JP2009129949A - 有機tftの製造方法、及び有機tft - Google Patents

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Abstract

【課題】製造工程の複雑化と高価格化を招くことなく、優れた特性と高い信頼性を得ることができる有機TFTの製造方法、及び有機TFTを提供する。
【解決手段】ソース・ドレイン電極と該ソース・ドレイン電極の上に成膜される有機半導体層を有する有機TFTの製造方法であって、ソース・ドレイン電極は、所定の部材の上にパターン化された下地層を形成する工程と、下地層の上に該下地層を部分的にを露出させる複数の開口を有する不連続な電極表面層を形成する工程と、の少なくとも2つの工程によって形成され、有機半導体層は、電極表面層および複数の開口を介して部分的に露出した下地層の上に成膜する。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機TFTの製造方法、及び有機TFTに関し、特に電極と該電極に成膜される有機半導体膜を有する有機TFTの製造方法、及び有機TFTに関する。
近年、基板上に薄膜トランジスタ(以下、TFTとも記す)を形成する技術が大幅に進歩し、特にアクティブマトリクス型の大画面表示装置の駆動素子への応用開発が進められている。現在実用化されているTFTは、a−Siやpoly−SiといったSi系の無機材料で製造されているが、このような無機材料を用いたTFTの製造においては、真空プロセスや高温プロセスを必要とし、製造コストに大きく影響を及ぼしている。
そこで、このような問題に対応する為、近年、有機材料を用いたTFT(有機TFT)が種々検討されている。有機材料は無機材料に比べ、材料の選択肢が広く、また、有機TFTの製造工程においては、前述の真空プロセス、高温プロセスに代わり、印刷、塗布といった生産性に優れたプロセスが用いられる為、製造コストを抑えることができる。さらに耐熱性の乏しい、例えばプラスチックフィルム基板等にも形成することができる可能性があり、多方面への応用が期待されている。
ところで、このような有機TFTにおいて、優れた電気特性と高い信頼性を得る為には、有機半導体とソース・ドレイン電極との電気的接触を高めることが肝要である。この為有機半導体の仕事関数に近い値の仕事関数を有するAuやPt等の金属材料を用いてソース・ドレイン電極を形成する方法が提案されている。
例えば、真空蒸着や真空スパッタにより下地部材の上にAu層を形成した後、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることによりソース・ドレイン電極を形成する方法が知られている(特許文献1参照)。
特開2003−258261号公報
特許文献1に記載の方法は、電極材料にAuを用いることにより、有機半導体とソース・ドレイン電極との接触抵抗が低く、優れた電気特性を得ることができる。しかしながら、高温試験による特性の劣化や外部負荷による特性の劣化といった信頼性面における問題があった。また、真空プロセスとフォトリソプロセスを必要とし、工程の複雑化と高価格化を招くという問題がある。
一方、IJ法(インクジェット法)を用いた印刷により下地部材の上にソース・ドレイン電極を形成することも考えられる。この場合は、高い信頼性を得ることができる。しかしながら、インクジェット法で射出できる電極材料インクの選択肢は極めて少なく、有機TFTのソース・ドレイン電極材料として好適であるAuは用いることができない。この為、Agナノ粒子やAgPdナノ粒子を溶媒に分散させたナノインクを用いているのが現状であり、優れた電気特性を得ることは困難なものである。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、製造工程の複雑化と高価格化を招くことなく、優れた特性と高い信頼性を得ることができる有機TFTの製造方法、及び有機TFTを提供することを目的とする。
上記目的は、下記の1乃至8いずれか1項に記載の発明によって達成される。
1.ソース・ドレイン電極と該ソース・ドレイン電極の上に成膜される有機半導体層を有する有機TFTの製造方法であって、
前記ソース・ドレイン電極は、
所定の部材の上にパターン化された下地層を形成する工程と、
前記下地層の上に該下地層を部分的に露出させる複数の開口を有する不連続な電極表面層を形成する工程と、の少なくとも2つの工程によって形成され、
前記有機半導体層は、前記電極表面層および前記複数の開口を介して部分的に露出した前記下地層の上に成膜することを特徴とする有機TFTの製造方法。
2.前記電極表面層は、金であることを特徴とする前記1に記載の有機TFTの製造方法。
3.前記下地層は、ニッケルまたは銅であることを特徴とする前記1または2に記載の有機TFTの製造方法。
4.前記電極表面層は、置換めっき法によって形成することを特徴とする前記1乃至3のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
5.前記下地層は、下地触媒型めっき法によって形成することを特徴とする前記1乃至4のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
6.前記下地層の厚みは、20nm以上、2000nm以下であることを特徴とする前記1乃至5のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
7.前記有機半導体層は、印刷法によって成膜することを特徴とする前記1乃至6のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
8.前記1乃至7のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法を用いて製造されることを特徴とする有機TFT。
本発明によれば、ソース・ドレイン電極を所定の部材の上にパターン化された下地層と下地層の上に該下地層を部分的に露出させる複数の開口を有する不連続な電極表面層の少なくとも2つの層から形成し、有機半導体層を、電極表面層および複数の開口を介して部分的に露出した下地層の上に成膜する構成とした。
すなわち、有機半導体層が成膜される電極表面層を複数の開口を有する不連続な膜とした。これにより、温度変化や外部負荷等のストレスによりソース・ドレイン電極と有機半導体層との界面(接触面)に発生する応力変化の影響を抑えることができる。その結果、温度変化や外部負荷に係らず良好な接触状態を維持することができ、信頼性を高めることができる。
また、有機半導体層を、電極表面層および複数の開口を介して部分的に露出した下地層の2つの層の上に成膜するようにした。これにより、例えば、電極表面層を有機半導体の仕事関数に近い値の仕事関数を有し高いキャリア移動度が得られるAuとし、また、下地層を電極表面層であるAuや下地層が成膜される下地部材(例えば、ゲート絶縁膜)等との密着性に優れたNiまたはCuとした場合、有機半導体層は、これらの2つの層の上に成膜されるので、優れた電気特性と高い信頼性を得ることができる。
以下図面に基づいて、本発明に係る有機TFTの実施の形態を説明する。尚、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
最初に本発明の実施形態に係る有機TFTの構成を図1を用いて説明する。図1は、有機TFT1の概略構成を示す断面図である。
有機TFT1は、図1に示すように、基板P、ゲート電極G、ゲート絶縁膜IF、ソース電極S、ドレイン電極D、有機半導体膜SF、及びパッシベーション膜PFなどから構成される。
基板Pは、ガラス基板やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、PCなどの樹脂基板を用いることができるが、特に限定されるものではない。
ゲート電極Gは、蒸着、スパッタ技術などを用いて形成し、材料としては、Au、Ag、Pd、Al、Cr、Pt、Cu、ITOなどを用いることができるが、材料、形成方法ともに特に限定されるものではない。また、パターニング方法としては、フォトリソグラフィー技術などを用いる。尚、印刷法を用いて触媒を塗布し、めっきすることによって形成することやIJ法を用いて印刷することで形成することもできる。
ゲート絶縁膜IFは、大気圧プラズマCVD法によってテトラエトキシシラン(TEOS)を原料としてSiO2膜を形成する方法、樹脂材料をスピンコートする方法などを用いて形成することができるが、特に限定されるものではない。
ソース電極S、ドレイン電極Dは、図1に示すように、後述の触媒層101、下地層102、電極表面層103などの複数の層から構成される。尚、ソース電極S、ドレイン電極Dの材料、形成方法の詳細は後述する。
有機半導体層SFの成膜方法は特に限定されるものではなく、真空蒸着やスピンコートなどを用いることができるが、スクリーン印刷、IJ法、マイクロコンタクトプリント、ディスペンサ、凸版、転写などの印刷法を用いると、塗布と同時にパターニングもできる為、製造コストを低減することができ特に好適である。
有機半導体層SFの材料は、多環芳香族化合物や共役系高分子などを用いることができるが、特に限定されない。高分子材料、オリゴマー、低分子材料でもよく、塗布後に分子が分子間相互作用により規則正しく配列し結晶となるものが特に好ましい。ペンタセン、ポルフィリン、フタロシアニン、オリゴチオフェン、オリゴフェニレン、ポリチオフェン、ポリフェニレン、およびこれら誘導体などを用いることができる。具体的には、ペンタセン、6,13−ビス(トリイソプロピルシリルエチニル)ペンタセン、テトラベンゾポルフィリン、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)などを用いることができる。また、これらの前駆体を成膜したあと熱処理することなどで有機半導体材料などに変換することもできる。
パッシベーション膜PFは、有機半導体層SFを外部雰囲気から遮断、保護する為に必要に応じて成膜する。
このような構成の有機TFT1において、本発明は、ソース電極S、ドレイン電極Dと有機半導体層SFとの電気的接触を高め、且つ安定して維持できるようにすることにより、優れた電気特性と高い信頼性を実現するものである。具体的には、ソース電極S、ドレイン電極Dを下地層102と、下地層102の上に該下地層102を部分的に露出させる複数の開口を有する不連続な電極表面層103の少なくとも2つの層から形成する。そして、有機半導体層SFを、電極表面層103および複数の開口を介して部分的に露出した下地層102の2つの層の上に成膜するするものである。以下、その詳細について説明する。
ソース電極S、ドレイン電極Dは、図1に示したように、触媒層101、下地層102、電極表面層103などの複数の層から構成される。
下地層102は、ゲート絶縁膜IF、電極表面層103、有機半導体層SFと触れるため、これらの膜との密着性に優れたNi、Ti、Cr、Cuなどを用いる。これらは電極表面層103の材料である後述のAuやゲート絶縁膜IFの材料である樹脂または無機絶縁物などのいずれの材料とも密着性に優れ、また、低抵抗である。特にNiは、密着性に優れ、また、表面電極層103を形成する際に用いる後述の置換Auめっきを容易に行うことができるので、最も好適である。
下地層102の形成方法としては、蒸着、スパッタ、下地触媒めっき法などを用いることができる。特に、下地触媒めっき法は、プロセスが簡便であることから好適である。具体的には、触媒となるインク、例えばAgPdナノ粒子やPdナノ粒子を分散させた液を印刷法を用いて、図1に示すようにソース電極Sおよびドレイン電極Dの形状に印刷して触媒層101を形成し、その触媒パターン上にNiめっきするものである。
また、別の方法としては、触媒効果のないAgナノインク(ナノ粒子分散液)を印刷法を用いて、図1に示すようにソース電極Sおよびドレイン電極Dの形状に印刷した後、触媒溶液(AgPdナノ粒子やPdナノ粒子を分散させた液)に浸すことで、Agナノインクのパターン上に選択的に触媒層101を形成し、その触媒パターン上にNiめっきする方法などもある。
尚、下地層102は、連続膜であることが望ましい。下地膜102が不連続な膜であると、その不連続部分が信頼性の低下を招く。
電極表面層103は、下地層102の上に、該下地層102を部分的に露出させる複数の開口を有する不連続な膜に形成する。
電極表面層103の材料は、Au、Pt、Pdなどを用いることができるが、有機半導体の仕事関数に近い値の仕事関数を有し高いキャリア移動度が得られるAuが好適である。
電極表面層103を不連続な膜構造に形成する方法としては、以下の方法などが挙げられる。
1.真空蒸着またはスパッタにより成膜し、フォトリソグラフィー法を用いて、不連続な膜に加工する方法。
2.成膜前に数nm〜数μm程度の大きさの微粒子を下地層102の表面に配置しておき、その上に電極表面層103をスパッタにより成膜した後、微粒子を取り除くことにより、不連続な膜を形成する方法。
3.触媒を不連続な形状に印刷して触媒層101を形成し、その触媒パターン上に下地触媒めっき法を用いてめっきすることにより、不連続な膜を形成する方法。
4.置換めっき法を用い、下地層102の表面が完全に置換めっきされる前に、めっきプロセスを停止することにより、不連続な膜を形成する方法。
前記1、2項に記載の方法は、真空プロセスを用いるため、工程の複雑化と高価格化をを招く。また、前記1項に記載のフォトリソグラフィー法を用いる方法は、フォトマスク、露光器、現像、エッチング工程等の影響により、解像度が数μm程度が限界となり、粗いパターンの不連続膜しか形成できない。不連続膜のパターンは細かければ細かいほど、本発明の効果は大きくなる。前記2乃至4項に記載の方法は、細かいパターンの不連続膜が得られるため好ましい。
前記3、4項に記載の方法は、真空プロセスを使わないため、非常にプロセスが簡便であり、より好ましい。特に、置換めっき法を用いる前記4項に記載の方法は、最もプロセスが簡便であり、また、信頼性にも優れており好適である。
ここで、置換Auめっき法を用いて電極表面層103を形成した場合のめっき状態を図2を用いて説明する。図2(a)は、電極表面層103を上から見た時の模式図、図2(b)は、図2(a)において、電極表面層103の上に有機半導体層SFを成膜したときのA−A′断面を示す模式図である。
下地層102の表面が完全に置換めっきされる前に、めっきプロセスを停止することにより、図2(a)に示すように、下地層102の表面には、Au粒子103aが散在した状態で置換され、不連続な電極表面層103が形成される。そして、散在するAu粒子103aの隙間(開口)から複数の部位において下地層102aが露出している。
このような表面状態で、有機半導体膜SFを成膜すると、有機半導体膜SFは、図2(b)に示すように、Au粒子103aが散在した状態からなる電極表面層103と散在するAu粒子103aの隙間(開口)を介して露出した下地層102aの2つの層と接することができる。
これにより、温度変化や外部負荷等のストレスによりソース電極S、ドレイン電極Dと有機半導体層SFとの界面(接触面)に発生する応力変化をAu粒子103aの隙間(開口)で吸収することができ、その影響を抑えることができる。その結果、温度変化や外部負荷に係らず良好な接触状態を維持することができ、信頼性を高めることができる。また、有機半導体層SFは、高いキャリア移動度が得られるAuからなる電極表面層103とAuやゲート絶縁膜IF等との密着性に優れたNiまたはCuからなる下地層102の2つの層の上に成膜されるので、優れた電気特性と高い信頼性を得ることができる。
次に、本発明に係る有機TFTの製造方法による実施例を説明する。
(実施例1)
最初に、AgナノインクをIJ法を用いて住友ベークライト社製のPES基板Pの上にゲート電極Gの形状に印刷しゲート電極Gを形成した。続いてゲート電極Gの上に、JSR社製のアクリル樹脂PC403をスピンコートし、ゲート絶縁膜IFを形成した。
次に、めっき触媒であるAgPdナノインクをIJ法を用いてゲート絶縁膜IFの上にソース電極Sおよびドレイン電極Dの形状に印刷し触媒層101を形成した。
次に、奥野製薬工業社製のNiめっき液NNPニコロンLTCに5分間浸漬して下地触媒型めっきを行い、厚みが200nmの下地層(Niめっき層)102を形成した。
続いて同社製の置換Auめっき液フラッシュゴールドNCに浸漬して電極表面層(置換Auめっき層)103を形成した。この時、電極表面層(置換Auめっき層)103の厚みを0〜200nmの不連続な膜に形成する為、置換Auめっき液への浸漬時間は5分間とし、下地層102の表面が完全に置換Auめっきされる前に、めっきプロセスを停止した。
次に、完成されたソース電極Sおよびドレイン電極Dを覆うように、TIPSペンタセンをIJ法を用いて塗布し、有機半導体層SFを成膜した。
(比較例1)
図3に比較例1によるソース電極S、ドレイン電極Dの構成を示す。図3に示すように比較例1によるソース電極S、ドレイン電極Dの構成は単層構成である。スパッタ法を用いてゲート絶縁膜IFの上にAu層107を形成した後、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることにより、厚みが200nmの連続な膜であるソース電極S、ドレイン電極Dを形成した。
(実施例2)
実施例2によるソース電極S、ドレイン電極Dの構成は、実施例1の場合と同様であるが、置換Auめっき液への浸漬時間を、実施例1の場合の1/3とし、電極表面層(置換Auめっき層)103の厚みを0〜70nmの不連続な膜に形成した。
(比較例2)
比較例2によるソース電極S、ドレイン電極Dの構成は、実施例1の場合と同様であるが、下地層(Niめっき層)102の表面が完全に置換Auめっきされるまで置換Auめっき液へ浸漬し、電極表面層(置換Auめっき層)103の厚みを100〜300nmの連続な膜に形成した。
(比較例3)
比較例3によるソース電極S、ドレイン電極Dの構成は、電極表面層(置換Auめっき層)103を設けず、下地層(Niめっき層)102のみの単層構成とした。
このようにして製作した実施例1、実施例2、及び比較例1〜比較例3による有機TFT1の信頼性試験結果を下記表1に示す。表1は、高温試験(140℃×100時間)、折り曲げ試験(3cmΦの曲げ)前後の有機TFT1のキャリア移動度の測定結果を示す表である。
Figure 2009129949
実施例1の場合は、キャリア移動度が高く、また、信頼性試験による特性の劣化も見られず、優れた特性と高い信頼性を得ることができることを確認できた。
一方、比較例1の場合は、ソース電極S、ドレイン電極DがAu層であることから初期のキャリア移動度は高いものの、連続な膜であることから信頼性試験により特性の大きな劣化が見られた。
また、実施例2の場合は、初期のキャリア移動度は、実施例1の場合よりも若干低いもの、信頼性試験による特性の劣化は見られず、実施例1の場合と同様に、優れた特性と高い信頼性を得ることができることを確認できた。
一方、比較例2の場合は、実施例1の場合と同様に、初期のキャリア移動度は高いものの、めっきが過剰であり連続な膜であることから信頼性試験により特性の大きな劣化が見られた。
また、比較例3の場合は、置換Auめっき層を有さないことから、キャリア移動度は、初期から著しく低い値を示した。
次に、実施例1の場合と同様の構成で、下地層(Niめっき層)102の厚みが異なる6種類の有機TFT1を製作した。その信頼性試験結果を下記表2に示す。表2は、高温試験(140℃×100時間)、折り曲げ試験(3cmΦの曲げ)前後の有機TFT1のキャリア移動度の測定結果を示す表である。
Figure 2009129949
表2に示すように、下地層(Niめっき層)102の厚みが、20nm〜2000nmの範囲において、キャリア移動度が高く、また、信頼性試験による特性の劣化も見られない。
このことにより、下地層(Niめっき層)102の厚みは、少なくとも数nm以上、より好適には20nm以上あれば密着性は向上する。また、厚すぎるとNi膜の内部応力が発生し、接触抵抗が大きくなる傾向があり、2000nm以下が好ましいことが確認できた。
このように本発明の実施形態に係る有機TFT1においては、ソース電極S、ドレイン電極Dをゲート絶縁膜IFの上にパターン化された下地層(Niめっき層)102と下地層102の上に該下地層102を部分的に露出させる複数の開口を有する不連続な電極表面層(置換Auめっき層)103の少なくとも2つの層から形成し、有機半導体層SFを、電極表面層103および複数の開口を介して部分的に露出した下地層102の上に成膜する構成とした。
すなわち、有機半導体層SFが成膜される電極表面層103を複数の開口を有する不連続な膜とした。これにより、温度変化や外部負荷等のストレスによりソース電極S、ドレイン電極Dと有機半導体層SFとの界面(接触面)に発生する応力変化の影響を抑えることができる。その結果、温度変化や外部負荷に係らず良好な接触状態を維持することができ、信頼性を高めることができる。
また、有機半導体層SFを、電極表面層103および複数の開口を介して部分的に露出した下地層102の2つの層の上に成膜するようにした。これにより、例えば、電極表面層103を有機半導体SFの仕事関数に近い値の仕事関数を有し高いキャリア移動度が得られるAuとし、また、下地層102を電極表面層103であるAuや下地層102が成膜されるゲート絶縁膜IF等との密着性に優れたNiまたはCuとした場合、有機半導体層SFは、これらの2つの層の上に成膜されるので、優れた電気特性と高い信頼性を得ることができる。
本発明の実施形態に係る有機TFTの構成を示す断面図である。 置換Auめっきの状態を示す模式図である。 比較例1による有機TFTの構成を示す断面図である。
符号の説明
1 有機TFT
101 触媒層(AgPdナノインク)
102 Niめっき層(下地層)
103 置換Auめっき層(電極表面層)
107 Au層
D ドレイン電極
G ゲート電極
IF ゲート絶縁膜
P 基板
PF パッシベーション膜
S ソース電極
SF 有機半導体膜(有機半導体層)

Claims (8)

  1. ソース・ドレイン電極と該ソース・ドレイン電極の上に成膜される有機半導体層を有する有機TFTの製造方法であって、
    前記ソース・ドレイン電極は、
    所定の部材の上にパターン化された下地層を形成する工程と、
    前記下地層の上に該下地層を部分的に露出させる複数の開口を有する不連続な電極表面層を形成する工程と、の少なくとも2つの工程によって形成され、
    前記有機半導体層は、前記電極表面層および前記複数の開口を介して部分的に露出した前記下地層の上に成膜することを特徴とする有機TFTの製造方法。
  2. 前記電極表面層は、金であることを特徴とする請求項1に記載の有機TFTの製造方法。
  3. 前記下地層は、ニッケルまたは銅であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機TFTの製造方法。
  4. 前記電極表面層は、置換めっき法によって形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
  5. 前記下地層は、下地触媒型めっき法によって形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
  6. 前記下地層の厚みは、20nm以上、2000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
  7. 前記有機半導体層は、印刷法によって成膜することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の有機TFTの製造方法を用いて製造されることを特徴とする有機TFT。
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