JP2009109487A - 放射性物質の輸送兼貯蔵用容器 - Google Patents

放射性物質の輸送兼貯蔵用容器 Download PDF

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Abstract

【課題】鉛又は鉛合金から成るガンマ線遮蔽層の変形し難い放射性物質の輸送兼貯蔵用容器を提供する。
【解決手段】輸送兼貯蔵用容器1は、内胴8と、外胴9と、前記の内胴8と外胴9の間に介装される環状のガンマ線遮蔽層10及び中性子遮蔽層11と、を有する。前記ガンマ線遮蔽層10は、鉛から成るブロック状のガンマ線遮蔽ブロック12を周方向に複数並べて構成される。各ガンマ線遮蔽ブロック12は、軸方向全域に亘って、該ガンマ線遮蔽ブロック12よりも高い弾性限度を有する銅管16で被覆される。
【選択図】図3

Description

本発明は、使用済核燃料などの放射性物質の輸送兼貯蔵用容器に関する。
この種の技術として特許文献1は、内胴と外胴の間にガンマ線遮蔽層及び中性子遮蔽層が設けられる放射性物質の輸送兼貯蔵用容器を開示する。ガンマ線遮蔽層は、周方向に複数に分割されたブロック体で形成され、このブロック体は鉛から成る。
特許第3342994号公報(請求項1、請求項2、請求項4参照)
確かに、上記特許文献1に示されるように、ガンマ線に対する遮蔽性能とコストを考慮すると、上記ブロック体の材料としては鉛が最適である。しかし、周知の通り、鉛は外力が作用すると容易に変形するので強度上、改善の余地がある。特に、所謂9m落下試験の際には、衝突加速度による慣性力によって、鉛のブロック体が水平方向に広がるように局所的に潰れ、輸送兼貯蔵用容器の軸方向における長さが短くなり、部分的な隙間が生じる可能性がある。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、鉛又は鉛合金から成るガンマ線遮蔽層の変形し難い放射性物質の輸送兼貯蔵用容器を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本願発明の観点によれば、以下のように構成される、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器が提供される。即ち、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器は、内胴と、外胴と、前記の内胴と外胴の間に介装される環状のガンマ線遮蔽層及び中性子遮蔽層と、を有する。前記ガンマ線遮蔽層が、鉛又は鉛合金から成るブロック状のガンマ線遮蔽ブロックを周方向に複数並べて構成される。各ガンマ線遮蔽ブロックは、少なくとも一部又は全部が、該ガンマ線遮蔽ブロックよりも高い弾性限度を有する第1の金属部材で被覆される。以上の構成によれば、前記ガンマ線遮蔽ブロックが変形し難くなる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、各ガンマ線遮蔽ブロックは、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロックに対して径方向で重複関係とされる。以上の構成によれば、放射線のストリーミングを一層確実に防止できる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の金属部材は、断面U字状である。以上の構成によれば、前記第1の金属部材が管状に形成される場合と比較して該第1の金属部材の前記ガンマ線遮蔽ブロックに対する補強を大きくは損ねることなく、前記第1の金属部材を当初平面状としておき断面凹形状の金型を用いて該第1の金属部材をプレス機械で折曲して前記ガンマ線遮蔽ブロックに巻きつけるといったような放射性物質の輸送兼貯蔵用容器の経済的な製造方法が実現できる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の金属部材は、U字の開口が前記内胴に対して対向するように配される。以上の構成によれば、前記第1の金属部材が前記ガンマ線遮蔽ブロックを前記外胴側から包み込むこととなるから、断面U字状でありながら、前記第1の金属部材が管状に形成される場合と比較して、該第1の金属部材の前記ガンマ線遮蔽ブロックに対する補強においては遜色ない。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記の重複関係は、周方向に隣り合う一対のガンマ線遮蔽ブロック間の境界の少なくとも一部を曲面状とすることで実現される。以上の構成によれば、前記の重複関係を平面的な境界によって実現する場合と比較して放射線のストリーミングを一層効果的に防止できる。また、前記の重複関係を、角部の組み合わせから成る境界によって実現する場合と比較して、上記境界における望まない隙間を解消し易く、且つ、製造し易い。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、各ガンマ線遮蔽ブロックの、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロックに対する、対向面の曲面状とした上記部分は、前記第1の金属部材で被覆される。上記のように曲面状とした上記部分は、前記第1の金属部材との間における密着性が良好である。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、各ガンマ線遮蔽ブロックの、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロックに対する、対向面は、一方が凸状曲面を含み、他方が前記凸状曲面に対応する凹状曲面を含む。以上の構成によれば、極めてシンプルな形状で、前記の重複関係が実現される。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、各ガンマ線遮蔽ブロックの内周面及び外周面、前記凸状曲面、前記凹状曲面の何れもが前記第1の金属部材によって被覆される。以上の構成によれば、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能に大変優れる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、各ガンマ線遮蔽ブロックの内周面及び外周面、前記凸状曲面は前記第1の金属部材によって被覆され、一方、前記凹状曲面は前記第1の金属部材によって被覆されない。即ち、前記ガンマ線遮蔽ブロックの内周面及び外周面、前記凸状曲面、前記凹状曲面の何れもが前記第1の金属部材によって被覆される構成を採用すると、上記内周面を被覆する前記第1の金属部材の部分と、上記凹状曲面を被覆する前記第1の金属部材の部分と、によって鋭角状の空間が形成される。このような鋭角状の空間の存在は、製造上の技術的な問題から、前記ガンマ線遮蔽層の充填率の低下を招く虞がある。そこで、上述のように、敢えて前記凹状曲面だけを前記第1の金属部材によって被覆せず露出したままとすることで、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能はある程度確保しつつも、上記の鋭角状の空間の形成を回避でき、もって、前記ガンマ線遮蔽層の高い充填率を維持できる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、各ガンマ線遮蔽ブロックは、軸方向において並べられる複数のガンマ線遮蔽ブロック分割体から構成される、
ことを特徴とする、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。以上の構成によれば、上記放射性物質の輸送兼貯蔵用容器の製造が容易となる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、各ガンマ線遮蔽ブロック分割体は、軸方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック分割体に対して径方向に重複関係とされる。以上の構成によれば、放射線のストリーミングを防止しつつ、各ガンマ線遮蔽ブロックが軸方向において並べられる複数のガンマ線遮蔽ブロック分割体から成る構成を採用することができる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、軸方向に隣り合う一対の前記ガンマ線遮蔽ブロック分割体間の上記重複関係は、軸方向に隣り合う一対の前記ガンマ線遮蔽ブロック分割体間の境界の少なくとも一部を曲面状とすることで実現される。以上の構成によれば、前記の重複関係を平面的な境界によって実現する場合と比較して放射線のストリーミングを一層効果的に防止できる。また、前記の重複関係を、角部の組み合わせから成る境界によって実現する場合と比較して、上記境界における望まない隙間を解消し易く、且つ、製造し易い。この製造し易さは、特に、上記ガンマ線遮蔽ブロック分割体を例えばプレス成形で成形する場合に顕著となる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の金属部材は、前記ガンマ線遮蔽ブロックよりも高い熱伝導率を有する。以上の特性を有する第1の金属部材を採用することで、該第1の金属部材が前記の内胴と外胴の間の熱伝導に寄与し、もって、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能に大変優れる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の金属部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅、銅合金である。これらの材料を採用することで、高い弾性限度と高い熱伝導率を有する第1の金属部材を安価に実現できる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の金属部材の前記ガンマ線遮蔽ブロックに対して対向する面としての被覆面には、前記ガンマ線遮蔽ブロックへ食い込む突部が形成される。以上の構成によれば、この突部を介して前記のガンマ線遮蔽ブロックと第1の金属部材が相互に密接に係合するので、前記ガンマ線遮蔽ブロックが一層変形し難くなる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の金属部材に開口が形成される。前記ガンマ線遮蔽ブロックには、少なくとも一部が前記開口内に存在する突起が形成される。以上の構成によれば、この突起を介して前記のガンマ線遮蔽ブロックと第1の金属部材が相互に密接に係合するので、前記ガンマ線遮蔽ブロックが一層変形し難くなる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記中性子遮蔽層は、ブロック状の中性子遮蔽ブロックを複数並べて構成される。このように、前記中性子遮蔽層が前記複数の中性子ブロックから成る構成を採用することで、例えば各中性子遮蔽ブロックを前記輸送兼貯蔵用容器の製造に先駆けて別工程で作製しておくなどの多様な製造形態が可能となる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記中性子遮蔽ブロックは環状に形成される。前記複数のガンマ線遮蔽ブロックの外周に配される。以上の構成によれば、前記複数のガンマ線遮蔽ブロックが緊縛されて一層変形し難くなる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、各中性子遮蔽ブロックは、少なくとも一部又は全部が、該中性子遮蔽ブロックよりも高い弾性限度を有する第2の金属部材で被覆される。以上の構成によれば、前記中性子遮蔽ブロックが変形し難くなる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第2の金属部材は、前記中性子遮蔽ブロックよりも高い熱伝導率を有する。以上の特性を有する第2の金属部材を採用することで、該第2の金属部材が前記の内胴と外胴の間の熱伝導に寄与し、もって、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能に大変優れる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第2の金属部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅、銅合金である。これらの材料を採用することで、高い弾性限度と高い熱伝導率を有する第2の金属部材を安価に実現できる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第2の金属部材は、断面U字状である。以上の構成によれば、前記第2の金属部材が管状に形成される場合と比較して該第2の金属部材の前記中性子遮蔽ブロックに対する補強を大きくは損ねることなく、前記第2の金属部材を当初平面状としておき断面凹形状の金型を用いて該第2の金属部材をプレス機械で折曲して前記中性子遮蔽ブロックに巻きつけるといったような放射性物質の輸送兼貯蔵用容器の経済的な製造方法が実現できる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記中性子遮蔽層は水素を含む有機材料から成り、前記有機材料は樹脂材料又はゴム材料である。この材料を採用することで、中性子を問題なく遮蔽できる。また、この材料は、軽量で且つ中性子の遮蔽に有効な水素を多く含むことから中性子遮蔽材として優れている。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記内胴と、前記外胴と、前記ガンマ線遮蔽層と、前記中性子遮蔽層と、が相互に接触する接触面のうち少なくとも何れか一の接触面にはゲル材が塗布される。以上の構成によれば、前記の内胴と外胴の間の熱伝導が改善され、もって、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能に大変優れる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記ゲル材は、シリコン又はシリコン系の材料である。上記のシリコン又はシリコン系の材料は熱伝導性に優れるので、前記の内胴と外胴の間の熱伝導が一層改善されると共に、耐放射線性にも優れたゲル材となる。
上記の輸送兼貯蔵用容器は、更に、以下のように構成される。即ち、前記ガンマ線遮蔽ブロックの内部に、該ガンマ線遮蔽ブロックよりも高い弾性限度の補強材を埋設する。以上の構成によれば、前記ガンマ線遮蔽ブロックが一層変形し難くなる。
●第一実施形態
以下、図1〜3を参照しつつ、本発明の第一実施形態を説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る放射性物質の輸送兼貯蔵用容器の縦断面図である。図2は、図1の2−2線矢視断面図である。図3は、図2のA部斜視図である。
図1及び図2に示すように、本発明の第一実施形態に係る放射性物質の輸送兼貯蔵用容器1は、円筒状の胴部2と、この胴部2の軸方向両端に設けられる上蓋3及び底板4と、胴部2と上蓋3の間に形成され、輸送兼貯蔵用容器1のハンドリングに供される複数のトラニオン5と、底板4の外周に配される底部サポート6と、を有し、胴部2及び上蓋3、底板4によって放射性物質の収容空間7が形成される。
胴部2は、円筒状の内胴8と、この内胴8よりも大径で円筒状の外胴9と、内胴8と外胴9の間に介装される環状のガンマ線遮蔽層10及び中性子遮蔽層11と、から成る。ガンマ線遮蔽層10は、中性子遮蔽層11の内周側に配される。上蓋3は胴部2に対して着脱可能に取着され、一方、底板4は胴部2に対して溶接などの適宜の固定手段によって固定される。
図2に示されるように、ガンマ線遮蔽層10は、鉛から成るブロック状のガンマ線遮蔽ブロック12を周方向に複数並べて構成される。各ガンマ線遮蔽ブロック12は、胴部2の軸方向に沿って延在し、その延在長さは概ね胴部2の軸方向長さに一致する。同様に、中性子遮蔽層11は、水素を含む有機材料としてのエチレンプロピレン系ゴムから成るブロック状の中性子遮蔽ブロック13を周方向に複数並べて構成される。各中性子遮蔽ブロック13は、胴部2の軸方向に沿って延在し、その延在長さは概ね胴部2の軸方向長さに一致する。内胴8及び外胴9は例えば炭素鋼やステンレス鋼などから成る。
以上の構成で、上記の収容空間8に収容された放射性物質から放射されるガンマ線や中性子が、胴部2及び上蓋3、底板4によって好適に遮蔽されるようになっている。
次に、図3に基づいて、胴部2の断面構造を詳細に説明する。図3に記載の「軸方向」及び「径方向」、「周方向」は、「胴部2の軸方向」及び「胴部2の径方向」、「胴部2の周方向」に夫々対応する。説明の便宜上、図3において胴部2は本来円弧状に湾曲するところ平面状に展開して描き、更に、周方向に並設される複数のガンマ線遮蔽ブロック12のうち隣り合う2つのガンマ線遮蔽ブロック12を除くすべてのガンマ線遮蔽ブロック12は図示せず、中性子遮蔽ブロック13についても同様とした。また、薄肉の部材の断面に対しては、図面の見易さの観点から、ハッチングを省略した。
本図に示されるように、内胴8と外胴9の間には、内胴8と外胴9とを熱的に接続して、収容空間7内に収容される放射性物質の崩壊熱を内胴8から外胴9へ良好に伝熱するための伝熱フィン列14が、周方向に所定の間隔を空けて複数介装される。各伝熱フィン列14は、L字状に折曲される金属板である伝熱フィン15を軸方向に隙間なく並設することにより構成される。各伝熱フィン15は、高い熱伝導率を有するアルミやアルミ合金、銅、銅合金などから成り、周方向に延在する短辺部15aは外胴9に対して当接ないし圧接し、一方、径方向に延在する長辺部15bは内胴8に対して溶接される。
周方向に隣り合う伝熱フィン列14の間には、1つのガンマ線遮蔽ブロック12と、1つの中性子遮蔽ブロック13と、が径方向に沿って並設されるかたちで収容される。
ガンマ線遮蔽ブロック12は、鉛製のガンマ線遮蔽ブロック12と比較して高い弾性限度と高い熱伝導率を有する銅管16(第1の金属部材)で被覆される。また、周方向に複数で並設されるガンマ線遮蔽ブロック12は、ステンレス(SUS304)製のラッシングベルト17を用いて内周方向へ向かって強固に固縛される。このラッシングベルト17は、軸方向に所定の間隔を空けて複数で設けられ、伝熱フィン15を貫通すると共に、ガンマ線遮蔽層10と中性子遮蔽層11との間に挿通される。ガンマ線遮蔽層10(銅管16)と内胴8との間に生じる空隙には、シリコン又はシリコン系の材料から成るゲル材が充填される。換言すれば、ガンマ線遮蔽層10と内胴8との接触面Sには、上記ゲル材が塗布される。
中性子遮蔽ブロック13は、ガンマ線遮蔽ブロック12と異なり、本実施形態では被覆されずに伝熱フィン15の短辺部15aとガンマ線遮蔽層10との間に挟持されるだけであり、それ故、上記のラッシングベルト17は中性子遮蔽ブロック13に対して若干食い込むこととなる。
以上に、輸送兼貯蔵用容器1の構造を説明した。次に、輸送兼貯蔵用容器1の胴部2の製造方法を説明する。続けて、図3を参照されたい。
先ず、銅管16で被覆されるガンマ線遮蔽ブロック12を製造する。この銅管16で被覆されるガンマ線遮蔽ブロック12は、種々の方法により製造できる。即ち、鋳造及び圧入である。鋳造について言えば、先ず、断面円形の銅パイプを適宜の金型を用いて断面矩形に成形して銅管16とし、この銅管16内に溶融状態の鉛を鋳込んで鋳造する。圧入について言えば、ガンマ線遮蔽ブロックの製造工程を示す図13のように、(a)断面円形の銅パイプを(b)適宜の金型を用いて断面矩形に成形して銅管16とし、(c)この銅管16を立てた状態で支持するための銅管支持体に対して嵌合させた上で、該銅管16内に、軸方向に沿って細切れにしたブロック状の鉛片を圧入する。
上記と前後して、中性子遮蔽ブロック13を適宜の金型を用いて加硫成形する。
次に、銅管16で被覆されたガンマ線遮蔽ブロック12、中性子遮蔽ブロック13、伝熱フィン列14、をこの順で、図3に示されるように内胴8の外周に並べる。この作業に並行するかたちで、銅管16に被覆されるガンマ線遮蔽ブロック12を複数のラッシングベルト17を用いて順次、内胴8に対して強固に固縛する。
伝熱フィン列14、銅管16に被覆されたガンマ線遮蔽ブロック12、中性子遮蔽ブロック13を内胴8の外周に設置し終えたら、ラッシングベルト17を増し締めした上で、伝熱フィン15の短辺部15aを若干内周側へ撓ませながら外胴9を短辺部15aに対して外嵌する。
以上に、輸送兼貯蔵用容器1の胴部2の製造方法を説明した。こうしてできた胴部2に対して底板4を溶接により固定し、この底板4の外周に底部サポート6を取り付ける。そして、放射性物質を収容空間7に投入し、最後に、例えばボルトなどを用いた締結により上蓋3を胴部2に対して取り付ける。
(請求項1)
以上説明したように、上記実施形態において放射性物質の輸送兼貯蔵用容器1は、以下のように構成される。即ち、輸送兼貯蔵用容器1は、内胴8と、外胴9と、前記の内胴8と外胴9の間に介装される環状のガンマ線遮蔽層10及び中性子遮蔽層11と、を有する。前記ガンマ線遮蔽層10は、鉛から成るブロック状のガンマ線遮蔽ブロック12を周方向に複数並べて構成される。各ガンマ線遮蔽ブロック12は、軸方向全域に亘って、該ガンマ線遮蔽ブロック12よりも高い弾性限度を有する銅管16で被覆される。以上の構成により、輸送兼貯蔵用容器1に対して外力が作用しても、ガンマ線遮蔽ブロック12が変形し難くなる。
加えて、以上の構成により、輸送兼貯蔵用容器1に対して外力が作用しても、ガンマ線遮蔽ブロック12が移動し難くなる。
また、従来、輸送兼貯蔵用容器1の製造工程は、内胴8の外周において行われるガンマ線遮蔽層10の鋳込み工程によって律速されていた。これに対し、上記実施形態では、ガンマ線遮蔽層10が複数のガンマ線遮蔽ブロック12から成る構成を採用するので、例えば各ガンマ線遮蔽ブロック12を輸送兼貯蔵用容器1の製造に先駆けて別工程で作製しておくなどといったような多様な製造形態が可能となり、輸送兼貯蔵用容器1の製造工程に要する時間を短縮できる。
なお、上記のガンマ線遮蔽ブロック12は、上記実施形態で採用される鉛製に代えて、鉛合金製でもよい。また、ガンマ線遮蔽ブロック12は、上記実施形態のように軸方向全体に亘って満遍なく銅管16で被覆されるのに代えて、例えば軸方向一部のみが銅管16で被覆される構成でもよい。
(請求項13)
また、上記の輸送兼貯蔵用容器1は、更に、以下のように構成される。即ち、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆する金属部材(銅管16)は、ガンマ線遮蔽ブロック12よりも高い熱伝導率を有する。以上の特性を有する金属部材を採用することで、この金属部材が内胴8と外胴9の間の熱伝導に寄与し、もって、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能に大変優れる。
(請求項14)
また、上記の輸送兼貯蔵用容器1は、更に、以下のように構成される。即ち、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆する金属部材(銅管16)は、銅である。この材料を採用することで、高い弾性限度と高い熱伝導率を有する上記の金属部材を安価に実現できる。
なお、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆する金属部材(銅管16)としては、上記実施形態で採用される銅製に代えて、銅合金製でもよいし、アルミニウム製やアルミニウム合金製でもよい。このような代替材料であっても、上記の優れた効果は遜色なく奏される。
(請求項23)
また、上記の輸送兼貯蔵用容器1は、更に、以下のように構成される。即ち、中性子遮蔽層11は水素を含む有機材料から成り、上記の有機材料はゴム材料である。この材料を採用することで、中性子を問題なく遮蔽できる。また、この材料は、軽量で且つ中性子の遮蔽に有効な水素を多く含むことから中性子遮蔽材として優れている。
なお、上記の有機材料としては、上記実施形態で採用されるエチレンプロピレン系ゴムに代えて、例えばシリコンなどの他のゴム材料でもよいし、例えばエポキシ系やポリエステル系、ビニルエステル系などの樹脂材料でもよい。
(請求項17)
また、上記の輸送兼貯蔵用容器1は、更に、以下のように構成される。即ち、中性子遮蔽層11は、ブロック状の中性子遮蔽ブロック13を複数並べて構成される。このように、前記中性子遮蔽層11が前記複数の中性子遮蔽ブロック13から成る構成を採用することで、例えば各中性子遮蔽ブロック13を前記輸送兼貯蔵用容器1の製造に先駆けて別工程で作製しておくなどといったような多様な製造形態が可能となり、輸送兼貯蔵用容器1の製造工程に要する時間を短縮できる。
なお、上記実施形態とは異なり、内胴8の外周に複数のガンマ線遮蔽ブロック12を周設し、外胴9を設置した後に、ガンマ線遮蔽層10と外胴9の間に有機材料を充填して中性子遮蔽層11を形成してもよい。
(請求項24)
また、上記の輸送兼貯蔵用容器1は、更に、以下のように構成される。即ち、前記内胴8と、前記ガンマ線遮蔽層10と、が相互に接触する接触面Sにはゲル材が塗布される。以上の構成によれば、前記の内胴8と外胴9の間の熱伝導が改善され、もって、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能に大変優れる。
(請求項25)
また、上記の輸送兼貯蔵用容器1は、更に、以下のように構成される。即ち、前記ゲル材は、シリコン又はシリコン系の材料である。以上の構成によれば、前記の内胴8と外胴9の間の熱伝導が一層改善されると共に、耐放射線性にも優れたゲル材となる。
ところで、上記の中性子遮蔽ブロック13は、樹脂材料であれゴム材料であれ、金属材料と比較すると、外力に対して変形し易い。このため、所謂9m落下試験の際に、衝突加速度による慣性力によってガンマ線遮蔽ブロック12が中性子遮蔽ブロック13を外周側へ押し広げるように屈曲することもあろう。これに対し、上記実施形態では、内胴8の外周に複数で周設されるガンマ線遮蔽ブロック12を、軸方向に所定間隔で並設される複数のラッシングベルト17によって強固に固縛している。即ち、このラッシングベルト17も、ガンマ線遮蔽ブロック12の変形のし難さに大きく寄与すると言及できる。
●第一変形例
次に、図4を参照しつつ、上記第一実施形態の第一変形例を説明する。図4は、本発明の第一実施形態の第一変形例を示す部分斜視図である。なお、上記第一実施形態と重複する記載については、割愛する。
(請求項15)
本図には、銅管16で被覆されたガンマ線遮蔽ブロック12が一部斜視的に示される。本変形例では、銅管16のガンマ線遮蔽ブロック12に対向する面としての被覆面20に複数の突部21を所定の間隔でエンボス加工により形成する。そして、ガンマ線遮蔽ブロック12は、銅管16内に溶融状態の鉛を鋳込んで鋳造する。即ち、ガンマ線遮蔽ブロック12は、溶融状態の鉛を、被覆面20に対して接触した状態で凝固させて形成する。以上の製造方法を採用することにより、鉛が前記被覆面20に形成された突部21を包むように凝固し、換言すれば突部21がガンマ線遮蔽ブロック12へ食い込み、この突部21を介して前記のガンマ線遮蔽ブロック12と銅管16が相互に密接に係合するので、前記ガンマ線遮蔽ブロック12が一層変形し難くなる。
上記の突部21は、鉛の鋳込みの前に形成するのに代えて、鉛の鋳込みの後に形成することとしてもよい。これによっても、被覆面20には、ガンマ線遮蔽ブロック12へ食い込む上記の突部21が問題なく形成される。更に、予め鋳造成形した鉛ブロックを被覆面20内に圧入することとしてもよい。
なお、本変形例において、突部21は径方向外周側の被覆面20にのみ突設されているが、これに代えて、すべての被覆面20に対して多数の突部21を突設してもよい。また、突部21は上記のエンボス加工により形成するのが経済的であるが、加工方法はこれに限定されない。
また、所謂9m落下試験は、水平落下、垂直落下、コーナー落下の三種類の落下により実施され、このうち、垂直落下は最もガンマ線遮蔽ブロック12の形状に影響を及ぼす。そこで、本変形例のように突部21を設けて銅管16と相互に密着させることにより、9m落下の慣性力によりガンマ線遮蔽ブロック12が銅管内で滑ることを防ぐことができる。
●第二変形例
次に、図5を参照しつつ、上記第一実施形態の第二変形例を説明する。図5は、図4に類似する図であって、本発明の第一実施形態の第二変形例を示す部分斜視図である。なお、上記第一実施形態と重複する記載については、割愛する。
(請求項16)
本図には、銅管16で被覆されたガンマ線遮蔽ブロック12が一部斜視的に示される。本変形例では、銅管16に所定間隔で打ち抜き加工により円形の開口25を複数、形成する。そして、ガンマ線遮蔽ブロック12は、銅管16内に溶融状態の鉛を鋳込んで鋳造する。即ち、ガンマ線遮蔽ブロック12は、溶融状態の鉛を、前記開口25内を満たすように凝固させて形成する。以上の製造方法を採用することにより、前記開口25内にガンマ線遮蔽ブロック12と一体的な円柱状の突起26が形成される。即ち、開口25内に収容される鉛の突起26が前記ガンマ線遮蔽ブロック12の表面に形成され、この突起26を介して前記のガンマ線遮蔽ブロック12と銅管16が相互に密接に係合するので、前記ガンマ線遮蔽ブロック12が一層変形し難くなる。
上記の突起26は、鉛の鋳込みの後に形成するのに代えて、予め鋳造成形した鉛ブロックを開口25を有する銅管16内に圧入することにより形成することとしてもよい。これによっても突起26は問題なく形成される。
なお、本変形例において、開口25は銅管16の径方向外周側にのみ形成されているが、これに代えて、銅管16全体に満遍なく多数の開口25を形成してもよい。また、開口25は上記の打ち抜き加工により形成するのが経済的であるが、これに代えて、例えばドリル穴加工などの他の加工の方法により形成することとしてもよい。更に、上記の開口25は、円形に代えて、矩形でもよいし、他の多角形でもよい。加えて、望ましくは、銅管16に対する開口25の開口率は、所謂9m落下試験の際に生じる加速度による慣性力が突起26の剪断力以下となるように、即ち、所謂9m落下試験の際に生じる突起26の剪断変形が弾性域内となるように、設定するとよい。ガンマ線遮蔽ブロック12の移動ないし変形のし難さに寄与するからである。
また、上記の各突起26は、開口25内に完全に収容される場合と、一部のみが開口25内に収容される場合と、が考えられる。
●第三変形例
次に、図6を参照しつつ、上記第一実施形態の第三変形例を説明する。図6は、図4に類似する図であって、本発明の第一実施形態の第三変形例を示す部分斜視図である。なお、上記第一実施形態と重複する記載については、割愛する。
(請求項26)
本図には、銅管16で被覆されるガンマ線遮蔽ブロック12が一部斜視的に示される。本変形例では、ガンマ線遮蔽ブロック12の内部に、ガンマ線遮蔽ブロック12よりも高い弾性限度の補強材30を埋設する。本変形例において補強材30は、異径鉄筋とされ、ガンマ線遮蔽ブロック12の軸心に沿って延在する。以上の構成によれば、輸送兼貯蔵用容器1に対して作用する外力に補強材30が抗するので、前記ガンマ線遮蔽ブロック12が一層変形し難くなる。
●第二実施形態
次に、図7を参照しつつ、本発明の第二実施形態について説明する。図7は、図3に類似する図であって、本発明の第二実施形態に係る図である。なお、上記第一実施形態と重複する記載については、割愛する。
本実施形態では、上記第一実施形態における銅管16に代えて、断面U字状のU字部材35が用いられる。このU字部材35は、U字の開口が内胴8に対して対向するように配され、この結果、ガンマ線遮蔽ブロック12は、U字部材35と内胴8によって包囲される。
(請求項3)
上述のように、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆する金属部材(U字部材35)を断面U字状とすることで、以下の効果を奏する。即ち、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆する金属部材が管状に形成される場合と比較して該金属部材のガンマ線遮蔽ブロック12に対する補強を大きくは損ねることなく、図14に示されるように、該金属部材を当初平面状としておき断面凹形状の金型を用いて該金属部材をプレス機械で折曲してガンマ線遮蔽ブロック12に巻きつけるといったような経済的な製造方法が実現できる。
また、ガンマ線遮蔽ブロック12の側面全周を被覆する方法として、上記の通りU字状に金属部材を巻きつけた後に板状の金属部材の余白部分を、上記U字の開口を閉塞するように折曲してプレス圧接してもよい。
(請求項4)
また、上述のように、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆する金属部材(U字部材35)を、U字の開口が内胴8に対して対向するように配することで、以下の効果を奏する。即ち、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆する金属部材がガンマ線遮蔽ブロック12を前記外胴9側から包み込むこととなるから、断面U字状でありながら、この金属部材が管状に形成される場合と比較して、該金属部材の前記ガンマ線遮蔽ブロック12に対する補強においては遜色ない。
なお、形状の特徴を表す上記の「断面U字」は、本明細書において、「断面U字」の他に「断面C字」や「断面V字」をも含む上位の概念である。
特筆すべきは、経済的な製造方法が実現される本実施形態に係る構造は、図4や図5、図6に示される各変形例に係る構成と問題なく組み合わせて実施できることである。例えば、図4に示される突部21について言えば、これらの突部21は、上記の金属部材をプレス機械で折曲する際に、前後して又は併せて、形成できる。同様に、図5に示される突起26について言えば、これらの突起26は、折曲前に予め開口25が形成された金属部材をプレス機械で折曲する際に、金属部材をガンマ線遮蔽ブロック12に対して強力に押圧することで、ガンマ線遮蔽ブロック12の一部(鉛)が開口25内に圧入されるといったように、同時に、形成できる。このように、図7に示される構成は、図4〜6に示される構成と容易に組み合わせることができるので、経済的な観点からも、十分に活用すべきであろう。
●第三実施形態
次に、図8を参照しつつ、本発明の第三実施形態について説明する。図8は、図3に類似する図であって、本発明の第三実施形態に係る図である。なお、上記第一実施形態と重複する記載については、割愛する。
本実施形態では、各ガンマ線遮蔽ブロック12は、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対して径方向で重複関係とされる。詳しくは、ガンマ線遮蔽ブロック12の内周側部分に周方向に沿って開口する切欠き41が形成されると共に、この内周側部分から切欠き41の開口方向Bと反対方向に突出部40が突設される。そして、ガンマ線遮蔽ブロック12を内胴8の外周に並設すると、ちょうど、突出部40が切欠き41内に収容され、この結果、各ガンマ線遮蔽ブロック12は、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対して径方向で重複関係となる。伝熱フィン15の長辺部15bの先端15cは、上記第一実施形態とは異なり、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆する銅管16に対して溶接される。
(請求項2)
このように、各ガンマ線遮蔽ブロック12は、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対して径方向で重複関係とされるので、放射線のストリーミングを一層確実に防止できる。
●第四変形例
次に、図16を参照しつつ、本発明の第三実施形態の変形例である第四変形例について説明する。図16は、図8に類似する図であって、本発明の第三実施形態の変形例である第四変形例を示す部分斜視図である。なお、上記第三実施形態と重複する記載については、割愛する。
上記の切欠き41は、ガンマ線遮蔽ブロック12の内周側部分に形成されることに代えて、ガンマ線遮蔽ブロック12の径方向中央部分に矩形状に形成される。そして、これに呼応して、この径方向中央部分から切欠き41の開口方向Bと反対方向に突出部40が矩形状に突設される。そして、ガンマ線遮蔽ブロック12を内胴8の外周に並設すると、上記第三実施形態と同様に、ちょうど、突出部40が切欠き41内に収容され、この結果、各ガンマ線遮蔽ブロック12は、周方向に周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対して径方向で重複関係となる。
また、本変形例において、ガンマ線遮蔽ブロック12は、銅管16に代えて、上記第二実施形態と同様、断面U字状のU字部材35が用いられる。このU字部材35は、U字の開口が切欠き41の開口方向Bと同一方向となるように配される。
伝熱フィン15の長辺部15bの先端15cは、上記第三実施形態と同様、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆するU字部材35に対して溶接される。
●第五変形例
次に、図17を参照しつつ、本発明の第三実施形態の変形例である第五変形例について説明する。図17は、図8に類似する図であって、本発明の第三実施形態の変形例である第五変形例を示す部分斜視図である。なお、上記第三実施形態と重複する記載については、割愛する。
上記の切欠き41は、ガンマ線遮蔽ブロック12の内周側部分に形成されることに代えて、ガンマ線遮蔽ブロック12の径方向中央部分にV字状に形成される。そして、これに呼応して、この径方向中央部分から切欠き41の開口方向Bと反対方向に突出部40がV字状に突設される。そして、ガンマ線遮蔽ブロック12を内胴8の外周に並設すると、上記第三実施形態と同様に、ちょうど、突出部40が切欠き41内に収容され、この結果、各ガンマ線遮蔽ブロック12は、周方向に周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対して径方向で重複関係となる。
また、本変形例において、ガンマ線遮蔽ブロック12は、銅管16に代えて、上記第二実施形態と同様、断面U字状のU字部材35が用いられる。このU字部材35は、U字の開口が切欠き41の開口方向Bと同一方向となるように配される。
伝熱フィン15の長辺部15bの先端15cは、上記第三実施形態と同様、ガンマ線遮蔽ブロック12を被覆するU字部材35に対して溶接される。
●第四実施形態
次に、図9を参照しつつ、本発明の第四実施形態について説明する。図9は、図3に類似する図であって、本発明の第四実施形態に係る図である。
本実施形態に係る中性子遮蔽層11は、上記第一実施形態と同様、ブロック状の中性子遮蔽ブロック13を複数並べて構成される。しかし、上記の第一実施形態とは異なり、中性子遮蔽ブロック13は、ガンマ線遮蔽ブロック12の延在方向と直交する方向、即ち、周方向に沿って環状に形成され、環状の中性子遮蔽ブロック13は、輸送兼貯蔵用容器1の軸方向に所定間隔で並設される。環状の中性子遮蔽ブロック13が、複数のガンマ線遮蔽ブロック12の外周に配される点については、上記第一実施形態と同様である。
本実施形態に係る中性子遮蔽ブロック13は、該中性子遮蔽ブロック13よりも高い弾性限度及び高い熱伝導率を有する銅合金から成り、断面U字状であって、輸送兼貯蔵用容器1の軸に対して環状に形成される第二U字部材45(第2の金属部材)によって、部分的に被覆される。詳しくは、この第二U字部材45は、外胴9と中性子遮蔽ブロック13の間に介挿されるU字部材外周部45aと、中性子遮蔽ブロック13と銅管16の間に介挿されるU字部材内周部45cと、U字部材外周部45a及びU字部材内周部45cを熱的に連結するU字部材連結部45bと、から構成される。
外胴9とU字部材外周部45aとの接触面E、U字部材内周部45cと銅管16との接触面F、銅管16と内胴8との接触面G、には、前述のゲル材が塗布される。前述のラッシングベルト17は省略される。
(請求項18)
このように、前記中性子遮蔽ブロック13は環状に形成され、前記複数のガンマ線遮蔽ブロック12の外周に配されることで、前記複数のガンマ線遮蔽ブロック12は、径方向に緊縛されて一層変形し難くなる。
なお、ガンマ線遮蔽ブロック12を径方向に緊縛するという点においては、環状に形成される中性子遮蔽ブロック13も、前述のラッシングベルト17も、機能上、近似する。従って、本実施形態においてラッシングベルト17を省略する構成は、構造簡素化の意味で、採用する価値があろう。
(請求項19)
また、各中性子遮蔽ブロック13は、部分的に、該中性子遮蔽ブロック13よりも高い弾性限度を有する第二U字部材45で被覆されるので、前記中性子遮蔽ブロック13が変形し難くなる。更に、中性子遮蔽ブロック13が変形し難いから、その内周側に緊縛されるガンマ線遮蔽ブロック12が一層変形し難くなる。
なお、中性子遮蔽ブロック13が第二U字部材45によって部分的に被覆される構成に代えて、中性子遮蔽ブロック13の全体が管状の金属部材によって被覆される構成でもよい。
(請求項20)
また、中性子遮蔽ブロック13を被覆する金属部材(第二U字部材45)は、前記中性子遮蔽ブロック13よりも高い熱伝導率を有するので、該金属部材(第二U字部材45)が前記の内胴と外胴の間の熱伝導に寄与し、もって、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能に大変優れる。
本実施形態では、内胴8と外胴9が、銅管16と第二U字部材45によって熱的に接続された構成であるから、図3に示される伝熱フィン列14ないし伝熱フィン15を省略しても、内胴8と外胴9の間の熱伝導は良好である。
(請求項21)
また、中性子遮蔽ブロック13を被覆する金属部材(第二U字部材45)は銅合金であるので、高い弾性限度と高い熱伝導率を有する該金属部材を安価に実現できる。
なお、第二U字部材45は、銅合金に代えて、アルミニウムやアルミニウム合金、銅でもよい。これらの材料を採用した場合でも、上記の優れた効果は遜色なく奏される。
(請求項22)
また、中性子遮蔽ブロック13を被覆する金属部材(第二U字部材45)を断面U字状とすることで、以下の効果を奏する。即ち、該金属部材が管状に形成される場合と比較して該金属部材の前記中性子遮蔽ブロック13に対する補強を大きくは損ねることなく、該金属部材を当初平面状としておき断面凹形状の金型を用いてプレス機械で該金属部材を折曲して前記中性子遮蔽ブロック13に巻きつけるといったような経済的な製造方法が実現できる。
なお、U字部材外周部45aやU字部材内周部45cの軸方向長さ、即ち、U字部材外周部45aと外胴9との接触面の面積や、U字部材内周部45cと銅管16との接触面の面積は、例えば内胴8と外胴9の間の伝熱性能や構造強度などを十分考慮の上、設定するのが好ましい。また、本図に示されるように、中性子遮蔽ブロック13と外胴9の間や、中性子遮蔽ブロック13と銅管16の間に空隙を残しておくと、中性子遮蔽ブロック13の径方向における熱膨張をある程度許容/吸収できるという点で望ましい。
(請求項24)
また、内胴8と、外胴9と、ガンマ線遮蔽層10と、中性子遮蔽層11と、が相互に接触する接触面E、F、Gにはゲル材が塗布されるので、内胴8と外胴9の間の熱伝導が改善され、もって、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能に大変優れる。。
勿論、上記の接触面E、F、Gのすべての接触面にゲル材を塗布するのに代えて、接触面E、F、Gのうち少なくとも何れか一の接触面にゲル材を塗布してもよい。この場合でも、ゲル材を一切塗布しない場合と比較して、内胴8と外胴9の間の熱伝導が改善される。
●第五実施形態
次に、図10及び図11を参照しつつ、本発明の第五実施形態について説明する。図10は、図3に類似する図であって、本発明の第五実施形態に係る図である。図11は、図10の一部切欠き斜視図である。なお、上記第三実施形態と重複する記載については、割愛する。
本実施形態では、上記第三実施形態と同様に、各ガンマ線遮蔽ブロック12は、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対して径方向で重複関係とされる。そして、この重複関係は、周方向に隣り合う一対のガンマ線遮蔽ブロック12間の境界Pの少なくとも一部を曲面状とすることで実現される。具体的には、以下の通りである。
図10に示されるように、各ガンマ線遮蔽ブロック12の周方向一端には周方向へ湾曲状(曲面状、円弧状)に膨出する周方向膨出部51が形成される。この周方向膨出部51の形成により、各ガンマ線遮蔽ブロック12の、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対する対向面の一方は凸状曲面Paとなっている。また、各ガンマ線遮蔽ブロック12の周方向他端には周方向へ湾曲状(曲面状、円弧状)に凹む周方向凹窩部52が形成される。この周方向凹窩部52の形成により、各ガンマ線遮蔽ブロック12の、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対する対向面の他方は凹状曲面Pbとなっている。上記の凸状曲面Paと凹状曲面Pbは、湾曲の程度が略統一される。具体的に言えば、上記の凸状曲面Paと凹状曲面Pbは、曲率半径が略同値となるように設定される。これにより、上記の凸状曲面Paと凹状曲面Pbは、相互に対応するようになっている。つまり、上記の凸状曲面Paと凹状曲面Pbは、ぴったりと面接触できるようになっている。
そして、本実施形態では、上記凸状曲面Paは、前述の銅管16と同じ材料から成る金属部材53(第1の金属部材)で被覆される。更に言えば、この金属部材53は、断面U字状に形成され、各ガンマ線遮蔽ブロック12の内周面12a及び外周面12b、凸状曲面Paを被覆し、一方、凹状曲面Pbは被覆しない。
図10に示されるように、各ガンマ線遮蔽ブロック12と、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12と、の間では、周方向膨出部51が周方向凹窩部52内に収容される関係が成立し、もって、各ガンマ線遮蔽ブロック12の、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対する径方向の重複関係が実現するようになっている。
また、本実施形態では、各ガンマ線遮蔽ブロック12は、軸方向において並べられる複数のガンマ線遮蔽ブロック分割体12dから構成される。そして、各ガンマ線遮蔽ブロック分割体12dは、図11に示されるように、軸方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック分割体12dに対して径方向に重複関係とされる。更に、軸方向に隣り合う一対のガンマ線遮蔽ブロック分割体12d間の上記重複関係は、図10の境界Pと同様、軸方向に隣り合う一対のガンマ線遮蔽ブロック分割体12d間の境界Qを曲面状とすることで実現される。具体的には、各ガンマ線遮蔽ブロック分割体12dには、軸方向に湾曲状に膨出する軸方向膨出部61と、軸方向に湾曲状に凹む軸方向凹窩部62と、が形成される。そして、軸方向膨出部61が軸方向凹窩部62内に収容されることで、各ガンマ線遮蔽ブロック分割体12dは、軸方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック分割体12dに対して径方向に重複関係となるようになっている。
(請求項5)
以上説明したように本実施形態において上記の輸送兼貯蔵用容器1は、更に、以下のように構成される。即ち、周方向に隣り合うガンマ線遮蔽ブロック12間の重複関係は、周方向に隣り合う一対のガンマ線遮蔽ブロック12間の境界Pを曲面状とすることで実現される。以上の構成によれば、前記の重複関係を平面的な境界によって実現する場合と比較して放射線のストリーミングを一層効果的に防止できる。また、前記の重複関係を、角部の組み合わせから成る境界によって実現する場合と比較して、上記境界における望まない隙間を解消し易く、且つ、製造し易い。
なお、上記実施形態では、上記境界Pを全体的に曲面状とすることで前記の重複関係を実現しているが、これに代えて、上記境界Pの一部を曲面状とすることで前記の重複関係を実現する構成も考えられる。
(請求項6)
また、各ガンマ線遮蔽ブロック12の、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対する、対向面の曲面状とした上記部分、即ち、凸状曲面Paは、金属部材53で被覆される。このように曲面状とした上記部分は、金属部材53との間における密着性が良好である。
(請求項7)
また、各ガンマ線遮蔽ブロック12の、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック12に対する、対向面は、一方が凸状曲面Paとされ、他方が凸状曲面Paに対応する凹状曲面Pbとされる。以上の構成によれば、極めてシンプルな形状で、前記の重複関係が実現される。
なお、上記対向面の一方の一部のみが凸状曲面とされ、他方の一部のみが、この凸状曲面に対応する凹状曲面とされる構成も考えられる。この場合でも、極めてシンプルな形状で、前記の重複関係が実現されると言える。
(請求項9)
また、各ガンマ線遮蔽ブロック12の内周面12a及び外周面12b、前記凸状曲面Paは前記金属部材53によって被覆され、一方、前記凹状曲面Pbは前記金属部材53によって被覆されない。即ち、前記ガンマ線遮蔽ブロック12の内周面12a及び外周面12b、前記凸状曲面Pa、前記凹状曲面Pbの何れもが前記金属部材53によって被覆される構成を採用すると、上記内周面12aを被覆する前記金属部材53の部分と、上記凹状曲面Pbを被覆する前記金属部材53の部分と、によって鋭角状の空間が形成される。このような鋭角状の空間の存在は、製造上の技術的な問題から、前記ガンマ線遮蔽層10の充填率の低下を招く虞がある。そこで、上述のように、敢えて前記凹状曲面Pbだけを前記金属部材53によって被覆せず露出したままとすることで、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能はある程度確保しつつも、上記の鋭角状の空間の形成を回避でき、もって、前記ガンマ線遮蔽層10の高い充填率を維持できる。
(請求項8)
しかし、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能を優先したい場合などは、以下の構成も有効である。即ち、各ガンマ線遮蔽ブロック12の内周面12a及び外周面12b、前記凸状曲面Pa、前記凹状曲面Pbの何れもが前記金属部材53によって被覆される。以上の構成によれば、放射性物質の崩壊熱に対する除熱性能に大変優れる。
(請求項10)
また、各ガンマ線遮蔽ブロック12は、軸方向において並べられる複数のガンマ線遮蔽ブロック分割体12dから構成される。以上の構成によれば、上記放射性物質の輸送兼貯蔵用容器1の製造が容易となる。というのは、輸送兼貯蔵用容器1の部品点数は増えるものの、輸送兼貯蔵用容器1の組立て作業性が格段に向上するからである。
(請求項11)
また、各ガンマ線遮蔽ブロック分割体12dは、軸方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック分割体12dに対して径方向に重複関係とされる。以上の構成によれば、放射線のストリーミングを防止しつつ、各ガンマ線遮蔽ブロック12が軸方向において並べられる複数のガンマ線遮蔽ブロック分割体12dから成る構成を採用することができる。
(請求項12)
また、軸方向に隣り合う一対の前記ガンマ線遮蔽ブロック分割体12d間の上記重複関係は、軸方向に隣り合う一対の前記ガンマ線遮蔽ブロック分割体12d間の境界Qを曲面状とすることで実現される。以上の構成によれば、前記の重複関係を平面状とした境界によって実現する場合と比較して放射線のストリーミングを一層効果的に防止できる。また、前記の重複関係を、角部の組み合わせから成る境界によって実現する場合と比較して、上記境界における望まない隙間を解消し易く、且つ、製造し易い。この製造し易さは、特に、上記ガンマ線遮蔽ブロック分割体12dを例えばプレス成形で成形する場合に顕著となる。
なお、上記実施形態では、前記の境界Qを全体的に曲面状としたが、これに代えて、境界Qの一部を曲面状としてもよい。
●第六変形例
図12は、図11に類似する図であって、本発明の第六変形例を示す図である。上記実施形態では、軸方向に隣り合う一対のガンマ線遮蔽ブロック分割体12d間の上記重複関係は、軸方向に隣り合う一対のガンマ線遮蔽ブロック分割体12d間の境界Qを曲面状とすることで実現することとした。しかし、これに代えて、上記重複関係は、図12に示されるように、前記の境界Qを段違い形状とすることで実現することとしてもよい。この場合でも、前記の重複関係を平面状とした境界によって実現する場合と比較して放射線のストリーミングを一層効果的に防止できる。
●第七変形例
図15は、ガンマ線遮蔽ブロックの断面図である。以下、図15を参照しつつ、ガンマ線遮蔽ブロック12の断面形状のバリエーション(a)〜(f)を簡単に紹介する。
図15(a)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、図10に示されるガンマ線遮蔽ブロック12と略同一であって、以下のように構成される。即ち、ガンマ線遮蔽ブロック12は、周方向に湾曲状に膨出する周方向膨出部51と、周方向に湾曲状に凹む周方向凹窩部52と、を有する。周方向膨出部51の凸状曲面Paと、ガンマ線遮蔽ブロック12の内周面12a及び外周面12bと、は断面U字状の金属部材53によって被覆される。周方向凹窩部52の凹状曲面Pbは、周方向凹窩部52と金属部材53に跨るように形成される。
図15(b)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、図15(a)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12と比較して以下の点で相違する。即ち、金属部材53は、ガンマ線遮蔽ブロック12の内周面12a及び外周面12bを完全には被覆しない。そして、周方向凹窩部52の凹状曲面Pbの内周端近傍及び外周端近傍には、金属部材53によって被覆される代わりに、断面略三角形状の隅部12fが形成される。従って、図15(a)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12と比較して、図15(b)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、周方向の長さが十分に確保される。
図15(c)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、図15(a)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12と比較して以下の点で相違する。即ち、周方向凹窩部52の凹状曲面Pbは、周方向凹窩部52と金属部材53に跨るようには形成されず、周方向凹窩部52に対してのみ形成される。また、周方向膨出部51の凸状曲面Paの断面輪郭の半径は図15(a)と比較して若干小さく設定され、更に、この凸状曲面Paと、内周面12a及び凹状曲面Pbと、を接続する傾斜面12gが形成される。このように、凸状曲面Paと内周面12a、凸状曲面Paと凹状曲面Pb、の間に凸状曲面Paに向かって窄まるような段差を設けることで、周方向に隣り合う金属部材53同士の嵌合が改善され、もって、周方向に隣り合う金属部材53同士の嵌合の、径方向におけるズレが抑制されるようになっている。
図15(d)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、図15(c)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12と比較して以下の点で相違する。即ち、図15(d)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12に形成される傾斜面12gは、凸状曲面Paに対して滑らかに(断面輪郭では円弧と接線の関係となるように)接続される。また、図15(d)の凹状曲面Pbの断面輪郭の半径は、図15(c)の凹状曲面Pbと比較して若干小さく設定される。そして、凹状曲面Pbと内周面12a、凹状曲面Pbと外周面12b、を接続する第二傾斜面12hが形成される。この第二傾斜面12hは、上記の傾斜面12gと同様に、凹状曲面Pbに対して滑らかに(断面輪郭では円弧と接線の関係となるように)接続される。
図15(e)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、図15(d)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12と比較して、以下の点で相違する。即ち、図15(d)に示される傾斜面12g及び第二傾斜面12hは省略され、凸状曲面Pa及び凹状曲面Pbの断面輪郭の半径は大きく設定される。更に、図15(e)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、他の図15(a)〜(d)と比較して以下の点で大きく相違する。即ち、図15(e)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、径方向において、換言すれば図15の紙面上下方向において非対称となっている。端的に言えば、図15(e)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、断面が略平行四辺形であると言える。
図15(f)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、図15(a)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12と比較して主として以下の点で相違する。即ち、図15(f)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12では、内周面12aの凹状曲面Pb側端部が欠いており、もって、図15(f)に示されるガンマ線遮蔽ブロック12は、径方向において、非対称となっている。
最後に、上記の図15(a)〜(f)に開示のガンマ線遮蔽ブロック12の特異な形状と、輸送兼貯蔵用容器1の組み立て作業性と、の関係を説明する。図18は、凸状曲面及び凹状曲面の組み立て作業性に対する寄与を説明するための図である。
前述した図16に示されるガンマ線遮蔽ブロック12の形状を採用すると、ガンマ線遮蔽ブロック12を内胴8の外周に並設する際、周方向に隣り合うガンマ線遮蔽ブロック12同士を密着するには、ガンマ線遮蔽ブロック12同士を若干離間させた状態で内胴8の外周に当接させ、この内胴8の外周上で何れか一方のガンマ線遮蔽ブロック12を周方向にスライドさせる必要がある。
これに対し、図15(a)〜(f)に開示の形状を採用すると、図18(a)に示されるように既に内胴8の外周に配置されたガンマ線遮蔽ブロック12に対して、周方向に隣り合わせるガンマ線遮蔽ブロック12を、周方向に対して斜めの向きで近接させ、図18(b)に示されるように周方向に隣り合うガンマ線遮蔽ブロック12同士の周方向における相対的な位置関係を大まかに確保し、図18(c)に示されるように近接させた方のガンマ線遮蔽ブロック12を内胴8の外周に当接するまで回転させた上で、周方向に隣り合うガンマ線遮蔽ブロック12同士の最終的な密着を得る、といったような、図16に開示の形状では到底成し得ない特別な組み立て方法が実現される。この特別な組み立て方法は、他ならぬ、凸状曲面Pa及び凹状曲面Pbの存在により実現されるものであり、内胴8の外周に必要分のガンマ線遮蔽ブロック12を並設し終える際の、最後のガンマ線遮蔽ブロック12を既に多数並べられたガンマ線遮蔽ブロック12の隙間に押し込む際に特に有益である。周方向に隣り合うガンマ線遮蔽ブロック12間の係合に関して、図16に示される形状と比較して、回転可能であるという点で柔軟性に富むからである。
本発明の第一実施形態に係る放射性物質の輸送兼貯蔵用容器の縦断面図 図1の2−2線矢視断面図 図2のA部斜視図 本発明の第一実施形態の第一変形例を示す部分斜視図 図4に類似する図であって、本発明の第一実施形態の第二変形例を示す部分斜視図 図4に類似する図であって、本発明の第一実施形態の第三変形例を示す部分斜視図 図3に類似する図であって、本発明の第二実施形態に係る図 図3に類似する図であって、本発明の第三実施形態に係る図 図3に類似する図であって、本発明の第四実施形態に係る図 図3に類似する図であって、本発明の第五実施形態に係る図 図10の一部切欠き斜視図 図11に類似する図であって、本発明の第六変形例を示す図 ガンマ線遮蔽ブロックの製造工程を示す図 ガンマ線遮蔽ブロックの製造工程を示す図 ガンマ線遮蔽ブロックの断面図 図8に類似する図であって、本発明の第三実施形態の変形例である第四変形例を示す部分斜視図 図8に類似する図であって、本発明の第三実施形態の変形例である第五変形例を示す部分斜視図 凸状曲面及び凹状曲面の組み立て作業性に対する寄与を説明するための図
符号の説明
1 輸送兼貯蔵用容器
8 内胴
9 外胴
10 ガンマ線遮蔽層
11 中性子遮蔽層
12 ガンマ線遮蔽ブロック
16 銅管

Claims (26)

  1. 内胴と、外胴と、前記の内胴と外胴の間に介装される環状のガンマ線遮蔽層及び中性子遮蔽層と、を有し、
    前記ガンマ線遮蔽層が、鉛又は鉛合金から成るブロック状のガンマ線遮蔽ブロックを周方向に複数並べて構成される、
    放射性物質の輸送兼貯蔵用容器において、
    各ガンマ線遮蔽ブロックは、少なくとも一部又は全部が、該ガンマ線遮蔽ブロックよりも高い弾性限度を有する第1の金属部材で被覆される、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  2. 請求項1に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    各ガンマ線遮蔽ブロックは、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロックに対して径方向で重複関係とされる、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  3. 請求項1又は2に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記第1の金属部材は、断面U字状である、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  4. 請求項3に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記第1の金属部材は、U字の開口が前記内胴に対して対向するように配される、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  5. 請求項2に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記の重複関係は、周方向に隣り合う一対のガンマ線遮蔽ブロック間の境界の少なくとも一部を曲面状とすることで実現される、
    ことを特徴とする、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  6. 請求項5に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    各ガンマ線遮蔽ブロックの、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロックに対する、対向面の曲面状とした上記部分は、前記第1の金属部材で被覆される、
    ことを特徴とする、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  7. 請求項5又は6に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    各ガンマ線遮蔽ブロックの、周方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロックに対する、対向面は、一方が凸状曲面を含み、他方が前記凸状曲面に対応する凹状曲面を含む、
    ことを特徴とする、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  8. 請求項7に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    各ガンマ線遮蔽ブロックの内周面及び外周面、前記凸状曲面、前記凹状曲面の何れもが前記第1の金属部材によって被覆される、
    ことを特徴とする、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  9. 請求項7に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    各ガンマ線遮蔽ブロックの内周面及び外周面、前記凸状曲面は前記第1の金属部材によって被覆され、一方、前記凹状曲面は前記第1の金属部材によって被覆されない、
    ことを特徴とする、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  10. 請求項1〜9の何れかに記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    各ガンマ線遮蔽ブロックは、軸方向において並べられる複数のガンマ線遮蔽ブロック分割体から構成される、
    ことを特徴とする、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  11. 請求項10に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    各ガンマ線遮蔽ブロック分割体は、軸方向に隣り合う他のガンマ線遮蔽ブロック分割体に対して径方向に重複関係とされる、
    ことを特徴とする、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  12. 請求項11に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    軸方向に隣り合う一対の前記ガンマ線遮蔽ブロック分割体間の上記重複関係は、
    軸方向に隣り合う一対の前記ガンマ線遮蔽ブロック分割体間の境界の少なくとも一部を曲面状とすることで実現される、
    ことを特徴とする、放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  13. 請求項1〜12に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記第1の金属部材は、前記ガンマ線遮蔽ブロックよりも高い熱伝導率を有する、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  14. 請求項13に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記第1の金属部材は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、又は銅合金である、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  15. 請求項1〜14の何れか一に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記第1の金属部材の前記ガンマ線遮蔽ブロックに対して対向する面としての被覆面には、前記ガンマ線遮蔽ブロックへ食い込む突部が形成される、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  16. 請求項1〜15の何れか一に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記第1の金属部材に開口が形成され、
    前記ガンマ線遮蔽ブロックには、少なくとも一部が前記開口内に存在する突起が形成される、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  17. 請求項1〜16の何れか一に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記中性子遮蔽層は、ブロック状の中性子遮蔽ブロックを複数並べて構成される、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  18. 請求項17に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記中性子遮蔽ブロックは環状に形成され、
    前記複数のガンマ線遮蔽ブロックの外周に配される、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  19. 請求項17又は18に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    各中性子遮蔽ブロックは、少なくとも一部又は全部が、該中性子遮蔽ブロックよりも高い弾性限度を有する第2の金属部材で被覆される、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  20. 請求項19に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記第2の金属部材は、前記中性子遮蔽ブロックよりも高い熱伝導率を有する、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  21. 請求項20に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記第2の金属部材は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、又は銅合金である、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  22. 請求項19〜21の何れか一に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記第2の金属部材は、断面U字状である、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  23. 請求項1〜22の何れか一に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記中性子遮蔽層は水素を含む有機材料から成り、前記有機材料は樹脂材料又はゴム材料である、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  24. 請求項1〜23の何れか一に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記内胴と、前記外胴と、前記ガンマ線遮蔽層と、前記中性子遮蔽層と、が相互に接触する接触面のうち少なくとも何れか一の接触面にはゲル材が塗布される、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  25. 請求項24に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記ゲル材は、シリコン又はシリコン系の材料である、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
  26. 請求項1〜25の何れか一に記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器であって、
    前記ガンマ線遮蔽ブロックの内部に、該ガンマ線遮蔽ブロックよりも高い弾性限度の補強材を埋設する、
    ことを特徴とする放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
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