JP5318398B2 - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車エンジンなどの内燃機関において、放電ノイズの終了タイミングを実データに基づいて特定することで、最適な切出し区間でイオン電流信号を抽出することができる燃焼制御装置に関する。
内燃機関の燃焼室で発生するイオン電流に着目して、失火状態などを検出する研究が進められており、各種のイオン電流検出装置が提案されている。
しかし、どのような構成の検出装置であっても、点火コイルの二次コイルには浮遊容量が存在するため、この浮遊容量と二次コイルとによってLC共振回路が形成されることは避けられない。そのため、点火プラグの火花放電終了直後に、点火コイルの残留磁気エネルギによってLC共振波(放電ノイズ)が発生することになり、この放電ノイズが、イオン電流検出信号に重畳してしまう。
そこで、一般には、この放電ノイズ区間をエンジンの構成や運転条件に合わせて予め実験的に特定しておき、放電ノイズ区間(マスク区間)の後のイオン電流検出信号を解析して失火状態などを判定するようにしている。
しかし、前記したマスク区間については、ある程度の余裕をもって設定せざるを得ないので、実際の放電ノイズ区間が、予定より短い場合には、イオン電流検出信号の重要部分を読み落とすことになる。そのため、例えば、燃焼速度が速い場合には、燃焼状態になるにも拘わらず、これを失火状態であると誤判定してしまう。
ここで、放電ノイズ区間を最適に抽出する方法として、例えば、特許文献1に記載された発明も提案されているが、この発明では専用のハードウェア回路が必要となり、コスト的にもスペース的にも簡易性に欠ける。
特開2002−188552号公報
本発明は、この問題点に鑑みてなされたものであって、専用回路を追加することなく、ソフトウェア処理だけで、放電ノイズの終了タイミングを正確に把握できるようにした内燃機関の燃焼制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明者が種々検討した結果、(a)放電ノイズはLC共振によるため、いつでもほぼ左右対称であると考えて良いこと、また、(b)放電ノイズ波形と本来のイオン電流波形とは、その急峻度において区別可能であること、に着目して本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る燃焼制御装置は、点火プラグに高電圧を供給して放電動作を実現する点火コイルと、スイッチング動作によって前記点火コイルに高電圧を誘起させるスイッチング素子と、前記点火プラグの放電動作と逆方向の電流を検出するイオン電流検出回路と、前記イオン電流検出回路の検出信号を受ける電子制御回路とを備え、前記電子制御回路は、前記点火プラグに高電圧が供給された後の検出信号を記憶する記憶手段と、記憶手段が記憶した検出信号そのもの、又は、記憶手段が記憶した検出信号からノイズ信号を排除した検出信号の何れか一方を評価して、評価対象の検出信号のレベルとその偏差レベルとに基づいて、検出信号が急増し続ける急増区間の時間幅を特定する区間特定手段と、前記急増区間を終えた検出信号が減少を開始するか否かを判定し、減少を開始する場合には、この減少開始タイミングと前記急増区間の時間幅との加算値に対応して放電ノイズの終了タイミングを予備的に特定する予備特定手段と、予備特定手段が機能した後、減少を開始した検出信号が微増を開始するか否かを判定し、微増を開始する場合には、予備特定手段の特定に代えて、微増開始タイミングを放電ノイズの終了タイミングとする最終特定手段と予備特定手段又は最終特定手段で特定された放電ノイズの終了タイミング以後の検出信号について解析する解析手段と、を有して構成される。
前記第二手段は、好ましくは、前記偏差レベルが連続して所定の閾値を超える場合に、その連続回数をカウントする処理と、急増フラグをセットする処理とを含んで構成される。また、前記第三手段は、好ましくは、前記微増の連続回数が所定の閾値を超えた場合に、それ以前が急増区間であったことを条件に、前記放電ノイズの終了タイミングを特定する。
更にまた、前記第三手段又は前記第四手段によって前記放電ノイズの終了タイミングが特定された後も、前記第一手段で記憶された全ての前記検出信号について、前記第二手段乃至前記第四手段が機能するよう構成されているのが好ましい。
以上説明した本発明によれば、燃焼サイクル毎に取得した実データに基づいて放電ノイズ区間を正確に特定するので、イオン電流検出信号の読み落しがない。また、第一手段乃至第五手段は、全てソフトウェアによって実現できるので、専用回路を必要としない。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。図1(a)は、実施形態に係る内燃機関用の燃焼制御装置を示す回路図である。この燃焼制御装置は、1次コイル1Pと2次コイル1Sとが電磁結合された点火コイル1と、点火コイル1を断続的に駆動するスイッチングトランジスタ2と、点火コイルの2次コイル1Sに接続されたイオン電流検出回路3と、スイッチングトランジスタ2をON/OFF制御すると共にイオン電流検出回路3からのアナログ検出信号SGを受けるECU(Electronic Control Unit)4とで構成されている。そして、点火コイルの2次コイル1Sとグランドラインとの間に点火プラグ5が接続されている。
図示の通り、スイッチングトランジスタ2のベース端子は、ECU4に接続され、コレクタ端子は、点火コイルの一次コイル1Pに接続され、エミッタ端子は、グランドラインに接続されている。
イオン電流検出回路3は、点火プラグ5の放電電流で充電されるバイアス用のコンデンサCと、コンデンサCに並列接続されてコンデンサCの充電電圧を規制するツェナーダイオードZDと、ツェナーダイオードZDに直列接続されたダイオードD1と、ダイオードD1の両端に接続された増幅部AMPとで構成されている。
ツェナーダイオードZDとダイオードD1のアノード端子は、互いに直結され、ダイオードD1のカソード端子はグランドラインに接続されている。また、ツェナーダイオードZDのカソード端子は、二次コイル1Sに接続されている。
イオン電流検出回路3の増幅部AMPは、反転端子と非反転端子と出力端子とを有する増幅素子Q1と、増幅素子Q1の反転端子に接続される入力抵抗R1と、増幅素子Q1の反転端子と出力端子の間に接続される帰還抵抗R2とで構成されている。なお、増幅素子Q1の反転端子とグランドラインとの間に、増幅素子Q1を保護するためのダイオードD2を接続しても良い。
増幅素子Q1として、この実施形態では、OPアンプを使用している。OPアンプは、その入力インピーダンスがほぼ無限大で、反転端子と非反転端子との間が、仮想的に短絡状態である(imaginary short)。そのため、図1(b)に示す電流Iは、入力抵抗R1と帰還抵抗R2に共通して流れることになり、増幅部AMPの出力電圧Voutは、電流Iと帰還抵抗R2の積となる(Vout=I×R2)。つまり、この増幅部AMPでは、帰還抵抗R2が入力電流Iの検出抵抗として機能している。
図1の回路構成において、二次コイル1Sに負の高電圧が発生すると、図1(a)に示すように、点火プラグ5が点火放電し、点火電流がコンデンサCを充電する。この時、コンデンサCにはツェナーダイオードZDが並列接続されているので、コンデンサCの両端電圧は、ツェナーダイオードZDの降伏電圧Vzに一致する。なお、この放電時には、ダイオードD1が短絡状態(ON)となるので、入力抵抗R1やその他の回路素子に流れる電流を無視することができる。
その後、二次コイル1Sの高電圧が消滅すると(図1(d)参照)、コンデンサCに充電されたバイアス電圧は、図1(b)に示す経路で放電する。この放電電流は、放電ノイズが先行するイオン電流に他ならず(図1(e)参照)、これらの放電電流Iは、増幅素子Q1の出力端子→帰還抵抗R2→入力抵抗R1→コンデンサC→二次コイル1S→点火プラグ5の経路で流れる。先に説明した通り、出力電圧Vout=R2×Iの関係が成立するので、増幅部AMPからは放電電流Iに比例した電圧が得られる。
ECU4は、CPU4aと、A/Dコンバータ4bと、出力ポート4cと、メモリ4dとを有して構成されている。そして、A/Dコンバータ4bは、イオン電流検出回路3からアナログ検出信号SGを直接的に受けて、これをデジタルデータに変換している。また、出力ポート4cからは、スイッチングトランジスタ2のベース端子に向けて点火パルスが出力されている。なお、図示の燃焼制御装置では、イオン電流検出回路3とECU4とが直結されているが、途中にサンプルホールド回路などを設けても良い。
図1の回路構成において、ECU4は、点火パルスの立下りタイミング以降の検出信号SGをメモリ4dに記憶している。そして、各燃焼サイクル毎に、記憶された検出信号の挙動を解析することで放電ノイズ区間(マスク区間)を特定し、それ以降の切出しウインドWinの検出信号から失火判定などを行っている(図1(f)参照)。
図2は、ECU4のメモリ4dに記憶された検出信号を解析して、放電ノイズ区間を特定するECU4の処理内容を説明するフローチャートである。なお、このプログラムで使用される変数N、急増カウンタCNT、微増カウンタLO、及び急増フラグFLGは、初期条件として、全てゼロに初期設定されている。
また、図2の処理を実行するに先立って、ECU4のメモリ4dには、検出信号SG(N)の他に、偏差を示す微分信号DIF(N)=SG(N+1)−SG(N)が記憶されている。図3は、図2の処理内容を説明するための原理図であり、便宜上、正弦波に擬制した検出信号SG(N)と、検出信号SG(N)より90度位相が進んだ微分信号DIF(N)とを図示している。一方、図4は、図2の処理に供される実際の検出信号SG(N)と微分信号DIF(N)について、それらの一例を示す波形図である。
以下、図2に基づいて説明すると、ECU4のCPU4aは、メモリ4dに記憶された検出信号SG(N)を特定する変数Nをインクリメントした後(ST1)、全ての検出信号SG(N)について処理を完了したか否かを判定する(ST2)。そして、未だ全ての処理が完了していない場合には、N番目の検出信号SG(N)が閾値THを超えているか否かを判定する(ST3)。検出信号の閾値THは適宜に設定されるが、図4の場合には、0.14に設定されている。なお、この閾値THは、低レベルの検出信号SG(N)を読み飛ばすために使用され、SG(N)<THの場合にはステップST1の処理に移行される。
一方、SG(N)≧THである場合には、次に、微分信号DIF(N)が閾値THを超えるか否かが判定される(ST4)。この閾値THは、放電ノイズと本来のイオン電流信号とを区別するために使用され、実験的に最適値が特定されるが、図4の場合には、0.1が使用されている。
そして、ステップST4の判定において、DIF(N)≧THであった場合には、急増カウンタCNTをインクリメントすると共に、急増フラグFLGを1にセットする(ST5)。また、微増カウンタLOをゼロにリセットする(ST5)。微増カウンタLOをリセットするのは、ステップST7の微増処理を実行した後に、ステップST5の急増処理を実行する可能性もあるからである。
ステップST3〜ST5の処理を、図3に基づいて確認すると、タイミングT1〜T2では検出信号SG(N)が急増する。また、微分信号DIF(N)は、90度位相が進んだ状態で正レベルであるので、DIF(N)≧THである限り、急増カウンタCNTは、増加を続けることになる(ST5)。しかし、その後、DIF(N)<THとなると、ステップST4からステップST6に処理が移行される。
ステップST6では、微分信号DIF(N)の正負が判定されるが、図3の例では、DIF(N)<0であるから、急増フラグFLGの値が判定される(ST12)。この時には、ステップST5の処理によって、急増フラグFLGが既に1にセットされているので、放電ノイズの終了タイミングが、一応、N+CNTに設定される(ST13)。これは、放電ノイズが、基本的にLC共振波であって左右対称形となるので、急増カウンタCNTの値で特定される急増区間と同じ区間だけ、急減区間が生じると仮定して良いからである。したがって、図3の場合には、タイミングT3が、放電ノイズの終了タイミングであると、ステップST13の処理によって特定される。
次に、急増フラグFLGと急増カウンタCNTとをゼロリセットして(ST11)、ステップST1に処理に戻る。図3の場合であれば、その後、タイミングT2〜T3の間、ステップST1→ST2→ST3→ST4→ST6→ST12→ST11→ST1・・・の処理を繰り返す。
その後、タイミングT3を過ぎると、微分信号DIF(N)が正となり、且つ、微分信号DIF(N)が閾値THを超えるので(DIF(N)≧TH)、再度、ステップST5の処理が繰り返されることになる。つまり、急増カウンタCNTの値が、再度ゼロから増加して、タイミングT3〜T4の急増区間を特定する。
その後、タイミングT4を過ぎると、DIF(N)<0となるので、急増フラグFLGの値が判定される(ST12)。この時には、ステップST5の処理によって、急増フラグFLGが再度1にセットされているので、放電ノイズの終了タイミングがN+CNTに設定される(ST13)。したがって、図3の場合には、タイミングT4+Tが、放電ノイズの終了タイミングであると、ステップST13の処理によって特定される。
次に、急増フラグFLGと急増カウンタCNTとがゼロリセットされ(ST11)、ステップST1に処理に戻る。その後、暫くは、ステップST1→ST2→ST3→ST4→ST6→ST12→ST11→ST1の処理を繰り返すが、やがて、タイミングT5の付近で検出信号SG(N)が微増を開始する。
すると、ステップST6の判定からステップST7の処理に移行して、微増カウンタLOと急増カウンタCNTとが共にインクリメントされる。そして、増加後の微増カウンタLOの値が閾値THを比較され(ST8)、LO<THである限り、ステップST1→ST2→ST3→ST4→ST6→ST7→ST8の処理が繰り返される。閾値THの値も実験的に最適値が選択されるが、例えば、閾値TH=2となる。
したがって、例えば、ステップST7の処理を二回実行した後、急増区間を経た直後の微増区間である場合には、このタイミングが放電ノイズ区間の終了時であると判定される(ST10)。具体的には、変数Nの値によって、放電ノイズの終了タイミングが特定される。したがって、タイミングT4で、ステップST13の処理で特定された放電ノイズの終了タイミングが、ステップST10の処理によって新規に書き直されることになる。
その後も、図2の処理は継続されるが、急増区間が生じない限り、ステップST10の処理で設定された放電ノイズの終了タイミングが書き直されることはない。つまり、図3の波形においは、放電ノイズの終了タイミングが、ステップST10の処理で特定された状態で、全ての検出信号SG(N)の処理が終わる。
次に、図2の処理について、図3の波形とは別の挙動を示す図4の検出信号の波形に基づいて説明する。図4に示す検出信号SG(N)では、3つの波形ピークが現れるので、波形ピークが現れる毎に、放電ノイズの終了タイミングは、N+CNTであると設定される(ST13)。そして、3番目の波形ピークの後、急減した波形が、急減傾向の途中から微増を開始するが、微分信号DIF(N)が閾値THを超えることは無いので、ステップST5の処理が実行されることはない。また、微分信号DIF(N)は、正であっても、微増カウンタLOのカウント値が閾値THを超えないので、ステップST10の処理が実行されることもない。
したがって、3番目の波形ピーク時に設定された、放電ノイズの終了タイミング(N+CNT)がそのまま維持されて全ての処理を終える。具体的に確認すると、3番目の波形ピークは、正の微分信号DIFを2つ経て達成されているので(CNT=2)、3番目の波形ピーク位置(N=27)から+2の位置(N+2=29)が、放電ノイズの終了タイミングであると特定される。したがって、N=30以降の検出信号が本来のイオン電流検出信号であるとして、波形の解析処理が実行される。特に限定されるものではないが、N=30以降の切出しウインドWin(図1(f)参照)の範囲内の検出信号について、BPF(Band Pass Filter)処理によって、イオン電流検出信号が抽出される。
以上の通り、この実施形態では、各燃焼サイクルの実データに基づいて、放電ノイズの終了タイミングを特定するので、最適な切出しウインドWinを設定することができ、イオン電流波形を読み落とすことがない。
ところで、以上の説明では、A/Dコンバータ4bが取得する検出信号SGには、コロナノイズなどのスパイクノイズが重畳していない理想的な場合を想定している。しかし、実際には、碍子部の帯電状態に応じて、不規則にスパイク状のコロナノイズが発生するのが実情であり、かかるスパイクノイズが発生した場合にも、確実に、放電ノイズ区間を検出する必要がある。
そこで、図2の処理に先行して、検出信号SGからスパイクノイズを除去するのが効果的である。スパイクノイズの除去方法は、特に、限定されないが、好ましくは、図5〜図8に示す方法が例示される。
図5(a)は、この除去アルゴリズムの全体構成を図示したものである。図示の通り、ECU4は、イオン電流検出回路3から得られるアナログ検出信号SGを、直接A/Dコンバータ4bで受け、デジタル変換されたデータSG(i)をメモリ部4dに記憶する(SP1)。なお、ここでは、点火パルスの立下り後の全てのデータSG(i)を記憶する。
このデータ取得処理では、検出信号に重畳する放電ノイズを正確に取得する必要があるので、サンプリング周波数は、放電ノイズの周波数の2倍以上に設定される。放電ノイズの周波数は、点火コイルのインダクタンスや浮遊容量などで決まるが、以下の説明では、放電ノイズの周波数が例えば5KHzであるとする。そのため、この実施例では、サンプリング周波数F>2×5KHzの条件を満たす値として、サンプリング周波数Fを約20KHz、言い換えると、サンプリング周期τ(=1/F)を50μSとしている。なお、イオン電流信号を含む検出信号SGを、精密に取得する意味では、サンプリング周波数Fを約30KHz程度に設定するべきであるが、ここでは、便宜上、サンプリング周波数Fが20KHzであるとする。
図5(a)のステップSP1の処理によって必要な範囲のデータ取得が終われば、次に、メモリ部4dに記憶したN個の信号入力データSG(i)について、差分演算によって微分処理を施す(SP2)。図5(b)のフローチャートに示す通り、微分処理(SP2)は、i=1・・・NのN個のデータSG(i)について、D(i)←SG(i)−SG(i−1)の差分演算によって実行される(SP21〜SP23)。
このようにして微分処理(SP2)が終われば、次に、微分値D(i)を微分閾値THと比較し、急傾斜フラグTn(i)を算出する(SP3)。図6(a)は、急傾斜フラグTn(i)の算出処理を示すフローチャートである。
図示の通り、i=1〜nについて昇順に、微分値D(i)と閾値THとを比較し(SP32)、D(i)≧THであれば、一つ手前の微分値D(i−1)が閾値THより小さいことを条件に(SP33)、急傾斜フラグTn(i)を1にする(SP34)。一方、微分値D(i)が閾値THより小さい場合、或いは、D(i)≧THであっても、一つ手前の微分値D(i−1)も含め、D(i−1)≧THである場合には、急傾斜フラグTn(i)を0にする(SP35)。
以上の処理は、要するに、i=1〜nについて昇順に判定し、初めてD(i)≧THとなった場合には、急傾斜フラグTn(i)=1に設定することを意味する(図6(c)参照)。したがって、仮にその後も、微分値D(i+1)、D(i+2)・・・の値が、連続して閾値TH以上であったとしても、各急傾斜フラグTn(i+1)、Tn(i+2)・・・は、全て0に設定される。このような処理によって、イオン電流波形が急上昇を開始する位置を検出できることになる。なお、検出信号が急上昇を開始するのは、検出信号に放電ノイズが重畳しているか、或いは、スパイクノイズが重畳しているためである。
図6(a)の判定処理で使用する閾値THは、取得した検出信号波形やその微分波形の統計値に基づいて適宜に設定される。例えば、正の値を示す微分値(D(i)>0)のみを積和演算して平均値AVを求め(AV=ΣD(j)/M)、算出した平均値AVに、適宜な定数γを積算することで閾値THとすれば良い(TH=γ×AV)。或いは、また、正の値を示す微分値D(i)について、平均値AVと標準偏差σとを算出し、これらに基づいて閾値THを決定するもの好適である。
何れにしても、図6(a)の処理によって急傾斜フラグTn(i)を算出したら、次に、N個の急傾斜フラグTn(i)について、その値が1を示す時間間隔を判定する。すなわち、放電ノイズによる急傾斜開始位置には、一定の時間周期αがある筈であり、しかも、その時間周期αは、点火回路の構成に基づいて予め特定されている。これに対して、コロナノイズは、ランダムに発生するので、急傾斜開始位置を検索して、それが所定周期τn=α(この例では1/5KHz)で発生していれば放電ノイズであり、そうでなければ、スパイクノイズであると判定することができる。
急傾斜開始位置が、放電ノイズによるものか、或いは、スパイクノイズによるものかの判定処理は、図6(b)に示す通りである。先ず、急傾斜フラグTn(i)が0か1かを判定して(SP41)、もし急傾斜フラグTn(i)=1であれば、続いて所定周期α以前(Tn(i−α))か、或いは、所定周期α以降(Tn(i+α))に、急傾斜開始位置が存在するか否かを判定する(SP42)。なお、この実施例では、放電ノイズの周期が200μS(=1/5KHz)であるのに対してサンプリング周期τが50μSであるので、α=4(=200/50)となり、Tn(i−3)、Tn(i−4)、Tn(i+3)、Tn(i+4)の全てが判定対象となる。
そして、急傾斜フラグTn(i−3)、Tn(i−4)、Tn(i+3)、Tn(i+4)のいずれか1であれば、急傾斜フラグTn(i)=1は、放電ノイズによる急傾斜開始位置を意味していると判定して、ノイズフラグNS(i)をNS(i)=0に設定する(SP44)。一方、急傾斜フラグTn(i−3)、Tn(i−4)、Tn(i+3)、Tn(i+4)の全てが0であれば、急傾斜フラグTn(i)=1は、スパイクノイズによる急傾斜開始位置を意味していると判定して、ノイズフラグNS(i)をNS(i)=1に設定する(SP43)。なお、図4(c)では、i=Xの位置にスパイクノイズが検出されて、NS(X)=1となっている。
以上のようにしてスパイクノイズを特定すると、信号入力データSG(i)のうち、スパイクノイズと思われるデータを補正して、スパイクノイズを削除する(図5(a)のSP5)。図7は、そのノイズ除去処理を具体的に説明するフローチャートである。
先ず、i=1〜Nについて昇順に、ノイズフラグNS(i)が1であるか否かを判定する(SP52)。そして、例えばノイズフラグNS(X)がNS(X)=1であれば、i=Xの位置を基準にして、時間軸前方と時間軸後方に、開始基準位置BGNと終了基準位置ENDとを決定する(SP53)。
開始基準位置BGNと終了基準位置ENDの具体的な決定手法は適宜であるが、例えば、開始基準位置は、急傾斜フラグTn(BGN)=0であることを条件に、BGN=X−2に決定される。但し、急傾斜フラグTn(BGN)=Tn(X−2)=1であれば、BGN=X−1とする。なお、本実施例では、図6(a)のステップSP32〜SP33の処理を設けているので、Tn(X)は急傾斜の開始位置であって、一つ手前でTn(X−1)=1となることはない。
一方、終了基準位置ENDは、Tn(X+1)〜Tn(X+α−1)が全て0であることを条件にEND=X+αとされる。この実施例ではα=4となるので、Tn(X+1)〜Tn(X+α−1)の判定ではα=4を使用し、終了基準位置はEND=X+4とする。但し、もしTn(X+1)〜Tn(X+α−1)の範囲内に0でないものが存在し、例えば、時間軸上最初にTn(X+β)が1となるのであれば、終了基準位置ENDを一つ手前の(X+β−1)とする。
上記のようにして、開始基準位置BGNと終了基準位置ENDとが決まれば(SP53)、信号入力データSG(i)について、SG(BGN)とSG(END)とを仮想的に直線で接続して、SG(BGN+1)〜SG(END−1)の信号入力データを直線補間する(SP54)。図7(c)は、補間処理を図示したものであり、SG(BGN)とSG(END)の値に基づいて、SG(BGN+1)〜SG(END−1)のスパイクノイズが実質的に除去されている。
以上ようにして、放電ノイズを残しつつノイズ成分のみを除去できるので、後は、図2に示す処理によって放電ノイズ区間を特定することになる。以上の通り、本実施例では、放電ノイズの周期性に着目してスパイクノイズを排除するので、スパイクノイズと放電ノイズの周波数帯域に一致しても、スパイクノイズを排除することができる。
なお、上記したアルゴリズムでは、予め特定されている放電ノイズの発生周期α(=τn)のみを根拠にして、放電ノイズとスパイクノイズとを区別しているが、このアルゴリズムに加えて、放電ノイズよりスパイクノイズの方が高周波数であることを利用してスパイクノイズを抽出するもの好適である。
図8は、スパイクノイズ検出について、この別の手法を説明するフローチャートである。図示の通り、先ず、カウンタ変数CNTをゼロクリアした後(SP60)、図6(a)のステップSP3と同様に、i=1〜nについて、急傾斜フラグTn(i)の値を設定してゆく。但し、この場合には、閾値TH’をステップSP3の場合より大きく設定する。この閾値TH’は、スパイクノイズの急峻な立上りのみを特異的に抽出するための閾値であり、放電ノイズの立上り特性より、スパイクノイズの方が鋭く立ち上がることに基づき、閾値TH’が予め実験的に決定されている。但し、この閾値TH’も、微分演算の演算結果から導出される統計値に基づいて決定しても良い。統計値としては、微分演算結果の平均値や標準偏差値が例示されるが、この平均値や標準偏差値は、微分結果の正の値のみから算出するのが好ましい。
何れにしても、図8のアルゴリズムでは、急傾斜フラグTn(i)=1となった個数をカウンタ変数CNTで計数する(SP66)。そして、ステップSP51〜67の処理が終われば、カウンタ変数CNTの値がゼロか否かを判定し(SP68)、もしCNT=0なら処理を終える。
一方、ステップSP68の判定でカウンタ変数CNT≠0であった場合には、カウンタ変数CNTが1か否かを判定する(SP69)。カウンタ変数CYT=1である場合は、特別に急峻な変化を示す信号(高周波ノイズ)が一回だけ検出されたことを意味するので、ステップSP72のデータ補間処理に移行する。なお、データ補間処理は、図7の場合と同じであり、急傾斜フラグTn(i)=1となる前後の信号入力データSG(BGN)〜SG(END)に基づいて、ノイズと判定された信号入力データSG(BGN+1)〜SG(END−1)を補正する。
また、ステップSP69の判定でカウンタ変数CNT>1と判定された場合には、複数個検出された急傾斜フラグTn(i)の発生時間間隔Tを算出する(SP70)。ステップSP62,63の判定における閾値TH’を適宜に設定することにより、急傾斜フラグTn(i)=1となるのは、スパイクノイズ検出を意味している可能性が高い。しかし、急傾斜フラグTn(i)=1となる箇所が複数個存在する場合には、これらが放電ノイズである可能性もある。そこで、ステップSP70の処理で算出された時間間隔Tと、予め特定されている放電ノイズ周期τnとを比較して、時間間隔Tが放電ノイズ周期τnより有意に低い場合には、急傾斜フラグTn(i)=1となる箇所がノイズであると判定する。すなわち、時間間隔Tが放電ノイズ周期τnより有意に低いT<τn−αの場合には、ステップSP72に移行させる。一方、T≧τn−αの場合には、放電ノイズが検出されていると判定して何もしないで処理を終える。
燃焼制御装置の回路構成を示す回路図である。 燃焼制御装置の動作アルゴリズムを示すフローチャートである。 動作アルゴリズムを説明するための原理図である。 イオン電流検出回路の検出信号とその偏差を示す波形図である。 検出信号からスパイクノイズを除去するアルゴリズムを説明するフローチャートである。 図5の一部を詳細に示すフローチャートである。 図5の別の一部を詳細に示すフローチャートである。 図5の更に別の一部を詳細に示すフローチャートである。
符号の説明
1 点火コイル
2 スイッチング素子
3 イオン電流検出回路
4 電子制御回路
5 点火プラグ
SG 検出信号
ST5 第二手段
ST10 第三手段
ST13 第四手段

Claims (2)

  1. 点火プラグに高電圧を供給して放電動作を実現する点火コイルと、スイッチング動作によって前記点火コイルに高電圧を誘起させるスイッチング素子と、前記点火プラグの放電動作と逆方向の電流を検出するイオン電流検出回路と、前記イオン電流検出回路の検出信号を受ける電子制御回路とを備え、
    前記電子制御回路は、
    前記点火プラグに高電圧が供給された後の検出信号を記憶する記憶手段と、
    記憶手段が記憶した検出信号そのもの、又は、記憶手段が記憶した検出信号からノイズ信号を排除した検出信号の何れか一方を評価して、評価対象の検出信号のレベルとその偏差レベルとに基づいて、検出信号が急増し続ける急増区間の時間幅を特定する区間特定手段と、
    前記急増区間を終えた検出信号が減少を開始するか否かを判定し、減少を開始する場合には、この減少開始タイミングと前記急増区間の時間幅との加算値に対応して放電ノイズの終了タイミングを予備的に特定する予備特定手段と、
    予備特定手段が機能した後、減少を開始した検出信号が微増を開始するか否かを判定し、微増を開始する場合には、予備特定手段の特定に代えて、微増開始タイミングを放電ノイズの終了タイミングとする最終特定手段と
    予備特定手段又は最終特定手段で特定された放電ノイズの終了タイミング以後の検出信号について解析する解析手段と、を有して構成される内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 前記予備特定手段は、前記偏差レベルが連続して所定の閾値を超える場合に、その連続回数をカウントする処理と、急増フラグをセットする処理とを含んで構成される請求項1に記載の燃焼制御装置。
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