本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態について、図1を用いて説明する。
本実施の形態では、配線層若しくは電極などを形成する導電層のうち、少なくとも一つ若しくはそれ以上を、めっき法によって作製する。無電界めっき法は、めっきされる金属材料に対する触媒物質の他、その金属材料をめっきする触媒物質を吸着する機能を有する物質(めっき触媒物質)として光触媒物質がある。めっき触媒物質を選択的に所望な形状に吸着(析出)し、めっき法によって導電層を自己整合的に形成して、半導体装置、表示装置を作製することを特徴の一つとするものである。本発明では、めっき触媒物質を選択的に形成するため、めっき触媒物質を析出する光触媒物質を裏面露光により選択的に露光し、露光領域において光触媒機能を発生させる。
透光性を有する基板50上に、ゲート電極層51を形成し、ゲート電極層51上にゲート絶縁層52を形成する。ゲート電極層51と重畳するゲート絶縁層52上に光触媒物質55を形成する。この光触媒物質55は、光触媒機能を有し、かつ金属材料をめっきするための触媒となるめっき触媒物質を吸着する機能を有する物質である。めっき触媒物質を吸着、あるいは析出させる機能を有する物質である。
光触媒物質は、光触媒機能により、溶液中に含まれるめっき触媒物質を還元し析出(表面に吸着とも言える)することができる。光触媒物質は、酸化チタン(TiO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、セレン化カドミウム(CdSe)、タンタル酸カリウム(KTaO3)、硫化カドミウム(CdS)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化タングステン(WO3)等が好ましい。これら光触媒物質に紫外光領域の光(波長400nm以下、好ましくは380nm以下)を照射し、光触媒活性を生じさせることができる。
複数の金属を含む酸化物半導体からなる光触媒物質の場合、構成元素の塩を混合、融解して形成することができる。溶媒を除去する必要があるときは、焼成、乾燥を行えばよい。具体的には、所定の温度(例えば、300℃以上)で加熱すればよく、好ましくは酸素を有する雰囲気で行う。
この加熱処理により、光触媒物質は所定の結晶構造を有することができる。例えば、酸化チタン(TiO2)では、アナターゼ型やルチル−アナターゼ混合型を有し、低温相ではアナターゼ型が優先的に形成される。そのため光触媒物質が所定の結晶構造を有していない場合も加熱すればよい。
更に光触媒物質へ遷移金属(Pd、Pt、Cr、Ni、V、Mn、Fe、Ce、Mo、W等)をドーピングすることにより、光触媒活性を向上させたり、可視光領域(波長400nm〜800nm)の光により光触媒活性を起こすことができる。遷移金属は、広いバンドギャップを持つ活性な光触媒の禁制帯内に新しい準位を形成し、可視光領域まで光の吸収範囲を拡大しうるからである。例えば、CrやNiのアクセプター型、VやMnのドナー型、Fe等の両性型、その他Ce、Mo、W等をドーピングすることができる。このように光の波長は光触媒物質によって決定することができるため、光照射とは光触媒物質を活性化させる波長の光を照射することを指す。
また光触媒物質を真空中又は水素環流中で加熱し還元させると、結晶中に酸素欠陥が発生する。このように遷移元素をドーピングしなくても、酸素欠陥は電子ドナーと同等の役割を果たす。特に、ゾルゲル法により形成する場合、酸素欠陥が最初から存在するため、還元しなくともよい。またN2等のガスをドープすることにより、酸素欠陥を形成することができる。
めっき触媒物質は、めっきする金属材料によって適宜選択する。めっき触媒物質としては、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)などを用いればよい。めっき触媒物質は溶液に溶解させて、めっき触媒物質を含む溶液として扱う。
本実施の形態では、光触媒物質である酸化チタンを含む液状の組成物54を液滴吐出法53により吐出し、乾燥、焼成によって固化させ、光触媒物質55を選択的に形成する(図1(A)参照。)。
選択的に所望なパターンで形成物を形成可能な方法として、特定の目的に調合された組成物の液滴を選択的に吐出(噴出)して所定のパターンに薄膜を形成することが可能な、液滴吐出(噴出)法(その方式によっては、インクジェット法とも呼ばれる。)を用いる。また、形成物が所望のパターンに転写、または描写できる方法、例えば各種印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷など所望なパターンで形成される方法)、ディスペンサ法、選択的な塗布法なども用いることができる。
本実施の形態は、半導体装置、表示装置の作製工程において、流動体化した触媒物質を含む組成物を、液滴として吐出(噴出)し、所望なパターンに選択的に形成する方法を用いている。触媒物質の被形成領域に、構成物形成材料を含む液滴を吐出し、焼成、乾燥等を行って固定化(あるいは固化)し所望なパターンに形成する。インクジェット法によって直接配線層を作製する場合、配線層にバインダーとなる有機材料を含ませるので、高抵抗になりやすいが、めっき法で作製するとより低抵抗の配線層を作製することができる。また、本発明で用いる無電界めっき法では、導電層の成長速度はパターン形状を細線化しても影響を受けず、膜厚の制御も、めっき液への浸漬時間を調整することで達成できる。
また、光触媒物質の形状の加工は、レジストマスクや蒸着マスクなどを用いてもよく、上記液滴吐出(噴出)法、印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷法)、ディスペンサ法などの方法を組み合わせてもよい。本実施の形態のように、光触媒物質55を液滴吐出法により選択的に形成すると、作製工程がより簡略化する。
光触媒物質55にめっき触媒物質を析出させるため、めっき触媒物質を含む溶液56中に光触媒物質55を浸漬し、めっき触媒物質57a、めっき触媒物質57bを光触媒物質55表面に析出させる(図1(B)参照。)。その際、透光性を有する基板50側より、光源58から、透光性を有する基板50を通過させて光59を光触媒物質55へ照射する。光59は、透光性を有する基板50とゲート絶縁層52は透過するが、非透光性であるゲート電極層51は通過せず遮断される。よって、光触媒物質55において、ゲート電極層51と重畳する領域は非露光領域となり、露光領域のみ光触媒物質は光によって活性化し、その光触媒機能によって、めっき触媒物質を含む溶液56中のめっき触媒物質は還元される。よって光触媒物質55表面に、選択的にめっき触媒物質57a、めっき触媒物質57bが析出する。このように光照射によって、光触媒物質を活性化させ、光触媒物質の光触媒機能を利用する場合は、めっき触媒物質を含む溶液のpHを調整しなくてもよい。光59は、光触媒物質55の光触媒機能が発生する波長の光とし、光のエネルギーにより光照射及び浸漬処理時間を適宜調整する。本実施の形態では、光触媒物質55として酸化チタンを用いるので、光59として紫外光を照射する。
光触媒機能を用いると、めっき触媒物質を含む溶液中にpH調整のための水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などを加えなくてもよい。従って、光触媒機能を用いると、半導体層の材料によっては、悪影響を与えかねない水酸化カリウム(KOH)などの物質を用いなくてもよいという利点がある。
めっき触媒物質を含む溶液56が、光触媒物質55と接すればよいので、浸漬する方法には限定されない。よって、基板50を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっき触媒物質を含む溶液56を、基板50上の光触媒物質55表面に流すように塗布してもよい。基板を斜め(または垂直)に立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、大面積の基板であっても工程に用いる装置が小型化できる利点がある。
めっき触媒物質57a、めっき触媒物質57bを表面に吸着させた光触媒物質55をめっきする金属材料を含むめっき液60に浸漬し、めっき触媒物質57a、めっき触媒物質57b上に金属膜を成長させ、所望とする膜厚に達するように浸漬時間を制御し、ソース電極層又はドレイン電極層61a、ソース電極層又はドレイン電極層61bを自己整合的に形成する(図1(C)参照。)。ソース電極層又はドレイン電極層61a及びソース電極層又はドレイン電極層61bは、ゲート電極層51とほぼ重ならないように自己整合的に形成することができるため、制御性がよい。
また、本実施の形態で用いる無電界めっきによる導電膜の成長速度はパターン形状を細線化しても影響を受けず、厚膜化が必要であれば、めっき液への浸漬時間を長時間にすればよい。
めっき液には、金属塩(析出させる金属材料を含む塩、代表的には塩化物、硫酸塩)、還元剤(金属イオンを金属として析出させるため電子を与える)が主成分として含まれる。その他、補助成分として、pH調整剤、緩衝剤、錯化剤、促進剤、安定剤、改良剤などを加えてもよい。主成分のみでもpH、浴温等の条件さえ整えば、金属イオンは金属として析出する。主成分に対して、補助成分の働きは、めっき浴(めっき液)の寿命を長くしたり、還元剤の効率を良くしたりする役目を持っており、この選択の方法によっては経済性の高い無電界めっき法を行うことができる。pH調整剤はめっき速度、還元効率及びめっき皮膜の状態に影響を及ぼす。緩衝剤は、無電界めっき法では、金属イオンが還元されることにより金属析出が起こり、この際生じる物質により起こされるpH変動をおさえる(各種有機酸、無機の弱酸)。錯化剤は、アルカリ性溶液における水酸化物沈殿の防止、遊離金属イオン濃度を調節し、めっき速度の調整、めっき液の分解の防止などに寄与する(代表的にはアンモニア、エチレンジアミン、ピロりん酸塩、クエン酸、酢酸、各種有機酸塩などが用いられる。)。促進剤は、めっき速度を促進すると同時に水素ガスの発生をおさえて金属の析出効率を良くするもので微量に添加される(代表的なものとして硫化物、フッ化物が用いられる。)。安定剤は、被めっき物の表面以外で還元反応が起こるのをおさえる役目を持っている。めっき浴の自然分解等をおさえるもので、めっき浴の老化に伴って生じた沈でん等が還元剤と反応して激しく水素ガスが発生するのを防ぐ(代表的なものとして鉛の塩化物、硫化物、硝化物等が用いられる。)。改良剤は、めっき皮膜の状態をよくするもので光沢を良くしたりするものである(代表的には界面活性剤が用いられる。)。
めっきできる金属材料は、ニッケル(Ni)、ニッケル合金(ニッケルリン(NiP)合金、ニッケルコバルト(NiCo)合金、ニッケルコバルトリン(NiCoP)合金、ニッケル鉄リン(NiFeP)合金、ニッケルタングステンリン(NiWP)合金など)、銅(Cu)、金(Au)、コバルト(Co)、錫(Sn)などを用いることができる。
本実施の形態では、金属材料を含むめっき液60として、金属塩である硫酸ニッケル6水和物(NiSO4)、還元剤である次亜リン酸(H3PO2)、錯化剤である乳酸及びリンゴ酸を混合して用いる。析出する金属膜はニッケルリン合金(NiP)膜である。
めっき触媒物質57a、めっき触媒物質57bは、光触媒物質55表面を覆うように吸着し、めっきによって形成される金属膜は膜厚方向のみでなく多方向に3次元的に形成されるので、ソース電極層又はドレイン電極層61a及びソース電極層又はドレイン電極層61bは、図1(C)のように、光触媒物質55の上面及び側面を覆うように形成される。
ソース電極層又はドレイン電極層61a及びソース電極層又はドレイン電極層61bをマスクとして、露出している不要な光触媒物質55をエッチングし、光触媒物質62a、光触媒物質62bを形成する。勿論ソース電極層又はドレイン電極層61a及びソース電極層又はドレイン電極層61b上に新たなマスクを形成して、露出している不要な光触媒物質55のエッチングを行ってもよい。ソース電極層又はドレイン電極層61a及びソース電極層又はドレイン電極層61b上に半導体層63を形成する(図1(D)参照。)。本実施の形態ではペンタセンを用いて半導体層63を形成する。上記工程において、本実施の形態におけるコプラナー型の薄膜トランジスタを作製することができる。
本実施の形態では、めっき触媒元素を吸着する光触媒物質に裏面露光により、選択的に光を照射し、露光された光触媒物質にめっき触媒元素を選択的に吸着して、自己整合的にソース電極層及びドレイン電極層を形成している。よって、マスクのアライメントずれによる形状不良などが生じず、制御性よく配線を形成することができる。従って、本発明を用いると、歩留まりよく信頼性の高い半導体装置、表示装置などを作製することができる。
また、めっき法を用いるため、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができる。従って、高速動作を行うことができる高性能、かつ高信頼性の半導体装置を作製することもできる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態について、図2を用いて説明する。本実施の形態は、光触媒物質を選択的に露出する例である。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
透光性を有する基板90上に、ゲート電極層91を形成し、ゲート電極層91上にゲート絶縁層92を形成する。ゲート電極層91と重畳するゲート絶縁層92上に光触媒物質95を形成する。光触媒物質95上に、マスク膜94を形成する。マスク膜94は、めっき触媒物質に対するマスク膜であり、光触媒物質がめっき触媒物質をその表面に吸着するのを妨げる。
透光性を有する基板90側より、光源98から、透光性を有する基板90を通過させて光99を光触媒物質95へ照射する。光99は、透光性を有する基板90とゲート絶縁層92は透過するが、非透光性であるゲート電極層91は通過せず遮断される。よって、光触媒物質95において、ゲート電極層91と重畳する領域は非露光領域となり、露光領域のみ光触媒物質は光によって活性化し、その上に形成されるマスク膜を分解、除去する。光触媒物質95において、露光領域の光触媒物質86a及び光触媒物質86bは活性化し、光触媒物質86a及び光触媒物質86b上のマスク膜94は分解除去される。一方、光触媒物質95において、ゲート電極層91上の非露光領域のマスク膜は除去されず、マスク膜85bとして残存する。上記工程において、マスク膜94は、光触媒物質95の光触媒機能によって加工され、マスク膜85a、マスク膜85b、マスク膜85cとなり、光触媒物質86a及び光触媒物質86bが露出する(図2(B)参照。)。
本実施の形態では、光源98より照射される光99は、光触媒物質の光触媒機能を利用してマスク膜94を分解する波長であるため光99の照射のみではマスク膜94は除去されず、マスク膜85a、及びマスク膜85cとなって残存するかもしれないが、光99の波長がより短くエネルギーの高い光であれば、光99の照射領域においてマスク膜94を分解、除去することもできる。本実施の形態において、光99の波長は、透光性を有する基板90、ゲート絶縁層92を透過する波長の光であり、かつゲート電極層91を透過しない波長の光であることが必要であるので、それぞれに用いる材料によって適宜決定すればよい。本発明では、光触媒物質によって光の処理能力が向上するので、光の波長の選択幅が広くなる。
マスク膜94は、光照射によって生じる光触媒効果によって分解、除去される物質であるので、めっき触媒物質に対するマスク膜として機能するため、めっき触媒物質を吸着しにくい物質である有機材料を含む薄膜が好ましい。マスク膜の膜厚は10nm未満、数nm程度の薄膜が望ましい。このような薄膜であるマスク膜に用いることのできうる材料としてシランカップリング剤を含む物質を用いることができる。
シランカップリング剤は、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)の化学式で表される。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。
また、シランカップリング剤の代表例として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素系シランカップリング剤(フルオロアルキルシラン((以下、FASともいう。))を用いることができる。FASのRは、(CF3)(CF2)x(CH2)y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシランが挙げられる。なお本実施の形態では、マスク膜94としてFAS膜を用いる。
また、シランカップリング剤のRにフッ化炭素鎖を有さず、アルキル基を有す物質も用いることができ、例えば有機シランとしてオクタデシルトリメトキシシラン等を用いることができる。
シランカップリング剤を含む物質の溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなどを用いることができる。
光触媒物質86a及び光触媒物質86bにめっき触媒物質を吸着させるため、めっき触媒物質を含む溶液96中に光触媒物質86a及び光触媒物質86bを浸漬し、めっき触媒物質97a、めっき触媒物質97bを光触媒物質86a及び光触媒物質86b表面に吸着する(図2(C)参照。)。この際、マスク膜85bで覆われている光触媒物質表面にはめっき触媒物質は吸着しないので、めっき触媒物質を選択的に吸着することができる。めっき触媒物質を含む溶液はそのペーハー(以下pHという)を調整されており、アルカリ溶液、又は酸性溶液によってpHを3以上6以下に調整することが好ましい。本実施の形態では、めっき触媒物質としてパラジウムを用いており、塩化パラジウム(PdCl2)、塩化パラジウム(2)ナトリウム(2NaCl・PdCl2)等の化合物を用いることができる。このようなめっき触媒物質を溶解する際には、塩酸などの酸性水溶液を用いるため溶液のpHが2又はそれ以下となってしまう。吸着、あるいは析出するめっき触媒物質を十分な量だけ得るためには、pHを3以上6以下(好ましくは4以上5以下)が好ましいため、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)などを加えてpHを調整する。本実施の形態では、めっき触媒物質を含む溶液96として、塩化パラジウム(2)(PdCl2)を希塩酸に溶解し、水酸化カリウムによりpHを4〜6程度に調整した溶液を用いる。なお本実施の形態では浸漬時間は30秒〜3分間程度である。
めっき触媒物質を含む溶液96が、光触媒物質86a及び光触媒物質86bと接すればよいので、浸漬する方法には限定されない。よって、透光性を有する基板90を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっき触媒物質を含む溶液96を、透光性を有する基板90上の光触媒物質86a及び光触媒物質86b表面に流すように塗布してもよい。基板を斜め(または垂直)に立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、大面積の基板であっても工程に用いる装置が小型化できる利点がある。
めっき触媒物質97a、めっき触媒物質97bを表面に吸着させた光触媒物質86a及び光触媒物質86bをめっきする金属材料を含むめっき液87に浸漬し、めっき触媒物質97a、めっき触媒物質97b上に金属膜を成長させ、所望とする膜厚に達するように浸漬時間を制御し、ソース電極層又はドレイン電極層88a、ソース電極層又はドレイン電極層88bを自己整合的に形成する(図2(D)参照。)。ソース電極層又はドレイン電極層88a及びソース電極層又はドレイン電極層88bは、ゲート電極層91とほぼ重ならないように自己整合的に形成することができるため、制御性がよい。
本実施の形態では、金属材料を含むめっき液87として、金属塩である硫酸ニッケル6水和物(NiSO4)、還元剤である次亜リン酸(H3PO2)、錯化剤である乳酸及びリンゴ酸を混合して用いる。析出する金属膜はニッケルリン合金(NiP)膜である。
めっき触媒物質97a、めっき触媒物質97bは、光触媒物質86a、光触媒物質86b表面を覆うように吸着し、めっきによって形成される金属膜は膜厚方向のみでなく多方向に3次元的に形成されるので、ソース電極層又はドレイン電極層88a及びソース電極層又はドレイン電極層88bは、図2(D)のように、光触媒物質86a、光触媒物質86bの上面及び側面を覆うように形成される。
ソース電極層又はドレイン電極層88a及びソース電極層又はドレイン電極層88bをマスクとして、露出している不要な光触媒物質95及びマスク膜85bをエッチングし、光触媒物質89a、光触媒物質89bを形成する。勿論ソース電極層又はドレイン電極層88a及びソース電極層又はドレイン電極層88b上に新たなマスクを形成して、露出している不要な光触媒物質95及びマスク膜85bのエッチングを行ってもよい。ソース電極層又はドレイン電極層88a及びソース電極層又はドレイン電極層88b上に半導体層84を形成する(図2(E)参照。)。本実施の形態ではペンタセンを用いて半導体層84を形成する。上記工程において、本実施の形態におけるコプラナー型の薄膜トランジスタを作製することができる。
本実施の形態では、めっき触媒元素を吸着する光触媒物質に裏面露光により、選択的に光を照射し、露光された光触媒物質にめっき触媒元素を選択的に吸着して、自己整合的にソース電極層及びドレイン電極層を形成している。よって、マスクのアライメントずれによる形状不良などが生じず、制御性よく配線を形成することができる。従って、本発明を用いると、歩留まりよく信頼性の高い半導体装置、表示装置などを作製することができる。
また、めっき法を用いるため、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができる。従って、高速動作を行うことができる高性能、かつ高信頼性の半導体装置を作製することもできる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態について、図13を用いて説明する。本実施の形態は、実施の形態1において、光触媒物質上にマスク膜を形成する例である。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
透光性を有する基板70上に、ゲート電極層71を形成し、ゲート電極層71上にゲート絶縁層72を形成する。ゲート電極層71と重畳するゲート絶縁層72上に光触媒物質75を形成する。光触媒物質75上に、マスク膜74を形成する。マスク膜74は、めっき触媒物質に対するマスク膜であり、光触媒物質がめっき触媒物質をその表面に吸着するのを妨げる。
本実施の形態では、光触媒物質である酸化チタンを含む液状の組成物を液滴吐出法により吐出し、乾燥、焼成によって固化させ、光触媒物質75を形成し、マスク膜74としてFAS膜を形成する(図13(A)参照。)。
光触媒物質75にめっき触媒物質を析出させるため、めっき触媒物質を含む溶液76中に光触媒物質75を浸漬しつつ、透光性を有する基板70側より、光源78から、透光性を有する基板70を通過させて光79を光触媒物質75へ照射する。光79は、透光性を有する基板70とゲート絶縁層72は透過するが、非透光性であるゲート電極層71は通過せず遮断される。よって、光触媒物質75において、ゲート電極層71と重畳する領域は非露光領域となり、露光領域のみ光触媒物質は光によって活性化し、その上に形成されるマスク膜を分解、除去する。光触媒物質75において、露光領域は活性化し、露光領域上のマスク膜74は分解除去される。一方、光触媒物質75において、ゲート電極層71上の非露光領域においてマスク膜は除去されず、マスク膜73bとして残存する。上記工程において、マスク膜74は、光触媒物質75の光触媒機能によって加工され、マスク膜73a、マスク膜73b、マスク膜73cとなり、露光領域の光触媒物質75が露出する。露出した光触媒物質はめっき触媒物質を含む溶液76と接し、その光触媒機能によって選択的にめっき触媒物質77a、めっき触媒物質77bを表面に析出する(図13(B)参照。)。
実施の形態1のように、光触媒物質に裏面露光により選択的に光を照射し、めっき触媒物質を析出させてもよいが、本実施の形態のように、さらにマスク膜を組み合わせてもよい。マスク膜73bに覆われた領域の光触媒物質75にはめっき触媒物質が析出することなく、めっき触媒物質77a及びめっき触媒物質77bをより確実に制御性よく形成することができる。
このように光照射によって、光触媒物質を活性化させ、光触媒物質の光触媒機能を利用する場合は、めっき触媒物質を含む溶液のpHを調整しなくてもよい。光79は、光触媒物質75の光触媒機能が発生する波長の光とし、光のエネルギーにより光照射及び浸漬処理時間を適宜調整する。本実施の形態では、光触媒物質75として酸化チタンを用いるので、光79として紫外光を照射する。
光触媒機能を用いると、めっき触媒物質を含む溶液中にpH調整のための水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などを加えなくてもよい。従って、光触媒機能を用いると、半導体層の材料によっては、悪影響を与えかねない水酸化カリウム(KOH)などの物質を用いなくてもよいという利点がある。
めっき触媒物質を含む溶液76が、光触媒物質75と接すればよいので、浸漬する方法には限定されない。よって、透光性を有する基板70を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっき触媒物質を含む溶液76を、透光性を有する基板70上の光触媒物質75表面に流すように塗布してもよい。基板を斜め(または垂直)に立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、大面積の基板であっても工程に用いる装置が小型化できる利点がある。
めっき触媒物質77a、めっき触媒物質77bを表面に吸着させた光触媒物質75をめっきする金属材料を含むめっき液80に浸漬し、めっき触媒物質77a、めっき触媒物質77b上に金属膜を成長させ、所望とする膜厚に達するように浸漬時間を制御し、ソース電極層又はドレイン電極層81a、ソース電極層又はドレイン電極層81bを自己整合的に形成する(図13(C)参照。)。ソース電極層又はドレイン電極層81a及びソース電極層又はドレイン電極層81bは、ゲート電極層71とほぼ重ならないように自己整合的に形成することができるため、制御性がよい。
本実施の形態では、金属材料を含むめっき液80として、金属塩である硫酸ニッケル6水和物(NiSO4)、還元剤である次亜リン酸(H3PO2)、錯化剤である乳酸及びリンゴ酸を混合して用いる。析出する金属膜はニッケルリン合金(NiP)膜である。
めっき触媒物質77a、めっき触媒物質77bは、光触媒物質75表面を覆うように吸着し、めっきによって形成される金属膜は膜厚方向のみでなく多方向に3次元的に形成されるので、ソース電極層又はドレイン電極層81a及びソース電極層又はドレイン電極層81bは、図13(C)のように、光触媒物質75の上面及び側面を覆うように形成される。
ソース電極層又はドレイン電極層81a及びソース電極層又はドレイン電極層81bをマスクとして、露出している不要な光触媒物質75及びマスク膜73bをエッチングし、光触媒物質82a、光触媒物質82bを形成する。勿論ソース電極層又はドレイン電極層81a及びソース電極層又はドレイン電極層81b上に新たなマスクを形成して、露出している不要な光触媒物質75のエッチングを行ってもよい。ソース電極層又はドレイン電極層81a及びソース電極層又はドレイン電極層81b上に半導体層83を形成する(図13(D)参照。)。本実施の形態ではペンタセンを用いて半導体層83を形成する。上記工程において、本実施の形態におけるコプラナー型の薄膜トランジスタを作製することができる。
本実施の形態では、めっき触媒元素を吸着する光触媒物質に裏面露光により、選択的に光を照射し、露光された光触媒物質にめっき触媒元素を選択的に吸着して、自己整合的にソース電極層及びドレイン電極層を形成している。よって、マスクのアライメントずれによる形状不良などが生じず、制御性よく配線を形成することができる。従って、本発明を用いると、歩留まりよく信頼性の高い半導体装置、表示装置などを作製することができる。
また、めっき法を用いるため、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができる。従って、高速動作を行うことができる高性能、かつ高信頼性の半導体装置を作製することもできる。
(実施の形態4)
図27(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス状に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであれば1024×768×3(RGB)、UXGAであれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させるのであれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素2702のそれぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
図27(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図28(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図28(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図28において、ドライバIC2751は、FPC2750と接続している。
また、画素に設けるTFTを、結晶性が高い多結晶(微結晶)半導体で形成する場合には、図27(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図28(B)において、3701は画素部であり、信号線側駆動回路は、図27(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。本発明で形成するTFTのように、画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図27(C)は、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
本発明の実施の形態について、図3乃至図9を用いて説明する。より詳しくは、本発明を適用した、ボトムゲート構造のコプラナー型の薄膜トランジスタを有する表示装置の作製方法について説明する。図3乃至図7の(A)は表示装置画素部の上面図であり、図3乃至図7の(B)は、図3乃至図7の(A)における線A−Cによる断面図、(C)は線B−Dによる断面図である。図8は表示装置の断面図であり、図9(A)は上面図である。図9(B)は、図9(A)における線L−K(線I−Jを含む)による断面図である。
基板100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等からなるガラス基板、石英基板、又は本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いる。また、基板100の表面が平坦化されるようにCMP法などによって、研磨しても良い。本実施の形態では、基板100を透過して光を照射する処理を行うため、基板100は、処理に用いられる光を透過する物質を用い、透光性を有する必要がある。
なお、基板100上に、絶縁層を形成してもよい。絶縁層は、CVD法、プラズマCVD法、スパッタリング法、スピンコート法等の方法により、珪素を含む酸化物材料、窒化物材料を用いて、単層又は積層して形成される。又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法などを用いることもできる。この絶縁層は、形成しなくても良いが、基板100からの汚染物質などを遮断する効果がある。
本発明においては、基板100上に形成される光触媒物質に光照射をする際に、裏面露光を用い、基板100側から、基板100を通過するように光を照射し、形成されている光触媒物質を活性化する。よって、基板100は、光触媒物質を活性化できるだけの光(光の波長、エネルギーなど)を透過する物質である必要がある。
基板100上に、ゲート電極層103及びゲート電極層104を形成する。ゲート電極層103及びゲート電極層104は、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用いて形成することができる。ゲート電極層103及びゲート電極層104は、Ag、Au、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、単層構造でも複数層の構造でもよく、例えば、窒化タングステン(TiN)膜とモリブデン(Mo)膜との2層構造としてもよいし、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
ゲート電極層103及びゲート電極層104を形成するのにエッチングにより加工が必要な場合、マスクを形成し、ドライエッチングまたはウェットエッチングにより加工すればよい。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、電極層をテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
マスクは組成物を選択的に吐出して形成することができる。このように選択的にマスクを形成するとマスクの形状を加工する工程が簡略化する効果がある。マスクは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリレンエーテル、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
また、本実施の形態で、マスクを液滴吐出法によって形成する際、前処理として、被形成領域及びその近傍のぬれ性を制御する処理を行ってもよい。本発明において、液滴吐出法により液滴を吐出して導電層、又は絶縁層を形成する際、導電層、又は絶縁層の被形成領域及びその周囲のぬれ性を制御して、導電層、又は絶縁層の形状を制御することができる。この処理によって、制御性よく導電層、又は絶縁層を形成することができる。ぬれ性の制御は、形成する導電層、又は絶縁層の形状に合わせて行えばよく、均一なぬれ性としてもよいし、ぬれ性に高低を設け被形成領域にぬれ性の異なる複数の領域を形成してもよい。この工程は、液状材料を用いる場合、あらゆる導電層、又は絶縁層形成の前処理として適用することができる。
本実施の形態では、ゲート電極層103、ゲート電極層104の形成は、液滴吐出手段を用いて行う。液滴吐出手段とは、組成物の吐出口を有するノズルや、1つ又は複数のノズルを具備したヘッド等の液滴を吐出する手段を有するものの総称とする。液滴吐出手段が具備するノズルの径は、0.02〜100μm(好適には30μm以下)に設定し、該ノズルから吐出される組成物の吐出量は0.001pl〜100pl(好適には0.1pl以上40pl以下、より好ましくは10pl以下)に設定する。吐出される組成物の量は、ノズルの径の大きさに比例して増加する。また、被処理物とノズルの吐出口との距離は、所望の箇所に滴下するために、出来る限り近づけておくことが好ましく、好適には0.1〜3mm(好適には1mm以下)程度に設定する。
液滴吐出法に用いる液滴吐出装置の一態様を図20に示す。液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412は制御手段1407に接続され、それがコンピュータ1410で制御することにより予めプログラミングされたパターンに描画することができる。描画するタイミングは、例えば、基板1400上に形成されたマーカー1411を基準に行えば良い。或いは、基板1400の縁を基準にして基準点を確定させても良い。これを撮像手段1404で検出し、画像処理手段1409にてデジタル信号に変換したものをコンピュータ1410で認識して制御信号を発生させて制御手段1407に送る。撮像手段1404としては、電荷結合素子(CCD)や相補型金属酸化物半導体(CMOS)を利用したイメージセンサなどを用いることができる。勿論、基板1400上に形成されるべきパターンの情報は記憶媒体1408に格納されたものであり、この情報を基にして制御手段1407に制御信号を送り、液滴吐出手段1403の個々のヘッド1405、ヘッド1412を個別に制御することができる。吐出する材料は、材料供給源1413、材料供給源1414より配管を通してヘッド1405、ヘッド1412にそれぞれ供給される。
ヘッド1405内部は、点線1406が示すように液状の材料を充填する空間と、吐出口であるノズルを有する構造となっている。図示しないが、ヘッド1412もヘッド1405と同様な内部構造を有する。ヘッド1405とヘッド1412のノズルを異なるサイズで設けると、異なる材料を異なる幅で同時に描画することができる。一つのヘッドで、導電性材料や有機、無機材料などをそれぞれ吐出し、描画することができ、層間膜のような広領域に描画する場合は、スループットを向上させるため複数のノズルより同材料を同時に吐出し、描画することができる。大型基板を用いる場合、ヘッド1405、ヘッド1412は基板上を、矢印の方向に自在に走査し、描画する領域を自由に設定することができ、同じパターンを一枚の基板に複数描画することができる。
液滴吐出法を用いて膜(絶縁膜、又は導電膜など)を形成する場合、粒子状に加工された膜材料を含む組成物を吐出し、焼成によって融合や融着接合させ固化することで膜を形成する。このように導電性材料を含む組成物を吐出し、焼成することによって形成された膜においては、スパッタ法などで形成した膜が、多くは柱状構造を示すのに対し、多くの粒界を有する多結晶状態を示すことが多い。
吐出口から吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。導電性材料とは、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al等の金属、Cd、Znの金属硫化物、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Baなどの酸化物、ハロゲン化銀の微粒子又は分散性ナノ粒子に相当する。前記導電性材料はそれらの混合物であってもよい。また、透明導電膜は、透光性なので裏面露光時に光を透過してしまうが、光を透過しない材料と積層体として用いることはできる。これらの透明導電膜として、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素を含むITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタン等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物なども用いてもよい。但し、吐出口から吐出する組成物は、比抵抗値を考慮して、金、銀、銅のいずれかの材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いることが好適であり、より好適には、低抵抗な銀、銅を用いるとよい。但し、銀、銅を用いる場合には、不純物対策のため、合わせてバリア膜を設けるとよい。バリア膜としては、窒化珪素膜やニッケルボロン(NiB)膜を用いるとことができる。
吐出する組成物は、導電性材料を溶媒に溶解又は分散させたものであるが、他にも分散剤や、バインダーと呼ばれる熱硬化性樹脂が含まれている。特にバインダーに関しては、焼成時にクラックや不均一な焼きムラが発生するのを防止する働きを持つ。よって、形成される導電層には、有機材料が含まれることがある。含まれる有機材料は、加熱温度、雰囲気、時間により異なる。この有機材料は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤、及び被覆剤として機能する有機樹脂などであり、代表的には、ポリイミド、アクリル、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、珪素樹脂、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂の有機樹脂が挙げられる。
また、導電性材料の周りに他の導電性材料がコーティングされ、複数の層になっている粒子でも良い。例えば、銅の周りにニッケルボロン(NiB)がコーティングされ、その周囲に銀がコーティングされている3層構造の粒子などを用いても良い。溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤等、又は水を用いる。組成物の粘度は20mPa・s(cp)以下が好適であり、これは、乾燥が起こることを防止したり、吐出口から組成物を円滑に吐出できるようにしたりするためである。また、組成物の表面張力は、40mN/m以下が好適である。但し、用いる溶媒や、用途に合わせて、組成物の粘度等は適宜調整するとよい。一例として、ITOや、有機インジウム、有機スズを溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、銀を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・s、金を溶媒に溶解又は分散させた組成物の粘度は5〜20mPa・sに設定するとよい。
また、導電層は、複数の導電性材料を積層しても良い。また、始めに導電性材料として銀を用いて、液滴吐出法で導電層を形成した後、銅などでめっきを行ってもよい。めっきは電気めっきや化学(無電界)めっき法で行えばよい。めっきは、めっきの材料を有する溶液を満たした容器に基板表面を浸してもよいが、基板を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっきする材料を有する溶液を、基板表面に流すように塗布してもよい。基板を斜め(または垂直)に立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、工程装置が小型化する利点がある。
各ノズルの径や所望のパターン形状などに依存するが、ノズルの目詰まり防止や高精細なパターンの作製のため、導電体の粒子の径はなるべく小さい方が好ましく、好適には粒径0.1μm以下の粒子サイズが好ましい。組成物は、電解法、アトマイズ法又は湿式還元法等の方法で形成されるものであり、その粒子サイズは、一般的に約0.01〜10μmである。但し、ガス中蒸発法で形成すると、分散剤で保護されたナノ分子は約7nmと微細であり、またこのナノ粒子は、被覆剤を用いて各粒子の表面を覆うと、溶剤中に凝集がなく、室温で安定に分散し、液体とほぼ同じ挙動を示す。従って、被覆剤を用いることが好ましい。
また、組成物を吐出する工程は、減圧下で行ってもよい。減圧下で行うと、導電体の表面に酸化膜などが形成されないため好ましい。組成物を吐出後、乾燥と焼成の一方又は両方の工程を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100度で3分間、焼成は200〜350度で15分間〜60分間で行うもので、その目的、温度と時間が異なるものである。乾燥の工程、焼成の工程は、常圧下又は減圧下で、レーザ光の照射や瞬間熱アニール、加熱炉などにより行う。なお、この加熱処理を行うタイミングは特に限定されない。乾燥と焼成の工程を良好に行うためには、基板を加熱しておいてもよく、そのときの温度は、基板等の材質に依存するが、一般的には100〜800度(好ましくは200〜350度)とする。本工程により、組成物中の溶媒の揮発、又は化学的に分散剤を除去するとともに、周囲の樹脂が硬化収縮することで、ナノ粒子間を接触させ、融合と融着を加速する。
レーザ光の照射は、連続発振またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いれば良い。前者の気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ等が挙げられ、後者の固体レーザとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4、GdVO4等の結晶を使ったレーザ等が挙げられる。なお、レーザ光の吸収率の関係から、連続発振のレーザを用いることが好ましい。また、パルス発振と連続発振を組み合わせたレーザ照射方法を用いてもよい。但し、基板100の耐熱性に依っては、レーザ光の照射による加熱処理は、該基板100を破壊しないように、数マイクロ秒から数十秒の間で瞬間的に行うとよい。瞬間熱アニール(RTA)は、不活性ガスの雰囲気下で、紫外光乃至赤外光を照射する赤外ランプやハロゲンランプなどを用いて、急激に温度を上昇させ、数分〜数マイクロ秒の間で瞬間的に熱を加えて行う。この処理は瞬間的に行うために、実質的に最表面の薄膜のみを加熱することができ、下層の膜には影響を与えない。つまり、プラスチック基板等の耐熱性が弱い基板にも影響を与えない。
また、液滴吐出法により、ゲート電極層103、ゲート電極層104を、液状の組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減したり、平坦な板状な物で表面を垂直にプレスしてもよい。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。
上記液滴吐出法による膜の形成方法を導電層を例として説明したが、吐出、乾燥、焼成、溶媒等の条件、及び詳細な説明は、本実施の形態で形成した光触媒物質、絶縁層にも適用することができる。液滴吐出法を組み合わせることで、スピンコート法などによる全面塗布形成に比べ、コストダウンが可能になる。
次に、ゲート電極層103、ゲート電極層104の上にゲート絶縁層105を形成する。ゲート絶縁層105はその上に形成される光触媒物質を光照射する際、光を通過させるため、照射する光に対して透光性を有する必要がある。ゲート絶縁層105としては、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の材料で形成すればよく、積層でも単層でもよい。本実施の形態では、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜3層の積層を用いる。またそれらや、酸化窒化珪素膜の単層、2層からなる積層でも良い。好適には、緻密な膜質を有する窒化珪素膜を用いるとよい。また、液滴吐出法で形成される導電層に銀や銅などを用いる場合、その上にバリア膜として窒化珪素膜やNiB膜を形成すると、不純物の拡散を防ぎ、表面を平坦化する効果がある。なお、低い成膜温度でゲートリーク電流の少ない緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。
また、基板、絶縁層、半導体層、ゲート絶縁層、層間絶縁層、その他表示装置、半導体装置を構成する絶縁層、導電層などを形成した後、プラズマ処理を用いて酸化または窒化を行うことにより前記基板、絶縁層、半導体層、ゲート絶縁層、層間絶縁層表面を酸化または窒化してもよい。プラズマ処理を用いて半導体層や絶縁層を酸化または窒化すると、当該半導体層や絶縁層の表面が改質され、CVD法やスパッタ法により形成した絶縁層と比較してより緻密な絶縁層とすることができる。よって、ピンホール等の欠陥を抑制し半導体装置の特性等を向上させることが可能となる。また上記の様なプラズマ処理は、ゲート電極層、ソース配線層、ドレイン配線層などの導電層などにも行うことができ、窒化又は酸化(又は窒化及び酸化両方)を行うことによって表面に窒化、又は酸化することができる。
また、プラズマ処理は、上記ガスの雰囲気中において、電子密度が1×1011cm−3以上であり、プラズマの電子温度が1.5eV以下で行う。より詳しくいうと、電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下で、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5eV以下で行う。プラズマの電子密度が高密度であり、基板上に形成された被処理物付近での電子温度が低いため、被処理物に対するプラズマによる損傷を防止することができる。また、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上と高密度であるため、プラズマ処理を用いて、被照射物を酸化または窒化することよって形成される酸化膜または窒化膜は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚等が均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が1.5eV以下と低いため、従来のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度で酸化または窒化処理を行うことができる。たとえば、ガラス基板の歪点よりも100度以上低い温度でプラズマ処理を行っても十分に酸化または窒化処理を行うことができる。なお、プラズマを形成するための周波数としては、マイクロ波(2.45GHz)等の高周波を用いることができる。なお、以下に特に断らない場合は、プラズマ処理として上記条件を用いて行うものとする。
本実施の形態では、ソース電極層及びドレイン電極層を、本発明を用いためっき法により作製する。本実施の形態で用いるめっき法は無電界めっき法である。ゲート電極層103又はゲート電極層104に重なるゲート絶縁層105上に、ソース電極層及びドレイン電極層に対するメッキ触媒物質を吸着する(析出する)物質として、光触媒物質を形成する。
また、光触媒物質の形状加工は、レジストマスクや蒸着マスクなどを用いてもよく、上記液滴吐出(噴出)法、印刷法(スクリーン(孔版)印刷、オフセット(平版)印刷、凸版印刷やグラビア(凹版)印刷法)、ディスペンサ法などの方法を組み合わせてもよい。本実施の形態のように、光触媒物質55を液滴吐出法により選択的に形成すると、作製工程がより簡略化する。
本実施の形態では、光触媒物質101a及び光触媒物質101bを液滴吐出法によって選択的に形成する。液滴吐出装置102a、液滴吐出装置102bにより、光触媒物質を含む液状の組成物を吐出し、光触媒物質101a、光触媒物質101bを形成する(図3参照。)。光触媒物質101a、光触媒物質101bは、乾燥、又は焼成によって固化したものである。本実施の形態では、光触媒物質として酸化チタンを用いる。酸化チタンのナノ粒子を溶媒に分散し、液状にした組成物を液滴吐出法により選択的に吐出し、乾燥、又は加熱処理により膜状に固化する。本明細書において膜として記載する液滴吐出法により形成される膜は、その形成条件によっては非常に薄膜である場合があり、非連続的な島状構造であるなど、膜として形態を保っていなくてもよい。
光触媒物質は、光触媒機能により、溶液中に含まれるめっき触媒物質を還元し析出することができる。光触媒物質は、酸化チタン(TiOX)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、セレン化カドミウム(CdSe)、タンタル酸カリウム(KTaO3)、硫化カドミウム(CdS)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化タングステン(WO3)等が好ましい。これら光触媒物質に紫外光領域の光(波長400nm以下、好ましくは380nm以下)を照射し、光触媒活性を生じさせることができる。
光触媒物質101a及び光触媒物質101bにめっき触媒物質を析出させるため、めっき触媒物質を含む溶液中に光触媒物質101a及び光触媒物質101bを浸漬し、めっき触媒物質142a、めっき触媒物質142bを光触媒物質101a表面に、めっき触媒物質142c、めっき触媒物質142dを光触媒物質101b表面にそれぞれ析出させる(図4参照。)。その際、基板100側より、光源140から、基板100を通過させて光141を光触媒物質101a及び光触媒物質101bへ照射する。光141は、基板100とゲート絶縁層105は透過するが、非透光性であるゲート電極層103及びゲート電極層104は通過せず遮断される。よって、光触媒物質101a及び光触媒物質101bにおいて、ゲート電極層103又はゲート電極層104と重畳する領域は非露光領域となり、露光領域のみ光触媒物質は光によって活性化し、その光触媒機能によって、めっき触媒物質を含む溶液中のめっき触媒物質は還元される。よって光触媒物質101a表面に、選択的にめっき触媒物質142a、めっき触媒物質142bが析出し、光触媒物質101b表面に、選択的にめっき触媒物質142c、めっき触媒物質142dが析出する。一方非露光領域である光触媒物質143a及び光触媒物質143b表面にはめっき触媒物質は析出しない。光141は、光触媒物質101a及び光触媒物質101bの光触媒機能が発生する波長の光とし、光のエネルギーにより光照射及び浸漬処理時間を適宜調整する。本実施の形態では、光触媒物質101a及び光触媒物質101bとして酸化チタンを用いるので、光141として紫外光を照射する。
用いる光は、特に限定されず、赤外光、可視光、または紫外光のいずれか一またはそれらの組み合わせを用いることが可能である。例えば、紫外線ランプ、ブラックライト、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光を用いてもよい。その場合、ランプ光源は、必要な時間点灯させて照射してもよいし、複数回照射してもよい。
また、改質処理に用いる光としてレーザ光を用いてもよく、レーザ発振器としては、紫外光、可視光、又は赤外光を発振することが可能なレーザ発振器を用いることができる。レーザ発振器としては、KrF、ArF、XeCl、Xe等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶を使った固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、固体レーザ発振器においては、基本波の第1高調波〜第5高調波を適用するのが好ましい。
ランプ光源による光及びレーザ発振器から射出されるレーザ光の形状や光の進路を調整するため、シャッター、ミラー又はハーフミラー等の反射体、シリンドリカルレンズや凸レンズなどによって構成される光学系が設置されていてもよい。また、ランプ光源又はレーザ発振器は単数設けても複数設けても良く、光源を含む光学系と照射する基板との配置は、照射する処理物に対応して(処理物の材質、膜厚など)適宜選択すればよい。
なお、図4においては、複数の光源から射出される光が、基板100表面とほぼ垂直となるように照射されるように設定している。
なお、照射方法は、基板を移動して選択的に光を照射してもよいし、光をXY軸方向に走査して光を照射することができる。この場合、光学系にポリゴンミラーやガルバノミラーを用いることが好ましい。
また、光は、ランプ光源による光とレーザ光とを組み合わせて用いることもでき、比較的広範囲な露光処理を行う領域は、ランプによる照射処理を行い、高精密な露光処理を行う領域のみレーザ光で照射処理を行うこともできる。このように光の照射処理を行うと、スループットも向上でき、かつ高精密に加工された配線基板、表示装置などを得ることができる。
このように光照射によって、光触媒物質を活性化させ、光触媒物質の光触媒機能を利用する場合は、めっき触媒物質を含む溶液のpHを調整しなくてもよい。pH調整のための水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などを加えなくてもよい。従って、光触媒機能を用いると、半導体層の材料によっては、悪影響を与えかねない水酸化カリウム(KOH)などの物質を用いなくてもよいという利点がある。
めっき触媒物質を含む溶液が、光触媒物質101a及び光触媒物質101bと接すればよいので、浸漬する方法には限定されない。よって、基板100を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっき触媒物質を含む溶液を、基板100上の光触媒物質101a及び光触媒物質101b表面に流すように塗布してもよい。基板を斜め(または垂直)に立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、大面積の基板であっても工程に用いる装置が小型化できる利点がある。
めっき触媒物質142a、めっき触媒物質142b、めっき触媒物質142c、めっき触媒物質142dを表面に吸着させた光触媒物質101a及び光触媒物質101bをめっきする金属材料を含むめっき液に浸漬し、めっき触媒物質142a、めっき触媒物質142b、めっき触媒物質142c、めっき触媒物質142d上に金属膜を成長させ、所望とする膜厚に達するように浸漬時間を制御し、ソース電極層又はドレイン電極層109a、ソース電極層又はドレイン電極層109b、ソース電極層又はドレイン電極層110a、ソース電極層又はドレイン電極層110bを自己整合的に形成する(図5参照。)。ソース電極層又はドレイン電極層109a、ソース電極層又はドレイン電極層109b、ソース電極層又はドレイン電極層110a、ソース電極層又はドレイン電極層110bは、ゲート電極層103、ゲート電極層104とほぼ重ならないように自己整合的に形成することができるため、制御性がよい。
めっき触媒物質は、めっきする金属材料によって適宜選択する。めっき触媒物質としては、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)などを用いればよい。めっき触媒物質は溶液に溶解させて、めっき触媒物質を含む溶液として扱う。
めっきできる金属材料は、ニッケル(Ni)、ニッケル合金(ニッケルリン(NiP)合金、ニッケルコバルト(NiCo)合金、ニッケルコバルトリン(NiCoP)合金、ニッケル鉄リン(NiFeP)合金、ニッケルタングステンリン(NiWP)合金など)、銅(Cu)、金(Au)、コバルト(Co)、錫(Sn)などを用いることができる。
その他の詳細なめっき条件は、実施の形態1と同様に行うことができる。
本実施の形態では、金属材料を含むめっき液として、金属塩である硫酸ニッケル6水和物(NiSO4)、還元剤である次亜リン酸(H3PO2)、錯化剤である乳酸及びリンゴ酸を混合して用いる。析出する金属膜はニッケルリン合金(NiP)膜である。
めっき触媒物質142a、めっき触媒物質142b、めっき触媒物質142c、めっき触媒物質142dは、光触媒物質101a、光触媒物質101b表面を覆うように析出し、めっきによって形成される金属膜は膜厚方向のみでなく多方向に3次元的に形成されるので、ソース電極層又はドレイン電極層109a、ソース電極層又はドレイン電極層109b、ソース電極層又はドレイン電極層110a、ソース電極層又はドレイン電極層110bは、図5のように、光触媒物質101a、光触媒物質101bの上面及び側面を覆うように形成される。
ソース電極層又はドレイン電極層109a、ソース電極層又はドレイン電極層109b、ソース電極層又はドレイン電極層110a、ソース電極層又はドレイン電極層110bをマスクとして、露出している不要な光触媒物質101a及び光触媒物質101bをエッチングし、光触媒物質115a、光触媒物質115b、光触媒物質116a、光触媒物質116bを形成する。勿論ソース電極層又はドレイン電極層109a、ソース電極層又はドレイン電極層109b、ソース電極層又はドレイン電極層110a、ソース電極層又はドレイン電極層110b上に新たなマスクを形成して、露出している不要な光触媒物質101a及び光触媒物質101bのエッチングを行ってもよい。
レジストやポリイミド等の絶縁体からなるマスクを液滴吐出法を用いて形成し、そのマスクを用いて、エッチング加工によりゲート絶縁層105の一部に貫通孔125を形成して、その下層側に配置されているゲート電極層104の一部を露出させる。エッチング加工はプラズマエッチング(ドライエッチング)又はウエットエッチングのどちらを採用しても良いが、大面積基板を処理するにはプラズマエッチングが適している。エッチングガスとしては、CF4、NF3などのフッ素の系ガス、Cl2、BCl3などの塩素系のガスを用い、HeやArなどの不活性ガスを適宜加えても良い。また、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスク層を形成する必要はない。
貫通孔125を形成するためのエッチングに用いるマスクも組成物を選択的に吐出して形成することができる。このように選択的にマスクを形成すると開口形成の工程が簡略化する効果がある。マスクは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリレンエーテル、透過性を有するポリイミドなどの有機材料、シロキサン系ポリマー等の重合によってできた化合物材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いて液滴吐出法で形成する。或いは、感光剤を含む市販のレジスト材料を用いてもよく、例えば、代表的なポジ型レジストである、ノボラック樹脂と感光剤であるナフトキノンジアジド化合物、ネガ型レジストであるベース樹脂、ジフェニルシランジオール及び酸発生剤などを用いてもよい。いずれの材料を用いるとしても、その表面張力と粘度は、溶媒の濃度を調整したり、界面活性剤等を加えたりして適宜調整する。
ゲート絶縁層105上に、液滴吐出装置より、液状の導電性材料を含む組成物を吐出し、配線層111、配線層113、配線層114を形成する(図6参照。)。配線層111は、ソース配線層又はドレイン配線層としても機能し、ソース電極層又はドレイン電極層109aと接するように形成され電気的に接続する。配線層114は、ソース電極層又はドレイン電極層109bと、ゲート電極層104とに接して形成され、ゲート絶縁層105に形成した貫通孔125において、電気的に接続させる。配線層113は、電源線としても機能し、ソース電極層又はドレイン電極層110bと接して形成され電気的に接続する(図6参照。)。配線層113、ゲート絶縁層105、及びゲート電極層104の積層領域において容量も形成する。
配線層111、配線層113、配線層114を本実施の形態のように液滴吐出法によって形成する際の導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなるITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
また、配線層111、配線層113、配線層114は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することもできる。また、印刷法、電界メッキ法等により、所定の場所に選択的に配線層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の元素又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成すればよい。
次に半導体層を形成する。一導電性型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。またn型を有する半導体層を形成し、nチャネル型TFTのNMOS構造、p型を有する半導体層を形成したpチャネル型TFTのPMOS構造、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTとのCMOS構造を作製することができる。また、導電性を付与するために、導電性を付与する元素をドーピングによって添加し、不純物領域を半導体層に形成することで、nチャネル型TFT、pチャネル型TFTを形成することもできる。n型を有する半導体層を形成するかわりに、PH3ガスによるプラズマ処理を行うことによって、半導体層に導電性を付与してもよい。
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製されるアモルファス半導体(以下「AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いはセミアモルファス(微結晶若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により成膜することができる。
SASは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいる。SASは、珪素を含む気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪素を含む気体としては、SiH4、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることが可能である。またF2、GeF4を混合させても良い。この珪素を含む気体をH2、又は、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。また半導体層としてフッ素系ガスより形成されるSAS層に水素系ガスより形成されるSAS層を積層してもよい。
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを添加し結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、セミアモルファス半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
また、半導体の材料としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの単体のほかGaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどのような化合物半導体も用いることができる。また酸化物半導体である酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)なども用いることができ、ZnOを半導体層に用いる場合、ゲート絶縁層をY2O3、Al2O3、TiO2、それらの積層などを用いるとよく、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層としては、ITO、Au、Tiなどを用いるとよい。また、ZnOにInやGaなどを添加することもできる。
半導体層に、結晶性半導体層を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると膜が破壊されてしまうからである。
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体層の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体層の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体層の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
また、非晶質半導体層を結晶化し、結晶性半導体層を形成する結晶化工程で、非晶質半導体層に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長する元素としては、この珪素の結晶化を助長する金属元素としては鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
結晶化を促進する元素を結晶性半導体層から除去、又は軽減するため、結晶性半導体層に接して、不純物元素を含む半導体層を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体層に、希ガス元素を含む半導体層を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体層中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体層中に移動し、結晶性半導体層中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体層を除去する。
非晶質半導体層の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
また、結晶性半導体層を、直接基板にプラズマ法により形成しても良い。また、プラズマ法を用いて、結晶性半導体層を選択的に基板に形成してもよい。
半導体として、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。有機半導体としては、低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペンタセン等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
その他にも本発明に用いることができる有機半導体材料としては、可溶性の前駆体を成膜した後で処理することにより半導体層を形成することができる材料がある。なお、このような有機半導体材料としては、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレンなどがある。
前駆体を有機半導体に変換する際には、加熱処理だけではなく塩化水素ガスなどの反応触媒を添加することがなされる。また、これらの可溶性有機半導体材料を溶解させる代表的な溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロフォルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)または、THF(テトラヒドロフラン)などを適用することができる。
ソース電極層又はドレイン電極層109a及びソース電極層又はドレイン電極層109b上に半導体層107を、ソース電極層又はドレイン電極層110a及びソース電極層又はドレイン電極層110b上に半導体層108をそれぞれ形成する。本実施の形態ではペンタセンを用いて半導体層107、半導体層108を形成する。上記工程において、本実施の形態におけるコプラナー型の薄膜トランジスタ130、薄膜トランジスタ131を作製することができる(図7参照。)。
続いて、ゲート絶縁層105上に選択的に、導電性材料を含む組成物を吐出して、第1の電極層117を形成する(図7参照。)。第1の電極層117は、基板100側から光を放射する場合には、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(indium zinc oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを含む組成物により所定のパターンを形成し、焼成によって形成することができる。本実施の形態では、ITOを含む組成物を吐出し、焼成することによって第1の電極層117を形成する。
各透光性を有する導電性材料の、組成比の一例を述べる。酸化タングステンを含むインジウム酸化物の組成比は、酸化タングステン1.0wt%、インジウム酸化物99.0wt%とすればよい。酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物の組成比は、酸化タングステン1.0wt%、酸化亜鉛0.5wt%、インジウム酸化物98.5wt%とすればよい。酸化チタンを含むインジウム酸化物は、酸化チタン1.0wt%〜5.0wt%、インジウム酸化物99.0wt%〜95.0wt%とすればよい。インジウム錫酸化物(ITO)の組成比は、酸化錫10.0wt%、インジウム酸化物90.0wt%とすればよい。インジウム亜鉛酸化物(IZO)の組成比は、酸化亜鉛10.7wt%、インジウム酸化物89.3wt%とすればよい。酸化チタンを含むインジウム錫酸化物の組成比は、酸化チタン5.0wt%、酸化錫10.0wt%、インジウム酸化物85.0wt%とすればよい。上記組成比は例であり、適宜その組成比の割合は設定すればよい。
また、透光性を有さない金属膜のような材料であっても膜厚を薄く(好ましくは、5nm〜30nm程度の厚さ)して光を透過可能な状態としておくことで、第1の電極層117から光を放射することが可能となる。また、第1の電極層117に用いることのできる金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、亜鉛、およびそれらの合金からなる導電膜、またはTiN、TiSiXNY、WSiX、WNX、WSiXNY、NbNなどの前記元素を主成分とする化合物材料からなる膜を用いることができる。
第1の電極層117は、ソース電極層又はドレイン電極層110aと電気的に接続すればよいので、その接続構造は本実施の形態に限定されない。ソース電極層又はドレイン電極層110a上に層間絶縁層となる絶縁層を形成し、配線層によって、第1の電極層117と電気的に接続する構造を用いてもよい。この場合、開口(コンタクトホール)を、絶縁層を除去して形成するのではなく、絶縁層に対して撥液性を有する物質をソース電極層又はドレイン電極層110a上に形成することもできる。その後、絶縁性材料を含む組成物を塗布法などで塗布すると、撥液性を有する物質の形成されている領域を除いた領域に絶縁層は形成される。
加熱、乾燥等によって絶縁層を固化して形成した後、撥液性を有する物質を除去し、開口を形成する。この開口を埋めるように配線層を形成し、この配線層に接するように第1の電極層117を形成する。この方法を用いると、エッチングによる開口部の形成が必要ないので工程が簡略化する効果がある。
また、発光した光を基板100側とは反対側に放射させる構造とする場合(上面放射型の表示パネルを作製する場合)には、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。他の方法としては、スパッタリング法により透明導電膜若しくは光反射性の導電膜を形成して、液滴吐出法によりマスクパターンを形成し、エッチング加工を組み合わせて第1の電極層117を形成しても良い。
第1の電極層117は、その表面が平坦化されるように、CMP法、ポリビニルアルコール系の多孔質体で拭浄し、研磨しても良い。またCMP法を用いた研磨後に、第1の電極層117の表面に紫外線照射、酸素プラズマ処理などを行ってもよい。
以上の工程により、基板100上にコプレナー型の薄膜トランジスタと第1の電極層117が接続された表示パネル用のTFT基板が完成する。
次に、絶縁層121(隔壁とも呼ばれる)を選択的に形成する。絶縁層121は、第1の電極層117上に開口部を有するように形成する。本実施の形態では、絶縁層121を全面に形成し、レジスト等のマスクによって、エッチングし加工する。絶縁層121を、直接選択的に形成できる液滴吐出法や印刷法などを用いて形成する場合は、エッチングによる加工は必ずしも必要はない。また絶縁層121も本発明の前処理によって、所望の形状に形成できる。
絶縁層121は、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂材料を用いることができる。アクリル、ポリイミド等の感光性、非感光性の材料を用いて形成してもよい。絶縁層121は曲率半径が連続的に変化する形状が好ましく、上に形成される電界発光層122、第2の電極層123の被覆性が向上する。
また、液滴吐出法により、絶縁層121を組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸をならすように軽減したり、平坦な板状な物で表面を垂直にプレスしてもよい。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。この工程により平坦性が向上すると、表示パネルの表示ムラなどを防止することができ、高繊細な画像を表示することができる。
表示パネル用のTFT基板である基板100の上に、発光素子を形成する(図8参照。)。
電界発光層122を形成する前に、大気圧中で200℃の熱処理を行い第1の電極層117、絶縁層121中若しくはその表面に吸着している水分を除去する。また、減圧下で200〜400℃、好ましくは250〜350℃に熱処理を行い、そのまま大気に晒さずに電界発光層122を真空蒸着法や、減圧下の液滴吐出法で形成することが好ましい。
電界発光層122として、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料を、それぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法等によって選択的に形成する。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光を示す材料はカラーフィルタ同様、液滴吐出法により形成することもでき(低分子または高分子材料など)、この場合マスクを用いずとも、RGBの塗り分けを行うことができるため好ましい。電界発光層122上に第2の電極層123を積層形成して、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する。
図示しないが、第2の電極層123を覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効である。表示装置を構成する際に設けるパッシベーション膜は、単層構造でも多層構造でもよい。パッシベーション膜としては、窒化珪素(SiN)、酸化珪素(SiO2)、酸化窒化珪素(SiON)、窒化酸化珪素(SiNO)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CNX)を含む絶縁膜からなり、該絶縁膜を単層もしくは組み合わせた積層を用いることができる。例えば窒素含有炭素膜(CNX)、窒化珪素(SiN)のような積層、また有機材料を用いることも出来、スチレンポリマーなど高分子の積層でもよい。また、シロキサン材料(無機シロキサン、有機シロキサン)を用いてもよい。
この際、カバレッジの良い膜をパッシベーション膜として用いることが好ましく、炭素膜、特にDLC膜を用いることは有効である。DLC膜は室温から100℃以下の温度範囲で成膜可能であるため、耐熱性の低い電界発光層の上方にも容易に成膜することができる。DLC膜は、プラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素系のガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。また、CN膜は反応ガスとしてC2H4ガスとN2ガスとを用いて形成すればよい。DLC膜は酸素に対するブロッキング効果が高く、電界発光層の酸化を抑制することが可能である。そのため、この後に続く封止工程を行う間に電界発光層が酸化するといった問題を防止できる。
図9(B)に示すように、シール材136を形成し、封止基板145を用いて封止する。その後、ゲート電極層103と電気的に接続して形成されるゲート配線層に、フレキシブル配線基板を接続し、外部との電気的な接続をしても良い。これは、配線層111と電気的に接続して形成されるソース配線層も同様である。
素子を有する基板100と封止基板145の間には充填剤135を封入して封止する。充填剤の封入には、実施の形態4で示す液晶材料と同様に滴下法を用いることもできる。充填剤135の代わりに、窒素などの不活性ガスを充填してもよい。また、乾燥剤を表示装置内に設置することによって、発光素子の水分による劣化を防止することができる。乾燥剤の設置場所は、封止基板145側でも、素子を有する基板100側でもよく、シール材136が形成される領域に基板に凹部を形成して設置してもよい。また、封止基板145の駆動回路領域や配線領域など表示に寄与しない領域に対応する場所に設置すると、乾燥剤が不透明な物質であっても開口率を低下させることがない。充填剤135に吸湿性の材料を含むように形成し、乾燥剤の機能を持たせても良い。以上により、発光素子を用いた表示機能を有する表示装置が完成する(図9参照。)。
また、表示装置内部と外部を電気的に接続するための端子電極層137に、異方性導電膜138によってFPC139が接着され、端子電極層137と電気的に接続する。
図9(A)に、表示装置の上面図を示す。図9(A)で示すように、画素領域150、走査線駆動領域151a、走査線駆動領域151b、接続領域153が、シール材136によって、基板100と封止基板145との間に封止され、基板100上にICドライバによって形成された信号線駆動回路152が設けられている。駆動回路領域には、薄膜トランジスタ133、薄膜トランジスタ134、画素領域には、薄膜トランジスタ131、薄膜トランジスタ130がそれぞれ設けられている。
なお、本実施の形態では、ガラス基板で発光素子を封止した場合を示すが、封止の処理とは、発光素子を水分から保護するための処理であり、カバー材で機械的に封入する方法、熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂で封入する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法のいずれかを用いる。カバー材としては、ガラス、セラミックス、プラスチックもしくは金属を用いることができるが、カバー材側に光を放射させる場合は透光性でなければならない。また、カバー材と上記発光素子が形成された基板とは熱硬化性樹脂又は紫外光硬化性樹脂等のシール材を用いて貼り合わせられ、熱処理又は紫外光照射処理によって樹脂を硬化させて密閉空間を形成する。この密閉空間の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を設けることも有効である。この吸湿材は、シール材の上に接して設けても良いし、発光素子よりの光を妨げないような、隔壁の上や周辺部に設けても良い。さらに、カバー材と発光素子の形成された基板との空間を熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂で充填することも可能である。この場合、熱硬化性樹脂若しくは紫外光硬化性樹脂の中に酸化バリウムに代表される吸湿材を添加しておくことは有効である。
本実施の形態では、スイッチングTFTはシングルゲート構造を詳細に説明したが、ダブルゲート構造などのマルチゲート構造でもよい。また半導体をSASや結晶性半導体を用いて作製した場合、一導電型を付与する不純物の添加によって不純物領域を形成することもできる。この場合、半導体層は濃度の異なる不純物領域を有していてもよい。例えば、半導体層のチャネル領域近傍、ゲート電極層と積層する領域は、低濃度不純物領域とし、その外側の領域を高濃度不純物領域としてもよい。
以上示したように、本実施の形態では、工程を簡略化することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種の構成物(パーツ)やマスク層を形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
本実施の形態では、めっき触媒元素を吸着する光触媒物質に裏面露光により、選択的に光を照射し、露光された光触媒物質にめっき触媒元素を選択的に吸着して、自己整合的にソース電極層及びドレイン電極層を形成している。よって、マスクのアライメントずれによる形状不良などが生じず、制御性よく配線を形成することができる。従って、本発明を用いると、歩留まりよく信頼性の高い半導体装置、表示装置などを作製することができる。
また、めっき法を用いるため、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができる。従って、高速動作を行うことができる高性能、かつ高信頼性の半導体装置を作製することもできる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態について、図14乃至図19を用いて説明する。より詳しくは、本発明を適用した、コプレナー型の薄膜トランジスタを有する表示装置の作製方法について説明する。図14(A)乃至18(A)は表示装置画素部の上面図であり、図14(B)乃至図18(B)は、図14(A)乃至18(A)を形製する各工程における線E−Fによる断面図である。図19(A)も表示装置の上面図であり、図19(B)は、図19(A)における線O−P(線U−Wを含む)による断面図である。なお表示素子として液晶材料を用いた液晶表示装置の例を示す。よって、同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
本実施の形態ではソース電極層、ドレイン電極層、容量配線層、他の配線層を作製する際、本発明を用いためっき法を適用する。基板200上にゲート電極層203a及びゲート電極層203bを形成し、ゲート電極層203a及びゲート電極層203bを覆うゲート絶縁層207を形成する。
本発明においては、基板200上に形成される光触媒物質に光照射をする際に、裏面露光を用い、基板200側から、基板200を通過するように光を照射し、形成されている光触媒物質を活性化する。よって、基板200は、光触媒物質を活性化できるだけの光(光の波長、エネルギーなど)を透過する物質である必要がある。また上記透光性は、ゲート絶縁層207にも基板200と同様に必要である。反対に、ゲート電極層203a及びゲート電極層203bは、裏面露光時に光を遮断するマスクとして機能するので、用いられる光に対して非透光性を有する必要がある。
ゲート電極層203a及びゲート電極層203bは、CVD法やスパッタ法、液滴吐出法などを用いて形成することができる。ゲート電極層203a及びゲート電極層203bは、Ag、Au、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、Ta、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、単層構造でも複数層の構造でもよく、例えば、窒化タングステン(TiN)膜とモリブデン(Mo)膜との2層構造としてもよいし、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。
ゲート電極層203a及びゲート電極層203bを形成するのにエッチングにより加工が必要な場合、マスクを形成し、ドライエッチングまたはウェットエッチングにより加工すればよい。ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、電極層をテーパー形状にエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4もしくはCCl4などを代表とする塩素系ガス、CF4、SF6もしくはNF3などを代表とするフッ素系ガス又はO2を適宜用いることができる。
ゲート絶縁層207としては、実施の形態1と同様に形成すればよく、珪素の酸化物材料又は窒化物材料等の材料で形成することができる。また、積層でも単層でもよい。本実施の形態では、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化珪素膜3層の積層を用いる。
基板200上における、ソース電極層、ドレイン電極層、容量配線層の被形成領域に、ソース電極層、ドレイン電極層、容量配線層に対するメッキ触媒物質を吸着する物質として、光触媒物質形成する。本実施の形態では、液滴吐出装置202a、液滴吐出装置202bにより、光触媒物質を含む液状の組成物を吐出し、光触媒物質201a、光触媒物質201bを形成する(図14参照。)。光触媒物質201a、光触媒物質201bは、乾燥、焼成によって固化したものである。本実施の形態では、光触媒物質として酸化チタンを用い、溶媒として水を用いる。
光触媒物質201a及び光触媒物質201bにめっき触媒物質を析出させるため、めっき触媒物質を含む溶液中に光触媒物質201a及び光触媒物質201bを浸漬し、めっき触媒物質242a、めっき触媒物質242b、めっき触媒物質242c、めっき触媒物質242dを光触媒物質201a表面に、めっき触媒物質244a、めっき触媒物質244bを光触媒物質201b表面にそれぞれ析出させる(図15参照。)。その際、基板200側より、光源240から、基板200を通過させて光241を光触媒物質201a及び光触媒物質201bへ照射する。光241は、基板200とゲート絶縁層207は透過するが、非透光性であるゲート電極層203a及びゲート電極層203bは通過せず遮断される。よって、光触媒物質201a及び光触媒物質201bにおいて、ゲート電極層203a又はゲート電極層203bと重畳する領域は非露光領域となり、露光領域のみ光触媒物質は光によって活性化し、その光触媒機能によって、めっき触媒物質を含む溶液中のめっき触媒物質は還元される。よって光触媒物質201a表面に、選択的にめっき触媒物質242a、めっき触媒物質242b、めっき触媒物質242c、めっき触媒物質242dが析出し、光触媒物質201b表面に、選択的にめっき触媒物質244a、めっき触媒物質244bが析出する。一方非露光領域である光触媒物質243a、光触媒物質243b、光触媒物質243c、光触媒物質245表面にはめっき触媒物質は析出しない。光241は、光触媒物質201a及び光触媒物質201bの光触媒機能が発生する波長の光とし、光のエネルギーにより光照射及び浸漬処理時間を適宜調整する。本実施の形態では、光触媒物質201a及び光触媒物質201bとして酸化チタンを用いるので、光241として紫外光を照射する。
このように光照射によって、光触媒物質を活性化させ、光触媒物質の光触媒機能を利用する場合は、めっき触媒物質を含む溶液のpHを調整しなくてもよい。pH調整のための水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化カリウム(KOH)などを加えなくてもよい。従って、光触媒機能を用いると、半導体層の材料によっては、悪影響を与えかねない水酸化カリウム(KOH)などの物質を用いなくてもよいという利点がある。
めっき触媒物質を含む溶液が、光触媒物質201a及び光触媒物質201bと接すればよいので、浸漬する方法には限定されない。よって、基板200を斜め(または垂直)に立てて設置し、めっき触媒物質を含む溶液を、基板200上の光触媒物質201a及び光触媒物質201b表面に流すように塗布してもよい。基板を斜め(または垂直)に立てて溶液を塗布するようにめっきを行うと、大面積の基板であっても工程に用いる装置が小型化できる利点がある。
めっき触媒物質242a、めっき触媒物質242b、めっき触媒物質242c、めっき触媒物質242d、めっき触媒物質244a、めっき触媒物質244bを表面に吸着させた光触媒物質201a及び光触媒物質201bをめっきする金属材料を含むめっき液に浸漬し、めっき触媒物質242a、めっき触媒物質242b、めっき触媒物質242c、めっき触媒物質242d、めっき触媒物質244a、めっき触媒物質244b上に金属膜を成長させ、所望とする膜厚に達するように浸漬時間を制御し、ソース電極層又はドレイン電極層208、ソース電極層又はドレイン電極層209、ソース電極層又はドレイン電極層210、ソース電極層又はドレイン電極層204、容量配線層205、容量配線層206を自己整合的に形成する(図16参照。)。ソース電極層又はドレイン電極層208、ソース電極層又はドレイン電極層209、ソース電極層又はドレイン電極層210は、ゲート電極層203a、ゲート電極層203bとほぼ重ならないように自己整合的に形成することができるため、制御性がよい。
めっき触媒物質は、めっきする金属材料によって適宜選択する。めっき触媒物質としては、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)などを用いればよい。めっき触媒物質は溶液に溶解させて、めっき触媒物質を含む溶液として扱う。
めっきできる金属材料は、ニッケル(Ni)、ニッケル合金(ニッケルリン(NiP)合金、ニッケルコバルト(NiCo)合金、ニッケルコバルトリン(NiCoP)合金、ニッケル鉄リン(NiFeP)合金、ニッケルタングステンリン(NiWP)合金など)、銅(Cu)、金(Au)、コバルト(Co)、錫(Sn)などを用いることができる。
その他の詳細なめっき条件は、実施の形態1と同様に行うことができる。
本実施の形態では、金属材料を含むめっき液として、金属塩である硫酸ニッケル6水和物(NiSO4)、還元剤である次亜リン酸(H3PO2)、錯化剤である乳酸及びリンゴ酸を混合して用いる。析出する金属膜はニッケルリン合金(NiP)膜である。
めっき触媒物質242a、めっき触媒物質242b、めっき触媒物質242c、めっき触媒物質242d、めっき触媒物質244a、めっき触媒物質244bは、光触媒物質201a、光触媒物質201b表面を覆うように析出し、めっきによって形成される金属膜は膜厚方向のみでなく多方向に3次元的に形成されるので、ソース電極層又はドレイン電極層208、ソース電極層又はドレイン電極層209、ソース電極層又はドレイン電極層210、ソース電極層又はドレイン電極層204、容量配線層205、容量配線層206は、図16のように、光触媒物質201a、光触媒物質201bの上面及び側面を覆うように形成される。
また、実施の形態2のように、光触媒物質の光触媒機能が発生する光を照射せずめっき触媒物質を吸着させる場合は、めっき触媒物質を含む溶液のpH調整を行えばよい。
半導体層に用いる材料とソース電極層及びドレイン電極層に用いる材料の組み合わせによっては、導通できない、また高抵抗となるなどの電気的特性が低下する場合がある。よって、半導体層に用いる材料とソース電極層及びドレイン電極層に用いる材料は適宜選択する必要がある。本実施の形態ではめっき法によってソース電極層又はドレイン電極層を形成するので、このソース電極層及びドレイン電極層の表面をまた他の金属材料で置換めっきすることができる。よって、積層する半導体層とより低抵抗な材料を表面に形成することによって、薄膜トランジスタの電気的特性を向上させることができる。本実施の形態では、ソース電極層又はドレイン電極層208、ソース電極層又はドレイン電極層209、ソース電極層又はドレイン電極層210は、めっき触媒物質としてパラジウムを用いて形成したニッケルリン合金膜である。本実施の形態では半導体層として有機半導体であるペンタセンを用いるので、接するソース電極層及びドレイン電極層の材料としては金が好ましい。よって、本実施の形態では、ソース電極層又はドレイン電極層208、ソース電極層又はドレイン電極層209、及びソース電極層又はドレイン電極層210表面を金により置換する金めっきを行う。また、本実施の形態では、この処理によって、ソース電極層又はドレイン電極層204、容量配線層205、容量配線層206も同様に金めっきが行われる。
ソース電極層又はドレイン電極層208、ソース電極層又はドレイン電極層209、ソース電極層又はドレイン電極層210に金を金属材料として含むめっき液に浸漬し、ソース電極層又はドレイン電極層208、ソース電極層又はドレイン電極層209、ソース電極層又はドレイン電極層210、ソース電極層又はドレイン電極層204、容量配線層205、容量配線層206表面に金薄膜である金属膜215、金属膜216、金属膜217、金属膜214、金属膜218、金属膜219を形成する(図17参照。)。
本実施の形態では、金めっきを行う前に、硫酸溶液にて活性化する。まためっき前に純水による予備加温(80〜90度(℃))浸漬を行うと効果的である。本実施の形態における金を金属材料として含むめっき液は、金属塩である(シアン化金カリウム、塩化金酸)、錯化剤である(EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、クワドロール、クエン酸塩、乳酸塩)、pH緩衝剤(塩化アンモニウム−アンモニア、リン酸−リン酸ナトリウム)などからなる。また、析出速度の向上及びより厚いめっき膜を得るために、活性金属イオン(例えばZn、Co、Ni、Cu等のイオン)を添加してもよい。活性金属イオンを添加すると、光沢や密着性が良好になるなどの効果もある。
液滴吐出装置より、液状の導電性材料を含む組成物を吐出し、配線層221、配線層222を形成する(図17参照。)。配線層221は、ソース配線層又はドレイン配線層としても機能し、金属膜214及び金属膜215に接して形成され、ソース電極層又はドレイン電極層204とソース電極層又はドレイン電極層208とを電気的に接続する。配線層222は、金属膜219と金属膜218とに接して形成され、容量配線層205と容量配線層206を電気的に接続させる。
配線層221、配線層222を本実施の形態のように液滴吐出法によって形成する際の導電性材料としては、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)等の金属の粒子を主成分とした組成物を用いることができる。また、透光性を有するインジウム錫酸化物(ITO)、インジウム錫酸化物と酸化珪素からなるITSO、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛、窒化チタンなどを組み合わせても良い。
また、配線層221、配線層222は、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することもできる。また、印刷法、電界メッキ法等により、所定の場所に選択的に配線層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。配線層の材料は、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Si、Ge、Zr、Ba等の元素又はその合金、若しくはその窒化物を用いて形成すればよい。
固体表面のぬれ性は、表面の状態に影響をうける。液状の組成物に対して、ぬれ性が低い物質を形成するとその表面は液状の組成物に対してぬれ性の低い領域(以下、低ぬれ性領域ともいう)となり、逆に液状の組成物に対して、ぬれ性の高い物質を形成するとその表面は、液状の組成物に対してぬれ性の高い領域(以下、高ぬれ性領域ともいう)となる。
ぬれ性を変化させるとは、液状の組成物に対して液状の組成物の接触角も変化させることである。接触角が大きいと、流動性を有する液状の組成物は、領域表面上で広がらず、組成物をはじくので、表面をぬらさないが、接触角が小さいと、表面上で流動性を有する組成物は広がり、よく表面をぬらすからである。よって、ぬれ性が異なる領域は、表面エネルギーも異なる。ぬれ性が低い領域における表面の、表面エネルギーは小さく、ぬれ性の高い領域表面における表面エネルギーは大きい。ぬれ性は、均一であってもよく、選択的にぬれ性を制御することで、基板上に高ぬれ性領域、低ぬれ性領域というようにぬれ性に差を有する領域を形成してもよい。
まず、ぬれ性に影響を与えぬれ性を制御できる物質として、フッ化炭素基(フッ化炭素鎖)を含む物質、あるいはシランカップリング剤を含む物質を用いることができる。シランカップリング剤は、Rn−Si−X(4−n)(n=1、2、3)の化学式で表される。ここで、Rは、アルキル基などの比較的不活性な基を含む物である。また、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基又はアセトキシ基など、基質表面の水酸基あるいは吸着水との縮合により結合可能な加水分解基からなる。
また、シランカップリング剤の代表例として、Rにフルオロアルキル基を有するフッ素系シランカップリング剤(フルオロアルキルシラン((以下、FASともいう。))を用いることにより、よりぬれ性を低めることができる。FASのRは、(CF3)(CF2)x(CH2)y(x:0以上10以下の整数、y:0以上4以下の整数)で表される構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。代表的なFASとしては、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロテトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロテトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシランが挙げられる。
シランカップリング剤のRにフッ化炭素鎖を有さず、アルキル基を有す物質も用いることができ、例えば有機シランとしてオクタデシルトリメトキシシラン等を用いることができる。
溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒又はテトラヒドロフランなどを用いる。
また、フッ化炭素(フルオロカーボン)鎖を有する材料(フッ素系樹脂)を用いることができる。フッ素系樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;四フッ化エチレン樹脂)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA;四フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、パーフルオロエチレンプロペンコーポリマー(PFEP;四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE;四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;フッ化ビニリデン樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE;三フッ化塩化エチレン樹脂)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE;三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、ポリビニルフルオライド(PVF;フッ化ビニル樹脂)等を用いることができる。
また、無機材料、有機材料にCF4プラズマ等による処理を行ってもよい。
本実施の形態では、光触媒物質を裏面露光により活性化し、その光触媒機能でめっき触媒物質を析出する例を示した。実施の形態2、実施の形態3のように、光触媒物質上にマスク膜を形成する方法であると、マスク膜は配線層221及び配線層222の被形成領域に残存する。配線層221及び配線層222の形成前に、今度は基板200を通過せず、ゲート電極層などが形成されている側から照射し、光触媒物質を活性化する。光触媒機能によって光触媒物質上のマスク膜は除去され、配線層221及び配線層222の被形成領域のマスク膜が選択的に除去される。マスク膜として配線層を形成する導電性材料に対して撥液性であるものを用いると、より液状の導電性材料を含む組成物は、周辺のマスク膜によりはじかれ、ぬれ拡がらないため、配線層221、配線層222を制御性よく微細な形状に選択的に形成することができる。
よって、マスク膜の材料を適宜選択し、配線層を形成する導電性材料を含む組成部に対するぬれ性を制御しておくとよい。ぬれ性の程度は、形成する導電層、絶縁層の線幅やパターン形状によって適宜設定すればよい。
ソース電極層又はドレイン電極層208、ソース電極層又はドレイン電極層209、ソース電極層又はドレイン電極層210上の金属膜215、金属膜216、金属膜217に接するように半導体層211を、ペンタセンを用いて液滴吐出法により形成し、コプレナー型の薄膜トランジスタ220を形成する。また、容量225も形成される。
薄膜トランジスタ220及び容量225上に絶縁層212、絶縁層213を形成する。絶縁層213は平坦化膜として機能する。
絶縁層212、絶縁層213としては酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム(AlN)、酸化窒化アルミニウム(AlON)、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウム(AlNO)または酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、窒素含有炭素膜(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ膜、ポリシラザン、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、シロキサン樹脂を用いてもよい。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、低誘電率材料を用いることができる。
また、絶縁層212、絶縁層213を組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸をならすように軽減したり、平坦な板状な物で表面を垂直にプレスしてもよい。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、形成方法によって凹凸が生じる場合に、その表面の平坦化する場合適用することができる。この工程により平坦性が向上すると、表示パネルの表示ムラなどを防止することができ、高繊細な画像を表示することができる。
続いて、絶縁層212及び絶縁層213に金属膜217に達する開口を形成し、ソース電極層又はドレイン電極層210上の金属膜217に接して、画素電極層235を形成する。画素電極層235は、前述した第1の電極層117と同様な材料を用いることができ、透過型の液晶表示パネルを作製する場合には、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いることができる。勿論、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物(ITSO)なども用いることができる。また、反射性を有する金属薄膜としては、チタン、タングステン、ニッケル、金、白金、銀、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、およびそれらの合金からなる導電膜などを用いることができる。
画素電極層235は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、印刷法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。本実施の形態では、画素電極層272としてインジウム錫酸化物(ITO)を用いる。
次に、画素電極層235及び絶縁層213を覆うように、印刷法やスピンコート法により、配向膜と呼ばれる絶縁層231を形成する。なお、絶縁層231は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビングを行う。続いて、シール材282を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域に形成する。
その後、配向膜として機能する絶縁層233、対向電極として機能する導電層239、カラーフィルタとして機能する着色層234、偏光板237が設けられた対向基板236と、TFT基板である基板200とをスペーサ281を介して貼り合わせ、その空隙に液晶層232を設けることにより液晶表示パネルを作製することができる(図18及び図19参照。)。基板200の素子を有する面と反対側にも偏光板238が設けられている。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板236には、遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、液晶層を形成する方法として、ディスペンサ式(滴下式)や、素子を有する基板200と対向基板236とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入するディップ式(汲み上げ式)を用いることができる。
ディスペンサ方式を採用した液晶滴下法を図21を用いて説明する。図21の液晶滴下法においては、制御装置40、撮像手段42、ヘッド43、液晶33、マーカー35、マーカー45は、バリア層34、シール材32、TFT基板30、対向基板20が用いられる。シール材32で閉ループを形成し、その中にヘッド43より液晶33を1回若しくは複数回滴下する。液晶材料の粘性が高い場合は、連続的に吐出され、繋がったまま被形成領域に付着する。一方、液晶材料の粘性が低い場合には、図21のように間欠的に吐出され液滴が滴下される。そのとき、シール材32と液晶33とが反応することを防ぐため、バリア層34を設ける。続いて、真空中で基板を貼り合わせ、その後紫外線硬化を行って、液晶が充填された状態とする。またTFT基板側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
スペーサは数μmの粒子を散布して設ける方法でも良いが、本実施の形態では基板全面に樹脂膜を形成した後これをエッチング加工して形成する方法を採用した。このようなスペーサの材料を、スピナーで塗布した後、露光と現像処理によって所定のパターンに形成する。さらにクリーンオーブンなどで150〜200℃で加熱して硬化させる。このようにして作製されるスペーサは露光と現像処理の条件によって形状を異ならせることができるが、好ましくは、スペーサの形状は柱状で頂部が平坦な形状となるようにすると、対向側の基板を合わせたときに液晶表示装置としての機械的な強度を確保することができる。形状は円錐状、角錐状などを用いることができ、特別な限定はない。
以上の工程で形成された表示装置内部と外部の配線基板を接続するために接続部を形成する。大気圧又は大気圧近傍下で、酸素ガスを用いたアッシング処理により、接続部の絶縁体層を除去する。この処理は、酸素ガスと、水素、CF4、NF3、H2O、CHF3から選択された一つ又は複数とを用いて行う。本工程では、静電気による損傷や破壊を防止するために、対向基板を用いて封止した後に、アッシング処理を行っているが、静電気による影響が少ない場合には、どのタイミングで行っても構わない。
続いて、画素部と電気的に接続されている端子電極層287を、異方性導電体層285を介して、接続用の配線基板であるFPC286を設ける。FPC286は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。
図19(A)に、液晶表示装置の上面図を示す。図19(A)で示すように、画素領域290、走査線駆動領域291a、走査線駆動領域291bが、シール材282によって、基板200と対向基板236との間に封止され、基板200上にICドライバによって形成された信号線駆動回路292が設けられている。駆動領域には薄膜トランジスタ283及び薄膜トランジスタ284を有する駆動回路が設けられている。
本実施の形態における周辺駆動回路は薄膜トランジスタ283及び薄膜トランジスタ284は、nチャネル型薄膜トランジスタであるので、薄膜トランジスタ283及び薄膜トランジスタ284で構成されるNMOSの回路が設けられている。
本実施の形態では、駆動回路領域において、NMOS構成を用いてインバーターとして機能させている。このようにPMOSのみ、NMOSの構成の場合においては、一部のTFTのゲート電極層とソース電極層又はドレイン電極層とを接続させる。
本実施の形態では、スイッチングTFTはダブルゲート構造としたが、シングルゲート構造でもよく、より複数のマルチゲート構造でもよい。また半導体をSASや結晶性半導体を用いて作製した場合、一導電型を付与する不純物の添加によって不純物領域を形成することもできる。この場合、半導体層は濃度の異なる不純物領域を有していてもよい。例えば、半導体層のチャネル領域近傍、ゲート電極層と積層する領域は、低濃度不純物領域とし、その外側の領域を高濃度不純物領域としてもよい。
以上示したように、本実施の形態では、工程を簡略化することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種の構成物(パーツ)やマスク層を形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
本実施の形態では、めっき触媒元素を吸着する光触媒物質に裏面露光により、選択的に光を照射し、露光された光触媒物質にめっき触媒元素を選択的に吸着して、自己整合的にソース電極層及びドレイン電極層を形成している。よって、マスクのアライメントずれによる形状不良などが生じず、制御性よく配線を形成することができる。従って、本発明を用いると、歩留まりよく信頼性の高い半導体装置、表示装置などを作製することができる。
また、めっき法を用いるため、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができる。従って、高速動作を行うことができる高性能、かつ高信頼性の半導体装置を作製することもできる。
(実施の形態6)
本発明を適用して薄膜トランジスタを形成し、該薄膜トランジスタを用いて表示装置を形成することができるが、発光素子を用いて、なおかつ、該発光素子を駆動するトランジスタとしてnチャネル型トランジスタを用いた場合、該発光素子から発せられる光は、下面放射、上面放射、両面放射のいずれかを行う。ここでは、それぞれの場合に応じた発光素子の積層構造について、図12を用いて説明する。
本実施の形態では、本実施の形態4で作製したコプラナー型の薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ461、薄膜トランジスタ471、薄膜トランジスタ481を用いる。薄膜トランジスタ481は、透光性を有する基板480上に設けられ、ゲート電極層493、ゲート絶縁層497、半導体層496、ソース電極層又はドレイン電極層487a、ソース電極層又はドレイン電極層487bにより形成される。ソース電極層又はドレイン電極層487a、ソース電極層又はドレイン電極層487bは、光触媒物質495a、光触媒物質495bを、ゲート電極層493をマスクとした裏面露光によって活性化し、自己整合的にめっき法により形成する。また、本実施の形態では、ゲート電極層493も、めっき触媒物質を吸着、又は析出させる機能を有する光触媒物質又はアミノ基を有する物質482を用いてめっき法により形成する。
光触媒物質又はアミノ基を有する物質482は、基板に形成後、所望とする形状に加工してもよいし、液滴吐出法や印刷法などを用いて選択的に形成してもよい。光触媒物質の光照射による光触媒機能を用いる場合、選択的な光照射をフォトマスクを用いて行うことができる。光触媒物質又はアミノ基を有する物質482は、基板上に形成する初めの形成物であるため、フォトマスクによるずれが比較的影響を与えない光触媒物質又はアミノ基を有する物質482の形成工程にフォトマスクを用い、後のソース電極層又はドレイン電極層の形成は裏面露光を用いて自己整合的に形成すると、精密な半導体装置を歩留まり良く作製することができる。フォトマスクは、光を通過する材料からなる基板に光を遮断する材料からなるマスクが設けられたマスクを用いればよく、例えば、光源として紫外線ランプを用い、基板として石英基板、マスクとして金属から成るメタルマスクを用いればよい。本実施の形態のように、光触媒物質又はアミノ基を有する物質482を液滴吐出法により選択的に形成すると、作製工程がより簡略化する。
まず、基板480側に放射する場合、つまり下面放射を行う場合について、図12(A)を用いて説明する。この場合、薄膜トランジスタ481に電気的に接続するように、ソース電極層又はドレイン電極層487bに接して、第1の電極層484、電界発光層485、第2の電極層486が順に積層される。光が透過する基板480は少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する必要がある。次に、基板460と反対側に放射する場合、つまり上面放射を行う場合について、図12(B)を用いて説明する。薄膜トランジスタ461は、前述した薄膜トランジスタの同様に形成することができる。
薄膜トランジスタ461に電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層462が第1の電極層463と接し、電気的に接続する。第1の電極層463、電界発光層464、第2の電極層465が順に積層される。ソース電極層又はドレイン電極層462は反射性を有する金属層であり、発光素子から放射される光を矢印の上面に反射する。ソース電極層又はドレイン電極層462は第1の電極層463と積層する構造となっているので、第1の電極層463に透光性の材料を用いて、光が透過しても、該光はソース電極層又はドレイン電極層462において反射され、基板460と反対側に放射する。もちろん第1の電極層463を、反射性を有する金属膜を用いて形成してもよい。発光素子から放出する光は第2の電極層465を透過して放出されるので、第2の電極層465は、少なくとも可視領域において透光性を有する材料で形成する。最後に、光が基板470側とその反対側の両側に放射する場合、つまり両面放射を行う場合について、図12(C)を用いて説明する。薄膜トランジスタ471もチャネル保護型の薄膜トランジスタである。薄膜トランジスタ471の半導体層に電気的に接続するソース電極層又はドレイン電極層477に第1の電極層472が電気的に接続している。第1の電極層472、電界発光層473、第2の電極層474が順に積層される。このとき、第1の電極層472と第2の電極層474のどちらも少なくとも可視領域において透光性を有する材料、又は光を透過できる厚さで形成すると、両面放射が実現する。この場合、光が透過する絶縁層や基板470も少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する必要がある。
本実施の形態において適用できる発光素子の形態を図11に示す。図11は発光素子の素子構造であり、第1の電極層870と第2の電極層850との間に、有機化合物と無機化合物を混合してなる電界発光層860が狭持されている発光素子である。電界発光層860は、図示した通り、第1の層804、第2の層803、第3の層802から構成されている。
まず、第1の層804は、第2の層803にホールを輸送する機能を担う層であり、少なくとも第1の有機化合物と、第1の有機化合物に対して電子受容性を示す第1の無機化合物とを含む構成である。重要なのは、単に第1の有機化合物と第1の無機化合物が混ざり合っているのではなく、第1の無機化合物が第1の有機化合物に対して電子受容性を示す点である。このような構成とすることで、本来内在的なキャリアをほとんど有さない第1の有機化合物に多くのホールキャリアが発生し、極めて優れたホール注入性、ホール輸送性を示す。
したがって第1の層804は、無機化合物を混合することによって得られると考えられている効果(耐熱性の向上など)だけでなく、優れた導電性(第1の層804においては特に、ホール注入性および輸送性)をも得ることができる。このことは、互いに電子的な相互作用を及ぼさない有機化合物と無機化合物を単に混合した従来のホール輸送層では、得られない効果である。この効果により、従来よりも駆動電圧を低くすることができる。また、駆動電圧の上昇を招くことなく第1の層804を厚くすることができるため、ゴミ等に起因する素子の短絡も抑制することができる。
ところで、上述したように、第1の有機化合物にはホールキャリアが発生するため、第1の有機化合物としてはホール輸送性の有機化合物が好ましい。ホール輸送性の有機化合物としては、例えば、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス{N−[4−ジ(m−トリル)アミノ]フェニル−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。また、上述した化合物の中でも、TDATA、MTDATA、m−MTDAB、TPD、NPB、DNTPD、TCTAなどに代表される芳香族アミン化合物は、ホールキャリアを発生しやすく、第1の有機化合物として好適な化合物群である。
一方、第1の無機化合物は、第1の有機化合物から電子を受け取りやすいものであれば何であってもよく、種々の金属酸化物または金属窒化物が可能であるが、周期表第4族乃至第12族のいずれかの遷移金属酸化物が電子受容性を示しやすく好適である。具体的には、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウム、酸化ルテニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。また、上述した金属酸化物の中でも、周期表第4族乃至第8族のいずれかの遷移金属酸化物は電子受容性の高いものが多く、好ましい一群である。特に酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化レニウムは真空蒸着が可能で扱いやすいため、好適である。
なお、第1の層804は、上述した有機化合物と無機化合物の組み合わせを適用した層を、複数積層して形成していてもよい。また、他の有機化合物あるいは他の無機化合物をさらに含んでいてもよい。
次に、第3の層802について説明する。第3の層802は、第2の層803に電子を輸送する機能を担う層であり、少なくとも第3の有機化合物と、第3の有機化合物に対して電子供与性を示す第3の無機化合物とを含む構成である。重要なのは、単に第3の有機化合物と第3の無機化合物が混ざり合っているのではなく、第3の無機化合物が第3の有機化合物に対して電子供与性を示す点である。このような構成とすることで、本来内在的なキャリアをほとんど有さない第3の有機化合物に多くの電子キャリアが発生し、極めて優れた電子注入性、電子輸送性を示す。
したがって第3の層802は、無機化合物を混合することによって得られると考えられている効果(耐熱性の向上など)だけでなく、優れた導電性(第3の層802においては特に、電子注入性および輸送性)をも得ることができる。このことは、互いに電子的な相互作用を及ぼさない有機化合物と無機化合物を単に混合した従来の電子輸送層では、得られない効果である。この効果により、従来よりも駆動電圧を低くすることができる。また、駆動電圧の上昇を招くことなく第3の層802を厚くすることができるため、ゴミ等に起因する素子の短絡も抑制することができる。
ところで、上述したように、第3の有機化合物には電子キャリアが発生するため、第3の有機化合物としては電子輸送性の有機化合物が好ましい。電子輸送性の有機化合物としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)−トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−ビフェニリル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。また、上述した化合物の中でも、Alq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などに代表される芳香環を含むキレート配位子を有するキレート金属錯体や、BPhen、BCPなどに代表されるフェナントロリン骨格を有する有機化合物や、PBD、OXD−7などに代表されるオキサジアゾール骨格を有する有機化合物は、電子キャリアを発生しやすく、第3の有機化合物として好適な化合物群である。
一方、第3の無機化合物は、第3の有機化合物に電子を与えやすいものであれば何であってもよく、種々の金属酸化物または金属窒化物が可能であるが、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類金属酸化物、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物、希土類金属窒化物が電子供与性を示しやすく好適である。具体的には、酸化リチウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化エルビウム、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化カルシウム、窒化イットリウム、窒化ランタンなどが挙げられる。特に酸化リチウム、酸化バリウム、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化カルシウムは真空蒸着が可能で扱いやすいため、好適である。
なお、第3の層802は、上述した有機化合物と無機化合物の組み合わせを適用した層を、複数積層して形成していてもよい。また、他の有機化合物あるいは他の無機化合物をさらに含んでいてもよい。
次に、第2の層803について説明する。第2の層803は発光機能を担う層であり、発光性の第2の有機化合物を含む。また、第2の無機化合物を含む構成であってもよい。第2の層803は、種々の発光性の有機化合物、無機化合物を用いて形成することができる。ただし、第2の層803は、第1の層804や第3の層802に比べて電流が流れにくいと考えられるため、その膜厚は10nm〜100nm程度が好ましい。
第2の有機化合物としては、発光性の有機化合物であれば特に限定されることはなく、例えば、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、クマリン30、クマリン6、クマリン545、クマリン545T、ペリレン、ルブレン、ペリフランテン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、5,12−ジフェニルテトラセン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(ジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略称:BisDCM)等が挙げられる。また、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(ピコリナート)(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(ピコリナート)(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス[2−(2’−チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(thp)2(acac))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(pq)2(acac))、ビス[2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトナート)(略称:Ir(btp)2(acac))などの燐光を放出できる化合物用いることもできる。
第2の層803を一重項励起発光材料の他、金属錯体などを含む三重項発光励起材料を用いても良い。例えば、赤色の発光性の画素、緑色の発光性の画素及び青色の発光性の画素のうち、輝度半減時間が比較的短い赤色の発光性の画素を三重項励起発光材料で形成し、他を一重項励起発光材料で形成する。三重項励起発光材料は発光効率が良いので、同じ輝度を得るのに消費電力が少なくて済むという特徴がある。すなわち、赤色画素に適用した場合、発光素子に流す電流量が少なくて済むので、信頼性を向上させることができる。低消費電力化として、赤色の発光性の画素と緑色の発光性の画素とを三重項励起発光材料で形成し、青色の発光性の画素を一重項励起発光材料で形成しても良い。人間の視感度が高い緑色の発光素子も三重項励起発光材料で形成することで、より低消費電力化を図ることができる。
また、第2の層803においては、上述した発光を示す第2の有機化合物だけでなく、さらに他の有機化合物が添加されていてもよい。添加できる有機化合物としては、例えば、先に述べたTDATA、MTDATA、m−MTDAB、TPD、NPB、DNTPD、TCTA、Alq3、Almq3、BeBq2、BAlq、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2、BPhen、BCP、PBD、OXD−7、TPBI、TAZ、p−EtTAZ、DNA、t−BuDNA、DPVBiなどの他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)などを用いることができるが、これらに限定されることはない。なお、このように第2の有機化合物以外に添加する有機化合物は、第2の有機化合物を効率良く発光させるため、第2の有機化合物の励起エネルギーよりも大きい励起エネルギーを有し、かつ第2の有機化合物よりも多く添加されていることが好ましい(それにより、第2の有機化合物の濃度消光を防ぐことができる)。あるいはまた、他の機能として、第2の有機化合物と共に発光を示してもよい(それにより、白色発光なども可能となる)。
第2の層803は、発光波長帯の異なる発光層を画素毎に形成して、カラー表示を行う構成としても良い。典型的には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を形成する。この場合にも、画素の光放射側にその発光波長帯の光を透過するフィルターを設けた構成とすることで、色純度の向上や、画素部の鏡面化(映り込み)の防止を図ることができる。フィルターを設けることで、従来必要であるとされていた円偏光板などを省略することが可能となり、発光層から放射される光の損失を無くすことができる。さらに、斜方から画素部(表示画面)を見た場合に起こる色調の変化を低減することができる。
第2の層803で用いることのできる材料は低分子系有機発光材料でも高分子系有機発光材料でもよい。高分子系有機発光材料は低分子系に比べて物理的強度が高く、素子の耐久性が高い。また塗布により成膜することが可能であるので、素子の作製が比較的容易である。
発光色は、発光層を形成する材料で決まるため、これらを選択することで所望の発光を示す発光素子を形成することができる。発光層の形成に用いることができる高分子系の電界発光材料は、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリパラフェニレン系、ポリチオフェン系、ポリフルオレン系が挙げられる。
ポリパラフェニレンビニレン系には、ポリ(パラフェニレンビニレン) [PPV] の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン) [RO−PPV]、ポリ(2−(2’−エチル−ヘキソキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン)[MEH−PPV]、ポリ(2−(ジアルコキシフェニル)−1,4−フェニレンビニレン)[ROPh−PPV]等が挙げられる。ポリパラフェニレン系には、ポリパラフェニレン[PPP]の誘導体、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレン)[RO−PPP]、ポリ(2,5−ジヘキソキシ−1,4−フェニレン)等が挙げられる。ポリチオフェン系には、ポリチオフェン[PT]の誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)[PAT]、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)[PHT]、ポリ(3−シクロヘキシルチオフェン)[PCHT]、ポリ(3−シクロヘキシル−4−メチルチオフェン)[PCHMT]、ポリ(3,4−ジシクロヘキシルチオフェン)[PDCHT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−チオフェン][POPT]、ポリ[3−(4−オクチルフェニル)−2,2ビチオフェン][PTOPT]等が挙げられる。ポリフルオレン系には、ポリフルオレン[PF]の誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)[PDAF]、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)[PDOF]等が挙げられる。
前記第2の無機化合物としては、第2の有機化合物の発光を消光しにくい無機化合物であれば何であってもよく、種々の金属酸化物や金属窒化物を用いることができる。特に、周期表第13族または第14族の金属酸化物は、第2の有機化合物の発光を消光しにくいため好ましく、具体的には酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウムが好適である。ただし、これらに限定されることはない。
なお、第2の層803は、上述した有機化合物と無機化合物の組み合わせを適用した層を、複数積層して形成していてもよい。また、他の有機化合物あるいは他の無機化合物をさらに含んでいてもよい。発光層の層構造は変化しうるものであり、特定の電子注入領域や発光領域を備えていない代わりに、もっぱらこの目的用の電極層を備えたり、発光性の材料を分散させて備えたりする変形は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において許容されうるものである。
上記のような材料で形成した発光素子は、順方向にバイアスすることで発光する。発光素子を用いて形成する表示装置の画素は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式、若しくはアクティブマトリクス方式で駆動することができる。いずれにしても、個々の画素は、ある特定のタイミングで順方向バイアスを印加して発光させることとなるが、ある一定期間は非発光状態となっている。この非発光時間に逆方向のバイアスを印加することで発光素子の信頼性を向上させることができる。発光素子では、一定駆動条件下で発光強度が低下する劣化や、画素内で非発光領域が拡大して見かけ上輝度が低下する劣化モードがあるが、順方向及び逆方向にバイアスを印加する交流的な駆動を行うことで、劣化の進行を遅くすることができ、発光表示装置の信頼性を向上させることができる。また、デジタル駆動、アナログ駆動どちらでも適用可能である。
よって、封止基板にカラーフィルタ(着色層)を形成してもよい。カラーフィルタ(着色層)は、蒸着法や液滴吐出法によって形成することができ、カラーフィルタ(着色層)を用いると、高精細な表示を行うこともできる。カラーフィルタ(着色層)により、各RGBの発光スペクトルにおいてブロードなピークが鋭いピークになるように補正できるからである。
単色の発光を示す材料を形成し、カラーフィルタや色変換層を組み合わせることによりフルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタ(着色層)や色変換層は、例えば第2の基板(封止基板)に形成し、基板へ張り合わせればよい。
もちろん単色発光の表示を行ってもよい。例えば、単色発光を用いてエリアカラータイプの表示装置を形成してもよい。エリアカラータイプは、パッシブマトリクス型の表示部が適しており、主に文字や記号を表示することができる。
第1の電極層870及び第2の電極層850は仕事関数を考慮して材料を選択する必要があり、そして第1の電極層870及び第2の電極層850は、画素構成によりいずれも陽極、又は陰極となりうる。駆動用薄膜トランジスタの極性がpチャネル型である場合、図11(A)のように第1の電極層870を陽極、第2の電極層850を陰極とするとよい。また、駆動用薄膜トランジスタの極性がnチャネル型である場合、図11(B)のように、第1の電極層870を陰極、第2の電極層850を陽極とすると好ましい。第1の電極層870および第2の電極層850に用いることのできる材料について述べる。第1の電極層870、第2の電極層850が陽極として機能する場合は仕事関数の大きい材料(具体的には4.5eV以上の材料)が好ましく、第1の電極層、第2の電極層850が陰極として機能する場合は仕事関数の小さい材料(具体的には3.5eV以下の材料)が好ましい。しかしながら、第1の層804のホール注入・輸送特性や、第3の層802の電子注入・輸送特性が優れているため、第1の電極層870、第2の電極層850共に、ほとんど仕事関数の制限を受けることなく、種々の材料を用いることができる。
図11(A)、(B)における発光素子は、第1の電極層870より光を取り出す構造のため、第2の電極層850は、必ずしも光透光性を有する必要はない。第2の電極層850としては、Ti、TiN、TiSiXNY、Ni、W、WSiX、WNX、WSiXNY、NbN、Cr、Pt、Zn、Sn、In、Ta、Al、Cu、Au、Ag、Mg、Ca、LiまたはMoから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を総膜厚100nm〜800nmの範囲で用いればよい。
第2の電極層850は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、印刷法または液滴吐出法などを用いて形成することができる。
また、第2の電極層850に第1の電極層870で用いる材料のような透光性を有する導電性材料を用いると、第2の電極層850からも光を取り出す構造となり、発光素子から放射される光は、第1の電極層870と第2の電極層850との両方より放射される両面放射構造とすることができる。
なお、第1の電極層870や第2の電極層850の種類を変えることで、本発明の発光素子は様々なバリエーションを有する。
図11(B)は、電界発光層860が、第1の電極層870側から第3の層802、第2の層、第1の層804の順で構成されているケースである。
以上で述べたように、本発明の発光素子は、第1の電極層870と第2の電極層850との間に狭持された層が、有機化合物と無機化合物が複合された層を含む電界発光層860から成っている。そして、有機化合物と無機化合物を混合することにより、それぞれ単独では得られない高いキャリア注入性、キャリア輸送性という機能が得られる層(すなわち、第1の層804および第3の層802)が設けられている有機及び無機複合型の発光素子である。また、上記第1の層804、第3の層802は、第1の電極層870側に設けられる場合、特に有機化合物と無機化合物が複合された層である必要があり、第2の電極層850側に設けられる場合、有機化合物、無機化合物のみであってもよい。
なお、電界発光層860は有機化合物と無機化合物が混合された層であるが、その形成方法としては種々の手法を用いることができる。例えば、有機化合物と無機化合物の両方を抵抗加熱により蒸発させ、共蒸着する手法が挙げられる。その他、有機化合物を抵抗加熱により蒸発させる一方で、無機化合物をエレクトロンビーム(EB)により蒸発させ、共蒸着してもよい。また、有機化合物を抵抗加熱により蒸発させると同時に、無機化合物をスパッタリングし、両方を同時に堆積する手法も挙げられる。その他、湿式法により成膜してもよい。
また、第1の電極層870および第2の電極層850に関しても同様に、抵抗加熱による蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング、湿式法などを用いることができる。
図11(C)は、図11(A)において、第1の電極層870に反射性を有する電極層を用い、第2の電極層850に透光性を有する電極層を用いており、発光素子より放射された光は第1の電極層870で反射され、第2の電極層850を透過して放射される。同様に図11(D)は、図11(B)において、第1の電極層870に反射性を有する電極層を用い、第2の電極層850に透光性を有する電極層を用いており、発光素子より放射された光は第1の電極層870で反射され、第2の電極層850を透過して放射される。本実施の形態は、実施の形態1乃至4それぞれと自由に組み合わせることが可能である。
(実施の形態7)
次に、実施の形態4乃至6によって作製される表示パネルに駆動用のドライバ回路を実装する態様について説明する。
まず、COG方式を採用した表示装置について、図28(A)を用いて説明する。基板2700上には、文字や画像などの情報を表示する画素部2701が設けられる。複数の駆動回路が設けられた基板を、矩形状に分断し、分断後の駆動回路(ドライバICとも表記)2751は、基板2700上に実装される。図28(A)は複数のドライバIC2751、ドライバIC2751の先にFPC2750を実装する形態を示す。また、分割する大きさを画素部の信号線側の辺の長さとほぼ同じにし、単数のドライバICの先にテープを実装してもよい。
また、TAB方式を採用してもよく、その場合は、図28(B)で示すように複数のテープを貼り付けて、該テープにドライバICを実装すればよい。COG方式の場合と同様に、単数のテープに単数のドライバICを実装してもよく、この場合には、強度の問題から、ドライバICを固定する金属片等を一緒に貼り付けるとよい。
これらの表示パネルに実装されるドライバICは、生産性を向上させる観点から、一辺が300mmから1000mm、さらには1000mm以上の一辺を有する矩形状の基板上に複数個作り込むとよい。
つまり、基板上に駆動回路部と入出力端子を一つのユニットとする回路パターンを複数個形成し、最後に分割して取り出せばよい。ドライバICの長辺の長さは、画素部の一辺の長さや画素ピッチを考慮して、長辺が15〜80mm、短辺が1〜6mmの矩形状に形成してもよいし、画素領域の一辺、又は画素部の一辺と各駆動回路の一辺とを足した長さに形成してもよい。
ドライバICのICチップに対する外形寸法の優位性は長辺の長さにあり、長辺が15〜80mmで形成されたドライバICを用いると、画素部に対応して実装するのに必要な数がICチップを用いる場合よりも少なくて済み、製造上の歩留まりを向上させることができる。また、ガラス基板上にドライバICを形成すると、母体として用いる基板の形状に限定されないので生産性を損なうことがない。これは、円形のシリコンウエハからICチップを取り出す場合と比較すると、大きな優位点である。
また、図27(B)のように走査線側駆動回路3702は基板上に一体形成される場合、画素部3701の外側の領域には、信号線側の駆動回路駆動回路が形成されたドライバICが実装される。これらのドライバICは、信号線側の駆動回路である。RGBフルカラーに対応した画素領域を形成するためには、XGAクラスで信号線の本数が3072本必要であり、UXGAクラスでは4800本が必要となる。このような本数で形成された信号線は、画素部3701の端部で数ブロック毎に区分して引出線を形成し、ドライバICの出力端子のピッチに合わせて集められる。
ドライバICは、基板上に形成された結晶質半導体により形成されることが好適であり、該結晶質半導体は連続発光のレーザ光を照射することで形成されることが好適である。従って、当該レーザ光を発生させる発振器としては、連続発光の固体レーザ又は気体レーザを用いる。連続発光のレーザを用いると、結晶欠陥が少なく、大粒径の多結晶半導体層を用いて、トランジスタを作成することが可能となる。また移動度や応答速度が良好なために高速駆動が可能で、従来よりも素子の動作周波数を向上させることができ、特性バラツキが少ないために高い信頼性を得ることができる。なお、さらなる動作周波数の向上を目的として、トランジスタのチャネル長方向とレーザ光の走査方向と一致させるとよい。これは、連続発光レーザによるレーザ結晶化工程では、トランジスタのチャネル長方向とレーザ光の基板に対する走査方向とが概ね並行(好ましくは−30度以上30度以下)であるときに、最も高い移動度が得られるためである。なおチャネル長方向とは、チャネル形成領域において、電流が流れる方向、換言すると電荷が移動する方向と一致する。このように作製したトランジスタは、結晶粒がチャネル方向に延在する多結晶半導体層によって構成される活性層を有し、このことは結晶粒界が概ねチャネル方向に沿って形成されていることを意味する。
レーザ結晶化を行うには、レーザ光の大幅な絞り込みを行うことが好ましく、そのレーザ光の形状(ビームスポット)の幅は、ドライバICの短辺の同じ幅の1mm以上3mm以下程度とすることがよい。また、被照射体に対して、十分に且つ効率的なエネルギー密度を確保するために、レーザ光の照射領域は、線状であることが好ましい。但し、ここでいう線状とは、厳密な意味で線を意味しているのではなく、アスペクト比の大きい長方形もしくは長楕円形を意味する。例えば、アスペクト比が2以上(好ましくは10以上10000以下)のものを指す。このように、レーザ光のレーザ光の形状(ビームスポット)の幅をドライバICの短辺と同じ長さとすることで、生産性を向上させた表示装置の作製方法を提供することができる。
図28(A)、(B)のように走査線駆動回路及び信号線駆動回路の両方として、ドライバICを実装してもよい。その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの仕様を異なるものにするとよい。
画素領域は、信号線と走査線が交差してマトリクスを形成し、各交差部に対応してトランジスタが配置される。本発明は、画素領域に配置されるトランジスタとして、非晶質半導体又はセミアモルファス半導体をチャネル部としたTFTを用いることを特徴とする。非晶質半導体は、プラズマCVD法やスパッタリング法等の方法により形成する。セミアモルファス半導体は、プラズマCVD法で300℃以下の温度で形成することが可能であり、例えば、外寸550×650mmの無アルカリガラス基板であっても、トランジスタを形成するのに必要な膜厚を短時間で形成するという特徴を有する。このような製造技術の特徴は、大画面の表示装置を作製する上で有効である。また、セミアモルファスTFTは、SASでチャネル形成領域を構成することにより2〜10cm2/V・secの電界効果移動度を得ることができる。また本発明を用いると、パターンを所望の形状に制御性よく形成することができるので、このような微細な配線もショート等の不良が生じることなく安定的に形成することができる。画素を十分機能させるのに必要な電気特性を有するTFTを形成できる。従って、このTFTを画素のスイッチング用素子や、走査線側の駆動回路を構成する素子として用いることができる。従って、システムオンパネル化を実現した表示パネルを作製することができる。
半導体層をSASで形成したTFTを用いることにより、走査線側駆動回路も基板上に一体形成することができ、半導体層をASで形成したTFTを用いる場合には、走査線側駆動回路及び信号線側駆動回路の両方をドライバICで実装するとよい。
その場合には、走査線側と信号線側で用いるドライバICの仕様を異なるものにすることが好適である。例えば、走査線側のドライバICを構成するトランジスタには30V程度の耐圧が要求されるものの、駆動周波数は100kHz以下であり、比較的高速動作は要求されない。従って、走査線側のドライバを構成するトランジスタのチャネル長(L)は十分大きく設定することが好適である。一方、信号線側のドライバICのトランジスタには、12V程度の耐圧があれば十分であるが、駆動周波数は3Vにて65MHz程度であり、高速動作が要求される。そのため、ドライバを構成するトランジスタのチャネル長などはミクロンルールで設定することが好適である。本発明を用いると、微細なパターン形成が制御性よくできるので、このようなミクロンルールにも十分に対応することが可能である。
ドライバICの実装方法は、特に限定されるものではなく、COG方法やワイヤボンディング方法、或いはTAB方法を用いることができる。
ドライバICの厚さは、対向基板と同じ厚さとすることで、両者の間の高さはほぼ同じものとなり、表示装置全体としての薄型化に寄与する。また、それぞれの基板を同じ材質のもので作製することにより、この表示装置に温度変化が生じても熱応力が発生することなく、TFTで作製された回路の特性を損なうことはない。その他にも、本実施形態で示すようにICチップよりも長尺のドライバICで駆動回路を実装することにより、1つの画素領域に対して、実装されるドライバICの個数を減らすことができる。
以上のようにして、表示パネルに駆動回路を組み入れることができる。
(実施の形態8)
本発明の表示装置に具備される保護回路の一例について説明する。
図31で示すように、外部回路と内部回路の間に保護回路2713を形成することができる。保護回路は、TFT、ダイオード、抵抗素子及び容量素子等から選択された1つ又は複数の素子によって構成されるものであり、以下にはいくつかの保護回路の構成とその動作について説明する。まず、外部回路と内部回路の間に配置される保護回路であって、1つの入力端子に対応した保護回路の等価回路図の構成について、図31を用いて説明する。図31(A)に示す保護回路は、pチャネル型薄膜トランジスタ7220、7230、容量素子7210、7240、抵抗素子7250を有する。抵抗素子7250は2端子の抵抗であり、一端には入力電圧Vin(以下、Vinと表記)が、他端には低電位電圧VSS(以下、VSSと表記)が与えられる。
図31(B)に示す保護回路は、pチャネル型薄膜トランジスタ7220、7230を、整流性を有するダイオード7260、7270で代用した等価回路図である。図31(C)に示す保護回路は、pチャネル型薄膜トランジスタ7220、7230を、TFT7350、7360、7370、7380で代用した等価回路図である。また、上記とは別の構成の保護回路として、図31(D)に示す保護回路は、抵抗7280、7290と、nチャネル型薄膜トランジスタ7300を有する。図31(E)に示す保護回路は、抵抗7280、7290、pチャネル型薄膜トランジスタ7310及びnチャネル型薄膜トランジスタ7320を有する。保護回路を設けることで電位の急激な変動を防いで、素子の破壊又は損傷を防ぐことができ、信頼性が向上する。なお、上記保護回路を構成する素子は、耐圧に優れた非晶質半導体により構成することが好ましい。本実施の形態は 、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
本実施の形態は、実施の形態1乃至7とそれぞれ組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態9)
本実施の形態で示す表示パネルの画素の構成について、図10に示す等価回路図を参照して説明する。本実施の形態では、画素の表示素子として発光素子(EL素子)を用いる例を示す。
図10(A)に示す画素は、列方向に信号線710及び電源線711、電源線712、電源線713、行方向に走査線714が配置される。また、TFT701は、スイッチング用TFT、TFT703は駆動用TFT、TFT704は電流制御用TFTであり、他に容量素子702及び発光素子705を有する。
図10(C)に示す画素は、TFT703のゲート電極が、行方向に配置された電源線712に接続される点が異なっており、それ以外は図10(A)に示す画素と同じ構成である。つまり、図10(A)(C)に示す両画素は、同じ等価回路図を示す。しかしながら、列方向に電源線712が配置される場合(図10(A))と、行方向に電源線712が配置される場合(図10(C))では、各電源線は異なるレイヤーの導電体層で形成される。ここでは、TFT703のゲート電極が接続される配線に注目し、これらを作製するレイヤーが異なることを表すために、図10(A)(C)として分けて記載する。
図10(A)(C)に示す画素の特徴として、画素内にTFT703、TFT704が直列に接続されており、TFT703のチャネル長L3、チャネル幅W3、TFT704のチャネル長L4、チャネル幅W4は、L3/W3:L4/W4=5〜6000:1を満たすように設定される点が挙げられる。6000:1を満たす場合の一例としては、L3が500μm、W3が3μm、L4が3μm、W4が100μmの場合がある。
なお、TFT703は、飽和領域で動作し発光素子705に流れる電流値を制御する役目を有し、TFT704は線形領域で動作し発光素子705に対する電流の供給を制御する役目を有する。TFT703及びTFT704は同じ導電型を有していると作製工程上好ましい。またTFT703には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。上記構成を有する本発明は、TFT704が線形領域で動作するために、TFT704のVGSの僅かな変動は発光素子705の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子705の電流値は、飽和領域で動作するTFT703により決定される。上記構成を有する本発明は、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して画質を向上させた表示装置を提供することができる。
図10(A)〜(D)に示す画素において、TFT701は、画素に対するビデオ信号の入力を制御するものであり、TFT701がオンして、画素内にビデオ信号が入力されると、容量素子702にそのビデオ信号が保持される。なお図10(A)(C)には、容量素子702を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持する容量がゲート容量などでまかなうことが可能な場合には、明示的に容量素子702を設けなくてもよい。
発光素子705は、2つの電極間に電界発光層が挟まれた構造を有し、順バイアス方向の電圧が印加されるように、画素電極と対向電極の間(陽極と陰極の間)に電位差が設けられる。電界発光層は有機材料や無機材料等の広汎に渡る材料により構成され、この電界発光層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と、三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれる。
図10(B)に示す画素は、TFT706と走査線716を追加している以外は、図10(A)に示す画素構成と同じである。同様に、図10(D)に示す画素は、TFT706と走査線716を追加している以外は、図10(C)に示す画素構成と同じである。
TFT706は、新たに配置された走査線716によりオン又はオフが制御される。TFT706がオンになると、容量素子702に保持された電荷は放電し、TFT704がオフする。つまり、TFT706の配置により、強制的に発光素子705に電流が流れない状態を作ることができる。従って、図10(B)(D)の構成は、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、デューティ比を向上することが可能となる。
図10(E)に示す画素は、列方向に信号線750、電源線751、電源線752、行方向に走査線753が配置される。また、TFT741はスイッチング用TFT、TFT743は駆動用TFTであり、他に容量素子742及び発光素子744を有する。図10(F)に示す画素は、TFT745と走査線754を追加している以外は、図10(E)に示す画素構成と同じである。なお、図10(F)の構成も、TFT745の配置により、デューティ比を向上することが可能となる。
以上のように、本発明を用いると、配線を、形成不良を生じることなく精密に安定して形成することが出来るので、TFTに高い電気的特性や信頼性をも付与することができ、使用目的に合わせて画素の表示能力を向上するための応用技術にも十分対応できる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至4、実施の形態6乃至8とそれぞれ組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態10)
本実施の形態を図22を用いて説明する。図22は、本発明を適用して作製されるTFT基板2800を用いてEL表示モジュールを構成する一例を示している。図22において、TFT基板2800上には、画素により構成された画素部が形成されている。
図22では、画素部の外側であって、駆動回路と画素との間に、画素に形成されたものと同様なTFT又はそのTFTのゲートとソース若しくはドレインの一方とを接続してダイオードと同様に動作させた保護回路部2801が備えられている。駆動回路2809は、単結晶半導体で形成されたドライバIC、ガラス基板上に多結晶半導体膜で形成されたスティックドライバIC、若しくはSASで形成された駆動回路などが適用されている。
TFT基板2800は、液滴吐出法で形成されたスペーサ2806a、スペーサ2806bを介して封止基板2820と固着されている。スペーサは、基板の厚さが薄く、また画素部の面積が大型化した場合にも、2枚の基板の間隔を一定に保つために設けておくことが好ましい。TFT2802、TFT2803とそれぞれ接続する発光素子2804、発光素子2805上であって、TFT基板2800と封止基板2820との間にある空隙には少なくとも可視領域の光に対して透光性を有する樹脂材料を充填して固体化しても良いし、無水化した窒素若しくは不活性気体を充填させても良い。
図22では発光素子2804、発光素子2805、発光素子2815を上面放射型(トップエミッション型)の構成とした場合を示し、図中に示す矢印の方向に光を放射する構成としている。各画素は、画素を赤色、緑色、青色として発光色を異ならせておくことで、多色表示を行うことができる。また、このとき封止基板2820側に各色に対応した着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cを形成しておくことで、外部に放射される発光の色純度を高めることができる。また、画素を白色発光素子として着色層2807a、着色層2807b、着色層2807cと組み合わせても良い。
外部回路である駆動回路2809は、TFT基板2800の一端に設けられた走査線若しくは信号線接続端子と、配線基板2810で接続される。また、TFT基板2800に接して若しくは近接させて、ヒートパイプ2813と放熱板2812を設け、放熱効果を高める構成としても良い。
なお、図22では、トップエミッションのELモジュールとしたが、発光素子の構成や外部回路基板の配置を変えてボトムエミッション構造、もちろん上面、下面両方から光が放射する両面放射構造としても良い。トップエミッション型の構成の場合、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法により形成することができ、ポリイミドなどの樹脂材料に、顔料系の黒色樹脂やカーボンブラック等を混合させて形成すればよく、その積層でもよい。
また、EL表示モジュールは、位相差板や偏光板を用いて、外部から入射する光の反射光を遮断するようにしてもよい。また上面放射型の表示装置ならば、隔壁となる絶縁層を着色しブラックマトリクスとして用いてもよい。この隔壁は液滴吐出法などによっても形成することができ、顔料系の黒色樹脂や、ポリイミドなどの樹脂材料に、カーボンブラック等を混合させてもよく、その積層でもよい。液滴吐出法によって、異なった材料を同領域に複数回吐出し、隔壁を形成してもよい。位相差板、位相差板としてはλ/4板とλ/2板とを用い、光を制御できるように設計すればよい。構成としては、TFT素子基板側から順に、発光素子、封止基板(封止材)、位相差板、位相差板(λ/4板、λ/2板)、偏光板という構成になり、発光素子から放射された光は、これらを通過し偏光板側より外部に放射される。この位相差板や偏光板は光が放射される側に設置すればよく、両面放射される両面放射型の表示装置であれば両方に設置することもできる。また、偏光板の外側に反射防止膜を有していても良い。これにより、より高精細で精密な画像を表示することができる。
TFT基板2800において、画素部が形成された側にシール材や接着性の樹脂を用いて樹脂フィルムを貼り付けて封止構造を形成してもよい。本実施の形態では、ガラス基板を用いるガラス封止を示したが、樹脂による樹脂封止、プラスチックによるプラスチック封止、フィルムによるフィルム封止、など様々な封止方法を用いることができる。樹脂フィルムの表面には水分の透過を防止するガスバリア膜を設けておくと良い。フィルム封止構造とすることで、さらなる薄型化及び軽量化を図ることができる。
以上示したように、本実施の形態では、工程を簡略化することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種の構成物(パーツ)を形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
本発明により、表示装置を構成する導電層(図22においてはTFTのソース電極層及びドレイン電極層)を、自己整合的に作製することができる。よって工程が簡略化するのでコストダウンが達成できる。また、めっき法を用いるため、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができる。従って、高速動作を行うことができる高性能、かつ高信頼性の表示装置を作製することができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至3、実施の形態6乃至9とそれぞれ組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態11)
本実施の形態を図23(A)及び図23(B)を用いて説明する。図23(A)、図23(B)は、本発明を適用して作製されるTFT基板2600を用いて液晶表示モジュールを構成する一例を示している。
図23(A)は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間に画素部2603と液晶層2604が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、2607、レンズフィルム2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609によりTFT基板2600と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCBモードなどを用いることができる。
なかでも、本発明で作製する表示装置は高速応答が可能なOCBモードを用いることでより高性能化することができる。図23(B)は図23(A)の液晶表示モジュールにOCBモードを適用した一例であり、FS−LCD(Field sequential−LCD)となっている。FS−LCDは、1フレーム期間に赤色発光と緑色発光と青色発光をそれぞれ行うものであり、時間分割を用いて画像を合成しカラー表示を行うことが可能である。また、各発光を発光ダイオードまたは冷陰極管等で行うので、カラーフィルタが不要である。よって、3原色のカラーフィルタを並べる必要がないため同じ面積で9倍の画素を表示できる。一方、1フレーム期間に3色の発光を行うため、液晶の高速な応答が求められる。本発明の表示装置に、FS方式、及びOCBモードを適用すると、一層高性能で高画質な表示装置、また液晶テレビジョン装置を完成させることができる。
OCBモードの液晶層は、いわゆるπセル構造を有している。πセル構造とは、液晶分子のプレチルト角がアクティブマトリクス基板と対向基板との基板間の中心面に対して面対称の関係で配向された構造である。πセル構造の配向状態は、基板間に電圧が印加されていない時はスプレイ配向となり、電圧を印加するとベンド配向に移行する。さらに電圧を印加するとベンド配向の液晶分子が両基板と垂直に配向し、光が透過する状態となる。なお、OCBモードにすると、従来のTNモードより約10倍速い高速応答性を実現できる。
また、FS方式に対応するモードとして、高速動作が可能な強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)を用いたHV−FLC、SS−FLCなども用いることができる。OCBモードは粘度の比較的低いネマチック液晶が用いられ、HV−FLC、SS−FLCには、スメクチック液晶が用いられるが、液晶材料としては、FLC、ネマチック液晶、スメクチック液晶などの材料を用いることができる。
また、液晶表示モジュールの高速光学応答速度は、液晶表示モジュールのセルギャップを狭くすることで高速化する。また液晶材料の粘度を下げることでも高速化できる。上記高速化は、TNモードの液晶表示モジュールの画素領域の画素、またはドットピッチが30μm以下の場合に、より効果的である。
図23(B)の液晶表示モジュールは透過型の液晶表示モジュールを示しており、光源として赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cが設けられている。光源は赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cのそれぞれオンオフを制御するために、制御部2912が設置されている。制御部2912によって、各色の発光は制御され、液晶に光は入射し、時間分割を用いて画像を合成し、カラー表示が行われる。
以上示したように、本実施の形態では、工程を簡略化することができる。また、液滴吐出法を用いて基板上に直接的に各種の構成物(パーツ)を形成することにより、1辺が1000mmを超える第5世代以降のガラス基板を用いても、容易に表示パネルを製造することができる。
本発明により、表示装置を構成する導電層を、簡略化した工程で作製することができる。よってコストダウンが達成できる。また、めっき法を用いるため、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができる。従って、高速動作を行うことができる高性能、かつ高信頼性の表示装置を作製することができる。
本実施の形態は、実施の形態1乃至3、実施の形態5、実施の形態7、実施の形態8とそれぞれ組み合わせて用いることが可能である。
(実施の形態12)
本発明によって形成される表示装置によって、テレビジョン装置を完成させることができる。図24はテレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図を示している。表示パネルには、図27(A)で示すような構成として画素部601のみが形成されて走査線側駆動回路603と信号線側駆動回路602とが、図28(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図28(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図27(B)に示すようにTFTを形成し、画素部601と走査線側駆動回路603を基板上に形成し信号線側駆動回路602を別途ドライバICとして実装する場合、また図27(C)で示すように画素部601と信号線側駆動回路602と走査線側駆動回路603を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ604で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路605と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路606と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路607などからなっている。コントロール回路607は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路608を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナ604で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路609に送られ、その出力は音声信号処理回路610を経てスピーカー613に供給される。制御回路611は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部612から受け、チューナ604や音声信号処理回路610に信号を送出する。
これらの液晶表示モジュール、EL表示モジュールを、図25(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。図22のようなEL表示モジュールを用いると、ELテレビジョン装置を、図23(A)、図23(B)のような液晶表示モジュールを用いると、液晶テレビジョン装置を完成することができる。表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
筐体2001に表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003を視野角の優れたEL表示用パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な液晶表示用パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を液晶表示用パネルで形成し、サブ画面をEL表示用パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い表示装置とすることができる。
図25(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、表示部2011、操作部であるリモコン装置2012、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図25(B)のテレビジョン装置は、壁かけ型となっており、設置するスペースを広く必要としない。
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
(実施の形態13)
本発明を適用して、様々な表示装置を作製することができる。即ち、それら表示装置を表示部に組み込んだ様々な電子機器に本発明を適用できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ等のカメラ、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの例を図26に示す。
図26(A)は、パーソナルコンピュータであり、本体2101、筐体2102、表示部2103、キーボード2104、外部接続ポート2105、ポインティングマウス2106等を含む。本発明は、表示部2103の作製に適用でき、本発明を用いると、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができ、高性能化、かつ高信頼性化が可能となる。
図26(B)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2201、筐体2202、表示部A2203、表示部B2204、記録媒体(DVD等)読み込み部2205、操作キー2206、スピーカー部2207等を含む。表示部A2203は主として画像情報を表示し、表示部B2204は主として文字情報を表示するが、本発明は、これら表示部A2203、表示部B2204の作製に適用でき、本発明を用いると、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができ、高性能化、かつ高信頼性化が可能となる。
図26(C)は携帯電話であり、本体2301、音声出力部2302、音声入力部2303、表示部2304、操作スイッチ2305、アンテナ2306等を含む。本発明により作製される表示装置を表示部2304に適用することで、本発明を用いると、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができ、高性能化、かつ高信頼性化が可能となる。
図26(D)はであり、本体2401、表示部2402、筐体2403、外部接続ポート2404、リモコン受信部2405、受像部2406、バッテリー2407、音声入力部2408、接眼部2409、操作キー2410等を含む。本発明は、表示部2402に適用することができる。本発明により作製される表示装置を表示部2302に適用することで、本発明を用いると、配線層の膜厚やサイズも比較的容易に制御することができ、用途に適した配線層を作製することができ、高性能化、かつ高信頼性化が可能となる。本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態14)
本発明によりプロセッサチップ(無線チップ、無線プロセッサ、無線メモリ、無線タグともよぶ)として機能する半導体装置を形成することができる。本発明の半導体装置の用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。
紙幣、硬貨とは、市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するもの(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指し、プロセッサチップ190を設けることができる(図30(A)参照)。証書類とは、運転免許証、住民票等を指し、プロセッサチップ191を設けることができる(図30(B)参照)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指し、プロセッサチップ197を設けることができる(図30(C)参照)。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギフト券等を指す。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指し、プロセッサチップ193を設けることができる(図30(D)参照)。書籍類とは、書物、本等を指し、プロセッサチップ194を設けることができる(図30(E)参照)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指、プロセッサチップ195を設けることができる(図30(F)参照)。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指し、プロセッサチップ196を設けることができる(図30(G)参照)。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等にプロセッサチップを設けることにより、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、電子機器等にプロセッサチップを設けることにより、検品システムやレンタル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等にプロセッサチップを設けることにより、偽造や盗難の防止、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。プロセッサチップの設け方としては、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして設ける。例えば、本ならば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりするとよい。
また、本発明より形成することが可能なプロセッサチップを、物の管理や流通のシステムに応用することで、システムの高機能化を図ることができる。例えば、荷札に設けられるプロセッサチップに記録された情報を、ベルトコンベアの脇に設けられたリーダライタで読み取ることで、流通過程及び配達先等の情報が読み出され、商品の検品や荷物の分配を簡単に行うことができる。
本発明より形成することが可能なプロセッサチップの構造について図29を用いて説明する。プロセッサチップは、薄膜集積回路9303及びそれに接続されるアンテナ9304とで形成される。また、薄膜集積回路9303及びアンテナ9304は、カバー材9301、9302により挟持される。薄膜集積回路9303は、接着剤を用いてカバー材に接着してもよい。図29においては、薄膜集積回路9303の一方が、接着剤9320を介してカバー材9301に接着されている。
薄膜集積回路9303は、剥離工程により剥離してカバー材に設ける。本実施の形態における薄膜トランジスタは、逆スタガ型の薄膜トランジスタである。本実施の形態の薄膜トランジスタは、半導体層に光触媒機能を有する酸化物半導体を用いる。よって、半導体層が光触媒物質としても機能し、めっき触媒物質に対する触媒として機能し、めっき触媒物質を吸着する。本実施の形態では酸化物半導体として酸化亜鉛(ZnO)を用いる。半導体層9324a及び半導体層9324bをめっき触媒物質を含む溶液に浸漬しつつ、基板側より光照射を行う。半導体層9324a及び半導体層9324bは、基板側からの裏面露光により、露光領域9321a、露光領域9321b、露光領域9321c、露光領域9321dにおいて活性化し、その表面にめっき触媒物質を析出する。一方、光がゲート電極層によって遮断されるゲート電極層上の半導体層9324a、半導体層9324bの非露光領域9323a、非露光領域9323bは活性化しないため、その表面にめっき触媒物質は析出しない。めっき触媒物質が選択的に形成された半導体層9324a及び半導体層9324bを金属材料を含むめっき液に浸漬し、ソース電極層又はドレイン電極層9322a、ソース電極層又はドレイン電極層9322b、ソース電極層又はドレイン電極層9322c、ソース電極層又はドレイン電極層9322dを自己整合的に形成する。また、薄膜集積回路9303に用いられる半導体素子はこれに限定されず、例えば、TFTの他に、記憶素子、ダイオード、光電変換素子、抵抗素子、コイル、容量素子、インダクタなども用いることができる。
図29で示すように、薄膜集積回路9303のTFT上には層間絶縁膜9311が形成され、層間絶縁膜9311を介してTFTに接続するアンテナ9304が形成される。また、層間絶縁膜9311及びアンテナ9304上には、窒化珪素膜等からなるバリア膜9312が形成されている。
アンテナ9304は、金、銀、銅等の導電体を有する液滴を液滴吐出法により吐出し、乾燥焼成して形成する。液滴吐出法によりアンテナを形成することで、工程数の削減が可能であり、それに伴うコスト削減が可能である。
カバー材9301、9302は、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と、接着性合成樹脂フィルム(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどを用いることが好ましい。フィルムと被処理体とは、熱圧着により接着、貼り合わせ処理が行われる。フィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。
また、カバー材に紙、繊維、カーボングラファイト等の焼却無公害素材を用いることにより、使用済みプロセッサチップの焼却、又は裁断することが可能である。また、これらの材料を用いたプロセッサチップは、焼却しても有毒ガスを発生しないため、無公害である。
なお、図29では、接着剤9320を介してカバー材9301にプロセッサチップを設けているが、カバー材9301の代わりに、物品にプロセッサチップを貼付けて、使用しても良い。
(実施の形態15)
本発明の発光素子には本実施の形態では、本発明の発光素子に適用することのできる他の構成を、図34及び図35を用いて説明する。
エレクトロルミネセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。前者は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた電界発光層を有し、後者は、発光材料の薄膜からなる電界発光層を有している点に違いはあるが、高電界で加速された電子を必要とする点では共通である。なお、得られる発光のメカニズムとしては、ドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光と、金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光とがある。一般的に、分散型無機ELではドナー−アクセプター再結合型発光、薄膜型無機EL素子では局在型発光である場合が多い。
本発明で用いることのできる発光材料は、母体材料と発光中心となる不純物元素とで構成される。含有させる不純物元素を変化させることで、様々な色の発光を得ることができる。発光材料の作製方法としては、固相法や液相法(共沈法)などの様々な方法を用いることができる。また、噴霧熱分解法、複分解法、プレカーサーの熱分解反応による方法、逆ミセル法やこれらの方法と高温焼成を組み合わせた方法、凍結乾燥法などの液相法なども用いることができる。
固相法は、母体材料と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を秤量し、乳鉢で混合、電気炉で加熱、焼成を行い反応させ、母体材料に不純物元素を含有させる方法である。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。比較的高温での焼成を必要とするが、簡単な方法であるため、生産性がよく大量生産に適している。
液相法(共沈法)は、母体材料又は母体材料を含む化合物と、不純物元素又は不純物元素を含む化合物を溶液中で反応させ、乾燥させた後、焼成を行う方法である。発光材料の粒子が均一に分布し、粒径が小さく低い焼成温度でも反応が進むことができる。
発光材料に用いる母体材料としては、硫化物、酸化物、窒化物を用いることができる。硫化物としては、例えば、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化イットリウム(Y2S3)、硫化ガリウム(Ga2S3)、硫化ストロンチウム(SrS)、硫化バリウム(BaS)等を用いることができる。また、酸化物としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)等を用いることができる。また、窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)等を用いることができる。さらに、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)等も用いることができ、硫化カルシウム−ガリウム(CaGa2S4)、硫化ストロンチウム−ガリウム(SrGa2S4)、硫化バリウム−ガリウム(BaGa2S4)、等の3元系の混晶であってもよい。
局在型発光の発光中心として、マンガン(Mn)、銅(Cu)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)などを用いることができる。なお、フッ素(F)、塩素(Cl)などのハロゲン元素が添加されていてもよい。上記ハロゲン元素は電荷補償として用いることができる。
一方、ドナー−アクセプター再結合型発光の発光中心として、ドナー準位を形成する第1の不純物元素及びアクセプター準位を形成する第2の不純物元素を含む発光材料を用いることができる。第1の不純物元素は、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第2の不純物元素としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)等を用いることができる。
ドナー−アクセプター再結合型発光の発光材料を固相法を用いて合成する場合、母体材料と、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物と、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物をそれぞれ秤量し、乳鉢で混合した後、電気炉で加熱、焼成を行う。母体材料としては、上述した母体材料を用いることができ、第1の不純物元素又は第1の不純物元素を含む化合物としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、硫化アルミニウム(Al2S3)等を用いることができ、第2の不純物元素又は第2の不純物元素を含む化合物としては、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、硫化銅(Cu2S)、硫化銀(Ag2S)等を用いることができる。焼成温度は、700〜1500℃が好ましい。温度が低すぎる場合は固相反応が進まず、温度が高すぎる場合は母体材料が分解してしまうからである。なお、粉末状態で焼成を行ってもよいが、ペレット状態で焼成を行うことが好ましい。
また、固相反応を利用する場合の不純物元素として、第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物を組み合わせて用いてもよい。この場合、不純物元素が拡散されやすく、固相反応が進みやすくなるため、均一な発光材料を得ることができる。さらに、余分な不純物元素が入らないため、純度の高い発光材料が得ることができる。第1の不純物元素と第2の不純物元素で構成される化合物としては、例えば、塩化銅(CuCl)、塩化銀(AgCl)等を用いることができる。
なお、これらの不純物元素の濃度は、母体材料に対して0.01〜10atom%であればよく、好ましくは0.05〜5atom%の範囲である。
薄膜型無機EL素子の場合、電界発光層は、上記発光材料を含む層であり、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着(EB蒸着)法等の真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長法(PVD)、有機金属CVD法、ハイドライド輸送減圧CVD法等の化学気相成長法(CVD)、原子層エピタキシ法(ALE)等を用いて形成することができる。
図34(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる薄膜型無機EL素子の一例を示す。図34(A)乃至(C)において、発光素子は、第1の電極層350、電界発光層351、第2の電極層353を含む。
図34(B)及び図34(C)に示す発光素子は、図34(A)の発光素子において、電極層と電界発光層間に絶縁層を設ける構造である。図34(B)に示す発光素子は、第1の電極層350と電界発光層352との間に絶縁層354を有し、図34(C)に示す発光素子は、第1の電極層350と電界発光層352との間に絶縁層354a、第2の電極層353と電界発光層352との間に絶縁層354bとを有している。このように絶縁層は電界発光層を狭持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
また、図34(B)では第1の電極層350に接するように絶縁層354が設けられているが、絶縁層と電界発光層の順番を逆にして、第2の電極層353に接するように絶縁層354を設けてもよい。
分散型無機EL素子の場合、粒子状の発光材料をバインダ中に分散させ膜状の電界発光層を形成する。発光材料の作製方法によって、十分に所望の大きさの粒子が得られない場合は、乳鉢等で粉砕などによって粒子状に加工すればよい。バインダとは、粒状の発光材料を分散した状態で固定し、電界発光層としての形状に保持するための物質である。発光材料は、バインダによって電界発光層中に均一に分散し固定される。
分散型無機EL素子の場合、電界発光層の形成方法は、選択的に電界発光層を形成できる液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷など)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは、10〜1000nmの範囲である。また、発光材料及びバインダを含む電界発光層において、発光材料の割合は50wt%以上80wt%以下とするよい。
図35(A)乃至(C)に発光素子として用いることのできる分散型無機EL素子の一例を示す。図35(A)における発光素子は、第1の電極層360、電界発光層362、第2の電極層363の積層構造を有し、電界発光層362中にバインダによって保持された発光材料361を含む。
本実施の形態に用いることのできるバインダとしては、絶縁材料を用いることができ、有機材料や無機材料を用いることができ、有機材料及び無機材料の混合材料を用いてもよい。有機絶縁材料としては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。また、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オキサゾール樹脂(ポリベンゾオキサゾール)等の樹脂材料を用いてもよい。これらの樹脂に、チタン酸バリウム(BaTiO3)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの高誘電率の微粒子を適度に混合して誘電率を調整することもできる。
バインダに含まれる無機絶縁材料としては、酸化珪素(SiOx)、窒化珪素(SiNx)、酸素及び窒素を含む珪素、窒化アルミニウム(AlN)、酸素及び窒素を含むアルミニウムまたは酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、BaTiO3、SrTiO3、チタン酸鉛(PbTiO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸鉛(PbNbO3)、酸化タンタル(Ta2O5)、タンタル酸バリウム(BaTa2O6)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、ZnSその他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。有機材料に、誘電率の高い無機材料を含ませる(添加等によって)ことによって、発光材料及びバインダよりなる電界発光層の誘電率をより制御することができ、より誘電率を大きくすることができる。
作製工程において、発光材料はバインダを含む溶液中に分散されるが本実施の形態に用いることのできるバインダを含む溶液の溶媒としては、バインダ材料が溶解し、電界発光層を形成する方法(各種ウエットプロセス)及び所望の膜厚に適した粘度の溶液を作製できるような溶媒を適宜選択すればよい。有機溶媒等を用いることができ、例えばバインダとしてシロキサン樹脂を用いる場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAともいう)、3−メトシキ−3メチル−1−ブタノール(MMBともいう)などを用いることができる。
図35(B)及び図35(C)に示す発光素子は、図35(A)の発光素子において、電極層と電界発光層間に絶縁層を設ける構造である。図35(B)に示す発光素子は、第1の電極層360と電界発光層362との間に絶縁層364を有し、図35(C)に示す発光素子は、第1の電極層360と電界発光層362との間に絶縁層364a、第2の電極層363と電界発光層362との間に絶縁層364bとを有している。このように絶縁層は電界発光層を狭持する一対の電極層のうち一方の間にのみ設けてもよいし、両方の間に設けてもよい。また絶縁層は単層でもよいし複数層からなる積層でもよい。
また、図35(B)では第1の電極層360に接するように絶縁層364が設けられているが、絶縁層と電界発光層の順番を逆にして、第2の電極層363に接するように絶縁層364を設けてもよい。
図34における絶縁層354、図35における絶縁層364のような絶縁層は、特に限定されることはないが、絶縁耐性が高く、緻密な膜質であることが好ましく、さらには、誘電率が高いことが好ましい。例えば、酸化シリコン(SiO2)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化ジルコニウム(ZrO2)等やこれらの混合膜又は2種以上の積層膜を用いることができる。これらの絶縁膜は、スパッタリング、蒸着、CVD等により成膜することができる。また、絶縁層はこれら絶縁材料の粒子をバインダ中に分散して成膜してもよい。バインダ材料は、電界発光層に含まれるバインダと同様な材料、方法を用いて形成すればよい。膜厚は特に限定されることはないが、好ましくは10〜1000nmの範囲である。
本実施の形態で示す発光素子は、電界発光層を狭持する一対の電極層間に電圧を印加することで発光が得られるが、直流駆動又は交流駆動のいずれにおいても動作することができる。