JP2009131604A - 玉縁縫いミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】玉縁縫いミシンにおける制御手段は、二本の縫い目P,Qの形成の際に、一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目Qのコンデンス縫い部Q1の縫い目を形成する。次に、制御装置は、他方の縫い目Qのコンデンス縫い部Q1の縫い目の縫い終わり位置に連続する本縫い部Q2の縫い目をコンデンス縫い部P1の縫い終わり位置まで形成する。次に、制御装置は、一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い目の縫い終わり位置及び既に形成された他方の縫い目Qの本縫い部Q2の縫い目の縫い終わり位置にそれぞれ連続する本縫い部P2,Q3の縫い目を形成するように、主軸モータ、片針停止機構及び大押さえ機構の駆動を制御する。
【選択図】図11
Description
玉縁縫いミシンにより玉縁縫いを行う場合、縫い始めと縫い終わりの縫い目をほどけにくくするため、例えば、図19に示すように、通常の本縫い部201の縫い目ピッチよりも細かい縫い目ピッチのコンデンス縫い部202,203の縫製を行う場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
一般的に、身生地には、衣類の幅方向に沿うように直線状の切れ目が形成されるが、図20に示すように、デザイン上の観点からポケットM1,M2の開口を衣類Mの幅方向に対して傾斜させたものもある(例えば、特許文献2参照。)。
このような斜めポケットにおいても、縫い始めと縫い終わりにはコンデンス縫いが施される。
しかし、上記のような斜めポケットの縫製手順においては、二本の本縫い部303,403の開始位置が揃ってしまうため、縫い始め及び縫い終わりのそれぞれにおいて、一方のコンデンス縫い部301,402が長くなってしまう。すなわち、図23における一点鎖線の余剰部305及び405の部分だけコンデンス縫い部が長くなる。
その結果、二本の縫い目300,400のコンデンス縫い部の長さに差が生じてしまい、縫い上がりが美しくなく、また、一方のコンデンス縫い部が長くなるため、縫い上がりの布がごわつくという問題があった。
身生地の上に玉布を保持するバインダーと、
前記バインダーを挟んで両側に下降して身生地及び玉布を押圧保持する一対の押さえ腕を有し、身生地及び玉布を布送り方向に沿って搬送する大押さえ機構と、
前記二本の縫い目の先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構を制御する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
前記制御手段は、前記二本の縫い目(P、Q)の先端を形成する際に、縫い目の先端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目(P)のコンデンス縫い部(P1)の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目(Q)のコンデンス縫い部(Q1)の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い終わり位置に連続する本縫い部(Q2)の縫い目を一方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い終わり位置まで形成し、次に、一方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い終わり位置及び既に形成された他方の縫い目の本縫い部の縫い目にそれぞれ連続する本縫い部(P2,Q3)の縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構の駆動を制御することを特徴とする。
このように、二本の縫い目の先端部がずれている場合であっても、コンデンス縫いの長さを同一にすることができ、縫い上がりを美しくすることができるとともに、縫い上がりの布がごわつくという問題を解消できる。
身生地の上に玉布を保持するバインダーと、
前記バインダーを挟んで両側に下降して身生地及び玉布を押圧保持する一対の押さえ腕を有し、身生地及び玉布を布送り方向に沿って搬送する大押さえ機構と、
前記二本の縫い目の先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構を制御する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
前記制御手段は、前記二本の縫い目(R、T)の先端を形成する際に、縫い目の先端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目(R)のコンデンス縫い部の縫い終わり位置まで他方の縫い目(T)コンデンス部(T1)及び当該コンデンス縫い部の縫い終わり位置に連続する本縫い部(T2)の縫い目を形成し、次に、一方の縫い目のコンデンス縫い部(R1)の縫い目を形成し、次に、一方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い終わり位置及び既に形成された他方の縫い目の本縫い部の縫い目にそれぞれ連続する本縫い部(R2,T3)の縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構の駆動を制御することを特徴とする。
このように、二本の縫い目の先端部がずれている場合であっても、コンデンス縫いの長さを同一にすることができ、縫い上がりを美しくすることができるとともに、縫い上がりの布がごわつくという問題を解消できる。
従って、請求項3に記載の発明においても、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
身生地の上に玉布を保持するバインダーと、
前記バインダーを挟んで両側に下降して身生地及び玉布を押圧保持する一対の押さえ腕を有し、身生地及び玉布を布送り方向に沿って搬送する大押さえ機構と、
前記二本の縫い目の先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構を制御する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
前記制御手段は、前記二本の縫い目(C,A)の後端を形成する際に、縫い目の後端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目(C)及び他方の縫い目(A)の各本縫い部(C1,A1)の縫い目を他方の縫い目の本縫い部の縫い終わり位置まで形成し、次に、一方の縫い目の本縫い部(C2)の縫い目を形成し、次に、一方の縫い目の本縫い部の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部(C3)の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目の本縫い部の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部(A2)の縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構の駆動を制御することを特徴とする。
このように、二本の縫い目の後端部がずれている場合であっても、コンデンス縫いの長さを同一にすることができ、縫い上がりを美しくすることができるとともに、縫い上がりの布がごわつくという問題を解消できる。
身生地の上に玉布を保持するバインダーと、
前記バインダーを挟んで両側に下降して身生地及び玉布を押圧保持する一対の押さえ腕を有し、身生地及び玉布を布送り方向に沿って搬送する大押さえ機構と、
前記二本の縫い目の先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構を制御する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
前記制御手段は、前記二本の縫い目(K、H)の後端を形成する際に、縫い目の後端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目(K)及び他方の縫い目(H)の各本縫い部の縫い目(K1,H1)を他方の縫い目の本縫い部の縫い終わり位置まで形成し、次に、他方の縫い目の本縫い部の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部(H2)の縫い目を形成し、次に、既に形成された一方の縫い目の本縫い部の縫い目に連続する本縫い部(K2)の縫い目及び当該本縫い部の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部(K3)の縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構の駆動を制御することを特徴とする。
このように、二本の縫い目の後端部がずれている場合であっても、コンデンス縫いの長さを同一にすることができ、縫い上がりを美しくすることができるとともに、縫い上がりの布がごわつくという問題を解消できる。
従って、請求項6に記載の発明においても、請求項4又は5に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
<玉縁縫いミシンの全体構成>
図1は、玉縁縫いミシン100の全体の概略構成を示す斜視図である。なお、本実施の形態においては、各図中に示したXYZ軸を基準にしてそれぞれの方向を定めるものとし、Z軸方向は後述するセンターメスの上下動方向と一致し、縫製作業を行う平面はZ軸方向と垂直となり、当該作業平面に平行であって布送りが行われる方向をX軸方向とし、作業平面に平行であってX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。
玉縁縫いミシン100は、縫製の作業台となるミシンテーブル11と、図示しない一対の天秤と縫い針を保持する針棒の動作を司る針棒機構10(図2参照)を備え、ミシンテーブル11に配置されたミシン本体12と、身生地及び玉布からなる布地の送りを行う布送り機構としての大押さえ機構1と、身生地の上側で玉布を上方から押さえるバインダー2と、ミシン本体12に支持され、各縫い針の布送り方向下流側の各縫い針の中間にセンターメス3を昇降させて各布地に切れ目を形成する動メス機構(図示略)と、直線状の切れ目の両端となる位置に略V字状の切れ目を形成するコーナーメス機構9と、上記各部の制御を行う制御手段としての制御装置5(図10参照)と、を備えている。
図2〜図8に示すように、針棒機構10は、ミシン本体12の先端内部に設けられ、二本の縫い針20a,20aをそれぞれ個別に保持する一対の針棒20,20を同時又は選択的に上下動させるものである。
図2〜図5に示すように、各針棒20は針棒支持枠40により通常はZ軸方向に沿った状態で支持され、針振りを行う場合には、針棒支持枠40を介して各針棒20の長手方向中間位置でY軸方向に沿った軸を中心に回転揺動動作が付与される。かかる揺動が行われたときには、各針棒20はその上下端部がそれぞれX軸方向に沿って揺動する。
針棒20がZ軸方向に沿って支持された状態において平坦面23はY−Z平面に沿った状態となるように針棒支持枠40に支持される。かかる平坦面23の面上であってZ軸方向における中間位置には、当該長手方向に沿って溝部24が形成されている。
第一の係合穴21は、クラッチ部材61の先端部が挿入可能なようにその先端形状に対応して、長方形状に形成されている。かかる長方形状は、クラッチ部材61の先端部が略矩形状に突出していることに対応しており、長方形の長辺と短辺の長さがそれぞれクラッチ部材61の略矩形状先端部の横幅と縦幅よりもわずかに大きく設定されている。
第二の係合穴22は、第一の係合穴21よりも上方に位置し、後述するストッパ部材71(図5参照)の先端部の形状に対応して、正面視で矩形状であって側面視で半円状に形成されている。
また、揺動板25はその一端部が第一の係合穴21の深部近傍まで押し込まれると、他端部が第二の係合穴22内で平坦面23まで押し出され、その他端部が第二の係合穴22の深部近傍まで押し込まれると、一端部が第一の係合穴21内で平坦面23まで押し出される形状に形成されている。
つまり、同一の針棒20について、第一の係合穴21にクラッチ部材61が挿入されると、既に第二の係合穴22に挿入されていたストッパ部材71が揺動板25により押し出される。また、第二の係合穴22にクラッチ部材61が挿入されると、既に第一の係合穴21に挿入されていたクラッチ部材61が揺動板25により押し出されるようになっている。
図2,4,7に示すように、針棒支持枠40は、その上部と下部とに針棒20をY軸方向に二本並ぶように挿通させる挿通穴が形成されており、これらにより各針棒20を上下動可能に支持している。
針棒支持枠40の下部における針棒20の支持部の近傍には、潤滑油或いはグリス等が供給される不織布或いはウレタン等の供給部材41が設けられており、当該供給部材41を摺動するように各針棒20が配設されている。これにより、潤滑油又はグリスが各針棒20と針棒支持枠40との摺動部に供給され、上下動が円滑に行われる。
さらに、針棒支持枠40に支持された針棒20の近傍には、各針棒20に対して上下動の駆動力を付与するリンク体54の一端部に設けられた角駒55の上下動を案内するガイド溝42が形成されている。
図2に示すように、針上下動機構50は、クラッチ機構60を介して各針棒20を支持する針棒抱き51と、各針棒20の上下動駆動源たる主軸モータ101により回転駆動されるミシン主軸52と、ミシン主軸52の一端部に固定装備された回転錘53と、回転錘53と針棒抱き51との間を連結するリンク体54と、リンク体54の針棒抱き側の端部をZ軸方向に沿って移動させる角駒55とを備えている。なお、主軸モータ101は、例えば、ACサーボモータにより構成される正逆転可能なモータであり、以降の説明において、主軸モータ101を駆動する際のモータ軸の回転方向については、特に記載のない場合は、ミシン主軸52を正方向に回転する正回転に駆動されるものとする。
クラッチ機構60は、図2,図4〜7に示すように、針棒抱き51の正面から各挿通穴まで貫通した円形の支持穴57に挿入される二つのクラッチ部材61と、各クラッチ部材61をそれぞれ個別に進退移動させる二つの従動リンク62と、各従動リンク62を介して各クラッチ部材61に対して前進方向の移動力を個別に付与する二つの押圧バネ63と、各クラッチ部材61を後退した状態(退避位置)でそれぞれ係止する二つの係止爪64と、各係止爪64が係止を行う方向にそれぞれ押圧する二つの押圧バネ65と、各係止爪64による係止を解除する操作を外部から入力可能な解除ピン66と、を備えている。
そして、図7に示すように、従動リンク62が、上方から押し下げられて屈曲部Pを支点としてA方向に回転することにより、従動リンク62の一端がクラッチ部材61を引っ張り、クラッチ部材61を第一の係合穴21から後退させて各係止爪64に係止させ、当該クラッチ部材61に対応する針棒20の針棒抱き51に対する係合を解除させることができるようになっている。
また、図5に示すように、解除ピン66が上方から押し下げられてクラッチ部材61の係止爪64による係止が解除されることにより、クラッチ部材61が押圧バネ63の付勢により第一の係合穴21に向かって前進し、両針棒20を針棒抱き51に係合させることができるようになっている。
保持解除切り替え機構80は、図2,図5〜7に示すように、針棒抱き51の上死点よりも若干上方となる位置において針棒支持枠40に形成されたガイド溝部82と、ガイド溝部82に沿って滑動可能に支持された切り替え部材81と、切り替え部材81のガイド溝部82からの脱落を防止する押さえカバー83とを備えている。
ガイド溝部82は、針棒支持枠40の上部においてY軸方向に沿って形成され、同方向に沿って切り替え部材81を滑動可能に支持している。
具体的には、制御装置5には、ドライバー90aを介して針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90が連結されている。針棒切り替え用エアシリンダは、シリンダ内に二つの電磁弁90を備える3ポジションタイプのエアシリンダが用いられる。そして、シリンダ内における二つの電磁弁90の駆動を制御装置5によって制御することにより、電磁弁90に連結された切り替え部材81の位置を三つの位置に切り替えることができる。これにより、左針、両針、右針の三つの縫製に切り替えることができる。
切り替え部材81は、当接突起81aが下方に向けられた状態でガイド溝部82に支持される。そして、切り替え部材81のY軸方向に沿った移動により、針棒抱き51の上死点到達時におけるクラッチ機構60の一方の従動リンク62,他方の従動リンク62又は解除ピン66のいずれかを押圧可能な位置に当接突起81aを切り替えることが可能となっている。なお、この当接突起81aは、上死点位置まで上昇した針棒抱き51の各従動リンク62,62及び解除ピン66に対して、各々の解除あるいは係合の動作に要するストローク分下方に押し下げることが可能な突出長さに設定されている。
ストッパ機構70は、図5,7に示すように、針棒支持枠40の上端部において当該針棒支持枠40の正面から針棒20の挿通穴まで貫通した二つの円形の貫通穴を有する支持部72と、各支持部72の貫通穴に挿入される二つのストッパ部材71と、各ストッパ部材71をそれぞれ個別に前進方向(針棒20側)の移動力を付与する二つの押圧バネ73と、各押圧バネ73を後方で支持すると共に支持部72の貫通穴を覆い塞ぐカバー体74とを備えている。
図1に示すように、ミシンテーブル11は、その上面がX−Y平面に平行であって、水平な状態で使用される。このミシンテーブル11の上面は布の送り方向F即ちX軸方向に沿って長い長方形状に形成されている。ミシンテーブル11上には、大押さえ機構1とバインダー2とが配置され、ミシンテーブル1の下側にコーナーメス機構9が配置されている。
また、ミシンテーブル11における二本の縫い針20a,20aの下方の位置には針板13が設けられている。この針板13には二本の縫い針20a,20aの各々に対応する針穴が設けられており、各針穴の下側には図示しない水平釜がそれぞれ設けられている。つまり、各縫い針20a,20aのそれぞれに挿通された縫い糸は、それぞれ針板13の下側で対応する各水平釜に捕捉され、水平釜から繰り出される下糸に絡げられて縫製が行われるようになっている。
さらに、針板13の二つの針穴のほぼ中間であって布送り方向Fの下流側にはセンターメス3が挿入されるスリットが形成され、センターメス3との協働により布地を切断する図示しない固定メスが配置されている。
大押さえ機構1は、バインダー2にセットされた玉布の幅方向両端部のそれぞれを上方から押さえる大押さえ15,15と、これらの大押さえ15,15を支持する支持体16と、支持体16を介して大押さえ15,15を上下に移動させる図示しないエアシリンダと、大押さえ15,15により押さえた玉布及び身生地を、支持体16を介して布送り方向Fに移動させる、主軸モータ101とは別個の押さえモータ102とを備えている。
各大押さえ15,15は、それぞれ長方形状の平板であり、それぞれが長手方向をX軸方向に沿わせた状態で支持体16に支持されている。また、各大押さえ15,15はその平板面がX−Y平面に平行となるように支持されている。そして、エアシリンダの駆動により上下の二位置に切替可能であり、上位置の時にはミシンテーブル11の上面から離間し、下位置でミシンテーブル11の上面高さとなる。また、二つの大押さえ15,15は、その間に、少なくともバインダー2の立板部32を通すことができるように離間した状態で支持されている。
支持体16は、ミシンテーブル11上においてX軸方向に沿って移動可能に支持されており、支持する二つの大押さえ15,15が二本針20a,20aの上下動経路の両側を通過するように配置されている。また、支持体16は、図示しないボールネジ機構を介して押さえモータ102に駆動されるようになっている。
バインダー2は、図1,9に示すように、長尺状平板である底板部31と、底板部31の長手方向に沿ってその上面に垂直に立設された立板部32と、立板部32の布送り方向下流側端部に、センターメス3を回避して玉布Bを案内する案内部材33と、玉布の幅方向の両端部が立板部32の両面に沿ってそれぞれ送られるように案内する縦ガイド部34とを備えている。
また、バインダー2は、エアシリンダを備える図示しない支持機構に支持されており、非使用時には図1に示すように二本の縫い針20a,20aの針下の位置から離れて待避されている。そして、使用時には、エアシリンダの駆動により針板位置にセットされるようになっている。
立板部32は、案内部材33の近傍の部分を除いてその全体が長方形状の平板であり、底板部31の上面において、当該底板部31の幅方向(Y軸方向)の中間位置に、底板部31と長手方向を揃えた状態で、垂直に立設されている。即ち、バインダー2は、底板部31と立板部32とがその長手方向から見て逆さのT字状となるように一体形成されている。
コーナーメス機構9は、図1,9に示すように、ミシンテーブル11の下方であって大押さえ機構1による大押さえ15,15の通過経路に配置されており、大押さえ機構1により搬送されてきた玉縁布及び身頃生地に下方からコーナーメス91を突き通すことで直線状の切れ目の両端となる位置に略V字状の切れ目を形成する。
即ち、コーナーメス機構9は、布送り方向Fに沿って間隔をあけて配置された二つのコーナーメス91,91と、各コーナーメス91,91をそれぞれ上下動させる図示しない上下動用モータとを備えている。
そして、二つのコーナーメス91は、それぞれが形成するV字状の切れ目の開口部が互いに逆向きとなるように各々が支持されている。また、二つのコーナーメス91は、その間隔を調節することが可能となっている。
図10に示すように、制御装置5には、ユーザに報知する所定の文字又は画像の情報を表示する表示パネル84と、表示パネル84に併設された各種の設定を行うための画面選択やコマンド入力を行うための設定スイッチ85と、各種の設定を行う際に数値入力及びその決定や取消を入力するためのテンキー86と、縫製の開始を入力するスタートスイッチ87とが図示しない入出力回路を介して接続されている。なお、表示パネル84は、玉縁縫いを行う場合に二本の縫い針20a,20aにより形成される縫い目の長さ及び縫い目ピッチ、各縫い針により形成される各縫い目の先端及び後端の布送り方向偏差、各縫い目の先端及び後端に形成されるコンデンス縫い部の布送り方向長さ及びコンデンス縫い目ピッチ、センターメス3により形成されるセンター切れ目の長さ及び切れ目の形成位置などの各種縫い目形成情報を入力設定するために用いられる。
ROM152には、二本の縫い針20a,20aにより布地に二本の縫い目P,Qの先端を形成する際に、縫い目の先端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目Qのコンデンス縫い部Q1の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目Qのコンデンス縫い部Q1の縫い目の縫い終わり位置(終了位置)に連続する本縫い部Q2の縫い目を一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い目の縫い終わり位置まで形成し、次に、一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い目の縫い終わり位置及び既に形成された他方の縫い目Qの本縫い部Q2の縫い目にそれぞれ連続する本縫い部P2,Q3の縫い目を形成するように(図11参照)、主軸モータ101、片針停止機構120及び大押さえ機構1の駆動を制御する制御プログラムが記憶されている。
すなわち、CPU151が制御プログラムを実行することにより、制御装置5は制御手段として機能する。
なお、以降の記載において、コンデンス縫い部の縫い目とは、縫いピッチを微少(例えば、1mm以下)にして形成される縫い目のことを示し、本縫い部の縫い目とは、通常の送りピッチ(例えば、1mm以上)で布を送って縫い目を形成する通常縫い目を示し、ここでは、この通常縫い目を上述のコンデンス縫い部の縫い目と区別するために本縫い部の縫い目と称することとする。
次に、図11,図12を参照して、玉縁縫いミシン100により、二本の縫い目P,Qの先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目P1,Q1を形成する際の縫い目形成方法について説明する。
なお、以下の説明において、特に記載のない限り大押さえ機構1の駆動による布送り方向は、縫い針20a,20aの針落ち位置に対し布地を上流側から下流側に搬送する方向(図1,9,11,13,15,17のおけるF方向)を示すこととする。
作業者により縫製開始スイッチ等が押されると、制御装置5のCPU151は、制御プログラムを実行することにより、主軸モータ101、針棒切り替え用エアシリンダ、大押さえ機構1の駆動を制御して縫い目の形成を行う。また、以下の説明において、玉縁縫いミシン100は、最初の電源投入時または所定の玉縁縫い終了時には、針棒抱き51に対し常に双方の針棒20,20を係合させた両針での縫製が可能な状態となるように構成されているものとして説明する。
このとき、CPU151は、針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90を駆動させることにより、停止させる方の針棒20に設けられた従動リンク62の上方に当接突起81aが位置するように切り替え部材81を移動させた上で、主軸モータ101を逆回転させてミシン主軸52を逆回転させ、突起81aを従動リンク62の上方に当接させて従動リンク62を押し下げた状態で、主軸モータ101を停止させる。これにより、右針の針棒20に対応するクラッチ部材61が後退し、縫製に用いる縫い針20a,20aが両針から片針(左針)に切り替わる。
なお、このように、ミシン主軸52を逆回転させて突起81aを従動リンク62の上方に当接させるのは、布に余分な針落ちをさせずに針棒抱き51に対する針棒20の係合または解除の切り替えを行うためである。
ここで、一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い目は、針落ち位置n0,n1,n2,n3,n4,n5の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS2において、CPU151がコンデンス縫い部P1の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS2:YES)、CPU151は、使用する縫い針の切り替えを行う。なお、コンデンス縫い部P1の縫い目の形成の終了の判断は、布に針落ちが開始されてから図示しない針位置検出器から出力される針位置信号の数をCPU151が計数することにより行われる。
CPU151は、左針がn5の針落ち点から上昇を始めるとすぐに針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90を駆動させて切り替え部材81の当接突起81aを解除ピン66の上方に移動させ、針棒20の上死点到達によるクラッチ部材61の前進により、二本の縫い針20a,20aを上下動可能として両針で縫製が可能な状態にする(ステップS4)。
次いで、一方の縫い目Pの縫い目の形成を中断して針の上下動を行わずに針落ち位置が他方の縫い目Qのコンデンス縫い部Q1の開始位置(図11における針落ち位置n6の位置)までくるように大押さえ機構1の押さえモータ102を駆動させて布を逆送り方向(図11におけるB方向に布送り)に送る(ステップS6:空送りステップ)。
そして、縫製に用いる縫い針20a,20aを両針から片針(右針)に切り替える(ステップS7)。なお、以降、大押さえ機構1の押さえモータ102を駆動する場合、単に大押さえ機構1を駆動すると記載する。
ここで、他方の縫い目Qのコンデンス縫い部Q1の縫い目は、針落ち位置n6,n7,n8,n9,n10,n11の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS8において、CPU151は、コンデンス縫い部Q1の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS8:YES)、CPU151は、コンデンス縫い部Q1の縫い終わり位置に連続する本縫い部の縫い目が一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い終わり位置に到達する本縫い部Q2の縫い目の形成が終了したか否かを判断する(ステップS10)。この判断は、具体的には、他方の縫い目Qの縫い目の形成が開始されてからの布送り量Lqが、予めEEPROM154に記憶されている二本の縫い目P、Qの先端の布送り方向偏差D1と、縫い目Pの先端のコンデンス縫い部P1の布送り方向長さLpとを合計した送り量D1+Lpに到達したか否か(Lq≧D1+Lp)をCPU151が判断することにより行われる。
ここで、CPU151が、本縫い部Q2の縫い目の形成が終了してないと判断した場合(ステップS10:NO)、CPU151は、主軸モータ101と大押さえ機構1とを駆動させることにより、本縫い部の縫い目Q2を形成する(ステップS11)。
ここで、他方の縫い目Qの本縫い部Q2の縫い目は、針落ち位置n11,n12,n13の順に針落ちさせることにより形成される。
次いで、CPU151は、一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い終わり位置n5に連続する本縫い部P2の縫い目と、他方の縫い目Qの本縫い部Q2に連続する本縫い部Q3の縫い目の形成が終了したか否かを判断する(ステップS13)。
ここで、CPU151が、本縫い部P2,Q3の縫い目の形成が終了してないと判断した場合(ステップS13:NO)、CPU151は、大押さえ機構1により布を布送り方向(図11のF方向)に送ることにより、一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1に連続する本縫い部P2の縫い目と、他方の縫い目Qの本縫い部Q2に連続する本縫い部Q3の縫い目とを、二本針で同時に形成していく。ここで、一方の縫い目Pの本縫い部P2及び他方の縫い目Qの本縫い部Q3の縫い目は、針落ち位置n5とn13を同時に、以下、n14、n15の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS13において、CPU151は、本縫い部P2,Q3の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS13:YES)、CPU151は、大押さえ機構1による布送りを停止させ、これをもって本処理を終了させる。
玉縁縫いミシン100によれば、制御装置5は、CPU151によって主軸モータ101、針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90及び大押さえ機構1の駆動を制御することにより、二本の縫い目P,Qの先端を形成する際には、縫い目の先端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目Qのコンデンス縫い部Q1の縫い目を形成する。次に、制御装置5は、他方の縫い目Qのコンデンス縫い部Q1の縫い目の縫い終わり位置に連続する本縫い部Q2の縫い目を一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い終わり位置まで形成する。次に、一方の縫い目Pのコンデンス縫い部P1の縫い目の縫い終わり位置及び既に形成された他方の縫い目Qの本縫い部Q2の縫い目にそれぞれ連続する本縫い部P2,Q3の縫い目を形成する。
よって、二本の縫い目P,Qの先端部がずれている場合であっても、縫い上がりを美しくすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、図13及び図14に示すような方法により縫い始めの縫い目を形成してもよい。次に、図13,図14を参照して、二本の縫い目R,Tの先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目R1,T1を形成する際の縫い目形成方法について説明する。
なお、以下の説明において、上述した図11及び図12の説明との整合を計るために、縫い目の先端が布送り方向上流側に位置する縫い目Rを一方の縫い目Rとし、他方を他方の縫い目Tとして説明する。
ステップS22において、CPU151は、コンデンス縫い部T1の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS22:YES)、CPU151は、コンデンス縫い部T1と当該コンデンス部T1の縫い目の縫い終わり位置に連続する本縫い部とにより形成される縫い目が、一方の縫い目Rのコンデンス部R1の縫い終わり位置まで到達するコンデンス縫い部T1の縫い目の形成が終了したか否かを判断する(ステップS24)。この判断は、具体的には、縫い目Tの形成が開始されてからの布送り量Ltが、予めEEPROM154に記憶されている二本の縫い目R,Tの先端の布送り方向偏差D2と、縫い目Rの縫い始めのコンデンス縫い部R1の布送り方向長さLrとを合計した送り量D2+Lrに到達したか否か(Lt≧D2+Lr)をCPU151が判断することにより行われる。
ここで、CPU151が、本縫い部T2の縫い目の形成が終了してないと判断した場合(ステップS24:NO)、CPU151は、主軸モータ101と大押さえ機構1とを駆動させることにより、本縫い部T2の縫い目を形成する(ステップS25)。
ここで、本縫い部T2の縫い目は、針落ち位置w5,w6,w7の順に針落ちさせることにより形成される。
CPU151は、左針がw5の針落ち点から上昇を始めるとすぐに針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90を駆動させて切り替え部材81の当接突起81aを解除ピン66の上方に移動させ、針棒20の上死点到達によるクラッチ部材61の前進により、二本の縫い針20a,20aを上下動可能として両針で縫製が可能な状態にする(ステップS26)。
次いで、他方の縫い目Tの本縫い部T2の縫い目の形成を終了し、針の上下動を行わずに針落ち位置が一方の縫い目Rのコンデンス縫い部R1の開始位置(図13における針落ち位置w8の位置)までくるように大押さえ機構1を駆動させて布を逆送り方向(図13におけるB方向に布送り)に送る(ステップS28:空送りステップ)。
そして、縫製に用いる縫い針20a,20aを両針から片針(左針)に切り替える(ステップS29)。
ここで、コンデンス縫い部R1の縫い目は、針落ち位置w8,w9,w10,w11,w12,w13の順に針落ちさせることにより、形成される。
ステップS30において、CPU151は、コンデンス縫い部R1の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS30:YES)、CPU151は、針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90を駆動させて、切り替え部材81の当接突起81aが解除ピン66の上方に位置するように切り替え部材81を移動させ、二本の縫い針20a,20aを上下動可能として二本の縫い針20a,20aで縫製が可能な状態にする(ステップS32)。
ここで、CPU151が、本縫い部T3,R2の縫い目の形成が終了してないと判断した場合(ステップS33:NO)、CPU151は、大押さえ機構1により布を布送り方向(図13のF方向)に送ることにより、他方の縫い目Tの本縫い部T2の縫い目に連続する本縫い部T3の縫い目と、一方の縫い目Rのコンデンス縫い部R1の縫い目に連続する本縫い部R2の縫い目とを、二本針で同時に形成していく(ステップS34)。ここで、本縫い部T3及び本縫い部R2の縫い目は、針落ち位置w7とw13を同時に、以下、w14、w15の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS33において、CPU151は、本縫い部T3,R2の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS33:YES)、CPU151は、大押さえ機構1による布送りを停止させ、これをもって本処理を終了させる。
このような玉縁縫いミシンとしても、二本の縫い目R,Tを形成する際には、制御装置5は、主軸モータ101、針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90及び大押さえ機構1の駆動を制御することにより、縫い目の先端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目Rのコンデンス縫い部R1の縫い終わり位置まで他方の縫い目Tのコンデンス縫い部及び当該コンデンス縫い部T1の縫い目の縫い終わり位置に連続する本縫い部T2の縫い目を形成し、次に、一方の縫い目Rのコンデンス縫い部R1の縫い目を形成する。次に、一方の縫い目Rのコンデンス縫い部R1の縫い目の縫い終わり位置及び既に形成された他方の縫い目Tの本縫い部T2の縫い目にそれぞれ連続する本縫い部R2,T3の縫い目を形成する。
よって、二本の縫い目R,Tの先端部がずれている場合であっても、縫い上がりを美しくすることができる。
次に、図15,図16を参照して、玉縁縫いミシン100により、二本の縫い目A,Cの後端に、布送り方向後端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目A2,C3を形成する際の縫い目形成方法について説明する。
なお、以下の説明において、上述した図11〜図14に関する記載との整合を計るために、縫い目の後端が布送り方向上流側に位置する縫い目CまたはKを、一方の縫い目Cまたは一方の縫い目Kとし、他方を他方の縫い目Aまたは他方の縫い目Hとして説明する。
このとき、CPU151は、針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90を駆動させることにより、双方の針棒20に設けられた従動リンク62の間の上方に当接突起81aが位置するように切り替え部材81を移動させる。
ここで、二本の縫い目A,Cの本縫い部A1,C1の縫い目は、針落ち位置b0,b1,b2の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS42において、CPU151が本縫い部A1の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS42:YES)、CPU151は、片針停止機構120の針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90を駆動させて、切り替え部材81の当接突起81aが停止させる方の針棒20(右側)に設けられた従動リンク62の上方に当接突起81aが位置するように切り替え部材81を移動させ、左側の縫い針20aを上下動可能として左側の縫い針20aで縫製が可能な状態にする(ステップS44)。
ここで、本縫い部C2の縫い目は、針落ち位置b2,b3,b4の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS45において、CPU151は、本縫い部C2の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS45:YES)、CPU151は、一方の縫い目Cのコンデンス縫い部C3の縫い目の形成が終了したか否かを判断する(ステップS47)。ここで、CPU151が、コンデンス縫い部C3の縫い目の形成が終了してないと判断した場合(ステップS47:NO)、CPU151は、主軸モータ101と大押さえ機構1とを駆動させることにより、コンデンス縫い部C3の縫い目を形成する(ステップS48)。
ここで、コンデンス縫い部C3の縫い目は、針落ち位置b4,b5,b6,b7,b8,b9の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS47において、CPU151は、コンデンス縫い部C3の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS47:YES)、CPU151は、使用する縫い針を左針から右針に切り替える。
CPU151は、左針がb9の針落ち点から上昇を始めるとすぐに片針停止機構120のエアシリンダの電磁弁90を駆動させて切り替え部材81の当接突起81aを解除ピン66の上方に移動させ、針棒20の上死点到達によるクラッチ部材61の前進により、二本の縫い針20a,20aを上下動可能として両針で縫製が可能な状態にする(ステップS49)。
次いで、一方の縫い目Cのコンデンス縫い部C3の縫い目の形成を終了し、針の上下動を行わずに針落ち位置が他方の縫い目Aのコンデンス縫い部A2の開始位置(図15における針落ち位置b2の位置)までくるように大押さえ機構1を駆動させて布を逆送り方向(図15におけるB方向に布送り)に送る(ステップS51:空送りステップ)。
そして、縫製に用いる縫い針20a,20aを両針から片針(右針)に切り替える(ステップS52)。
ここで、コンデンス縫い部A2の縫い目は、針落ち位置b2,b10,b11,b12,b13,b14の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS53において、CPU151は、コンデンス縫い部A2の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS53:YES)、CPU151は、大押さえ機構1による布送りを停止させ、これをもって本処理を終了させる。
玉縁縫いミシン100によれば、制御装置5は、CPU151によって主軸モータ101、片針停止機構120及び大押さえ機構1の駆動を制御することにより、二本の縫い目A,Cの後端を形成する際には、縫い目の後端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目C及び他方の縫い目Aの各本縫い部C1,A1の縫い目を他方の縫い目Aの本縫い部A1の縫い終わり位置まで形成する。次に、制御装置5は、一方の縫い目Cの本縫い部C2の縫い終わり位置まで本縫い部C2の縫い目を形成する。次に、制御装置5は、当該本縫い部C2の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部C3の縫い目を形成する。次に、制御装置5は、他方の縫い目Aの本縫い部A1の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部A2の縫い目を形成する。
よって、二本の縫い目A,Cの後端部がずれている場合であっても、縫い上がりを美しくすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、図17及び図18に示すような方法により縫い終わりの縫い目を形成してもよい。次に、図17,図18を参照して、二本の縫い目H,Kの後端に、布送り方向後端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目H2,K3を形成する際の縫い目形成方法について説明する。
このとき、CPU151は、針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90を駆動させることにより、双方の針棒20に設けられた従動リンク62の間の上方に当接突起81aが位置するように切り替え部材81を移動させる。
ここで、双方の縫い目H,Kの本縫い部H1,K1の縫い目は、針落ち位置d0,d1,d2の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS62において、CPU151が本縫い部H1の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS62:YES)、CPU151は、針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90を駆動させて、切り替え部材81の当接突起81aが停止させる方の針棒20(左側)に設けられた従動リンク62の上方に当接突起81aが位置するように切り替え部材81を移動させ、右側の縫い針20aを上下動可能として右側の縫い針20aで縫製が可能な状態にする(ステップS64)。
ここで、コンデンス縫い部H2の縫い目は、針落ち位置d2,d3,d4,d5,d6,d7の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS65において、CPU151は、コンデンス縫い部H2の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS65:YES)、CPU151は、使用する縫い針を右針から左針に切り替える。
CPU151は、右針がd7の針落ち点から上昇を始めるとすぐに針棒切り替え用エアシリンダの電磁弁90を駆動させて切り替え部材81の当接突起81aを解除ピン66の上方に移動させ、針棒20の上死点到達によるクラッチ部材61の前進により、二本の縫い針20a,20aを上下動可能として両針で縫製が可能な状態にする(ステップS67)。
次いで、他方の縫い目Hのコンデンス縫い部H2の縫い目の形成を終了し、針の上下動を行わずに針落ち位置が一方(左側)の縫い目Kの本縫い部K2の開始位置(図17における針落ち位置d2の位置)までくるように大押さえ機構1を駆動させて布を逆送り方向(図17におけるB方向に布送り)に送る(ステップS69:空送りステップ)。
そして、縫製に用いる縫い針20a,20aを両針から片針(左針)に切り替える(ステップS70)。
ここで、本縫い部K2の縫い目は、針落ち位置d2,d8,d9の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS71において、CPU151は、本縫い部K2の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS71:YES)、CPU151は、一方の縫い目Kの本縫い部K2の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部K3の縫い目の形成が終了したか否かを判断する(ステップS73)。ここで、CPU151が、コンデンス縫い部K3の縫い目の形成が終了してないと判断した場合(ステップS73:NO)、CPU151は、主軸モータ101と大押さえ機構1とを駆動させることにより、コンデンス縫い部K3の縫い目を形成する(ステップS74)。
ここで、コンデンス縫い部K3の縫い目は、針落ち位置d9,d10,d11,d12,d13,d14の順に針落ちさせることにより形成される。
ステップS73において、CPU151は、コンデンス縫い部K3の縫い目の形成が終了したと判断した場合(ステップS73:YES)、CPU151は、大押さえ機構1による布送りを停止させ、これをもって本処理を終了させる。
玉縁縫いミシン100によれば、制御装置5は、CPU151によって主軸モータ101、片針停止既往120及び大押さえ機構1の駆動を制御することにより、二本の縫い目H,Kの後端を形成する際には、縫い目の後端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目K及び他方の縫い目Hの各本縫い部K1,H1の縫い目を他方の縫い目H1の縫い終わり位置まで形成する。次に、制御装置5は、他方の縫い目Hの本縫い部H1の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部H2の縫い目を形成する。次に、制御装置5は、既に形成された一方の縫い目Kの本縫い部K1の縫い目に連続する縫い目及び当該本縫い部K2の縫い目を形成する。次に、制御装置5は、当該本縫い部K2の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部K3の縫い目を形成する。
よって、二本の縫い目の後端部がずれている場合であっても、縫い上がりを美しくすることができる。
なお、本実施形態は、上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上述の図11〜図18に示す各実施形態においては、大押さえ機構による布送りを微少送りとして二本の縫い目の先端または後端にコンデンス縫い部を形成するようにしているが、コンデンス縫い目を形成する際に、大押さえ機構による布送りを停止して、針振りモータ105の駆動による針振りのみによってコンデンス縫い部の縫い目を形成したり、針振りと布送りとを併用して縫い目を形成することも可能である。
また、上記実施形態における片針停止機構では、針棒切り替え用エアシリンダ一つで両針の切り替えを行っていたため、片針(左針)から片針(右針)の切り替えの際には、一旦両針に切り替えてから片針に切り替える必要があったが、例えば、特許文献(特公平4−52160号公報)に示すように、それぞれの針の停止をそれぞれ独立したエアシリンダで行うことも可能である。こうすれば、一旦両針に切り替える必要がなくなり、部品点数は増えるものの、作業性を向上させることもできる。
2 バインダー
5 制御装置(制御手段)
10 針棒機構(針上下動機構、針振り機構)
20 針棒
20a 縫い針
31a 切り欠き(溝部)
50 針棒上下動機構(針上下動機構)
100 玉縁縫いミシン
101 主軸モータ
120 片針停止機構
P 一方の縫い目
Q 他方の縫い目
R 他方の縫い目
T 一方の縫い目
P1 コンデンス縫い部
P2 本縫い部
Q1 コンデンス縫い部
Q2 本縫い部
Q3 本縫い部
R1 コンデンス縫い部
R2 本縫い部
T1 コンデンス縫い部
T2 本縫い部
T3 本縫い部
Claims (6)
- 二本の縫い針をそれぞれ保持して主軸モータにより駆動されて上下動する二本の針棒を有し、各縫い針を上昇位置に個別に停止可能とするように構成された片針停止機構を有する針上下動機構を備え、前記主軸モータの駆動により身生地と玉布とを二本の縫い目を形成して縫合するミシン本体と、
身生地の上に玉布を保持するバインダーと、
前記バインダーを挟んで両側に下降して身生地及び玉布を押圧保持する一対の押さえ腕を有し、身生地及び玉布を布送り方向に沿って搬送する大押さえ機構と、
前記二本の縫い目の先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構を制御する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
前記制御手段は、前記二本の縫い目の先端を形成する際に、縫い目の先端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い終わり位置に連続する本縫い部の縫い目を一方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い終わり位置まで形成し、次に、一方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い終わり位置及び既に形成された他方の縫い目の本縫い部の縫い目にそれぞれ連続する本縫い部の縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構の駆動を制御することを特徴とする玉縁縫いミシン。 - 二本の縫い針をそれぞれ保持して主軸モータにより駆動されて上下動する二本の針棒を有し、各縫い針を上昇位置に個別に停止可能とするように構成された片針停止機構を有する針上下動機構を備え、前記主軸モータの駆動により身生地と玉布とを二本の縫い目を形成して縫合するミシン本体と、
身生地の上に玉布を保持するバインダーと、
前記バインダーを挟んで両側に下降して身生地及び玉布を押圧保持する一対の押さえ腕を有し、身生地及び玉布を布送り方向に沿って搬送する大押さえ機構と、
前記二本の縫い目の先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構を制御する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
前記制御手段は、前記二本の縫い目の先端を形成する際に、縫い目の先端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い終わり位置まで他方の縫い目のコンデンス縫い部及び当該コンデンス縫い部の縫い終わり位置に連続する本縫い部の縫い目を形成し、次に、一方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い目を形成し、次に、一方の縫い目のコンデンス縫い部の縫い終わり位置及び既に形成された他方の縫い目の本縫い部の縫い目にそれぞれ連続する本縫い部の縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構の駆動を制御することを特徴とする玉縁縫いミシン。 - 前記ミシン本体が針振りモータにより駆動されて二本の針棒をそれぞれ布送り方向に沿って振らせる針振り機構を備え、
前記制御手段は、前記主軸モータ、前記針振りモータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構に加えて前記針振りモータを制御して、前記二本の縫い目の先端を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の玉縁縫いミシン。 - 二本の縫い針をそれぞれ保持して主軸モータにより駆動されて上下動する二本の針棒を有し、各縫い針を上昇位置に個別に停止可能とするように構成された片針停止機構を有する針上下動機構を備え、前記主軸モータの駆動により身生地と玉布とを二本の縫い目を形成して縫合するミシン本体と、
身生地の上に玉布を保持するバインダーと、
前記バインダーを挟んで両側に下降して身生地及び玉布を押圧保持する一対の押さえ腕を有し、身生地及び玉布を布送り方向に沿って搬送する大押さえ機構と、
前記二本の縫い目の先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構を制御する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
前記制御手段は、前記二本の縫い目の後端を形成する際に、縫い目の後端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目及び他方の縫い目の各本縫い部の縫い目を他方の縫い目の本縫い部の縫い終わり位置まで形成し、次に、一方の縫い目の本縫い部の縫い目及び当該本縫い部の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部の縫い目を形成し、次に、他方の縫い目の本縫い部の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部の縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構の駆動を制御することを特徴とする玉縁縫いミシン。 - 二本の縫い針をそれぞれ保持して主軸モータにより駆動されて上下動する二本の針棒を有し、各縫い針を上昇位置に個別に停止可能とするように構成された片針停止機構を有する針上下動機構を備え、前記主軸モータの駆動により身生地と玉布とを二本の縫い目を形成して縫合するミシン本体と、
身生地の上に玉布を保持するバインダーと、
前記バインダーを挟んで両側に下降して身生地及び玉布を押圧保持する一対の押さえ腕を有し、身生地及び玉布を布送り方向に沿って搬送する大押さえ機構と、
前記二本の縫い目の先端に、布送り方向先端位置がそれぞれ異なるコンデンス縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構を制御する制御手段と、を備える玉縁縫いミシンにおいて、
前記制御手段は、前記二本の縫い目の後端を形成する際に、縫い目の後端が布送り方向上流側に位置する一方の縫い目及び他方の縫い目の各本縫い部の縫い目を他方の縫い目の本縫い部の縫い終わり位置まで形成し、次に、他方の縫い目の本縫い部の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部の縫い目を形成し、次に、既に形成された一方の縫い目の本縫い部の縫い目に連続する本縫い部の縫い目及び当該本縫い部の縫い終わり位置に連続するコンデンス縫い部の縫い目を形成するように、前記主軸モータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構の駆動を制御することを特徴とする玉縁縫いミシン。 - 前記ミシン本体が針振りモータにより駆動されて二本の針棒をそれぞれ布送り方向に沿って振らせる針振り機構を備え、
前記制御手段は、前記主軸モータ、前記針振りモータ、前記片針停止機構及び前記大押さえ機構に加えて前記針振りモータを制御して、前記二本の縫い目の後端を形成することを特徴とする請求項4又は5に記載の玉縁縫いミシン。
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