JP2009114200A - 非対称な構造を有する酸無水物、液晶配向膜および液晶表示素子 - Google Patents

非対称な構造を有する酸無水物、液晶配向膜および液晶表示素子 Download PDF

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典央 田村
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Abstract

【課題】
液晶表示素子に、<1>プレチルト角がラビング時の押込み強度や加熱時の温度条件による影響を受けにくく、<2>配向の欠陥が発生せず、<3>適切な電圧保持率を与え、<4>焼き付きが起きにくいという効果をもたらす配向膜と、その配向膜の原料である酸無水物を提供する。
【解決手段】
下記式(2)で表される酸無水物は、ジアミンと反応してポリアミド酸、ポリイミドまたはポリアミドイミドとなり、これらのポリマーを含有するワニスから、前記の課題を解決する配向膜を製造することができる。

Figure 2009114200

(R、RおよびRは水素または1価の有機基、Aは単結合、アルキレンまたは1つのメチレンが酸素で置き換えられたアルキレン、pおよびqは0または1以上の整数。)
【選択図】 なし

Description

本発明は新規な酸無水物に関する。本発明は該酸無水物を反応させて得られるポリアミド酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、またはこれらの混合物に関する。さらに本発明は該ポリアミド酸、該ポリイミド、該ポリアミドイミド、または該混合物を含有するワニス、該ワニスから製造した配向膜、および該配向膜を用いた液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は画面の大型化やカラー化の要求、コントラストや発色等表示品位における向上の要求、さらに応答時間短縮の要求に応えるために、ツイステッド・ネマティック(Twisted Nematic:TN)から、スーパー・ツイステッド・ネマティック(Super Twisted Nematic:STN)へ、さらに画素一つ一つに薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を取り付けたTFT型表示素子へと発展を遂げた。近年ではそのTFT型表示素子の視野角をさらに拡大するため、または動画表示を目的として応答を高速化するため、イン−プレーン・スイッチング(In-Plain Switching:IPS)方式、垂直配向(Vertical Alignment:VA)方式、または光学補償ベンド(Optically Compensated Bend:OCB)方式等が開発されている。
配向膜は表示素子において液晶分子を一定方向に配向させること、液晶分子に基板平面に対して所望の傾きを付与することの、2つの役割を果たしている。基板平面に対する液晶分子の傾きはプレチルト角と呼ばれる。本明細書中でも以降この呼称を使用する。配向膜には、分子配向の経時的な、化学的な、および熱的な劣化を最小限に抑えるため、ガラス転移点(Tg)が高く耐薬品性や耐熱性に優れたポリイミド薄膜が主に使用されている。配向膜は、通常ポリアミド酸またはポリイミドの溶液(以下ワニスと略す)をスピンナー法や印刷法等により電極付ガラス基板に塗布し、その基板を加熱してポリアミド酸を脱水閉環するか、または溶媒を蒸発させることによってポリイミドの薄膜を得、さらにラビング等の配向処理を行う工程を経て得られる。
このような配向膜には下記のような液晶表示素子にもたらす効果が要求される。
<1>液晶分子に適切なプレチルト角を付与すること。しかも、該プレチルト角が、ラビング時の押込み強度や、加熱時の温度条件による影響を受けにくいこと。
<2>液晶分子の配向の欠陥が発生しないこと。
<3>液晶表示素子に適切な電圧保持率(Voltage Holding Ratio: V.H.R.)を与えること。
<4>液晶表示素子に任意の画像を長時間表示させた後、別の画像に変えた時に前の画像が残像として残る「焼き付き」と呼ばれる現象が起きにくいこと。
特にTFT型表示素子に用いられる高品質な配向膜は、高い電圧保持率を有し、しかも焼き付き現象を起こしにくいことが要求されている。
配向膜用ポリイミドの原料は酸無水物とジアミンである。酸無水物として、下記の式(4)および式(5)の化合物が一般的に知られている。また下記式(6)の化合物が特許文献1に記載されている。

Figure 2009114200
特開昭58−109479号公報
しかしながら、上記式(4)の酸無水物を原料として得られた配向膜を用いた液晶表示素子は、電圧保持率が低下しやすく、また焼き付き現象も起こり易い。上記式(5)の酸無水物を原料として得られた配向膜を用いた液晶表示素子は、電圧保持率が高く、焼き付き現象も起こり難い。しかしながら、ラビング時の押込み強度や加熱の温度条件によってプレチルト角が変化する。また、上記式(6)の酸無水物は合成反応にオゾンを使用するため、製造時に特別な装置が必要である。
本発明は、要求される前記の特性<1>〜<4>を満足する液晶表示素子用の配向膜を得ることができ、しかも容易に合成できる新規な酸無水物を提供する。さらに本発明は、該酸無水物を原料の一つとしてジアミンと反応させて得られる反応生成物を含有するワニス、該ワニスから得られる配向膜、該配向膜を使用した液晶表示素子を提供する。
本発明者は鋭意研究開発を進めた結果、本発明の酸無水物を原料として得られた配向膜を用いた液晶表示素子は、高い電圧保持率を有し、しかも焼き付き現象を起こしにくいという電気特性を有することを見出した。またこの配向膜は、プレチルト角の安定性が優れていた。さらに本発明の酸無水物は特別な反応装置を必要とせず、容易に合成できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を有する。
[1]下記の式(1)で表される酸無水物。
Figure 2009114200
(式中R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または1価の有機基であり、mおよびnはそれぞれ独立して0または1以上の整数であり、そして、mおよびnの両方が同時に0であることはない。)
[2]下記の式(2)で表される酸無水物。
Figure 2009114200
(式中R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または1価の有機基であり、Aは単結合、アルキレンまたは1つのメチレン(−CH2−)が酸素(−O−)で置き換えられたアルキレンであり、pおよびqはそれぞれ独立して0または1以上の整数であり、そして、pおよびqの両方が同時に0であることはない。)
[3]下記の式(3)で表される酸無水物。
Figure 2009114200
(式中Rは水素または1価の有機基であり、Bは単結合、アルキレンまたは1つのメチレン(−CH2−)が酸素(−O−)で置き換えられたアルキレンであり、sおよびtはそれぞれ独立して0または1以上の整数であり、そして、sおよびtの両方が同時に0であることはない。)
[4]式(1)においてR、R、およびRが水素であり、mおよびnの一方が1で、もう一方が0である前記[1]項に記載の酸無水物。
[5]式(1)においてR1が1価の有機基で置換されてもよいフェニルであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素またはメチルであり、mおよびnの一方が1で、もう一方が0である前記[1]項に記載の酸無水物。
[6]式(2)においてR、R、およびRが水素であり、pおよびqの一方が1で、もう一方が0である前記[2]項に記載の酸無水物。
[7]式(2)においてRが1価の有機基で置換されてもよいフェニル基であり、RおよびRがそれぞれ独立して水素またはメチルであり、pおよびqの一方が1で、もう一方が0である前記[2]項に記載の酸無水物。
[8]式(3)においてRが水素または炭素数が1〜12のアルキル基であり、Bが単結合であり、sおよびtの一方が1で、もう一方が0である前記[3]項に記載の酸無水物。
[9]前記[1]〜「8」項のいずれか1項に記載の酸無水物をモノマー成分の1つとして製造したポリアミド酸。
[10]前記[1]〜[8]項のいずれか1項に記載の酸無水物をモノマー成分の1つとして製造したポリイミド。
[11]前記[1]〜[8]項のいずれか1項に記載の酸無水物をモノマー成分の1つとして製造したポリアミドイミド。
[12]前記[9]項に記載のポリアミド酸の少なくとも1つを含有するワニス。
[13]前記[10]項に記載のポリイミドの少なくとも1つを含有するワニス。
[14]前記[11]項に記載のポリアミドイミドの少なくとも1つを含有するワニス。
[15]前記[12]項に記載のワニスから製造した配向膜。
[16]前記[13]項に記載のワニスから製造した配向膜。
[17]前記[14]項に記載のワニスから製造した配向膜。
[18]前記[15]項に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
[19]前記[16]項に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
[20]前記[17]項に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
本発明の新規な酸無水物は、特別な反応設備を用いずに短い合成ルートで製造することができ、産業上非常に有利である。また、本発明の酸無水物を原料としたポリアミド酸、ポリイミドまたはポリアミドイミドを有機溶剤に溶解したワニスとし、該ワニスを電極付ガラス基板に塗布し加熱することによって得られた配向膜は、液晶表示素子に用いることができる。そして該配向膜を備えた液晶表示素子は電圧保持率が高く、焼き付きが少なく、しかも液晶のプレチルト角が加熱に対して安定している。従って本発明により、高機能な液晶表示素子をより安価に提供することが可能になった。また式(1)〜(3)の酸無水物は液晶配向膜用途に設計されたが、その他のポリイミド、ポリアミド、およびポリアニリン等を成分とする他の高分子材料の原料として使用できる。
本発明の第一は式(1)、式(2)または式(3)で表される酸無水物である。これらの酸無水物由来の繰り返し単位を有するポリマーを含む配向膜を用いれば、前述の要求を満足する液晶表示素子を得ることができる。以降、式(1)、式(2)または式(3)で表される酸無水物を、化合物(1)、化合物(2)または化合物(3)と略記することがある。
化合物(1)のR1、化合物(2)のR4または化合物(3)のR7は、水素または1価の有機基の中から任意に選択することができる。1価の有機基の例は炭素数が1〜12のアルキル、任意のメチレンが酸素で置き換えられた炭素数が1〜12のアルキル、シクロヘキシル、フェニル等である。
炭素数が1〜12のアルキル、任意のメチレンが酸素で置き換えられた炭素数が1〜12のアルキルは直鎖でも分岐鎖でもよい。その具体例はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、イソへキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、4−エチルペンチル、2,4−ジメチルヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、メトキシペンチル、メトキシヘキシル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシブチル、エトキシペンチル、エトキシへキシル、ヘキシルオキシメチル、ヘキシルオキシエチル、ヘキシルオキシプロピル、ヘキシルオキシブチル、ヘキシルオキシペンチル等である。
1価の有機基のその他の例は下記の式(7)で表される基である。
Figure 2009114200
式中環A、環Bおよび環Cはそれぞれ独立してフェニレンまたはシクロヘキシレンであり、x、yおよびzはそれぞれ独立して0〜2の整数であり、a、b、cおよびdはそれぞれ独立して0〜12の整数であり、そして式中の任意のメチレン(−CH2−)は酸素(−O−)で置き換えられてもよい。フェニレンおよびシクロヘキシレンの置換位置は特に限定されないが、1価の有機基の直線性を保つためには1,4−位、1,3−位が好ましく、1,4−位が特に好ましい。シクロヘキシレンのシス/トランス異性体は混在してもよいが、上記と同様の理由からトランス異性体が好ましい。
式(7)で表される基の具体例は、式(7−1)〜式(7−640)である。
Figure 2009114200
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小さいプレチルト角を所望する場合、R1、R4またはR7は水素または炭素数1〜6のアルキルのような基が好ましい。大きいプレチルト角を所望する場合、炭素数5〜12のアルキル、シクロヘキシル、フェニル、またはこれらの環を含む基等、長い基または嵩高い(bulky)基が好適である。式(7)の基の具体例では式(7−1)〜式(7−600)の基すべてが好ましい。
高い電圧保持率を所望する場合、R1、R4またはR7は水素、炭素数が1〜12のアルキル、シクロヘキシル、またはシクロヘキシルを含む基が好ましい。式(7)の基の具体例の中では式(7−1)〜式(7−12)、式(7−25)〜式(7−96)、式(7−121)〜式(7−159)、式(7−173)〜式(7−211)、式(7−225)〜式(7−263)、および式(7−277)〜式(7−640)の基が好ましい。
配向欠陥の発生を防ぐ場合には、R1、R4またはR7はフェニルまたはフェニレンを有する基を用いるのが好ましい。式(7)の基の具体例の中では式(7−13)〜式(7−24)、式(7−49)〜式(7−120)、式(7−134)〜式(7−172)、式(7−186)〜式(7−224)、式(7−238)〜式(7−276)、式(7−290)〜式(7−354)、式(7−368)〜式(7−445)、式(7−459)〜式(7−484)、式(7−498)〜式(7−562)、および式(7−576)〜式(7−640)の基が好ましい。
配向膜に要求される特性をさらに効果的に発現させるため、薄膜化したときの表面エネルギーの値が異なるワニスを2種類以上混合する方法(ポリマーブレンド)がしばしば行われている。たとえば、特開平8−43831号公報には、2成分以上のポリマー混合液(上記ワニスと同じ)から樹脂塗膜を形成した場合、表面張力の低い成分が自発的に膜表面に偏析しやすい特性を利用して、良好な液晶配向特性を示す樹脂塗膜の表面張力を、良好な電気的特性を発現する樹脂塗膜の表面張力よりも2dyne/cm以上小さくすることにより、配向膜表面には良好な液晶配向性を示す樹脂を形成させ、バルクは良好な電気的特性を発現する樹脂成分を主成分とする構造の配向膜を得る方法が開示されている。本発明の化合物をこの方法に応用する場合、R1、R4またはR7が水素、炭素数1〜6のアルキルまたはフェニルであるとき、化合物(1)、化合物(2)または化合物(3)は、表面張力が相対的に小さな成分として特に好適である。またR1、R4またはR7が炭素数7〜12のアルキルを有する基であるとき、化合物(1)、化合物(2)または化合物(3)は、表面張力が相対的に大きな成分として特に好適である。
化合物(1)のR2およびR3、または化合物(2)のR5およびR6も、上記と同様に水素または1価の有機基の中から任意に選択することができる。しかしながら、R1またはR4がもたらす効果を損なわないためには水素または炭素数1〜6のアルキルが好ましく、合成し易いという点をも考慮して、水素またはメチルが特に好ましい。
化合物(1)のmおよびnはそれぞれ独立して0または1以上の整数であるが、合成し易いという点を考慮してmおよびnのどちらか一方は1以上の整数であることが好ましく、mおよびnのどちらか一方が1で、もう一方が0であることが特に好ましい。化合物(2)のpおよびqはそれぞれ独立して0または1以上の整数であるが、合成し易いという点を考慮してpおよびqのどちらか一方は1以上の整数であることが好ましく、pおよびqのどちらか一方が1で、もう一方が0であることが特に好ましい。化合物(3)のsおよびtはそれぞれ独立して0または1以上の整数であるが、合成し易いという点を考慮してsおよびtのどちらか一方は1以上の整数であることが好ましく、sおよびtのどちらか一方が1で、もう一方が0であることが特に好ましい。
化合物(2)のAまたは化合物(3)のBは、単結合、アルキレンまたは1つのメチレンが酸素で置き換えられたアルキレンから任意に選択できる。アルキレンまたは1つのメチレンが酸素で置き換えられたアルキレンを以下に例示する。
Figure 2009114200
配向欠陥の発生を防ぐ場合には、AまたはBは長鎖のアルキレンが好適であり、その中でも炭素数が4〜12のアルキレンが特に好適である。
また、AまたはBが単結合または短鎖のアルキレンである酸無水物は、前記のポリマーブレンドにおいて、表面エネルギーが相対的に小さな成分として特に好適であり、その中でも単結合または炭素数が1〜3のアルキレンが特に好適である。
これらの酸無水物の例は、以下の表1〜表5に記載する化合物(No.1〜No.67)である。
Figure 2009114200
Figure 2009114200
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Figure 2009114200
Figure 2009114200
上記の表中、Meはメチル基、Etはエチル基、Phはフェニル基をそれぞれ表す。表1および表2においてm+nが2である場合、m=n=1の化合物が好ましい。表3およひ表4においてp+qが2である場合、p=q=1の化合物が好ましい。表5においてs+tが2である場合、s=t=1の化合物が好ましい。上記の化合物の中には構造上異性体が存在するものがあるが、それら異性体の単一物でもよいし混合物でもかまわない。
これらの酸無水物を用いて得られる配向膜は、いずれも高い電圧保持率を持ち、かつ焼き付き現象を起こしにくい。さらにプレチルト角の安定性に優れている。したがって、本発明の酸無水物はすべてのTFT表示素子用の配向膜材料として好適である。特にNo.1〜14、31〜46の酸無水物を用いて得られる配向膜は、非常に高い電圧保持率を持つため、しきい値電圧の低い液晶組成物を封入して低い電圧で駆動する液晶表示素子用として好適である。
No.1〜28、31〜60、63〜67の酸無水物を用いて得られる配向膜は、比較的小さなプレチルト角が要求されるIPS用として特に好適である。
No.29、30、61、62の酸無水物から得られた配向膜を使用すると、液晶のプレチルト角を大きくすることができる。したがって、比較的大きなプレチルト角が要求されるTN、OCBまたはVA用として特に好適である。また、これらの酸無水物から得られた配向膜は、表面エネルギーが相対的に大きな成分として用いることができ特に好適である。
本発明の第二は、化合物(1)、化合物(2)または化合物(3)を、溶媒中でジアミンと反応させて得られるポリアミド酸またはポリイミドである。化合物(1)、化合物(2)または化合物(3)とジアミンを溶媒中で反応させると、ポリアミド酸、ポリイミドまたはそれらの混合物を含有する溶液(ワニス)が得られる。ワニスの溶媒を留去することによって、ポリアミド酸、ポリイミドまたはそれらの混合物が得られる。このとき本発明の酸無水物は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。本発明の酸無水物と他の酸無水物とを組み合わせて使用してもよい。
また本発明の第二は、化合物(1)、化合物(2)または化合物(3)と、ジカルボン酸誘導体との混合物をジアミンと反応させたポリアミドイミドである。本発明のポリアミドイミドは配向膜を製造する際に単独で使用してもよく、さらに前記のポリアミド酸、ポリイミドまたはそれらの混合物と併用してもよい。ポリアミド酸、ポリイミドまたはそれらの混合物にポリアミドイミドを添加して用いる場合、その添加量はポリアミド酸またはポリイミドに対し0.01〜30重量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の酸無水物と反応させることができるジアミンは、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンおよび芳香族ジアミンである。これらジアミンの例を以下に示す。
Figure 2009114200
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これらの化合物は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。さらに本発明に使用するジアミンは上記化合物以外でもよい。
本発明の酸無水物は下記の式(8)で表されるシロキサン系のジアミンとも反応させることができる。
Figure 2009114200
(式中、R8およびR9は炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、R8とR9は同じ基であっても異なる基であってもよく、また、R10はメチレン、フェニレンもしくはアルキル置換されたフェニレンであり、vは1〜6の整数であり、wは1〜10の整数である。)
本発明の酸無水物と併用することができる酸無水物の例は以下に示す化合物である。
Figure 2009114200
Figure 2009114200
Figure 2009114200
上記の化合物の中には構造上異性体が存在するものがあるが、それら異性体の単一物でもよいし混合物でもかまわない。また上記の化合物を2種類以上併用してもよい。本発明の酸無水物と併用する酸無水物は上記の化合物以外でもよい。
本発明の第三は本発明のポリアミド酸、ポリイミドまたはポリアミドイミドの少なくとも1つを含有するワニスである。本発明のワニスは本発明の酸無水物とジアミンを溶媒中で重合させて得られた反応生成物である。反応生成物の溶媒を留去した後、異なる溶媒に溶解させてワニスを調整してもよい。本発明のワニスに用いる溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BC)、エチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトンである。これらの溶媒の2種以上を混合して用いてもよい。また、上記溶媒以外であっても反応生成物が可溶であればこれらに限定されるものではない。
本発明のワニスには、配向膜のガラス基板への密着性の改善や硬さの調節等を行うために、有機ケイ素化合物等を添加してもよい。本発明のワニスへ添加される有機ケイ素化合物は、シランカップリング剤、シリコーンオイル等である。シランカップリング剤の例は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等である。シリコーンオイルの例は、ジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等である。該有機ケイ素化合物のワニスへの添加量は、ワニスに含有される高分子固形分に対し、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。
本発明の第四は本発明のワニスから製造した配向膜である。ワニスは前記の有機溶媒に総重量の0.1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%の濃度で、本発明のポリアミド酸、ポリイミド、およびポリアミドイミドの少なくとも一種、必要に応じてその他の成分を溶解させた溶液である。このワニスを刷毛塗り法、浸漬法、スピンナー法、スプレー法、印刷法等により基板上に塗布する。その後50〜150℃、好ましくは80〜120℃で溶媒を蒸発させた後、150〜400℃好ましくは180〜280℃で加熱し、成膜する。塗布前に基盤表面上をシランカップリング剤で処理し、その上に成膜すれば膜と基板との接着性を改善できる。その後この膜表面を布等で一方向にラビングし配向膜が得られる。
本発明の第五は本発明の液晶配向膜を用いた液晶表示素子である。本発明の液晶配向膜を使用すれば、あらゆる液晶表示素子に関し、先に挙げた特性の改善を実現できるが、特に高い電圧保持率が要求されるTFT用液晶表示素子の焼き付き改善に本発明液晶配向膜は効果が大きい。このようなTFT用液晶表示素子に使用される液晶組成物の例として、特許第3086228号公報、特許2635435号公報、特表平5−501735号公報、および特平開9−255956号公報等に記載されたそれらが挙げられる。したがって本発明液晶配向膜はこれらに記載された液晶組成物と組み合わせて用いるのが特に好ましい。
本発明の化合物(1)は下記の方法で容易に合成できる。
(a)化合物(1)の合成
Figure 2009114200
(式中R1、R2、およびR3は水素または1価の有機基であり、R11はアルキルであり、X1は−CNまたは−CH2CO2Etであり、X2は−CO2Hまたは−CH2CO2Hである。)
ケトン(1−1)をジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.),47巻,2840頁(1982年)、シンセシス(Synthesis),611頁(1988年)、ジャーナル オブ フルオライン ケミストリー(J.Fluorine Chem.),111巻,217頁(2001年)等に記載の方法に準じ化合物(1−3)に変換する。この化合物(1−3)を常法に従って塩酸等で加水分解してテトラカルボン酸とし、次いで無水酢酸で脱水環化させることにより化合物(1)が得られる。なお、ケトン(1−1)はジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.),103巻,6677頁(1981年)、ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.),44巻,204頁(1979年)等に従って容易に合成できる。
(b)化合物(2)の合成
先の化合物(1−2)をジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.),47巻,2840頁(1982年)等に記載の方法に準じ化合物(2−1)に変換する。この化合物を常法に従い、水素化ナトリウム等塩基の存在下ブロモ酢酸エチルと反応させ化合物(2−2)に変換する。これを上記(a)に準じた方法で変換することにより、化合物(2)が得られる(p+q=1)。
Figure 2009114200
(式中R4、R5、およびR6は水素または1価の有機基であり、R11はアルキルである。)
また、化合物(2)は以下の方法でも得ることができる。すなわちケトン(1−1)をジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.),28巻,1128頁(1963年)等に記載の方法に準じ、アルデヒド(2−3)に変換する。化合物(2−3)を前記の(a)に準じた方法で変換することにより、化合物(2)が得られる。さらに化合物(2−3)に対し、Wittig反応を繰り返すことにより、Aのアルキレンが順次長くなった化合物(2)を合成できる。
Figure 2009114200
(式中R4、R5およびR6は水素または1価の有機基であり、R11はアルキルであり、X1は−CNまたは−CH2CO2Etである。)
(c)化合物(3)の合成
ヘテロサイクルズ(Heterocycles),20巻、1279頁(1983年)、WO96/34851公報等に準じて合成した3,4−ジカルボキシベンズアルデヒド誘導体を原料とし、前記の(a)および(b)の方法に準拠して変換することにより化合物(3)が得られる。
本発明の酸無水物は液晶配向膜用ポリイミド樹脂以外にも、各種ポリイミドコーティング剤、ポリイミド樹脂成型品、フィルム、または繊維等に利用することができる。
以下実施例により、本発明の化合物およびこの化合物を用いることによって得られる液晶配向膜を詳細に説明する。実施例中、分子量の測定はGPCを用い、ポリスチレンを標準溶液とし、溶出液はDMFを用いた。なお本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
液晶表示素子の評価法
以下に実施例で用いた液晶表示素子の評価法を記載する。
1.プレチルト角
クリスタルローテーション法により行った。
2.焼き付き(残留電荷)
三宅他、信学技報、EID91−111,p19に記載の方法により、残留電荷を測定した。この残留電荷を焼き付きの指標にした。つまり残留電荷が多いほど焼き付きやすいとした。測定時液晶セルに印加した電圧は、50mV、1kHzの交流と、周波数0.0036Hzの三角波を重畳させた交流電圧である。
3.電圧保持率
「水嶋他、第14回液晶討論会予稿集 p78」に記載の方法により行った。測定は、ゲート幅69μs、周波数60Hz、波高±4.5Vの矩形波をセルに印可して行った。
実施例中に記載された諸物性の測定値は、特に断りのない限り25℃の値である。
実施例1
(1,3,4−トリカルボキシシクロヘキシ−1−イル)酢酸二無水物(表1の化合物No.1)の合成
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.),103巻,6677頁(1981年)に記載の方法に従い1,2−シクロヘキサン−4−オンジカルボン酸エチルエステルを合成した。この化合物(2.7g,11mmol)、シアノ酢酸エチル(1.4g,12mmol)、酢酸ナトリウム(200mg,2.6mmol)、および酢酸(320mg)を用い、ジャーナル オブ オーガニック ソサイエティ(J.Org.Sci.),63巻,3452頁(1941年)に準じた方法により、3,4−ジエトキシカルボニル−1−シクロヘキシリデンシアノ酢酸エチル(中間体1a)を3.0g得た(収率 80%)。該中間体1a(3.0g,8.9mmol)およびシアン化ナトリウム(560mg,11mmol)の混合物を酢酸エチル−純水(10ml/2ml)の2層系溶媒中、室温で一晩攪拌した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過し溶媒を減圧留去して、目的の(1−シアノ−3,4−ジエトキシカルボニルシクロヘキシ−1−イル)シアノ酢酸エチル(中間体1b)を3.1g得た。この化合物は精製せずにそのまま次の反応に用いた。該中間体1b(2.0g,5.5mmol)を濃塩酸(20ml)中、50時間還流した。溶媒を減圧留去後、メタノール(20ml)および濃硫酸を加えエステル化した。酢酸エチル−炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出操作を行った後、有機層を乾燥し溶媒を留去して粗生成物を得た。該粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=5:1)で精製し、(1,3,4−トリメトキシカルボニルシクロヘキシ−1−イル)酢酸メチル(中間体1c)を980mg得た(収率 54%)。該中間体1cを6N塩酸水中で還流しカルボン酸に変換した後、溶媒を減圧留去した。残渣を無水酢酸中で還流することにより、目的とする(1,3,4−トリカルボキシシクロヘキシ−1−イル)酢酸二無水物を異性体混合物として510mg得た(収率 73%)。
H−NMR(CDCl:DMSO−d=1:1) σ(ppm) 2.9-3.2(m,4H)、1.5-1.8(m, 6H).
実施例2
(5−フェニル−1,3,4−トリカルボキシシクロヘキシ−1−イル)酢酸二無水物(表1の化合物No.15)の合成
ジャーナル オブ オーガニック ソサイエティ(J.Org.Sci.),44巻,204頁(1979年)に準じた方法により、1,2−シクロヘキサン−3−フェニル−5−オンジカルボン酸メチルエステルを合成した。該ケトン(5.2g,18mmol)、シアノ酢酸エチル(2.6g,23mmol)、酢酸ナトリウム(330mg,4.3mmol)、および酢酸(520mg)を用い、前記に準じた方法により、3,4−ジメチルカルボニル−5−フェニル−1−シクロヘキシリデンシアノ酢酸エチル(中間体2a)を4.8g得た(収率 76%。)。該中間体2a(3.7g,9.6mmol)およびシアン化ナトリウム(610mg,12mmol)を用い、前記に準じた方法により、(1−シアノ−3,4−ジエトキシカルボニル−5−フェニルシクロヘキシ−1−イル)シアノ酢酸エチル(中間体2b)を4.0g得た。この化合物は精製せずにそのまま次の反応に用いた。2b(3.9g,9.4mmol)を濃塩酸(40ml)中、50時間還流した。溶媒を減圧留去後、メタノール(40ml)および濃硫酸を加えエステル化した。上記と同様な操作を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=10:1)で精製することによって、(5−フェニル−1,3,4−トリメトキシカルボニルシクロヘキシ−1−イル)酢酸メチル(中間体2c)を1.8g得た(収率 48%)。2cを6N塩酸中で還流しカルボン酸に変換した後、溶媒を減圧留去した。残渣を無水酢酸中で還流することにより、目的とする(5−フェニル−1,3,4−トリカルボキシシクロヘキシ−1−イル)酢酸二無水物を780mg得た(収率 56%)。
実施例3
(1−カルボキシメチル−3,4−ジカルボキシシクロヘキシ−1−イル)酢酸二無水物(表1の化合物No.2)の合成
実施例1で得た中間体1a(5.4g、16mmol)のTHF(40ml)溶液中に、ブロモ酢酸エチル(2.9g、17mmol)および亜鉛粉末(1.1g、17mmol)から常法に従って調製した亜鉛試薬を室温で滴下した。室温で1時間攪拌後、塩化アンモニウム水溶液(50ml)を反応液に加えた。酢酸エチルで抽出し、乾燥、濃縮して得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=5:1)で精製することによって、(1−エトキシカルボニルメチル−3,4−ジエトキシカルボニルシクロヘキシ−1−イル)シアノ酢酸エチル(中間体3a)を520mg得た(収率 7.2%)。3a(500mg,1.2mmol)を上記実施例1に準じた方法に従い、濃塩酸で加水分解反応し、その後メタノールでエステル化した。該粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=5:1)で精製することによって、(1−メトキシキシカルボニルメチル−3,4−ジメトキシカルボニルシクロヘキシ−1−イル)酢酸メチル(中間体3b)を100mg得た(収率 25%)。3b(340mg,0.99mmol)を6N塩酸水中で還流しカルボン酸に変換した後、溶媒を減圧留去した。残渣を無水酢酸中で還流することにより、目的とする(1−カルボキシメチル−3,4−ジカルボキシシクロヘキシ−1−イル)酢酸二無水物を160mg得た(収率 65%)。
実施例4
(3,4−ジカルボキシシクロヘキシ−1−イル)コハク酸二無水物(表3の化合物No.31)の合成
実施例1で得た中間体1a(5.0g,21mol)をNaBH4(580mg,15mmol)を用い、THF中(20ml)、室温で還元反応させた。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチル(30ml)および3N塩酸水(30ml)を加え抽出操作を行った。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)および純水(30ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=10:1)で精製することによって、(3,4−ジエチルカルボキシシクロヘキシ−1−イル)シアノ酢酸エチル(中間体4a)を3.9g得た(収率 78%)。4a(4.8g,15mmol)のTHF(20ml)溶液に水素化ナトリウム(60%,670mg,17mmol)を加え、30分還流した。冷却後、ブロモ酢酸エチル(3.1g,18mmol)を加え、さらに1時間還流した。冷却後、減圧下溶媒を留去し、水―酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過した。溶媒を減圧下で留去した後、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=10:1)で精製することによって、1−(3,4−ジエチルカルボキシシクロヘキシ−1−イル)−2−シアノコハク酸ジエチル(中間体4b)を4.9g得た(収率 82%)。4b(4.0g,10mmol)を上記実施例1に準じた方法に従い、濃塩酸で加水分解反応し、その後メタノールでエステル化した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=5:1)で精製することによって、(3,4−ジメチルカルボキシシクロヘキシ−1−イル)コハク酸ジメチル(中間体4c)を2.2g得た(収率 67%)。4c(3.2g,9.3mmol)を上記実施例1に準じた方法で、6N塩酸水中で加水分解した後、無水酢酸で脱水反応することにより、目的とする(3,4−ジカルボキシシクロヘキシ−1−イル)コハク酸二無水物を異性体混合物として1.8g得た(収率 76%)。
H−NMR(CDCl:DMSO−d=1:1) σ(ppm) 7.1-7.3(m, 5H)、3.1-3.3(m,3H)、2.1-2.8(m, 6H).
実施例5
3,4−ジカルボニルフェニルコハク酸二無水物(表5の化合物No.63)の合成
市販の3,4−ジカルボキシベンズアルデヒド ジメチルエステル(4.0g、18mmol)、シアノ酢酸エチル(2.5g,22mmol)、酢酸ナトリウム(310mg,4.1mmol)、および酢酸(500mg)を用い、前記に準じた方法により、1−(3,4−ジメチルカルボニルフェニル)−2−シアノアクリル酸エチル(中間体3a)を4.2g得た(収率 73%)。3a(3.5g,11mmol)およびシアン化ナトリウム(610mg,12mmol)を用い、上記に準じた方法により、1−(3,4−ジメチルカルボニルフェニル)−1−シアノ−2−シアノプロピオン酸エチル(中間体3b)を得た。この化合物は精製せずにそのまま次の反応に用いた。3b(3.5g,10mmol)を濃塩酸(50ml)中、50時間還流した。溶媒を減圧留去後、メタノール(50ml)および濃硫酸を加えエステル化した。前記の方法に準じて抽出、乾燥、濃縮を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/トルエン:酢酸エチル=10:1)で精製することによって、3,4−ジエチルカルボニルフェニルコハク酸ジエチル(中間体3c)を930mg得た。(収率 25%)。3cを6N塩酸中で還流しカルボン酸に変換した後、溶媒を減圧留去した。残渣を無水酢酸中で還流することにより、目的とする3,4−ジカルボニルフェニルコハク酸二無水物を300mg得た(収率 45%)。
実施例6(ポリアミド酸の合成)
攪拌機、窒素導入口、温度計、および原料導入口を供えた100mlの4つ口フラスコに、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(以下DDMとする。)890mg(4.5mmol)を入れ、NMP10gに溶解した。ここに実施例1で合成した(1,3,4−トリカルボキシシクロヘキシ−1−イル)酢酸二無水物1.1g(4.6mmol)を加え、6時間攪拌した。その後この溶液をNMP30gで希釈することにより、ポリアミド酸約5重量%の透明溶液が得られた。この溶液中のポリマーの重量平均分子量をポリスチレン標準のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(カラム:Shodex GF−7MHQ、溶媒:DMF、流量:0.5ml/min、測定温度:50℃)で測定したところ、7.8万であった。また、この溶液の25℃での粘度は67mPa・sであった。以下この溶液をワニスAとする。
実施例7(ポリアミドイミドの合成)
攪拌機、窒素導入口、温度計、及び原料導入口を供えた100mlの4つ口フラスコに、実施例1で合成した(1,3,4−トリカルボキシシクロヘキシ−1−イル)酢酸二無水物(表1の化合物No.1)1.0g(4.2mmol)、テレフタル酸クロリド(以下TPCと略す。)210mg(1.0mmol)、およびプロピレンオキシド60mg(1.0mmol)を入れ、NMP10gに溶解した。ここにDDM620mg(3.1mmol)および4-n-ブチル-1,1-ビス(4-(4-アミノフェニルメチル)フェニル)シクロヘキサン(以下BuBDMAと略す)1.0g(2.0mmol)のNMP(10g)溶液を加え、室温で6時間攪拌した。その後この溶液をNMP10gで希釈した後、水(200ml)に注ぎ、再沈殿を行った。得られた沈殿をNMP(10ml)中、無水酢酸10mlを加え100℃で2時間攪拌した。冷却後、水(200ml)に注ぎ、再沈殿を行った。この沈殿をメタノール(100ml)で煮沸洗浄し、目的とするポリアミドイミドを2.1g得た(重量平均分子量10.5万)。該ポリアミドイミドはNMP等の適当な溶媒に溶解し、以下の実施例で使用した。
以下実施例6および7に準じた方法によって、表6に示す実施例8〜19のワニスを調製した(表6には実施例6、7も再掲する)。また、本発明の化合物以外の酸無水物を用いて得た比較例1および2のワニスについても表6に示した。これらの重量平均分子量および粘度を表7に示す。
Figure 2009114200
実施例に使用したジアミンのうち、BuBDMA、PnDMAはそれぞれ以下の化合物を指す。PnDMAの構造式中の黒点は、このシクロヘキシレンがトランス体であることを表す。
Figure 2009114200
Figure 2009114200
応用例1
スクリューバイアルに実施例6で得られたワニスA、および実施例8で得られたワニスBをそれぞれ18.2mlおよび0.18ml量り取り、室温で1時間攪拌した。その後BC12mlを加え、約3重量%の樹脂組成物を得た。片面にITO電極を設けた透明ガラス基板上に、この組成物を滴下し、スピンナー法により塗布した(2500rpm、15秒)。塗布後80℃で5分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、オーブン中で250℃、30分間加熱処理を行い、膜厚約60nmのポリイミド樹脂薄膜を得た。該樹脂薄膜が形成されたガラス基板をラビング処理し、ラビング方向が逆平行になるようにこれらの2枚を貼り合わせ、セル厚20μmの液晶セルを組み立てた。このセルに下記の液晶組成物Aを注入し、110℃で30分間アイソトロピック処理を行い、室温まで冷却し液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の残留電荷は25℃で0.02Vであり、20℃、60℃、および90℃における電圧保持率はそれぞれ98.5%、97.4%、96.2%であった(この値を初期値とする)。またこの表示素子を用いてプレチルト角を測定した結果、6.2度であった。このセルを110℃で20時間静置し、室温まで冷却した後、これらの値を再測定した(この値を高温後値とする)。その結果残留電荷は0.03V(25℃)、電圧保持率は98.3%(20℃)、97.1%(60℃)、96.5%(90℃)、プレチルト角は6.3度であった。
Figure 2009114200
応用例2
ワニスBの代わりにワニスCを用いた以外は、応用例1と同様な方法で液晶表示素子を製作し、特性測定した。
初期:残留電荷;0.02V、
電圧保持率;98.1%(20℃)、97.5%(60℃)、96.2%(90℃)
プレチルト角;7.1度。
高温後:残留電荷;0.01V、
電圧保持率;97.4%(20℃)、97.2%(60℃)、95.8%(90℃)
プレチルト角;6.5度。
応用例3〜5
上記ワニスBをワニスC〜Eに変え、それ以外は応用例1に準拠して液晶表示素子を製作した。これらの特性測定結果を表8に示す。
Figure 2009114200
応用例6〜10
ワニスAをワニスFに、ワニスBをワニスG〜JおよびMに変え、それ以外は応用例1と同様にして液晶表示素子を製作し、特性測定した。結果を表9に示す。
Figure 2009114200
応用例11
液晶組成物Aの代わりに下記の液晶組成物Bを用いたほかは応用例1に準じた方法で液晶表示素子を得た。この液晶表示素子の特性を以下に示す。
残留電荷:0.01V、
電圧保持率;97.6%(20℃)、97.4%(60℃)、95.7%(90℃)
プレチルト角;7.3度。
高温後:残留電荷;0.01V、
電圧保持率;97.5%(20℃)、97.2%(60℃)、95.4%(90℃)
プレチルト角;7.0度。
Figure 2009114200
比較例
ワニスBの代わりにワニスNもしくはワニスOを用いた以外は、応用例1と同様な方法で液晶表示素子を製作し、特性測定した。結果を表10に示す。
Figure 2009114200

Claims (15)

  1. 下記の式(2)で表される酸無水物。
    Figure 2009114200
    (式中R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または1価の有機基であり、Aは単結合、アルキレンまたは1つのメチレン(−CH2−)が酸素(−O−)で置き換えられたアルキレンであり、pおよびqはそれぞれ独立して0または1以上の整数であり、そして、pおよびqの両方が同時に0であることはない。)
  2. 式(2)においてR、RおよびRが水素であり、pおよびqの一方が1で、もう一方が0である請求項2に記載の酸無水物。
  3. 式(2)においてRが1価の有機基で置き換えられてもよいフェニルであり、RおよびRがそれぞれ独立して水素またはメチルであり、pおよびqの一方が1で、もう一方が0である請求項2に記載の酸無水物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸無水物をモノマー成分の1つとして製造したポリアミド酸。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸無水物をモノマー成分の1つとして製造したポリイミド。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸無水物をモノマー成分の1つとして製造したポリアミドイミド。
  7. 請求項4に記載のポリアミド酸の少なくとも1つを含有するワニス。
  8. 請求項5に記載のポリイミドの少なくとも1つを含有するワニス。
  9. 請求項6に記載のポリアミドイミドの少なくとも1つを含有するワニス。
  10. 請求項7に記載のワニスから製造した配向膜。
  11. 請求項8に記載のワニスから製造した配向膜。
  12. 請求項9に記載のワニスから製造した配向膜。
  13. 請求項10に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
  14. 請求項11に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
  15. 請求項12に記載の配向膜を用いた液晶表示素子。
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