JP2009109916A - 重合トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重合法により着色樹脂粒子水分散液を得る工程、分離・洗浄し着色樹脂粒子の再分散液を得る分離洗浄工程、副生微粒子除去工程、湿潤状態の着色樹脂粒子を得る脱水工程、及び湿潤状態の着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程を含む重合トナーの製造方法であって、分離洗浄工程において、固形分濃度が20重量%の着色樹脂粒子の再分散液を調製し、再分散液の濾液の電気伝導度が500μS/cm以下となるまで着色樹脂粒子の洗浄度を高めた後、副生微粒子除去工程において着色樹脂粒子の再分散液のpHを9〜12に調整し、副生微粒子の除去を行なった後、脱水工程において凝集剤として酸及び/又はカチオン系高分子凝集剤を添加して着色樹脂粒子を凝集させた後に脱水することを特徴とする重合トナーの製造方法である。
【選択図】なし
Description
湿式法の中でも、重合法によれば、トナーの粒径制御が容易で、小粒径の球形で粒度分布がシャープな重合トナーを製造することができる。
微小な副生粒子としては、主に、粒径が0.6μm未満のいわゆるサブミクロンオーダーで且つ着色剤を含有していない微小粒子(以下、「副生微粒子」という。)がある。
特許文献1では、洗浄脱水機として、連続式ベルトフィルター、サイホンピーラー型セントリフュージ、またはこの両方を用いて、固液分離、洗浄・脱水を行なうことにより、重合トナーを製造する方法が開示されている。
上記分離洗浄工程において、分離・洗浄を行なう装置としてベルトフィルターを用い、当該ベルトフィルターにて分離・洗浄して得られる着色樹脂粒子を、イオン交換水に再分散させて、固形分濃度が20重量%の着色樹脂粒子の再分散液を調製し、当該再分散液を濾過して得られる濾液の電気伝導度が、500μS/cm以下となるまで、着色樹脂粒子の洗浄度を高めた後、当該着色樹脂粒子をイオン交換水に再分散させて、所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液を得ること、
上記副生微粒子除去工程において、当該所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液のpHを9〜12に調整し、当該pH調整された着色樹脂粒子の再分散液から副生微粒子の除去を行なった後、当該着色樹脂粒子をイオン交換水に再分散させて、所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液を得ること、
上記脱水工程において、当該所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液に、凝集剤として、酸及び/又はカチオン系高分子凝集剤を添加して着色樹脂粒子を凝集させた後に脱水することを特徴とする重合トナーの製造方法である。
上記分離洗浄工程において、分離・洗浄を行なう装置としてベルトフィルターを用い、当該ベルトフィルターにて分離・洗浄して得られる着色樹脂粒子を、イオン交換水に再分散させて、固形分濃度が20重量%の着色樹脂粒子の再分散液を調製し、当該再分散液を濾過して得られる濾液の電気伝導度が、500μS/cm以下となるまで、着色樹脂粒子の洗浄度を高めた後、当該着色樹脂粒子をイオン交換水に再分散させて、所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液を得ること、
上記副生微粒子除去工程において、当該所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液のpHを9〜12に調整し、当該pH調整された着色樹脂粒子の再分散液から副生微粒子の除去を行なった後、当該着色樹脂粒子をイオン交換水に再分散させて、所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液を得ること、
上記脱水工程において、当該所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液に、凝集剤として、酸及び/又はカチオン系高分子凝集剤を添加して着色樹脂粒子を凝集させた後に脱水することを特徴とするものである。
以下、懸濁重合法により重合トナーを製造する方法を、代表例として用い説明する。
本工程は、(1−1)重合性単量体組成物の調製工程、(1−2)液滴形成工程、及び(1−3)重合工程を含み、当該各工程を経て、所望の着色樹脂粒子水分散液を得ることができる。
先ず、重合性単量体、着色剤、さらに必要に応じて帯電制御剤等のその他の添加物を混合、溶解して重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行なう。
上記モノビニル単量体のうち、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルが好適に用いられる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
本発明では、マクロモノマーを、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
離型剤としては、一般にトナー用の離型剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、及び低分子量ポリブチレン等のポリオレフィンワックス;キャンデリラ、カルナウバ、ライス、木ロウ、及びホホバ等の天然ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、及びペトロラタム等の石油ワックス;モンタン、セレシン、及びオゾケライト等の鉱物ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラパルミテート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、及びペンタエリスリトールテトララウレート等のペンタエリスリトールエステル、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサミリステート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテート、及びジペンタエリスリトールヘキサラウレート等のジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル化合物;等が挙げられる。これらの離型剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、離型剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いることが望ましい。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、本発明においては、正帯電性トナーを得る観点から、正帯電性の帯電制御剤を用いることが好ましい。さらに、正帯電性の帯電制御剤の中でも、重合性単量体との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性の帯電制御樹脂を用いることが好ましい。
正帯電性の帯電制御樹脂としては、例えば、種々の市販品を用いることができ、藤倉化成社製としては、FCA−161P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いることが望ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N、N'−ジメチル−N、N'−ジフェニルチウラムジスルフィド、N、N'−ジオクタデシル−N、N'−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
上記(1−1)重合性単量体組成物の調製工程を経て得られる重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行なう。液滴形成の方法は、特に限定されないが、例えば、インライン型乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化・分散機(特殊機化工業社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
水系分散媒体は、水単独でもよいが、低級アルコール、及び低級ケトン等の水に溶解可能な溶剤と併用して用いることもできる。
分散安定化剤の添加量は、重合性単量体100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。
重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、0.3〜15重量部であることがより好ましく、1.0〜10重量部であることがさらに好ましい。
上記(1−2)液滴形成工程を経て得られる懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散液)を、重合開始剤の存在下で、懸濁重合を行なうことにより、着色樹脂粒子水分散液を得ることができる。
重合工程において、重合性単量体組成物の液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、上記(1−2)液滴形成工程に引き続き、攪拌による分散処理を行ないながら重合反応を進行させることが好ましい。
コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、トナーの定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用重合開始剤を添加し、重合を行なうことでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
シェル用重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。
上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv1)が、上記範囲未満である場合には、得られるトナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv1)が、上記範囲を超える場合には、得られる画像の解像度が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が、上記範囲未満である場合には、得られるトナー印字の細線再現性が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
計算式1:
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長
上記円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−2000」、「FPIA−2100」、及び「FPIA−3000」等を用いて測定することができる。
本工程は、(2−2)ベルトフィルターによる分離・洗浄工程、及び(2−3)着色樹脂粒子の再分散液を得る工程を含み、好ましくは(2−1)酸による分散安定化剤の除去工程を含み、当該各工程を経て、所望の洗浄を行なうことができる。
なお、上記(2−2)〜(2−3)の一連の工程は、必要に応じて複数回繰り返し行なうこともできる。
上記(1)着色樹脂粒子水分散液を得る工程を経て得られる着色樹脂粒子水分散液中に、残存する不要な分散安定化剤を除去するために、酸を添加することにより、分散安定化剤の除去洗浄を行なうことが好ましい。
上記着色樹脂粒子水分散液のpHが、上記範囲未満である場合には、着色樹脂粒子水分散液の酸性度の高まりにより、洗浄に多量の洗浄水を必要とする場合がある。一方、上記着色樹脂粒子水分散液のpHが、上記範囲を超える場合には、分散安定化剤の除去が困難になる場合がある。
上記(2−1)酸による分散安定化剤の除去工程を経て得られる着色樹脂粒子を、分離・洗浄を行なう装置としてベルトフィルターを用いて、固液分離し、イオン交換水等の洗浄水により、洗浄を行ない、湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させることが好ましい。
上記洗浄水の量が、上記範囲未満である場合には、ウエットケーキに含まれる不純物の除去が洗浄によって十分に行われず、トナーの印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記洗浄水の量が、上記範囲を超える場合には、必要以上の洗浄が行われることになり、トナーの生産性を低下させる場合がある。
上記(2−2)ベルトフィルターによる分離・洗浄工程を経て得られる湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を、イオン交換水に再分散させて、固形分濃度が20重量%の着色樹脂粒子の再分散液を調製した時、当該再分散液を濾過して得られる濾液の電気伝導度が、500μS/cm以下となるまで、着色樹脂粒子の洗浄度を高めた後、当該着色樹脂粒子を、イオン交換水に再分散させて、所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液を得る。
本発明において、濾液の電気伝導度は、着色樹脂粒子の洗浄度のレベルを判断する際の指標に用いることができる。
上記濾液の電気伝導度が、上記範囲を超える場合には、着色樹脂粒子の洗浄度のレベルが低く、着色樹脂粒子の洗浄が不十分であると判断でき、上記(2−2)〜(2−3)の一連の工程を繰り返し行なうことにより、着色樹脂粒子の洗浄度のレベルを高める必要がある。
なお、電気伝導度は、電気伝導度計を用いて測定される値であり、例えば、堀場製作所社製の電気伝導度計(商品名:ES−12)を用いて測定することができる。
本工程においては、電気伝導度の測定試験の結果から、着色樹脂粒子の洗浄度が所望のレベルに高められたと認められる着色樹脂粒子を、分離洗浄工程の最終段階で得て、イオン交換水を用いて、適切な固形分濃度に再分散させて、着色樹脂粒子の再分散液が得られればよいことを意味する。
なお、上記適切な固形分濃度は、通常15〜35重量%、好ましくは20〜25重量%として、次工程の(3)副生微粒子除去工程に用いることができる。
本工程は、(3−1)着色樹脂粒子の再分散液のpH調整工程、(3−2)副生微粒子の除去工程、及び(3−3)着色樹脂粒子の再分散液を得る工程を含み、当該各工程を経て、所望の副生微粒子の除去を行なうことができる。
上記(2)分離洗浄工程を経て得られる所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液を、特定のアルカリ性にpH調整し、分散を行ない、着色樹脂粒子表面に付着する副生微粒子を、着色樹脂粒子から遊離させることができる。
上記着色樹脂粒子の再分散液のpHが、上記範囲未満である場合には、着色樹脂粒子表面に付着する副生微粒子を、着色樹脂粒子から十分に遊離させることができず、次工程の(4)脱水工程において、濾材に生じる目詰まりの原因となり、脱水効率を低下させ、印字性能にも悪影響が及ぼされる場合がある。一方、上記着色樹脂粒子の再分散液のpHが、上記範囲を超える場合には、着色樹脂粒子表面に付着する副生微粒子を、着色樹脂粒子から遊離させることはできるものの、次工程の(4)脱水工程において、着色樹脂粒子を凝集させるために、多量の凝集剤が必要となり、脱水効率を低下させる場合がある。
アルカリ金属水酸化物の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、及び水酸化リチウム水溶液等が挙げられ、これらの中でも、水酸化ナトリウム水溶液がより好ましく用いられる。
なお、pH調整に用いるアルカリの添加量は、アルカリの濃度によって異なるが、アルカリを添加した後の着色樹脂粒子の再分散液のpHが、9〜12に調整されるように添加されれば、その添加量は特に限定されない。
上記(3−1)着色樹脂粒子の再分散液のpH調整工程を経て得られる、遊離した副生微粒子を含む着色樹脂粒子の水分散液から、副生微粒子を除去し、所望の湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を得ることができる。
デカンタ型遠心分離機は、外側回転筒、及び外側回転筒内に相対回転自在に設けられたスクリューコンベアからなる構造を有する。外側回転筒が高速回転することにより、遠心力を生じさせて、固形分(湿潤状態の着色樹脂粒子)と、液体(副生微粒子を含む水分散液)とに分離させることができ、副生微粒子が好適に除去された湿潤状態の着色樹脂粒子が得られる。
上記遠心力が、上記範囲未満である場合には、固形分(湿潤状態の着色樹脂粒子)と、液体(副生微粒子を含む水分散液)との分離性が悪くなり、副生微粒子の除去が不十分になる場合がある。一方、上記遠心力が上記範囲を超える場合には、着色樹脂粒子に対する機械的衝撃が強すぎるため、着色樹脂粒子に亀裂や粉砕が生じる等の悪影響が及ぼされ、所望の着色樹脂粒子を得ることができない場合がある。
なお、外側回転筒とスクリューコンベアとの回転数の差は、適宜設定すればよいが、1分間あたり1〜30回転であることが好ましく、5〜20回転であることがより好ましい。
上記着色樹脂粒子1個あたりの副生微粒子の平均個数が、上記範囲を超える場合には、着色樹脂粒子表面に付着する副生微粒子を、着色樹脂粒子から十分に遊離させることができず、脱水工程において、濾材に生じる目詰まりの原因となり、脱水効率を低下させ、印字性能にも悪影響が及ぼされる場合がある。
上記(3−2)副生微粒子の除去工程を経て得られる、副生微粒子の除去が好適に行なわれた湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を、イオン交換水を用いて、適切な固形分濃度に再分散させる。
なお、上記適切な固形分濃度は、通常15〜35重量%、好ましくは20〜25重量%として、次工程の(4)脱水工程に用いることができる。
本工程は、(4−1)着色樹脂粒子の凝集形成工程、及び(4−2)脱水装置による脱水工程を含み、当該各工程を経て、濾材に生じる目詰まりを低減させて、所望の脱水を行なうことができる。
上記(3)副生微粒子除去工程を経て得られる、副生微粒子の除去が好適に行なわれた所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液に、凝集剤として、酸及び/又はカチオン系高分子凝集剤を添加することにより、着色樹脂粒子の凝集体(フロック)を形成させる。
なお、本発明で用いる凝集剤としては、単独で用いる場合には、酸のみが好ましい。
上記凝集剤として酸が添加された着色樹脂粒子の再分散液のpHが、上記範囲未満である場合には、着色樹脂粒子水分散液の酸性度の高まりにより、設備の腐食が生じ易くなる場合がある。一方、上記凝集剤として酸が添加された着色樹脂粒子の再分散液のpHが、上記範囲を超える場合には、着色樹脂粒子の凝集体が形成され難くなり、含水率の低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)が得られ難くなる場合がある。
なお、本発明で凝集剤として用いる酸は、1種を単独で用いることもできるが、2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、酸の添加量は、酸の濃度によって異なるが、酸を添加した後の着色樹脂粒子の再分散液のpHが、2〜6になるように添加されれば、その添加量は特に限定されない。
なお、本発明で凝集剤として用いるカチオン系高分子凝集剤は、1種を単独で用いることもできるが、2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、上記式1〜3中、m、nは、共重合体の繰返し単位を表す数である。
本発明で凝集剤として用いるカチオン系高分子凝集剤の添加量が、上記範囲から外れる場合には、着色樹脂粒子の凝集体が形成され難くなり、含水率の低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)が得られ難くなる場合がある。
上記凝集体形成前後の着色樹脂粒子の体積平均粒径比(Dv2/Dv1)が、上記範囲未満である場合には、着色樹脂粒子の凝集体が十分に形成されず、含水率の低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)が得られ難くなる場合がある。一方、上記凝集体形成前後の着色樹脂粒子の体積平均粒径比(Dv2/Dv1)が、上記範囲を超える場合には、過大な凝集体が形成され、送液用のポンプ等に詰まりが発生する場合がある。
上記(4−1)着色樹脂粒子の凝集形成工程を経て得られる凝集した着色樹脂粒子を含む水分散液を、脱水装置を用いて脱水を行ない、含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を形成させる。
上記湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)の含水率が、上記範囲を超える場合には、次工程の(5)乾燥工程において、着色樹脂粒子が所望の乾燥状態になるまで、多くの乾燥時間を要し、乾燥効率が低下し、トナーの生産性が低下する場合がある。
上記脱水により排出される濾液の電気伝導度が、上記範囲を超える場合には、高温高湿環境下において、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
上記(4)脱水工程を経て得られる含水率が低い湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を回収し、着色樹脂粒子を乾燥させることにより、所望の着色樹脂粒子を得ることができる。
上記乾燥した着色樹脂粒子の含水率が、上記範囲を超える場合には、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字耐久性等の印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
上記濾液の電気伝導度が、上記範囲を超える場合には、高温高湿環境下において、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字耐久性等の印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
上記(5)乾燥工程を経て得られる着色樹脂粒子について述べる。
なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。
上記着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲未満である場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。一方、上記着色樹脂粒子の体積平均粒径Dvが、上記範囲を超える場合には、得られる画像の解像度が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
上記着色樹脂粒子の粒径分布(Dv/Dn)が、上記範囲を超える場合には、トナーの流動性が低下し、カブリ等による画質の劣化が起り易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
なお、着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)は、粒径測定機を用いて測定される値である。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が、上記範囲未満である場合には、トナー印字の細線再現性が低下し易くなり、印字性能に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明で得られる着色樹脂粒子は、そのままで、あるいは着色樹脂粒子とキャリア粒子(フェライト、及び鉄粉等)により、トナーとしてもよいが、トナーの帯電性、流動性、及び保存性等を調整する観点から、高速撹拌機(例えば、商品名:FMミキサー(三井鉱山社製)等)を用いて、着色樹脂粒子と外添剤を混合して、1成分トナーとしてもよく、着色樹脂粒子と外添剤を混合した後、さらにキャリア粒子を混合して2成分現像剤としてもよい。
本発明では、外添剤を、着色樹脂粒子100重量部に対して、通常0.1〜6重量部、好ましくは0.2〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)粒径の測定
(1−1)凝集を行なう前の着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv1)、及び凝集した着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv2)
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、スパチュラで掻き混ぜた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、重合後の着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv1)、及び凝集した着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv2)を、それぞれ測定した。
測定試料(着色樹脂粒子)を約0.1g秤量し、ビーカーに取り、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウエル)0.1mlを加えた。そのビーカーへ、更にアイソトンIIを10〜30ml加え、20Wの超音波分散機で3分間分散させた後、粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)を用いて、アパーチャー径;100μm、媒体;アイソトンII、測定粒子個数;100,000個の条件下で、乾燥した着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、及び個数平均粒径(Dn)を測定し、粒径分布(Dv/Dn)を算出した。
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料(着色樹脂粒子)0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色樹脂粒子濃度を3,000〜10,000個/μlとなるように調整し、0.4μm以上の円相当径の着色樹脂粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シメックス社製、商品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。
円形度は下記計算式1に示され、平均円形度は、その平均をとったものである。
計算式1:
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
分離洗浄工程、及び乾燥工程の各工程で得られた濾液について、電気伝導度計(堀場製作所社製、商品名:ES−12)を用いて、濾液の電気伝導度を測定し、下記計算式3により実質の濾液の電気伝導度を求めた。
計算式3:
濾液の電気伝導度(μS/cm)=A−B
A:測定した濾液の電気伝導度(μS/cm)
B:イオン交換水の電気伝導度(μS/cm)
分離洗浄工程後の着色樹脂粒子の再分散液3mlに、10%H2SO41mlを添加し、分散安定化剤を完全に溶解させた。この溶液を濾紙(アドバンテック東洋社製、商品名:No.2)に2ml滴下して濾過し、風乾して走査電子顕微鏡(SEM)用のサンプルを調製した。
風乾させた着色樹脂粒子に白金蒸着を行って、電界放射型走査電子顕微鏡(日立製作所社製、商品名:S−4700)を用い、加速電圧を5kVにし、5,000倍に拡大して走査電子顕微鏡(SEM)観察した。
各サンプルについて、ランダムに5視野の画像撮影を行い、各画像において無作為に5個の着色樹脂粒子を選択し、これら25個の着色樹脂粒子表面に観察される副生微粒子の個数をカウントした。これより、着色樹脂粒子1個あたりの副生微粒子の平均個数を算出した。
また、副生微粒子除去工程後の着色樹脂粒子の再分散液についても、同様に着色樹脂粒子1個あたりの副生微粒子の平均個数を算出した。
脱水工程後の濾材表面に生じた目詰まりの有無を、目視にて濾材表面を確認すると共に、さらに、濾材に目詰まりが生じていた場合には、詰まった着色樹脂粒子の一部を掻き取り、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、以下のように評価した。
○:目詰まりは、確認されなかった。
△:目詰まりが、確認され、少量の副生微粒子が観察された。
×:目詰まりが、確認され、多くの副生微粒子が観察された。
脱水工程で得られた湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を約5g秤量し、アルミニウム皿に採取して、精秤(W1(g))し、次いで、105℃に設定した乾燥機に2時間放置し、冷却後の重量を精秤(W2(g))し、下記計算式4により含水率(%)を求めた。
また、乾燥工程で得られた乾燥した着色樹脂粒子についても、同様にして含水率(%)を求めた。
(6−1)印字耐久性(N/N環境下、H/H環境下)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ26枚/分)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で10,000枚まで連続印字を行なった。
500枚毎に黒ベタ印字(印字濃度100%)を行ない、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD914)を用いて黒ベタ画像の印字濃度を測定した。さらに、その後、白ベタ印字(印字濃度0%)を行ない、白ベタ印字の途中でプリンターを停止させ、現像後の感光体上における非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)に付着させた後、剥ぎ取り、それを印字用紙に貼り付けた。次に、その粘着テープを貼り付けた印字用紙の白色度(B)を、白色度計(日本電色社製、商品名:ND−1)で測定し、同様にして、未使用の粘着テープだけを印字用紙に貼り付け、その白色度(A)を測定し、この白色度の差(B−A)をカブリ値(%)とした。この値が小さいほど、カブリが少なく良好であることを示す。
印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が5%以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べた。
また、同様の印字耐久性試験を、高温高湿(H/H)環境下(温度:35℃、湿度:80%)においても行なった。
なお、表1中、「10,000<」と記載されているものは、10,000枚の時点で、印字濃度が1.3以上で、且つカブリ値が5%以下の画質を維持できたことを示す。
また、常温常湿(N/N)環境下での試験は、下記(6−2)白筋発生の試験と同時に行い、白筋が発生した場合には、印字耐久性の評価は行わなかった。
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷スピード:A4サイズ26枚/分)を用い、現像装置のトナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で印字試験を行ない、500枚毎に黒ベタ印字(印字濃度100%)をして、白色の縦筋(白筋)の発生の有無を確認した。黒ベタ画像に白色の縦筋が初めて確認されたときの枚数(白筋発生枚数)をカウントし、最大で10,000枚まで印字試験を行なった。
なお、表1中、「10,000<」と記載されているものは、10,000枚の時点で、白色の縦筋(白筋)が発生しなかったことを示す。
(着色樹脂粒子水分散液を得る工程)
モノビニル単量体としてスチレン81部及びn−ブチルアクリレート19部(得られる共重合体のTg=55℃)、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、得られる重合体のTg=94℃)0.3部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.2部、及びブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)7部を、メディア式分散機を用いて湿式粉砕を行なった。
上記着色樹脂粒子水分散液を、室温下で、着色樹脂粒子水分散液のpHが6.0となるまで、攪拌しながら、10%希硫酸水溶液(硫酸を10重量%含有する水溶液)を滴下し、酸洗浄し、pH調整を行なった。
着色樹脂粒子水分散液の供給量:200kg/hr
濾過面積:1m2
ベルトスピード:0.6m/min
真空度:35.7〜42.4kPa
濾材:平織ポリプロピレン(中尾フィルター社製、商品名:PP312B)
濾材の通気度:1.3cc/sec/cm2
イオン交換水の供給量:240kg/hr
さらに、着色樹脂粒子の再分散液の一部を採取し、着色樹脂粒子表面に観察される副生微粒子の個数をカウントし、着色樹脂粒子1個あたりの副生微粒子の平均個数を算出したところ、120個であった。
上記着色樹脂粒子の再分散液(pH8.0)を、室温下で、pHが11.0となるまで、攪拌しながら、0.1%NaOH水溶液(NaOHを0.1重量%含有する水溶液)を滴下し、pH調整を行ない、pH調整された着色樹脂粒子の再分散液(pH11.0)を分散させて、着色樹脂粒子表面に付着する副生微粒子を、着色樹脂粒子から遊離させた。
遊離した副生微粒子を含む着色樹脂粒子の水分散液の供給量:150kg/hr
遠心力:2000G
外側回転筒とスクリューコンベアとの回転数の差:10min−1
上記着色樹脂粒子の再分散液(pH9.5)に、凝集剤として、0.1%希硫酸水溶液(硫酸を0.1重量%含有する水溶液)を添加して、着色樹脂粒子の再分散液のpHが4.2となるようにpH調整して、着色樹脂粒子を凝集させた。
凝集した着色樹脂粒子を含む水分散液の供給量:7kg
濾過面積:0.25m2
遠心力:1600G
供給時間:30sec
脱水時間:180sec
濾材:ポリエステル製濾布(中尾フィルター社製、商品名:TR815C)
濾材の通気度:0.8cc/sec/cm2
上記脱水により得られた湿潤状態の着色樹脂粒子(ウエットケーキ)を回収し、30kgを量り取り、真空乾燥機(ホソカワミクロン社製、商品名:ナウターミキサー NXV−1)に投入し、以下の条件で、ウエットケーキの含水率が0.2重量%になるまで乾燥を行ない、着色樹脂粒子を得た。
真空度:28Torr(3.7kPa)
ジャケット温度:47℃
また、乾燥により得られた着色樹脂粒子の一部を採取し、イオン交換水(電気伝導度:5μS/cm)に再分散させて、固形分濃度が20重量%となるように、再分散液を調製し、得られた着色樹脂粒子の再分散液の一部を採取し、濾紙(アドバンテック東洋社製、商品名:No.5C)を用いて、濾過して得られた濾液の電気伝導度を測定したところ、6μS/cmであった。
さらに、乾燥により得られた着色樹脂粒子の一部を採取し、乾燥した着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)、粒径分布(Dv/Dn)、及び平均円形度を測定した。
分離洗浄工程において、分離・洗浄する前の着色樹脂粒子水分散液のpHを、6.0から5.5に変更し、さらに、副生微粒子除去工程において、pH調整された着色樹脂粒子の再分散液のpHを、11.0から10.0に変更し、さらに、脱水工程において、凝集剤添加後の着色樹脂粒子の再分散液のpHを4.2から6.0に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の正帯電性トナーを作製し、印字試験に供した。
副生微粒子除去工程において、分離・洗浄する前の着色樹脂粒子水分散液のpHを、6.0から5.8に変更し、さらに、副生微粒子除去工程において、特定のアルカリ性にpH調整を行なわず、さらに、脱水工程において、凝集剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の正帯電性トナーを作製し、印字試験に供した。
着色樹脂粒子水分散液を得る工程において、水酸化マグネシウムコロイド分散液の調製に用いた、塩化マグネシウム及び水酸化ナトリウムの添加量を、それぞれ15.9部から10.3部、及び8.9部から5.8部に変更して得られる水酸化マグネシウムコロイド分散液(水酸化マグネシウムコロイド量:4.2部)を用いて、重合性単量体組成物の液滴形成を行ない、さらに、副生微粒子除去工程において、特定のアルカリ性にpH調整を行なわず、脱水工程において、凝集剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の正帯電性トナーを作製し、印字試験に供した。
副生微粒子除去工程を設けず、さらに、脱水工程において、凝集剤添加後の着色樹脂粒子の再分散液のpHを4.2から3.5に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の正帯電性トナーを作製し、印字試験に供した。
分離洗浄工程において、分離・洗浄する前の着色樹脂粒子水分散液のpHを、6.0から6.5に変更し、副生微粒子除去工程を設けず、さらに、脱水工程において、凝集剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例4の正帯電性トナーを作製し、印字試験に供した。
各実施例及び比較例で作製したトナーの試験結果を、表1に示す。
なお、表1中の注記は以下のとおりである。
*1:分離洗浄工程後の着色樹脂粒子の再分散液のpH
*2:副生微粒子除去工程後の着色樹脂粒子の再分散液のpH
表1に記載されている試験結果より、以下のことが分かる。
比較例1及び2のトナーは、副生微粒子除去工程において、特定のアルカリ性にpH調整を行なわず、さらに、脱水工程において、凝集剤を用いずに製造されたことに起因し、副生微粒子の除去が不十分であったため、濾材に目詰まりが生じ、含水率が低いウエットケーキを取得するのに多くの時間を要し、トナーの生産性が悪く、印字性能にも劣るトナーであった。
また、比較例1及び2の着色樹脂粒子1個あたりの副生微粒子の平均個数の違いは、比較例2の着色樹脂粒子が、比較的少ない水酸化マグネシウムコロイド量の分散液を用いて形成されたため、比較例1の着色樹脂粒子に比べて、粒径が比較的大きかったことと関係し、粒径が小さい着色樹脂粒子ほど副生微粒子を除去することが困難になると推測された。
Claims (12)
- 重合法により着色樹脂粒子を形成して着色樹脂粒子水分散液を得る工程、当該着色樹脂粒子水分散液中の着色樹脂粒子を、分離・洗浄しイオン交換水に再分散させて着色樹脂粒子の再分散液を得る分離洗浄工程、当該着色樹脂粒子の再分散液から副生微粒子を除去する副生微粒子除去工程、当該着色樹脂粒子の再分散液を脱水して湿潤状態の着色樹脂粒子を得る脱水工程、及び当該湿潤状態の着色樹脂粒子を乾燥する乾燥工程を含む重合トナーの製造方法であって、
上記分離洗浄工程において、分離・洗浄を行なう装置としてベルトフィルターを用い、当該ベルトフィルターにて分離・洗浄して得られる着色樹脂粒子を、イオン交換水に再分散させて、固形分濃度が20重量%の着色樹脂粒子の再分散液を調製し、当該再分散液を濾過して得られる濾液の電気伝導度が、500μS/cm以下となるまで、着色樹脂粒子の洗浄度を高めた後、当該着色樹脂粒子をイオン交換水に再分散させて、所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液を得ること、
上記副生微粒子除去工程において、当該所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液のpHを9〜12に調整し、当該pH調整された着色樹脂粒子の再分散液から副生微粒子の除去を行なった後、当該着色樹脂粒子をイオン交換水に再分散させて、所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液を得ること、
上記脱水工程において、当該所定の固形分濃度の着色樹脂粒子の再分散液に、凝集剤として、酸及び/又はカチオン系高分子凝集剤を添加して着色樹脂粒子を凝集させた後に脱水することを特徴とする重合トナーの製造方法。 - 前記分離洗浄工程において、ベルトフィルターにて分離・洗浄する前の着色樹脂粒子水分散液のpHが、5〜7であることを特徴とする請求項1に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記副生微粒子除去工程において、pH調整に用いるアルカリが、アルカリ金属水酸化物の水溶液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記副生微粒子除去工程において、pH調整された着色樹脂粒子の再分散液から副生微粒子の除去を行なうのに用いる装置が、デカンタ型遠心分離機、又は湿式サイクロンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記副生微粒子除去工程において、pH調整された着色樹脂粒子の再分散液から副生微粒子の除去を行なった後、着色樹脂粒子1個あたりの副生微粒子の平均個数が、40個以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記脱水工程において、添加される凝集剤が、酸であり、当該酸が硫酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記脱水工程において、凝集剤として酸が添加されたときの着色樹脂粒子の再分散液のpHが、2〜6であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記脱水工程において、凝集させた後の着色樹脂粒子の体積平均粒子径(Dv2)と、前記着色樹脂粒子水分散液を得る工程を経て得られる着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv1)との比(Dv2/Dv1)が、1.05<(Dv2/Dv1)<2.0であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記脱水工程において、脱水により得られる湿潤状態の着色樹脂粒子の含水率が、5〜15重量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記乾燥工程において、乾燥により得られる着色樹脂粒子を、イオン交換水に再分散させて、固形分濃度が20重量%の着色樹脂粒子の再分散液を調製し、当該再分散液を濾過して得られる濾液の電気伝導度が、20μS/cm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記乾燥工程において、乾燥により得られる着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)が4〜10μm、平均円形度が0.95〜0.995であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
- 前記重合トナーが、正帯電性トナーであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の重合トナーの製造方法。
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