JP2009126035A - 被覆ポリエステルフィルム、およびそれを用いたハードコートフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】共重合ポリエステル樹脂はナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分が全酸成分中50モル%以上、かつビスフェノールA骨格を有するグリコール成分が全グリコール成分中50モル%以上共重合され、さらに数平均分子量1000〜6000のポリアルキレングリコールが共重合されている共重合ポリエステル樹脂を主成分とする被覆層が積層された被覆ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
Description
すなわち、第1の発明は、少なくとも片面にナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分とビスフェノールA骨格を有するグリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステル樹脂を主成分とする被覆層が積層されたポリエステルフィルムであって、該共重合ポリエステル樹脂はナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分が全酸成分中50モル%以上、かつビスフェノールA骨格を有するグリコール成分が全グリコール成分中50モル%以上共重合され、さらに数平均分子量1000〜6000のポリアルキレングリコールが共重合されている共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする被覆ポリエステルフィルムである。
第2の発明は、ポリアルキレングリコールが全グリコール成分中0.5〜5モル%の範囲で共重合されている前記被覆ポリエステルフィルムである。
第3の発明は、共重合ポリエステル樹脂がさらに5−ナトリウムスルホイソフタル酸が共重合されている前記被覆ポリエステルフィルムである。
第4の発明は、被覆層がエポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、オキサゾリン系から選ばれた少なくとも1種の架橋剤を含むことを特徴とする前記被覆ポリエステルフィルム。
第5の発明は、前記被覆ポリエステルフィルムの少なくとも片面の被覆層上にハードコート層が積層されたハードコートフィルムである。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
本発明で用いる基材フィルムとしては、ポリエステル樹脂を溶融押出し、または溶液押出して得た未配向シートを、必要に応じ、長手方向または幅方向の一軸方向に延伸し、あるいは二軸方向に逐次二軸延伸または同時二軸延伸し、熱固定処理を施した、二軸配向ポリエステルフィルムが好適である。
本発明の共重合ポリエステル樹脂は、公知の方法によって合成することができる。その一例を挙げると、ナフタレンジカルボン酸のジアルキルエステル化合物を主成分とする種々ジカルボン酸ジアルキルエステル化合物の混合物と過剰当量のビスフェノールAへのアルキレンオキサイド付加物を主成分とするグリコール成分をエステル交換反応させた後、高温高真空下で重合反応させる方法、或いはナフタレンジカルボン酸を主成分とする二塩基酸成分と過剰量のグリコール成分をエステル化反応させた後、高温高真空下に重合反応させる方法が挙げられる。重合触媒としてはチタン系、亜鉛系、アンチモン系、マグネシウム系、ゲルマニウム系等一般に使用される化合物を使用できる。
本発明の共重合ポリエステル樹脂には上記原料以外に酸成分としては5−Naスルホイソフタル酸、2−Naスルホテレフタル酸及びそれらのジアルキルエステル誘導体を共重合し、得られた共重合ポリエステル樹脂の水分散体を調製することが出来る。
10質量%以上30質量%以下である。少ない場合には、密着性が低下し、多い場合には、被覆層が脆くなる場合がある。
粒子を電子顕微鏡で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。また、被覆層中の粒子の平均粒径を求める場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、倍率12万倍で積層フィルムの断面を撮影し、粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
前記の塗布液を塗布する工程は、該フィルムの製造工程中に塗布するインラインコート法が好ましい。さらに好ましくは、結晶配向が完了する前の基材フィルムに塗布する。塗布液中の固形分濃度は、30質量%以下であることが好ましく、特に好ましくは10質量%以下である。固形分濃度の下限は1質量%が好ましく、さらに好ましくは3質量%、特に好ましくは5質量%である。該塗布液が塗布されたフィルムは、配向および熱固定のためにテンターに導かれ、そこで加熱されて、熱架橋反応により安定な被膜を形成し、被覆ポリエステルフィルムとなる。
未乾燥時の塗布量(以下、ウェット塗布量と略す)は、2g/m2以上10g/m2未満とすることが好ましい。ウェット塗布量が2g/m2未満で、設計のドライ塗布量(最終被覆層の塗布量)を得ようとすると、塗布液の固形分濃度を高くする必要がある。塗布液の固形分濃度を高くすると、塗布液の粘度が高くなるため、スジ状の塗布斑が発生しやすい。一方、ウェット塗布量が10g/m2以上では、乾燥炉内の乾燥風の影響を受けやすく、塗布斑が発生しやすい。なお、埃の付着による欠点を防止するために、クリーン度をクラス5000以下のクリーンな環境下で塗布液を塗布することが好ましい。
ハードコート層を構成する硬化型樹脂としては、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、下記の樹脂が挙げられる。
両面テープを貼り付けた厚さ5mmのガラス板に、実施例及び比較例で得られたハードコートフィルムのハードコート層を表側とし、反対面を貼り付けた。次いで、ハードコート層を貫通して、基材フィルムに達する100個の升目状の切り傷を、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて付けた。次いで、粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm幅)を升目状の切り傷面に貼り付けた。貼り付け時に界面に残った空気を消しゴムで押して、完全に密着させた後、粘着テープを勢いよく垂直に引き剥がして下記の式から密着性を目視により求め、密着性が80%以上を○、80%未満を×とした。なお、1個の升目内で部分的に剥がれているものも、剥がれた個数に含める。
密着性(%)=(1−升目の剥がれた個数/100個)×100
ハードコートフィルムを10cm×15cmの面積に切り出し、試料フィルムを作成した。得られた試料フィルムのハードコート層とは反対面に、黒色光沢テープを貼り合わせた。この試料フィルムのハードコート面を上面にして、3波長形昼白色蛍光灯(ナショナル パルック、F.L 15EX−N 15W)を光源として、斜め上方より反射光を目視で観察した。目視で観察した結果を、下記の基準でランク分けをする。なお、観察は該評価に精通した5名で行ない、最も多いランクを評価ランクとする。
○:ある角度によっては僅かに虹彩状色彩が見られる、又はあらゆる角度からの観察でも虹彩状色彩が見られない
×:はっきりとした虹彩状色彩が観察される
ハードコート層及び共重合ポリエステル樹脂の屈折率はJIS K 7142に基づき、アッベ屈折率計を用いて測定を行った。
なお、共重合ポリエステル樹脂については、次のようにサンプルを作成した。ポリエステル樹脂固形分30wt%のシクロヘキサノン溶液、またはポリエステル樹脂固形分27wt%の水分散体をOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムの非コロナ処理面に塗布し、120度で30分間熱風乾燥し、乾燥後厚みが10μmの塗膜を得た。次いで塗膜をOPPフィルムから剥離し、屈折率の測定に供した。
ウオーターズ社製ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)150Cを用い、テトラヒドロフランをキャリアー溶剤として流速1ml/分で測定した。カラムとして昭和電工(株)製 Shodex KF−802、KF−804、KF−806を3本連結しカラム温度は30℃に設定した。分子量標準サンプルとしてはポリスチレン標準物質を用いた。
共重合ポリエステル樹脂のサンプル5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封し、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計DSC−220を用いて、200℃まで、昇温速度20℃/分にて測定し、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
クロロホルム−dに樹脂を溶解し、ヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)「ジェミニ−200」を用い、1H−NMRにより樹脂組成比を求めた。
2,6NDC:2,6−ナフタル酸ジメチル
HCA:9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド
IA:イタコン酸
5−SIP:5Na−イソフタル酸ジメチル
T:テレフタル酸ジメチル
I:イソフタル酸ジメチル
AA:アジピン酸
BPE:BPE−20F(三洋化成(株)製:ビスフェノールAへのエチレンオキサイド付加物)
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
PEG2K:数平均分子量2000のポリエチレングリコール
(1)共重合ポリエステル樹脂(A)成分の合成
温度計、攪拌棒、リービッヒ冷却管を具備した2Lの4つ口フラスコに2,6−ナフタル酸ジメチル244部、BPE−20F(三洋化成(株)製:ビスフェノールAへのエチレンオキサイド付加物)283部、エチレングリコール70部、分子量2000のポリエチレングリコール70部および触媒としてテトラブチルチタネート(TBT)を0.1部と酸化防止剤イルガノックス1330を0.6部仕込み190℃〜230℃で3時間エステル交換反応を進行させた。ついで250℃に昇温後、減圧下に80分重合し、共重合ポリエステル樹脂(A)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A)の組成、数平均分子量、ガラス転移点、屈折率を表1に示した。
得られた共重合ポリエステル樹脂(A)を4.2質量部、メラミン系架橋剤(株式会社三和ケミカル社製MS−11)を0.4質量部、シリカゾル系粒子(日産化学工業株式会社製IPA―ST―ZL)を0.4質量部、メチルエチルケトン45.0質量部、トルエン50.0質量部、界面活性剤0.05質量部を混合し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液(A)を調製した。
原料ポリマーとして、粒子を含有していない、固有粘度が0.62dl/g(フェノール:1,1,2,2−テトラクロルエタン=6:4混合溶媒で溶解し30℃で測定)のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPET樹脂ペレットを押し出し機に供給し、約285℃でシート状に溶融押し出して、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。この際、溶融樹脂中の異物を除去する濾材として、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が15μmのステンレス製焼結濾材を用いた。
次いで、下記の方法で、ハードコートフィルムを得た。
ハードコート層を形成させるための塗布液として下記ハードコート用塗布液(a)を、ワイヤーバーを用いて塗布し、70℃で1分間乾燥し、溶剤を除去した。次いで、このハードコート層を塗布したフィルムに高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚み5μmのハードコート層を有するハードコートフィルムを得た。なお、ハードコート用塗布液(a)によるハードコート層の屈折率は1.54であった。
イソプロピルアルコール 53.0質量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 22.8質量%
(新中村化学製A−DPH)
ポリエチレンジアクリレート 6.0質量%
(新中村化学製A−400)
ジルコニアゾル 17.2質量%
(日産化学工業製OZ−30M、固形分濃度30%)
光重合開始剤 1.0質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
共重合ポリエステル樹脂(A)成分のかわりに共重合ポリエステル樹脂(B)を用いた塗布液(B)を用いた以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
温度計、攪拌棒、リービッヒ冷却管を具備した2Lの4つ口フラスコに2,6−ナフタル酸ジメチル171部、BPE−20F(三洋化成(株)製:ビスフェノールAへのエチレンオキサイド付加物)283部、エチレングリコール70部、分子量2000のポリエチレングリコール70部および触媒としてテトラブチルチタネート(TBT)を0.1部、酸化防止剤イルガノックス1330を0.6g仕込み190℃〜230℃で3時間エステル交換反応を進行させた。ついでイタコン酸32.5g、5−Naスルホイソフタル酸14.8部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド71部、トリブシルアミン0.1部を追加添加し250度まで昇温し、減圧下に80分重合し、ポリエステル樹脂(B)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(B)の組成、数平均分子量、ガラス転移点、屈折率を表1に示した。
得られた共重合ポリエステル樹脂(B)を4.2質量部、メラミン系架橋剤(大日本インキ製ベッカミンM−3)を0.4質量部、シリカ系粒子(日産化学工業株式会社製スノーテックスZL)を0.4質量部、イソプロピルアルコール45.0質量部、水50.0質量部、界面活性剤0.05質量部を混合し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過し、塗布液(B)を調整した。
ハードコート用塗布液(a)を下記のハードコート用塗布液(b)に変更した以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。なお、ハードコート用塗布液(b)によるハードコート層の屈折率は1.52であった。
イソプロピルアルコール 60.5質量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 26.0質量%
(新中村化学製A−DPH)
ポリエチレンジアクリレート 6.8質量%
(新中村化学製A−400)
ジルコニアゾル 5.7質量%
(日産化学工業製OZ−30M、固形分濃度30%)
光重合開始剤 1.0質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
ハードコート用塗布液(a)を下記のハードコート用塗布液(c)に変更した以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを得た。なお、ハードコート用塗布液(c)によるハードコート層の屈折率は1.56であった。
イソプロピルアルコール 47.4質量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 20.9質量%
(新中村化学製A−DPH)
ポリエチレンジアクリレート 5.6質量%
(新中村化学製A−400)
ジルコニアゾル 25.1質量%
(日産化学工業製OZ−30M、固形分濃度30%)
光重合開始剤 1.0質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
共重合ポリエステル樹脂(A)成分のかわりに共重合ポリエステル樹脂(C)を用いた塗布液(C)を用いた以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
温度計、攪拌棒、リービッヒ冷却管を具備した2Lの4つ口フラスコに2,6−ナフタル酸ジメチル244部、エチレングリコール80部、ネオペンチルグリコール73部および触媒としてテトラブチルチタネート(TBT)を0.1部と酸化防止剤イルガノックス1330を0.6部仕込み190℃〜230℃で3時間エステル交換反応を進行させた。ついで250℃に昇温後、減圧下に80分重合し、ポリエステル樹脂(C)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(C)の組成、数平均分子量、ガラス転移点、屈折率を表1に示した。
共重合ポリエステル樹脂(A)成分のかわりに共重合ポリエステル樹脂(D)を用いた塗布液(D)を用いた以外は実施例2と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
温度計、攪拌棒、リービッヒ冷却管を具備した1Lの4つ口フラスコにテレフタル酸ジメチル58部、イソフタル酸ジメチル58部、エチレングリコール80部、ネオペンチルグリコール73部および触媒としてテトラブチルチタネート(TBT)を0.1部仕込み190℃〜230℃で3時間エステル交換反応を進行させた。ついでアジピン酸58部を追加投入し250℃に昇温後、減圧下に80分重合し、ポリエステル樹脂(D)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(D)の組成、数平均分子量、ガラス転移点、屈折率を表1に示した。
Claims (5)
- 少なくとも片面にナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分とビスフェノールA骨格を有するグリコール成分を共重合成分として含む共重合ポリエステル樹脂を主成分とする被覆層が積層されたポリエステルフィルムであって、該共重合ポリエステル樹脂はナフタレン骨格を有するジカルボン酸成分が全酸成分中50モル%以上、かつビスフェノールA骨格を有するグリコール成分が全グリコール成分中50モル%以上共重合され、さらに数平均分子量1000〜6000のポリアルキレングリコールが共重合されている共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする被覆ポリエステルフィルム。
- 前記共重合ポリエステル樹脂が、前記ポリアルキレングリコールを全グリコール成分中0.5〜5モル%の範囲で共重合されている請求項1に記載の被覆ポリエステルフィルム。
- 前記共重合ポリエステル樹脂が、さらに5−ナトリウムスルホイソフタル酸が共重合されている請求項1〜2のいずれかに記載の被覆ポリエステルフィルム。
- 前記被覆層がエポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、オキサゾリン系から選ばれた少なくとも1種の架橋剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被覆ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜4の被覆ポリエステルフィルムの少なくとも片面の前記被覆層上にハードコート層が積層されたハードコートフィルム。
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JP4924381B2 (ja) | 2012-04-25 |
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