JP2009109967A - メガネフレームのツル - Google Patents

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Abstract

【課題】 メガネフレームのプラスチック製ツルであって、従来のバネ蝶番を備えた場合と同じように作用してメガネを安定して掛けることが出来るツルの提供。
【解決手段】 ツル1はプラスチック製ツル片8と形状記憶合金などの弾性に優れた金属製芯9を貼り合わせて構成し、上記フロント部側に湾曲変形部を設け、芯の外表面には複数の切込み11,11・・及びプラスチック製ツル片8の内表面には複数の切込み12,12・・を形成している。
【選択図】 図2

Description

本発明はメガネフレームのツルを対象とし、しなやかに撓み変形してバネ蝶番を備えた場合と同じように作用するツルに関するものである。
メガネはフロント部と該フロント部の両側に取付けられているツルから成り、該ツルは蝶番等の継手を介して折畳むことが出来る。フロント部の形態は色々あって、一般的には、両リムを連結部材にて連結すると共にリム外側にはヨロイをロウ付けして構成している。又、リムとして上側半分のハーフリムを使用し、レンズ下側は水糸にて保持するタイプのフロント部もある。更には、リムを用いることなく両レンズを連結部材の両側に直接ネジ止めすると共に、レンズ外側にはヨロイを直接ネジ止めして構成する縁なしメガネも多用されている。
そして、これら各フロント部には鼻の甲に当たって支持される鼻当てパットが取付けられ、フロント部の両側から延びるツルは顔側面から耳に達し、ツル先端部に挿着している概略「へ」形のモダンが耳に係止することが出来るように成っている。このように、メガネはフロント部の鼻当てパットとツルとで顔に安定して掛けることが出来る。
ところで、本発明が対象とするツルはメガネを安定して掛ける上で必要な部材であり、メガネを掛けた状態で顔から後頭部にかけての側面を適度な力で押圧するようにしている。その為に、ツルは撓み変形可能な材質で構成されているが、時にはバネ蝶番と称する継手を介してツルを取付ける場合も多い。バネ蝶番とはツルを開いた状態からさらに外方向へ僅かに押し開くことが出来るように成っている為に、メガネを掛けた場合に、ツルは適度な力で顔の側面を押圧することが出来、該メガネは安定する。
バネ蝶番を備えないツルの場合、金属製ツル及びプラスチック製ツルは、開いた状態から外方向へ押し開いて撓み変形すると顔側面と局部的に接するに過ぎず、ツルが顔側面から後頭部にかけて抱かかえるように接することは出来ない。ツルを押し開くことで発生する曲げモーメントにより、ツルの各部位での曲げ変形はほぼ均等に成り、全体が大きく湾曲して先端部側の撓み量は極端に大きくなる。又、継手側の接触圧は大きくなり、長時間メガネを掛ける場合には痛みを感じる。その為にも、バネ蝶番を備えたツルの方が顔側面及び後頭部との接触状態は良好と成る。
図5は従来の代表的なバネ蝶番の構造を表している。すなわち、ヨロイ(イ)には固定蝶片(ロ)をロウ付け固定し、他方の蝶片を摺動蝶片(ハ)として一定距離の摺動を許すことによって外方向への開きをツル(ニ)に与えることが出来る構造と成っている。
ツル(ニ)にはガイド溝が形成され、摺動蝶片(ハ)はガイド溝を案内として摺動する訳であるが、上記摺動蝶片(ハ)の内部空洞にはコイルバネ(ホ)が収まっていて、ツル(ニ)を外ヘ開く際には摺動蝶片(ハ)が固定蝶片(ロ)側へ引張られて圧縮される。該コイルバネ(ホ)は摺動蝶片(ハ)の内部空洞入口に設けられてツル(ニ)の溝穴(ヘ)に係止したツメ(ト)に当たり、該ツメ(ト)はストッパーとして機能している。その結果、コイルバネ(ホ)の復元力がツル(ニ)に作用して、該ツル(ニ)を元の位置に戻そうとする。
ところで、上記摺動蝶片(ハ)にコイルバネ(ホ)を内蔵した蝶番構造は同図に示すごとく複雑であり、したがって製作工数も増大し、コスト的には高価なバネ付き蝶番と成ってしまう。しかも構造が複雑化している為に故障し易く、一旦故障すれば修理し難い等の問題もある。摺動蝶片(ハ)の内部空洞にコイルバネ(ホ)と芯金を押し込んでツメ(ト)に係止するならば、該ツメ(ト)並びにコイルバネ(ホ)を取り外すことが出来ない。
すなわち、ツメ(ト)は摺動蝶片(ハ)のガイドに拘束された状態でツメ(ト)の係止片(チ)が溝穴(ヘ)に嵌入し、芯金の頭(リ)はバネ力をもってツメ(ト)に当接し、係止片(チ)を溝穴(ヘ)へ押し込む力が働くことになる。従って、このツメ(ト)を摺動蝶片(ハ)から取外すことが出来なくなると同時に、修理は不能となる。
勿論、バネ蝶番と同じ機能を果たすことが出来る継手構造は他にも色々あって、メガネを掛けた際にツルは顔側面から後頭部にかけてフィットする。しかし、従来のバネ蝶番構造は図4に示す場合と同じく一般的に複雑であると共に組み付けが面倒であり、その為に修理が容易でない。上記図4に示すバネ蝶番を取付ける場合には、ツル(ニ)には摺動蝶片(ハ)が摺動するガイドを設ける必要があり、そしてコイルバネ(ホ)及び芯金を挿入し、ツメ(ト)を嵌めなくてはならず、一般的な蝶番をロウ付けして取付けるように簡単ではない。
又、同図に示すバネ蝶番では、コイルバネ(ホ)やツメ(ト)を収容する摺動蝶片(ハ)がツル(ニ)の内側に大きく突出した形態となり、メガネの外観が損なわれると共に重くなってしまう。近年のスリムなメガネフレームのツル継手構造としては外観的にも適さない。
このように、従来のツル及びバネ蝶番を備えたツルには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であり、極めて簡単な構造でありながら、従来のバネ蝶番に似通った働きをするメガネフレームのツルを提供する。
本発明に係るメガネフレームのツルはプラスチック製のツル片と芯とを貼り合わせて構成した構造としている。ここで、芯は弾性に優れた材質から成り、上記プラスチック製ツル片の外側に芯を貼り合わせた構造とし、又は2本のプラスチック製ツル片の間に芯を挟み込んだ構造とすることもある。勿論、貼り合わせ構造のツルは従来から存在しているが、本発明のツルは芯の基部側(フロント部側)にて湾曲変形部を有している。
例えば、芯の厚さを薄くしたり、切込みを形成することで湾曲変形部が形成される。すなわち、湾曲変形部を設けることで、開いた状態から外方向へ押し開く場合、他の部分の湾曲を抑制した状態でツルの撓み変形を可能とする。そして、常にもとの状態に押し戻す弾性力が付勢される。このようなツルの撓み変形は従来のバネ蝶番を介してのツルの押し開き動作に似ている。
本発明に係るメガネフレームのツルは、プラスチック製ツル片と金属製の芯が貼り合わされて、フロント部側の基部に湾曲変形部を形成している。従って、メガネを掛ける場合にツルを開いてさらに外方向へ押し開くならば、上記基部側に設けている湾曲変形部が大きく曲げ変形してツルは外方向へ撓むことに成る。この撓み変形は従来のバネ蝶番を設けたツルの撓み変形に似通っている。
すなわち、ツル全長が均等に曲げ変形するのではなく、厚さを薄くしたり切込みを入れた湾曲変形部が大きく曲げられ、その他の部分の撓み変形は抑制される。従って、ツルは開いた状態の形状を保ったままで押し開かれることから、顔側面及び後頭部と大きな領域をもってフィットし、その結果、掛けたメガネは安定する。
図1は本発明のツルを備えたメガネフレームの平面図を表している。2本のツル1,1はフロント部2の両側に蝶番3,3を介して取付けられ、折畳むことが出来る。フロント部2はレンズが嵌るリム4,4と両リム4,4を連結する連結部材5、及びリム4,4の外側にはヨロイ6,6が設けられ、上記ツル1,1はこのヨロイ6,6に継手3,3を介して連結している。同図のツル1a,1aは開いた状態であるが、フロント部2の内側(背面側)に折畳むことが出来る。
ここで、同図に示したフロント部2は金属製としているがプラスチック製のフロント部2とすることもあり、この場合には独立部品としてのヨロイ6,6を用いることはなく、ツル1,1はフロント部2に埋着して取付けた継手を介して該フロント部2に取付けられる。そして、上記ツル1,1を折畳み可能に連結する継手は、一般的に多用される蝶番に限るものではなく、ツル1,1が折畳み出来るあらゆる継手構造を対象とする。
ところで、1a,1aは開いた状態のツルであるが、1b,1bのように外方向へ僅かに押し開くことが出来る。これは該ツル1,1のフロント部側には湾曲変形部7,7が設けられている為である。勿論、該湾曲変形部7,7が無くてもツル1,1は撓み変形して押し開くことが出来るが、本発明のように湾曲変形部7,7を設けることで、この部分にて曲げ変形が集中し、その他の部分の変形は抑制される。
そして、外方向へ押し開かれるツル1,1には弾性力にて元の位置に押し戻される力が作用する。この押し戻し力が働くことで、メガネは位置ズレすることなく安定して掛けることが可能と成る。すなわち、この湾曲変形部7,7は従来から多用されているバネ蝶番と同じような働きをすることが出来る。
ところで、湾曲変形部7はこの領域での曲げ剛性(弾性2次モーメント)を小さくすることで構成され、その具体的な手段は色々ある。以下、その具体例を説明する。図2は上記メガネフレームに取付けられているツル1を表している。該ツル1はプラスチック製ツル片8と金属製の芯9が貼り合わされた構造であり、該芯9はプラスチック製ツル片8の外側に貼り合わされている。
そして、ツル1の基部端には継手3を構成する継手片10が取付けられ、該継手片10はヨロイ先端に設けた別の継手片と軸ネジを介して連結される。上記芯9は弾性変形に優れた金属製であり、例えば形状記憶合金を用いることが出来、そして、芯9の継手片側の外表面には複数の細い切込み11,11・・が長手方向に対して垂直に形成されている。同じくプラスチック製ツル片8の内表面にも複数の切込み12,12・・を設けている。
このように芯9の外表面に複数の切込み11,11・・を、プラスチック製ツル片8の内表面に複数の切込み12,12・・形成することで、この部分の曲げ剛性は低下し、湾曲変形部7を形成することが出来る。従って、ツル1を外方向へ押し開く場合に湾曲変形部7が大きく曲げ変形し、その他の部分の曲げ変形は抑制される。
図3は本発明に係るツルを示す他の実施例であり、貼り合わされる前の状態を示している。該ツル1は芯13、プラスチック製内ツル片14、及びプラスチック製外ツル片15で構成され、芯13はプラスチック製内ツル片14とプラスチック製外ツル片15との間に挟まれた状態で貼り合わされる。芯13の基部端には継手片10がロウ付けされ、そして該継手片側には厚さを薄くした湾曲変形部16を設けている。
芯13の材質は弾性に優れた金属であり、プラスチック製内ツル片14とプラスチック製外ツル片15との間に挟まれて貼り合わされた芯13は、ツル1のフロント部側の曲げ剛性を低下させて湾曲し易くしている。従って、図1に示すツル1と同じような撓み変形を行うことが出来る。
図4は本発明のツル1,1を備えた樹脂製メガネフレームの実施例で、平面図を表している。前記図1に示したメガネフレームのツル1,1はほぼ直線状に延びているが、同図に示すツル1,1は内側へ湾曲した形状と成っている。従って、メガネを掛けた場合にツル1,1は顔側面及び後頭部になじんで包み込むようになる。勿論、フロント部2の側には湾曲変形部7が設けられ、この部分での変形をもたらした構造としている点は図1と同じである。
本発明は芯の内側にはプラスチック製内ツル片と外側にはプラスチック製外ツル片を有し、これらは互いに貼り合わされた構造と成っている。その為に、芯及びプラスチック製内ツル片及びプラスチック製外ツル片を図4のように湾曲した形状として貼り合わせることが可能であり、芯を圧入する従来方式の樹脂製ツル構造の場合には出来ない。
本発明のツルを備えたメガネフレームの平面図。 本発明のツルを示す実施例。 本発明のツルの分解図。 本発明のツルを備えたメガネフレームの平面図。 従来の一般的なバネ蝶番を備えたツル。
符号の説明
1 ツル
2 フロント部
3 継手
4 リム
5 連結部材
6 ヨロイ
7 湾曲変形部
8 プラスチック製ツル片
9 芯
10 継手片
11 切込み
12 切込み
13 芯
14 プレスチック製内ツル片
15 プラスチック製外ツル片
16 湾曲変形部

Claims (6)

  1. メガネフレームのプラスチック製ツルにおいて、該ツルはプラスチック製ツル片と形状記憶合金などの弾性に優れた金属製芯を貼り合わせて構成し、フロント部側に湾曲変形部を設けたことを特徴とするメガネフレームのツル。
  2. メガネフレームのプラスチック製ツルにおいて、該ツルは顔側面に沿って湾曲したプラスチック製ツル片と、形状記憶合金などの弾性に優れて顔側面に沿って湾曲した金属製芯を貼り合わせて構成し、そしてフロント部側には湾曲変形部を設けたことを特徴とするメガネフレームのツル。
  3. 上記芯の厚さを薄くして上記湾曲変形部を形成した請求項1、又は請求項2記載のメガネフレームのツル。
  4. 外表面と内表面に複数の切込みを長さ方向に対して垂直に形成して湾曲変形部とした請求項1、又は請求項2記載のメガネフレームのツル。
  5. 上記芯を2本のプラスチック製ツル片の間に挟み込んで貼り合わせ構造とした請求項3、又は請求項4記載のメガネフレームのツル。
  6. 上記芯をプラスチック製ツル片の外側に貼り合わせ構造とした請求項3、又は請求項4記載のメガネフレームのツル。
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