JP2009132594A - 酸化物単結晶の製造方法。 - Google Patents

酸化物単結晶の製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】原料に含まれる不純物を十分に低減でき、優れた品質の酸化物単結晶を効率的に製造可能な酸化物単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化物単結晶の製造に使用する原料を加熱して融液18を得る溶融工程と、融液状態を保持することにより融液に含まれる不純物を低減させる不純物除去工程と、この不純物除去工程を経た原料の融液18から酸化物単結晶1を製造する単結晶育成工程とを備える。前記不純物除去工程において融液状態の保持は、圧力1.0×10−4〜1.0Paの減圧雰囲気下又はAr、Ne、Kr及びN2からなる群より選ばれる1種以上のガス種を含有する不活性ガス雰囲気下、あるいはさらに酸素を0.01〜20体積%混合した不活性ガス雰囲気下にて行い、保持時間は1〜1000時間とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、原料の融液から結晶成長により酸化物単結晶を製造する方法に関する。
酸化物単結晶は、電子装置、光電子装置、レーザー、光学系など種々の用途に使用されている。これらの用途における結晶性能は、結晶材料の品質、特に不純物や欠陥濃度によって制約されることが多い。
結晶材料に含まれる不純物は、結晶中に歪みをもたらす欠陥の発生原因の一つであることが知られている(非特許文献1参照)。従って、不純物が少ない原料を使用することは、高品質な結晶材料を製造するうえで重要なことである。不純物が少ない原料は、例えば、ゾルゲル法などによって製造される。
しかし、不純物の含有量が少ない原料は一般に高価格であるが、目的とする純度にまで至っているとは限らず、より高純度の原料が必要な場合もある。酸化物単結晶は数nmの不純物で転位や欠陥が生じることから、市販の原料をそのまま用いたのでは高品質の結晶を安定的に得ることは困難であるといえる。原料に含まれる不純物を取り除く手法として、添加剤を使用する方法や化学反応を利用した方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
B.Cockayne etc,「Journal of Materials」、Science 2,1967年、7−11 特公平02−014284号公報 特公平04−055154号公報 特開2005−330145号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の方法にあっては、原料に含まれる不純物を必ずしも十分に低減することができず、この点について未だ改善の余地があった。例えば、従来の方法では、目的とする純度の原料を得るため、被処理原料として比較的高純度なものを準備する必要があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、原料に含まれる不純物を十分に低減でき、優れた品質の酸化物単結晶を効率的に製造可能な酸化物単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するため、酸化物単結晶を製造するに際し、坩堝内の原料を加熱して融液とした後、単結晶の育成を開始する前に、所定の期間にわたって融液状態を保持する工程を採用した。すると、泡欠陥の発生が少ない酸化物単結晶が製造できるとの知見を得た。かかる知見に基づき、本発明者らは以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る酸化物単結晶の製造方法は、酸化物単結晶の製造に使用する原料を加熱して融液を得る溶融工程と、融液状態を保持することにより融液に含まれる不純物を低減させる不純物除去工程と、この不純物除去工程を経た原料の融液から酸化物単結晶を製造する単結晶育成工程とを備える。
本発明に係る酸化物単結晶の製造方法によれば、融液状態を保持するという比較的簡便な方法によって原料に含まれる不純物を十分に低減できる。溶融状態を保持することで、不純物を気化や燃焼させることができ、融液から十分に取り除くことができる。その結果、優れた品質の酸化物単結晶を効率的に製造することができる。
不純物除去工程において、融液状態を保持する時間は1〜1000時間であることが好ましい。不純物除去工程の処理時間を上記範囲とすることで、原料に含まれる不純物を十分且つ効率的に低減することができる。
不純物除去工程における融液状態の保持は、原料の組成や使用する坩堝の材質などに応じて、減圧雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下にて行うことができる。すなわち、不純物除去工程における融液状態の保持は、圧力1.0×10−4〜1.0Paの減圧雰囲気下にて行ってもよく、あるいは、Ar、Ne、Kr及びNからなる群より選ばれる1種以上のガス種を含有する不活性ガス雰囲気下にて行ってもよい。
また、不純物除去工程における融液状態の保持及び単結晶育成工程における単結晶の製造は、Ar、Ne、Kr及びNからなる群より選ばれる1種以上のガス種を含有する不活性ガスと、酸素との混合ガス雰囲気下にて行ってもよく、この場合、混合ガスの酸素濃度が0.01〜20体積%であることが好ましい。
本発明に係る酸化物単結晶の製造方法は、以下の酸化物単結晶を製造するのに好適である。すなわち、本発明に係る酸化物単結晶の製造方法によれば、サファイア、LuAlO、YAlO、GdGa12、ErAl12、LuAl12、ZnO、LiB(場合により「LBO」と表記される。)、YVO、KTiOPO4(場合により「KTP」と表記される。)、KNbO(場合により「KN」と表記される。)、CsLiB10(場合により「CLBO」と表記される。)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(ZrTi1−x)O、場合により「PZT」と表記される。)、マグネシウムニオブ酸鉛(Pb(Mg1/3Nb2/3)O、場合により「PMN」と表記される)、ジルコン酸ニオブ酸鉛(Pb(Zr2/3Nb2/3)O、場合により「PZN」と表記される。)、ビスマスシリコンオキサイド(場合により「BSO」と表記される。)、BaTiO(場合により「BTO」と表記される)、マグネシウムニオブ酸鉛とチタン酸鉛との固溶体(Pb(Mgx/3Nb2x/3Ti1−x)O、場合により「PMNT」と表記される。)、鉛ジルコンニオブチタン(Pb(Zrx/3Nb2x/3Ti1−x)O、場合により「PZNT」と表記される。)、ハフニウム酸ストロンチウム(SrHfO)、ハフニウム酸バリウム(BaHfO)、SiO、シリケート(ケイ酸塩)及びフルオロジルコネートからなる群より選ばれる1種以上を母材とする酸化物単結晶を効率的に製造できる。
また、本発明に係る酸化物単結晶の製造方法によれば、LiNbO、LiGeO、Y、Er、YVO、GdAlO及びYScGa12から選ばれる1種以上を母材とする単結晶を効率的に製造できる。
本発明に係る酸化物単結晶の製造方法は、サファイアを製造するのに特に好適であり、この場合、不純物除去工程における処理温度はサファイアの融点以上であり且つ原料を収容する坩堝を形成する材料の融点未満であることが好ましい。なお、ここでいう融点とは、不純物除去工程における処理が行われる雰囲気下においてサファイア又は坩堝を形成する材料の融解が起こり始める温度を意味する。
また、酸化物単結晶の製造に使用する原料は、TiOの含有量が0.1〜50質量ppmであることが好ましい。原料のTiO含有量を上記範囲とすることで、単結晶における泡欠陥の発生がより一層抑制されるという効果が得られる。
本発明によれば、原料に含まれる不純物を十分に低減でき、優れた品質の酸化物単結晶を効率的に製造できる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
まず、図1を参照しながら、酸化物単結晶の製造に使用する引き上げ装置について説明する。図1に示す引き上げ装置10は、酸化物単結晶の育成を行って単結晶のインゴットを製造するためのものである。引き上げ装置10が有する高周波誘導加熱炉14は耐火性を有する側壁が筒状の有底容器であり、有底容器の形状自体は公知のチョクラルスキ法に基づく単結晶育成に使用されるものと同様である。この加熱炉14の底部の該側面には高周波誘導コイル15が巻回されている。そして、加熱炉14の内部の底面上には、坩堝17(例えば、Ir製の坩堝)が配置されている。
坩堝17は、高周波誘導加熱ヒータを兼ねている。そして、坩堝17中に、酸化物単結晶の原料を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけると、坩堝17が加熱され、原料の融液18が得られる。高周波誘導による加熱の場合、坩堝17の側面の方が底面よりも加熱されやすいため、坩堝17内の融液18には以下のような対流が生じる。すなわち、融液18が坩堝17の側壁面側で上方に流れ、その後、坩堝17内の水平方向中心側の坩堝17の上部から下方に流れる対流が生じる。
加熱炉14の底部中央には、加熱炉14の内部から外部へ貫通する開口部(図示せず)が設けられている。そして、この開口部を通じて、加熱炉14の外部から坩堝支持棒16が挿入されており、坩堝支持棒16の先端は坩堝17の底部に接続されている。この坩堝支持棒16を回転させることにより、加熱炉14中において、坩堝17を回転させることができる。開口部と坩堝支持棒16との間には、パッキンなどによりシールされている。
次に、引き上げ装置10を用いて、サファイア単結晶を製造する製造方法について具体的に説明する。本実施形態に係るサファイア単結晶の製造方法は、サファイア単結晶の製造に使用する原料を加熱して融液を得る溶融工程と、融液状態を保持することにより融液に含まれる不純物を低減させる不純物除去工程と、この不純物除去工程を経た原料の融液からサファイア単結晶を製造する単結晶育成工程とを備える。
まず、坩堝17中に、サファイア単結晶の原料である酸化アルミニウム(Al)を投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導をかけることにより、酸化アルミニウムの融液18を得る(溶融工程)。
溶融工程によって融液18を得た後、酸化アルミニウムの融液状態を保持することにより融液に含まれる不純物を低減させる(不純物除去工程)。サファイア単結晶の製造に使用する原料(Al)に含まれる不純物としては、Mg、Ca、Na等が挙げられる。不純物除去工程を実施せずにサファイア単結晶を製造した場合、使用する原料の純度にもよるが、サファイア単結晶が不純物として、Mgを9質量ppm以上、Caを14質量ppm以上、Naを12質量ppm以上含有することもある。これらの程度の不純物をサファイア単結晶が含有した場合、泡欠陥の発生、結晶の着色といった不具合が生じやすい。
本実施形態においては、不純物除去工程を実施することにより、原料の不純物含有量を十分に低減することができる。酸化アルミニウムに不純物として含まれるMg、Ca及びNaの沸点(圧力0.1MPaの条件下)は、それぞれ1107℃、1494℃及び833℃である。
不純物除去工程において融液状態を保持する温度条件は、不純物を十分且つ効率的に揮発させる観点から、2050℃以上であることが好ましく、2070℃以上であることがより好ましく、2100℃以上であることが更に好ましい。ただし、過度に高温に設定すると坩堝17が熱によって劣化して寿命が縮まる傾向があるとともに、坩堝17全体を十分均一に加熱することが一般に困難であるため、加熱炉14の温度設定の上限は2050℃程度とすることが好ましい。
また、不純物除去工程において、融液状態を保持する時間は、温度条件や圧力条件に応じて適宜設定することができるが、1〜1000時間の範囲内とすることが好ましい。例えば、酸化アルミニウムの融液を2100℃程度で保持する場合、保持時間は48〜1000時間とすることが好ましく、2100℃よりも低い温度で保持する場合は100〜1000時間とすることが好ましい。
次に、単結晶を育成することにより、円柱状の単結晶インゴット1を得る(単結晶育成工程)。まず、この結晶育成工程では、高周波誘導加熱炉14の上部から、種子結晶2を下部先端に固定した引き上げ棒12を融液18中に投入し、次いで、引き上げ棒12を引き上げながら、単結晶インゴット1を形成する。このとき、結晶育成工程では、ヒータ13の加熱出力を調節し、融液18から引き上げられる単結晶インゴット1を、その断面が所定の直径となるまで育成する。このようにして単結晶インゴット1の肩部1aを形成した後、肩部1aから下方に延びる直胴部1bを形成する。単結晶育成工程後、ヒータの加熱出力を調節し、得られた単結晶インゴット(図示せず)を冷却する(冷却工程)。
上記の不純物除去工程、単結晶育成工程及び冷却工程は、原料の組成や使用する坩堝の材質などに応じて、減圧雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下にて行うことができる。すなわち、各工程の処理は、圧力1.0×10−4〜1.0Paの減圧雰囲気下にて行ってもよく、あるいは、Ar、Ne、Kr及びNからなる群より選ばれる1種以上のガス種を含有する不活性ガス雰囲気下にて行ってもよい。
例えば、不純物除去工程における融液状態の保持を減圧雰囲気下(圧力1.0×10−4〜1.0Pa)又は不活性ガス雰囲気下で行うと、不純物をより一層十分且つ効率的に除去できるとともに、坩堝17の劣化を十分に抑制できるという利点がある。
また、不純物除去工程における融液状態の保持を、Ar、Ne、Kr及びNからなる群より選ばれる1種以上のガス種を含有する不活性ガスと、酸素との混合ガス雰囲気下にて行ってもよい。若干の酸素を含む雰囲気下において不純物除去工程を行うことにより、カーボン系の不純物が燃焼して除去されるとともに、融液を構成する酸化アルミニウムにおける酸素欠陥の発生が抑制されるといった効果が得られる。この場合、混合ガスの酸素濃度が0.01〜20体積%であることが好ましい。酸素濃度が0.01体積%未満であると、カーボン系の不純物の除去が不十分となりやすく、酸素濃度が20体積%を超えると、坩堝17の劣化が顕著となる傾向がある。
上記冷却工程を経て得られたサファイア単結晶は、不純物の含有量が5質量ppm以下であることが好ましく、3質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることが更に好ましい。不純物の含有量が5質量ppmを超えるサファイア単結晶は泡欠陥などを内包しやすく、シンチレータ特性が不十分となりやすい。
なお、上記サファイア単結晶は、Mgの含有量が5質量ppm以下であることが好ましく、3質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることが更に好ましい。また、サファイア単結晶は、Caの含有量が5質量ppm以下であることが好ましく、3質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることが更に好ましい。また、サファイア単結晶は、Naの含有量が5質量ppm以下であることが好ましく、3質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることが更に好ましい。
結晶中に含まれる上記のような不純物は、原子吸光法(フレーム法)(原子吸光光度計:Z−5010、日立ハイテク製)、もしくはICP−OES法(誘導結合プラズマ発光分光分析装置:SPS5100、エスアイアイ・ナノテクノロジー製)を使用し、同定及び含有量の測定を行うことができる。
また、上記のようにして得られたサファイア単結晶は、結晶中に含まれる泡欠陥が可能な限り少ないことが好ましく、皆無であることが極めて好ましい。サファイア単結晶内に存在する泡欠陥を定量的に評価する方法としては、例えば、波長532nmのレーザー光をインゴットに照射し、微小な泡欠陥に起因する散乱光を観測することが挙げられる。この方法によって評価した場合、インゴット内に散乱光が生じないことが好ましい。
本実施形態に係るサファイア単結晶の製造方法によれば、融液状態を保持するという比較的簡便な方法によって原料に含まれる不純物を十分に低減できる。その結果、優れた品質のサファイア単結晶を効率的に製造することができる。
以上、本発明に係る酸化物単結晶の製造方法の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、原料として酸化アルミニウムを単独で使用してサファイア単結晶を製造する場合を例示したが、酸化アルミニウムに他の酸化物を適宜添加してもよい。例えば、酸化物単結晶の製造に使用する原料に、TiOを0.1〜50質量ppm含有せしめてもよい。原料のTiO含有量を上記範囲とすることで、単結晶における泡欠陥の発生がより一層抑制されるという効果が得られる。原料のTiOの含有量は、5〜30質量ppmとすることがより好ましい。
また、上記実施形態においては、酸化物単結晶としてサファイア単結晶を製造する場合を例示したが、サファイア単結晶以外の酸化物単結晶の製造に本発明に係る酸化物単結晶の製造方法を適用してもよい。例えば、本発明に係る酸化物単結晶の製造方法によれば、LuAlO、YAlO、GdGa12、ErAl12、LuAl12、ZnO、LiB(LBO)、YVO、KTiOPO4(KTP)、KNbO(KN)、CsLiB10(CLBO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ジルコン酸ニオブ酸鉛(PZN)、ビスマスシリコンオキサイド(BSO)、BaTiO(BTO)、マグネシウムニオブ酸鉛とチタン酸鉛との固溶体(PMNT)、鉛ジルコンニオブチタン(PZNT)、ハフニウム酸ストロンチウム(SrHfO)、ハフニウム酸バリウム(BaHfO)、SiO、シリケート(ケイ酸塩)又はフルオロジルコネートを母材とする希土類系単結晶を効率的に製造できる。また、本発明に係る酸化物単結晶の製造方法によれば、LiNbO、LiGeO、Y、Er、YVO、GdAlO又はYScGa12を母材とする単結晶を効率的に製造できる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
(実施例1)
直径100mm、深さ100mmのイリジウム製坩堝に、原料として純度99.99質量%以上の酸化アルミニウム2600gを充填した。この坩堝を高周波誘導加熱炉内に載置した。高周波誘導加熱炉としては、坩堝周辺の保温構造がジルコニア円筒による2重構造からなるものを使用した。酸素含有窒素(酸素濃度:0.25体積%)雰囲気下、高周波誘導によって坩堝を加熱し、坩堝内の原料を溶融させた(溶融工程)。
その後、サファイア単結晶の育成に先立ち、酸素含有窒素(酸素濃度:0.25体積%)雰囲気下、酸化アルミニウムの融液状態を48時間保持することにより、原料に含まれる不純物の除去処理を行った(不純物除去工程)。
不純物除去工程後、チョクラルスキ法に基づきサファイア単結晶の育成を行った(単結晶育成工程)。加熱炉内の雰囲気を酸素含有窒素(酸素濃度:0.25体積%)とし、圧力は大気圧とした。サファイアの種結晶を引き上げ棒の先端に固定し、この種結晶を原料の融液中に入れて種付けを行った。
種結晶を種付けした後、まず、単結晶インゴットの肩部を形成した。すなわち、引き上げ棒を回転速度10回転/分で回転させるとともに、引上げ速度1.5mm/時間で引き上げた。融液の温度を調整することにより、単結晶インゴットの直径を60mmまで広げて肩部を形成した。このとき、単結晶インゴットの下端面は融液側に膨らんだ形状となっていた。
次いで、単結晶インゴットの直胴部を形成した。すなわち、引き上げ棒の回転速度を50回転/分とし、単結晶インゴットの下端面の融液側に膨らんだ部分を再融解させながら、引上げ速度1mm/時間で引上げを続けた。直胴部の長さが80mmとなった時点で結晶を切り離し、30時間かけて冷却を行った。
(実施例2)
不純物除去工程における融液状態の保持を、酸素含有窒素(酸素濃度:0.25体積%)雰囲気下で行う代わりに、窒素(酸素濃度:0.0体積%)雰囲気下にて行ったことの他は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶のインゴットを製造した。
(実施例3)
不純物除去工程における融液状態の保持時間を48時間とする代わりに、当該保持時間を100時間としたことの他は、実施例2と同様にしてサファイア単結晶のインゴットを製造した。
(実施例4)
単結晶の育成を酸素含有窒素(酸素濃度:0.25体積%)雰囲気下で行う代わりに、窒素(酸素濃度:0.55体積%)雰囲気下にて行ったことの他は、実施例3と同様にしてサファイア単結晶のインゴットを製造した。
(実施例5)
純度99.99質量%以上の酸化アルミニウム2600gに含有量10質量ppmとなるようにTiOを添加した原料を使用したことの他は、実施例4と同様にしてサファイア単結晶のインゴットを製造した。
(実施例6)
純度が99.99質量%以上の酸化アルミニウムを使用する代わりに、純度が99.9質量%以上の酸化アルミニウムを使用したことの他は、実施例5と同様にしてサファイア単結晶のインゴットを製造した。
(比較例1)
純度が99.99質量%以上の酸化アルミニウムを使用する代わりに、純度が99.9質量%以上の酸化アルミニウムを使用したこと、並びに、不純物除去工程を実施しなかったことの他は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶のインゴットを製造した。
(比較例2)
不純物除去工程を実施しなかったことの他は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶のインゴットを製造した。
表1に実施例1〜6及び比較例1,2における育成条件、及び、得られた単結晶の評価結果を示す。表1,2中の泡欠陥及び不純物含有量についての評価は下記の基準に基づき行った。
(泡欠陥についての評価基準)
A:直胴部に泡欠陥がほとんど発生していない、
B:目視では泡欠陥は認められないもののレーザー光を照射すると散乱光が観測される、
C:目視では泡欠陥は認められないもののレーザー光を照射すると大部分に散乱光が観測される。
(不純物含有量についての評価基準)
A:不純物の総量が5質量ppm以下、
B:不純物の総量が5質量ppmより多く20質量ppm未満、
C:不純物の総量が20質量ppm以上。
Figure 2009132594

Figure 2009132594
単結晶の育成に使用される装置の基本構成の一例を示す模式断面図である。
符号の説明
1…単結晶インゴット、2…種子結晶、10…引き上げ装置、12…引き上げ棒、14…高周波誘導加熱炉、15…高周波誘導コイル、16…坩堝支持棒、17…坩堝、18…融液。

Claims (10)

  1. 酸化物単結晶の製造に使用する原料を加熱して融液を得る溶融工程と、
    融液状態を保持することにより前記融液に含まれる不純物を低減させる不純物除去工程と、
    前記不純物除去工程を経た原料の融液から酸化物単結晶を製造する単結晶育成工程と、
    を備える酸化物単結晶の製造方法。
  2. 前記不純物除去工程において、融液状態を保持する時間は1〜1000時間である、請求項1に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  3. 前記不純物除去工程における融液状態の保持は、減圧雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下にて行われるものである、請求項1又は2に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  4. 前記不純物除去工程における融液状態の保持は、圧力1.0×10−4〜1.0Paの減圧雰囲気下にて行われるものである、請求項1又は2に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  5. 前記不純物除去工程における融液状態の保持は、Ar、Ne、Kr及びNからなる群より選ばれる1種以上のガス種を含有する不活性ガス雰囲気下にて行われるものである、請求項1又は2に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  6. 前記不純物除去工程における融液状態の保持は、Ar、Ne、Kr及びNからなる群より選ばれる1種以上のガス種を含有する不活性ガスと、酸素との混合ガス雰囲気下にて行われるものであり、前記混合ガスの酸素濃度が0.01〜20体積%である、請求項1又は2に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  7. 前記酸化物単結晶は、サファイア、LuAlO、YAlO、GdGa12、ErAl12、LuAl12、ZnO、LiB、YVO、KTiOPO4、KNbO、CsLiB10、チタン酸ジルコン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ジルコン酸ニオブ酸鉛、ビスマスシリコンオキサイド、BaTiO、マグネシウムニオブ酸鉛とチタン酸鉛との固溶体、鉛ジルコンニオブチタン、ハフニウム酸ストロンチウム、ハフニウム酸バリウム、SiO、シリケート及びフルオロジルコネートからなる群より選ばれる1種以上を母材とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  8. 前記酸化物単結晶は、LiNbO、LiGeO、Y、Er、YVO、GdAlO及びYScGa12からなる群より選ばれる1種以上を母材とする単結晶である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  9. 前記酸化物単結晶がサファイアであるとともに、前記不純物除去工程における処理温度がサファイアの融点以上であり且つ前記原料を収容する坩堝を形成する材料の融点未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸化物単結晶の製造方法。
  10. 前記原料は、TiOの含有量が0.1〜50質量ppmである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の酸化物単結晶の製造方法。
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