JP2009132850A - 皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物及び繊維用風合い改良剤 - Google Patents

皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物及び繊維用風合い改良剤 Download PDF

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Abstract

【課題】スズ触媒のような金属系化合物を含まず、乾燥だけでオルガノポリシロキサン皮膜を得ることができる安定性良好なエマルジョン組成物及び繊維用風合い改良剤を提供する。
【解決手段】(A)式:
HO−[R1 2SiO]n−H
の両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、式:
[R2 3SiO1/2a[R2 2SiO2/2b[SiO4/2c
(R1、R2は1価有機基、水酸基又は水素原子、nは2〜5,000の正数、0.1≦a≦0.7、0≦b≦0.5、0.3≦c≦0.7、a+b+c=1)
のトリアルキルシロキシ単位、シリケート単位及びシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとの反応物、
(B)SP値が8.0〜11.0である水混和性有機溶剤、
(C)乳化剤、
(D)水
を含有する皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、スズ触媒のような有機金属系触媒を使用することなく、水を除去するだけでオルガノポリシロキサン皮膜を得ることができるエマルジョン組成物及び繊維用風合い改良剤に関する。
架橋硬化してゴム皮膜やレジン皮膜を形成するオルガノポリシロキサンは、繊維、木材、ゴム等各種基材の表面コーティング剤、光触媒等機能性無機フィラーのバインダー剤、塗料添加剤として使用されている。このような硬化性のシリコーン樹脂としては、スズ触媒のような金属系化合物を含有する組成物が一般的である(特開平5−98579号公報、特開2005−325253号公報、特開2007−51236号公報:特許文献1〜3)。しかしながら、スズ触媒のような金属系化合物は安全性の面で問題があった。
また、スズ触媒のような金属系化合物を使用しないMQ樹脂を含むシリコーンエラストマー系のエマルジョンが知られている(特表2007−508413号公報:特許文献4)。MQ樹脂を含むシリコーンエラストマー製造に関してアルカリ化合物を触媒として反応させているが、アンモニウム系化合物やアミン系化合物に関する例示はない。また、エマルジョンの乳化安定性向上のために有機官能性シロキサンを併用しており、架橋に関与しない成分となることから皮膜特性を阻害するといった問題があった。
特開平5−98579号公報 特開2005−325253号公報 特開2007−51236号公報 特表2007−508413号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、スズ触媒のような金属系化合物を含まず、乾燥だけでオルガノポリシロキサン皮膜を得ることができる安定性良好なエマルジョン組成物及び繊維用風合い改良剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)下記一般式(I)で示される両末端がヒドロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンと、下記組成式(II)で示されるトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有し、かつシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとの反応物、(B)SP値が8.0〜11.0である水混和性有機溶剤、(C)乳化剤及び(D)水を含有してなる皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物が、安定性が良好で、スズ触媒のような金属系化合物を含まず、乾燥だけでオルガノポリシロキサン皮膜を得ることができ、とりわけ繊維用風合い改良剤として有効であることを見出し、本発明をなすに至った。
なお、本発明者は、シリコーンレジンと水混和性有機溶剤からなるエマルジョン組成物を提案しているが、シリコーンレジン中のトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位の合計含有率は20%未満のシルセスキオキサン単位が中心のレジンに関するものであり、繊維に処理した場合に風合いが硬くなる場合があった。
従って、本発明は、皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物及び繊維用風合い改良剤を提供する。
〔1〕 (A)下記一般式(I)で示される両末端がヒドロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンと、下記組成式(II)で示されるトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有し、かつシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとの反応物:
100質量部、
HO−[R1 2SiO]n−H (I)
(ここで、R1は炭素数1〜20の1価有機基、水酸基及び水素原子から選ばれる基、nは2〜5,000の正数である。)
[R2 3SiO1/2a[R2 2SiO2/2b[SiO4/2c (II)
(ここで、R2は炭素数1〜20の1価有機基、水酸基及び水素原子から選ばれる基、a,b,cは0.1≦a≦0.7、0≦b≦0.5、0.3≦c≦0.7、a+b+c=1を満足する正数である。)
(B)SP値が8.0〜11.0である水混和性有機溶剤: 1〜50質量部、
(C)乳化剤: 1〜50質量部、
(D)水: 25〜20,000質量部
を含有してなる皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物。
〔2〕 (A)成分の両末端がヒドロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有し、かつシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとの反応物が、エマルジョン状態でアンモニウム系化合物及び/又はアミン系化合物を触媒として反応させて得られるものである〔1〕記載の皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物。
〔3〕 一般式(I)で示される両末端がヒドロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンにおいて、R1の0.01〜20モル%が反応性基を含有した炭素数1〜20の1価有機基である〔1〕又は〔2〕記載の皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物。
〔4〕 反応性基がアミノ基、エポキシ基、メルカプト基のいずれかである〔3〕記載の皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載の皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物からなる繊維用風合い改良剤。
本発明によれば、有機金属系の触媒などを使用することなく、乾燥するだけでオルガノポリシロキサン皮膜を得ることができ、しかもそのエマルジョンは安定性にも優れている。更に、繊維に処理した場合には柔軟性と吸水防止性の両方を付与することができる。
以下に本発明について詳述する。
まず、(A)成分である両末端がヒドロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有し、かつシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとの反応物は、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有し、かつシラノール基を有するオルガノポリシロキサンの反応により得られる。
原料の1つである両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンは、下記一般式(I)で示される。
HO−[R1 2SiO]n−H (I)
(ここで、R1は炭素数1〜20の1価有機基、水酸基及び水素原子から選ばれる基、nは2〜5,000の正数である。)
ここで、R1は炭素数1〜20、特に1〜12の1価有機基、水酸基及び水素原子から選ばれる基であり、炭素数1〜20の1価有機基として具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどの直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなどのアリール基、ビニル、アリルなどのアルケニル基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどのアルコキシ基、3−グリシドキシプロピル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルなどのエポキシ基含有1価炭化水素基、3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピル、N−フェニル−3−アミノプロピルなどのアミノ基含有1価炭化水素基、3−メルカプトプロピルなどのメルカプト基含有1価炭化水素基などが挙げられる。
この場合、R1の0.01〜20モル%、特に0.01〜10モル%が反応性基を含有した炭素数1〜20の1価有機基とすることが、基材との密着性、処理繊維の風合いの点で好ましい。なお、反応性基としては、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基が挙げられ、これら反応性基を含有した有機基としては、上記アミノ基、エポキシ基、メルカプト基含有1価炭化水素基が挙げられる。
また、R1の80モル%以上、特に90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
nは2〜5,000の正数であり、5,000より大きい場合にはトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンとの反応性が低下する。好ましくは10〜3,000、より好ましくは30〜1,000の正数である。
次に、もう1つの原料であるトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有し、かつシラノール基を有するオルガノポリシロキサンは、下記一般式(II)で示される。
[R2 3SiO1/2a[R2 2SiO2/2b[SiO4/2c (II)
(ここで、R2は炭素数1〜20の1価有機基、水酸基及び水素原子から選ばれる基、a,b,cは0.1≦a≦0.7、0≦b≦0.5、0.3≦c≦0.7、a+b+c=1を満足する正数である。)
ここで、R2は炭素数1〜20の1価有機基、水酸基及び水素原子から選ばれる基であり、炭素数1〜20の1価有機基として具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどのアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなどのアリール基、ビニル、アリルなどのアルケニル基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどのアルコキシ基、3−グリシドキシプロピル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルなどのエポキシ基、3−アミノプロピル、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピル、N−フェニル−3−アミノプロピルなどのアミノ基、3−メルカプトプロピルなどのメルカプト基などが挙げられる。本発明におけるR2としては、80モル%以上がメチル基であることが好ましい。
a、b、cは、それぞれ0.1≦a≦0.7、0≦b≦0.5、0.3≦c≦0.7、a+b+c=1を満たす正数であり、好ましくは0.2≦a≦0.6、0≦b≦0.4、0.4≦c≦0.6で、a+b+c=1を満たす正数である。このようなトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサン、特にR2がメチル基でb=0のものはMQレジンとして当業者には周知のレジンである。このトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサン中には少量のシラノール基が残存しており、このシラノール基と両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンのヒドロキシ基を縮合反応させることで目的とする反応物が得られる。
なお、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサン中のシラノール基量を増やすために[R2 2SiO2/2]単位を導入することが有効である。導入方法としてはトリアルキルシロキシシリケート製造時の原料であるトリアルキルクロロシランと水ガラスにジアルキルジクロロシランを併用して公知の方法にて合成すればよい。この場合、bは0≦b≦0.5であり、0.5より大きくなると反応物の皮膜性が低下してしまうので0.5以下である必要がある。
シラノール基の含有量は、反応性の点から式(II)のオルガノポリシロキサン100g中0.01〜2モルであることが好ましい。
両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンの配合比率は20/80〜80/20(質量比)である。両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンの比率が20より小さいと反応物が皮膜状とならずにレジン粉末状となってしまう。また、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンの比率が80より大きいと反応物がペースト状乃至オイル状となってしまうので、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンとトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンの比率は20/80〜80/20(質量比)である必要がある。より好ましくは30/70〜75/25(質量比)である。
この両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンとの反応は、アンモニウム化合物やアミン化合物を触媒として使用することで室温下でも速やかに反応する。触媒の具体例としては、アンモニアや、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウム化合物、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン等のモノアルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン等のジアルキルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン等のトリアルキルアミンなどが挙げられる。反応速度、エマルジョンの安定性の面から、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンが好ましい。
触媒の使用量は、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有し、かつシラノール基を有するオルガノポリシロキサンの合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部である。
触媒の使用量が少なすぎると、縮合反応が進行せず、皮膜化しない場合があり、多すぎると、エマルジョンの安定性が低下する場合がある。
反応温度としては0〜50℃が好ましく、より好ましくは5〜30℃であり、反応時間は好ましくは3〜100時間、より好ましくは6〜50時間である。反応終了後、酸性化合物で中和しておくとエマルジョンの安定性は向上する。この際の酸性化合物としては、酢酸、ギ酸、リン酸、塩酸、硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
なお、この両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンとの反応物は皮膜状となることから、反応物を乳化することは困難である。従って、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンを予め乳化しておき、反応をエマルジョン中で行なうのが好ましい。
次に、(B)成分であるSP値が8.0〜11.0である水混和性有機溶剤は、エマルジョンの安定性を向上化するための成分である。ここでいうSP値とは溶解パラメーターのことであり、溶解度係数ともいう、Hildebrandにより提唱された液体間の混合性の尺度となる特性値である。SP値が8.0より小さい場合や、11.0より大きい場合には、乳化した際のエマルジョンの安定性が低下してしまうことから、8.0〜11.0である必要がある。好ましくは8.5〜10.5である。また、この有機溶剤は水混和性である必要があり、水混和性がない場合には乳化した際のエマルジョンの安定性が低下してしまう。水混和性としては20℃における水100gへの溶解度が1g以上のものであり、好ましくは2g以上のものである。
このような水混和性有機溶剤としては、アルコール系化合物、ケトン系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物などがある。具体的には、セロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルカルビトール、カルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、酢酸ブチルカルビトール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレートなどが例示される。中でもブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレートが好ましい。
(B)成分の添加量としては、(A)成分100質量部に対して1〜50質量部であるが、1質量部より少ないとエマルジョン安定性が悪い。50質量部より多くても特性上問題はないが、使用時における環境への揮散を考慮すると多すぎることは好ましくない。好ましくは2〜40質量部であり、より好ましくは3〜30質量部である。
(C)成分である乳化剤は、両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンの反応物を水中へ乳化分散させるためのものであれば特に制限はないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン酢酸塩等のカチオン系界面活性剤、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物等を挙げることができる。
中でも安定性の面から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのようなノニオン系界面活性剤が好ましい。これらの具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンプロピレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルなどが挙げられる。これらの乳化剤を単独あるいは2種以上を併用して使用することができる。
なお、ノニオン系界面活性剤に少量のアニオン系界面活性剤を併用するとエマルジョンの安定性が更に向上することからアニオン系界面活性剤を併用することがより好ましい。
(C)成分の添加量としては、(A)成分100質量部に対して1〜50質量部である必要があるが、1質量部より少ないとエマルジョン化が困難であり、50質量部より多いと皮膜性が低下してしまう。好ましくは2〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。
本発明のオルガノポリシロキサンエマルジョン組成物は、(D)成分として水が配合されるが、(D)成分の水の含有量は、(A)成分100質量部に対して25〜20,000質量部であり、より好ましくは50〜10,000質量部である。水の量が少なすぎるとエマルジョンの粘度が高くなり作業性が低下し、多すぎるとエマルジョンの安定性が低下する。
この場合、上記式(I)のオルガノポリシロキサンと式(II)のオルガノポリシロキサンとの反応は、これら両オルガノポリシロキサンの混合物を上記(B),(C),(D)成分中に乳化し、このエマルジョン中において、上述した反応条件で両オルガノポリシロキサンを反応させることにより、本発明のエマルジョン組成物を得ることができる。
本発明のオルガノポリシロキサンエマルジョン組成物の基材への塗布方法としては、浸漬法、スプレー法、ロールコート法、はけ塗り法等、従来公知の各種塗装法が可能である。また、オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物の塗布量は特に制限されないが、通常、塗布量が0.1〜200g/m2、特に1〜100g/m2となる量である。
塗布後、乾燥だけでオルガノポリシロキサン皮膜を得ることができ、該乾燥は、水及び水混和性有機溶剤が揮発する条件であればよく、室温の場合には1〜3日、加熱する場合には100〜180℃で1〜30分程度の乾燥でよい。
本発明のオルガノポリシロキサンエマルジョン組成物は、各種基材の表面コーティング剤、光触媒等機能性無機フィラーのバインダー剤、繊維用風合い改良剤等へ使用可能である。中でも、繊維に処理した場合には反発感のある柔軟性と吸水防止性の両方を付与することが可能である。
なお、繊維としては、綿、麻、絹、羊毛のような天然繊維、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロン、ポリ塩化ビニル、スパンデックス等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、%は質量%を示し、粘度はBM型回転粘度計により測定した25℃における値を示す。
[製造例1]
一般式HO−[(CH32Si−O]400−Hで示される粘度3,000mPa・sの両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン700g、組成式[(CH33SiO1/20.36[(CH32SiO2/20.14[SiO4/20.50で示されるトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサン(シラノール基含量0.2モル/100g)の47%トルエン溶液500gを減圧ストリップ装置に仕込み、50℃、10mmHgの条件でトルエンのみ減圧溜去して両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンの混合物Aを1,000g得た。このものは粘度9,700mPa・sのオイル状であった。
[実施例1]
製造例1で得た両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンの混合物A300g、水混和性有機溶剤としてブチルセロソルブアセテート(SP値8.9)30g、乳化剤としてノイゲンXL40(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB10.5)20g、ノイゲンXL400D(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB18.4の65%水溶液)16g、ニューコール291M(日本乳化剤:アルキルスルホコハク酸ソーダ75%液)5g及びイオン交換水629gをホモミキサーで乳化し、更にホモジナイザーで30MPa処理を1回行ない、乳白色のエマルジョン1,000gを得た。このものにテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液40gを添加し、15℃にて20時間反応させた後、酢酸7gを添加して中和し、乳白色のエマルジョンBを得た。このものは、150℃/3時間での不揮発分が32.4%であり、不揮発残分は皮膜状であった。なお、このエマルジョンは室温3ヶ月後も分離なく安定なものであった。
[実施例2]
水混和性有機溶剤をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値9.2)30gに変えた以外は実施例1と同様にしてエマルジョンCを得た。このものは、150℃/3時間での不揮発分が32.0%であり、不揮発残分は皮膜状であった。なお、このエマルジョンは室温3ヶ月後も分離なく安定なものであった。
[製造例2]
一般式HO−[(CH32Si−O]400−Hで示される粘度3,000mPa・sの両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサン700g、組成式[(CH33SiO1/20.43[SiO4/20.57で示されるトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサン(シラノール基含量0.1モル/100g)の60%トルエン溶液500gを減圧ストリップ装置に仕込み、50℃、10mmHgの条件でトルエンのみ減圧溜去して両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンとトリメチルシロキシシリケートの混合物Dを1,000g得た。このものは粘度6,100mPa・sのオイル状であった。
[実施例3]
両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンの混合物Aを製造例2で得た混合物Dに変えた以外は実施例1と同様にしてエマルジョンEを得た。このものは、150℃/3時間での不揮発分が32.3%であり、不揮発残分は皮膜状であった。なお、このエマルジョンは室温3ヶ月後も分離なく安定なものであった。
[比較例1]
製造例1で得た両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンの混合物A300g、乳化剤としてノイゲンXL40(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB10.5)20g、ノイゲンXL400D(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB18.4の65%水溶液)16g、ニューコール291M(日本乳化剤:アルキルスルホコハク酸ソーダ75%液)5g及びイオン交換水659gをホモミキサーで乳化し、更にホモジナイザーで30MPa処理を1回行ない、乳白色のエマルジョン1,000gを得た。このものにテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液40gを添加し、15℃にて20時間反応させたが、反応途中でエマルジョンが分離してしまった。
[比較例2]
製造例1で得た両末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンの混合物A300g、水混和性有機溶剤としてブチルセロソルブアセテート(SP値8.9)30g、乳化剤としてノイゲンXL40(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB10.5)20g、ノイゲンXL400D(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB18.4の65%水溶液)16g、ニューコール291M(日本乳化剤:アルキルスルホコハク酸ソーダ75%液)5g及びイオン交換水629gをホモミキサーで乳化し、更にホモジナイザーで30MPa処理を1回行ない、乳白色のエマルジョンFを得た。このものは、150℃/3時間での不揮発分が32.3%であり、不揮発残分はオイル状であった。なお、このエマルジョンは室温3ヶ月後も分離なく安定なものであった。
[比較例3]
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液を水酸化ナトリウムの11%水溶液に変えた以外は実施例1と同様にして乳白色のエマルジョンGを得た。このものは、150℃/3時間での不揮発分が32.4%であり、不揮発残分はペースト状であり、器壁には凝集物の発生がみられた。
[比較例4]
[(CH3)SiO3/20.65[(C65)SiO3/20.35で示されるオルガノシリコーンレジンの50%キシレン溶液1kgとブチルセロソロブアセテート(SP値8.9)125gを入れ、60℃/20mmHgの条件でキシレンを留去した。このオルガノシリコーンレジンのブチルセロソロブアセテート溶液の150℃/3時間での不揮発分は80.1%、粘度は6,100mPa・sであった。このオルガノシリコーンレジンのブチルセロソロブアセテート溶液(シリコーンレジン/ブチルセロソロブアセテート=80.1/19.8質量比)375g、乳化剤としてノイゲンXL40(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB10.5)20g、ノイゲンXL400D(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB18.4の65%水溶液)16g、ニューコール291M(日本乳化剤:アルキルスルホコハク酸ソーダ75%液)5g及びイオン交換水584gをホモディスパーを用いて乳化を行ない、青白色なエマルジョンHを得た。このものは、150℃/3時間での不揮発分が32.5%であり、不揮発残分はレジン状であった。
[実施例4、比較例5]
実施例1で得られたエマルジョンB及び比較例4で得られたエマルジョンHをイオン交換水で10倍に希釈した。綿ブロード布をこれら希釈液に浸漬し、マングルにて絞った後乾燥機にて150℃/3分乾燥した。この処理布につき手触りによる風合い評価、水滴が浸み込むまでの時間による吸水防止性評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 2009132850
(風合い)○:未処理に比較して軟らかい
△:未処理レベル
×:未処理に比較してゴワゴワして硬い
[製造例3]
組成式[(CH33SiO1/20.39[SiO4/20.61で示されるトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサン(シラノール基含量0.1モル/100g)の50%トルエン溶液1,400g、水混和性有機溶剤としてブチルセロソルブアセテート(SP値8.9)300gを減圧ストリップ装置に仕込み、50℃、20mmHgの条件でトルエンのみ減圧溜去してトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンと水混和性有機溶剤の混合物Iを1,000g得た。このものは150℃/3時間での不揮発分が69.9%、粘度230mPa・sの溶液であった。
[実施例5]
一般式HO−[(CH32Si−O]1000[(CH3)Si(C36NH2)−O]4−Hで示される粘度30,000mPa・sの両末端ヒドロキシアミノ変性オルガノポリシロキサン210g、製造例3で得たトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有するオルガノポリシロキサンと水混和性有機溶剤の混合物I129g、乳化剤としてノイゲンXL40(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB10.5)20g、ノイゲンXL400D(第一工業製薬:ポリオキシアルキレンデシルエーテル、HLB18.4の65%水溶液)23g、ニューコール291M(日本乳化剤:アルキルスルホコハク酸ソーダ75%液)5g及びイオン交換水613gをホモディスパーで乳化し、乳白色のエマルジョン1,000gを得た。このものにテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの25%水溶液20gを添加し、15℃にて24時間反応させた後、酢酸3.4gを添加して中和し、乳白色のエマルジョンJを得た。このものは、150℃/3時間での不揮発分が31.7%であり、不揮発残分は皮膜状であった。なお、このエマルジョンは室温3ヶ月後も分離なく安定なものであった。
[実施例6]
実施例5で得られたエマルジョンJをイオン交換水で10倍に希釈した。綿ブロード布をこれら希釈液に浸漬し、マングルにて絞った後乾燥機にて150℃/3分乾燥した。この処理布につき手触りによる風合い評価、水滴が浸み込むまでの時間による吸水防止性評価を行なった。結果を表2に示す。
Figure 2009132850
(風合い)○:未処理に比較して軟らかい

Claims (5)

  1. (A)下記一般式(I)で示される両末端がヒドロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンと、下記組成式(II)で示されるトリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有し、かつシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとの反応物:
    100質量部、
    HO−[R1 2SiO]n−H (I)
    (ここで、R1は炭素数1〜20の1価有機基、水酸基及び水素原子から選ばれる基、nは2〜5,000の正数である。)
    [R2 3SiO1/2a[R2 2SiO2/2b[SiO4/2c (II)
    (ここで、R2は炭素数1〜20の1価有機基、水酸基及び水素原子から選ばれる基、a,b,cは0.1≦a≦0.7、0≦b≦0.5、0.3≦c≦0.7、a+b+c=1を満足する正数である。)
    (B)SP値が8.0〜11.0である水混和性有機溶剤: 1〜50質量部、
    (C)乳化剤: 1〜50質量部、
    (D)水: 25〜20,000質量部
    を含有してなる皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物。
  2. (A)成分の両末端がヒドロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンと、トリアルキルシロキシ単位及びシリケート単位を有し、かつシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとの反応物が、エマルジョン状態でアンモニウム系化合物及び/又はアミン系化合物を触媒として反応させて得られるものである請求項1記載の皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物。
  3. 一般式(I)で示される両末端がヒドロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンにおいて、R1の0.01〜20モル%が反応性基を含有した炭素数1〜20の1価有機基である請求項1又は2記載の皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物。
  4. 反応性基がアミノ基、エポキシ基、メルカプト基のいずれかである請求項3記載の皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膜形成性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物からなる繊維用風合い改良剤。
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