JP2009108952A - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シールの密封性能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘って維持することができる車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】外方部材3と内輪5との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシール8を備えた車輪用軸受装置において、アウター側のシール8の外方側にバックアップシール13が配設され、このバックアップシール13が、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップ15bを一体に有し、このサイドリップ15bが車輪取付フランジ6のインナー側の側面6cに形成された環状の突出面16に摺接されていると共に、この突出面16が高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理され、プランジカットによる研削加工によって表面粗さを0.8Ra以下に規制されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承する車輪用軸受装置、特に、密封性能の向上を図った車輪用軸受装置に関するものである。
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が一般的に採用されている。この車輪用軸受装置には、所望の軸受剛性を有し、ミスアライメントに対しても耐久性を発揮すると共に、燃費向上の観点から回転トルクが小さい複列アンギュラ玉軸受が多用されている。一方、オフロードカーやトラック等、車体重量が嵩む車両には複列円錐ころ軸受が使用されている。
これらの車輪用軸受装置は、泥水等がかかり易い部位に配置されるため、シール装置が装着され、外方部材と内方部材との間を密封するように構成されている。一般的に、シール装置は、シールリップを備えたシール部材が固定側部材となる外方部材に装着され、シールリップが内方部材の外周面に摺接されている。特に、オフロードカーやピックアップトラック等のように、劣悪な環境で運転される車両においては、密封性をさらに向上させるための手段が種々講じられている。
こうした車輪用軸受装置の一例を図3に示す。この車輪用軸受装置は、シャーシーに固定されたナックル51と、このナックル51を貫通して延びるアクスル52と、アクスル52の周囲に嵌着され、車輪(図示せず)にボルト53を介して締結されたハブ輪54と、ナックル51に固定され、ハブ輪54およびアクスル52を回転自在に支承する車輪用軸受55と、空気圧により制御され、アクスル52とハブ輪54とを係脱させるクラッチ56とを備えている。
ナックル51とアクスル52との間に環状室(真空室)57が形成され、アウター側の密閉室58に設けられたクラッチ56に連通されている。ここで、環状室57が大気圧よりも低い場合は、クラッチ56は負圧を受けて係合されるが、環状室57が大気圧である場合は、クラッチ56は離脱される。環状室57はナックル51を斜めに貫通して延びる真空通路59を通して真空ポンプ(図示せず)に連通している。また、同様の係合メカニズムを電気的に実施する機構にも適用される。
車輪用軸受55は、外周にナックル51に取り付けられるための車体取付フランジ60bを一体に有し、内周にテーパ状の複列の外側転走面60a、60aが形成された外方部材60と、外周に複列の外側転走面60a、60aに対向するテーパ状の内側転走面61a、62aがそれぞれ形成された内輪61、62と、両転走面間に収容された複列の円錐ころ63、63と、これら複列の円錐ころ63、63を転動自在に保持する保持器64、64とを備えた複列円錐ころ軸受からなる。
ハブ輪54は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ65を一体に有し、外周に車輪取付フランジ65から軸方向に延びる円筒状の小径段部54aが形成されている。車輪用軸受55はハブ輪54の小径段部54aに圧入され、固定ナット66によって軸方向に固定されている。なお、アクスル52とハブ輪54との間には相対回転を許容するための滑り軸受67が装着されている。
車輪用軸受55の両端部にはシール68、69が装着され、外方部材60と内輪61、62との間に形成される環状空間の開口部を密封すると共に、環状室57および周囲環境から隔離している。シール68は、外方部材60に圧入された外側ケース70と、内輪61に圧入された内側ケース71とを備えている。外側ケース70の内縁と、内側ケース71の外縁にはそれぞれシールリップ70a、71aが一体接合され、内側ケース71および外側ケース70に摺接されている。これらシールリップ70a、71aは、車輪用軸受55の内部と環状室57との間の差圧の存在下で撓み、車輪用軸受55の内部を環状室57へ排出させるように構成されている。したがって、車輪用軸受55の内部は、環状室57が排気された場合に、環状室57と実質的に同一の圧力を受ける。
一方、シール69は、図4に拡大して示すように、外方部材60に圧入された外側ケース72と、内輪62に圧入された内側ケース73とを備えている。外側ケース72の端部には、内側ケース73に摺接するシールリップ72aと、車輪取付フランジ65の側面に摺接するサイドリップ72bが一体接合されている。また、内側ケース73の外縁には外側ケース72に摺接するシールリップ73aが一体接合されている。このシール69は、車輪用軸受55の内部が減圧圧力に保持されるように圧力差を支え、さらに、雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止する。
特表2001−510534号公報
こうした従来の車輪用軸受装置では、特に、ハブ輪54側のシール69において、対向配置された外側ケース72と内側ケース73にそれぞれ摺接されるシールリップ72a、73aに加え、車輪取付フランジ65の側面に摺接されるサイドリップ72bが外側ケース72の外縁に接合されているので強力な密封性能が得られる。ここで、サイドリップ72bが車輪取付フランジ65に直接摺接する構成では、旋削加工による摺接面ではサイドリップ72bが摩耗し、長期間に亘って安定した密封性を保持するのは難しい。したがって、密封性を向上させるために摺接面を研削加工によって所望の表面粗さに設定する必要がある。然しながら、この摺接面となる車輪取付フランジ65を研削加工するには加工工数が増大してコストアップの要因となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、シールの密封性能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘って維持することができる車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールのうちアウター側のシールの外方側にバックアップシールが配設され、このバックアップシールが、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップを一体に有すると共に、このサイドリップが前記車輪取付フランジのインナー側の側面に形成された環状の突出面に摺接している。
このように、外方部材と内方部材とで形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、シールのうちアウター側のシールの外方側にバックアップシールが配設され、このバックアップシールが、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップを一体に有すると共に、このサイドリップが車輪取付フランジのインナー側の側面に形成された環状の突出面に摺接しているので、リップ摺接面の加工が必要最小限の範囲に限定され、加工自体が容易となるばかりでなく、処理工数が低減できて低コスト化を図ることができる。また、雨水や泥水等がかかってもサイドリップに沿って下方に流動し、リップ摺接部に雨水や泥水等が滞留することはなく、車輪取付フランジの基部が発錆して強度・耐久性が低下するのを抑制することができると共に、バックアップシールの回転トルクを抑えることができ、シールの密封性能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘って維持することができる車輪用軸受装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記突出面が高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理されていれば、突出面の摩耗を抑制して密封性を向上させることができる。
また、請求項3に記載の発明のように、前記突出面が研削加工によって表面粗さを0.8Ra以下に規制されていれば、サイドリップの摩耗を抑制して密封性を向上させることができる。
また、請求項4に記載の発明のように、前記研削加工がプランジカット方式によって行われていれば、リード目が発生せず、摺接によりポンプ作用が生じて異物が侵入することもなく密封性を向上させることができる。
また、請求項5に記載の発明のように、前記突出面に低摩擦性の合成樹脂またはセラミックからなる低摩擦被膜が形成されていれば、サイドリップの接触圧を低下させることなく摺動抵抗が小さくなり、回転トルクが小さくなる。さらに、突出面とサイドリップとの低摩擦によりリップ摩耗がさらに低減されると共に、リップ摺動部の発熱が抑制され、バックアップシールの耐久性が向上する。
本発明に係る車輪用軸受装置は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールのうちアウター側のシールの外方側にバックアップシールが配設され、このバックアップシールが、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップを一体に有すると共に、このサイドリップが前記車輪取付フランジのインナー側の側面に形成された環状の突出面に摺接しているので、リップ摺接面の加工が必要最小限の範囲に限定され、加工自体が容易となるばかりでなく、処理工数が低減できて低コスト化を図ることができる。また、雨水や泥水等がかかってもサイドリップに沿って下方に流動し、リップ摺接部に雨水や泥水等が滞留することはなく、車輪取付フランジの基部が発錆して強度・耐久性が低下するのを抑制することができると共に、バックアップシールの回転トルクを抑えることができ、シールの密封性能の向上を図り、軸受性能を長期間に亘って維持することができる車輪用軸受装置を提供することができる。
一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪と、このハブ輪の小径段部に圧入された車輪用軸受とからなり、この車輪用軸受が、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内輪との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって前記内輪がハブ輪に対して軸方向に固定されている車輪用軸受装置において、前記シールのうちアウター側のシールの外方側にバックアップシールが配設され、このバックアップシールが、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップを一体に有し、このサイドリップが前記車輪取付フランジのインナー側の側面に形成された環状の突出面に摺接されていると共に、この突出面が高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理され、プランジカットによる研削加工によって表面粗さを0.8Ra以下に規制されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図1の左側)、中央寄り側をインナー側(図1の右側)という。
この車輪用軸受装置は第2世代と呼称される駆動輪用であって、ハブ輪1と車輪用軸受2とからなり、車輪用軸受2は、外方部材3と、複列の転動体(円錐ころ)4、4を介して内嵌された一対の内輪5、5とを備えている。
ハブ輪1は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ6を一体に有し、外周にこの車輪取付フランジ6から肩部1aを介して軸方向に延びる小径段部1bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)1cが形成されている。車輪取付フランジ6にはハブボルト6aが周方向等配に植設されている。車輪用軸受2は、ハブ輪1の肩部1aに衝合するまで小径段部1bに所定のシメシロを介して圧入され、小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1dによって所定の軸受予圧が付与された状態でハブ輪1に対して軸方向に固定されている。
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、車輪取付フランジ6のインナー側に円弧状に形成された基部6bから肩部1aを介して小径段部1bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。これにより、車輪取付フランジ6に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、内輪5、5の嵌合部となる小径段部1bの耐フレッティング性が向上する。
車輪用軸受2の外方部材3は、外周にナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ3bを一体に有し、内周にそれぞれ外向きに開いたテーパ状の複列の外側転走面3a、3aが一体に形成されている。この外方部材3はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面3a、3aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
一方、内輪5の外周には、前記複列の外側転走面3a、3aに対向するテーパ状の内側転走面5aと、この内側転走面5aの大径側に転動体4を案内する大鍔5b、および小径側に転動体4の脱落を防止するための小鍔5cがそれぞれ形成されている。内輪5および転動体4はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。そして、外方部材3と一対の内輪5、5の両転走面間に複列の転動体4、4が収容され、保持器7、7によって転動自在に保持されている。この車輪用軸受2は、内輪5の小鍔5cがそれぞれ突合せ状態で衝合する、所謂背面合せタイプの複列円錐ころ軸受で構成されている。
また、外方部材3と内輪5との間に形成される環状空間の開口部にはシール8、8が装着されている。これらのシール8、8によって、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。このシール8は、図2に拡大して示すように、断面が略L字状をなして互いに対向配置された環状のシール板9とスリンガ10とからなる、所謂パックシールを構成している。
シール板9は、外方部材3の端部内周に圧入される芯金11と、この芯金11に一体に加硫接着されたシール部材12とからなる。芯金11は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成されている。また、シール部材12は合成ゴム等の弾性部材からなり、一対のサイドリップ12a、12bとラジアルリップ12cとを一体に有している。
一方、スリンガ10は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、内輪5の大鍔5bに圧入される円筒部10aと、この円筒部10aから径方向外方に延びる立板部10bとからなる。そして、一対のサイドリップ12a、12bがこの立板部10bに摺接すると共に、ラジアルリップ12cが円筒部10aに摺接している。
本実施形態では、さらにアウター側のシール8の外方側にバックアップシール13が配設されている。このバックアップシール13は、外方部材3のアウター側の端部外周に圧入固定される芯金14と、この芯金14に一体に加硫接着されたシール部材15とからなる。芯金14は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成されている。
一方、シール部材15は、芯金14の外縁に固着された固定部15aと、この固定部15aから径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップ15bとからなる。このサイドリップ15bは、車輪取付フランジ6のインナー側の側面6cに形成された環状の突出面16に摺接し、雨水やダスト等がアウター側のシール8に直接侵入するのを防止している。
このように、車輪用軸受2に装着されたアウター側のシール8の外方側に別体のバックアップシール13が配設されると共に、このバックアップシール13がサイドリップ15bで構成されているので、雨水や泥水等がかかってもサイドリップ15bに沿って下方に流動し、ハブ輪1と車輪用軸受2との間の狭い環状空間に雨水や泥水等が滞留することはない。したがって、車輪取付フランジ6の基部6bが発錆して強度・耐久性が低下するのを抑制することができると共に、バックアップシール13の回転トルクを抑えることができ、長期間に亘って安定した密封性を確保することができる。
ここで、この環状の突出面16は、旋削加工後に高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理され、その後、研削加工によって所定の表面粗さに設定されている。研削加工はリード目のないプランジカット方式で行われ、サイドリップ15bの摩耗および密封性の面から考慮され、突出面16の表面粗さは0.8Ra以下に規制されている。これにより、摺接によりポンプ作用が生じて異物が侵入することもなく密封性を向上させることができる。ここで、Raは、JISの粗さ形状パラメータの一つで(JIS B0601−1994)、算術平均粗さのことで、平均線から絶対値偏差の平均値を言う。
本実施形態では、サイドリップ15bの摺接面となる突出面16が、車輪取付フランジ6のインナー側の側面6cから突出して環状に形成されているので、高周波焼入れによる硬化処理および研削加工が必要最小限の範囲に限定され、加工自体が容易となるばかりでなく、処理工数が低減できて低コスト化を図ることができる。
なお、この突出面16に低摩擦処理を施しても良い。低摩擦処理としては、PA(ポリアミド)6やPA12等のポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン等の低摩擦性の合成樹脂、あるいは、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜やセラミック被膜等が例示できる。これにより、サイドリップ15bの接触圧を低下させることなく摺動抵抗が小さくなり、回転トルクが小さくなる。さらに、突出面16とサイドリップ15bとの低摩擦によりリップ摩耗がさらに低減されると共に、リップ摺動部の発熱が抑制され、バックアップシール13の耐久性が向上する。
なお、ここでは、駆動輪側の第2世代構造を例示したが、本発明に係る車輪用軸受装置はこれに限らず、第3または第4世代構造であっても良い。また、従動輪側であっても良い。さらに、本実施形態では、転動体4に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受を例示したが、無論これに限らず、転動体にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受であっても良い。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、駆動輪用、従動輪用に拘わらず、第2乃至第4世代構造の車輪用軸受装置に適用することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 図3の要部拡大図である。
符号の説明
1・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a・・・・・・・・・・・・・・・肩部
1b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
1c・・・・・・・・・・・・・・・セレーション
1d・・・・・・・・・・・・・・・加締部
2・・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
3・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
3a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
3b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
4・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
5・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
5a・・・・・・・・・・・・・・・内側転走面
5b・・・・・・・・・・・・・・・大鍔
5c・・・・・・・・・・・・・・・小鍔
6・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
6a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
6b・・・・・・・・・・・・・・・基部
6c・・・・・・・・・・・・・・・インナー側の側面
7・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
8・・・・・・・・・・・・・・・・シール
9・・・・・・・・・・・・・・・・シール板
10・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
10a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
10b・・・・・・・・・・・・・・立板部
11、14・・・・・・・・・・・・芯金
12、15・・・・・・・・・・・・シール部材
12a、12b、15b・・・・・・サイドリップ
12c・・・・・・・・・・・・・・ラジアルリップ
13・・・・・・・・・・・・・・・バックアップシール
15a・・・・・・・・・・・・・・固定部
16・・・・・・・・・・・・・・・突出面
51・・・・・・・・・・・・・・・ナックル
52・・・・・・・・・・・・・・・アクスル
53・・・・・・・・・・・・・・・ボルト
54・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
54a・・・・・・・・・・・・・・小径段部
55・・・・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
56・・・・・・・・・・・・・・・クラッチ
57・・・・・・・・・・・・・・・環状室
58・・・・・・・・・・・・・・・密閉室
59・・・・・・・・・・・・・・・真空通路
60・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
60a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
60b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
61、62・・・・・・・・・・・・内輪
61a、62a・・・・・・・・・・内側転走面
63・・・・・・・・・・・・・・・円錐ころ
64・・・・・・・・・・・・・・・保持器
65・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
66・・・・・・・・・・・・・・・固定ナット
67・・・・・・・・・・・・・・・滑り軸受
68、69・・・・・・・・・・・・シール
70、72・・・・・・・・・・・・外側ケース
70a、71a、72a、73a・・シールリップ
71、73・・・・・・・・・・・・内側ケース
72b・・・・・・・・・・・・・・サイドリップ

Claims (5)

  1. 外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪に嵌合された内輪または等速自在継手の外側継手部材からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、
    前記シールのうちアウター側のシールの外方側にバックアップシールが配設され、このバックアップシールが、径方向外方に傾斜して延び、先端部が拡径するラッパ状に形成されたサイドリップを一体に有すると共に、このサイドリップが前記車輪取付フランジのインナー側の側面に形成された環状の突出面に摺接していることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記突出面が高周波焼入れによって表面硬さを50〜64HRCの範囲に硬化処理されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記突出面が研削加工によって表面粗さを0.8Ra以下に規制されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
  4. 前記研削加工がプランジカット方式によって行われている請求項3に記載の車輪用軸受装置。
  5. 前記突出面に低摩擦性の合成樹脂またはセラミックからなる低摩擦被膜が形成されている請求項1乃至4いずれかに記載の車輪用軸受装置。
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