JP2009131881A - 偏芯拡管の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】割れやネッキングが発生しやすい高拡管周面の板厚が薄くなることを抑制する偏芯拡管の製造方法を提供する。
【解決手段】偏芯拡管工程は、逆偏芯拡管工程と順偏芯拡管工程とからなり、逆偏芯拡管工程は、拡管部2の外形状に収まる逆偏芯内面311を有する逆偏芯ダイ31の前記逆偏芯内面311の範囲に素管部1の端部11を突出させた状態で、高拡管側より低拡管側に偏芯した逆偏芯パンチ32を前記素管部1の端部11に圧入して低拡管側を主に偏芯拡管加工し、順偏芯拡管工程は、拡管部2の外形状に相当する順偏芯内面411を有する順偏芯ダイ41の前記順偏芯内面411の範囲に前記逆偏芯拡管工程により偏芯拡管した素管部1の端部11を突出させた状態で、高拡管側に大きな断面の順偏芯パンチ42を前記素管部1の端部11に圧入して高拡管側を主に偏芯拡管加工する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば燃料給油管の給油管本体とフィラネックとを結ぶ偏芯拡管の製造方法に関する。
最初に、以下に使用する用語を特定する。同芯拡管は、素管部の軸芯に対して拡管部の軸芯が同芯の拡管部を有する管体を意味し、同芯拡管工程により作られる。同芯拡管工程は、素管部の端部を、素管部の軸芯と同芯にしたまま拡管加工(同芯拡管加工)する工程であり、一対となる特定の同芯ダイ及び同芯パンチを用いる。同芯ダイは、同芯拡管工程終了後における素管部の端部、すなわち拡管部に倣った同芯内面を有する。同芯パンチは、素管部の端部を前記同芯内面の範囲で突出させた状態で前記端部に圧入する。
偏芯拡管は、素管部の軸芯に対して拡管部の軸芯が偏芯した拡管部を有する管体を意味し、偏芯拡管工程により作られる。偏芯拡管工程は、素管部の端部又は予め同芯拡管加工された素管部の端部を、素管部の軸芯から偏芯して拡管加工(偏芯拡管加工)する工程であり、一対となる特定の偏芯ダイ(本発明の順偏芯ダイ)及び偏芯パンチを用いる。偏芯ダイは、偏芯拡管工程終了後における素管部の端部、すなわち拡管部に倣った偏芯内面を有する。偏芯パンチは、素管部の端部又は予め同芯拡管加工された素管部の端部を前記同芯内面の範囲で突出させた状態で圧入する。
偏芯拡管加工された拡管部は、素管部に対して偏芯している。そこで、拡管部の周面が素管部の周面から半径方向に大きく離れる側を高拡管側として、前記高拡管側の周面を高拡管周面と呼ぶ。同様に、拡管部の周面が素管部の周面から半径方向にあまり離れない側又は全く離れない側を低拡管側として、前記低拡管側の周面を低拡管周面と呼ぶ。これから、同芯拡管工程を終えた段階の素管部の端部は、高拡管周面と低拡管周面との外径は等しいが、偏芯拡管工程を終えた段階の拡管部は、高拡管周面の外径が低拡管周面の外径より大きくなる。
燃料給油管は、素管部の軸芯に対して拡管部の軸芯を偏芯させた偏芯拡管が用いられる。具体的には、素管部が燃料タンクに繋がる給油管本体、拡管部がフィラネックとなる。例えば、拡管率の小さい偏芯拡管(拡管率=拡管部の外径/素管部の外径×100=120%前後)は、拡管部の外形状に相当する偏芯内面を有する偏芯ダイの前記偏芯内面の範囲に素管部の端部を突出させた状態で、偏芯パンチを圧入して前記端部を偏芯拡管加工する偏芯拡管工程のみで製造できる。ここで、近年の燃料給油管は、給油性の改善と軽量化のために細くなる給油管本体に対し、規格化されたフィラネックを小さくできず、偏芯拡管の拡管率が大きくなっている。そして、拡管率が大きいと拡管部に割れやネッキングを生じるので、拡管率の大きな偏芯拡管(拡管率150%前後)は同芯拡管工程と偏芯拡管工程とを組み合わせたり、複数回の同芯拡管工程又は偏芯拡管工程を繰り返したりして製造される。
特許文献1は、高拡管周面(偏心側)の軸方向の長さ(管軸方向長さ)を低拡管周面(非偏心側)より長くする同軸拡管した素管部の端部(同軸拡径管端部)を形成する同芯拡管工程(同軸拡径工程)と、低拡管周面より先に高拡管周面に接触する偏芯パンチ(ポンチ円筒部)を前記端部に圧入して偏芯された拡管部(偏心拡径管端部)を形成する偏芯拡管工程(偏心拡径工程)とを組み合せた偏芯拡管の製造方法を開示している(請求項1ほか)。特許文献1が開示する製造方法は、高拡管周面より低拡管周面の軸方向の長さを長くする先端円錐部とパンチ本体(ポンチ円筒部)との境界線を傾斜させた同芯パンチと、前記同芯パンチの境界線と逆方向に傾斜した境界線を境に先端円錐部及びパンチ本体とからなる偏芯パンチとを用いる点に特徴を有する(請求項2ほか)。この特許文献1が開示する製造方法は、偏芯拡管工程において高拡管周面の材料流動が抑制され、低拡管周面から高拡管周面への材料流動が促進されるため、周方向の局部的な減肉が抑制されるとしている(発明の効果)。
特開2002-102959号公報
偏芯拡管工程は、偏芯ダイの偏芯内面の範囲に突出させた素管部の端部又は既に同芯拡管加工された前記端部に偏芯パンチを圧入することにより、主に高拡管周面を引っ張って塑性変形させ、拡管部を形成する。このため、もっぱら高拡管周面の板厚が薄くなってしまう。これが、拡管部の高拡管周面に割れやネッキングを発生させる原因となっている。特許文献1が開示する製造方法は、高拡管周面に偏って引っ張られることにより薄くなる前記高拡管周面の板厚を補う偏芯拡管工程を採用している。具体的には、高拡管周面の材料流動が抑制され、低拡管周面から高拡管周面への材料流動が促進されるため、周方向に関して局部的な減肉が抑制されるとしている。しかし、「材料流動」とは具体的にどのような現象を意味するのかが不明であり、どのようにして高拡管周面の板厚が薄くなることを抑制するのかが分からないため、割れやネッキングがどの程度抑制されるかが不明である。そこで、割れやネッキングが発生しやすい高拡管周面の板厚が薄くなることを抑制することを目標に、偏芯拡管工程を見直すため、検討した。
検討の結果、偏芯拡管工程により素管部の端部を偏芯した拡管部に塑性変形する偏芯拡管の製造方法であって、偏芯拡管工程は、逆偏芯拡管工程と順偏芯拡管工程とからなり、逆偏芯拡管工程は、拡管部の外形状に収まる逆偏芯内面を有する逆偏芯ダイの前記逆偏芯内面の範囲に素管部の端部を突出させた状態で、高拡管側より低拡管側に偏芯した逆偏芯パンチを前記素管部の端部に圧入して低拡管側を主に偏芯拡管加工し、順偏芯拡管工程は、拡管部の外形状に相当する順偏芯内面を有する順偏芯ダイの前記順偏芯内面の範囲に前記逆偏芯拡管工程により偏芯拡管加工した素管部の端部を突出させた状態で、高拡管側に大きな断面の順偏芯パンチを前記素管部の端部に圧入して高拡管側を主に偏芯拡管加工する偏芯拡管の製造方法を開発した。ここで、拡管部の外形状に収まる逆偏芯内面は、拡管部の外形状より小さい空間を形成する内面を、また拡管部の外形状に相当する順偏芯内面は、拡管部の外形状にほぼ等しい大きさの空間を形成する内面をそれぞれ意味する。
逆偏芯拡管工程及び順偏芯拡管工程は、それぞれ1回ずつを基本とするが、それぞれ複数回実行するようにしてもよい。この場合、複数回の逆偏芯拡管工程をすべて終えた後、複数回の順偏芯拡管工程を実行する手順が好ましいが、各回の逆偏芯拡管工程と順偏芯拡管工程とを組み合わせ、交互に各回の逆偏芯拡管工程と順偏芯拡管工程とを交互に実行する手順としてもよい。また、最初の逆偏芯拡管工程は、直接素管部の端部を偏芯拡管加工してもよいし、予め同芯拡管工程により同芯拡管加工された素管部の端部を偏芯拡管加工してもよい。前者は工程数を削減する場合、後者は拡管率を高める場合に適している。
本発明の偏芯拡管の製造方法は、従来の偏芯拡管工程に相当する順偏芯拡管工程に先んじて、低拡管側を半径方向に膨出させる逆偏芯拡管工程を実効する点に特徴を有する。順偏芯拡管工程は、従来同様、素管部の端部の高拡管側を半径方向に膨出させ、高拡管周面を引っ張ることにより拡管部を形成するため、高拡管周面は引っ張られて板厚が薄くなる。逆偏芯拡管工程は、順偏芯拡管工程より低い拡管率で、素管部の端部の低拡管側を半径方向に膨出させ、低拡管周面を引っ張ることにより、製品と逆に偏芯した素管部の端部を形成する。これは、高拡管周面の板厚が薄くなることを抑制しながら、低拡管周面を引っ張って拡管率を稼ぐ働きを有する。これにより、順偏芯拡管工程で引っ張られる高拡管周面は、過剰に板厚が薄くなることが抑制され、割れやネッキングの発生が防止される。
上記製造方法では、逆偏芯拡管工程は逆偏芯ダイ及び逆偏芯パンチを用い、低拡管周面を膨出させて素管部の端部の軸芯を低拡管側に偏芯させ、順偏芯拡管工程は順偏芯ダイ及び順偏芯パンチとを用い、高拡管周面を膨出させて素管部の端部の軸芯を高拡管側に偏芯させる。すなわち、逆偏芯拡管工程を終えた素管部の端部は、素管部に対する拡管部の軸芯に一致するまで、前記端部の軸芯を大きく偏芯させる必要がある。そこで、逆偏芯拡管工程は、拡管部の外形状に相当する順偏芯内面を有する順偏芯ダイの前記順偏芯内面の範囲に素管部の端部を突出させた状態で、高拡管側より低拡管側に偏芯した逆偏芯パンチを前記素管部の端部に圧入して低拡管側を主に偏芯拡管加工するとよい。この場合、逆偏芯拡管工程における素管部の端部は、低拡管周面の膨出が順偏芯ダイの順偏芯内面に規制され、素管部の端部の軸芯を高拡管側に偏芯させながら前記低拡管周面を膨出させる。このため、逆偏芯拡管工程を終えた素管部の端部は、素管部に対する拡管部の軸芯に一致するまで、前記端部の軸芯をほとんど偏芯させる必要がない。
本発明による偏芯拡管の製造方法は、偏芯拡管の割れやネッキングを発生させることなく、前記偏芯拡管の拡管率を大きくすることができる。これは、偏芯拡管工程を逆偏芯拡管工程と順偏芯拡管工程とに分け、逆偏芯拡管工程において、高拡管周面の板厚が薄くなることを抑制しながら、低拡管周面を引っ張って拡管率を稼いでおきながら、最終的に順偏芯拡管工程で改めて高拡管周面を引っ張って偏芯拡管する手順による効果である。
また、逆偏芯拡管工程における低拡管周面の引っ張りと順偏芯拡管工程における高拡管周面の引っ張りとが同程度であれば、本発明による偏芯拡管の拡管部の板厚は周方向に略均一になる。これは、素管部の端部における低拡管側と高拡管側との周方向に対する塑性変形量が略等しいことを意味し、従来の偏芯拡管工程で斜めになり、大きな端材を生み出していた前記端部の端面を真直ぐにして、端材の発生量を抑えることのできる効果をもたらす。
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1〜図4は逆偏芯拡管工程に逆偏芯ダイ31、順偏芯拡管工程に順偏芯ダイ41を用いた製造方法の例(本例)について図示している。具体的には、図1は本例の逆偏芯拡管工程を始める前における逆偏芯ダイ31中の素管部1の端部11を表す断面図、図2は本例の逆偏芯拡管工程を終えた後における逆偏芯ダイ31中の素管部1の端部11を表す断面図、図3は本例の順偏芯拡管工程を始める前における順偏芯ダイ41中の素管部1の端部11を表す断面図、そして図4は本例の順偏芯拡管工程を終えた後における順偏芯ダイ41中の拡管部2を表す断面図である。本例は、拡管率を稼ぐ目的から、予め同芯拡管工程を経た端部11に逆偏芯拡管工程及び順偏芯拡管工程を順に施している。
本発明の偏芯拡管の製造方法は、既述したように、従来の偏芯拡管工程に相当する順偏芯拡管工程に先行する逆偏芯拡管工程により、素管部1の端部11の低拡管周面21及び高拡管周面22を、最終的な製品における拡管部2の低拡管周面21及び高拡管周面と逆向きに膨出させておく点に特徴を有する。具体的には、図1に見られるように、拡管率を稼ぐために先に同芯拡管加工した素管部1の端部11を、逆偏芯ダイ31の逆偏芯内面311の範囲に突出させた状態で、高拡管側より低拡管側に偏芯した逆偏芯パンチ32を前記素管部1の端部11に圧入し、図2に見られるように、素管部1の軸芯Ooに対して端部11の軸芯Omを低拡管側に偏芯させ、低拡管周面21を大きく膨出させる。
逆偏芯拡管工程に用いる逆偏芯パンチ32は、低拡管周面21を膨出させることから、逆偏芯テーパ面321の低拡管側の母線が長く、高拡管側の母線が短くなっている。これから、素管部1と端部11とを結ぶ中間部12は、前記逆偏芯パンチ32の逆偏芯テーパ面321に倣って低拡管側の母線を長く、高拡管側の母線を短くしたテーパ面となり、素管境界縁13を素管部1の外径に等しい円形のままとしながら、低拡管側の母線を長くするように拡管境界縁23を傾斜させる。これは、低拡管周面21が引っ張られて伸びていることを意味しており、逆偏芯拡管工程を終えた端部11の端面14は前記拡管境界縁23と逆に傾斜する。
逆偏芯拡管工程を終えた素管部1の端部11は、図3に見られるように、順偏芯ダイ41の順偏芯内面411の範囲に突出させた状態で、低拡管側より高拡管側に偏芯した順偏芯パンチ42を圧入し、図4に見られるように、素管部1の軸芯Ooに対して端部11の軸芯Omを上述と逆に偏芯させ、高拡管周面22を大きく膨出させる。こうして順偏芯拡管工程を終えた端部11が拡管部2となる。すなわち、拡管部2の軸芯Oeは、素管部1の軸芯Ooに対し、逆偏芯拡管工程を終えた端部11の軸芯Omと逆方向(高拡管側)に偏芯させる。拡管部2の偏芯は、端部11の軸芯Omを低拡管側から高拡管側に変位させるのではなく、専ら相対的に低拡管周面21を高拡管周面22より膨出させていた端部11を、逆に高拡管周面22を低拡管21より膨出させる塑性変形により実現される。
ここで、逆偏芯拡管工程を終えて順偏芯ダイ41に差し込まれた端部11は、製品となる拡管部2に較べて低拡管周面21を大きく膨出させることになるので、図3に明示されているように、拡管境界縁23を順偏芯ダイ41の順偏芯内面411に当てて高拡管側に曲げられた格好になる。この場合、逆偏芯拡管工程により圧縮される低拡管周面21が引っ張られ、逆に逆偏芯拡管工程により引っ張られる高拡管周面22が圧縮されることになるから、それぞれの板厚の増減が抑制され、特に高拡管周面22の板厚の減少が抑制される。本発明は、逆偏芯拡管工程と順偏芯拡管工程とで低拡管側と高拡管側との引っ張り及び圧縮を打ち消し合うことで、偏った板厚の減少を抑制する。前記端部11を曲げての逆偏芯拡管工程は、本発明の効果を更に補強する働きを有し、拡管部2における割れやネッキングの発生を防止することに寄与する。
順偏芯拡管工程に用いる順偏芯パンチ42は、高拡管周面22を膨出させることから、順偏芯テーパ面421の高拡管側の母線が長く、低拡管側の母線が短くなっている。これから、素管部1と端部11とを結ぶ中間部12は、前記順偏芯パンチ42の順偏芯テーパ面421に倣って高拡管側の母線を長く、低拡管側の母線を短くしたテーパ面となり、素管境界縁13を素管部1の外径に等しい円形のままとしながら、高拡管側の母線を長くするように拡管境界縁23を傾斜させる。これは、高拡管周面22が引っ張られて伸びていることを意味しており、順偏芯拡管工程を終えて形成される拡管部2の端面14は傾斜姿勢から再び軸芯Oeに直交する姿勢に復帰する。
図5〜図8は逆偏芯拡管工程及び順偏芯拡管工程共に順偏芯ダイ41を用いた製造方法の例(別例)について図示している。具体的には、図5は別例の逆偏芯拡管工程を始める前における順偏芯ダイ41中の素管部1の端部11を表す断面図、図6は別例の逆偏芯拡管工程を終えた後における順偏芯ダイ41中の素管部1の端部11を表す断面図、図7は別例の順偏芯拡管工程を始める前における順偏芯ダイ41中の素管部1の端部11を表す断面図、そして図8は別例の順偏芯拡管工程を終えた後における順偏芯ダイ41中の拡管部2を表す断面図である。別例も、上記例示(本例、図1〜図4参照)と同じく、拡管率を稼ぐ目的から、予め同芯拡管工程を経た端部11に逆偏芯拡管工程及び順偏芯拡管工程を順に施している。
本発明は、先に相対的に低拡管周面21を高拡管周面22より膨出させ、後から相対的に高拡管周面22を低拡管周面21より膨出させればよい。そこで、端部11の軸芯Omの偏芯そのものは拡管部2の軸芯Oeと同じ方向、すなわち高拡管側に偏芯させながら、先に相対的に低拡管周面21を高拡管周面22より膨出させ、後から相対的に高拡管周面22を低拡管周面21より膨出させることが考えられる。具体的には、図5に見られるように、拡管率を稼ぐために先に同芯拡管加工した素管部1の端部11を、順偏芯ダイ41の順偏芯内面411の範囲に突出させた状態で、高拡管側より低拡管側に偏芯した逆偏芯パンチ32を前記素管部1の端部11に圧入し、図6に見られるように、素管部1の軸芯Ooに対して端部11の軸芯Omを高拡管側に偏芯させながら、低拡管周面21を大きく膨出させる。
これにより、逆偏芯拡管工程を終えた端部11は、順偏芯ダイ41の順偏芯内面411に倣って塑性変形するため、軸芯Omを最終的な製品となる拡管部2の軸芯Oeと同じ高拡管側に偏芯させることができる。ここで、前記端部11は、順偏芯ダイ41の順偏芯内面411の範囲で低拡管周面21を無理に膨張させるため、図6に見られるように、中間部12に屈曲境界縁24を形成してだぶついた格好になるが、前記だぶつきは順偏芯拡管工程において順偏芯ダイ42に押されて伸ばされるため、問題はない。また、この別例の製造方法では、逆偏芯拡管工程と順偏芯拡管工程とで共通の順偏芯ダイ41を利用するため、ダイの製造コストが低減されるばかりでなく、工程の面において端部11を移し替える必要はなく、逆偏芯拡管工程を終えると直ちに順偏芯拡管工程に移行できる利点がある。
逆偏芯拡管工程を終えた素管部1の端部11は、図7に見られるように、順偏芯ダイ41の順偏芯内面411の範囲に突出させた状態のまま、低拡管側より高拡管側に偏芯した順偏芯パンチ42を圧入し、図8に見られるように、素管部1の軸芯Ooに対して端部11の軸芯Omを高拡管側に偏芯させたまま、高拡管周面22を大きく膨出させ、拡管部2を形成する。逆偏芯拡管工程を終えた端部11の軸芯Omと拡管部2の軸芯Oeとの偏芯方向は一致するが、必ずしも偏芯量が一致しているとは限らないため、順偏芯拡管工程において端部11の軸芯Omに対して拡管部2の軸芯Oeは偏芯するが、前記偏芯量は僅かである。このため、この別例の製造方法は、逆偏芯拡管工程と順偏芯拡管工程とで低拡管側と高拡管側との引っ張り及び圧縮を打ち消し合うことで、偏った板厚の減少を抑制し、拡管部2における割れやネッキングの発生を防止することになる。
本例の逆偏芯拡管工程を始める前における逆偏芯ダイ中の素管部の端部を表す断面図である。 本例の逆偏芯拡管工程を終えた後における逆偏芯ダイ中の素管部の端部を表す断面図である。 本例の順偏芯拡管工程を始める前における順偏芯ダイ中の素管部の端部を表す断面図である。 本例の順偏芯拡管工程を終えた後における順偏芯ダイ中の拡管部を表す断面図である。 別例の逆偏芯拡管工程を始める前における順偏芯ダイ中の素管部の端部を表す断面図である。 別例の逆偏芯拡管工程を終えた後における順偏芯ダイ中の素管部の端部を表す断面図である。 別例の順偏芯拡管工程を始める前における順偏芯ダイ中の素管部の端部を表す断面図である。 別例の順偏芯拡管工程を終えた後における順偏芯ダイ中の拡管部を表す断面図である。
符号の説明
1 素管部
11 端部
12 中間部
2 拡管部
21 低拡管周面
22 高拡管周面
31 逆偏芯ダイ
311 逆偏芯内面
32 逆偏芯パンチ
41 順偏芯ダイ
411 順偏芯内面
42 順偏芯パンチ
Oo 素管部の軸芯
Om 逆偏芯させた端部の軸芯
Oe 拡管部の軸芯

Claims (2)

  1. 偏芯拡管工程により素管部の端部を偏芯した拡管部に塑性変形する偏芯拡管の製造方法であって、
    偏芯拡管工程は、逆偏芯拡管工程と順偏芯拡管工程とからなり、
    逆偏芯拡管工程は、拡管部の外形状に収まる逆偏芯内面を有する逆偏芯ダイの前記逆偏芯内面の範囲に素管部の端部を突出させた状態で、高拡管側より低拡管側に偏芯した逆偏芯パンチを前記素管部の端部に圧入して低拡管側を主に偏芯拡管加工し、
    順偏芯拡管工程は、拡管部の外形状に相当する順偏芯内面を有する順偏芯ダイの前記順偏芯内面の範囲に前記逆偏芯拡管工程により偏芯拡管加工した素管部の端部を突出させた状態で、高拡管側に大きな断面の順偏芯パンチを前記素管部の端部に圧入して高拡管側を主に偏芯拡管加工する
    ことを特徴とする偏芯拡管の製造方法。
  2. 逆偏芯拡管工程は、
    拡管部の外形状に相当する順偏芯内面を有する順偏芯ダイの前記順偏芯内面の範囲に素管部の端部を突出させた状態で、高拡管側より低拡管側に偏芯した逆偏芯パンチを前記素管部の端部に圧入して低拡管側を主に偏芯拡管加工する
    請求項1記載の偏芯拡管の製造方法。
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