JP3342994B2 - 放射性物質の輸送兼貯蔵用容器 - Google Patents

放射性物質の輸送兼貯蔵用容器

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    • G21F5/00—Transportable or portable shielded containers
    • G21F5/06—Details of, or accessories to, the containers
    • G21F5/10—Heat-removal systems, e.g. using circulating fluid or cooling fins

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用済核燃料等の
放射性物質の輸送兼貯蔵用容器に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】原子力発電所等から出る使用済核燃料等
の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器は、その内部に収納し
た使用済核燃料等の放射性物質が崩壊する際に発生する
熱を効果的に放熱するとともに、放射性物質から放射さ
れるガンマ線や中性子を遮蔽するように構成され、例え
ば特開平 7− 27896号公報、特公平 5− 39520号公報等
に提案されたものがある。
【０００３】特開平 7− 27896号公報に提案のものは、
鋼板製の内胴及び外胴の間に鉛層を設け、外胴の外側に
中性子遮蔽材を設けるとともに、さらに中性子遮蔽材の
外側に放熱フィンを設けた構成とし、前記鉛層を内胴の
外面に鉛・錫系の溶化材の薄膜を介して密着させること
によって、内胴内部で発生する放射性物質の崩壊熱等を
効率的に外へ放熱させ、また鉛層によって放射性物質か
ら放射されるガンマ線を、中性子遮蔽材によって中性子
を夫々遮蔽し、安全に使用済核燃料等の放射性物質を輸
送するものである。
【０００４】また、特公平 5− 39520号公報に記載のも
のは、金属製の筒形の容器本体と外筒との間に、容器本
体の外周面に面接触する辺部と容器本体の放射方向に延
びる辺部とからなるＬ字形の金属製の伝熱部材を容器本
体の周方向に複数本互いに隣接して容器本体の長さ方向
に配置し、さらに伝熱部材の放射方向の辺の端部を外筒
の内面に結合し、伝熱部材と外筒とによって形成される
密閉空間に中性子遮蔽材料を充填して構成されたもので
ある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特開平
7− 27896号公報に提案のものは、ガンマ線の遮蔽を、
遮蔽能に優れた鉛を内胴と外胴の間に設けて行うことか
ら、内胴の厚さを薄くし得る利点があり、また鉛層を内
胴の外面に鉛・錫系の溶化材の薄膜を介して密着させて
いるので、内胴内部で発生する放射性物質の崩壊熱等を
効率的に外へ放熱し得る利点を有するが、鉛層を内胴の
外面に密着させるために、内胴の外面に塩化亜鉛や塩化
第１錫等を含むフラックスを塗布した後、鉛・錫系の溶
化材を溶解塗布し、この内胴と外胴を組み合わせ内胴と
外胴の間に鉛を鋳込む所謂ホモゲン処理を採用して鉛層
を形成しており、このため、容器の製造期間が長くかか
ると同時にコストの高いものとなる。また、内胴と外胴
の間に鉛を直接鋳込むため、ボイド等の欠陥が発生しな
いように鋳込まなければならない上に、鋳込み後に容器
全面についてホモゲン処理による欠陥等の有無を超音波
検査する必要がある。さらに、鋳込み時の熱によって内
胴及び外胴が変形しこの変形によって内胴と外胴の間隔
が不均一になり、鋳込まれた鉛厚さに薄い部分が生じる
ため、これを考慮して必要な遮蔽厚さ以上に鉛を鋳込む
必要がある。
【０００６】また、特公平 5− 39520号公報に記載のも
のは、容器本体を炭素鋼のみ又は炭素鋼と炭素鋼の間に
鉛層を介在させて製造しガンマ線を遮蔽するが、炭素鋼
のみでガンマ線を遮蔽する場合には、鋼は鉛に比較して
ガンマ線遮蔽能が劣るため相当な厚さの容器本体とする
必要があり、容器本体を厚くしても伝熱性能は比較的良
く熱的な問題は無いものの容器本体内の放射性物質の収
納容積が減り収納効率が悪くなる。一方、炭素鋼と炭素
鋼の間に鉛層を介在させた場合には、ガンマ線遮蔽能が
良くなるものの炭素鋼と炭素鋼の間に鉛層を密着させて
設けることが難しく伝熱性能が劣り熱的な問題があり、
これを解消して密着させるには、上記特開平 7− 27896
号公報に提案されているようなホモゲン処理をして鉛層
を設ける必要があり、いずれの場合も問題がある。
【０００７】本発明は、上記の問題を改善するためにな
したものであって、その目的は、放射性物質の収納効率
を高め、伝熱性能に優れるとともに、ガンマ線や中性子
を効果的に遮蔽し得る放射性物質の輸送兼貯蔵用容器を
提供するものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る放射性物質の輸送兼貯蔵用容器は、
内胴と外胴の間にガンマ線遮蔽層及び中性子遮蔽層が設
けられるとともに、これらガンマ線遮蔽層及び中性子遮
蔽層を貫通して且つ内胴及び外胴に取付けて熱良導体が
設けられてなるものである。
【０００９】そして、上記の放射性物質の輸送兼貯蔵用
容器においては、ガンマ線遮蔽層及び中性子遮蔽層の夫
々が、周方向に複数に分割されたブロック体で形成され
るとともに、互いに周方向で隣合うブロック体同士の間
に熱良導体が挟まれた構成としてもよい。
【００１０】また、上記の放射性物質の輸送兼貯蔵用容
器において、ガンマ線遮蔽層及び中性子遮蔽層の夫々の
ブロック体は、長手方向に複数に分割されるとともに、
その当接面が傾斜面あるいは凹凸が噛み合う凹凸面に形
成されてあってもよい。また、ガンマ線遮蔽層のブロッ
ク体が鉛からなるものであってもよい。
【００１１】上記の構成では、放射性物質から放射され
るガンマ線は、内胴の外側に設けたガンマ線遮蔽層によ
って遮蔽され、また放射性物質の崩壊熱は、熱良導体に
よって内胴から外胴に効率良く伝熱されるので、内胴の
厚さは圧力容器としての機能をはたす最小厚さで構成で
きるとともに、ガンマ線遮蔽層をホモゲン処理等の特別
の処理を施してまで伝熱性能を高める必要が無いことか
ら製造が比較的容易で製造コストの抑制が図れる。
【００１２】
【発明の実施の形態】図１は、本発明に係る放射性物質
の輸送兼貯蔵用容器の正断面図、図２は、図１の横断面
図、図３は、図２のＸ部拡大断面図である。図におい
て、１は内胴、２熱良導体、３ガンマ線遮蔽層、４は中
性子遮蔽層、５外胴を表す。
【００１３】内胴１と外胴５は、夫々鋼製の円筒形のも
ので、外胴５の内径は内胴１の外径より所定量大きく形
成されている。そして内胴１は、密封容器としての機能
をはたすために必要な最小厚さを有する。このように必
要な最小厚さとすることで、放射性物質の収納効率が改
善され、また輸送兼貯蔵用容器全体の軽量化が図れる。
【００１４】熱良導体２は、銅やアルミ等の熱伝導性の
良い金属の薄板を断面Ｌ字形に曲げ加工した比較的長尺
の形材であって、Ｌ字形の辺部６が内胴１の外周面に周
方向に所定間隔で隣接配置されると共にその裏面が内胴
１の外周面に圧接するように、他方の辺部７の先端が外
胴５の内周面に溶接される。このように熱良導体２を取
付けることで、内胴１と外胴５の間には辺部７により仕
切られた空間８が形成される。また、内胴１の熱は、熱
良導体２を通って外胴５へ効率良く伝熱されると共に外
胴５より外部へ放熱される。なお、辺部６の裏面は、内
胴１の外周面に圧接するように設ける以外に、ボルトや
ロー付け等の手段によって密着するように取付けてもよ
い。
【００１５】ガンマ線遮蔽層３は、ガンマ線の遮蔽に必
要な厚さの鉛製のブロック体であって、その断面形状は
上記空間８の内胴１の外周面寄りの断面形状に沿う形状
に形成されるとともに、その長さは空間８の長さにほぼ
等しく形成され、空間８の内胴１の外周面寄りに挿入さ
れる。
【００１６】中性子遮蔽層４は、中性子の遮蔽に必要な
厚さの樹脂製のブロック体であって、その断面形状は上
記空間８の外胴５の内周面寄りの断面形状に沿う形状に
形成されるとともに、その長さは空間８の長さにほぼ等
しく形成され、空間８のガンマ線遮蔽層３と外胴５の内
周面との間に挿入される。
【００１７】そして、上記の如く構成された筒状の胴本
体９の下開口部には、内胴１と同材質の底蓋10が内胴１
に溶接固定して取付けられるとともに、その外側に底外
蓋（保護底）11が取付けられ、また上開口部には、内胴
１と同材質あるいはステンレス鋼などの内蓋12及びその
外側に外蓋（保護カバー）13が取付けられている。
【００１８】上記構成の本発明に係る放射性物質の輸送
兼貯蔵用容器においては、容器内部に収納した放射性物
質から放射されるガンマ線は、内胴１の外側に設けたガ
ンマ線遮蔽層３によって遮蔽するので、内胴１の厚さは
圧力容器としての機能をはたす最小厚さで良いことにな
り、放射性物質の収納効率を高めることができる。ま
た、内胴１と外胴５の間には、ガンマ線遮蔽層３及び中
性子遮蔽層４を設けるとともに、これらガンマ線遮蔽層
３及び中性子遮蔽層４を貫通させて熱良導体２を設けて
いるので、容器内部に収納した放射性物質の崩壊熱は、
熱良導体２によって内胴１から外胴５に効率良く伝熱さ
れるので、ガンマ線遮蔽層３をホモゲン処理等の特別の
処理をを施してまで伝熱性能を高める必要が無くなり、
製造が比較的容易となり製造コストの抑制が図れる。
【００１９】また、ガンマ線遮蔽層３及び中性子遮蔽層
４を夫々ブロック体として空間８に挿入して設けること
ができるので、この場合には、ガンマ線遮蔽層３及び中
性子遮蔽層４共現場での鋳込み作業を行う必要が無く、
専用の鋳込み現場でブロック体を予め生産できるので大
量生産し得るとともに、ガンマ線遮蔽層３及び中性子遮
蔽層４の施工がし易くなり、この点でも製造コストが有
利に図れる。
【００２０】またさらに、ガンマ線遮蔽層３及び中性子
遮蔽層４を夫々ブロック体は、長手方向に所定長さで分
割されてあってもよく、この場合には長さが短くなるこ
とから、上記専用の鋳込み現場でのブロック体の生産が
より容易になるとともに、施工もし易くなる。なお、こ
の場合、長手方向の当接面は、放射線のストリーミング
を防止するため、図４ａに示すような傾斜面14や、図４
ｂ及びｃにしめすような階段状の凹凸面15に形成する必
要がある。
【００２１】なお、上記実施形態においては、胴本体９
が円筒体の場合を例に説明したが、本発明は、この例に
限定されるものではなく、例えば、四角筒や多角筒であ
ってもよい。
【００２２】また、上記実施形態においては、ガンマ線
遮蔽層３及び中性子遮蔽層４が長手方向に均一な厚さの
場合を例に説明したが、本発明は、この例に限定される
ものではなく、図５に示すように、例えば、上下端のブ
ロック体16が中間のブロック体17より厚く構成されてあ
ってもよい。ガンマ線遮蔽層３及び中性子遮蔽層４がブ
ロック体の場合には、このように長手方向あるいは周方
向で厚さを容易に変えることができ、収納される放射性
物質の線源分布に対応させて厚さを変えることができ
る。
【００２３】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る放射
性物質の輸送兼貯蔵用容器であれば、製造が比較的容易
でコストの抑制が図られる上に、放射性物質の収納効率
を高め、伝熱性能に優れるとともに、ガンマ線や中性子
を効果的に遮蔽できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る放射性物質の輸送兼貯蔵用容器の
正断面図である。
【図２】図１の横断面図である。
【図３】図２のＸ部拡大断面図である。
【図４】本発明に係るガンマ線遮蔽ブロック体の説明図
であって、ａは接合面が傾斜面の場合の説明図、ｂ及び
ｃは接合面が凹凸面の場合の説明図である。
【図５】本発明に係る放射性物質の輸送兼貯蔵用容器
の、他の実施形態の正断面図である。
【符号の説明】
１：内胴 ２：熱良導体
３：ガンマ線遮蔽層 ４：中性子遮蔽層 ５：外胴
６，７：Ｌ字形の辺部 ８：空間 ９：胴本体 1
0：底蓋 11：底外蓋 12：内蓋 1
3：外蓋 14：傾斜面 15：凹凸面 1
6，17：ブロック体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−132396（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−198099（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−162487（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−22000（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−117598（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) G21F 5/10 G21C 19/32 G21F 9/36 501

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 内胴と外胴の間にガンマ線遮蔽層及び中
    性子遮蔽層が設けられるとともに、これらガンマ線遮蔽
    層及び中性子遮蔽層を貫通して且つ内胴及び外胴に取付
    けて熱良導体が設けられてなることを特徴とする放射性
    物質の輸送兼貯蔵用容器。
  2. 【請求項２】 請求項１記載の放射性物質の輸送兼貯蔵
    用容器において、ガンマ線遮蔽層及び中性子遮蔽層の夫
    々が、周方向に複数に分割されたブロック体で形成され
    るとともに、互いに周方向で隣合うブロック体同士の間
    に熱良導体が挟まれてなる放射性物質の輸送兼貯蔵用容
    器。
  3. 【請求項３】 ガンマ線遮蔽層及び中性子遮蔽層の夫々
    のブロック体が、長手方向に複数に分割されるととも
    に、その当接面が傾斜面あるいは凹凸が噛み合う凹凸面
    に形成されてなる請求項２記載の放射性物質の輸送兼貯
    蔵用容器。
  4. 【請求項４】 ガンマ線遮蔽層のブロック体が鉛からな
    る請求項２記載の放射性物質の輸送兼貯蔵用容器。
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