の肉様食品素材の製造方法。
  9. 前記アルカリ性の凝固剤として、殻カルシウムを用いる、請求項6又は7記載の肉様食品素材の製造方法。
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