JP2009131847A - 固体酸触媒の調製方法、及び該触媒を用いたラクタム化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】管の下層部に酸化物及び水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1化合物を、その上層部に酸素で二酸化硫黄を酸化する能力を有する触媒を存在させ、三酸化硫黄を含む気体とを接触させ固体酸触媒を調製する。この調製法で得られる固体酸触媒の存在下、シクロアルカノンオキシム化合物からベックマン転位反応により対応するラクタム化合物の製造方法。
【選択図】なし
Description
特に、シクロアルカノンオキシム化合物からベックマン転位反応により対応するラクタム化合物を製造するに際し、温和な反応条件下において高収率でラクタム化合物を製造する触媒の調製法を提供することを課題とする。
本発明で使用する三酸化硫黄は、硫黄を含むものから製造されるものならば、特に制限されない。三酸化硫黄を製造するために使用される硫黄化合物として、例えば、硫黄、SO2、SnOn(n=5〜8)、H2SO4、発煙硫酸、(NH4)2SO4、H2SO3、H2S2On(n=3〜7)、FSO3H、CF3SO3H,ClSO3H、SOCl2、SO2Cl2、及びTiSO4等の金属硫酸塩が挙げられる。これらは単独でも混合して使用しても良い。
好ましくは、常温で気体の二酸化硫黄(SO2)を酸化した三酸化硫黄(SO3)が使用され、SO2の場合、例えば不活性ガス等で希釈したものを使用できる。
酸素酸化については、特に制限されず、純酸素、空気、又は不活性ガス等で希釈したもの等が使用できる。ただし、いずれも含有水分量が少ないものが好ましい。具体的には、導入する気体中の水分量は、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは100ppm、さらに好ましくは10ppm以下、最も好ましくは、水分含有量を1ppm以下に制御したものである。
これらの酸化触媒は、その役割から通常は、流す気体に対し、酸化物あるいは水酸化物の上流部に充填される。
これらの元素は2種以上を混合して使用しても何ら、問題はない。
また、これらのシクロアルカノンオキシム化合物は、単独での使用ならびに2種以上を混合して使用しても何ら問題はない。
次に、本発明において使用した酸化物の合成方法を説明する。
テトラエチルオルトシリケート200mmolと70wt%ジルコニウムプロポキシド/プロパノール溶液10mmolを混合し室温で1分攪拌した。得られた溶液(1)を、ドデシルアミン60mmolとエタノール1.3molと水7.2molの混合液(2)に加えて室温で1時間激しく攪拌した。生成した白色ゲルを室温で113時間熟成させた後、白色固体を濾取して水及びエタノールで洗浄し、105℃で24時間乾燥した。次いで、空気中、室温から600℃まで5℃/分で昇温して、600℃で1時間焼成した。X線回折測定(Cu−Kα線)及び窒素吸着測定による窒素吸着等温線から、得られた複合酸化物がメソ多孔体であることを確認した。比表面積は993m2/gであった。この複合酸化物についてICP分析を行ったところ、Si/Zr(原子比)=16であった。以下、これをZr−MS−16と略記する。
70wt%ジルコニウムプロポキシド/プロパノール溶液を2mmolに変えたほかは固体酸化物製造例1と同様に複合酸化物を調製した。X線回折測定から、得られた複合酸化物がメソ多孔体であることを確認した。Si/Zr(原子比)=87であった。以下、これをZr−MS−87と略記する。
テトラエチルオルトシリケート200mmolとエタノール1.3molとイソプロパノール200mmolを混合し、これに硝酸ガリウム4.0mmolを加えて室温で20分攪拌した。得られた混合液(1)を、ドデシルアミン60mmolと水7.2molの混合液(2)に加えて室温で1時間激しく攪拌した。生成した白色ゲルを室温で113時間熟成させた後、白色固体を濾取して水及びエタノールで洗浄し、105℃で24時間乾燥した。次いで、空気中、室温から600℃まで5℃/分で昇温して、600℃で1時間焼成した。X線回折測定から、得られた複合酸化物がメソ多孔体であることを確認した。Si/Ga(原子比)=50であった。以下、これをGa−MS−50と略記する。
テトラエチルオルトシリケート200mmolとエタノール1.3molとイソプロパノール200mmolを混合し、これにアルミニウムイソプロポキシド4.0mmolを加えて70℃で20分攪拌した。得られた混合液(1)を、ドデシルアミン60mmolと水7.2molの混合液(2)に加えて室温で1時間激しく攪拌した。生成した白色ゲルを室温で113時間熟成させた後、白色固体を濾取して水及びエタノールで洗浄し、105℃で24時間乾燥した。次いで、空気中、室温から600℃まで5℃/分で昇温して、600℃で1時間焼成した。X線回折測定から、得られた複合酸化物がメソ多孔体であることを確認した。Si/Al(原子比)=50であった。以下、これをAl−MS−50と略記する。
70wt%ジルコニウムプロポキシド/プロパノール溶液を加えなかったほかは固体酸化物製造例1と同様に酸化物を調製した。X線回折測定から、得られた酸化物がメソ多孔体であることを確認した。以下、これをMSと略記する。
珪酸ナトリウム溶液(27%SiO2、14%NaOH)23.0gと25%セチルトリメチルアンモニウムクロリド溶液20gを激しく攪拌しながら混合し、この混合液のpHが8.5になるよう1規定塩酸を加えた。これを室温で3時間攪拌した後、オートクレーブに仕込み、100℃で16時間保持した。冷却後、固体を濾取し、水で洗浄した後、空気中85℃で乾燥した。乾燥物を空気気流下200℃で2時間、さらに540℃で6時間焼成した。得られた酸化物は、X線回折測定において、MCM41と同様の回折パターンを示した。以下、これをMCM41と略記する。
さらに、三酸化硫黄については、反応装置の出口に水バブラーを設置し、反応ガスを硫酸イオンとし、イオンクロマトグラフ分析装置(IC7000S型:横川電機社製)を用いて確認した。
石英製ガラス管の下層にZr−MS−16(酸化物)を0.6g、上層に7wt%五酸化バナジウム/シリカ触媒(酸化触媒)8gを充填し、40ml/分の窒素ベース5000ppmSO2ガスと100ml/分のG2グレード純空気(JFP製品規格)の混合ガスと、420℃において18時間接触させた。なお、前処理として空気(100ml/分)気流下600℃で30分、後処理として空気(100ml/分)気流下420℃で1時間焼成をそれぞれ行った。得られた触媒の硫黄含有量は、2.2重量%であった。なお、比表面積は828m2/gであった。
Zr−MS−16の2gを10mlの1規定H2SO4水溶液に浸し、濾過した後、105℃で24時間乾燥した。この乾燥物を空気中、室温から400℃まで5℃/分で昇温して、400℃で3時間焼成した。得られた触媒の比表面積は579m2/gであった。
触媒を無処理のZr−MS−16に変えたほかは、実施例1と同様にベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は26.1モル%、ラウロラクタムの収率は19.3モル%であった。
7wt%五酸化バナジウム/シリカ触媒を10wt%酸化銅/シリカ触媒に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は87.2モル%、ラウロラクタムの収率は79.8モル%であった。
7wt%五酸化バナジウム/シリカ触媒を10wt%酸化鉄/シリカ触媒に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は75.2モル%、ラウロラクタムの収率は72.0モル%であった。
7wt%五酸化バナジウム/シリカ触媒を10wt%酸化コバルト/シリカ触媒に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は39.4モル%、ラウロラクタムの収率は36.7モル%であった。
7wt%五酸化バナジウム/シリカ触媒を10wt%酸化ニッケル/シリカ触媒に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は25.4モル%、ラウロラクタムの収率は23.4モル%であった。
7wt%五酸化バナジウム/シリカ触媒を充填しなかったほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は18.5モル%、ラウロラクタムの収率は14.8モル%であった。
7wt%五酸化バナジウム/シリカ触媒を16gに、5000ppmSO2ガスの流量を100ml/分に、G2グレード純空気(JFP製品規格)の流量を250ml/分に、接触時間を9時間にそれぞれ変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は94.0モル%、ラウロラクタムの収率は86.6モル%であった。
7wt%五酸化バナジウム/シリカ触媒を8gに変えたほかは、実施例6と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は61.7モル%、ラウロラクタムの収率は56.9モル%であった。
酸化物をZr−MS−87に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は76.1モル%、ラウロラクタムの収率は71.4モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、2.1重量%であった。
触媒を無処理のZr−MS−87に変えたほかは、実施例1と同様にベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は5.3モル%、ラウロラクタムの収率は2.0モル%であった。
酸化物をGa−MS−50に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は97.8モル%、ラウロラクタムの収率は93.3モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、2.1重量%であった。
酸化物をGa−MS−50に変えたほかは、比較例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は55.3モル%、ラウロラクタムの収率は48.2モル%であった。
触媒を無処理のGa−MS−50に変えたほかは、実施例1と同様にベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は18.7モル%、ラウロラクタムの収率は12.3モル%であった。
酸化物をAl−MS−50に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は90.9モル%、ラウロラクタムの収率は86.4モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、2.0重量%であった。
酸化物をAl−MS−50に変えたほかは、比較例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は33.4モル%、ラウロラクタムの収率は32.0モル%であった。
触媒を無処理のAl−MS−50に変えたほかは、実施例1と同様にベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は27.9モル%、ラウロラクタムの収率は27.3モル%であった。
酸化物を予め空気中600℃で2時間焼成したβ−ゼオライト(UOP社製)に変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は92.4モル%、ラウロラクタムの収率は89.1モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、3.0重量%であった。
酸化物を予め空気中600℃で2時間焼成したβ−ゼオライト(UOP社製)に変えたほかは、比較例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は23.1モル%、ラウロラクタムの収率は19.5モル%であった。
触媒を無処理の予め空気中600℃で2時間焼成したβ−ゼオライト(UOP社製)に変えたほかは、実施例1と同様にベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は26.5モル%、ラウロラクタムの収率は23.8モル%であった。
酸化物をMSに変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は49.4モル%、ラウロラクタムの収率は45.8モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、1.3重量%であった。
酸化物をMSに変えたほかは、比較例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は17.9モル%、ラウロラクタムの収率は7.3モル%であった。なお、触媒中に硫黄は検出されなかった。
触媒を無処理のMSに変えたほかは、実施例1と同様にベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は10.2モル%、ラウロラクタムの収率は1.7モル%であった。
酸化物をMCM41、0.7gに変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は83.4モル%、ラウロラクタムの収率は76.3モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、1.8重量%であった。
酸化物をアエロジル200(日本アエロジル社製)、0.7gに変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は21.7モル%、ラウロラクタムの収率は18.7モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、0.5重量%であった。
酸化物をCARIACT Q−30(富士シリシア化学社製)、1.2gに変えたほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は12.8モル%、ラウロラクタムの収率は9.9モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、0.4重量%であった。
酸化物を、水酸化物である水酸化アルミニウム、1.6gに変え、前処理を行わなかったほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は12.5モル%、ラウロラクタムの収率は8.0モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、9.8重量%であった。
酸化物を、水酸化物である水酸化ジルコニウム、3.0gに変え、前処理を行わなかったほかは、実施例1と同様に触媒を調製し、該調製触媒を用いてベックマン転位反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は37.2モル%、ラウロラクタムの収率は32.3モル%であった。なお、触媒の硫黄含有量は、0.8重量%であった。
Claims (6)
- 管の下層部に酸化物及び水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1化合物を、その上層部に酸素で二酸化硫黄を酸化する能力を有する触媒を存在させ、200〜700℃の温度で、二酸化硫黄と酸素とを含む気体と接触させることを特徴とする、シクロアルカノンオキシム化合物から対応するラクタム化合物へのベックマン転位反応用固体酸触媒の調製法。
- 酸素で二酸化硫黄を酸化する能力を有する触媒が、バナジウム、銅、鉄、コバルト及びニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1元素を含有する触媒である請求項1記載のベックマン転位反応用固体酸触媒の調製法。
- 酸素で二酸化硫黄を酸化する能力を有する触媒が、バナジウム、銅及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1元素を含有する触媒である請求項2記載のベックマン転位反応用固体酸触媒の調製法。
- 酸化物及び水酸化物からなる群より選ばれる1化合物が、周期律表第4〜14族からなる群より選ばれる1種以上の元素、ただし炭素は除く、を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のベックマン転位反応用固体酸触媒の調製法。
- 酸化物が、珪素を含む複合酸化物であることを特徴とする請求項4記載のベックマン転位反応用固体酸触媒の調製法。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の調製法により得られる、シクロアルカノンオキシム化合物から対応するラクタム化合物へのベックマン転位反応用固体酸触媒。
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