JP2009126035A - 被覆ポリエステルフィルム、およびそれを用いたハードコートフィルム - Google Patents

被覆ポリエステルフィルム、およびそれを用いたハードコートフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率のハードコート層を積層した場合に干渉斑が目立たず、かつ、密着性に優れるハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】共重合ポリエステル樹脂はナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分が全酸成分中50モル%以上、かつビスフェノールA骨格を有するグリコール成分が全グリコール成分中50モル%以上共重合され、さらに数平均分子量1000〜6000のポリアルキレングリコールが共重合されている共重合ポリエステル樹脂を主成分とする被覆層が積層された被覆ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ディスプレイ用部材に主として用いられる、易接着性基材フィルム及びこれを用いたハードコートフィルムに関する。詳しくは、外光の写り込み、ぎらつき、虹彩状色彩等を抑制することができ、かつ、ハードコート層との密着性に優れるハードコートフィルムに関する。
一般に、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等のディスプレイの部材に用いられるハードコートフィルムは、熱可塑性樹脂フィルムとハードコート(HC)層が、易接着層を介して積層されている。さらに、ディスプレイ用光学機能フィルムは、一般には、機能の異なるフィルムを、粘着剤層を介して貼り合わせて使用される。しかしながら、大型のフラットディスプレイは、近年の低価格化の市場からの要求が大きくなっている。そのため、ディスプレイ用部材においても、1枚のハードコートフィルムに他の光学機能層を積層した複合フィルムの開発が行われている。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)では、ハードコートフィルムに、外光の映り込みを防止する反射防止層(AR層)、光の集光や拡散に用いられるプリズム状レンズ層、輝度を向上させる光拡散層などの光学機能層を積層した複合フィルムが挙げられる。
ハードコートフィルムの基材となる熱可塑性樹脂フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、アクリル、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、環状ポリオレフィン等からなる透明フィルムが用いられている。これらの基材フィルムの中でも、特に、二軸配向ポリエステルフィルムは、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性の点から、各種光学機能性フィルムの熱可塑性樹脂フィルムとして広く使用されている。
一般に、二軸配向ポリエステルフィルムや二軸配向ポリアミドフィルムのような二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの場合、フィルム表面は高度に結晶配向しているため、各種塗料、接着剤、インキなどとの密着性に乏しいという欠点がある。このため、従来から二軸配向熱可塑性樹脂フィルム表面に種々の方法で易密着性を付与する方法が提案されてきた。
また、ポリオレフィンフィルムのような極性基を有しないフィルムでは、各種塗料、接着剤、インキなどとの密着性が非常に乏しいため、事前にコロナ放電処理、火焔処理などの物理的処理や化学処理を行った後、フィルム表面に種々の方法で易密着性を付与する方法が提案されてきた。
例えば、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルなどの樹脂を含む易接着層を、塗布法によって熱可塑性樹脂フィルムの表面に設けることにより、熱可塑性樹脂フィルムに易密着性を付与する方法が一般的に知られている。この塗布法の中でも、結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィルムに、直接または必要に応じてコロナ放電処理を施してから、前記の樹脂の溶液または樹脂を分散媒で分散させた分散体を含有する水性塗布液を基材フィルムに塗布し、乾燥後、少なくとも一軸方向に延伸し、次いで熱処理を施して、熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向を完了させる方法(いわゆる、インラインコート法)や、熱可塑性樹脂フィルムの製造後、該フィルムに水系または溶剤系の塗布液を塗布後、乾燥する方法(いわゆる、オフラインコート法)が工業的に広く実施されている。
さらに近年、LCDに代表されるディスプレイは、年々低コスト化が進み、その部材として用いられる光学機能性フィルムまたは光学機能性シートの製造工程において、生産速度の高速化が実施されている。このような製造工程の高速化にともない、ハードコート層、拡散層、プリズム層のような機能層と基材フィルムとの界面に、硬化収縮にともなう応力がより生じやすくなっている。そのため、ディスプレイを製造するために、光学機能性フィルムまたは光学機能性シートを特定のサイズにカッティングする際に、前記の界面における密着性が不十分であると、端部が特に剥がれやすくなるという問題がおこってきた。この傾向は、ロール状に巻き取ったフィルムの大型化や、製造工程における生産速度の高速化が進むほど、カッティング時の衝撃による界面の剥離の影響はより顕著になり、密着性向上の要求がますます強まってきている。さらに近年、光学機能部材は、導光板との密着を防ぐ、透過率を高める、カールを低減する等の目的で両面にハードコート層を設ける場合や、レンズ層、光拡散層等光学機能層と反対側の面にもハードコート層を積層する場合が多くなってきている。
これらの透明プラスチックフィルム基材を用いて光学機能性フィルムを形成する場合、多くは基材上に薄膜の易接着層等を介して数μmから50μm程度の光学機能性層、例えば、ハードコート層などの硬化層が形成される。
一方、熱可塑性樹脂フィルムが二軸配向ポリエステルフィルムの場合、屈折率(面方向)は1.62〜1.66であるのに対し、例えばアクリル樹脂等で形成されるハードコート層の屈折率はその上に形成されるAR層(アンチリフレクション層)の特性によって調整されるが、一般に1.53を中心に1.48〜1.56のものが多く用いられる。また、ハードコート層とポリエステルフィルムの中間に位置する易接着層は、一般にアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等、あるいはそれらを組み合わせてなる樹脂を主成分として形成される。なお、この樹脂組成物層の屈折率は通常1.49〜1.54である。
このため、二軸配向ポリエステルフィルムと易接着層との屈折率差により、この界面に光の反射がおこり、ハードコート表面の反射光との干渉で干渉斑(虹彩状色彩)が発生する。そのため、ハードコート上に反射防止層(AR層)や防汚層を形成した後においても、貼合した画像表示装置などの物品の視認性が悪化する場合や高級感が損なう場合がある。
特に、3波長蛍光灯下では、輝線スペクトル成分の比率が高いため干渉斑が強調される。近年、3波長蛍光灯の普及が一般家庭で急激に進んでおり、それだけ干渉斑の問題が重要となってきている。そのため、干渉斑が問題とされる用途では、二軸配向ポリエステルフィルムを基材とした機能性プラスチックフィルムの使用は著しく制限される。
特許文献1では2,6―ナフタレンジカルボン酸、スルホン酸塩の基を有する芳香族ジカルボン酸及び他の芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール及びビスフェノールAのポリプロピレンオキサイド付加物を含む他のグリコール成分とから構成される共重合ポリエステルを主成分とする易接着層を形成させた易接着性ポリエステルフィルムが例示されている。しかしながら近年要求される密着性を有するものではなかった。
本出願人は、特許文献2において、二軸配向ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上に、特異な相分離構造を有する共重合ポリエステルとポリウレタン、および適度な粒径の無機粒子を添加した樹脂組成物層を設け、光学用基材フィルムとして極めて重要な特性である透明性を維持しつつ、光学的機能層との密着性が高度に優れた積層ポリエステルフィルムを提案し、樹脂組成物層の厚さ20〜120nmの例を提案した。しかし、ハードコート層を積層した場合、優れた密着性を有するものの、前記干渉斑は目立つものであった。
特許第2856993号明細書 特許第3900191号明細書
本発明の目的は、高屈折率のハードコート層を積層した場合に干渉斑が目立たず、かつ、密着性に優れるハードコートフィルムを提供することにある。
前記の課題は、以下の解決手段により達成することができる。
すなわち、第1の発明は、少なくとも片面にナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分とビスフェノールA骨格を有するグリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステル樹脂を主成分とする被覆層が積層されたポリエステルフィルムであって、該共重合ポリエステル樹脂はナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分が全酸成分中50モル%以上、かつビスフェノールA骨格を有するグリコール成分が全グリコール成分中50モル%以上共重合され、さらに数平均分子量1000〜6000のポリアルキレングリコールが共重合されている共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする被覆ポリエステルフィルムである。
第2の発明は、ポリアルキレングリコールが全グリコール成分中0.5〜5モル%の範囲で共重合されている前記被覆ポリエステルフィルムである。
第3の発明は、共重合ポリエステル樹脂がさらに5−ナトリウムスルホイソフタル酸が共重合されている前記被覆ポリエステルフィルムである。
第4の発明は、被覆層がエポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、オキサゾリン系から選ばれた少なくとも1種の架橋剤を含むことを特徴とする前記被覆ポリエステルフィルム。
第5の発明は、前記被覆ポリエステルフィルムの少なくとも片面の被覆層上にハードコート層が積層されたハードコートフィルムである。
本発明では、基材フィルムとハードコート層との間に中間層に比較的屈折率が高く、且つ柔軟性の高い易接着性の被覆層を有することによって、実用的な密着性と干渉斑の低減とを両立させることができた。
本発明において、課題に記載された、密着性と干渉斑の定義について、まず説明する。
ハードコート層と基材フィルムとの間の密着性は、ハードコート層に粘着テープを貼付してそれを剥がすことによる碁盤目剥離試験によって評価することができる。具体的な評価手順は実施例の欄にて詳述する。本発明では、碁盤目剥離試験において下記式で表される密着性の値が好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
また、本発明でいう干渉斑とは、ハードコートフィルムのハードコート層の積層面とは反対面(両面ハードコート積層の場合はどちらか片面)に、黒色光沢テープを貼り合わせ、次いで、この積層体のハードコート面を上面にして、3波長形昼白色蛍光灯を光源として照射し、斜め上方より反射光を目視で観察した際に、目視で観察できる干渉斑(虹彩状色彩)を言う。
(1)基材フィルム
本発明で用いる基材フィルムとしては、ポリエステル樹脂を溶融押出し、または溶液押出して得た未配向シートを、必要に応じ、長手方向または幅方向の一軸方向に延伸し、あるいは二軸方向に逐次二軸延伸または同時二軸延伸し、熱固定処理を施した、二軸配向ポリエステルフィルムが好適である。
また、基材フィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、前記のフィルムに、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理などの表面活性化処理を施してもよい。
本発明で用いる基材フィルムの厚さは、30〜300μmの範囲で、使用する用途の規格に応じて任意に決めることができる。基材フィルムの厚みの上限は、250μmが好ましく、特に好ましくは200μmである。一方、フィルム厚みの下限は、50μmが好ましく、特に好ましくは75μmである。フィルム厚みが50μm未満では、剛性や機械的強度が不十分となりやすい。一方、フィルム厚みが300μmを超えると、フィルム中に存在する異物の絶対量が増加するため、光学欠点となる頻度が高くなる。また、フィルムを所定の幅に切断する際のスリット性も悪化し、製造コストが高くなる。さらに、剛性が強くなるため、長尺のフィルムをロール状に巻き取ることが困難になりやすい。
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等があげられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートまたはこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成された二軸配向フィルムが特に好適である。
例えば、基材フィルムを形成する樹脂として、ポリエチレンテレフタレートを基本骨格とするポリエステル共重合体を用いる場合、共重合成分の比率は20モル%未満とすることが好ましい。20モル%以上ではフィルム強度、透明性、耐熱性が劣る場合がある。共重合成分として用いることができるジカルボン酸成分としては、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリロット酸及びピロメリロット酸等の多官能カルボン酸等が例示される。また、共重合成分として用いることができるグリコール成分としては、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコール等の脂肪酸グリコール;p−キシレングリコール等の芳香族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;平均分子量が150〜20000のポリエチレングリコール等が例示される。
また、前記のポリエステル樹脂には、本発明の効果を妨げない範囲で、触媒以外に各種の添加剤を含有させることができる。添加剤として、例えば、無機粒子、耐熱性高分子粒子などの粒子、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、帯電防止剤、紫外線吸収剤、耐光剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。
前記の粒子は、基材フィルムの製造時、ロール状に巻き取る際、あるいは巻き出す際のハンドリング性(滑り性、走行性、ブロッキング性、巻き取り時の随伴空気の空気抜け性など)の点からは、フィルム表面に適度な表面凹凸を付与するために用いられる。
無機粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカなどが挙げられる。また、耐熱性高分子粒子としては、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル系樹脂粒子、架橋メタクリル酸メチル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子などが挙げられる。
前記の粒子の中でも、シリカ粒子が、ポリエステル樹脂と屈折率が比較的近く高い透明性が得やすいため、透明性が強く要求される用途では最も好適である。また、基材フィルム中に含有させる粒子は1種類でも複数併用してもよい。
前記の粒子の種類、平均粒径、添加量は、透明性とハンドリング性とのバランスの点から、平均粒径は0.01〜3μm、フィルム中の粒子含有量は0.01〜5.0質量%の範囲でフィルムの用途に応じて決めればよい。
また、本発明で用いる被覆ポリエステルフィルムを透明性が高度に要求される用途に使用する場合、基材フィルム中には、透明性を低下させる原因となる粒子を実質的に含有させないことが好ましい。
前記の「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは積極的に粒子を基材フィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
また、本発明で使用する基材フィルムの層構成は単層でもよいし、単層では得られない機能を付与した積層構造とすることもできる。積層構造とする場合には、共押出法が好適である。
基材フィルムの原料としてポリエステルを用いた場合を代表例として、基材フィルムの製造方法について、以下で詳しく説明する。
フィルム原料として用いるポリエステルペレットの固有粘度は、0.45〜0.70dl/gの範囲が好ましい。固有粘度が0.45dl/g未満であると、フィルム製造時に破断が多発しやすくなる。一方、固有粘度が0.70dl/gを超えると、濾圧上昇が大きく、高精度濾過が困難となり、生産性が低下しやすくなる。なお、ポリエステルの固有粘度は、ポリエステルをフェノール(6質量部)と、1,1,2,2−テトラクロルエタン(4質量部)の混合溶媒に溶解し、30℃で測定することができる。
また、本発明の被覆ポリエステルフィルム、あるいはハードコートフィルムにおいて、光学欠点の原因となる、原料のポリエステル中に含まれている異物を除去することが好ましい。ポリエステル中の異物を除去するために、溶融押出しの際に溶融樹脂が270〜295℃に保たれた任意の場所で、高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、Si、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物及び高融点有機物の除去性能に優れ好適である。
溶融樹脂の高精度濾過に用いる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μm以下の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより生産性が低下する場合があるが、光学欠点の少ないフィルムを得るには極めて重要である。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合、易滑性付与を目的とした粒子を実質的に含有していないPETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、270〜295℃でシート状に溶融押出しし、冷却固化せしめて未配向PETシートを製膜する。この際、溶融樹脂が270〜295℃に保たれた溶融押出し工程の任意の場所で、該溶融樹脂中に含まれる異物を除去するために上記高精度濾過を行う。得られた未配向シートを、80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して、一軸配向PETフィルムを得る。
その後、一軸配向PETフィルムの片面、若しくは両面に、後述のように塗布液を塗布する。次いで、フィルムの両端部をクリップで把持して、80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、乾燥後幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き220〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜20秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で、必要に応じて、幅方向あるいは長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
本発明では共重合ポリエステルを含む塗布液を、走行するポリエステルフィルムの片面または両面に連続的に塗布する塗布工程、塗布層を乾燥する乾燥工程、次いで少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程、さらに延伸されたフィルムを熱固定処理する熱固定処理工程を経て連続的に形成させて、被覆層を設けた被覆ポリエステルフィルムを製造する。また、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤から選ばれる少なくとも一種の架橋剤を塗布液に混合し、熱処理することで、適度な架橋構造を形成させてもよい。
本発明に用いる共重合ポリエステル樹脂について説明する。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、公知の方法によって合成することができる。その一例を挙げると、ナフタレンジカルボン酸のジアルキルエステル化合物を主成分とする種々ジカルボン酸ジアルキルエステル化合物の混合物と過剰当量のビスフェノールAへのアルキレンオキサイド付加物を主成分とするグリコール成分をエステル交換反応させた後、高温高真空下で重合反応させる方法、或いはナフタレンジカルボン酸を主成分とする二塩基酸成分と過剰量のグリコール成分をエステル化反応させた後、高温高真空下に重合反応させる方法が挙げられる。重合触媒としてはチタン系、亜鉛系、アンチモン系、マグネシウム系、ゲルマニウム系等一般に使用される化合物を使用できる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂には酸成分、グリコール成分毎に合計を100モル%としたときに、ナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分が全酸成分中50モル%以上、かつビスフェノールA骨格を有するグリコール成分が全グリコール成分中50モル%以上共重合されていることが好ましい。ナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分は、全酸成分中、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、その上限は100モル%である。また、ビスフェノールA骨格を有するグリコール成分は、全グリコール成分中、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、その上限は100モル%である。酸成分中のナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分が50モル%未満では高いガラス転移温度と高屈折率特性が得られないことがある。一方ビスフェノールA骨格を有するグリコール成分が全グリコール成分中50モル%未満になると高い屈折率が得られないだけでなく、高いガラス転移温度と脆さの無い樹脂特性の両立が困難になるおそれがある。
本発明の共重合ポリエステル樹脂に使用されるナフタレン骨格を有するジカルボン酸としては2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸及びそれらのアルキルエステル誘導体や無水酸を用いることが出来るが汎用性と得られた樹脂の物性面からは2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそのアルキルエステル誘導体が好ましい。1,4−型、1,2−型異性体の共重合量が増えると得られる共重合ポリエステル樹脂の強靭性が低下し、結果として密着性の低下に繋がる場合がある。
本発明の共重合ポリエステル樹脂に使用されるナフタレン骨格を有するジカルボン酸以外の酸成分として、好ましくは全酸成分中の50モル%以下の割合で共重合される化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族系二塩基酸や、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の脂肪族系二塩基酸、或いは1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族系二塩基酸が挙げられる。これら二塩基酸の内、テレフタル酸、イソフタル酸が得られる共重合ポリエステル樹脂の物性低下が少なく好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂に使用されるビスフェノールA骨格を有するグリコール化合物としてはビスフェノールAへのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。これらのうち、共重合ポリエステル樹脂中にビスフェノールA骨格を多量に導入することにより樹脂の屈折率を高めて干渉斑を抑制するという本発明の効果を高めると言う観点からビスフェノールAへのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物が好ましい。
また本発明の共重合ポリエステル樹脂に、好ましくは全グリコール成分中50モル%以下の割合で使用されるビスフェノールA骨格を有するグリコール以外のグリコール成分としては例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール等の脂肪族系ジオール類や1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシメトキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4ヒドロキシエトキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、3(4),8(9)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール等の脂環族系グリコール類が挙げられる。これらグリコール化合物の内、エチレングリコール、及び又は1,2−プロピレングリコール、及び又は1,3−プロピレングリコールを本発明の共重合ポリエステル樹脂のグリコール成分中の一成分として重合反応時に共存させると、本発明の共重合ポリエステル樹脂の重合反応がスムーズに進行し、分子量の高い共重合ポリエステル樹脂が得られやすい。しかしながら高屈折率を維持するためにはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコールの共重合量は共重合ポリエステル樹脂中に15モル%未満であることが好ましい。
上記酸成分、グリコール成分以外にも本発明の共重合ポリエステル樹脂にはトリメチロールプロパンや無水トリメリット酸等の多官能化合物を生成する共重合ポリエステル樹脂がゲル化しない範囲で共重合させ、より高分子量化しやすくすることも可能である。
本発明の共重合ポリエステル樹脂ではポリオキシアルキレングリコールを生成する共重合ポリエステル樹脂の物性が低下しない範囲で共重合する。ポリオキシアルキレングリコールの具体的化合物の例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙られる。これらのポリエーテルグリコールは、生成する共重合ポリエステル樹脂の溶融粘度を下げ、より高分子量化させやすくする効果がある。また得られた共重合ポリエステル樹脂に柔軟性を付与し、脆さを低減させる効果があるため密着性に優れる被覆層が得られる。
また。これらポリオキシアルキレングリコールのうち、共重合ポリエステル樹脂に親水性を付与し、水分散体化をより容易にさせる意味でポリエチレングリコールが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂には上記原料以外に酸成分としては5−Naスルホイソフタル酸、2−Naスルホテレフタル酸及びそれらのジアルキルエステル誘導体を共重合し、得られた共重合ポリエステル樹脂の水分散体を調製することが出来る。
上記ポリアルキルエーテルの数平均分子量は1000〜6000でより好ましくは2000〜4000である。分子量1000未満ではアルキルエーテル成分とその他共重合成分の相溶性がよく、共重合によりガラス転移温度が大幅に低下し、樹脂比重が低下することで結果として屈折率も低下する。一方分子量6000を超えると共重合が困難になり、均一な重合体が得られにくくなる。また、共重合重量比率は0.5〜5モル%、より好ましくは2〜4モル%、最も好ましくは2.5〜3.5モル%である。0.5モル%未満では共重合による重合反応時の低溶融粘度化効果が不十分であり、5モル%を超えるとポリマー全体のガラス転移温度が大幅に低下し、樹脂比重が低下することで屈折率も低下してしまう。ポリアルキルエーテルの数平均分子量は、後述のゲル浸透クロマトグラフィーで測定することができるが、被覆層中の分子構造中のポリアルキレングリコールの数平均分子量を求める場合は、液体クロマトグラフィー、質量分析及びNMRにより、ポリアルキレングリコールに由来する特異シグナルを測定することにより求めてもよい。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、ポリエステル骨格の側鎖に芳香環を有していることが屈折率の更なる向上、及び水分散体化した際の分散体の保存安定性向上の点で好ましい。側鎖に骨格を導入する方法としては9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイドがイタコン酸と縮合したジカルボン酸を共重合する方法、1,2−ジフェニルコハク酸を共重合する方法、フェニルグリシジルエーテルを共重合させる方法等が知られているが、特に共重合量に対する機能発現効率の点から9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイドがイタコン酸と縮合したジカルボン酸を用いるのが好ましい。この場合の好ましい共重合量は20〜30モル%である。20モル%未満では屈折率向上効果が不十分なことがあり、30モル%を超えると生成する共重合ポリエステル樹脂の物性が低下するおそれがある。
塗布液が水溶性の場合、本発明で被覆層の樹脂成分として使用する共重合ポリエステル系樹脂は、水性または水分散が可能な樹脂を使用する必要がある。そのためには、前記ジカルボン酸成分の他に、ポリエステルに水分散性を付与させるため、5-スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレンイソフタル酸−2,7−ジカルボン酸および5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸またはそのアルカリ金属塩を挙げることができる。
塗布液に用いる材料は、上記のような樹脂成分、界面活性剤及び溶媒(分散媒を含む)以外に必要に応じて、粒子、帯電防止剤、紫外線吸収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸化触媒などの添加剤を用いることができる。また、塗布液には、樹脂の熱架橋反応を促進させるため、触媒を添加しても良く、例えば、無機物質、塩類、有機物質、アルカリ性物質、酸性物質および含金属有機化合物等、種々の化学物質を用いることができる。
本発明において、架橋剤を含有させることにより、密着性を更に向上させることが可能になる。架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、オキサゾリン、メラミン系等が挙げられる。これらの中で、塗液の経時安定性、高温高湿処理下の密着性向上効果からメラミン系が好ましい。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用される。
オキサゾリン系架橋剤はオキサゾリン基を有する化合物からなる。好適には、オキサゾリン系架橋剤は、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種のオキサゾリン基を含有しないモノマー(以下、「他のモノマー」ともいう)を共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなる。オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどが挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
メラミン系架橋剤としては置換基−(CH−O−R(式中、nは1〜3の整数であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)で置換されたメラミン系架橋剤が挙げられ、前記式中のRは好ましくはメチルである。1つのメラミン構造が有する上記置換基の数は好ましくは3〜6である。メラミン系架橋剤の具体例としては、大日本インキ製ベッカミンM−3等や株式会社三和ケミカル社製メチル化メラミン樹脂MW−22、MX−706、MS−11等が挙げられる。
架橋剤の含有量としては、5質量%以上50質量%以下が好ましい。より好ましくは
10質量%以上30質量%以下である。少ない場合には、密着性が低下し、多い場合には、被覆層が脆くなる場合がある。
本発明における溶媒とは、樹脂成分を溶解する液体だけではなく、樹脂成分を粒子状に分散させるために用いる分散媒も広義的に含むものである。本発明を実施するためには、有機溶媒、水性溶媒等の各種溶媒を用いることができる。
塗布液に用いる溶媒は、水と、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類との混合溶媒が好ましく、その使用量は、好ましくは、塗布液の全質量に対して30〜50質量%である。また、アルコール類以外の有機溶媒を、樹脂成分を溶解または分散可能な範囲で、全溶媒量に対して10質量%未満で混合してもよい。塗布液として有機溶媒系の塗布液を用いる場合の溶媒としては、上記各成分を均一に溶解できればよく、種々の溶剤を使用することができるが、例えばトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等が好適であり、これら溶剤の1種を単独で使用しても2種以上を混合して用いることも可能である。
被覆層には、適切な粒径の粒子を含有させて、被覆層表面に適切な凹凸を形成させることにより、得られる積層熱可塑性樹脂フィルムの滑り性、巻き取り性および耐スクラッチ性を改善することができる。
被覆層に含有させる粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカ−アルミナ複合酸化物、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカなどの無機粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル系樹脂粒子、架橋メタクリル酸メチル系樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子などの耐熱性高分子粒子が挙げられる。
これらの粒子の中でも、被覆層の樹脂成分と屈折率が比較的近いため、高い透明性を有するフィルムを得やすいという点から、シリカ粒子が好適である。
また、粒子の形状は特に限定されないが、易滑性を付与する点からは、球状に近い粒子が好ましい。
被覆層中の粒子の含有量は、被覆層の全質量に対して20質量%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下とする。被覆層中の粒子の含有量が20質量%を超えると、得られる積層フィルムの透明性が悪化し、機能層との密着性も不十分となりやすい。一方、粒子の含有量の下限は、被覆層の全質量に対して好ましくは0.1質量%、さらに好ましくは1質量%、特に好ましくは3質量%とする。
また、粒子の平均粒径は20〜150nmが好ましく、さらに好ましくは40〜60nmである。平均粒径が20nm未満であると、被覆ポリエステルフィルムの十分な耐ブロッキング性を得ることが困難な他、耐スクラッチ性が悪化する傾向がある。一方、粒子の平均粒径が150nmを超えると、得られる被覆ポリエステルフィルムのヘイズが上昇しやすくなるため好ましくない。
粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を電子顕微鏡で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。また、被覆層中の粒子の平均粒径を求める場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
また、被覆層中には、平均粒径の異なる粒子を2種類以上含有させてもよく、同種の粒子で平均粒径の異なるものを含有させてもよく、いずれも、粒子の平均粒径および総含有量が上記範囲内となればよい。前記塗布液を塗布する際には、上記項目で述べたように、塗布液中の粒子の粗大凝集物を除去するために、塗布直前に塗布液を精密濾過することが好ましい。
前記の塗布液を基材フィルムの表面に塗布する際には、該フィルムへの濡れ性を向上させ、塗布液を均一に塗布するために一般に界面活性剤が使用してもよい。界面活性剤は、良好な塗布性が得られ、且つ、被覆層の表面や内部で適切な相分離構造が得られるものであれば、特に種類は限定されない。
前記塗布液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法およびカーテン・コート法などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。該塗布液が塗布されたフィルムは、配向および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、被覆ポリエステルフィルムとなる。
(3)塗布工程
前記の塗布液を塗布する工程は、該フィルムの製造工程中に塗布するインラインコート法が好ましい。さらに好ましくは、結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布する。塗布液中の固形分濃度は、30質量%以下であることが好ましく、特に好ましくは10質量%以下である。固形分濃度の下限は1質量%が好ましく、さらに好ましくは3質量%、特に好ましくは5質量%である。該塗布液が塗布されたフィルムは、配向および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、被覆ポリエステルフィルムとなる。
(塗布量)
未乾燥時の塗布量(以下、ウェット塗布量と略す)は、2g/m以上10g/m未満とすることが好ましい。ウェット塗布量が2g/m未満で、設計のドライ塗布量(最終被覆層の塗布量)を得ようとすると、塗布液の固形分濃度を高くする必要がある。塗布液の固形分濃度を高くすると、塗布液の粘度が高くなるため、スジ状の塗布斑が発生しやすい。一方、ウェット塗布量が10g/m以上では、乾燥炉内の乾燥風の影響を受けやすく、塗布斑が発生しやすい。なお、埃の付着による欠点を防止するために、クリーン度をクラス5000以下のクリーンな環境下で塗布液を塗布することが好ましい。
塗布量が多すぎると干渉斑が目立ちやすくなる。塗布量が少なすぎると実用的な密着性が得られない場合がある。
また、前記の乾燥炉では、温度を120℃以上150℃未満に維持しながら、0.1〜5秒間乾燥させることが好ましい。乾燥時間は、さらに好ましくは0.5〜3秒である。乾燥時間が0.1秒間未満では、塗膜の乾燥が不十分となり、乾燥工程から横延伸工程までの間に配置されたロールを通過する際に、該ロールを乾燥不十分な塗布面で汚染しやすくなる。一方、乾燥時間が5秒間を超えると、フィルムの結晶化が起こりやすくなり、横延伸時に破断が発生する頻度が増える。
次にハードコート層について説明する。
ハードコート層を構成する硬化型樹脂としては、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、下記の樹脂が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂には、好ましくはアクリレート系官能基を有する樹脂であり、特に好ましくは、ポリエステルアクリレート、あるいはウレタンアクリレートである。ポリエステルアクリレートは、ポリエステル系ポリオールのオリゴマーのアクリレートまたはメタクリレート(以下、アクリレート及び/またはメタクリレートを、(メタ)アクリレートと記載する場合がある)、あるいはその混合物から構成される。また、ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物からなるオリゴマーを(メタ)アクリレート化したものから構成される。
(メタ)アクリレートを構成する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ夕)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、さらにハードコート層の硬度を高めることが必要な場合は、多官能モノマーを併用することが好ましい。例えば、多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが例示される。
ポリエステル系ポリオールのオリゴマーとしては、アジピン酸とグリコール(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール等)やトリオール(グリセリン、トリメチロールプロパン等)、セバシン酸とグリコールやトリオールとの縮合生成物であるポリアジペートポリオールや、ポリセバシエートポリオールが挙げられる。また、上記脂肪族のジカルボン酸の一部または全てを他の有機酸で置換することができる。例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、あるいは無水フタル酸は、ハードコート層の硬度を高める成分として使用することができる。
ハードコート剤を基材フィルムの表面に形成する際に、レベリング性を向上させるために、必要に応じて希釈剤を用いて希釈してもよい。希釈剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン等が挙げられる。希釈剤の配合量は、適切な粘度になるように適宜選択すればよい。
ハードコート層の屈折率を高くするためにハードコート層に無機粒子を含有させてもよい。ハードコート層に含有させる無機微粒子としては、例えば、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、シリカ、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、アルミナ、などの無機酸化物、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカが挙げられる。
ハードコート層の屈折率を高くする場合は、ハードコート層中に屈折率の高い無機微粒子を含有させても良い。屈折率の高い無機微粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタンが挙げられる。
ハードコート層中の無機微粒子を添加する場合の含有量は、80質量%以下であることが好ましい。無機微粒子の含有量が80質量%を超えると、透明性が低下する傾向がある。また、無機微粒子の平均粒径は、透明性の点から、5〜100nmが好ましい。しかしながら、このような平均粒径の小さい無機微粒子は、凝集しやすく不安定である。したがって、無機微粒子の分散安定性を高めるために、無機微粒子の表面に光感応性基を付与し、硬化型樹脂との親和性を高めることが好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は、紫外線あるいは電子線を照射することにより硬化する。紫外線を照射する場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプを用い、100〜400nm、好ましくは、200〜400nmの波長領域で、100〜3000mJ/mのエネルギーで紫外線を照射する。また、電子線を照射する場合、走査型あるいはカーテン型の電子線加速器を用い、加速電圧1000keV以下、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有し、かつ100nm以下の波長領域の電子線を照射する。
ハードコート層の厚さは、0.1〜30μmの範囲で、用途に応じて決めればよい。より好ましくは1〜15μmである。ハードコート層の厚さが、前記の範囲内の場合には、ハードコート層の表面の硬度が高く、傷が付きにくい。さらに、ハードコート層が脆くなりにくく、ハードコートフィルムを折り曲げたときにハードコート層にクラックが入りにくい。
次に、本発明の被覆ポリエステルフィルムについて、実施例と比較例を用いて説明するが、本発明は当然これらの実施例に限定されるものではない。また、実施例に記載した、被覆ポリエステルフィルム、ハードコートフィルム、および共重合ポリエステル樹脂の物性や特性は下記の方法を用いて評価した。
(1)ハードコート層との密着性
両面テープを貼り付けた厚さ5mmのガラス板に、実施例及び比較例で得られたハードコートフィルムのハードコート層を表側とし、反対面を貼り付けた。次いで、ハードコート層を貫通して、基材フィルムに達する100個の升目状の切り傷を、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm幅)を升目状の切り傷面に貼り付けた。貼り付け時に界面に残った空気を消しゴムで押して、完全に密着させた後、粘着テープを勢いよく垂直に引き剥がして下記の式から密着性を目視により求め、密着性が80%以上を○、80%未満を×とした。なお、1個の升目内で部分的に剥がれているものも、剥がれた個数に含める。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
(2)干渉斑(虹彩状色彩)の評価
ハードコートフィルムを10cm×15cmの面積に切り出し、試料フィルムを作成した。得られた試料フィルムのハードコート層とは反対面に、黒色光沢テープを貼り合わせた。この試料フィルムのハードコート面を上面にして、3波長形昼白色蛍光灯(ナショナル パルック、F.L 15EX−N 15W)を光源として、斜め上方より反射光を目視で観察した。目視で観察した結果を、下記の基準でランク分けをする。なお、観察は該評価に精通した5名で行ない、最も多いランクを評価ランクとする。
○:ある角度によっては僅かに虹彩状色彩が見られる、又はあらゆる角度からの観察でも虹彩状色彩が見られない
×:はっきりとした虹彩状色彩が観察される
(3)屈折率測定
ハードコート層及び共重合ポリエステル樹脂の屈折率はJIS K 7142に基づき、アッベ屈折率計を用いて測定を行った。
なお、共重合ポリエステル樹脂については、次のようにサンプルを作成した。ポリエステル樹脂固形分30wt%のシクロヘキサノン溶液、またはポリエステル樹脂固形分27wt%の水分散体をOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムの非コロナ処理面に塗布し、120度で30分間熱風乾燥し、乾燥後厚みが10μmの塗膜を得た。次いで塗膜をOPPフィルムから剥離し、屈折率の測定に供した。
(4)数平均分子量
ウオーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)150Cを用い、テトラヒドロフランをキャリアー溶剤として流速1ml/分で測定した。カラムとして昭和電工(株)製 Shodex KF−802、KF−804、KF−806を3本連結しカラム温度は30℃に設定した。分子量標準サンプルとしてはポリスチレン標準物質を用いた。
(5)ガラス転移温度
共重合ポリエステル樹脂のサンプル5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封し、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計DSC−220を用いて、200℃まで、昇温速度20℃/分にて測定し、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
(6)共重合ポリエステル樹脂組成
クロロホルム−dに樹脂を溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)「ジェミニ−200」を用い、H−NMRにより樹脂組成比を求めた。
なお、実施例中の表1に示した化合物の略号はそれぞれ以下の化合物を示す。
2,6NDC:2,6−ナフタル酸ジメチル
HCA:9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド
IA:イタコン酸
5−SIP:5Na−イソフタル酸ジメチル
T:テレフタル酸ジメチル
I:イソフタル酸ジメチル
AA:アジピン酸
BPE:BPE−20F(三洋化成(株)製:ビスフェノールAへのエチレンオキサイド付加物)
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
PEG2K:数平均分子量2000のポリエチレングリコール
(実施例1)
(1)共重合ポリエステル樹脂(A)成分の合成
温度計、攪拌棒、リービッヒ冷却管を具備した2Lの4つ口フラスコに2,6−ナフタル酸ジメチル244部、BPE−20F(三洋化成(株)製:ビスフェノールAへのエチレンオキサイド付加物)283部、エチレングリコール70部、分子量2000のポリエチレングリコール70部および触媒としてテトラブチルチタネート(TBT)を0.1部と酸化防止剤イルガノックス1330を0.6部仕込み190℃〜230℃で3時間エステル交換反応を進行させた。ついで250℃に昇温後、減圧下に80分重合し、共重合ポリエステル樹脂(A)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A)の組成、数平均分子量、ガラス転移点、屈折率を表1に示した。
(2)塗布液(A)の調整
得られた共重合ポリエステル樹脂(A)を4.2質量部、メラミン系架橋剤(株式会社三和ケミカル社製MS−11)を0.4質量部、シリカゾル系粒子(日産化学工業株式会社製IPA―ST―ZL)を0.4質量部、メチルエチルケトン45.0質量部、トルエン50.0質量部、界面活性剤0.05質量部を混合し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液(A)を調製した。
(3)被覆ポリエステルフィルムの製造
原料ポリマーとして、粒子を含有していない、固有粘度が0.62dl/g(フェノール:1,1,2,2−テトラクロルエタン=6:4混合溶媒で溶解し30℃で測定)のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPET樹脂ペレットを押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、溶融樹脂中の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
得られたキャストフィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。次いで、前記の塗布液(A)をロールコート法で一軸配向PETフィルムの片面に塗布し、熱風乾燥炉にて、135℃、1秒間の条件で乾燥させた。尚、塗布量は、最終的な固形分量として0.11g/mになるように塗布した。
その後、一軸延伸ポリエステルフィルムをクリップ方式の横延伸機に導き、100℃で予熱した後、130℃で横方向に4.0倍延伸し、次いで、230℃で熱固定処理した後、200℃で横方向に3%緩和処理し、次いで、フィルムワインダーで巻き取って厚み125μmの二軸延伸被覆ポリエステルフィルムを得た。
(4)ハードコートフィルムの製造
次いで、下記の方法で、ハードコートフィルムを得た。
ハードコート層を形成させるための塗布液として下記ハードコート用塗布液(a)を、ワイヤーバーを用いて塗布し、70℃で1分間乾燥し、溶剤を除去した。次いで、このハードコート層を塗布したフィルムに高圧水銀灯を用いて300mJ/cmの紫外線を照射し、厚み5μmのハードコート層を有するハードコートフィルムを得た。なお、ハードコート用塗布液(a)によるハードコート層の屈折率は1.54であった。
ハードコート用塗布液(a)の調合
イソプロピルアルコール 53.0質量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 22.8質量%
(新中村化学製A−DPH)
ポリエチレンジアクリレート 6.0質量%
(新中村化学製A−400)
ジルコニアゾル 17.2質量%
(日産化学工業製OZ−30M、固形分濃度30%)
光重合開始剤 1.0質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
(実施例2)
共重合ポリエステル樹脂(A)成分のかわりに共重合ポリエステル樹脂(B)を用いた塗布液(B)を用いた以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(1)共重合ポリエステル樹脂(B)の合成
温度計、攪拌棒、リービッヒ冷却管を具備した2Lの4つ口フラスコに2,6−ナフタル酸ジメチル171部、BPE−20F(三洋化成(株)製:ビスフェノールAへのエチレンオキサイド付加物)283部、エチレングリコール70部、分子量2000のポリエチレングリコール70部および触媒としてテトラブチルチタネート(TBT)を0.1部、酸化防止剤イルガノックス1330を0.6g仕込み190℃〜230℃で3時間エステル交換反応を進行させた。ついでイタコン酸32.5g、5−Naスルホイソフタル酸14.8部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド71部、トリブシルアミン0.1部を追加添加し250度まで昇温し、減圧下に80分重合し、ポリエステル樹脂(B)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(B)の組成、数平均分子量、ガラス転移点、屈折率を表1に示した。
(2)塗布液(B)の調整
得られた共重合ポリエステル樹脂(B)を4.2質量部、メラミン系架橋剤(大日本インキ製ベッカミンM−3)を0.4質量部、シリカ系粒子(日産化学工業株式会社製スノーテックスZL)を0.4質量部、イソプロピルアルコール45.0質量部、水50.0質量部、界面活性剤0.05質量部を混合し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液(B)を調整した。
(実施例3)
ハードコート用塗布液(a)を下記のハードコート用塗布液(b)に変更した以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。なお、ハードコート用塗布液(b)によるハードコート層の屈折率は1.52であった。
ハードコート用塗布液(b)の調合
イソプロピルアルコール 60.5質量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 26.0質量%
(新中村化学製A−DPH)
ポリエチレンジアクリレート 6.8質量%
(新中村化学製A−400)
ジルコニアゾル 5.7質量%
(日産化学工業製OZ−30M、固形分濃度30%)
光重合開始剤 1.0質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
(実施例4)
ハードコート用塗布液(a)を下記のハードコート用塗布液(c)に変更した以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。なお、ハードコート用塗布液(c)によるハードコート層の屈折率は1.56であった。
ハードコート用塗布液(c)の調合
イソプロピルアルコール 47.4質量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 20.9質量%
(新中村化学製A−DPH)
ポリエチレンジアクリレート 5.6質量%
(新中村化学製A−400)
ジルコニアゾル 25.1質量%
(日産化学工業製OZ−30M、固形分濃度30%)
光重合開始剤 1.0質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
(比較例1)
共重合ポリエステル樹脂(A)成分のかわりに共重合ポリエステル樹脂(C)を用いた塗布液(C)を用いた以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(1)共重合ポリエステル樹脂(C)の合成
温度計、攪拌棒、リービッヒ冷却管を具備した2Lの4つ口フラスコに2,6−ナフタル酸ジメチル244部、エチレングリコール80部、ネオペンチルグリコール73部および触媒としてテトラブチルチタネート(TBT)を0.1部と酸化防止剤イルガノックス1330を0.6部仕込み190℃〜230℃で3時間エステル交換反応を進行させた。ついで250℃に昇温後、減圧下に80分重合し、ポリエステル樹脂(C)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(C)の組成、数平均分子量、ガラス転移点、屈折率を表1に示した。
(比較例2)
共重合ポリエステル樹脂(A)成分のかわりに共重合ポリエステル樹脂(D)を用いた塗布液(D)を用いた以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(1)共重合ポリエステル樹脂(D)の合成
温度計、攪拌棒、リービッヒ冷却管を具備した1Lの4つ口フラスコにテレフタル酸ジメチル58部、イソフタル酸ジメチル58部、エチレングリコール80部、ネオペンチルグリコール73部および触媒としてテトラブチルチタネート(TBT)を0.1部仕込み190℃〜230℃で3時間エステル交換反応を進行させた。ついでアジピン酸58部を追加投入し250℃に昇温後、減圧下に80分重合し、ポリエステル樹脂(D)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(D)の組成、数平均分子量、ガラス転移点、屈折率を表1に示した。
Figure 2009126035
Figure 2009126035
本発明のハードコートフィルムは、実用的な密着性を維持しながら、特に三波長蛍光灯下においても干渉斑が少ないため、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどのディスプレイ用途の部材、例えば反射防止層や防汚層を積層してなる光学機能性フィルムの基材として、視認性の向上の点から有用である。

Claims (5)

  1. 少なくとも片面にナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分とビスフェノールA骨格を有するグリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステル樹脂を主成分とする被覆層が積層されたポリエステルフィルムであって、該共重合ポリエステル樹脂はナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分が全酸成分中50モル%以上、かつビスフェノールA骨格を有するグリコール成分が全グリコール成分中50モル%以上共重合され、さらに数平均分子量1000〜6000のポリアルキレングリコールが共重合されている共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする被覆ポリエステルフィルム。
  2. 前記共重合ポリエステル樹脂が、前記ポリアルキレングリコールを全グリコール成分中0.5〜5モル%の範囲で共重合されている請求項1に記載の被覆ポリエステルフィルム。
  3. 前記共重合ポリエステル樹脂が、さらに5−ナトリウムスルホイソフタル酸が共重合されている請求項1〜2のいずれかに記載の被覆ポリエステルフィルム。
  4. 前記被覆層がエポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、オキサゾリン系から選ばれた少なくとも1種の架橋剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被覆ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4の被覆ポリエステルフィルムの少なくとも片面の前記被覆層上にハードコート層が積層されたハードコートフィルム。
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