JP2009114900A - 内燃機関の燃焼状態検出装置及び燃焼制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】目的の信号のみを特異的に抽出できるよう改善した燃焼状態検出装置を提供する。
【解決手段】燃焼室の混合気の燃焼時に発生するイオンに対応したイオン電流を検出する信号検出部3と、信号検出部3から取得した検出信号S(j)のピーク位置PKを特定するピーク特定部ST5と、ピーク特定部が特定したピーク位置以前の検出信号を、全て前記ピーク位置の検出信号のレベルS(PK)に変換するレベル変換部ST6と、レベル変換部で変換された後の検出信号SIN(i)にデジタルフィルタ処理を施して抽出信号SOUT(i)を取得する信号抽出部ST6と、抽出信号を(式1)によって補正する信号補正部ST7と、を有して構成される。SOUT(i)=SOUT(i)−{SIN(i−DLY)}OFT・・・(式1)
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の運転時に発生するイオン信号を正確に検出できる燃焼状態検出装置、及び直流分を抑制して正確な制御を実現する燃焼制御方法に関する。
本出願人は、既に、イオン信号を正確に抽出して最適なノッキング制御を可能にしたノッキング制御装置について提案している(特許文献1)。
特開2007−239518号公報
この発明は、イオン電流検出部からの検出信号の微分値に基づいて検出信号の信号ピーク値S(PK)を特定し、ピーク位置PKに至るまでの検出信号を信号ピーク値S(PK)に変換した上で、信号ピーク値S(PK)を含む所定の範囲の検出信号S(0)〜S(n)に、BPF(band pass filter)処理を施すことで目的のイオン信号を抽出している。
しかし、BPFをデジタルフィルタで構成した場合、微小ながらオフセット値が重畳してしまい、抽出したイオン信号による燃焼判定に悪影響を及ぼすことがあった。図11は、デジタルフィルタで処理した後の抽出信号を図示したものであり、本来ゼロレベルであるべき領域に、オフセット値が重畳していることが確認される。
ところで、以上のような問題は、単にイオン信号の抽出だけに限定されるものではなく、内燃機関から取得する他の検出信号でも、それに重畳された直流信号を確実かつ簡易に除去することが望まれている。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、より正確に、目的の信号のみを特異的に抽出できるよう改善した燃焼状態検出装置を提供することを課題とする。また、内燃機関からの検出信号から、確実かつ簡易に直流成分を除去することができる燃焼制御方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る燃焼状態検出装置は、燃焼室の混合気の燃焼時に発生するイオンに対応したイオン電流を検出する信号検出部と、前記信号検出部から取得した検出信号S(j)のピーク位置PKを特定するピーク特定部と、前記ピーク特定部が特定したピーク位置以前の検出信号を、全て前記ピーク位置の検出信号のレベルS(PK)に変換するレベル変換部と、前記レベル変換部で変換された後の検出信号SIN(i)にデジタルフィルタ処理を施して抽出信号SOUT(i)を取得する信号抽出部と、前記抽出信号を(式1)によって補正する信号補正部と、を有して構成される。
Figure 2009114900
本発明のデジタルフィルタ処理は、好ましくは、直線位相特性を有するFIR(finite impulse response)フィルタで実現される。更に好ましくは、次数2MのFIRフィルタで実現され、そのインパルス応答h(n)は、Mを中心とする線対称となるべきである。この場合、以下の通り、インパルス応答が長さ2M+1で実数且つ偶関数となる。 h{(M+m)}=h{(M−m)} 但し、m=0,1,・・・,M
最適には、前記(式1)は、補正率OFT=Σh(n)、位相遅れDLY=Mで与えられる。
何れにしても、デジタルフィルタは、好ましくは、低域周波数を減衰域として実行されるべきであり、更に好ましくは、ノイズ周波数である高域周波数を減衰域とし、目的の信号周波数成分のみを通過させるBPFとすべきである。
信号検出部から取得した検出信号S(j)には、少なからず直流成分が含まれているが、レベル変換部で変換された後の検出信号SIN(i)については特に顕著である。そして、このような検出信号SIN(i)に、FIRフィルタによるBPF処理を施しても、BPF処理による抽出信号SOUT(i)には、低レベルながら直流成分がオフセット値として残存する。
しかし、直流成分は、時間経過における変化がないので、BPF処理後の出力は、インパルス応答の総和Σh(n)で決まることになる。そこで、最適には、前記(式1)は、補正率OFT=Σh(n)、位相遅れDLY=Mで計算される。
以上のようなアルゴリズムで直流成分を除去することは、内燃機関の燃焼制御方法一般においても有効に成立する。したがって、本発明は、直線位相特性を有する次数2MのFIRフィルタによりBPF処理を施した後の検出信号SOUT(i)から直流成分を除去する二次補正処理を含んで構成され、前記FIRフィルタのインパルス応答h(n)は、Mを中心として線対称となり、前記二次補正処理が、(式2)で実現される内燃機関の燃焼制御方法でもある。
Figure 2009114900
上記した本発明によれば、レベル変換部と信号抽出部と信号補正部とを有して構成されるので、目的の信号のみを特異的に抽出することができる。また、直流成分を有効に除去できる燃焼制御方法を実現することもできる。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。図1(a)は、実施形態に係る内燃機関用の燃焼制御装置を示す回路図である。この燃焼制御装置は、1次コイル1Pと2次コイル1Sとが電磁結合された点火コイル1と、点火コイル1を断続的に駆動するスイッチングトランジスタ2と、点火コイルの2次コイル1Sに接続されたイオン電流検出回路3と、スイッチングトランジスタ2をON/OFF制御すると共にイオン電流検出回路3からのアナログ検出信号SGを受けるECU(Electronic Control Unit)4とで構成されている。そして、点火コイルの2次コイル1Sとグランドラインとの間に点火プラグ5が接続されている。
図示の通り、スイッチングトランジスタ2のベース端子は、ECU4に接続され、コレクタ端子は、点火コイルの一次コイル1Pに接続され、エミッタ端子は、グランドラインに接続されている。
イオン電流検出回路3は、点火プラグ5の放電電流で充電されるバイアス用のコンデンサCと、コンデンサCに並列接続されてコンデンサCの充電電圧を規制するツェナーダイオードZDと、ツェナーダイオードZDに直列接続されたダイオードD1と、ダイオードD1の両端に接続された増幅部AMPとで構成されている。
ツェナーダイオードZDとダイオードD1のアノード端子は、互いに直結され、ダイオードD1のカソード端子はグランドラインに接続されている。また、ツェナーダイオードZDのカソード端子は、二次コイル1Sに接続されている。
イオン電流検出回路3の増幅部AMPは、反転端子と非反転端子と出力端子とを有する増幅素子Q1と、増幅素子Q1の反転端子に接続される入力抵抗R1と、増幅素子Q1の反転端子と出力端子の間に接続される帰還抵抗R2とで構成されている。なお、増幅素子Q1の反転端子とグランドラインとの間に、増幅素子Q1を保護するためのダイオードD2を接続しても良い。
増幅素子Q1として、この実施形態では、OPアンプを使用している。OPアンプは、その入力インピーダンスがほぼ無限大(≒∞)で、反転端子と非反転端子との間が、仮想的に短絡状態である(imaginary short)。そのため、図1(b)に示す電流Iは、入力抵抗R1と帰還抵抗R2に共通して流れることになり、増幅部AMPの出力電圧Voutは、電流Iと帰還抵抗R2の積となる(Vout=I×R2)。つまり、この増幅部AMPでは、帰還抵抗R2が入力電流Iの検出抵抗として機能している。
図1の回路構成において、二次コイル1Sに負の高電圧が発生すると、図1(a)に示すように、点火プラグ5が点火放電し、点火電流がコンデンサCを充電する。この時、コンデンサCにはツェナーダイオードZDが並列接続されているので、コンデンサCの両端電圧は、ツェナーダイオードZDの降伏電圧Vzに一致する。なお、この放電時には、ダイオードD1が短絡状態(ON)となるので、入力抵抗R1やその他の回路素子に流れる電流を無視することができる。
その後、二次コイル1Sの高電圧が消滅すると(図1(d)参照)、コンデンサCに充電されたバイアス電圧は、図1(b)に示す経路で放電する。この放電電流は、イオン電流Iに他ならず(図1(e)参照)、イオン電流Iは、増幅素子Q1の出力端子→帰還抵抗R2→入力抵抗R1→コンデンサC→二次コイル1S→点火プラグ5の経路で流れる。先に説明した通り、出力電圧Vout=R2×Iの関係が成立するので、増幅部AMPからはイオン電流Iに比例した電圧が得られる。
ECU4は、CPU4aと、A/Dコンバータ4bと、出力ポート4cと、メモリ部4dとを有して構成されている。そして、A/Dコンバータ4bは、イオン電流検出回路3からアナログ検出信号SGを直接的に受けて、これデジタルデータに変換している。また、出力ポート4cからは、スイッチングトランジスタ2のベース端子に向けて点火パルスが出力されている。なお、図示の燃焼制御装置では、イオン電流検出回路3とECU4とが直結されているが、途中にサンプルホールド回路などを設けても良い。
図2(a)は、ECU4による制御動作を説明するフローチャートである。図1のような回路構成で、例えばノック信号を抽出する場合、ノック信号は、一般にイオン電流のピーク位置以降のレベル降下域に存在するので、このピーク位置を正確に抽出することが重要である。そこで、本実施形態では、ピーク位置を正確に抽出した上で(ST5)、ピーク位置以前のデータがピーク値を維持していると擬制してBPF処理を施している(ST6)。また、BPF処理後のデータに残存するオフセット値を除去する補正演算を施している(ST7)。
以下、本発明の特徴部分であるBPF処理(ST6)と、その補正演算処理(ST7)から説明する。図7は、BPF処理に供される検出信号を図示したものであり、ピーク位置PKより以前のデータS(1)〜S(PK−1)については、全てピーク値S(PK)にレベル変換して検出信号SIN(1)〜SIN(n)としている。
ステップST6の処理では、このようなレベル変換後の全データSIN(1)〜SIN(n)についてデジタルフィルタによるBPF処理を施してSOUT(1)〜SOUT(n)を得ている。ここでは、BPF処理のために、図8に示すような、サンプリング周期Tの32次の直線位相FIRフィルタを使用している。
図8のデジタルフィルタの場合、h(nT)をz変換した伝達関数H(z)は、2M=32として、H(z)=Z[h(nT)]=Σh(nT)z−nであり、これを変形すると、
H(z)={α(0)+Σα(mT)(z+z−m)}z−Mとなる。ここで、Σは、m=1〜Mとするシグマ記号であり、h{(M+m)T}=h{(M−m)T}=α(mT)である。なお、m=0,1,・・・,Mである。
図9(a)は、図8に示す32次直線位相FIRフィルタのインパルス応答を示しており、図9(b)は、図8に示すFIRフィルタで実現したBPFの周波数特性を示している。なお、サンプリング周波数は30KHz、サンプリング周期Tは、T=1/30mSである。図9(a)に示すインパルス応答の総和OFTは、OFT=0.003093であるので、結局、ステップST7の処理では、SOUT(i)=SOUT(i)−{SIN(i−DLY)}OFT・・・(式2)の演算によって、直流成分を除去している。
ここで、20log(OFT)は、20log(0.003093)の計算から約−50.2dBであるから、図9(b)に示される直流信号の減衰率に一致することが確認される。ATT=1/OFTで定義する減衰率ATTを使用すると、上記した(式2)は、SOUT(i)=SOUT(i)−{SIN(i−DLY)}/ATTの演算を意味することになる。
図10は、BPF処理後の検出信号SOUT(1)〜SOUT(n)と、この検出信号に、(式2)の補正演算を施した後の抽出信号の波形を図示している。BPF処理後の検出信号SOUT(1)〜SOUT(n)に重畳している直流成分が(式2)の演算によって消滅していることが確認される。このように(式2)の補正演算だけで、正確に目的のノック信号を特異的に抽出できる。
続いて、図2のステップST1〜ST6の処理内容についても説明しておく。但し、処理内容は特許文献1に記載されたものと実質的に同じである。図1及び図2(a)に示す通り、先ず、ECU4は、イオン電流検出回路3から得られるアナログ検出信号SGを、直接A/Dコンバータ4bで受け、デジタル変換されたデータをメモリ部4dに記憶する(ST1)。データ取得時のサンプリング周波数は、ここでは、30KHz程度に設定され、この実施形態ではサンプリング周期τを33μSとしている。なお、実際に取得されるデータは、図2(b)に示す切出しウインドWinの範囲(T)よりやや広い範囲(T+α)のデータであるが、説明の都合上、図2(b)には、点火パルスの立ち下がりタイミング(t=0)から+25mSのデータを全て図示している。
図2(a)のステップST1の処理によって必要な範囲のデータ取得が終われば、次に、メモリ部4dに記憶した切出しウインドWin内のN個の信号入力データS(i)について、D(i)←S(i)−S(i−a)の差分演算によって微分処理を施す(ST2)。ここで、切出しウインドWinの位置及びその時間幅T(=33μS×(N−1))は、発生するイオン電流を確実に捕捉できるよう設定される。
イオン電流は、点火プラグ5の放電終了後に発生するが(図1(e)参照)、点火プラグ5の放電終了時や、発生したイオン電流の消失タイミングは、エンジン回転数やエンジン負荷などの運転条件に応じて動的に変化する。そこで、この実施形態では、運転条件と発生するイオン電流との関係を予め実験的に求めておき、その関係を示すウインド算出テーブルTBL1をメモリ部4dに設けている。そして、実際の運転時には、各種センサから得られるデータに基づいて前記ウインド算出テーブルTBL1を検索し、その検索結果に基づいて、切出しウインドWinの開始位置と終了位置とをリアルタイムに決定している。
図2(b)は、イオン電流検出回路から得られるアナログ信号波形と、時間幅Tの切出しウインドとの関係を図示したものであり、ここでは、点火パルスの立ち下がりタイミング(t=0)を基準にして+4mSから+15mSの範囲を切出しウインドWinとしている。
図3(a)に示すフローチャートの通り、図2(a)の微分処理(ST2)は、i=1・・・NのN個のデータS(i)について、D(i)←S(i)−S(i−a)の演算によって実行される(ST21〜ST23)。図3(b)は、イオン電流検出回路から得られるアナログ検出信号SG(原波形)と、微分演算による微分波形とを図示している。なお、微分処理は、切出しウインド内のN個のデータについて、時間間隔a×τの差分を求めることを意味するが、差分時間間隔a×τは、イオン電流に重畳するノック信号の基本周期τより長いが、イオン電流の基本波周期Wより短く設定される(W<a×τ<W)。このような差分時間間隔a×τを用いて微分処理を実行することによって、イオン電流に重畳するノック信号の影響を排除して、イオン電流波形の全体的な増減傾向を把握することができる。
ところで、イオン電流の基本周波数F=1/Wは、エンジンの回転数やエンジン負荷などの運転条件に応じて動的に変化する。そこで、この実施形態では、運転条件とイオン電流の基本波周期Wとの関係を示すデータテーブルTBL2をメモリ部4dに設け、上記したW<a×τ<Wの条件を満たす時間間隔a×τをリアルタイムに決定している。
但し、イオン電流には、ノック信号だけでなく、他の高周波ノイズが重畳する可能性もある。そこで、イオン電流に重畳する高周波ノイズも含めてノック信号の影響を排除するためには、ノック信号の基本周期τの大小に拘わらず、時間間隔a×τの値を、イオン電流の基本波周期Wより若干短い値(=W−β)に設定するのが好適である。図示例では、運転条件から2.5KHz程度のイオン電流の基本周波数が予想されるので、a×τ<400μSの関係を満たす値としてa=10に設定して、差分時間間隔a×τを330μSにしている。
図2(a)のステップST2の微分処理が終われば、次に、微分値D(i)を微分閾値THと比較し、微分結果フラグFG(i)を算出する(ST3)。図4(a)は、判定処理の具体的な内容を示すフローチャートであり、図4(b)は、微分値D(i)の推移を示す微分波形と、微分波形から算出される微分結果フラグFG(i)との関係を図示している。
図4(a)のステップST32〜ST34に示す通り、変数i=1・・・NのN個のデータについて、微分値D(i)が微分閾値TH以上であれば微分結果フラグFG(i)をFG(i)=0とし、逆に、微分値D(i)が微分閾値TH未満であれば微分結果フラグFG(i)をFG(i)=1とする。ここで閾値THは、適宜に設定されるが、通常は、TH=0とすれば足りる。
なお、閾値TH=0と設定した場合、アナログ信号波形SGが時間軸方向に増加傾向(D(i)>0)となる時間帯は、判定処理(ST3)によって微分結果フラグFG(i)が0となり、逆に、アナログ信号波形SGが時間軸方向に減少傾向(D(i)<0)となる時間帯は、微分結果フラグFG(i)が1となる。
何れにしても、図2(a)のステップST3の処理によって微分結果フラグFG(i)を算出したら、次に、N個の微分結果フラグFG(i)について、時間軸上を逆向きに(換言するとFG(N)からFG(1)まで降順に)、特殊なカウント処理を行う(図2のST4)。
図5(a)に示す通り、このカウント処理では、最初にカウンタ変数CTの全領域をゼロクリアした後(ST41)、i=Nから開始してi=1まで時間軸上を逆向きに、ステップST43〜ST48の処理を実行する。ここで、時間軸上を逆方向に処理するのは、(a)ノック信号は、イオン電流波形のピーク位置から波形終了までに存在すること、及び(b)エンジン点火からイオン電流のピーク位置に至るまでの波形は比較的乱れやすいため、時間軸上を正方向に処理するとイオン電流のピーク位置を誤検出する可能性が高まること、のためである。
図5(a)に示すステップST43〜ST48の処理を具体的に説明すると、変数iに対する処理では、先ず、微分結果フラグFG(i)の値が1か否か判定される(ST43)。そして、微分結果フラグFG(i)が1であれば、CT(i)←CT(i+1)+1の演算によって、カウンタ値CT(i)を、時間軸上の上隣りのカウンタ値CT(i+1)より一つ増加させる(ST47)。一方、微分結果フラグFG(i)が0であれば、時間軸上で時間軸変数iより上方であって、後述するパルス幅(スキップ幅)の基準幅bのカウンタ値CT(i+1),CT(i+2),・・・,CT(i+b)が同一値か否かが判定される(ST44)。
そして、全てのカウンタ値が同一値であれば、カウンタ値CT(i)をゼロクリアし(ST45)、逆に、一致しないカウンタ値が存在すれば、CT(i)←CT(i+1)の演算によってカウンタ値CT(i)の値を一つ上方のカウンタ値CT(i+1)と同一値にする(ST46)。
図5(a)のアルゴリズムにおいて、パルス幅(スキップ幅)の基準幅b(時間換算するとb×τ)は、イオン電流のピーク位置を検出する際に、ノック信号の影響を排除するための時間幅であり、ノック信号の基本周期に基づいて決定される。そして、この実施形態では、内燃機関の構造からノック信号の周波数が7KHz程度と特定されるので、そのノック信号の影響を排除するべくb=3としている。この場合、基準幅b=3を時間換算するとb×τ=66μSとなり、一周期66×2μSを周波数に換算すると約5KHzであり、ノイズ成分も含めて、5KHz以上の不要成分の影響を排除できることになる。
図5(b)は、パルス幅(スキップ幅)の基準幅bをb=3に設定した場合について、図5(a)のアルゴリズムを説明するための図面であり、メモリ部4dに確保されている微分結果フラグ領域FGとカウンタ領域CTとを示している。b=3に設定した場合には、カウンタ領域CT(i)の値を決定する際には、微分結果フラグFG(i)の値が問題になり(ST43)、FG(i)=0なら、CT(i+1)、CT(i+2)、CT(i+3)の値が問題になり、全て同一値なら、ゼロクリアされた値がカウンタ領域CT(i)に格納される(ST45)。また、CT(i+1)、CT(i+2)、CT(i+3)の値が一致しなければ、CT(i+1)の値がそのままカウンタ領域CT(i)に格納される(ST46)。
以上の通り、このアルゴリズムでは、微分結果フラグFG(i)=1の場合だけ、カウンタ値がインクリメント(+1)される。先に説明した通り、微分結果フラグFG(i)=1は、時間間隔a×τの微分値D(i)が、閾値THより小さいことを意味するが(D(i)<TH)、特に、閾値TH=0に設定した本実施形態では、微分結果フラグFG(i)=1は、時間軸正方向の微分値D(i)が負であることを意味する。
何れにしても、本実施形態では、時間軸上の上方から下方に向けて特殊なカウント演算を行い、微分結果フラグFG(i)が1の場合だけ、カウンタ値をインクリメント(+1)する。そして、微分結果フラグFG(i)が0の場合には、それが基準幅b分だけ連続しない限り、カウンタ値を変化させず、もし基準幅b以上に連続してFG(i)=0の場合には、カウンタ値をゼロクリアする。したがって、時間軸上逆向きに原波形が単調増加する状態を、カウンタ値で算出することになり、ノック信号のように、途中に増減する部分が含まれていても、これは読み飛ばされることになり、なだらかなピークのみが抽出される。
さて、図2に戻って説明を続けると、図2(a)のステップST5の処理では、カウンタ領域CT(1)〜CT(N)の各数値から、その最大値を抽出し、最大値を示すカウンタ位置からイオン電流のピーク位置PKを特定する。このステップST1〜ST5の処理によって、イオン電流のピーク位置i=PKが正確に特定されるので、後は、イオン電流のピーク位置以前(i<PK)の信号入力データS(i)を、全てピーク位置の信号入力データのレベルS(PK)に書換える(ST6)。つまり、i=1〜PK−1の各データについて、S(i)←S(PK)の書換え演算を実行する。その結果、信号入力データS(i)は、i=1〜PKまでは交流成分を含まない直流値S(PK)となる。
そして、このような補正演算を行った後に、BPF処理を行うことになる(ST6)。そのため、従来技術のように、切出しウインドWinの開始点で、突然、信号入力データS(i)が立ち上がるような弊害があり得ず、図8に示すデジタルフィルタによるBPF処理によって目的のノック信号がSOUT(i)が抽出される。
但し、ステップST6のBPF処理によっても、直流成分が少なからず残存するので、その後は、SOUT(i)=SOUT(i)−{SIN(i−DLY)}OFT・・・(式2)の処理によって不要成分を削除する(ST7)。これらの点は、最初に説明した通りである。
以上の通り、本実施形態によれば、直流成分を排除して、目的の信号のみを正確に抽出することができる。なお、以上説明した具体的な内容は特に本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱することなく各種の改変が可能である。
例えば、実施形態の装置ではノック信号を特異的に抽出しているが、何らノック信号に限定されるものではなく、不要な低周波成分の重畳した各種の検出信号から、(式2)の演算によって、低周波成分を除去することができる。特に、検出信号に切出し区間が設けられている場合、及び/又は、検出信号の一部を所定の直流レベルに変換する処理が、デジタルフィルタ処理後に先行するような場合には、本発明が極めて有効に機能する。
なお、特殊カウント処理についても適宜に変更可能である。図6は特殊カウント処理を別のアルゴリズムを例示したものであり、微分結果フラグFG(i)=0の場合には、時間軸の上側のb−1個の微分フラグFG(i+1),FG(i+2)・・・FG(i+b−1)が全てゼロか否かを判定している(ST44)。この場合にも、実質的に図5の場合と同様の処理が実行されて、イオン電流のピーク位置を正確に抽出することができる。
実施形態に係るノッキング制御装置の回路構成を示す回路図である。 ワンチップマイコンの制御動作の概要を示すフローチャートと、イオン電流検出回路の検出信号波形である。 微分処理を示すフローチャートと、微分波形の波形図である。 判定処理を示すフローチャートと、微分結果フラグ及びカウント演算結果を示す図面である。 カウンタ処理を示すフローチャートと、カウントアルゴリズムを説明する図面である。 別のカウント処理を説明する図面である。 BPF処理に供されるレベル変換後の検出信号を図示したものである。 BPF処理を実現するデジタルフィルタの処理内容を図示したものである。 図8のデジタルフィルタのインパルス応答と周波数特性を図示したものである。 BPF処理後の波形と、それを更に補正処理した後の波形である。 従来技術の問題点を説明する図面である。
符号の説明
3 信号検出部
ST5 ピーク特定部
ST6 レベル変換部
ST6 信号抽出部
ST7 信号補正部

Claims (8)

  1. 燃焼室の混合気の燃焼時に発生するイオンに対応したイオン電流を検出する信号検出部と、
    前記信号検出部から取得した検出信号S(j)のピーク位置PKを特定するピーク特定部と、
    前記ピーク特定部が特定したピーク位置以前の検出信号を、全て前記ピーク位置の検出信号のレベルS(PK)に変換するレベル変換部と、
    前記レベル変換部で変換された後の検出信号SIN(i)にデジタルフィルタ処理を施して抽出信号SOUT(i)を取得する信号抽出部と、
    前記抽出信号を(式1)によって補正する信号補正部と、を有して構成されることを特徴とする内燃機関の燃焼状態検出装置。
    Figure 2009114900
  2. 前記デジタルフィルタ処理は、直線位相特性を有するFIR(finite impulse response)フィルタで実現される請求項1に記載の燃焼状態検出装置。
  3. 前記デジタルフィルタ処理は、次数2MのFIRフィルタで実現され、そのインパルス応答h(n)は、Mを中心として線対称となる請求項1又は2に記載の燃焼状態検出装置。
    h{(M+m)}=h{(M−m)} 但し、m=0,1,・・・,M
  4. 前記(式1)は、補正率OFT=Σh(n)、位相遅れDLY=Mである請求項3に記載の燃焼状態検出装置。
  5. 前記デジタルフィルタ処理は、低域周波数を減衰域として実行される請求項1〜4の何れかに記載の燃焼状態検出装置。
  6. 前記デジタルフィルタ処理は、ノイズ周波数である高域周波数を減衰域とし、目的の信号周波数成分のみを通過させるBPFとして実行される請求項1〜5の何れかに記載の燃焼状態検出装置。
  7. 前記ピーク特定部は、前記信号検出部から取得した検出信号S(j)を微分演算し、その微分演算結果に基づいて前記ピーク位置PKを特定する請求項1〜6の何れかに記載の燃焼状態検出装置。
  8. 直線位相特性を有する次数2MのFIRフィルタによりBPF処理を施した後の検出信号SOUT(i)から直流成分を除去する二次補正処理を含んで構成され、
    前記FIRフィルタのインパルス応答h(n)は、Mを中心として線対称となり、
    前記二次補正処理が、(式2)で実現されることを特徴とする内燃機関の燃焼制御方法。
    Figure 2009114900
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