JP2009113877A - ロール状巻回物の巻き出し方法及び巻芯 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筒状の巻芯1と該巻芯1の外周部2に多重に巻回された帯状物3とを有し且つ該外周部2と該帯状物3とが密着していない、ロール状巻回物10から該帯状物3を巻き出す方法であって、巻芯1をその径方向に膨張させて外周部2と帯状物3との密着性を高めた後、該帯状物3を巻き出す。ロール状巻回物10は、好ましくは、外周部2と帯状物3とが密着するように巻芯1'に該帯状物3を巻回した後、巻芯1'をその径方向に縮小させ、且つ巻回された帯状物3を巻芯1'(1)側に押圧することにより得られる。
【選択図】図1
Description
本実施形態のロール状巻回物の巻き出し方法(以下、巻き出し方法ともいう)は、図1に示す如きロール状巻回物、即ち、筒状の巻芯1と該巻芯1の外周部2に多重に巻回された帯状物3とを有し且つ外周部2と帯状物3とが密着していない、ロール状巻回物(以下、非密着ロール状巻回物ともいう)10から、帯状物3を巻き出す方法である。
また、本実施形態に係る非密着ロール状巻回物10においては、図1に示すように、巻回された帯状物3の間にも、複数箇所に亘って隙間10Bが生じている。
即ち、例えば帯状物3が、柔軟で嵩高な不織布や伸縮性を有する伸縮シートである場合、これをロール状巻回物10'のようにロール状にして保管すると、巻締まりにより該不織布等に厚み方向の変形等が生じ、この結果、該不織布等の品質やパフォーマンスが低下してしまうおそれがある。また帯状物3が、例えば磁気テープのような薄膜フィルムである場合、これをロール状巻回物10'のようにロール状にして保管すると、巻締まりにより薄膜フィルムに歪みが生じ、この結果、薄膜フィルムをスリットしたときのスリット幅が変動したり、記録媒体としての品質が低下したりするおそれがある。
これに対し、帯状物3を非密着ロール状巻回物10のようにロール状にして保管した場合には、巻締まりによる内部応力が大幅に緩和されているため、帯状物3が不織布や伸縮シートや薄膜フィルム等の場合でも、ロール状巻回物10'で生じ得る上述した不都合が解消され、帯状物3を長期に亘って安定して保管することができる。
また同様の観点から、前記隙間10Aの巻芯1の接線方向に沿った長さWは、巻芯1の直径に対して、好ましくは40〜90%、更に好ましくは70〜80%である。
また同様の観点から、隙間10Aは、本実施形態のように、巻芯1の周方向に所定間隔を置いて複数存在することが好ましい。
非密着ロール状巻回物10における巻芯1の寸法は、特に制限されないが、直径(巻芯の軸方向と直行する方向の断面形状が非円形の場合は、該方向の最大長さ)は、通常20〜40cm程度であり、軸方向の長さは、通常20〜100cm程度である。
非密着ロール状巻回物10における帯状物3の寸法は、特に制限されないが、厚みは、通常10〜500μm程度である。また、非密着ロール状巻回物10の直径は、通常0.8〜1.5m程度である。
また、前記径膨張処理においては、巻芯1の外周部2の一部を膨張させても良く、外周部2全体を膨張させても良い。
このように、非密着ロール状巻回物10を得るための上記方法においては、巻芯の外周部と帯状物との間、あるいは巻回された帯状物の間に実質的に隙間が生じていないロール状巻回物10'に対し、1)その巻芯を径方向に縮小させる処理(径縮小処理)、及び2)その外周面を巻芯に向けて押圧する処理(押圧処理)の2つの処理が必要である。
前記径縮小処理と前記押圧処理は、両処理を同時に行っても良いが、押圧処理が帯状物にダメージを与える危険性を回避する為に、径縮小処理、押圧処理の順に行なうことが好ましい。
前記径縮小処理においては、巻芯の外周部の一部を縮小させても良く、外周部全体を縮小させても良い。外周部全体を縮小させる場合、全体を均一に縮小させても良く、部分的に縮小の程度を異ならせても良い。
巻芯1'の外周部2に部分的に凹部22を発生させる場合、凹部22は巻芯1'の円周方向に2〜4個形成することが、前記押圧処理の効果及び偏芯防止の観点から好ましい。
ロール状巻回物10'の外周面の一部を押圧する場合、その押圧部位は、ロール状巻回物10'の周方向に所定間隔を置いて複数存在することが好ましい。またこの場合、複数の押圧部位の間隔は均一であることが好ましい。また、一つの押圧部位は、ロール状巻回物10'の軸方向の全長(巻回されている帯状物3の幅方向の全長)に亘ることが好ましい。また、複数の押圧部位に対しては、同時に押圧を行っても良く、逐次押圧を行っても良い。
また、前記押圧処理における押圧力は、ロール状巻回物10'の径や帯状物3を巻回した時の条件や巻回されている帯状物3の材質等により適宜設定することができる。押圧は、手動で行っても良く、押圧機構を備えた押圧装置を用いて行っても良い。
図3に示す押圧処理によれば、押圧ロール51による押圧とロール状巻回物10'の周方向への回転とを交互に繰り返すことで、ロール状巻回物10'の外周面の複数箇所を逐次押圧することができる。
尚、図3に示す押圧処理においては、押圧ロール51による押圧と同時に、巻芯1'におけるその押圧部分に対応する部分の径を縮小させているが、本発明においては、上述したように径縮小処理と押圧処理とを同時に行なう必要はない。
押圧ロール51は、筒状の軸52と該軸52の外周面を被覆する被覆層53とを有し、該被覆層53の少なくとも最表層が樹脂を含んで構成されている、いわゆる樹脂ロールである。被覆層53の軸方向に沿った長さは、押圧ロール51の押圧対象であるロール状巻回物の軸方向の全長(巻回されている帯状物3の幅方向の全長)以上となっており、押圧ロール51による一回の押圧で、ロール状巻回物に巻回されている帯状物3をその幅方向の全長に亘って押圧することができる。
押圧ロール保持手段54は、相対向する一対の縦長の保持部材55,55を有し、これら保持部材55,55の間に、押圧ロール51が、その軸方向Xを保持部材55の長手方向と直交させて配置されている。
保持部材55は、正逆回転可能な調整用モーター56と、該調整用モーター56により回転し、押圧ロール51の軸方向Xと直交する方向Yに配置された送りねじ57と、該送りねじ57にねじ結合され、該送りねじ57の回転により方向Yにスライド可能とされたスライドブロック58とを有し、該スライドブロック58と押圧ロール51の軸52の長手方向端部とが連結されている。
尚、押圧装置50における押圧ロール51の移動機構は、上述の如き送りねじとモーターとの組み合わせに制限されず、リニアガイドと油圧式あるいは空圧式シリンダーとの組み合わせであっても良い。
本実施形態の巻芯60は、図5〜図7に示すように、対向配置された一対のフランジ61,61と、これらフランジ61,61間に配置され、帯状物3が巻回される外周部62とを有している。外周部62は、一対のフランジ61,61間を巻芯60の軸方向Xに横断する複数(本実施形態では8本)の円筒状のシャフト63を有し、これら複数のシャフト63は、巻芯60の周方向に所定間隔を置いて配置されている。
本実施形態においては、フランジ61は平面視において円形形状を有しており、その外周縁部に外周縁に沿って、複数のシャフト63が配置されている。フランジ61の中心には、平面視において円形形状の貫通口64が形成されている。貫通口64は、巻芯60に帯状物3を巻回させる際、あるいは巻回されている帯状物3を巻き出す際に、帯状物巻取装置(巻出装置)の巻芯支持軸(図示せず)が嵌合・挿入される部位である。
ギア65の外周に形成されている凹凸部は、複数のシャフト63と同数の凸部65Aを有し、これら複数の凸部65Aは、ギア65の周方向に所定間隔を置いて配置され、隣り合う凸部65A,65A間が、凹部65Bとなっている。
例えば図7に示すように、凸部65Aの頂部に可動シャフト63Aの突出部63Aaが係合されている状態において、ギア65を時計回りに(図7中、矢標R1で示す方向に)所定角度回転させると、凸部65Aの頂部に係合されていた突出部63Aaが、該凸部65Aの外周に沿って凹部65Bに向かって移動すると共に、長穴67に沿ってフランジ61の中心に向かって移動する(図8参照)。こうして、巻芯60の外周部62を、その径方向に縮小させることができる。
帯状物3を巻芯60の外周部62に巻回する時は、図7に示すように、複数のシャフト63がフランジ61の外周縁に沿って配置されるように、可動シャフト63Aの突出部63Aaをギア65の凸部65Aの頂部に係合させておく。このとき、フランジ61とギア65とは、図示しない固定ボルトにより固定されており、ギア65が回転しないようになっている。この状態で、複数のシャフト63から構成される外周部62に、帯状物3を常法通り巻回させ、ロール状巻回物を得る。
この径縮小処理に前後して、あるいは径縮小処理と同時に、前記押圧処理(巻芯に巻回された帯状物を該巻芯側に押圧する処理)を行っても良い。
例えば、前記実施形態においては、巻芯60における複数のシャフト63の半数が可動シャフト63Aであったが、可動シャフト63Aと固定シャフト63Bとの割合は前記実施形態に制限されず適宜設定することができ、例えば複数のシャフト63の全部が可動シャフト63Aであっても良い。
10' ロール状巻回物
1,1' 巻芯
2 巻芯の外周部
21 外周部の凸部
22 外周部の凹部
3 帯状物
10A 巻芯の外周部と帯状物との間の隙間
10B 巻回されている帯状物の間の隙間
40 保持具
50 押圧装置
51 押圧ロール
60 巻芯
61 フランジ
62 外周部
63 シャフト
63A 可動シャフト
63Aa 可動シャフトのフランジ外面からの突出部
63B 固定シャフト
64 貫通口
65 ギア
66 リブ
67 長穴
68 スプリング
69 スプリングの係合手段
70 薄板部材
Claims (5)
- 筒状の巻芯と該巻芯の外周部に多重に巻回された帯状物とを有し且つ該外周部と該帯状物とが密着していない、ロール状巻回物から該帯状物を巻き出す方法であって、
前記巻芯をその径方向に膨張させて前記外周部と前記帯状物との密着性を高めた後、該帯状物を巻き出す、ロール状巻回物の巻き出し方法。 - 前記ロール状巻回物は、前記外周部と前記帯状物とが密着するように前記巻芯に該帯状物を巻回した後、該巻芯をその径方向に縮小させ、且つ巻回された該帯状物を該巻芯側に押圧することにより得られたものである、請求項1記載のロール状巻回物の巻き出し方法。
- 請求項1記載のロール状巻回物の巻き出し方法に用いられる巻芯であって、
対向配置された一対のフランジと、これらフランジ間に配置され、前記帯状物が巻回される外周部とを有し、
前記外周部は、前記一対のフランジ間を前記巻芯の軸方向に横断する複数のシャフトを有し、該複数のシャフトは、該巻芯の周方向に所定間隔を置いて配置されており、
前記複数のシャフトの少なくとも一部が、前記一対のフランジ間を前記巻芯の径方向に移動可能な可動シャフトであり、
前記可動シャフトを前記フランジの中心又は外周に向けて移動させることにより、径方向に縮小又は膨張可能になしてある巻芯。 - 前記一対のフランジそれぞれの外面側に、該フランジよりも小径で且つ外周に凹凸部が形成されているギアが、前記巻芯の周方向に回転可能に配置されていると共に、前記可動シャフトの長手方向両端部が、前記一対のフランジそれぞれに設けられ前記巻芯の径方向に延びる、一対の長穴に挿入され且つ該フランジの外面から突出しており、この突出部が前記凹凸部に係合されており、
前記突出部が前記凹凸部に係合されている状態で前記ギアを回転させることで、前記可動シャフトが前記長穴に沿って移動するようになしてある請求項3記載の巻芯。 - 前記フランジ及び前記ギアそれぞれに、スプリングの係合手段が配置されており、該フランジに配置された該係合手段と該ギアに配置された該係合手段とを該スプリングを介して連結することで、該スプリングの付勢力によって該ギアが回転するようになしてある請求項4記載の巻芯。
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