JP5414964B2 - 車輪用軸受装置 - Google Patents

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本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置に関し、詳しくは、軸受部に装着されたシールの密封性と耐久性を高めて軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置に関するものである。
従来から自動車等の車輪を支持する車輪用軸受装置は、車輪を取り付けるためのハブ輪を複列の転がり軸受を介して回転自在に支承するもので、駆動輪用と従動輪用とがある。構造上の理由から、駆動輪用では内輪回転方式が、従動輪用では内輪回転と外輪回転の両方式が一般的に採用されている。また、車輪用軸受装置には、懸架装置を構成するナックルとハブ輪との間に複列アンギュラ玉軸受等からなる車輪用軸受を嵌合させた第1世代と称される構造から、外方部材の外周に直接車体取付フランジまたは車輪取付フランジが形成された第2世代構造、また、ハブ輪の外周に一方の内側転走面が直接形成された第3世代構造、あるいは、ハブ輪と等速自在継手の外側継手部材の外周にそれぞれ内側転走面が直接形成された第4世代構造とに大別されている。
これらの軸受部には、軸受内部に封入されたグリースの漏れを防止すると共に、外部から雨水やダスト等の侵入を防止するためにシールが装着されている。近年、自動車のメンテナンスフリー化が進み、車輪用軸受装置においてもさらなる長寿命化が要求されるようになっているが、市場回収品の軸受損傷状況を検証すると、剥離等の本来の軸受寿命よりも、シール不具合による損傷が多くを占めている。したがって、シールの密封性と耐久性を高めることにより、軸受寿命の向上を確実に図ることができる。
従来から、密封性を高めたシールに関しては種々提案されているが、こうしたシールが装着された従来の車輪用軸受装置の一例を図4に示す。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
この車輪用軸受装置は従動輪用の第3世代と称され、外周にナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ51bを一体に有し、内周に複列の外側転走面51a、51aが形成された外方部材51と、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ52を一体に有し、外周に前記複列の外側転走面51a、51aに対向する一方の内側転走面53aと、この内側転走面53aから軸方向に延びる小径段部53bが形成されたハブ輪53、およびこのハブ輪53の小径段部53bに圧入され、外周に前記複列の外側転走面51a、51aに対向する他方の内側転走面54aが形成された内輪54からなる内方部材55と、両転走面間に保持器56を介して転動自在に収容された複列のボール57、57とを備えている。
車輪取付フランジ52の周方向等配にはハブボルト52aが植設されている。そして、ハブ輪53の小径段部53bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部58によって内輪54が軸方向に固定されている。また、外方部材51の両端部にシール59,60が装着され、軸受内部に封入されたグリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
ここで、アウター側のシール59は、図5(a)に拡大して示すように、芯金61とこれに一体に加硫接着されたシール部材62とからなる。芯金61は、外方部材51に内嵌される円筒状の圧入部61aと、この圧入部61aの内端から径方向内方側に屈曲した内側部61bとからなり、断面が略コの字状に形成されている。
また、シール部材62は、合成ゴム等の弾性部材により形成され、芯金61の内側部61bの範囲に固着され、先端部においてはその内面に回り込んでいる。シール部材62には内外2枚のサイドリップ63、64が設けられ、各サイドリップ63、64は外向きに屈曲されて車輪取付フランジ52の基部の研削加工された壁面に押圧されている。また、芯金61の内側部61bの内端にはラジアルリップ65が設けられ、車輪取付フランジ52の基部の研削加工された隅アール部66に内向きに屈曲して押圧されている。
さらに、外方部材51の外周にシールド板67が装着されている。このシールド板67は、外方部材51に外嵌される円周部67aと、この円周部67aから径方向外方に延びる立板部67bとからなり、断面が略L字状に形成されている。そして、立板部67bは車輪取付フランジ52の基端部と所定のすきまを介して対向配置され、ラビリンスシール68が構成されている。
このラビリンスシール68によって外部からの雨水やダスト等の侵入が防止されるので、シール59のサイドリップ63、64のシメシロを小さくしても充分な密封機能を確保することができる。したがって、シール59による接触抵抗で生じる回転トルクが小さくなり、車両の燃費向上に貢献できる。
特開2005−147298号公報
こうした従来の車輪用軸受装置では、シール59の軸受空間の外側に形成されたラビリンスシール68によって、シール59の接触抵抗で生じる回転トルクを軽減でき、車両の燃費向上を図ることができる。然しながら、ラビリンスシール68を通過して侵入した泥水69等は2枚のサイドリップ63、64で軸受内部への侵入が阻止されたとしても、外側のサイドリップ63の外表面に泥水が溜まって固まった場合にはサイドリップ63が柔軟に変形できない。このように、サイドリップ63の柔軟な変形が抑制されると、回転トルクが増大するだけでなく、リップ先端部で固着した塵埃によってリップ摩耗が促進され、所望の密封性が損なわれる恐れがあった。さらに、溜まった泥水によって外方部材51とハブ輪53が発錆する恐れがあり、この錆の成長によって両部材の相対回転が阻害され、異音や振動が発生するだけでなく、剥がれ落ちた錆がシール59のサイドリップ63を損傷させて密封性がさらに低下する恐れがある。
また、シールド板67は外方部材51に所定のシメシロを介して圧入されるが、円周部67aにおける端部の剛性が低いため、図5(b)に示すように、圧入時に端部がラッパ状に変形して固定力が低下する恐れがある。シールド板67の固定力が低下すると、通常車両走行時に様々な振動が加わると共に、外部からの荷重により外方部材51が楕円変形を繰り返すため、シールド板67が移動してシール性能が低下する恐れがある。
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、シールの密封性と耐久性を高めて軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の円錐ころと、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールが、軸受空間を密封する接触シールからなり、これらのシールのうちアウター側のシールの外側で、前記外方部材のアウター側の端部外周に外部シールが装着され、この外部シールが、前記外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の一端部から径方向外方に延びる立板部とからなる芯金と、この芯金の立板部に一体に接合されたシール部材とからなると共に、このシール部材が研削加工された平坦面からなる前記車輪取付フランジのインナー側の側面に所定のシメシロを介して摺接するサイドリップを有し、前記嵌合部の他端部に折曲部が設けられ、この折曲部が、前記嵌合部の端部が径方向外方に折り返された重合部で構成されている。
このように、複列の転がり軸受で構成され、この外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部にシールが装着された第1または第2世代構造の車輪用軸受装置において、シールが、軸受空間を密封する接触シールからなり、これらのシールのうちアウター側のシールの外側で、外方部材のアウター側の端部外周に外部シールが装着され、この外部シールが、外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の一端部から径方向外方に延びる立板部とからなる芯金と、この芯金の立板部に一体に接合されたシール部材とからなると共に、このシール部材が研削加工された平坦面からなる車輪取付フランジのインナー側の側面に所定のシメシロを介して摺接するサイドリップを有し、嵌合部の他端部に折曲部が設けられ、この折曲部が、前記嵌合部の端部が径方向外方に折り返された重合部で構成されているので、アウター側のシールが直接外部環境に曝されることはなく、外部から雨水やダスト等がこのシールに直接侵入するのを防止することができる。また、嵌合部の端部の剛性が高くなり、嵌合部を外方部材に圧入する時にラッパ状に変形するのを防止して強固な固定力を得ることができる。したがって、車両走行時に外部から荷重が外方部材に負荷されて外方部材が微小な楕円変形を繰り返しても、また、外方部材に振動が生じても、外部シールが軸方向に移動するのを防止すると共に、サイドリップのシメシロを安定して維持することができ、外部シールおよびシールの密封性と耐久性を高めて軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記サイドリップが径方向外方に傾斜して形成されていれば、サイドリップに降りかかった雨水やダスト等がバンク状の外表面から外方部材側に流れると共に、樋状の環状空間に沿って下部に流れて排出されるので、雨水やダスト等がリップ摺接部に滞留することなく高い密封性を発揮することができる。
また、請求項に記載の発明のように、前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、軸受予圧が付与された状態で前記ハブ輪に対して前記内輪が軸方向に固定されていれば、軽量・コンパクト化が図れると共に、初期に設定された予圧を長期間に亘って維持することができる。
本発明に係る車輪用軸受装置は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の円錐ころと、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールが、軸受空間を密封する接触シールからなり、これらのシールのうちアウター側のシールの外側で、前記外方部材のアウター側の端部外周に外部シールが装着され、この外部シールが、前記外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の一端部から径方向外方に延びる立板部とからなる芯金と、この芯金の立板部に一体に接合されたシール部材とからなると共に、このシール部材が研削加工された平坦面からなる前記車輪取付フランジのインナー側の側面に所定のシメシロを介して摺接するサイドリップを有し、前記嵌合部の他端部に折曲部が設けられ、この折曲部が、前記嵌合部の端部が径方向外方に折り返された重合部で構成されているので、アウター側のシールが直接外部環境に曝されることはなく、外部から雨水やダスト等がこのシールに直接侵入するのを防止することができる。また、嵌合部の端部の剛性が高くなり、嵌合部を外方部材に圧入する時にラッパ状に変形するのを防止して強固な固定力を得ることができる。したがって、車両走行時に外部から荷重が外方部材に負荷されて外方部材が微小な楕円変形を繰り返しても、また、外方部材に振動が生じても、外部シールが軸方向に移動するのを防止すると共に、サイドリップのシメシロを安定して維持することができ、外部シールおよびシールの密封性と耐久性を高めて軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周にこの車輪取付フランジから肩部を介して軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪と、このハブ輪の肩部に端面が当接された状態で前記小径段部に圧入され、この小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記ハブ輪に固定された車輪用軸受とからなり、この車輪用軸受が、外周に懸架装置に取り付けられる車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪と、前記両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の円錐ころと、前記外方部材と内輪との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、前記シールが、軸受空間を密封する接触シールからなり、これらのシールのうちアウター側のシールの外側で、前記外方部材のアウター側の端部外周に外部シールが装着され、この外部シールが、前記外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の一端部から径方向外方に延びる立板部とからなる芯金と、この芯金の立板部に一体に接合されたシール部材とからなると共に、このシール部材が研削加工された平坦面からなる前記車輪取付フランジのインナー側の側面に所定のシメシロを介して摺接するサイドリップを有し、前記嵌合部の他端部に径方向外方に延びる屈曲部が設けられ、この折曲部が、前記嵌合部の端部が径方向外方に折り返された重合部で構成されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の参考例を示す縦断面図、図2は、図1の要部拡大図である。この車輪用軸受装置は駆動輪用で、ハブ輪1と、このハブ輪1に圧入固定された車輪用軸受2とからなる。
ハブ輪1は、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジ3を一体に有し、外周に肩部1aを介して軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)1cが形成されている。また、車輪取付フランジ3の周方向等配位置にハブボルト3aが植設されている。このハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、車輪取付フランジ3の基部3bから肩部1aおよび小径段部1bに亙って高周波焼入れによって50〜64HRCの範囲に表面が硬化処理されている。なお、後述する加締部8は鍛造後の表面硬さの生のままとされている。
車輪用軸受2は、外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジ4bを一体に有し、内周に小径側が互いに隣り合うテーパ状の複列の外側転走面4a、4aが形成された外方部材4と、外周に複列の外側転走面4a、4aに対向するテーパ状の内側転走面5aが形成された一対の内輪5、5と、両転走面間に保持器6、6を介して転動自在に収容された複列の転動体(円錐ころ)7、7とを備えている。内輪5の内側転走面5aの大径側には転動体7を案内するための大鍔5bが形成されると共に、小径側には転動体7の脱落を防止するための小鍔5cが形成され、一対の内輪5、5の正面側端面(小鍔側)が突き合された状態でセットされた背面合せタイプの複列の円錐ころ軸受を構成している。
外方部材4はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼で形成され、少なくとも複列の外側転走面4a、4aの表面が高周波焼入れによって58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。一方、内輪5および転動体7はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
車輪用軸受2は、ハブ輪1の小径段部1bに所定のシメシロを介して圧入され、この小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部8によって予圧が付与された状態で軸方向に固定されている。これにより、ナット等の締付トルクを調整して予圧を管理することなく、長期間に亘って安定した予圧を維持できるセルフリテイン構造を提供することができる。
外方部材4と内輪5との間に形成される環状空間の開口部にはシール9、9が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの外部への漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。これらのシール9、9は、断面が略L字状に形成されて互いに対向配置された環状のシール板10とスリンガ11とからなるパックシールを構成している。
環状のシール板10は、図2に拡大して示すように、外方部材4の端部内周に圧入された芯金12と、この芯金12に一体に加硫接着されたシール部材13とからなる。芯金12は、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)、あるいは、冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成されている。また、シール部材13はニトリルゴム等の合成ゴムからなり、スリンガ11に摺接する一対のサイドリップ13a、13bとラジアルリップ13cとを有している。
一方、スリンガ11は、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からプレス加工にて断面が略L字状に形成され、内輪5の外周面に圧入される円筒部11aと、この円筒部11aから径方向外方に延びる立板部11bとからなる。なお、スリンガ11の立板部11bの外縁は、シール部材13と僅かな径方向すきまを介して対峙しラビリンスシール14を構成している。
ここで、本実施形態では、軸受空間の外側、すなわち、外方部材4のアウター側の端部外周に外部シール15が装着されている。この外部シール15は、外方部材4の端部外周に圧入された芯金16と、この芯金16に一体加硫接着されたシール部材17とからなる。シール部材17は車輪取付フランジ3の基部3bに摺接するサイドリップ17aを有している。芯金16は、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)や防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)等、耐食性を有する鋼板等をプレス加工にて断面が略L字状に形成され、外方部材4の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部16aと、この嵌合部16aから径方向外方に延びる立板部16bとを有している。シール部材17はこの立板部16bに加硫接着により一体接合されている。
シール部材17はニトリルゴム等の合成ゴムからなり、サイドリップ17aは径方向外方に傾斜して形成され、研削加工された車輪取付フランジ3の基部3bに所定のシメシロをもって摺接している。このように、サイドリップ17aは外向きに傾斜して形成されているので、このサイドリップ17aに降りかかった雨水やダスト等はバンク状の外表面から外方部材4側に流れると共に、樋状の環状空間に沿って下部に流れて排出されるので、雨水やダスト等がリップ摺接部に滞留することなく高い密封性を発揮することができる。また、この外部シール15によりシール9が直接外部環境に曝されることはなく、外部から雨水やダスト等がシール9に直接侵入するのを防止することができる。
さらに、本実施形態では、芯金16の嵌合部16aの端部に径方向外方に延びる屈曲部18が形成されている。これにより、端部の剛性が高くなり、嵌合部16aを外方部材4に圧入する時にラッパ状に変形するのを防止して強固な固定力を得ることができる。したがって、車両走行時に外部から荷重が外方部材4に負荷されて外方部材4が微小な楕円変形を繰り返しても、また、外方部材4に振動が生じても、外部シール15が軸方向に移動するのを防止すると共に、サイドリップ17aのシメシロを安定して維持することができ、外部シール15およびシール9の密封性と耐久性を高めて軸受の長寿命化を図った車輪用軸受装置を提供することができる。
また、ここでは、転動体7に円錐ころを使用した複列円錐ころ軸受で構成された車輪用軸受2を例示したが、本発明はこれに限らず、転動体7にボールを使用した複列アンギュラ玉軸受であっても良い。また、本発明に係る車輪用軸受装置は、内輪回転方式であれば良く、例示した第2世代構造に限らず第3世代構造にも適用することができる。
図3は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す要部拡大図である。なお、この実施形態は、基本的には前述した参考例と外部シールの構成が一部異なるだけで、その他同一部品同一部位あるいは同一機能を有する部位には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
外部シール19は、外方部材4のアウター側の端部外周に圧入された芯金20と、この芯金20に一体加硫接着されたシール部材17とからなる。芯金20は、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)や防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)等、耐食性を有する鋼板等をプレス加工にて断面が略L字状に形成され、外方部材4の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部20aと、この嵌合部20aから径方向外方に延びる立板部16bとを有している。
本実施形態では、芯金20は、その嵌合部20aの端部に径方向外方に折り返された重合部21が形成されている。これにより、端部の剛性が一層高くなり、嵌合部20aを外方部材4に圧入する時にラッパ状に変形するのを防止して強固な固定力を得ることができ、長期間に亘って外部シール19が軸方向に移動するのを防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る車輪用軸受装置は、内輪回転方式の第1または第2世代構造の車輪用軸受装置に適用できる。
本発明に係る車輪用軸受装置の参考例を示す縦断面図である。 図1の要部拡大図である。 本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す要部拡大図である。 従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 (a)は、図4の要部拡大図である。 (b)は、シールド板を圧入する時の状態を示す説明図である。
符号の説明
1・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a・・・・・・・・・・・肩部
1b・・・・・・・・・・・小径段部
1c・・・・・・・・・・・セレーション
2・・・・・・・・・・・・車輪用軸受
3・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
3a・・・・・・・・・・・ハブボルト
3b・・・・・・・・・・・基部
4・・・・・・・・・・・・外方部材
4a・・・・・・・・・・・外側転走面
5・・・・・・・・・・・・内輪
5a・・・・・・・・・・・内側転走面
5b・・・・・・・・・・・大鍔
5c・・・・・・・・・・・小鍔
6・・・・・・・・・・・・保持器
7・・・・・・・・・・・・転動体
8・・・・・・・・・・・・加締部
9・・・・・・・・・・・・シール
10・・・・・・・・・・・シール板
11・・・・・・・・・・・スリンガ
11a・・・・・・・・・・円筒部
11b、16b・・・・・・立板部
12、16、20・・・・・芯金
13、17・・・・・・・・シール部材
13a、13b、17a・・サイドリップ
13c・・・・・・・・・・ラジアルリップ
14・・・・・・・・・・・ラビリンスシール
15、19・・・・・・・・外部シール
16a、20a・・・・・・嵌合部
18・・・・・・・・・・・屈曲部
21・・・・・・・・・・・重合部
51・・・・・・・・・・・外方部材
51a・・・・・・・・・・外側転走面
51b・・・・・・・・・・車体取付フランジ
52・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
52a・・・・・・・・・・ハブボルト
53・・・・・・・・・・・ハブ輪
53a、54a・・・・・・内側転走面
53b・・・・・・・・・・小径段部
54・・・・・・・・・・・内輪
55・・・・・・・・・・・内方部材
56・・・・・・・・・・・保持器
57・・・・・・・・・・・ボール
58・・・・・・・・・・・加締部
59、60・・・・・・・・シール
61・・・・・・・・・・・芯金
61a・・・・・・・・・・圧入部
61b・・・・・・・・・・内側部
62・・・・・・・・・・・シール部材
63、64・・・・・・・・サイドリップ
65・・・・・・・・・・・ラジアルリップ
66・・・・・・・・・・・隅アール部
67・・・・・・・・・・・シールド板
67a・・・・・・・・・・円周部
67b・・・・・・・・・・立板部
68・・・・・・・・・・・ラビリンスシール
69・・・・・・・・・・・泥水

Claims (3)

  1. 外周に懸架装置に取り付けられるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する内側転走面が形成された一対の内輪からなる内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の円錐ころと、
    前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の両側開口部に装着されたシールとを備えた車輪用軸受装置において、
    前記シールが、軸受空間を密封する接触シールからなり、これらのシールのうちアウター側のシールの外側で、前記外方部材のアウター側の端部外周に外部シールが装着され、この外部シールが、前記外方部材の端部外周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部の一端部から径方向外方に延びる立板部とからなる芯金と、この芯金の立板部に一体に接合されたシール部材とからなると共に、このシール部材が研削加工された平坦面からなる前記車輪取付フランジのインナー側の側面に所定のシメシロを介して摺接するサイドリップを有し、前記嵌合部の他端部に折曲部が設けられ、この折曲部が、前記嵌合部の端部が径方向外方に折り返された重合部で構成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 前記サイドリップが径方向外方に傾斜して形成されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
  3. 前記ハブ輪の小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により、軸受予圧が付与された状態で前記ハブ輪に対して前記内輪が軸方向に固定されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
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