JP2004123467A - サファイア単結晶およびサファイア単結晶用原料 - Google Patents

サファイア単結晶およびサファイア単結晶用原料 Download PDF

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川南 修一
Hirobumi Yamamoto
山本 博文
Yutaka Murata
村田 豊
Jiro Toyoshima
豊島 二朗
Kaori Shoku
植 芳織里
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Abstract

【目的】泡などの結晶欠陥が少なく、紫外線照射による着色がないベルヌーイ法で製造されたサファイア単結晶およびこのようなサファイア単結晶用原料を提供すること。
【構成】TiをAl原子数に対して3〜20ppm、Fe、CoおよびNiのうち1種以上を合計量でAl原子数に対して3〜20ppm含有するサファイア単結晶原料を用いてサファイア単結晶を製造する。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腕時計窓材等適した、ベルヌーイ法で製造されるサファイア単結晶およびサファイア単結晶用原料に関する。
【0002】
【従来技術】
腕時計用窓材としては、ガラスや樹脂、サファイアが用いられているが、サファイアは、ガラスや樹脂に比べて硬くて傷がつきにくいことから、好んで使用されることが多くなってきている。この腕時計用サファイアは、主としてベルヌーイ法により作製されている。ベルヌーイ法による単結晶の製造法においては、原料粉末を入れた容器から、酸水素炎中に原料粉末を少量づつ落下させ、溶融した原料を堆積させ、徐々に成長させることにより単結晶を製造する。ベルヌーイ法では結晶育成中に不純物の混入が少なく、高純度な単結晶が得られるため、得られた単結晶は透明性に優れている。また育成された結晶は腕時計窓のサイズに適した大きさの外径の円柱状結晶(ブールと呼ぶ)となるため、輪切りに切断して使用すればよく、コストを低く押さえられるという利点がある。
【0003】
腕時計用窓材に用いられるサファイアは、ブールの大きさや形状、育成スピードが生産コストに影響するため、製造しようとする腕時計窓に極力近い大きさ・形状のサファイア単結晶を高速で育成することが望まれている。従来、このような要求に応えるため、サファイア用原料にTiを添加することが行われている。Tiを加えることにより、高速での育成が可能となり、微小な泡を減少させることができる。また、ファセットと呼ばれる結晶面の発現が抑えられ、ブール形状が角形にならず、円柱状に育成することができる。
【0004】
ところが近年、サファイアの固定に紫外線硬化タイプの接着剤が多用されるようになり、その際に紫外線によりサファイアが黄褐色に着色するという問題がある。着色の原因は、Ti4+イオンによるカラーセンターであると考えられており、歪み除去の熱処理を還元雰囲気で行い、TiをTi3+イオンの状態で存在させることで、紫外線による着色を軽減することが行われている。しかしこの熱処理を結晶の全域にまで均一にするには、長時間の熱処理が必要で、コストが高くつくうえ、均一にするのは容易ではない。さらに熱処理後のブールは薄ピンク色に着色し、紫外線による着色も軽減はされるものの完全には抑えられていない。
【0005】
このような不都合を解消する技術として特許文献1には、サファイア用原料にTiと同時にCaを加えることが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−115931号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示された技術に従ってCaを添加した場合には、ファセット抑制に対し効果があるものの、紫外線照射による着色防止には十分な効果が得られず、Tiの添加量に対応した紫外線照射による着色が見られ、着色の問題に対して本質的な問題解決には至っていないことが判明した。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、泡などの結晶欠陥が少なく、紫外線照射による着色がないベルヌーイ法で製造されたサファイア単結晶およびこのようなサファイア単結晶用原料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく主にサファイア単結晶の組成について研究を重ねた結果、Tiと同時に、Fe、CoおよびNiの1種以上の成分を適量配合することにより、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、TiをAl原子数に対して3〜20ppm、Fe、CoおよびNiのうち1種以上を合計量でAl原子数に対して3〜20ppm含有することを特徴とするサファイア単結晶、およびTiをAl原子数に対して3〜20ppm、Fe、CoおよびNiのうち1種以上を合計量でAl原子数に対して3〜20ppm含有することを特徴とするサファイア単結晶用原料を提供する。この場合に、Tiの原子数と、Fe、CoおよびNiの合計の原子数との比Ti/(Fe+Co+Ni)の値が0.5〜2であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に係るサファイア単結晶は、TiをAl原子数に対して3〜20ppm、Fe、CoおよびNiのうち1種以上を合計量でAl原子数に対して3〜20ppm含有する。
【0012】
Tiは、サファイア単結晶を高速で育成し、微小な泡を減少させるとともに、ファセットと呼ばれる結晶面の発現を抑えるために添加する必要がある。しかし、Ti量がAl原子数に対して3ppmよりも少ない場合には、結果として結晶中に微細な泡が残存してしまう。一方、TiがAl原子数に対して20ppmよりも多い場合には、紫外線耐性を高めるために、Fe,Co,Niを相当量含有する必要があり、結晶の外周部が青緑色に薄く着色するので好ましくない。したがって、TiをAl原子数に対して3〜20ppmで含有させる。
【0013】
Fe、CoおよびNiは、イオン半径がAlと比較的近く、サファイア中に固溶し、原子価制御添加剤として働く。そのため、Tiと同様、Al原子数に対して3〜20ppmの範囲で添加する。すなわち、サファイア単結晶が着色するのは、Ti4+が存在すると、紫外線照射により酸素イオンサイトの空孔に電子が捕捉され、可視域の吸収(カラーセンター)が起こるためと考えられていることから、Fe、CoおよびNiの1種以上を同時に添加すれば、これらは2価と3価の電位をとるため、Tiと共存することにより空孔が生じたり電子を捕捉したりする確率が低下すると考えられる。この結果、Tiとのチャージバランスがとれ、カラーセンターが生じないため、紫外線による着色が起こらないと考えられる。そして、このような作用を生じさせるためには、Fe、CoおよびNiの合計量がTiと同様の3〜20ppmの範囲であればよい。
【0014】
Tiの量とFe、CoおよびNiの合計量との比率は、0.5〜2の範囲にあることが好ましい。この範囲であれば、チャージバランスがより良好となり、より着色が生じ難くなる。そして、この比率は1に近い程好ましい。これは、Tiの量とFe、CoおよびNiの合計量との比率が1近傍であれば、ほぼ完全にチャージバランスがとれ、実質的に着色が生じないからである。
【0015】
このようなサファイア単結晶を得るためには、アルミナ粉末に、Ti,Fe,Co,Niを上記範囲で添加したサファイア単結晶用原料を用いる。そして、このようなサファイア単結晶用原料を用いてベルヌーイ法により単結晶を育成し、上記サファイア単結晶を製造する。
【0016】
Ti,Fe,Co,Niの添加方法については特に問わないが、これらの金属粉末、酸化物粉末を原料粉末と混合するか、塩化物、硫酸化合物、硝酸化合物、その他有機化合物、等を原料合成工程で混合して使用すればよい。
【0017】
なお、本発明は、原料中に含まれる添加物量と育成後の単結晶中に含まれる添加物量が等しいという前提に基づいているが、単結晶中の添加物の濃度は一般的に中心部が少なく、外周にいくほど高濃度になる結果が得られている。そのため、結晶の一部分を分析した場合には、製造された単結晶と単結晶用原料との間で添加物濃度にずれを生じることが予想される。そのため、本発明に規定するサファイア単結晶の添加物濃度は単結晶全体の平均の値を表すものとする。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例について比較例と対比して説明する。
原料として市販のγ―アルミナ粉末(純度>99.99%)を用いた。この原料粉末中に含まれるTi,Fe,Co,Niの量は、ICP分析の結果、いずれも1ppm以下であった。このアルミナ粉末に、TiO、Fe、CoO、NiOをそれぞれ表1に示す量で配合し、サファイア単結晶用原料とした。これらサファイア単結晶用原料を用い、ベルヌーイ法による単結晶製造装置にて、サファイア単結晶を育成した。
【0019】
得られた単結晶について、泡、形状を目視により評価した後、1800℃以上の温度で歪み除去を行い、切断後#320の砥粒でラッピングし円板状の試料を準備した。この試料の外周部の着色度合いを目視で観察し、外周部に着色のないものは合格○とし、青緑色に着色していると認められるものは不合格×とした。さらに、紫外線(254nm)照射前後の黄色度を横河M&C社製分光測色計(CD−100)で測定した。黄色度は、XYZ表色系において、以下の式で表されるYIで評価し、YIの値が5以下を合格○とし、5超えを不合格×とした。YI=100×(1.28X−1.06Z)/Y
【0020】
表1に実施例および比較例について、泡の有無、外周の着色、紫外線照射前後の黄色度を示す。
【0021】
【表1】
Figure 2004123467
【0022】
表1に示すように、本発明の範囲内である実施例1〜12については、いずれも泡の発生、外周の着色がなく、紫外線照射前後の黄色度が基準値を満たしていた。これに対して、本発明の範囲から外れる比較例1〜5については、泡の発生、もしくは外周の着色が存在するか、または紫外線照射後の黄色度が基準値を満たしていなかった。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、TiをAl原子数に対して3〜20ppm、Fe、CoおよびNiのうち1種以上を合計量でAl原子数に対して3〜20ppm含有することにより、泡などの結晶欠陥が少なく、紫外線照射による着色がないサファイア単結晶が得られる。

Claims (4)

  1. TiをAl原子数に対して3〜20ppm、Fe、CoおよびNiのうち1種以上を合計量でAl原子数に対して3〜20ppm含有することを特徴とするサファイア単結晶。
  2. Tiの原子数と、Fe、CoおよびNiの合計の原子数との比Ti/(Fe+Co+Ni)の値が0.5〜2であることを特徴とする請求項1に記載のサファイア単結晶。
  3. TiをAl原子数に対して3〜20ppm、Fe、CoおよびNiのうち1種以上を合計量でAl原子数に対して3〜20ppm含有することを特徴とするサファイア単結晶用原料。
  4. Tiの原子数と、Fe、CoおよびNiの合計の原子数との比Ti/(Fe+Co+Ni)の値が0.5〜2であることを特徴とする請求項3に記載のサファイア単結晶用原料。
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