JP2009107904A - グラファイトフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚さが21μm以下で柔軟性を有するグラファイトフィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本グラファイトフィルムは、厚さ1μm以上21μm以下であり、MIT耐折曲試験において、折り曲げクランプの曲率半径Rが2mm、左右の折り曲げ角度90度、折り曲げ速度90回/minおよび荷重0.98Nの測定条件で、グラファイトフィルムの幅15mmの短冊型試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数が5000回以上である。本グラファイトフィルムの製造方法は、厚さ10μm以上45μm以下の高分子フィルムを準備する工程と、高分子フィルムを熱処理して炭素化フィルムを形成する炭素化工程と、炭素化フィルムをさらに熱処理してグラファイトフィルムを形成するグラファイト化工程とを備え、グラファイト化工程の熱処理における最高温度が2600℃以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子機器、精密機器などの放熱フィルムおよびヒートスプレッダ材料などに使用されるグラファイトフィルムおよびその製造方法に関し、特に厚さが21μm以下で、柔軟性を有し、熱拡散性の優れたグラファイトフィルムおよびその製造方法に関する。
コンピューターなどの各種の電子・電気機器に搭載されている半導体素子や、その他の発熱部品などの冷却の問題が注目されている。このような発熱部品の冷却方法としては、その発熱部品が搭載される機器筐体にファンを取り付けその機器筐体を冷却する方法や、その発熱部品にヒートパイプやヒートスプレッダ、ヒートシンクやフィンなどの熱伝導体を取り付けその発熱部品からの熱を外部に運ぶことで冷却する方法などが一般的である。発熱部品に取り付ける熱伝導材料としては、アルミニウム板や銅板などが挙げられる。この場合、アルミニウムや銅板の一部、またはヒートパイプに発熱部品を取り付け、さらに、その板の他の部分からフィンやファンを用いて外部に放熱される。
ところで、近年は半導体素子などの発熱部品が搭載される各種機器が小型化され、また、その発熱部品の発熱量が大きくなる傾向がある。また、筐体が小型化するため、フィンやヒートシンクおよびファンなどの部品を挿入するスペースが制限されてきている。そのような中、近年は、熱伝導体(ヒートコンダクタ)として、熱拡散性に優れるグラファイトフィルムの使用が急増している。グラファイトフィルムはカーボンが層状構造をとっており、フィルム面(フィルムの主面をいう。以下同じ。)の熱伝導率が非常に高く、かつ密度が1〜2g/cm3程度と軽い上に、高い電気伝導性を持つ材料である。また、シートの厚さを小さくでき、フレキシブル性を有する。そのため、狭い場所や、隙間をぬって取り回す必要のある場所のヒートコンダクタ材やヒートスプレッダ材として使用される場合が多い。
一般に入手できるグラファイトフィルムとして、高分子熱分解法またはエキスパンド法により製造されたグラファイトフィルムがある。粉末より製造されるエキスパンド法では、0.1mmより薄い実用的なフィルムを製造することは困難であり、さらにフィルムの機械的強度にも限界があった。一方、高分子熱分解法は、特開昭61−275116号公報(特許文献1)および特許2976481号公報(特許文献2)に開示されるように、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、ポリフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリチアゾール、またはポリアミドなどの高分子フィルムをアルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気下や減圧下で熱処理する方法であり、比較的薄くて機械的強度が強く柔軟性を示すグラファイトフィルムを得ることができる。
上記の特開昭61−275116号公報および特許2976481号公報によると、高分子分解法による柔軟なグラファイトフィルムの作製は、3つの主となる工程を含んでいる。第1工程は、高分子フィルムを不活性ガス流中下で熱処理し、炭素主成分へのフィルムへ転換する炭素化(炭化)工程である。室温(たとえば25℃)から通常1000℃までの熱処理が行なわれ、フィルムから、炭酸ガス、水素ガス、窒素ガスなどのガス発生を伴う。また、第2工程として、高分子フィルムが炭素化された炭素化フィルムを1000℃から2400℃以上にまで熱処理するグラファイト化(黒鉛化)工程がある。第2工程では、グラフェン層が面方向に配向しグラファイト化が進行する。このグラファイト化工程(第2工程)の際、フィルム中に僅かに残っていてグラフェン骨格を形成しない窒素原子やその他の成分が、グラファイト化の最終段階(たとえば、2400℃以上の温度領域)でアウトガスとしてフィルムから抜ける。このときに発生するガスによりグラファイト層が持ち上げられ、フィルムが発泡する。このように、フィルムが発泡することにより、フィルムに柔軟性が付与される。第3工程として、発泡したグラファイトフィルムを圧延することにより、比較的薄くて柔軟性を有するフィルムが得られる。
現在、開発されている最も厚さの小さい柔軟性のグラファイトフィルムとして、厚さ25μmのグラファイトフィルム(松下電器産業株式会社製PGS)が知られている。このグラファイトフィルムは、高分子分解法にてポリイミドフィルムを熱処理して製造されていることが知られている。
しかしながら、携帯電話を始めとする現在の電子機器は、複雑化が進む一方で、さらに小型化・薄型化が進んでおり、これまで開発された最も厚さの小さいグラファイトフィルムを搭載できる十分なスペースを確保することが困難となっている。そこで、さらに厚さが小さく柔軟なグラファイトフィルムの開発が急務となっている。
特開昭61−275116号公報 特許2976481号公報
一方、グラファイトフィルムの厚さが小さくなると、熱輸送能力が足りなくなるとの懸念がある。しかし、たとえば携帯電話のように発熱量の小さな電子機器においては、従来のグラファイトフィルムの放熱特性は過剰であり、さらに厚さの小さいグラファイトフィルムでも熱輸送能力は十分である。具体例として、図1のような熱シミュレーションを実施した。発熱量0.3Wの1cm角の発熱体11をグラファイトフィルム12(50mm×25mm、熱伝導率1200W/mK)により冷却した。グラファイトフィルムを使用しなかった場合のヒータ温度(ヒータ中心部の温度をいう。以下同じ。)は99.7℃であった。また、厚さ25μmのグラファイトフィルムを使用した場合のヒータ温度は66.9℃であった。また、上記グラファイトフィルムと同じ熱伝導率を示す厚さ10μmのグラファイトフィルムを使用した場合のヒータ温度は67.9℃であった。すなわち、ブランクからの温度減少量からみると、厚さ25μmのグラファイトフィルムと厚さ10μmのグラファイトフィルムとの間にあまり違いがないことが確認された。
特許2976481号公報(特許文献2)に記載されているように、厚さの小さい高分子フィルム(ポリイミドフィルム)を使用することで、厚さの小さいグラファイトフィルムを作製することができる。しかし、厚さの小さい高分子フィルムを使用した場合、柔軟性を有するグラファイトフィルムを作製することは難しく、これまで25μm未満の十分な柔軟性を示すフィルムは作製されていなかった。たとえば、特許2976481号公報に示されるように、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製KAPTON)を、炭素化工程の熱処理における昇温速度を10℃/min、グラファイト化工程の熱処理における昇温速度を20℃/minの熱処理をして作製されたグラファイトフィルムは、表面状態は均一であったが、折り曲げクランプの曲率半径Rが2mm、左右の折り曲げ角度90度、折り曲げ速度90回/min、荷重0.98Nの条件で行なったMIT耐折曲試験におけるフィルムが破断するまでの往復折り曲げ回数は1000回未満であり、電子機器の屈曲部などに搭載するためには十分な柔軟性を持ち合わせていなかった。
グラファイトフィルムの原料となる高分子フィルムの厚さが小さくなると、柔軟なグラファイトフィルムを作製することが困難となる。ここで、グラファイトフィルムに柔軟性を付与するためには、グラファイト化の過程においてフィルムの内部から発生するアウトガスによってグラファイトフィルムを発泡させる必要がある。フィルムが薄くなると発生するアウトガスの量が少なくなることに加えて、フィルムの内部から表面までの距離が近いために、フィルムの内部から表面にスムーズにアウトガスが抜けてしまうためにフィルムが発泡し難くなるのである。
柔軟性のない硬質なグラファイトフィルムでは、取り付け時、複合フィルムの作製の際などに割れ、折れ、粉落ちなど様々な不具合が発生してしまう。また、湾曲部分への取り付けも困難であるため、小スペース化が進んだ現在の小型電子機器で使用することが困難である。
したがって、上記課題を解決するため、本発明は、厚さが21μm以下で柔軟性を有するグラファイトフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
ここで、グラファイトフィルムに柔軟性を付与するためには、グラファイト化の過程においてフィルムの内部から発生するアウトガスによってグラファイトフィルムを発泡させる必要がある。しかし、上述のように、フィルムが薄くなると発生するアウトガスの量が少なくなることに加えて、フィルムの内部から表面までの距離が近いために、フィルムの内部から表面にスムーズにアウトガスが抜けてしまうためにフィルムが発泡し難くなる。
そこで、厚さの小さい柔軟性のグラファイトフィルムを作製するためには、薄い原料フィルムを用いても、グラファイト化工程の熱処理の際に発泡する条件を見出す必要がある。発明者らは、厚さの小さいフィルムの発泡度を大きくする方法を検討し、以下の4つの方法を見いだした。ここで、発泡度とは、フィルムの発泡の程度を表す指標である。具体的には、グラファイト化工程における発泡によりフィルムの厚さがどの程度大きくなるかを示す指標であり、原料である高分子フィルムの厚さに対する発泡後のグラファイトフィルムの厚さの比で定義する。発泡度が大きいほど、より発泡しており発泡後のフィルムの厚さが大きい。
[1]炭素化工程の熱処理における昇温速度(以下、炭素化昇温速度という。)を小さくする方法(以下、方法[1]という。)。かかる方法[1]により、炭素化工程後の炭素化フィルムの構造を緻密にすることができる。そのため、グラファイト化工程の熱処理の際に発生するアウトガスが抜け難くなり、アウトガスによりグラファイト層が大きく持ち上げられ、フィルムの発泡度が大きくなると考えられる。
[2]グラファイト化工程の熱処理における昇温速度(以下、グラファイト化昇温速度という。)を大きくする方法(以下、方法[2]という。)。かかる方法[2]により、グラファイト化工程の熱処理中の単位時間当たりのアウトガス発生量が増加するため、フィルムの発泡度が大きくなると考えられる。
[3]グラファイト化工程の熱処理における最高温度(以下、グラファイト化最高温度という。)を高くする方法(以下、方法[3]という。)。かかる方法[3]により、グラファイト化工程の熱処理の際のアウトガスの発生量が増加するため、フィルムの発泡度が大きくなると考えられる。
しかし、上記の方法[1]〜[3]について、以下の制約があるため、グラファイト化工程において発泡させることができるフィルムの厚さもまた制約される。方法[1]においては、炭素化昇温速度を小さくするほど、炭素化工程が長時間となり、生産効率が低下し、コストが増大し、また炭素化装置への負荷が大きくなる。また、方法[2]においては、グラファイト化昇温速度を大きくするほど、コストが増大し、またグラファイト化装置への負荷が大きくなる。また、フィルムに皺が入りやすくなる。また、方法[3]においては、グラファイト化最高温度を高くするほど、コストが増大し、またグラファイト化装置への負荷が大きくなる。また、グラファイト化装置の能力上、グラファイト化最高温度に上限がある。
そこで、本発明者らは、上記方法における制約を解消して、発泡させることができるフィルムの厚さをより小さくする方法について検討した。その結果、グラファイトフィルムの原料として、以下の物性を有する高分子フィルムを用いる方法を見いだすに至った。
[4]グラファイトフィルムの原料フィルムとして、分子配向性の高い、たとえば、複屈折が大きい高分子フィルムを用いる方法(以下、方法[4]という。)。かかる方法[4]により、かかる高分子フィルムを熱処理して得られるグラファイトフィルムはアウトガスが抜けにくいことから、フィルムの発泡度が大きくなると考えられる。
かかる方法[4]によれば、フィルムの発泡度を高めることに関して、複屈折が大きくない一般的な高分子フィルムを用いる場合に比べて、炭素化昇温速度の好適な範囲がより大きな速度範囲にシフトし、、グラファイト化昇温速度の好適な範囲をより小さな速度範囲にシフトする。このため、コストおよび装置の負荷を低減して、厚さの小さなフィルムの発泡度を高め、柔軟性の付与が可能となった。
さらに、グラファイト化工程において発泡したグラファイトフィルムを圧縮すること(圧縮工程)により、グラファイトフィルムの柔軟性がさらに高められる。かかる知見に基づき、発明者らは、厚さが21μm以下で柔軟性を有するグラファイトフィルムおよびその製造方法について、以下の発明を完成した。
本発明は、厚さ1μm以上21μm以下のグラファイトフィルムであって、MIT耐折曲試験において、折り曲げクランプの曲率半径Rが2mm、左右の折り曲げ角度90度、折り曲げ速度90回/minおよび荷重0.98Nの測定条件で、グラファイトフィルムの幅15mmの短冊型試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数が5000回以上であるグラファイトフィルムである。
本発明にかかるグラファイトフィルムは、厚さが3μm以上15μm以下、面積が25cm2以上であり、MIT耐折曲試験における往復折り曲げ回数を10000回以上とすることができる。また、厚さのバラツキを3μm以下とすることができる。また、厚さ10μm以上45μm以下の高分子フィルムを熱処理して得られる。ここで、この高分子フィルムは、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムとすることができる。
また、本発明は、厚さ10μm以上45μm以下の高分子フィルムを準備する工程と、高分子フィルムを熱処理して炭素化フィルムを形成する炭素化工程と、炭素化フィルムをさらに熱処理してグラファイトフィルムを形成するグラファイト化工程と、を備え、グラファイト化工程の熱処理における最高温度が2600℃以上であるグラファイトフィルムの製造方法である。
本発明にかかるグラファイトフィルムの製造方法において、炭素化工程とグラファイト化工程とを連続的に行うことができる。また、高分子フィルムは、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムとすることができる。ここで、炭素化工程の熱処理において、1000℃以下の温度領域における昇温速度を1〜10℃/minとすることができる。また、グラファイト化工程の熱処理において、2000℃以上の温度領域における昇温速度を2.5〜10℃/minとすることができる。また、グラファイト化工程の熱処理において、1000℃から2000℃までの温度領域における昇温速度を0.1〜2.5℃/minとすることができる。また、グラファイトフィルムを0.98MPa(10kgf/cm2)以上39.2MPa(400kgf/cm2)以下の圧力でフィルム面に垂直な方向に圧縮する圧縮工程をさらに備えることができる。
本発明によれば、厚さが21μm以下で柔軟性を有するグラファイトフィルムおよびその製造方法を提供することができる。
(実施形態1)
本発明にかかるグラファイトフィルムの一実施形態は、厚さ1μm以上21μm以下のグラファイトフィルムであって、MIT耐折曲試験において、折り曲げクランプの曲率半径Rが2mm、左右の折り曲げ角度90度、折り曲げ速度90回/minおよび荷重0.98Nの測定条件で、グラファイトフィルムの幅15mmの短冊型試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数(以下、耐折回数という。)が5000回以上である。かかるグラファイトフィルムは、厚さが21μm以下と薄く、高い柔軟性および高い耐折れ曲げ性を有する。
<グラファイトフィルム>
本実施形態のグラファイトフィルムは、厚さ1μm以上21μm以下で、MIT耐折曲試験における耐折回数が5000回以上であれば、特に制限はなく、高分子熱分解法、エキスパンド法、いずれの製造方法により得られるものであってもよい。ここで、高分子熱分解法とは、原料の高分子フィルムを、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下または減圧雰囲気下で熱処理処理して、グラファイトフィルムを形成する方法をいう。高分子熱分解法により得られるグラファイトフィルムは、耐折れ曲げ性、熱拡散性などに優れている。一方、エキスパンド法とは、原料の粉状または燐片状の天然グラファイトを加圧処理して、グラファイトフィルムを形成する方法をいう。エキスパンド法により得られるグラファイトフィルムは、柔軟性を有するが、グラファイト結晶の粒径が小さく結晶性が低いため、高分子熱分解法により得られるグラファイトフィルムに比べて、熱拡散性が低く、また機械的強度も小さい。かかる観点から、本実施形態のグラファイトフィルムは、高分子熱分解法により得られるグラファイトフィルムが好ましい。
<グラファイトフィルムの耐折曲性>
本実施形態のグラファイトフィルムのMIT耐折曲試験における耐折回数は、5000回以上であり、10000回以上が好ましく、50000回以上がさらに好ましい。耐折回数が5000回以上になると、耐折曲性に優れているため電子機器の折り曲げ部分に使用しても破壊されにくくなる。具体的には、携帯電話のヒンジや小型電子機器の折り曲げ部分で使用する場合でも、機能を落とすことなく使用することが可能となる。また、耐折曲性に優れているため、電子機器への取り付け時などのハンドリング性も向上する。また、粘着材や保護フィルムなどの複合材と複合する場合も割れ、折れ、粉落ちなどが発生し難いためによい。一方、耐折回数が5000回未満になると、耐折曲性が劣るために、電子機器の折れ曲げ部分での使用中にフィルムが破壊されやすい。また取り扱い時のハンドリング性も悪くなる。また、複合材と貼り合わせるためにラミネーターを通す際など、割れや折れが発生しやすい。特に折り曲げ角度が大きい場合、折り曲げ半径が小さい場合フィルムが劣化しやすい。
<MIT耐折曲試験>
グラファイトフィルムのMIT耐折曲試験は、たとえば、東洋精機(株)製MIT耐揉疲労試験機型式Dなどを用いて行なうことができる。MIT耐折曲試験における耐折回数の測定においては、折り曲げクランプの曲率半径R、左右の折り曲げ角度、折り曲げ速度、荷重などを選択することが可能である。本発明においては、グラファイトフィルムの耐折回数は、折り曲げクランプの曲率半径Rが2mm、左右の折り曲げ角度90度、折り曲げ速度90回/minおよび荷重0.98Nの測定条件で、グラファイトフィルムの幅15mmの短冊型試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数とする。ここで、通常、折り曲げの曲率半径Rが小さいほど、折り曲げ角度が大きいほど、また折り曲げ速度が大きいほど、荷重が重いほど厳しい試験となる。特に、携帯電話、ゲーム機、液晶テレビ、PDP(プラズマディスプレイ)などのスペース小さい電子機器においては、小さな折り曲げ半径と大きな折り曲げ角度での折り曲げ性が優れることは、機器の省スペース設計が可能となり、非常に重要である。なお、MIT耐折曲試験の方法の詳細は実施例の欄に記載した。
<グラファイトフィルムの厚さ>
本実施形態のグラファイトフィルムの厚さは、1μm以上21m以下が好ましく、3μm以上15μm以下がより好ましく、さらに好ましくは5μm以上12μm以下がさらに好ましい。厚さが1μm未満のグラファイトフィルムは、機械的強度が弱いため、ハンドリング性が悪く複合シートの作製や電子機器への取り付けが困難である。また厚さが薄すぎて熱輸送能力が小さいために、放熱シートとしての使用が難しい。また、21μmより厚いグラファイトフィルムは、厚さが大きいために、小型化された電子機器の小スペースに搭載できない場合がある(搭載するためにはグラファイトフィルムを搭載するスペースを予め設計しなければならない)。また、21μmより厚いグラファイトフィルムを作製するためには厚さの大きい原料フィルムが必要となり、単位面積あたりの原料コストの割合が大きくなる。
グラファイトフィルムの厚さの測定は、50mm×50mmのフィルムを厚さゲージ(ハイデンハイン(株)社製HEIDENHAIN−CERTO)を用いて、室温25℃の恒温室にて、フィルムの任意の10点を測定することにより行ない、10点の測定値の平均をグラファイトフィルムの厚さとした。
<グラファイトフィルムの面積>
本実施形態のグラファイトフィルムの面積(グラファイトフィルムの主面であるフィルム面の面積をいう。以下同じ。)は、25cm2以上が好ましく、50cm2以上がより好ましく、100cm2以上がさらに好ましい。グラファイトフィルムを放熱シートとして使用するためには、フィルムの面積が25cm2以上である方が大面積に熱を拡散できるのでよい。また、フィルムの面積が50cm2以上、さらに好ましくは100cm2以上の大面積のシートが作製できれば、1枚のシートから3cm角程度の放熱シートとして適したサイズのグラファイトフィルムが複数枚抜き取れるために、量産性が高くなるので特によい。
しかしながら、厚さが小さいグラファイトフィルムを大面積で作製することは非常に難しい。なぜなら、厚さが小さく大面積になるとフィルムのこしが非常に弱いため、後述するように、原料の高分子フィルムを熱処理して炭素化フィルムを形成する炭素化工程においてフィルムに皺が発生しやすい。また、炭素化フィルムをさらに熱処理してグラファイトフィルムを形成するグラファイト化工程において、この皺に由来する割れ、厚さムラなどが発生するため、均一なグラファイトフィルムの作製が難しくなる。また、炭素化工程において均一なフィルムが処理できたとしても、グラファイト化工程において皺や厚さムラが発生する場合もある。ここで、炭素化工程および/またはグラファイト化工程の熱処理における昇温速度が大きい場合、フィルムは急激に収縮、膨張するため皺や割れが発生しやすい。したがって大面積のグラファイトフィルムを作製するためには、なるべく小さい昇温速度で熱処理する必要がある。
<グラファイトフィルムの厚さのバラツキ>
本実施形態のグラファイトフィルムの厚さのバラツキは、3μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、2μm以下がさらに好ましい。フィルムの厚さのバラツキが3μm以下であれば、グラファイトフィルムと複合材を複合する場合に貼りあわせし易い。また、厚さが一定であるために発熱体と密着させることができ、高い熱拡散性を示すことができる。一方、フィルムの厚さのバラツキが3μmより大きい場合は、発熱体と密着させることができず、接触部分が大きな熱抵抗となる。
フィルムの厚さのバラツキは、原料の高分子フィルムの炭素化工程および/またはグラファイト化工程における熱処理の際に、大きな皺が発生したり、表面剥がれが発生したりした場合に顕著になる。グラファイトフィルムの面積と同様、皺や表面剥がれを抑制することで、厚さのバラツキの少ない均一なグラファイトフィルムが作製できる。
グラファイトフィルムの厚さのバラツキの測定は、得られたグラファイトフィルムを厚さゲージ(ハイデンハイン(株)社製HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて、フィルムの任意の10点を測定して最大値と最小値の差をとることにより行なった。
<グラファイトフィルムの熱拡散率>
本実施形態のグラファイトフィルムの面方向(フィルム面に平行な任意の方向をいう。以下同じ)の熱拡散率は、3.0×10-42/s以上が好ましく、5.0×10-42/s以上がより好ましく、8.0×10-42/s以上がさらに好ましい。3.0×10-42/s以上になると、グラファイトフィルムの熱伝導率が向上するため、厚さが小さくても十分な熱輸送能力を示す。このような熱拡散率は、グラファイト化の進行状況の指標となる。たとえば、フィルムの面方向の熱拡散率が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。そして、熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社製LaserPit)を用いて、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定できる。
<原料フィルム>
本実施形態のグラファイトフィルムの原料となるフィルムは、高分子フィルムまたはこの高分子フィルムを熱処理により炭素化した炭素化フィルムである。
<高分子フィルム>
本実施形態のグラファイトフィルムの原料となる高分子フィルムは、特に限定はされないが、最終的に得られるグラファイトフィルムの電気伝導性、熱伝導性が大きくなることから、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサザール(PBBO)、ポリチアゾール(PT)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾビスイミダゾール(PBBI)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムであることが好ましい。かかる高分子フィルムは、公知の製造方法で製造すればよい。この中でも、ポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができるために特に好ましい。また、ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする高分子フィルムに比べて、フィルムの炭素化およびグラファイト化が進行しやすいため、結晶性、熱伝導性に優れたグラファイトとなりやすい。
<高分子フィルムの厚さ>
本実施形態のグラファイトフィルムの原料となる高分子フィルムの厚さは、10μm以上45μm以下が好ましく、10μm以上35μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下がさらに好ましい。かかる高分子フィルムの厚さが10μm以上45μm以下であれば、厚さが十分に小さく柔軟性を有するグラファイトフィルムが得られる。しかしながら、厚さが10μm未満の高分子フィルムから柔軟性を有するグラファイトフィルムの作製は、本願発明においても困難である。一方、高分子フィルムの厚さが45μmより大きい場合は、厚さの大きいグラファイトフィルムしか作製できないため、小型電子機器に搭載できない場合がある。
<高分子フィルムの複屈折>
本実施形態のグラファイトフィルムの原料となる高分子フィルムは、分子面配向性に関連する複屈折Δnが、フィルムの面内のどの方向に関しても、好ましくは0.12以上、より好ましくは0.13以上、さらに好ましくは0.14以上である高分子フィルムである。
複屈折が高くなるほど、高分子フィルムそのものの分子面内配向性がよいため、かかる高分子フィルムを炭素化(炭化)した場合、炭素化後のフィルムの結晶配向性も高くなり、より緻密な構造の炭素化フィルムとなる。従来の原料で炭素化の際の熱処理における昇温速度を極端に小さくした炭素化フィルムと同程度の結晶配向性を有する炭素化フィルムが、通常の昇温速度で熱処理しても得られるのである。例を挙げると、一般的なポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製KAPTON、複屈折:0.10)を炭素化昇温速度0.1℃/minで熱処理した炭素化フィルムと同等の結晶配向性を有する炭素化フィルムが、複屈折0.14のポリイミドフィルムを炭素化昇温速度2.5℃/minで熱処理することにより得られる。
このような緻密な構造を持つ炭素化フィルムは、フラファイト化工程の熱処理において発泡しやすい。なぜならグラファイト化の際に発生するアウトガスが緻密な構造のため抜け難く、グラファイト層を持ち上げながら抜けるためである。
複屈折Δnがフィルム面内のどの方向に関しても0.12以上の高分子フィルムは、炭素化昇温速度を大きくしても、緻密な構造の炭素化フィルムとなる。一方、複屈折Δnが0.12未満の高分子フィルムであると炭素化昇温速度を極端に小さくしないと緻密な構造を持つ炭素化フィルムが得られない。
<複屈折>
ここでいう複屈折とは、フィルム面内の任意に特定される方向の屈折率と厚さ方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意に特定される方向Xの複屈折Δnxは以下の式(A)
Δnx=(X方向の屈折率Nx)−(厚さ方向の屈折率Nz) ・・・(A)
で与えられる。
図2および図3に、複屈折の具体的な測定方法が図解されている。図2を参照して、フィルム13から細いくさび形シート13pが測定試料として切り出される。このくさび形シート13pは一つの斜辺を有する細長い台形の形状を有しており、その一底角が直角である。このとき、その台形の底辺はX方向と平行な方向に切り出される。図3は、このようにして切り出されたくさび形シート13pを斜視図で示している。くさび形シート13pの底辺に対応する切り出し断面に直角にナトリウム光20を照射し、くさび形シート13pの斜辺に対応する切り出し断面側から偏光顕微鏡で観察すれば、干渉縞13sが観察される。この干渉縞の数をnとし、ナトリウムD線の波長(589nm)をλ、くさび形シート13pの台形の高さ(シートの幅)をWとすれば、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、以下の式(B)
Δnx=n×λ/W ・・・(B)
で表される。なお、図3において、Tは、くさび形シート13pの厚さ(すなわち、フィルム13の厚さ)を示す。
なお、前述の「フィルム面内の任意に特定される方向X」とは、たとえば、フィルム形成時における材料流れの方向を基準として、X方向がフィルム面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、の意味である。サンプル測定箇所・測定回数は、好ましくは、下記の通りである。たとえば、ロール状の原料フィルム(幅514mm、)からサンプルを切り出す際には、フィルム幅方向で10cm間隔に6カ所サンプリングして、それらのサンプルの複屈折を測定する。測定された複屈折の平均をフィルムの複屈折とする。
<炭素化フィルム>
本実施形態のグラファイトフィルムの原料となる炭素化フィルムは、上記の高分子フィルム(すなわち、好ましくは厚さが10μm以上45μm以下、複屈折が0.12以上の高分子フィルム)を、不活性ガス雰囲気下または減圧雰囲気下で熱処理されて、炭素化されているものが好ましい。かかる熱処理は、通常1000℃程度までの温度で行なわれる。たとえば、炭素化の際の熱処理は、10℃/minで昇温させて、1000℃程度で30分程度の温度保持を行うことが望ましい。
(実施形態2)
本発明にかかるグラファイトフィルムの製造方法の一実施形態は、実施形態1のグラファイトフィルムの製造方法であって、厚さ10μm以上45μm以下の高分子フィルムを準備する工程と、高分子フィルムを熱処理して炭素化フィルムを形成する炭素化工程と、炭素化フィルムをさらに熱処理してグラファイトフィルムを形成するグラファイト化工程とを備え、グラファイト化工程の熱処理における最高温度が2600℃以上である。かかる製造方法により、厚さが21μm以下で柔軟性を有するグラファイトフィルムが得られる。
高分子熱分解法において、グラファイトフィルムは以下のようにして製造される。まず、高分子フィルムを不活性ガス雰囲気下または減圧雰囲気下で熱処理して炭素を主成分とする炭素化フィルムを形成する(炭素化工程)。ここで、不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが好ましく用いられる。また減圧度は、1000Pa以下が好ましく、100Pa以下がより好ましい。かかる炭素化工程においては、室温(たとえば25℃)から通常1000℃までの熱処理が行なわれ、フィルムから、炭酸ガス、水素ガス、窒素ガスなどのガス発生を伴う。
次に、炭素化フィルムを不活性ガス雰囲気下または減圧雰囲気下でさらに熱処理してグラフェン層がフィルム面に平行な方向に配向されたグラファイトフィルムを形成する(グラファイト化工程)。ここで、不活性ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが好ましく用いられる。また減圧度は、1000Pa以下が好ましく、100Pa以下がより好ましい。かかるグラファイト化工程においては、通常1000℃から2400℃以上までの熱処理が行なわれる。グラファイト化工程の最終段階(2400℃以上の温度領域)において、フィルム中に僅かに残っていてグラフェン骨格を形成しない窒素やその他の成分がアウトガスとしてフィルムから抜ける。このときに発生するガスによりグラファイト層が持ち上げられ、フィルムが発泡する。
ここで、グラファイト化工程の熱処理における最高温度を2600℃以上に高くすることにより、グラファイト化工程の熱処理の際のアウトガスの発生量が増加するため、フィルムの発泡度が大きくなり、厚さが小さくても柔軟性を有するグラファイトフィルムが得られる。なお、かかる方法は、上述の方法[3](グラファイト化工程の熱処理における最高温度を高くする方法)に該当する。
以下、本実施形態のグラファイトフィルムの製造方法について、さらに具体的に説明する。
<高分子フィルムを準備する工程>
上述のように、準備する高分子フィルムは、高分子フィルムは、特に限定はされないが、最終的に得られるグラファイトフィルムの電気伝導性、熱伝導性が大きくなることから、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサザール(PBBO)、ポリチアゾール(PT)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾビスイミダゾール(PBBI)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムが好ましい。これらの中でも、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができることから、ポリイミドフィルムが特に好ましい。したがって、以下、高分子フィルムとしてポリイミドフィルムを準備する工程について詳しく説明する。
(ポリイミドフィルムの作製)
本実施形態で用いられるポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶液をイミド化促進剤と混合した後、エンドレスベルトまたはステンレスドラムなどの支持体上に流延し、それを乾燥および焼成してイミド化させることにより製造され得る。
本願発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができる。すなわち、ポリアミド酸は、通常、有機溶媒中で芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種とを実質的に等モル量で反応させることにより得られる。このようなポリアミド酸溶液は、通常は5〜35質量%、好ましくは10〜30質量%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に、適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、たとえば次のような重合方法(1)〜(5)が好ましい。
(1) 芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
(2) 芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対して過少モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、芳香族テトラカルボン酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
(3) 芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いて、このプレポリマーに芳香族ジアミン化合物を追加添加後に、全芳香族テトラカルボン酸二無水物と全芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
(4) 芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後に、その芳香族テトラカルボン酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
(5) 実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
これらの中でも重合方法(2)および(3)に示すプレポリマーを経由するシーケンシャル制御(シーケンスコントロール)(ブロックポリマー同士の組み合わせ・ブロックポリマー分子同士の繋がりの制御)をして重合する方法が好ましい。というのは、この方法を用いることで、複屈折が大きく、線膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得られやすく、このポリイミドフィルムを熱処理することにより、結晶性が高く、密度および熱伝導性が優れたグラファイトを得やすくなるからである。また、規則正しく、制御されることで、芳香環の重なりが多くなり、低温の熱処理でもグラファイト化が進行しやすくなると推定される。
また複屈折を高めるために、イミド基含有量を増やすと、樹脂中の炭素比率が減り、黒鉛処理後の炭素化収率が減るが、シーケンシャル制御をして合成されるポリイミドフィルムは、樹脂中の炭素比率を落とすことなく、複屈折を高めることができるために好ましい。このように、シーケンシャル制御をして合成されるポリイミドフィルムは、炭素比率が高まるために、分解ガスの発生を抑えることができ、外観上優れたグラファイトフィルムが得られやすくなる。また芳香環の再配列を抑えることができ、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
本実施形態においてポリイミドの合成に用いられ得る酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、およびそれらの誘導体を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
本実施形態においてポリイミドの合成に用いられ得るジアミンとしては、4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリン)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル(3,3’−オキシジアニリン)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−オキシジアニリン)、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンおよびそれらの誘導体を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
特に、線膨張係数を小さくして弾性率を高くかつ複屈折を大きくし得るという観点から、本願発明におけるポリイミドフィルムの製造では、下記式(1)で表される酸二無水物を原料に用いることが好ましい。
Figure 2009107904
ここで、R1は、下記の式(2)〜式(14)に含まれる2価の有機基の群から選択されるいずれかであって、
Figure 2009107904
ここで、R2、R3、R4、およびR5の各々は−CH3、−Cl、−Br、−F、または−OCH3の群から選択されるいずれかであり得る。
上述の酸二無水物を用いることによって比較的吸水率の低いポリイミドフィルムが得られ、このことはグラファイト化工程において水分による発泡を防止し得るという観点からも好ましい。
特に、酸二無水物におけるR1として式(2)〜式(14)に示されているようなベンゼン核を含む有機基を使用すれば、得られるポリイミドフィルムの分子配向性が高くなり、線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が高く、さらには吸水率が低くなるという観点から好ましい。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きく、吸水率を小さくするためには、本願発明におけるポリイミドの合成に下記式(15)で表される酸二無水物を原料に用いればよい。
Figure 2009107904
特に、2つ以上のエステル結合でベンゼン環が直線状に結合された構造を有する酸二無水物を原料に用いて得られるポリイミドフィルムは、屈曲鎖を含むけれども全体として非常に直線的なコンフォメーションをとりやすく、比較的剛直な性質を有する。その結果、この原料を用いることによってポリイミドフィルムの線膨張係数を小さくすることができ、たとえば25.0×10-6-1以下にすることができる。また、弾性率は3.8GPa(390kgf/mm2)以上に大きくすることができ、吸水率は3.0%以下に小さくすることができる。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きくするためには、本実施形態におけるポリイミドは、p−フェニレンジアミンを原料に用いて合成されることが好ましい。
また、本実施形態においてポリイミドの合成に用いられる最も適当なジアミンは4,4’−オキシジアニリンとp−フェニレンジアミンであり、これらの単独または2者の合計モルが全ジアミンに対して40モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、また80モル%以上が特に好ましい。さらに、p−フェニレンジアミンが10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ましく、また40モル%以上が特に好ましい。これらのジアミンの含有量がこれらのモル%範囲の下限値未満になれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。
本実施形態においてポリイミドフィルムの合成に用いられる最も適当な酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物および/または式(15)で表されるp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸二無水物)であり、これらの単独または2者の合計モルは、全酸二無水物に対して、40モル%以上が好ましく、さらには50モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が特に好ましい。これら酸二無水物の使用量が40モル%未満であれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。
また、ポリイミドフィルム、ポリアミド酸、ポリイミド樹脂に対して、カーボンブラック、グラファイトなどの添加剤を添加しても良い。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられ得る。
次に、ポリイミドの製造方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、またはポリアミド酸に無水酢酸などの酸無水物に代表される脱水剤やピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジンなどの第3級アミン類をイミド化促進剤として用いてイミド転化するケミカルキュア法があり、これらのいずれを用いてもよい。中でも、イソキノリンのように沸点の高いものほど好ましい。というのは、フィルム作製中の初期段階では蒸発せず、乾燥の最後の過程まで、触媒効果が発揮されやすいため好ましい。特に、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすく、また比較的低温で迅速なグラファイト化が可能で、品質のよいグラファイトを得ることができるという観点からケミカルキュアの方が好ましい。特に、脱水剤とイミド化促進剤を併用することは、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が大きくなり得るので好ましい。また、ケミカルキュア法は、熱キュア法に比べてイミド化反応がより速く進行するので、加熱処理においてイミド化反応を短時間で完結させることができ、生産性に優れた工業的に有利な方法である。
具体的なケミカルキュアによるフィルムの製造においては、まずポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒からなるイミド化促進剤を加えて、支持板、PETなどの有機フィルム、ドラム、またはエンドレスベルトなどの支持体上に流延または塗布して膜状にし、有機溶媒を蒸発させることによって自己支持性を有する膜を得る。次いで、この自己支持性膜をさらに加熱して乾燥させつつイミド化させてポリイミド膜を得る。この加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲内にあることが好ましい。加熱の際の昇温速度には特に制限はないが、連続的もしくは段階的に、徐々に加熱して最高温度がその所定温度範囲内になるようにするのが好ましい。加熱時間はフィルム厚さや最高温度によって異なるが、一般的には最高温度に達してから10秒から10分の範囲が好ましい。さらに、ポリイミドフィルムの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを固定したり延伸したりする工程を含めば、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすい傾向にあるので好ましい。
<高分子フィルムの炭素化工程およびグラファイト化工程>
上記のようにして準備された高分子フィルムから、以下の炭素化工程およびグラファイト化工程を経て、グラファイトフィルムが得られる。かかる炭素化工程およびグラファイト化工程は、別々に行っても良いし、連続的に行っても良い。
<炭素化工程>
炭素化工程は、不活性ガス(たとえば窒素ガス)雰囲気下または減圧(たとえば1000Pa以下)雰囲気下で、原料である高分子フィルムを熱処理することにより行う。この熱処理は、通常、室温から1000℃程度の温度領域で行われる。炭素化のための熱処理温度としては、最低でも800℃以上が必要である。また、熱輸送能力に優れたグラファイトを得るために、炭素化のための熱処理の最高温度は、900℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましい。
また、炭素化工程の熱処理における最高温度に達した時点で、30分から1時間程度、最高温度のまま温度の保持を行ってもよい。たとえば、10℃/minの速度で昇温した場合には、1000℃程度で30分程度の温度の保持を行ってもよい。昇温の段階では、出発高分子フィルムにシワが発生しないように、フィルムの破損が起きない程度にフィルム面に垂直な方向に圧力を加えてもよい。ここで、柔軟性を有するグラファイトフィルムを得るための炭素化工程における熱処理条件については、後述する。
<グラファイト化工程>
グラファイト化工程は、不活性ガス(たとえば、アルゴンガスまたはヘリウムガス)雰囲気下または減圧(たとえば1000Pa以下)雰囲気下で、上記炭素化フィルムを熱処理することにより行なう。この熱処理は、通常1000℃程度から2000℃以上までの温度領域で行なわれる。不活性ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが好適に用いられる。グラファイト化のための熱処理の最高温度は、最低でも2000℃が必要であり、最終的には2400℃以上であることが多い。ここで、グラファイト化工程は、炭素化工程で炭素化した高分子フィルムを一度取り出した後、グラファイト化(黒鉛化)用の炉に移し変えてからおこなっても良いし、炭素工程後連続的にグラファイト化工程を行なってもよい。ここで、柔軟性を有するグラファイトフィルムを得るためのグラファイト化工程における熱処理条件については、後述する。
<高分子フィルムの固定方法・保持方法>
本実施形態の熱処理では、容器に高分子フィルムを固定して行なってもよい。本実施形態のような2000℃の温度領域まで加熱されるような用途では、取り扱いの容易さや、工業的な入手の容易さなどを勘案すると、グラファイト製の容器が、特に好ましい。ここでいうグラファイト製容器とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、材料としてグラファイトを主に含む容器までを含む広い概念であるが、たとえば、等方性グラファイトを含む容器、押出製グラファイトを含む容器、が挙げられる。これらのグラファイト製容器の内、電気伝導性、熱伝導性に優れ均質性にも優れる等方性グラファイトを含む容器が、繰り返し用いる場合には好ましい。容器の形状は、特に制約を受けず、単純な平板などの形状でよい。また容器は円筒状で、高分子フィルムを容器に巻きつける方法でもよい。容器の形状は、高分子フィルムを接触させることができる限りにおいて、特に制約を受けない。
なお、グラファイト製容器内に、高分子フィルムを接触させる方法(たとえば、保持する方法・固定する方法を含む)とは、たとえば、高分子フィルムをグラファイト板で挟んだ上で、グラファイト板の自重以外には特には加圧しない状態で容器壁や容器底に接するように接触させる方法(保持させたり、固定させたりしてもよい)や円筒の黒鉛容器に巻きつける方法が有るが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。
<厚さが小さく柔軟性を有するグラファイトフィルムの製造方法>
厚さの小さい原料フィルム(たとえば、ポリイミドフィルムなどの高分子フィルム)を使用することで、厚さの小さいグラファイトフィルムを製造することができる。しかしながら、厚さの小さい原料フィルム(高分子フィルム)を使用した場合、柔軟性を有するグラファイトフィルムを製造することは難しく、これまで25μm未満の厚さで十分な柔軟性を示すグラファイトフィルムは製造されていなかった。原料フィルムの厚さが小さくなると柔軟なフィルムが製造し難いのは、フィルムが薄くなると発生するアウトガスの量が少ない上に、内部から表面までの距離が近いために、スムーズにフィルムからガスが抜けてしまうためにフィルムが発泡し難くなるためと考えられる。
そこで、厚さが小さくても柔軟性を有するグラファイトフィルムを製造するためには、厚さの小さい原料フィルムを用いても、熱処理の過程で発泡する条件を見つけなければならない。上述のように原料フィルムとして高分子フィルムを用いる場合、フィルムの発泡度を大きくするための方法であって、製造方法の炭素化工程またはグラファイト化工程の熱処理条件に関するものは、以下の3つの方法、すなわち方法[1]〜[3]が挙げられる。
方法[1]は、炭素化工程の熱処理における昇温速度(炭素化昇温速度)を小さくする方法である。かかる方法[1]により、炭素化工程後の炭素化フィルムの構造を緻密にすることができる。そのため、グラファイト化工程の熱処理の際に発生するアウトガスが抜け難くなり、アウトガスによりグラファイト層が大きく持ち上げられ、フィルムの発泡度が大きくなると考えられる。しかし、昇温速度を小さくしすぎると、熱処理時間が長くなり、生産性が低下し、電力消費量が増大して、コストが高くなる。
方法[2]は、グラファイト化工程の熱処理における昇温速度(グラファイト化昇温速度)を大きくする方法である。かかる方法[2]により、グラファイト化工程の熱処理中の単位時間当たりのアウトガス発生量が増加するため、フィルムの発泡度が大きくなると考えられる。しかし、装置の能力上、昇温速度には上限がある。また、昇温速度を大きくし過ぎると、電力がかかり、装置への負荷が大きくなる。また、昇温速度が速すぎるとフィルムに皺が入りやすい。
方法[3]は、グラファイト化工程の熱処理における最高温度(グラファイト化最高温度)を高くする方法である。かかる方法[3]により、グラファイト化工程の熱処理の際のアウトガスの発生量が増加するため、フィルムの発泡度が大きくなると考えられる。しかし、装置の能力上、熱処理の最高温度には上限がある。
<一般の高分子フィルムの熱処理条件>
現在、一般的に用いられる複屈折が0.12未満の高分子フィルム(たとえばポリイミドフィルム)を用いてグラファイトフィルムを製造する場合、グラファイト化工程におけるフィルムの発泡度を大きくして、厚さが小さく柔軟性を有するフィルムを製造するためには、以下の熱処理条件が必要とされる。
方法[1]に関して、フィルムの発泡度を大きくするために、1000℃以下の温度領域における適正な炭素化昇温速度は、1℃/min未満である。炭素化昇温速度が1℃/min以上であると、炭素化昇温速度が大きいため、炭素化フィルムの結晶配向性が低くいなる。このため、グラファイト化工程で発生するアウトガスがフィルムから抜けやすく、発泡し難くなる。
しかし、炭素化装置の負荷を低減するために、1000℃以下の温度領域における適正な炭素化昇温速度は、1〜10℃/minである。炭素化昇温速度が1℃/minより小さい場合は、処理にかかる時間が長くなり炭素化装置にかかる負荷が大きくなり、炭素化昇温速度が10℃/minより大きい場合は、消費電力の増大、ヒータの消耗など炭素化装置にかかる負荷が大きくなるからである。したがって、装置の負荷を低減する観点から、炭素化昇温速度を1℃/minより小さくすることが制約される。
方法[2]に関して、フィルムの発泡度を大きくするために、2000℃以上の温度領域における適正なグラファイト化昇温速度は、5〜50℃/minである。かかる温度領域における昇温速度が5℃/minより小さいとグラファイト化工程で発生する単位時間当たりのアウトガスの量が少ないため、十分に発泡させることができない。また、かかる温度領域における昇温速度が50℃/minより大きいとグラファイト化装置への負荷が非常に大きくなるため、このような熱処理が困難となる。また、グラファイト化昇温速度が大き過ぎると、結晶配向性を高めることができず、十分にグラファイト化させることが困難な場合がある。
また、表面剥がれを抑制するために、1000℃から2000℃までの温度領域における適正なグラファイト化昇温速度は、0.1〜20℃/minである。かかる温度領域におけるグラファイト化昇温速度が0.1℃/minより小さいと熱処理時間が大きくなるためよくない。また、かかる温度領域におけるグラファイト化昇温速度が20℃/minより大きいと表面剥がれが発生する。
しかし、グラファイト化装置の負荷を低減するために、1000℃から2000℃以上の温度領域における適正なグラファイト化昇温速度は、1〜10℃/minである。かかる温度領域におけるグラファイト化昇温速度が1℃/minより小さい場合は、処理にかかる時間が長くなりグラファイト化装置にかかる負荷が大きくなり、かかる温度領域におけるグラファイト化昇温速度が10℃/minより大きい場合は、消費電力の増大、ヒータの消耗などグラファイト化装置にかかる負荷が大きくなるからである。また、グラファイト化工程においてもフィルムに膨張および/または収縮が生じる。このため、1000℃から2000℃までの温度領域におけるグラファイト化昇温温度が10/minよりも大きい急激な熱処理を行なうと、フィルムに皺などが生じて、グラファイト化に不良が生じる。したがって、装置の負荷を低減する観点から、グラファイト化工程の熱処理における昇温速度を1〜10℃/minの範囲外とすることが制約される。
方法[3]に関して、フィルムの発泡度を大きくするために、適正なグラファイト化最高温度は2600℃以上である。グラファイト化最高温度が2600℃未満であると、温度が低いためアウトガスの発生量が少なく、十分に発泡させることができない。
しかし、グラファイト化最高温度が高い場合も、グラファイト化装置へ大きな負荷を与える。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒータに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。グラファイトヒータの消耗は2700℃以上で進行し、2800℃ではその消耗速度が約10倍になり、2900℃ではさらにその約10倍になる。そのため、通常は、グラファイト化最高温度は2900℃以下が好ましい。したがって、装置の負荷を低減する観点から、グラファイト化最高温度を2900℃より高くすることが制約される。
上記のように、グラファイトフィルムの発泡度を大きくするために好適な上記方法[1]〜[3]の熱処理条件は、しばしば装置上の制約を受けるため、フィルムの発泡度をおおきくするためのさらなる方法が望まれる。
<複屈折0.12以上の高分子フィルムの熱処理条件>
フィルムの発泡度を大きくする方法のひとつとして、上述のように、方法[4]が挙げられる。方法[4]は、グラファイトフィルムの原料フィルムとして、分子配向性の高い高分子フィルムを用いる方法である。かかる方法[4]により、かかる高分子フィルムを熱処理して得られるグラファイトフィルムはアウトガスが抜けにくいことから、フィルムの発泡度が大きくなると考えられる。
高分子フィルムにおいて、高分子の分子配向性を調べる手法の一つとして、複屈折が挙げられる。本発明では、原料フィルムとして、複屈折が0.12以上の高分子フィルムを用いた。
高分子フィルムの複屈折が高くなるほど、高分子フィルムそのものの高分子の分子面配向性がよいため、この高分子フィルムを炭素化した場合、炭素化されたフィルムの結晶配向性も高くなり、より緻密な構造の炭素化フィルムが得られる。このため、一般的な高分子フィルム(たとえば、複屈折が0.10)を用いて炭素化工程の熱処理における昇温速度を極端に小さくて得られる炭素化フィルムと同程度の結晶配向性を有する炭素化フィルムが、複屈折が大きい高分子フィルムを炭素化工程において通常の昇温速度で熱処理しても得られる。たとえば、一般のポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製KAPTON、複屈折:0.10)を炭素化昇温速度0.1℃/minで熱処理したものと同等の結晶配向性を有する炭素化フィルムが、複屈折0.14のポリイミドフィルムを炭素化昇温速度2.5℃/minで熱処理することによって製造できる。このような緻密な構造を持つ炭素化フィルムは、グラファイト化工程において発泡しやすい。なぜならグラファイト化工程において発生するアウトガスが緻密な構造のため抜け難く、グラファイト層を持ち上げながら抜けるためである。
(炭素化昇温速度)
本実施形態の高分子フィルムの炭素化工程は、原料フィルムである複屈折が0.12以上の高分子フィルムを、不活性ガス(たとえば、窒素ガス)雰囲気下または減圧雰囲気下(たとえば、1000Pa以下)で熱処理して行われる。この熱処理は、室温(たとえば、25℃)から1000℃まで、特に500℃以上1000℃以下の温度で行われる。また、炭素化工程の熱処理において最高温度に達した時点で30分から1時間程度の保持を行ってもよい。
ここで、フィルムの発泡度を大きくするために、適正な炭素化昇温速度は、1〜10℃/minであり、好ましくは1.5〜10℃/minであり、さらに好ましくは2.5〜10℃/minである。したがって、フィルムの発泡度を大きくするために適正な炭素化昇温速度領域は、装置の負荷が小さい昇温速度領域とほぼ重なる。このため、装置に負担をかけずに、フィルムの発泡度を大きくして、フィルムに柔軟性を付与することができる。炭素化昇温速度が1℃/minより小さい場合は、処理にかかる時間が長くなり炭素化装置にかかる負荷が大きくなる。一方、炭素昇温速度が10℃/minより大きい場合も、消費電力の増大、ヒーターの消耗など様々な装置への負荷がかかる。すなわち、また、繰り返すと出発原料に複屈折が0.12以上の高分子フィルムを用いた場合は、昇温速度が大きくても、緻密な構造の炭素化フィルムが得られる。
ここで、分解ガスの発生は、主に400℃〜1000℃の温度領域で最も多くなる。そのため、400℃〜1000℃の温度領域での温度制御は非常に重要である。炭素化工程においては、一定の昇温速度で熱処理を行っても、温度領域に応じて昇温速度を変更してもよい。本実施形態においては、400℃〜1000℃の温度領域において適正な炭素化昇温速度が1〜10℃/minである工程を含む必要がある。
(2000℃以上の温度領域におけるグラファイト化昇温速度)
本実施形態の高分子フィルムのグラファイト化工程は、上記の炭素化フィルムを、不活性ガス(たとえば、アルゴンガス、ヘリウムガス)雰囲気下または減圧雰囲気下(たとえば、1000Pa以下)で熱処理して行われる。この熱処理は、1000℃〜2000℃以上の温度領域で行われる。また、炭素化工程の熱処理において最高温度に達した時点で30分から1時間程度の保持を行ってもよい。
複屈折0.12以上の高分子フィルムを用いた場合、フィルムの発泡度を大きくするために、グラファイト化工程の熱処理の2000℃以上の温度領域における適正な昇温速度は、2.5〜10℃/minであり、好ましくは2.5〜8.5℃/minであり、さらに好ましく2.5〜7℃/minである。このように、フィルムの発泡度を大きくするために適正なグラファイト化昇温速度領域は、装置の負荷が小さい昇温速度領域とほぼ重なる。このため、装置に負担をかけずに、フィルムの発泡度を大きくして、大面積で皺のない柔軟性を有するフィルムが得られる。昇温速度が2.5℃/minより小さい場合は、フィルムからアウトガスが抜けやすいために発泡しにくく柔軟なグラファイトフィルムが得られない。また、処理にかかる時間が長くなるためグラファイト化装置にかかる負荷も大きくなる。一方、昇温速度が10℃/minより大きい場合は、グラファイト化の際にもフィルムは膨張・収縮が急激に起こるために、皺などの不良が発生する場合がある。また、昇温速度が10℃/minより大きい場合も、消費電力の増大、ヒーターの消耗など様々な装置への負荷がかかる。
(グラファイト化工程の熱処理における最高温度)
複屈折0.12以上の原料フィルムを用いた場合、フィルムの発泡度を大きくするために適正なグラファイト化最高温度は、2600℃以上、好ましくは2700℃以上、さらに好ましくは2800℃以上である。グラファイト化最高温度が2600℃未満であると、アウトガスの発生量が十分でなく発泡しにくいため柔軟なグラファイトフィルムが得られない。
(表面はがれ)
通常、厚さの大きい原料フィルム(高分子フィルム)を用いると、アウトガスの発生量が多くフィルム内部から表面までの距離が長いことから、ガスがスムーズに抜けることができない。そのため、ガスがフィルムを抜ける際にグラファイトの層を破壊しながら抜けるために、表面剥がれが発生する。
ここで、複屈折0.12以上の原料フィルムを用いた場合、フィルムが薄くてもこのような、表面剥がれ生じる場合がある。これは、炭素化工程の段階で分子面配向が緻密になり過ぎるために、グラファイト化工程においてアウトガスがスムーズに抜けることができないためである。
したがって、複屈折の大きな原料フィルム(高分子フィルム)を使用する場合は、炭素化工程の段階で分子配向が緻密になり過ぎないようにするために、炭素化昇温速度を大きくする必要がある。
(炭素化不良)
しかしながら、原料フィルムが薄い場合は、フィルムにこしがないために、炭素化昇温速度を大きくし過ぎると、炭素化工程の段階でフィルムに皺が発生する。この皺が原因で、フィルムに割れが発生したり、グラファイト化工程後のフィルムに厚さムラが発生したりする。
(1000℃〜2000℃の温度領域におけるグラファイト化昇温速度)
したがって、複屈折が非常に大きく表面剥がれが発生し易いフィルムでも炭素化工程の熱処理における昇温速度を大きくしても表面剥がれを抑制したい。この場合、重要となる温度領域が1000〜2000℃の範囲である。複屈折0.12以上の原料フィルムを用いた場合、1000〜2000℃の温度領域における適正なグラファイト化昇温速度は、0.1〜2.5℃/minがであり、好ましくは0.5〜2℃/minであり、さらに好ましく0.7〜1.5℃/minである。1000〜2000℃の温度領域におけるグラファイト化昇温速度が0.1〜2.5℃/minであると、炭素化昇温速度が1〜10℃/minの範囲の炭素化フィルムを用いた場合でも、グラファイト化(黒鉛化)設備に負担をかけずに表面剥がれを抑制することができる。
一方、1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度が2.5℃/minより大きいと、炭素化速度が1℃/min以下の場合は、グラファイト化後のフィルムに表面剥がれが発生する場合がある。また、1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度が0.1℃/minより小さいと、グラファイト化の時間に非常に長い時間を費やすことになり、電力および時間の面で非常に不利となる。
<圧縮工程>
本実施形態のグラファイトフィルムの製造方法において、グラファイト化工程により形成されたグラファイトフィルムを、フィルム面に垂直な方向に圧縮する圧縮工程をさらに含むことが好ましい。圧縮は、面状に均一に加圧する、すなわち、フィルム面上を均一に加圧することが好ましい。発泡したグラファイトフィルムが、フィルム面に垂直な方向に均等な圧力で圧縮されることにより、フィルムの柔軟性がさらに向上し、フィルムの耐折曲性がさらに向上する。また、熱拡散性に優れ、表面に傷および/または凹部がなく、皺のない、平坦性に優れたグラファイトフィルムが得られる。このような圧縮工程は、室温でも行うことができる。
このような圧縮工程においては、1枚以上のグラファイトフィルムが、グラファイトフィルム以外のフィルム状媒質とともに、面状に均一に加圧されることが好ましい。また、複数のグラファイトフィルムが積層されて配置された状態で面状に加圧されることが好ましい。かかる場合は、グラファイトフィルム自体が緩衝材の役割を果たすので、フィルム面に傷が入ることなく、平坦性に優れたグラファイトフィルムが得られる。
このような圧縮工程は、単板プレス、真空プレスなどで実施され得る。これらの中で、真空プレスは、面状に均一に加圧可能であることに加えて真空引きを行うことにより、グラファイトフィルムに含まれる空気層が圧縮され得る点で、特に好ましい。
より具体的には、グラファイトフィルムをプレス機、ホットプレス機、単板プレス機といった面状に加圧できる装置を用いて加圧する方法やプラスチック板、セラミック板、金属板にグラファイトフィルムを挟みボルトで締め付ける方法が挙げられる。これらの方法を用いることにより、グラファイトフィルムを面状に均一に加圧することが可能となり、グラファイト層が破損することなく圧縮され、熱拡散率の低下を引き起こさず、熱拡散率が高く、密度が高く、表面に傷がなく、皺のないグラファイトフィルムを得ることができる。また、フィルム面の圧縮をより均一に行うため、加圧中に加熱するとよい。
また、真空プレスする方法としては、プレス機、ホットプレス機、単板プレス機といったプレス機に真空引き機能が付与された真空プレス機を用いて加圧する方法やプラスチック板、セラミック板、金属板にグラファイトフィルムを挟みボルトで締め付けた後全体を真空引きする方法や真空ラバープレスのようにグラファイトフィルムをラバーに挟み、内部を真空引きし内部が減圧されることでフィルムを均一に加圧する方法が挙げられる。これらの方法では、面状に均一に加圧可能であることに加え、真空引きを行うため、グラファイトフィルムに含まれる空気層が圧縮され、グラファイト層が破損することなく圧縮され、熱拡散率の低下を引き起こさず、より熱拡散率が高く、密度が高く、表面に傷がなく、皺のないグラファイトフィルムを得ることができる。
また、真空プレスを行う場合、加圧する前に、真空引きをすることが好ましい。加圧処理を先に施すと皺が入る場合があるが、減圧処理を先に施すとグラファイトフィルム全体が均一に加圧され、皺が無く品質に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。また、本圧縮方法においても、より均一に行うため、加圧中に加熱するとよい。グラファイトフィルムは熱拡散性に優れるため、均一に熱が伝わり、面内で均一な平滑なグラファイトフィルムが得られるため好ましい。
フィルム面に垂直な方向への均一な加圧は、圧延処理と比較して、均一に強い加圧が実施できるため、圧延処理と比較して非常に耐折曲性の優れたグラファイトフィルムとなる。特に、厚さの小さいグラファイトフィルムの場合、押しムラが発生しやすいため、強い加圧が実施できるプレス処理などの面状に加圧できる圧縮処理がよい。
<圧縮工程における圧縮圧力>
上記圧縮工程において、グラファイトフィルムを圧縮する圧力は、0.98MPa(10kgf/cm2)以上39.2MPa(400kgf/cm2)以下、好ましくは4.9MPa(50kgf/cm2)以上29.4MPa(300kgf/cm2)以下、さらに好ましくは6.87MPa(70kgf/cm2)以上24.5MPa(250kgf/cm2)以下であるとよい。圧縮圧力が0.98MPa(10kgf/cm2)未満であると、グラファイトフィルムの厚さが小さいために押しムラが発生しやすく、十分な柔軟性を付与することができない。一方、39.2MPa(400kgf/cm2)より強く加圧すると、本実施形態のグラファイトフィルムと本実施形態のグラファイトフィルム以外のフィルム状媒質とが圧着し、本実施形態のグラファイトフィルムを壊してしまう場合がある。
<フィルム状媒質>
本実施形態のグラファイトフィルム以外のフィルム状媒質としては、天然黒鉛から得られたグラファイトフィルムや、樹脂フィルムや、金属箔などが例示される。具体的には、天然黒鉛から得られたグラファイトフィルム、緩衝ゴム材、鉄板、テフロン(登録商標)フィルムなどが挙げられる。
「フィルム状媒質とともに」とは、下記のような態様が例示される。例えば、(本実施形態のグラファイトフィルム以外の媒質/1枚の本実施形態のグラファイトフィルム/本実施形態のグラファイトフィルム以外の媒質/1枚の本実施形態のグラファイトフィルム/本実施形態のグラファイトフィルム以外の媒質/・・・)などのようにサンドイッチ状に挟む場合、(本実施形態のグラファイトフィルム以外の媒質/複数枚の本実施形態のグラファイトフィルム/本実施形態のグラファイトフィルム以外の媒質/複数枚の本実施形態のグラファイトフィルム/本実施形態のグラファイトフィルム以外の媒質/・・・)などのようにサンドイッチ状で挟む場合、などである。
以下の実施例および比較例により、本願発明にかかるグラファイトフィルムおよびその製造方法をさらに具体的に説明する。
<ポリイミドフィルムA、B、C、D>
[ポリイミドフィルムAの作製方法]
4,4’−オキシジアニリンの3当量を溶解したDMF溶液にピロメリット酸二無水物の4当量を溶解して、両末端に酸無水物を有するプレポリマーを合成した後、そのプレポリマーを含む溶液にp−フェニレンジアミンの1当量を溶解して得られたポリアミド酸を18.5質量%含む溶液を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次に、この混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布した。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン、遠赤外線ヒータを用いて乾燥した。
でき上がり厚さが75μmの場合の乾燥条件を以下に示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒータにて460℃で23秒と段階的に加熱して乾燥した。その他の厚さのフィルムついては、厚さに比例して上記の乾燥時間を調整した。たとえば、厚さ25μmのフィルムの場合には、75μmのフィルムの場合よりも上記の乾燥時間を1/3に短く設定した。
以上のようにして、厚さがそれぞれ12.5μm、25μmおよび50μmの3種類のポリイミドフィルムA(弾性率4.4GPa、吸水率2.2%、複屈折0.14、線膨張係数21.8×10-6-1)を作製した。
[ポリイミドフィルムBの作製方法]
4,4’−オキシジアニリンの1当量、p−フェニレンジアミンの1当量を溶解したDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に、ピロメリット酸二無水物の2当量を溶解して得られたポリアミド酸を用いた以外はポリイミドフィルムAと同様にして厚さ25μmのポリイミドフィルムB(弾性率4.8GPa、吸水率3.0%、複屈折0.14、線膨張係数18.4×10-6-1)を作製した。
[ポリイミドフィルムCの作製方法]
4,4’−オキシジアニリンの3当量、p−フェニレンジアミンの1当量を溶解したDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に、ピロメリット酸二無水物の4当量を溶解して得られたポリアミド酸を用いた以外はポリイミドフィルムAと同様にして厚さ25μmのポリイミドフィルムC(弾性率3.9GPa、吸水率3.0%、複屈折0.12、線膨張係数23.7×10-6-1)を作製した。
[ポリイミドフィルムD]
ポリイミドフィルムDは、東レ・デュポン(株)製の厚さ25μmの「KAPTON H」(弾性率3.4GPa、吸水率3.0%、複屈折0.10、線膨張係数27.9×10-6-1)である。文献によると、ポリイミドフィルムD(東レ・デュポン(株)製KAPTON H)は、4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(東レ・デュポン(株)製ジメチルホルムアミド)溶液に、ピロメリット酸二無水物の1当量を溶解して得られたポリアミド酸を用いて製造されていると推定される。得られたポリイミドフィルムA〜Dの製造方法と諸物性を表1にまとめた。
Figure 2009107904
(実施例1)
サイズ70mm×70mmで厚さ25μmのポリイミドフィルムAをグラファイト板で挟み、電気炉を用いて窒素ガス雰囲気下で、5℃/minの昇温速度で1000℃まで昇温した後、1000℃で1時間保持する熱処理をして炭素化フィルムを得た。
得られた炭素化フィルムをグラファイト板で挟み、グラファイト化炉を用いてアルゴンガス雰囲気下、1000〜2000℃の温度領域を2.5℃/minの昇温速度で、2000℃以上の温度領域を5℃/minの昇温速度で2900℃まで昇温した後、2900℃で30分保持する熱処理をしてグラファイトフィルムを製造した。得られたフィルムを250MPaの圧力で圧縮処理を施してグラファイトフィルム1を作製した。
(実施例2)
1000℃以下における炭素化昇温速度を1℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム2を作製した。
(実施例3)
1000℃以下における炭素化昇温速度を2.5℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム3を作製した。
(実施例4)
1000℃以下における炭素化昇温速度を10℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム4を作製した。
(実施例5)
1000℃以下における炭素化昇温速度を15℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム5を作製した。
(実施例6)
1000℃以下における炭素化昇温速度を20℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム6を作製した。
(実施例7)
2000℃以上におけるグラファイト化昇温速度を1℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム7を作製した。
(実施例8)
2000℃以上におけるグラファイト化昇温速度を2.5℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム8を作製した。
(実施例9)
2000℃以上におけるグラファイト化昇温速度を7℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム9を作製した。
(実施例10)
2000℃以上におけるグラファイト化昇温速度を10℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム10を作製した。
(実施例11)
2000℃以上におけるグラファイト化昇温速度を20℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム11を作製した。
(実施例12)
1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を1℃/minとしたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルム12を作製した。
(実施例13)
1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を1℃/minとしたこと以外は、実施例3と同様にしてグラファイトフィルム13を作製した。
(実施例14)
1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を1℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム14を作製した。
(実施例15)
1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を1℃/minとしたこと以外は、実施例4と同様にしてグラファイトフィルム15を作製した。
(実施例16)
1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルム16を作製した。
(実施例17)
1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、実施例3と同様にしてグラファイトフィルム17を作製した。
(実施例18)
1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム18を作製した。
(実施例19)
1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を5℃/minとしたこと以外は、実施例4と同様にしてグラファイトフィルム19を作製した。
(実施例20)
グラファイト化最高温度を2800℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム20を作製した。
(実施例21)
グラファイト化最高温度を3000℃と変更したこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム21を作製した。
(実施例22)
ポリイミドフィルムBを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム22を作製した。
(実施例23)
ポリイミドフィルムCを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム23を作製した。
(実施例24)
厚さ12.5μmのポリイミドフィルムAを用いて、1000℃以下における炭素化昇温速度を1℃/minとし、1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を1℃/minとしたこと以外は、実施例10と同様にしてグラファイトフィルム24を作製した。
(比較例1)
1000℃までの炭素化昇温速度を0.5℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム25を作製した。
(比較例2)
1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を10℃/minとしたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム26を作製した。
(比較例3)
2000℃以上におけるグラファイト化昇温速度を0.5℃/minと変更したこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム27を作製した。
(比較例4)
グラファイト化最高温度を2500℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム28を作製した。
(比較例5)
厚さ50μmのポリイミドフィルムAを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム29を作製した。
(比較例6)
ポリイミドフィルムDを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム30を作製した。
(比較例7)
ポリイミドフィルムDを用いたこと以外は、実施例2と同様にしてグラファイトフィルム31を作製した。
(比較例8)
ポリイミドフィルムDを用いたこと以外は、実施例3と同様にしてグラファイトフィルム32を作製した。
(比較例9)
ポリイミドフィルムDを用いたこと以外は、実施例4と同様にしてグラファイトフィルム33を作製した。
(比較例10)
ポリイミドフィルムDを用いたこと以外は、実施例7と同様にしてグラファイトフィルム34を作製した。
(比較例11)
ポリイミドフィルムDを用いたこと以外は、実施例8と同様にしてグラファイトフィルム35を作製した。
(比較例12)
ポリイミドフィルムDを用いたこと以外は、実施例10と同様にしてグラファイトフィルム36を作製した。
(比較例13)
ポリイミドフィルムDを用いたこと以外は、実施例11と同様にしてグラファイトフィルム37を作製した。
(比較例14)
厚さ25μmのポリイミドフィルムDをグラファイト板で挟み、1000℃までの炭素化昇温速度を10℃/minとし、1000〜2000℃のグラファイト化昇温速度を20℃/minとし、2000℃以上のグラファイト化昇温速度を20℃/minとして、グラファイト化最高温度を3000℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてグラファイトフィルム38を作製した。
なお、厚さ25μmのポリイミドフィルムDを、炭素化昇温速度を1℃/minより小さくして、2000℃以上のグラファイト化昇温速度を10℃/minより大きくすることにより、十分な耐折り曲げ性を示す厚さ10μm程度のグラファイトフィルムを作製することができる。しかし、装置への負荷、時間的負荷およびコストを考慮すると、一般的なポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムD)を原料として、このようなグラファイトフィルムを作製することは困難である場合が多い。
<炭素化フィルムにおける炭素化不良(皺および割れ)>
室温(たとえば25℃)から1000℃までの熱処理により、原料フィルム(ポリイミドフィルム)を炭素化させた炭素化フィルムの外観を目視にて確認した。フィルムに高さ2mm以上の皺が確認できる場合は×、高さ0.5mm以上2mm未満の皺が確認できるものを△、0.5mm未満の皺しか確認できないものを○、皺の発生が確認できないものを◎とした。またフィルムに割れが発生しているものは無条件で×とした。
<炭素化装置への負荷>
通常、炭素化工程における熱処理は室温から1000℃までの温度領域で行う。ここで、炭素化昇温速度は1〜10℃/min程度が好ましい。昇温速度が1℃/minより小さい場合は、処理にかかる時間が長くなり炭素化装置にかかる負荷が大きくなる。一方、昇温速度が10℃/minより大きい場合も、消費電力の増大、ヒータの消耗などの様々な負荷が炭素化装置にかかる。したがって、炭素化昇温速度について、16℃/min以上のものを×、1℃/min未満あるいは10℃/min以上16℃/min未満のものを△、1℃/min以上2℃/未満あるいは4℃/min以上10min未満のものを○、2℃/min以上4℃/min未満のものを◎とした。
<グラファイトフィルムにおけるグラファイト不良(皺および破れ)>
上述のように、厚さの小さい原料フィルムを熱処理する場合、グラファイト化工程の熱処理における昇温速度を大きくすることでフィルムを発泡させることができる。しかしながら、グラファイト化の際もフィルムは膨張および/または収縮が生じるために、急激に温度上昇させると大面積のフィルムを作製する場合は、皺などの不良が発生する場合がある。
そのため、グラファイト化昇温速度は1〜10℃/min程度が好ましい。したがって、2000℃以上のグラファイト化昇温速度について、20℃/min以上のものを×、1℃/min未満あるいは10℃/min以上20℃/min未満のものを△、1℃/min以上2℃/min未満あるいは6℃/min以上10℃/min未満のものを○、2℃/min以上6℃/min未満のものを◎とした。
<グラファイト化装置への負荷>
また、上述のように、厚さの小さい原料フィルムを熱処理する場合、グラファイト化昇温速度を大きくして、グラファイト化最高温度を高めることで発泡させることができる。ここで、グラファイト化昇温速度は1〜10℃/min程度が適当である。昇温速度が1℃/minより小さい場合は、処理にかかる時間が長くなりグラファイト化装置にかかる負荷が大きくなる。一方、昇温速度が10℃/minより大きい場合も、消費電力の増大、ヒータの消耗などの様々な負荷がグラファイト化装置にかかる。
また、グラファイト化最高温度が高い場合も、グラファイト化装置へ大きな負荷を与える。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒータに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。グラファイトヒータの消耗による劣化が2700℃以上で進行し、2800℃ではグラファイトヒータの消耗速度が2700℃のときの約10倍になり、2900℃ではグラファイトヒータの消耗速度が2800℃のときの約10倍になる。そのため、通常は、グラファイト化最高温度は2900℃以下が好ましい。
<グラファイトフィルムの厚さ測定>
グラファイトフィルムの厚さの測定方法としては、得られたグラファイトフィルムを厚さゲージ(ハイデンハイン(株)社製HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて、フィルムの任意の10点を測定し、平均して測定値とした。
<グラファイトフィルムの厚さのバラツキ>
グラファイトフィルムの厚さのバラツキの測定方法としては、得られたグラファイトフィルムを厚さゲージ(ハイデンハイン(株)社製HEIDENHAIN−CERTO)を用い、室温25℃の恒温室にて、フィルムの任意の10点を測定して最大値と最小値の差をとった。
<グラファイトフィルムにおける表面剥がれ>
グラファイトフィルム化後のグラファイトフィルムの外観を目視および微粘着テープによる引き剥がし試験にて評価した。微粘着テープによる引き剥がし試験では、微粘着テープ((株)パナック社製CT−38)を2kgローラで1往復の条件で貼り合わせ、10min後に引き剥がした。その後、目視にて微粘着テープにグラファイト粉が確認されるかどうかで判断した。微粘着テープによる引き剥がし試験にて、グラファイト粉が確認されないものを◎、グラファイト粉が確認されるが目視にてグラファイト表面に剥がれが確認できないものは○、目視にて表面剥がれが確認されるが粉落ちしないものを△、表面剥がれが発生しており粉落ちするものは×として判断した。
<グラファイトフィルムの耐折曲特性評価(MIT耐折曲試験)>
グラファイトフィルムのMIT耐折曲試験は、以下の要領で行った。グラファイトフィルムを幅15×長さ100mmの短冊型試験片にカットし、東洋精機(株)製MIT耐揉疲労試験機型式Dを用いて、試験荷重0.98N(100gf)、折り曲げクランプの曲率半径R2mm、左右の折り曲げ角度90°折り曲げ速度90回/minの測定条件で、短冊型試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数(耐折回数)を測定した。
<光交流法によるフィルム面方向の熱拡散率測定>
グラファイトフィルムの熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社製LaserPit)を用いて、グラファイトフィルムを4×40mmのサンプル形状に切り取り、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定した。グラファイト化の進行状況を、フィルム面方向の熱拡散率を測定することによって判定した。熱拡散率が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。
実施例、比較例のグラファイトフィルムの諸物性を表2にまとめた。
Figure 2009107904
<複屈折>
実施例1〜11のように、複屈折0.14の原料フィルムを用いると、炭素化速度1〜20℃/minおよび2000℃以上のグラファイト化昇温速度1〜20℃/minで熱処理することで、MIT耐折曲試験の耐折回数が5000回以上の柔軟性に優れたグラファイトフィルムが得られた。一方、複屈折0.10の従来の原料フィルムを同様の方法でグラファイト化しても屈折曲性の悪いグラファイトフィルムしか得られなかった(比較例6〜14のグラファイトフィルムについてMIT耐折曲試験の耐折回数は1000回以下)。このように原料フィルムの分子配向性を高めることで従来は製造できなかった柔軟性の優れた10μm程度のグラファイトフィルムを得ることができた。
<1000℃以下における炭素化昇温速度>
実施例1〜6、比較例1を比較すると、比較例1のグラファイトフィルムの耐折曲特性は、実施例1〜6のグラファイトフィルムに比べて非常に劣っていた。これは、比較例1は炭素化速度が遅すぎ、炭素化フィルムの分子配向が緻密になりすぎたために、グラファイト化の際に表面剥がれが発生したからと考えられる。
また、実施例2、5、6のグラファイトフィルムの耐折曲特性は、実施例1、3、4のグラファイトフィルムに比べて劣っていた。これは、実施例2においても、まだ炭素化速度が遅すぎたために、グラファイトフィルムに表面剥がれが発生したからと考えられる。一方、実施例3、4においては炭素化速度が速すぎ、炭素化フィルムの分子配向が乱れすぎたことにより、グラファイト化が十分に進行しなかったためと考えられる。また、炭素化速度が速すぎて、炭素化フィルムに皺が発生し、これがグラファイトフィルムの厚さムラとなってしまったことも、耐折曲特性が劣っていた原因と考えられる。
<2000℃以上におけるグラファイト化昇温速度>
実施例1、7〜11および比較例3を比較すると、比較例3のグラファイトフィルムの耐折曲特性は、実施例1、7〜11のグラファイトフィルムに比べて、非常に劣っていた。これは、比較例3では、グラファイト化昇温速度が遅すぎたためにグラファイトフィルムを発泡させることができず、硬質なグラファイトフィルムが形成されたためと考えられる。また、実施例1、9、8のグラファイトフィルムに比べて、実施例7、8、11のグラファイトフィルムの耐折曲特性が劣っていた。これも、実施例7、8でも、まだグラファイト化昇温速度が遅すぎたために、グラファイトフィルムを十分発泡させることができなかったためと考えられる。一方、実施例11においては、グラファイト化昇温速度が速すぎて、グラファイトフィルムに皺が発生してしまい、耐折曲特性の低下を招いてしまったものと考えられる。
<1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度>
実施例1〜4、12〜19および比較例2を比較すると、1000〜2000℃までのグラファイト化昇温速度を小さくすると、炭素化昇温速度が1〜10℃/minの広い領域において、表面剥がれがなく均一で耐折曲特性に優れたグラファイトフィルムが得られることがわかった。したがって、1000〜2000℃におけるグラファイト化昇温速度を小さくすることで、グラファイト化の際に均一発泡させることができる炭素化昇温速度の範囲を広げることができた。
<グラファイト化最高温度>
実施例1、20、21および比較例4を比較すると、比較例4のグラファイトフィルムの耐折曲特性は、実施例1、20、21のグラファイトフィルムに比べて、非常に劣っていた。これは、比較例4では、グラファイト化最高温度が低すぎたために、十分にグラファイト化が進行せず、グラファイトフィルムを発泡させることができなかったためと考えられる。また、同様の理由により、実施例20のグラファイトフィルムの耐折曲特性は、実施例1、21のグラファイトフィルムに比べて、僅かに劣っていたものと考えられる。
<原料フィルムの厚さ>
実施例1、24および比較例5を比較すると、比較例5のグラファイトフィルムの厚さは26μmと実施例1、24のグラファイトフィルムに比べて厚い。これは当然のことであり、比較例5においては厚い原料フィルムを用いているからである。また、実施例24は原料フィルムの厚さが12.5μmであるので5μm程度のグラファイトフィルムが作製できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のグラファイトフィルムは、熱伝導性に優れるため、あらゆる熱に関わる用途に使用することが可能である。また、本発明のグラファイトフィルムは、厚さが小さく柔軟性にも優れるため、この特徴を活かした用途、たとえば、小型電子機器など小スペース部分での使用や、折り曲げ部分などの用途に適している。グラファイトフィルムの熱伝導に優れるという特徴は、熱を移動させる、熱を逃がす、熱を広げる、熱を均一にする、熱応答を早くする、早く暖める、早く冷ますといった効果が必要な用途に適している。熱を瞬時に広げることで急激な温度変化を防止緩和したり、局所的な熱の集中を回避したりすることが可能である。またその逆で、急激な変化を起こさせたり、わずかな熱の変化を検知したりする用途に使用することが可能である。熱の集中が緩和されることで高温環境化においても強度、接着性を確保できる。また、均一かつ正確に熱を伝えることにより、高精度、高品位、高画質といった特性改善も可能になる。
また、本発明のグラファイトフィルムを製造装置に用いた場合には、熱を早く、大量に輸送できる特長を活かし、タクトタイム短縮、加熱・冷却効率改善、乾燥効率改善、高速化、待ち時間短縮といった生産性の向上が可能になる。また、熱の均一化や素早い輸送により、不良低減、保温機能も高めることが可能となる。また、様々な機器に採用することで、省スペース化、薄膜化、軽量化、機構の単純化、設置の自由度改善を可能とし、余計な部品を無くすことで、省電力化、静音化も可能となる。また、熱を逃がすことが可能なため、ヒートサイクル環境試験やアニ−ル処理でも特性劣化なく、半田耐熱、接着層の密着性、耐熱性、信頼性、耐久性が改善でき、また断熱性を高めたり、熱に弱い部品から守ったりすることも可能となる。その結果、メンテナンスレス、コストダウンにつながり、安全性も改善することが可能となる。
本発明のグラファイトフィルムの具体的な用途として、以下のものがあげられる。たとえば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン、ワードプロセッサ、キーボード、ゲームなどの電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機器、ポータブル音楽プレイヤーなどの携帯電子機器などが挙げられる。
また、液晶ディスプレイ、透過型液晶表示装置、反射型LCDパネル、プラズマディスプレイ、SED、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクター、リアプロジェクター、液晶パネル、バックライト装置(ばらつき防止、温度ムラ改善)、TFT基板、電子放出素子、電子源基板とフェースプレート(軽量化)、表示パネルフレームとの複合、発光素子、電荷注入型発光素子、時計などの光学・表示機器およびその部品などが挙げられる。
また、レーザ、半導体レーザ、発光ダイオード、蛍光灯、白熱電球、発光ドット、発行素子アレー、照明ユニット、平面発光装置、原稿照明装置などの発光・照明装置などが挙げられる。インクジェット(熱エネルギーを利用してインクを途出する)用の単体もしくは複数からなる記録ヘッド(ヒーター、断熱材、蓄熱層など)、ラインヘッド、長尺インクヘッド、固体インクジェット装置、インクジェットヘッド用放熱板、インクカートリッジ、インクジェットヘッド用シリコン基板、インクジェット駆動ドライバ、インクジェット記録紙を加熱するための加熱源(ハロゲンランプヒータ)などのインクジェットプリンタ(インクヘッド)装置およびその部品などが挙げられる。
また、トナーカートリッジ、レーザ光源を有する装置、走査光学装置(光線出射ユニット、偏向走査ポリゴンミラー、ポリゴンミラー回転駆動モーター、感光体ドラムへ導く光学部品)、露光装置、現像装置(感光ドラム、光受容部材、現像ローラ、現像スリーブ、クリーニング装置)、転写装置(転写ロール、転写ベルト、中間転写ベルトなど)、定着装置(定着ロール(芯、外周部材、ハロゲンヒーターなど)、サーフヒーター、電磁誘導加熱ヒーター、セラミックヒーター、定着フィルム、フィルム加熱装置、加熱ローラ、加圧ローラ・加熱体、加圧部材、ベルトニップ)、シート冷却装置、シート載置装置、シート排出装置、シート処理装置などからなる電子写真装置・画像形成装置およびその部品などが挙げられる。
ここで、定着装置ではグラファイトフィルムの使用による熱特性の改善効果は顕著であり、幅方向の画質ムラ、画質欠陥、連続通紙における画質バラツキ、立ち上がり・下がり時間、リアルタイム対応、温度の高追従性、通紙部と非通紙部の温度差、皺、強度、省電力、オンデマンド加熱、高温オフセット及び低温オフセット、ヒーター周辺部材の過昇温、ヒーター割れが大幅に改善できる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、熱転写式記録装置(リボン)、ドットプリンタ、昇華プリンタ、その他の記録装置などに用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、液晶表示素子駆動用半導体チップ、CPU、MPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケースなどの半導体関連部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、プリント基板、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、実装基板、高密度実装プリント基板、(テープキャリアパッケージ)、TAB、ヒンジ機構、摺動機構、スルーホール、樹脂パッケージング、封止材、多層樹脂成形体、多層基板などの配線基板などに用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、CD、DVD(光ピックアップ、レーザ発生装置、レーザ受光装置)、ブルーレイディスク、DRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、光記録再生装置、磁気記録再生装置、光磁気記録再生装置、情報記録媒体、光記録ディスク、光磁気記録媒体(透光性基板、光干渉層、磁壁移動層、中間層、記録層、保護フィルム層、放熱層、情報トラック)、受光素子、光検出素子、光ピックアップ装置、磁気ヘッド、光磁気記録用磁気ヘッド、半導体レーザチップ、レーザダイオード、レーザ駆動ICなどの記録装置、記録再生装置およびその部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、デジタルカメラ、アナログカメラ、デジタル一眼レフカメラ、アナログ一眼レフカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、カメラ一体型VTR用、カメラ一体型VTR用IC、ビデオカメラ用ライト、電子閃光装置、撮像装置、撮像管冷却装置、撮像装置、撮像素子、CCD素子、レンズ鏡筒、イメージセンサ及びそれを用いた情報処理装置、X線吸収体パターン、X線マスク構造体、X線撮影装置、X線露光装置、X線平面検出器、X線デジタル撮影装置、X線エリアセンサー基板、電子顕微鏡用試料冷却ホルダ、電子ビーム描画装置(電子銃、電子銃、電子ビーム描画装置)、放射線検出装置および放射線撮像システム、スキャナー、画像読取装置、動画用撮像素子と静止画用撮像素子、顕微鏡などの画像記録装置およびその部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、アルカリ電池、マンガン電池などの一次電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素、鉛蓄電池などの二次電池、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサ、組電池、太陽電池、太陽電池モジュール設置構造体、光電変換基板、光起電力素子アレー、発電素子、燃料電池(発電セル、筐体外部、燃料タンク内部)などのバッテリー機器などの放熱材料が用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、電源(整流ダイオード、トランス)、DC/DCコンバータ、スイッチング電源装置(フォワード型)、電流リ−ド、超電導装置システムなどの電源およびその部品などに用いられる。また、モーター、リニアモーター、平面モーター、振動波モーター、モーターコイル、回転制御駆動用の回路ユニット、モータードライバ、インナーロータモーター、振動波アクチュエーターなどのモーターおよびその部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、真空処理装置、半導体製造装置、蒸着装置、薄膜単結晶半導体層製造装置、プラズマCVD、マイクロ波プラズマCVD、スパッタリング装置、減圧チャンバー、真空ポンプ、クライオトラップ・クライオポンプなどの真空排気装置、静電チャック、真空バキュームチャック、ピンチャック型ウエハチャック、スパッタリング用ターゲット、半導体露光装置、レンズ保持装置及び投影露光装置、フォトマスクなどの堆積膜製造装置(温度一定、品質安定)およびその部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、抵抗加熱・誘導加熱・赤外線加熱による熱処理装置、乾燥機、アニール装置、ラミネート装置、リフロー装置、加熱接着(圧着)装置、射出成型装置(ノズル・加熱部)、樹脂成形金型、LIM成型、ローラ成型装置改質ガス製造(改質部、触媒部、加熱部など)スタンパ、(フィルム状、ロール状、記録媒体用)、ボンディングツール、触媒反応器、チラー、カラーフィルタ基板の着色装置、レジストの加熱冷却装置、溶接機器、磁気誘導加熱用フィルム、結露防止ガラス、液体残量検知装置、熱交換装置などの種々製造装置及びその部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、断熱材、真空断熱材、輻射断熱材などの断熱装置に用いられる。また、各種電子・電気機器、製造装置のシャーシ、筐体、外装カバー、放熱部品(放熱器、開口部、ヒートパイプ、ヒートシンク、フィン、ファン、放熱用コネクタなど)、冷却部品(ペルチェ素子、電気熱変換素子、水冷部品など)、温度調節装置、温度制御装置、温度検出装および部品などに用いられる。
また、本発明のグラファイトフィルムは、サーミスタ、サーモスイッチ、サーモスタット、温度ヒューズ、過電圧防止素子、サーモプロテクタ、セラミックヒーター、フレキシブルヒーター、ヒータと熱伝導板と断熱材の複合品、ヒーターコネクタ・電極端子部品などの発熱体関連部品に用いられる。また、高放射率を有する放射部品、電磁波遮蔽、電磁波吸収体などの電磁シールド部品、アルミ、銅、シリコンなどの金属との複合品、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナなどのセラミックとの複合品として好適である。
放熱シミュレーションの構成を示す概略図である。ここで、(a)は概略上面図を示し、(b)は概略側面図を示す。 複屈折の測定に供されるフィルムおよびくさび形シートを示す概略平面図である。 複屈折の測定に供されるくさび形シートを示す概略斜視図である。
符号の説明
11 発熱体、12 グラファイトフィルム、13 フィルム、13p くさび形シート、13s 干渉縞、20 ナトリウム光。

Claims (13)

  1. 厚さ1μm以上21μm以下のグラファイトフィルムであって、
    MIT耐折曲試験において、折り曲げクランプの曲率半径Rが2mm、左右の折り曲げ角度90度、折り曲げ速度90回/minおよび荷重0.98Nの測定条件で、前記グラファイトフィルムの幅15mmの短冊型試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数が5000回以上であるグラファイトフィルム。
  2. 前記グラファイトフィルムは、厚さが3μm以上15μm以下、面積が25cm2以上であり、
    前記MIT耐折曲試験における前記往復折り曲げ回数が10000回以上である請求項1記載のグラファイトフィルム。
  3. 前記グラファイトフィルムの厚さのバラツキが3μm以下である請求項1〜2のいずれかに記載のグラファイトフィルム。
  4. 前記グラファイトフィルムは、厚さ10μm以上45μm以下の高分子フィルムを熱処理して得られるグラファイトフィルムである請求項1〜3のいずれかに記載のグラファイトフィルム。
  5. 前記高分子フィルムは、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムである請求項4に記載のグラファイトフィルム。
  6. 請求項1のグラファイトフィルムの製造方法であって、
    厚さ10μm以上45μm以下の高分子フィルムを準備する工程と、
    前記高分子フィルムを熱処理して炭素化フィルムを形成する炭素化工程と、
    前記炭素化フィルムをさらに熱処理してグラファイトフィルムを形成するグラファイト化工程と、を備え、
    前記グラファイト化工程の熱処理における最高温度が2600℃以上であるグラファイトフィルムの製造方法。
  7. 前記炭素化工程と前記グラファイト化工程とを連続的に行う請求項6に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  8. 前記高分子フィルムは、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムである請求項6または7に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  9. 前記炭素化工程の熱処理において、1000℃以下の温度領域における昇温速度が1〜10℃/minである請求項8のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  10. 前記グラファイト化工程の熱処理において、2000℃以上の温度領域における昇温速度が2.5〜10℃/minである請求項8または9に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  11. 前記グラファイト化工程の熱処理において、1000℃から2000℃までの温度領域における昇温速度が0.1〜2.5℃/minである請求項8〜10のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  12. 前記グラファイトフィルムをフィルム面に垂直な方向に圧縮する圧縮工程をさらに備える請求項6〜11のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  13. 前記圧縮工程において、圧縮する圧力が0.98MPa以上39.2MPa以下である請求項12に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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