JP2009127798A - 基材一体型仮留めシール材およびシール部位を有する製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】シール材の断面形状の設計の自由度を大幅に向上させた基材一体型仮留めシール材と、該シール材を用いたシール部位を有する製品を提供する。
【解決手段】本発明にかかる基材一体型仮留めシール材は、組み付け前のシール材が仮留め用の板状支持基材の少なくとも端面に剥離容易に接合されていることを特徴とする。シール材は支持基材の端面のみに剥離容易に接合していてもよいし、シール材は支持基材の端面と該端面に連続する表裏いずれか一方の表面とに剥離容易に接合していてもよいし、シール材は支持基材の端面と該端面に連続する表裏両方の表面とに剥離容易に接合していてもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明にかかる基材一体型仮留めシール材は、組み付け前のシール材が仮留め用の板状支持基材の少なくとも端面に剥離容易に接合されていることを特徴とする。シール材は支持基材の端面のみに剥離容易に接合していてもよいし、シール材は支持基材の端面と該端面に連続する表裏いずれか一方の表面とに剥離容易に接合していてもよいし、シール材は支持基材の端面と該端面に連続する表裏両方の表面とに剥離容易に接合していてもよい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、防塵、防湿を要するシール部位を有する製品のシール部位にシール材を効率的に且つ精度良く取り付けることが可能な基材一体型仮留めシール材と、該基材一体型仮留めシール材を用いてシール材が取り付けられてなるシール部位を有する製品に関する。
電化製品や自動車伝送製品を始め、様々な産業分野において、防塵、防湿を目的としたシール部位を有する製品は数多く使用されている。このシール部位を有する製品としては、ハードディスク装置などの電子機器の筐体、自動車用制御回路を内蔵する回路ボックスなどの自動車伝送製品の筐体などがある。このようなシール部位を有する製品のシール部位には、ガスケットなどのシール材が取り付けられて、防塵性、防湿性が確保されている。例えば、ハードディスク装置では、その筐体の外縁部の内周面に沿ってリング状のシール材が取り付けられており、筐体外部からの湿気や塵、埃などのハードディスクドライブの故障の原因となる種々の危害要因から、内部を保護する重要な役割を果たしている。また、かかるシール材は、筐体内部で、稼働時に生じる様々な振動や底から伝播派生する音を、伝播途中で制振して防ぎ、筐体外部へ漏らさないようにする防音効果も同時に発揮している。
前記シール材による防護、制振、防音の特性は、シール材の材質や組み付け位置によっても大きく左右される。具体的な例を挙げると、取り付けられるシール材の位置精度ひとつをとっても、組み付け時の筐体本体に対する筐体カバーの支持状態が変化する。例えば、シール材が硬すぎる場合、組み付け圧締時に筐体カバーに変形が起こり、それによりシール性に不均一が生じて、局部的にシール性が損なわれ、外部からの異物の侵入を防護できず、また固体間伝播が大きくなり、振動および騒音を助長、増加を来たすことになる。
昨今の市場ニーズでは、ハードディスク装置の筐体(筐体本体と筐体カバーからなる)などのシール部位を有する製品は、小型のものが強く求められており、その数量も増加している。また、これらのシール部位を有する製品の小型化は、全体のサイズの縮小のみならず、デバイスを収納する筐体、特に筐体カバーの厚みが薄くなり、強度も低下してきている。
上述のようにダウンサイジングされたシール部位を有する製品では、その組付けにおいて、筐体(特に筐体カバー)の剛性が従来以上に小さい。そのため、シール材が硬いものであると、組み付け後の圧縮圧締時にシール材の剛性反発による筐体(特に筐体カバー)の変形の可能性があり、また、シール材の組み付け位置のずれが生じてしまうと、さらに筐体の変形可能性が大きくなる。筐体(特に筐体カバー)に変形が生じると、外部からの危害物の侵入防護が不十分となり、内部デバイスの故障を誘発するだけでなく、駆動時の騒音、振動の助長、増加を来たしてしまうことになる。
上述のようにシール材の硬度が高いために生じる問題点を解消するためには、シール材の硬度を低くして柔軟なものとすれば、良いことになる。しかし、柔軟なシール材は、当然、剛性に乏しくなり、例えば、リング状などの一定の静止形状に維持することが難しくなり、所定のシール部位に取り付ける際の操作性が極度に悪くなる。これに対して、シール材の硬度を柔軟とし、その断面形状にも幾分かの自由度をもたらすために、従来、筐体カバーに直接シール材を射出成形するインサート成形方法を用いたシール材取り付け方法(特許文献1)が提案されている。この方法では、筐体カバーを金型内にインサートし、その上に樹脂を直接射出成形してシール材を取り付けるため、成形金型が非常に高精度でなくてはならず、また、金型には金属(筐体カバー)との接触が頻繁に生じるため、金型の磨耗による成形精度など品質の管理においても問題点が多い。さらに、小型化された筐体カバーではシール材取り付け位置と筐体カバーの外縁部との隙間が極めて小さくなっており、それに伴って金型の精度、品質の維持といった点で大きな問題を抱えている。
これに対し、柔軟なために所定の静止形状に維持することが困難なシール材を剛性のある支持フィルム(支持基材)上に固着し、その後、シール材に直接固着している部分以外の支持フィルムを切断除去することにより、同一形状のシール材と支持フィルムとが積層されてなる基材一体型シール材を得る方法が提案されている(特許文献2)。この基材一体型シール材は、同一形状の支持基材によりシール材の静止形状が維持されるので、操作性は良好である。しかし、この基材一体型シール材は、剛性を確保するために一体化されている支持基材の分だけ柔軟なシール材の体積が少なくなることと、支持基材の硬度が高いこととにより、シール材全体の柔軟性が低減されるという改良すべき点がある。
前記特許文献1における問題点を解決するために、上記基材一体型シール材(特許文献2)とは別の解決策として、柔軟なために所定の静止形状に維持することが困難なシール材を剛性のあるフィルム(支持基材)上に仮留めすることにより形状を維持しておき、製品のシール部位にシール材を固定した後、形状維持に用いたフィルムを剥がし取る方法が提案されている(特許文献3)。この基材一体型仮留めシール材は、支持基材があるためにシール材自体の形状維持および操作性は良好である。
前記特許文献3に開示のガスケット材(基材一体型仮留めシール材)は、製品のシール部位にシール材を固定するまでは、剛性のある支持基材により所定の形状に維持されているので、組み付け作業が大変行いやすい。さらに、支持基材によりシール材の形状を維持できるため、シール材の硬度を任意に設定することができるので、組み付け先の筐体カバーに組み付け後の締め付けによる応力を低減することができ、筐体カバーの変形を誘発することがない。
本発明者らは、かかる優れた効果を有する基材一体型仮留めシール材の性能を更に向上させることを念頭に種々検討を重ねたところ、次のような改良すべき点があることを知るに到った。
シール材は、支持基材の一方の表面の端部上に仮留めされる。そして、シール材の露出面、すなわち、支持基材の仮留め部分の反対側の表面が、接着剤あるいは熱融着により、製品のシール部位に固着され、その後、支持基材が剥がされて、製品への組み付けが完了する。従って、シール材の支持基材側の側面も、その反対側の表面(製品固着面)も平坦面である必要がある。そのため、シール材の断面形状は、正方形、長方形、台形などの矩形形状に限定される。シール材の硬度は、その材質と断面形状とにより制御することができるが、断面形状は矩形に限定されてしまうため、シール材の硬度制御は、材質調整に依存せざるを得ず、好適な硬度への制御自由度の向上が望めない。例えば、従来のo−リングなどでは、断面が円形となっている。これは、シール材自体の強度を高めることができる上に、同じ硬度の場合でも、断面矩形形状のシール材に比べて、形状的にシール部位への接触面積を少なくでき、よりシール性を向上できるからである。このような断面円形状を始めとした、シール部位への接触面積を制御可能な断面形状を、基材一体型仮留めシール材のシール材に実現することができれば、更にシール性に優れ、組み付け対象である筐体への応力負荷の少ない基材一体型仮留めシール材を提供することが可能となる。
シール材は、支持基材の一方の表面の端部上に仮留めされる。そして、シール材の露出面、すなわち、支持基材の仮留め部分の反対側の表面が、接着剤あるいは熱融着により、製品のシール部位に固着され、その後、支持基材が剥がされて、製品への組み付けが完了する。従って、シール材の支持基材側の側面も、その反対側の表面(製品固着面)も平坦面である必要がある。そのため、シール材の断面形状は、正方形、長方形、台形などの矩形形状に限定される。シール材の硬度は、その材質と断面形状とにより制御することができるが、断面形状は矩形に限定されてしまうため、シール材の硬度制御は、材質調整に依存せざるを得ず、好適な硬度への制御自由度の向上が望めない。例えば、従来のo−リングなどでは、断面が円形となっている。これは、シール材自体の強度を高めることができる上に、同じ硬度の場合でも、断面矩形形状のシール材に比べて、形状的にシール部位への接触面積を少なくでき、よりシール性を向上できるからである。このような断面円形状を始めとした、シール部位への接触面積を制御可能な断面形状を、基材一体型仮留めシール材のシール材に実現することができれば、更にシール性に優れ、組み付け対象である筐体への応力負荷の少ない基材一体型仮留めシール材を提供することが可能となる。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたもので、その課題は、シール材の断面形状の設計の自由度を大幅に向上させた基材一体型仮留めシール材と、該シール材を用いたシール部位を有する製品を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明にかかる基材一体型仮留めシール材は、組み付け前のシール材が仮留め用の板状支持基材の少なくとも端面に剥離容易に接合されていることを特徴とする。
前記構成の基材一体型仮留めシール材において、前記シール材が前記支持基材の端面のみに剥離容易に接合していてもよいし、前記シール材が前記支持基材の端面と該端面に連続する表裏いずれか一方の表面とに剥離容易に接合していてもよいし、前記シール材が前記支持基材の端面と該端面に連続する表裏両方の表面とに剥離容易に接合していてもよい。なお、ここでいう支持基材の端面とは、支持基材の外周の端面である場合と、支持基材の内側が切り取られることにより形成された内周の端面である場合がある。
前記構成の基材一体型仮留めシール材において、前記シール材の断面形状が前記支持部材の平面と直交する方向に段差を有する異形形状であってもよい。また、前記シール材の表面の少なくとも一部に長手方向に連続した曲面が形成されていてもよい。
前記シール材がリング状の高分子成形品であり、その内周面または外周面が前記支持基材の少なくとも端面に剥離容易に接合されていてもよい。
前記シール材がその成形時に前記支持基材の少なくとも端面に仮留めされたものであってもよい。
前記シール材の前記支持基材への仮留めは、シール材の長手方向に連続的に行われても良いし、間欠的に行われても良い。
前記構成の基材一体型仮留めシール材は、前記シール材の材料として熱可塑性エラストマー組成物を用い、射出成形によりシール材の成形と同時に支持基材に仮留めしたものであっても良い。
前記支持基材としては、厚さ5〜1500μmでかつ曲げ剛性が100MPa以上の板状部材であることが、好ましい。また、前記支持基材としては、金属、セラミック、有機高分子のいずれか又はそれらの複合材から構成することができる。
本発明にかかるシール部位を有する製品は、前記いずれかの基材一体型仮留めシール材のシール材がその支持基材が剥離された状態でシール部位に取り付けられていることを特徴とする。
本発明にかかるシール部位を有する製品としては、内部にハードディスクドライブを収納するハードディスク装置の筐体や、内部に自動車部品の制御用回路基板を収納する自動車用伝送製品の筐体が、好ましい適用例である。
本発明にかかる基材一体型仮留めシール材は、柔軟で有るために一定の静止形状に維持することが難しいシール材を支持基材に仮留めすることより容易に形状を維持することができ、製品のシール部位への組み付け作業が極めて容易である。また、製品のシール部位への固着が完了した後の支持基材の剥離も容易である。しかも、シール材の断面構造を自由に変更可能であり、形状によるシール材の柔軟性の付与や、部分的な柔軟性の変更も可能である。したがって、組み付け対象である製品に適したシール性を実現することができる。
前述のように、本発明にかかる基材一体型仮留めシール材は、組み付け前のシール材が仮留め用の板状支持基材の少なくとも端面に剥離容易に接合されていることを特徴とする。以下、本発明の構成を詳しく説明する。
(シール材の支持基材への仮留め形状)
本発明の基材一体型仮留めシール材の特徴は、シール材が仮留め用の板状支持基材の少なくとも端面に剥離容易に接合されている点にある。シール材の支持基材の少なくとも端面への仮留めの形状として、まず、図1に示すように、シール材1が支持基材2の端面2aのみに剥離容易に接合する形状がある。また、他の仮留め形状として、図2に示すように、シール材1が支持基材2の端面2aと該端面2aに連続する一方の外周面2bとに剥離容易に接合する形状も可能である。さらに、他の仮留め形状として、図3に示すように、シール材1が支持基材2の端面2aと該端面2aに連続する両方の外周面2b、2cとに剥離容易に接合する形状も可能である。
本発明の基材一体型仮留めシール材の特徴は、シール材が仮留め用の板状支持基材の少なくとも端面に剥離容易に接合されている点にある。シール材の支持基材の少なくとも端面への仮留めの形状として、まず、図1に示すように、シール材1が支持基材2の端面2aのみに剥離容易に接合する形状がある。また、他の仮留め形状として、図2に示すように、シール材1が支持基材2の端面2aと該端面2aに連続する一方の外周面2bとに剥離容易に接合する形状も可能である。さらに、他の仮留め形状として、図3に示すように、シール材1が支持基材2の端面2aと該端面2aに連続する両方の外周面2b、2cとに剥離容易に接合する形状も可能である。
図1〜図3に示すように少なくとも支持基材2の端面2aにシール材1を仮留めする形状を採用することにより、製品のシール部位(不図示)へ固定するシール材1の固着面1aとその反対側の表面1bとをともに自由面とすることができる。その結果、一方の固着面1aは製品のシール部位への接着あるいは融着を好適にするためにシール部位の面形状に合致する面形状(通常、平坦面)にせざるを得なくとも、反対側の表面1bは任意の表面形状に加工することが可能となる。任意の表面形状の選択基準としては、筐体カバーを取り付けて圧締した場合に筐体カバーに変形を起こさずに必要なシール性を得るだけの柔軟性を確保できる形状であることである。図示の例では、反対側の表面は、断面ほぼ半円状の曲面に形成されている。これによって、形状選択によるシール材1の硬度制御が可能となる。
図1〜図3に示すように少なくとも支持基材2の端面2aに仮留めする際の仮留め接合強度は、シール材1から支持基材2を剥離する時の剥離強度が1kg/cm2以下となるように調整することが好ましい。この接合強度の調整は、成形温度や、支持基材2の表面処理の程度を調節することにより行うことの他、シール材1と支持基材2との接合面積を調節することによっても可能である。
(基材一体型仮留めシール材の射出成形)
図2に示すように、予め得られた所定形状の支持基材(例えば、熱可塑性樹脂フィルム)2を、固定側金型3と可動側金型4とからなる金型内に挿入する。次いで、この支持基材2の端面に位置する異形キャビティ5内に、ガスケット原料である熱可塑性エラストマーを射出成形機100により注入して、異形形状のシール材1を成形すると同時に、少なくとも支持基材2の端面2aに剥離容易に接合(仮留め)する。成形後、金型3,4から基材一体型仮留めシール材を脱型する。
図2に示すように、予め得られた所定形状の支持基材(例えば、熱可塑性樹脂フィルム)2を、固定側金型3と可動側金型4とからなる金型内に挿入する。次いで、この支持基材2の端面に位置する異形キャビティ5内に、ガスケット原料である熱可塑性エラストマーを射出成形機100により注入して、異形形状のシール材1を成形すると同時に、少なくとも支持基材2の端面2aに剥離容易に接合(仮留め)する。成形後、金型3,4から基材一体型仮留めシール材を脱型する。
支持基材2が例えば熱可塑性樹脂フィルムである場合は、フィルムが溶融樹脂で溶融しないようにフィルムの接する金型は比較的低温に設定しておくことで、シート材とフィルム(支持基材)は弱く接着し、しかも剥離容易となる。支持基材2としてポリプロピレン・フィルムを用いる場合は、型温は10℃〜60℃程度で、熱可塑性エラストマーはシリンダー温度で180℃〜230℃が好ましい。
金型内に載置した支持基材2に対し、シール材1は2個ないし4個の複数取りが可能である。
シール材1を発泡体構造とすることも可能であり、発泡体構造のシール材を射出成形で成形するには、製品の肉厚により発泡に適した組成と発泡剤を選択する必要がある。一般的に、肉厚が薄くなる場合は、窒素系の発泡剤を使うのが良く、比較的厚くなる場合では、炭酸ガス系の発泡剤が適用できる。また、射出成形時に射出速度を遅くすることや、金型温度を低くすることにより、スキンが厚い発泡体を作ることができる。スキン層が厚い方がガスケット自体のシール性能は高くなる。金型内に樹脂を射出した後、型締め圧を低下する方法、あるいは射出後あるいは射出中に金型キャビティーのクリアランスを広げることは、発泡を促進する方法として好ましい。
(支持基材)
本発明で使用する支持基材としては、厚さ5〜1500μmでかつ曲げ剛性が100MPa以上の板状部材であることが、好ましい。かかる支持基材としては、金属、セラミック、有機高分子のいずれか又はそれらの複合材から構成することができる。射出成形時の取り扱い性からは熱可塑性樹脂フィルムが好ましい。
本発明で使用する支持基材としては、厚さ5〜1500μmでかつ曲げ剛性が100MPa以上の板状部材であることが、好ましい。かかる支持基材としては、金属、セラミック、有機高分子のいずれか又はそれらの複合材から構成することができる。射出成形時の取り扱い性からは熱可塑性樹脂フィルムが好ましい。
本発明で使用する支持基材は、製品のシール部位に組み付け後のシール材の内周形状と同形状でほぼ同寸法に成形されて使用に供される。製品のシール部位が筐体などの製品の内周にではなく、外周部分に形成されている場合もある。その場合には、支持基材は、製品の外周にほぼ合致する内周を有するように成形される。そして、その場合では、支持基材の内周の端面にシール材が仮留めされることになる。
(支持基材用の樹脂フィルムの種類)
支持基材として使用に適した樹脂フィルムは熱可塑性樹脂からなるもので、用いるシール材の原料との相性で選択する。フィルムの融点は150℃以上が射出成形時に変形や融着を防止出来る点で好ましい。
支持基材として使用に適した樹脂フィルムは熱可塑性樹脂からなるもので、用いるシール材の原料との相性で選択する。フィルムの融点は150℃以上が射出成形時に変形や融着を防止出来る点で好ましい。
シール材を支持する樹脂フィルムとシール材との間の接着力(見方を変えると、剥離容易性)は、製品のシール部位とシール材との間の接着力と比べて低い必要がある。この付着力は、金型からのシール材を脱型する時や、シール材を製品のシール部位へ位置決めする作業中に、シール材が支持フィルムから剥離してしまわない程度は必要である。この接着力(剥離容易性)の制御は、フィルムの種類と熱可塑性エラストマーの相性、射出条件を適切に選ぶことにより調整できる。
例えば、シール材の原料がオレフィン系エラストマーまたはオレフィン成分を含有するスチレン系エラストマーの場合は、支持フィルムとしてオレフィン系フィルムを選定するのが良い。シール材の原料に、特に融点が150℃以上の樹脂としてポリプロピレン系やポリメチルペンテン系樹脂を選定すると、射出成形での条件も広い範囲で設定でき、それによって適切な仮留め付着力をコントロールすることができる。
支持フィルムの剥離性を制御するため、フィルムは2層以上のものを用いてもよく、フィルム表面にコーティングなど剥離力調整の処理をしても良いが、これらは必須ではない。また、シール材に対する樹脂フィルムの剥離性を剥離しにくい方向に制御したい場合には、樹脂フィルムの表面をコロナ放電処理や紫外線照射処理等によって表面処理しても良い。
(シール材)
シール材は、熱可塑性エラストマーから構成することが好ましい。熱可塑性エラストマーとして、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー(オレフィン成分を含有)、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素ゴム系エラストマーが挙げられる。これらの中で水分の低透過性、耐酸性、耐アルカリ性、液体の透過性の低いことなどの特性を有していることからオレフィン系エラストマーとスチレン系エラストマーが好ましい。
シール材は、熱可塑性エラストマーから構成することが好ましい。熱可塑性エラストマーとして、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー(オレフィン成分を含有)、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素ゴム系エラストマーが挙げられる。これらの中で水分の低透過性、耐酸性、耐アルカリ性、液体の透過性の低いことなどの特性を有していることからオレフィン系エラストマーとスチレン系エラストマーが好ましい。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、分子中の大部分がオレフィン系炭化水素から成る樹脂で、オレフィン系共重合ゴムと結晶性オレフィン系プラスチックの混練反応によって得られるものや、オレフィン系モノマーの合成反応で得られるものが例示できる。
前記オレフィン系共重合ゴムとしては、エチレンとα-オレフィン(例えば、プロピレン)との共重合体や、それに非共役ジエン成分を共重合したものが好適に使用される。
前記結晶性オレフィンプラスチックとしては、プロピレンなどのα-オレフィンの重合体または/および共重合体が用いられる。この場合の混練反応は架橋剤や架橋助剤の存在下で行うことも出来る。
前記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、低い透湿性と復元性、射出成形での成形性がよくガスケット材料として好適である。
前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、水素添加したスチレン-ブタジエン共重合体やスチレン−イソプレン共重合体とオレフィン系樹脂などとを混練反応させて得られた樹脂である。前記スチレン-ブタジエンまたはスチレン−イソプレン共重合体としては、いわゆるSBSまたはSISブロック共重合体として市販されているものが例示できる。また、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーは、高温時の復元性がよく、スチレン系熱可塑性エラストマーは室温近辺の復元性が良いので、これらを組合せて用いても良い。
用いるエラストマー材料が発ガス分の多い材料の場合には、ベーキングといって高温にて熱処理する工程を設けて発ガス分を飛散しておく処置をとり得る。このベーキング工程は、原料の段階かガスケットを成形した後の段階で行うことが出来る。この場合、真空状態を併用してもよい。
発泡熱分解してガスを発生する熱分解型発泡剤を、熱可塑性エラストマーに配合することで、発泡体を製造できる。このような発泡剤としては、具体的には、アゾジカーボンアミド(ADCA)、ジエチルアゾカルボキレート、アゾジカルボン酸バリウム、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、3,3−ジスルホンヒドラシドフェニルスルホン酸、N,N’−ジニトロソペンタメテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジンなどの有機発泡剤、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムなどの無機発泡剤等が挙げられる。特に有機発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメテトラミン、トリヒドラジノトリアジンが好ましく、無機発泡剤としては、炭酸水素ナトリウムが好ましい。また、炭酸水素ナトリウムとクエン酸モノナトリウムおよびグリセリン脂肪酸エステルを混合させて用いてもよい。これらの発泡剤は、単独または複数の組合せ、またいわゆる分解助剤を併用して用いることができる。
本発明においては、熱分解型発泡剤による発泡に代えて、揮発性溶剤としてブタン類、ペンタン類や水等によって樹脂を発泡させることもできる。また、ガスそのものを発泡樹脂基材に分散あるいは含浸させることもでき、この場合、二酸化炭素ガスや窒素ガスが発泡剤として挙げられる。
炭酸水素ナトリウムと酸の反応で発生する炭酸ガスや、イソシアナート化合物と水により発生する炭酸ガスを利用することも出来る。硫酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの含水塩の高温での水分を発泡剤として利用する方法もある。
炭酸ガスを用いること、あるいは反応や分解して炭酸ガスを放出するような発泡剤は、厚めのスキンを形成しやすい傾向があり、窒素系発泡剤は、スキンが形成しにくい傾向がある。これらの発泡剤は、製品肉厚や求める発泡倍率、組成に応じて使い分けることが出来る。
(シール材の製品シール部位への取り付け)
得られた基材一体型仮留めシール材のシール材を製品のシール部位に取り付けるには、図1〜図3を参照して説明すると、シール材1の固着面(通常、平坦面)1aに接着剤を塗布して製品のシール部位に貼り付け、その後、支持基材2を剥離する。なお、接着剤は、固着面1aの露出面全面に塗布する必要はなく、シール材1が製品のシール面に確実に固定できる範囲で、可能な限り少量で済ますことが、好ましい。接着剤の種類はホットメルト系や反応型ホットメルト系が溶剤を含んでいないため好ましい。
得られた基材一体型仮留めシール材のシール材を製品のシール部位に取り付けるには、図1〜図3を参照して説明すると、シール材1の固着面(通常、平坦面)1aに接着剤を塗布して製品のシール部位に貼り付け、その後、支持基材2を剥離する。なお、接着剤は、固着面1aの露出面全面に塗布する必要はなく、シール材1が製品のシール面に確実に固定できる範囲で、可能な限り少量で済ますことが、好ましい。接着剤の種類はホットメルト系や反応型ホットメルト系が溶剤を含んでいないため好ましい。
接着剤の代わりに、シール材の素材が熱可塑性エラストマーであることを利用し、製品のシール部位に熱による融着法を適用してもよい。融着法では、製品のシール部位を加熱しておくか、シール材の表面を加熱しても良い。この方法によれば、接着剤を用いないで済むので簡便であり、発ガスの心配のないクリーンなシール材を提供できる。
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す実施例は本発明を好適に説明する例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
(実施例1)
図1に示す仮留め形状の基材一体型仮留めシール材を作成した。サンプル作製に用いたシール材の材料としては、以下に示す組成からなるスチレン系エラストマーを用いた。また、支持基材としては、100μm厚みの汎用の2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。図1に示す異形形状のシール材の固着面の寸法は1.5mm、高さ(厚み)寸法は1.5mmとした。
図1に示す仮留め形状の基材一体型仮留めシール材を作成した。サンプル作製に用いたシール材の材料としては、以下に示す組成からなるスチレン系エラストマーを用いた。また、支持基材としては、100μm厚みの汎用の2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。図1に示す異形形状のシール材の固着面の寸法は1.5mm、高さ(厚み)寸法は1.5mmとした。
(スチレン系エラストマー)
スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体「SIBS」100重量部、ブロックポリプロピレン「PPblock」5.5重量部と、エステルポリオール系のポリウレタン系熱可塑性エラストマーは「エステル系TPU」5.5重量部とから、スチレン系エラストマーを調製した。なお、これら各成分の具体的試料は、以下の通りである。
(SIBS)・・・(株)カネカ製「シブスター072T(商品名)」(JIS K7210 MFR 6g/10min以下 230℃ 2.16kg)
(PPblock)・・・(株)プライムポリマー製「J704UG(商品名)」(JIS K7210 MFR 5g/10min以下 230℃ 2.16kg)
(エステルTPU)・・・(株)クラレ製「クラミロンS−8165(商品名)」(JIS K7311 A硬度 65)
スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体「SIBS」100重量部、ブロックポリプロピレン「PPblock」5.5重量部と、エステルポリオール系のポリウレタン系熱可塑性エラストマーは「エステル系TPU」5.5重量部とから、スチレン系エラストマーを調製した。なお、これら各成分の具体的試料は、以下の通りである。
(SIBS)・・・(株)カネカ製「シブスター072T(商品名)」(JIS K7210 MFR 6g/10min以下 230℃ 2.16kg)
(PPblock)・・・(株)プライムポリマー製「J704UG(商品名)」(JIS K7210 MFR 5g/10min以下 230℃ 2.16kg)
(エステルTPU)・・・(株)クラレ製「クラミロンS−8165(商品名)」(JIS K7311 A硬度 65)
上記寸法のシール材を成形するためのキャビティを有する金型の可動金型と固定金型の間に所定形状および寸法に裁断したポリプロピレンフィルムを挿入し、金型を閉じた後、型締め力35トン、可塑化能力17kg/h、スクリュー径20mm、最大射出圧216MPa、射出率76cm3/sの射出成形機を用いて、シリンダ設定温度220℃、射出スピード250mm/秒、金型温度50℃の条件で、上記スチレン系エラストマーを金型内のキャビティに注入し、シール材の成形と同時に、ポリプロピレンフィルムの端面にシール材を仮留めした。成形後、基材一体型仮留めシール材を脱型して、取り出した。
実施例1の成形後のシール材1の形状は、図1に示すような異形形状である。そして、図5に示すように、ハードディスク装置の筐体カバー10上に接着剤層11を介して、その固着面(1a)を固着し、その後、支持基材2を剥離することにより筐体カバー10への組み付けを完了した。
(比較例1)
この比較例1は、特許文献3に記載のフィルム一体型仮留めガスケット材(基材一体型仮留めシール材)に相当する作成例である。すなわち、支持フィルムの一方の表面上にシール材を仮留めした形状の基材一体型仮留めシール材である。支持フィルムおよびシール材の各材料は、実施例と同様であり、射出成形の条件も同様とした。
この比較例1は、特許文献3に記載のフィルム一体型仮留めガスケット材(基材一体型仮留めシール材)に相当する作成例である。すなわち、支持フィルムの一方の表面上にシール材を仮留めした形状の基材一体型仮留めシール材である。支持フィルムおよびシール材の各材料は、実施例と同様であり、射出成形の条件も同様とした。
図6に示すように、支持フィルム22上に仮留めされたシール材21の形状は、底辺(1.5mm)、上辺(0.9mm)、高さ(1.5mm)の台形であった。図7に示すように、このシール材21の上面露出面21aを接着剤層11を介してハードディスク装置の筐体カバー10上に固着し、その後、支持基材22を剥離することにより筐体カバー10への組み付けを完了した。
ハードディスクの筐体カバーのシール部位10上に固着した後のシール材21の断面形状は、仮留め支持基材22から直接筐体カバーのシール部位10に転写したために、筐体カバーのシール部位10上のシール材21は逆台形となっている。
ハードディスクの筐体カバーのシール部位10上に固着した後のシール材21の断面形状は、仮留め支持基材22から直接筐体カバーのシール部位10に転写したために、筐体カバーのシール部位10上のシール材21は逆台形となっている。
(比較例2)
この比較例2では、比較例1と同様にして、図6に示す基材一体型仮留めシール材を得た後、支持フィルム22上のシール材21を、一旦、転写用治具(不図示)に転写し、この治具から接着剤層11を介して筐体カバーのシール部位10上にシール材21を転写した。
この比較例2では、比較例1と同様にして、図6に示す基材一体型仮留めシール材を得た後、支持フィルム22上のシール材21を、一旦、転写用治具(不図示)に転写し、この治具から接着剤層11を介して筐体カバーのシール部位10上にシール材21を転写した。
この比較例2では、シール材21を仮留め支持基材22から転写用治具に一旦転写した後、シール材21を治具から筐体カバーのシール部位10に固着したため、シール部位10上のシール材21は順台形となっている。
(比較例3)
この比較例3は、特許文献2に記載のフィルム一体型ガスケット材に相当する作成例である。すなわち、支持フィルムの一方の表面上にシール材を固着した後、シール材の形状に沿って支持フィルムを切断除去することにより得た、同一形状の支持フィルムとシール材との積層体とからなるシール材の例である。シール材の材料は、実施例と同様であるが、支持フィルムには、シール材の接合強度を上げるために、汎用の2軸延伸ポリプロピレン・フィルムを用いた。
この比較例3は、特許文献2に記載のフィルム一体型ガスケット材に相当する作成例である。すなわち、支持フィルムの一方の表面上にシール材を固着した後、シール材の形状に沿って支持フィルムを切断除去することにより得た、同一形状の支持フィルムとシール材との積層体とからなるシール材の例である。シール材の材料は、実施例と同様であるが、支持フィルムには、シール材の接合強度を上げるために、汎用の2軸延伸ポリプロピレン・フィルムを用いた。
図9に示すように、成形後のシール材31はシール材31の底面と同一形状に裁断された支持フィルム32と一体となっており、シール材31と支持フィルム32とからなる基材一体型シール材の全体形状は比較例1及び2のシール材21と同形同寸法の台形である。したがって、シール材31そのものの容積は、支持フィルム32に相当する分だけ、比較例1及び2のシール材21より少なくなっている。この比較例3の支持基材一体型のシール材31は、図10に示すように底面の支持基材32側が接着剤層11を介して筐体カバーのシール部位10に固着される。筐体カバーのシール部位10上の複合シール材は図に示すように順台形となっている。
(実施例及び比較例の評価)
得られた実施例1、比較例1〜3のサンプル(各10サンプル)について、筐体カバーのシール部位への接着性、支持フィルムの剥離性、シール材の圧縮特性を評価した。
得られた実施例1、比較例1〜3のサンプル(各10サンプル)について、筐体カバーのシール部位への接着性、支持フィルムの剥離性、シール材の圧縮特性を評価した。
(断面形状自由度)
実施例1では、圧締面を自由な形状にすることが可能である。接着面は支持基材の形状に合わせることができる。比較例1では圧締面が支持基材との接合面となり、これは平面でなくてはならなく、また接着面は支持基材の形状に合わせられる。比較例2および3では圧締面は自由な形状とすることができるものの、接着面は支持基材のために平面以外は難しい。そのため、接着面および圧締面を自由な若しくは目的通りの形状に成形可能な場合を○、片面のみ可能な場合を△、両面制約を受ける場合を×として、評価した。
実施例1では、圧締面を自由な形状にすることが可能である。接着面は支持基材の形状に合わせることができる。比較例1では圧締面が支持基材との接合面となり、これは平面でなくてはならなく、また接着面は支持基材の形状に合わせられる。比較例2および3では圧締面は自由な形状とすることができるものの、接着面は支持基材のために平面以外は難しい。そのため、接着面および圧締面を自由な若しくは目的通りの形状に成形可能な場合を○、片面のみ可能な場合を△、両面制約を受ける場合を×として、評価した。
(成形性)
成形性は、射出成形による単純な2枚型で成形可能なものを○、アンダーカット(逆テーパー)などが一部あり成形がやや困難な場合を△、複雑なスライド金型などを用いなければならない場合を×として、評価した。
成形性は、射出成形による単純な2枚型で成形可能なものを○、アンダーカット(逆テーパー)などが一部あり成形がやや困難な場合を△、複雑なスライド金型などを用いなければならない場合を×として、評価した。
(接着性及び剥離性)
比較例1では、組付けの際、接着に用いる面積が小さいことから、接着の歩留まりが良好ではなかった。また接着後の支持体の除去において、一部サンプルにおいてフィルムの一部がシール材に残るという状況が見られた。
比較例2では、シール材を治具に一旦転写する際、一部サンプルにおいて、転写位置のずれが確認され、そのために、筐体カバーのシール部位へのシール材の組付け位置精度が悪化した。また、比較例1と同様、一部サンプルにおいてフィルムの一部がシール材に残るという状況が見られた。
比較例1では、組付けの際、接着に用いる面積が小さいことから、接着の歩留まりが良好ではなかった。また接着後の支持体の除去において、一部サンプルにおいてフィルムの一部がシール材に残るという状況が見られた。
比較例2では、シール材を治具に一旦転写する際、一部サンプルにおいて、転写位置のずれが確認され、そのために、筐体カバーのシール部位へのシール材の組付け位置精度が悪化した。また、比較例1と同様、一部サンプルにおいてフィルムの一部がシール材に残るという状況が見られた。
(圧縮特性)
実施例1、比較例1および3で得られた各シール材について、50%圧縮応力測定を行った。測定には、インストロン社製の圧縮応力測定装置(商品名「55R4204」)を用い、クロスヘッドスピード1mm/秒で行った。その結果をプロットしたグラフを図11として示した。
図11のグラフに見るように、比較例1のシール材は、形状的な問題から応力が大きくなっている。また、比較例3のシール材では、硬い支持フィルムが一体化しているので、比較例1よりさらに応力は大きくなっている。これら比較例のシール材と比較して、実施例1のシール材では、30%圧縮で31%、50%圧縮で21%も応力が小さくなっており、形状による柔軟性が十分に発揮されていることが確認できる。
実施例1、比較例1および3で得られた各シール材について、50%圧縮応力測定を行った。測定には、インストロン社製の圧縮応力測定装置(商品名「55R4204」)を用い、クロスヘッドスピード1mm/秒で行った。その結果をプロットしたグラフを図11として示した。
図11のグラフに見るように、比較例1のシール材は、形状的な問題から応力が大きくなっている。また、比較例3のシール材では、硬い支持フィルムが一体化しているので、比較例1よりさらに応力は大きくなっている。これら比較例のシール材と比較して、実施例1のシール材では、30%圧縮で31%、50%圧縮で21%も応力が小さくなっており、形状による柔軟性が十分に発揮されていることが確認できる。
前記評価結果を下記(表1)に示す。各評価は、それぞれサンプル数10に対して行い、次の3段階評価にて判断した。すなわち、合格数が90%以上となった場合を○、同様に合格数が70%以上90%未満となった場合を△、合格数が70%未満となった場合を×として示した。
(実施例2,3)
実施例1と同様にして、図2(実施例2)及び図3(実施例3)の仮留め形状となるように、基材一体型仮留めシール材を作成した。得られた各サンプルについて、上記評価項目と同じ評価を行った。その結果いずれの特性も実施例1のサンプルと同様の結果となり、十分な特性を得られ、また圧縮応力においても実施例1と同等またはそれ以上の柔軟性を発揮していることが確認された。
実施例1と同様にして、図2(実施例2)及び図3(実施例3)の仮留め形状となるように、基材一体型仮留めシール材を作成した。得られた各サンプルについて、上記評価項目と同じ評価を行った。その結果いずれの特性も実施例1のサンプルと同様の結果となり、十分な特性を得られ、また圧縮応力においても実施例1と同等またはそれ以上の柔軟性を発揮していることが確認された。
以上詳述したとおり、本発明にかかる基材一体型仮留めシール材は、(1)生産性のよい射出成形法で生産でき、(2)シール材の材料ロスを極めて小さくすることができ、(3)支持基材の端面に仮留めすることで、シール材の断面形状を自由に調整可能であり、高い柔軟性を付与することが可能であり、(4)支持基材にシール材が仮留めされているため、静止形状を良好な状態で維持でき、組み付け時の操作性が極めてよく、(5)組み付け時の位置決めも容易で且つ高精度に行うことができ、(6)シール材の生産、搬送および組み付けの一連の作業を高速に自動化できるという顕著な効果を有する。したがって、本発明にかかる基材一体型仮留めシール材を用いることにより、シール部位を有する製品のシール性の信頼性を高め、且つ製品の製造コストの低減化も可能とすることができ、シール材に関連する産業において非常に有用である。
1 シール材
1a 固着面
1b シール材の固着面の反対側の表面
2 仮留め用支持基材
2a 仮留め用支持基材の端面
2b 仮留め用支持基材の端面に連続する一方の外周面
3 固定側金型
4 可動側金型
5 キャビティ
10 筐体カバーのシール部位(製品のシール部位)
11 接着剤層
21 シール材
22 仮留め用支持基材
31 シール材
32 固着用支持基材
1a 固着面
1b シール材の固着面の反対側の表面
2 仮留め用支持基材
2a 仮留め用支持基材の端面
2b 仮留め用支持基材の端面に連続する一方の外周面
3 固定側金型
4 可動側金型
5 キャビティ
10 筐体カバーのシール部位(製品のシール部位)
11 接着剤層
21 シール材
22 仮留め用支持基材
31 シール材
32 固着用支持基材
Claims (14)
- 組み付け前のシール材が仮留め用の板状支持基材の少なくとも端面に剥離容易に接合されていることを特徴とする基材一体型仮留めシール材。
- 前記シール材が前記支持基材の端面と該端面に連続する表裏いずれか一方の表面とに剥離容易に接合していることを特徴とする請求項1に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 前記シール材が前記支持基材の端面と該端面に連続する表裏両方の表面とに剥離容易に接合していることを特徴とする請求項1に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 前記シール材の断面形状が前記支持部材の平面と直交する方向に段差を有する異形形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 前記シール材の表面の少なくとも一部に長手方向に連続した曲面が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 前記シール材がリング状の高分子成形品であり、その内周面または外周面が前記支持基材の少なくとも端面に剥離容易に接合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 前記シール材がその成形時に前記支持基材の少なくとも端面に仮留めされたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 前記シール材の前記支持基材への仮留めは、シール材の長手方向に連続的または間欠的に行われていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 前記シール材の材料が熱可塑性エラストマー組成物であり、前記成形が射出成形であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 前記支持基材が厚さ5〜1500μmでかつ曲げ剛性が100MPa以上の板状部材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 前記支持基材の材質が、金属、セラミック、有機高分子のいずれか又はそれらの複合材からなることを特徴とする請求項10に記載の基材一体型仮留めシール材。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の基材一体型仮留めシール材のシール材がその支持基材が剥離された状態でシール部位に取り付けられていることを特徴とするシール部位を有する製品。
- 内部にハードディスクドライブを収納するハードディスク装置の筐体であることを特徴とする請求項12に記載のシール部位を有する製品。
- 内部に自動車部品の制御用回路基板を収納する自動車用伝送製品の筐体であることを特徴とする請求項12に記載のシール部位を有する製品。
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WO2018061831A1 (ja) * | 2016-09-27 | 2018-04-05 | Nok株式会社 | ガスケット及びその装着方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04341986A (ja) * | 1991-05-20 | 1992-11-27 | Kokoku Intetsuku Kk | ハードディスクドライブユニット用ガスケットおよび同ガスケットの製造方法 |
JP2000293979A (ja) * | 1999-04-05 | 2000-10-20 | Sanden Shoji Kk | ガスケット |
JP2003056704A (ja) * | 2001-03-09 | 2003-02-26 | Nok Corp | ガスケット |
-
2007
- 2007-11-27 JP JP2007305620A patent/JP2009127798A/ja active Pending
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2008
- 2008-11-26 WO PCT/JP2008/071468 patent/WO2009069667A1/ja active Application Filing
Patent Citations (3)
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