JP2009107367A - 車両の乗員保護装置 - Google Patents

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JP2009107367A JP2007278657A JP2007278657A JP2009107367A JP 2009107367 A JP2009107367 A JP 2009107367A JP 2007278657 A JP2007278657 A JP 2007278657A JP 2007278657 A JP2007278657 A JP 2007278657A JP 2009107367 A JP2009107367 A JP 2009107367A
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安成 広谷
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Abstract

【課題】スライドドア車に関して、ラップベルト用のプリテンショナを乗降口に突出しないように配設できる車両の乗員保護装置を提供する。
【解決手段】車両の前後方向に延びるサイドシル44と、サイドシル44の上方の乗降口10と、乗降口10近傍のシート4と、乗降口10を開閉するスライドドア24と、車室内側へ向かって膨出するようにサイドシル44に設けられスライドドア24を案内するレール30を収容する膨出部52と、ショルダーベルト82とラップベルト84とラップベルト84の車室外側端部を支持する下部支持部材102とを含む3点式シートベルト装置79とを備えた車両2において、ラップベルト用のプリテンショナ92を、膨出部52の上面において下部支持部材102の設置部から車両の後方へ向かって延びるように配置し、膨出部52の上面に、プリテンショナ92が乗降口10に突出しないように嵌る溝部54を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、3点式シートベルトを備えた車両の乗員保護装置に関する。
3点式シートベルトは、乗員の肩から腰にかけて斜めに配置されるショルダーベルトと、乗員の腰部を取り巻くように配置されるラップベルトとから構成される。3点式シートベルトに関して、車両衝突時にシートベルトを引き締めるためのプリテンショナは、多くの場合、ショルダーベルトの端部に取り付けられている。かかる技術を採用する場合、車両衝突時にプリテンショナが作動し、これにより、主としてショルダーベルトが引き締められ、乗員がシートに固定される。
これに対して、特許文献1には、ショルダーベルトの端部に接続されるプリテンショナ(ショルダーベルト用プリテンショナ)に加えて、ラップベルトの端部に接続されるプリテンショナ(ラップベルト用プリテンショナ)を設ける技術が提案されている。特許文献1の技術によれば、車両衝突時、2つのプリテンショナの作動により、ショルダーベルトとラップベルトの両方が引き締められ、乗員を一層確実に保護することができる。ラップベルト用プリテンショナは、車両フロアの側部に設けられたサイドシルの車室内側にサイドシルに沿って配置することで、乗降口に突出することなく設置できる。なお、ラップベルト用プリテンショナをサイドシルに沿って配置する技術は、特許文献2〜4にも開示されている。
実公昭53−35850号公報 特開2006−199197号公報 特開2006−199198号公報 特開2004−359028号公報
ところで、スライドドア車の場合、スライドドアを案内するためのレールと、レールを収容するレールボックスを設ける必要がある。低床のスライドドア車の場合、サイドシルに、車室内側に向かって膨出する膨出部が設けられ、この膨出部にレールボックスが収容される。
このようにサイドシルに膨出部が設けられている場合、ラップベルト用プリテンショナをサイドシルの車室内側にサイドシルに沿って設置することができない。そのため、ラップベルト用プリテンショナを膨出部の上面に配置することが考えられるが、その場合、ラップベルト用プリテンショナが乗降口に突出してしまう問題がある。
そこで、本発明は、スライドドア車に関して、ラップベルト用のプリテンショナを乗降口に突出しないように配設できる車両の乗員保護装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1の発明に係る車両の乗員保護装置は、
車両フロアの左右方向両側において車両の前後方向に延びるサイドシルと、
該サイドシルの上方に設けられた乗降口と、
前記乗降口近傍において前記フロア上に設けられたシートと、
車両の前後方向にスライド移動可能とされ、前記乗降口の少なくとも一部を開閉するスライドドアと、
車両の左右方向の車室内側へ向かって膨出するように前記サイドシルに設けられ、前記スライドドアを案内するレールを収容する膨出部と、
乗員の肩から腰部にかけて斜めに掛け渡されるショルダーベルトと乗員の腰部を跨いで横方向に掛け渡されるラップベルトとから構成されるシートベルトと、前記ショルダーベルトの上端部を支持する上部支持部材と、前記ラップベルトの車室外側端部を支持する下部支持部材とを含む3点式シートベルト装置と、を備えた車両において、
前記ラップベルトを引き込むラップベルト用プリテンショナが、前記膨出部の上面において前記下部支持部材の設置部から車両の後方へ向かって延びるように配置され、
前記膨出部の上面に、前記ラップベルト用プリテンショナが前記乗降口に突出しないように嵌る溝部が形成されていることを特徴とする。
本願の第2の発明に係る車両の乗員保護装置は、第1の発明において、
前記乗降口は、前記サイドシルの前記シート近傍部から上方へ向かって延びるピラーによって前側の乗降口と後側の乗降口とに仕切られ、
前記スライドドアは、前記後側の乗降口を開閉するドアであり、
前記膨出部は、前記シートの近傍部から車両の後方へ向かって延びるように設けられ、
前記溝部は、前記ピラーよりも後側に設けられていることを特徴とする。
本願の第3の発明に係る車両の乗員保護装置は、上記の第1または第2の発明において、
前記溝部は、平面視で前記レールに重ならないように配置されていることを特徴とする。
本願の第4の発明に係る車両の乗員保護装置は、上記の第3の発明において、
前記下部支持部材は、前記レールよりも左右方向車室外側に配置され、
前記溝部は、前記レールよりも左右方向車室内側に配置され、
前記ラップベルト用プリテンショナは、平面視で前記レールと交差するように配置されていることを特徴とする。
本願の第5の発明に係る車両の乗員保護装置は、上記の第1〜第4のいずれかの発明において、
前記溝部は、後方に向かうに連れて低くなるように傾斜していることを特徴とする。
本願の第6の発明に係る車両の乗員保護装置は、上記の第1〜第5のいずれかの発明において、
前記溝部の壁面が、前記ラップベルト用プリテンショナを前記溝部の所定の固定位置に嵌め込むことで前記ラップベルト用プリテンショナを前記固定位置に仮固定できる形状を有することを特徴とする。
本願の第7の発明に係る車両の乗員保護装置は、上記の第2の発明において、
前記ショルダーベルトの一端部を巻き取るリトラクタと、前記ショルダーベルトを引き込むショルダーベルト用のプリテンショナは、前記ラップベルト用プリテンショナよりも上方で且つ車室外側に配設され、且つ、前記ピラーの車室内側を覆うピラートリムにより車室内側から覆われていることを特徴とする。
なお、第7の発明は、リトラクタとショルダーベルト用プリテンショナが別体である場合に限られず、それらが一体である場合にも適用される。
本願の第1の発明によれば、サイドシルに、スライドドア用のレールを収容する膨出部が設けられている場合でも、膨出部の上面に設けられた溝部にラップベルト用プリテンショナを嵌め込むことで、ラップベルト用プリテンショナを乗降口に突出しないように設置することができる。
本願の第2の発明によれば、ピラーの後側の乗降口を開閉するスライドドアが設けられた車両において、ピラーよりも後方に設けられた溝部にラップベルト用プリテンショナを嵌め込むことで、シートとピラーとの間の空間にラップベルト用プリテンショナを設置することができ、乗降に支障を来さすことがない。
本願の第3の発明によれば、ラップベルト用プリテンショナが嵌る溝部が、平面視でレールに重ならないように配置されているため、溝部とレールの干渉を防止できる。
本願の第4の発明によれば、スライドドアのレールに対して、下部支持部材が左右方向車室外側に配置され、溝部が左右方向車室内側に配置され、ラップベルト用プリテンショナが平面視でレールと交差するように配置されるため、各部材の干渉を回避しつつ、各部材を適切な位置に配置できる。
本願の第5の発明によれば、ラップベルト用プリテンショナが嵌る溝部が、後方に向かうに連れて低くなるように傾斜しているため、サイドシル上方へのラップベルト用プリテンショナ後端部の突出を抑えることができ、これにより、ラップベルト用プリテンショナが乗降口に突出することを一層確実に防止できる。
本願の第6の発明によれば、ラップベルト用プリテンショナを溝部に嵌め込むだけで、ラップベルト用プリテンショナを溝部に仮固定できるため、組み付け性を向上できる。
本願の第7の発明によれば、ショルダーベルトの一端部を巻き取るリトラクタと、ショルダーベルト用プリテンショナ(リトラクタとショルダーベルト用プリテンショナとが一体である場合を含む。)が、ラップベルト用プリテンショナよりも上方で且つ車室外側に配設されるため、リトラクタとショルダーベルト用プリテンショナを設けることに起因してピラーが車室内側へ突出することを防止できる。また、ラップベルト用プリテンショナは、サイドシルの膨出部上面の溝部に嵌め込まれるため、サイドシルに沿ったシート側方のデッドスペースに配置することができる。そのため、ラップベルト用プリテンショナ、ショルダーベルト用プリテンショナ及びリトラクタを設置しても、これに起因して車室内空間が圧迫されることを防止できる。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両の乗員保護装置を搭載した車両2を示す概略図である。
本実施形態において、車両2は、前方から第1列目のシート4、第2列目のシート6および第3列目のシート8を備えている。本明細書中の説明において、「前部座席」とは第1列目のシート4を指し、「後部座席」とは第2列目のシート6および第3列目のシート8を指すものとする。
車両フロアの左右方向両側には、車両の前後方向に延びるサイドシル44が設けられ、サイドシル44の上方に乗降口10が設けられている。乗降口10は、サイドシル44の前部座席4の近傍部から上方へ向かって延びるセンターピラー18によって、前側の乗降口(前部座席の乗降口)12と後側の乗降口(後部座席の乗降口)14とに仕切られている。前部座席の乗降口12はヒンジドア22によって開閉され、後部座席の乗降口14はスライドドア24によって開閉される。なお、本発明は、センターピラーにより乗降口が前後に仕切られた車両に限られず、センターピラーが無く1つの乗降口が前部座席と後部座席の両方に対応している車両にも同様に適用できる。
スライドドア24を案内するレールとして、上部レール26が天井の側縁部40に、中央レール28が車体後部の側面のベルトライン42に、下部レール30がサイドシル44に設けられている。これらのレール26,28,30には、スライドドア24に設けられたスライダ32,34,36,38がスライド可能に嵌合している。これにより、スライドドア24は、レール26,28,30に案内されながら車両の前後方向に沿ってスライド可能となっている。
図2は、スライドドアの下端部の構造を示す図1のii−ii断面図である。図2では、発明の理解を容易にするため、後述のピラートリム72等の内装部材の図示を省略している。図2に示すように、スライドドア24には、ドア本体25の下端部から車室内側の斜め前方に向かって延びるロアアーム50が設けられている。ロアアーム50の先端には、例えば2つのスライダ36,38が取り付けられている。スライダ36,38は、例えば鉛直方向に延びる軸を中心として回転可能なローラにより構成され、例えば下向きに開放する断面コ字形のレール30(図7参照)に嵌合される。
図3は、センターピラー18の下端部の車室内側近傍を示す斜視図である。図3では、発明の理解を容易にするため、後述のピラートリム72等の内装部材の図示を省略している。図3に示すように、レール30の前端部は、車室内側の斜め前方に向けて湾曲している。これにより、スライダ36,38がレール30の前端部まで移動し、スライドドア24が閉じられたときに、スライドドア24を車室内側に引き込むことができる。レール30の前端は、スライドドア24のロアアーム50の形状に対応して、後部座席の乗降口14よりも前方、すなわち、前部座席4の近傍に位置している。
図4は、サイドシルを車室外側から見た斜視図である。図4に示すように、レール30を収容するレールボックス46は、車室外側に向けて開放しており、これにより、スライドドア24のロアアーム50がレールボックス46に干渉することを防止できる。レールボックス46の前端部は、レール30の形状に対応して、車室内側の斜め前方に向けて膨出している。
図5は、サイドシルを示す図2のv−v断面図である。なお、図5には、図2と異なり、ピラートリム72等の内装部材を図示している。図5に示すように、サイドシル44は、車室外側に配置されるアウタパネル62と、車室内側に配置されるインナパネル64と、アウタパネル62とインナパネル64との間に介装されるレインフォースメント66とを備えている。アウタパネル62の上端部、インナパネル64の上端部およびレインフォースメント66の上端部は相互に固定され、その固定部にはシーミングウェルト76が被せられている。また、サイドシル44の車室内側の側面にはフロアパネル60が取り付けられ、フロアパネル60の上面にはフロアマット70が敷設されている。
図3に戻って、サイドシル44には、車両の左右方向の車室内側へ向かって膨出する膨出部52が設けられ、膨出部52にはレールボックス46が収容されている。膨出部52は、レールボックス46の形状に対応して、前部座席4の近傍部から車両の後方へ向かって延びるように設けられている。膨出部52の上面には、後述のラップベルト用プリテンショナ92が後部座席の乗降口14に突出しないように嵌る溝部54が形成されている。溝部54の具体的な構成については後述する。
図6は、3点式シートベルト装置を示す斜視図である。図6に示すように、前部座席4には、3点式シートベルト装置79が取り付けられている。3点式シートベルト装置79のシートベルト80は、乗員の肩から腰部にかけて斜めに掛け渡されるショルダーベルト82と、乗員の腰部を跨いで横方向に掛け渡されるラップベルト84とから構成される。本実施形態では、ショルダーベルト82とラップベルト84とが一体に連なって構成されているが、ショルダーベルト82とラップベルト84は別体であってもよい。ショルダーベルト82の上端部は、センターピラー18の上部に取り付けられたベルトガイド(請求項の上部支持部材に相当する。)86につり下げ支持されている。ショルダーベルト82の車室外側端部は、ショルダーベルト用プリテンショナ付きリトラクタ110に取り付けられている。ショルダーベルト用プリテンショナ付きリトラクタ110は、ショルダーベルト82の先端部を巻き取るリトラクタと、車両衝突時等にショルダーベルト82を引き込むショルダーベルト用プリテンショナとが一体になって構成されている。図7は、ラップベルト用プリテンショナ周辺の構造を示す図6のvii−vii断面図である。図7に示すように、ショルダーベルト用プリテンショナ付きリトラクタ110は、センターピラー18のインナパネル19に取り付けられ、ピラー18の車室内側を覆うピラートリム72により車室内側から覆われる。なお、本発明において、リトラクタと、ショルダーベルト用プリテンショナとは別体であってもよい。
図6に戻って、ラップベルト84の車室内側端部、すなわちラップベルト84とショルダーベルト82との境界部には、乗員がシートベルト80を装着する際にバックル90に固定されるタング88が取り付けられている。ラップベルト84の車室外側端部は、下部アンカ(請求項の下部支持部材に相当する。)102に固定されたラップベルト用プリテンショナ92に取り付けられている。これにより、ラップベルト84の車室外側端部は、ラップベルト用プリテンショナ92を介して下部アンカ102に支持される。
図3に戻って、下部アンカ102は、センターピラー18の側方またはシート4の後端部の側方において膨出部52の上面に溶接やボルト等により固定されている。下部アンカ102は、例えば断面略L字形とされているが、下部アンカ102の形状は特に限定されない。また、下部アンカ102は、センターピラー18に固定してもよい。
ラップベルト用プリテンショナ92は、車両衝突時等にラップベルト84を引き込む装置である。プリテンショナ92としては、種々の型式の装置を使用できるが、例えばインフレータ型の装置が使用される。インフレータ型のプリテンショナ92は、例えば略円筒状のシリンダ93と、シリンダ93の内部に収容されたピストン(不図示)と、シリンダ93の内部に収容された火薬等のガス発生剤(不図示)と、ガス発生剤に点火する点火装置95と、一端がピストンに連結され他端がラップベルト84に連結されるワイヤ94とを有する。車両2の衝突時等に、図示しないセンサにより車両2の所定の減速が検知されると、図示しないECU(Electronic Control Unit)から点火装置95へ信号が送られる。この信号を受けた点火装置95がガス発生剤に点火すると、シリンダ93の内部にガスが発生し、これによりピストンが後方へ移動して、ピストンの移動によりワイヤ94が瞬時に前方へ引っ張られる。これに伴い、ワイヤ94に連結されたラップベルト84が車室外側下方へ引っ張られ、乗員の腰部がシート4に確実に固定される。
プリテンショナ92のシリンダ93は、作動時にシリンダ内部で発生するガスの圧力に耐え得るように、金属等の耐圧性に優れた素材からなり、且つ、所定以上の厚みを有する。これにより、車幅方向において、シリンダ93は、膨出部52よりも高い剛性を有する。そのため、溝部54が形成されることにより低下した膨出部52の剛性が、プリテンショナ92のシリンダ93を溝部54に嵌め込むことで補強され、サイドシル44の強度を向上できる。
ラップベルト用プリテンショナ92の全体形状は概略筒状であり、プリテンショナ92は、その前端部において下部アンカ102に固定され、後端部が膨出部52の溝部54に嵌め込まれている。すなわち、プリテンショナ92は、センターピラー18近傍の下部アンカ102の設置部から車両の後方へ向かって延びるように配置されている。そのため、プリテンショナ92は、前部座席の乗降口12に突出することがないため、前部座席4の乗降性に支障を来すことがない。
図7に示すように、ラップベルト用プリテンショナ92は、ピラートリム72により車室内側から覆われている。ピラートリム72の下端部は、プリテンショナ92を被覆可能なように車室内側に向かって張り出しているが、ピラートリム72の張り出し部分は、サイドシル44に沿ったシート4の側方のデッドスペースに配置される。また、ショルダーベルト用プリテンショナ付きリトラクタ110は、ラップベルト用プリテンショナ92よりも上方で且つ車室外側に配置されているため、ラップベルト用プリテンショナ92の上方においてピラートリム72を車室内側へ向けて張り出させる必要がない。そのため、ラップベルト用プリテンショナ92とショルダーベルト用プリテンショナ付きリトラクタ110の両方を設置しても、それに起因して車室内空間が圧迫されることがない。
図8は、ピラートリム72の下端部を示す斜視図である。図8に示すように、ラップベルト84に連結されるプリテンショナ92のワイヤ94と、ワイヤ94を覆うカバー部材96とは、ピラートリム72に形成された挿通孔73に挿通されている。ピラートリム72の下端は、前後方向の両側に延びるように形成され、ピラートリム72の前後方向両端部はスカーフプレート128,130により覆われている。また、ピラートリム72には、挿通孔73からピラートリム72の後端へ延びる切れ込み124が形成されている。これにより、挿通孔73に対するワイヤ94及びカバー部材96の出し入れを、切れ込み124を通して行うことができるため、ラップベルト用プリテンショナ92及びシートベルト80が取り付けられた状態においても、ピラートリム72を容易に着脱することができる。ただし、ピラートリム72に挿通孔73を形成する構成に代えて、ピラートリム72を2つの部材で構成し、それら2つの部材間に設けた隙間に、ワイヤ94及びカバー部材96を挿通させる構成を採用することもできる。
図9は、車室内側から見た膨出部52及びその周辺部を示す側面図である。図9では、発明の理解を容易にするため、ピラートリム72等の内装部材の図示を省略している。図9に示すように、膨出部52上面の溝部54は、センターピラー18よりも後側に設けられている。そのため、溝部54に嵌め込まれたプリテンショナ92は、その中央から後端に亘る部分が第1列目のシート4よりも後方に配置されることとなり、これにより、シート4が取り付けられた状態においても、プリテンショナ92の着脱作業またはメンテナンス作業を容易に行うことができる。また、溝部54は、後方に向かうに連れて低くなるように傾斜している。そのため、プリテンショナ92を溝部54に嵌め込むことで、プリテンショナ92を、後方に向かうに連れて低くなるように傾斜させて取り付けることができ、サイドシル44の上方へのプリテンショナ92後端部の突出が抑えられる。これにより、下部アンカ102の位置を第1列目のシート4に対して適切な位置に配置しながら、プリテンショナ92が後部座席の乗降口14へ突出することを防止でき、後部座席6,8の乗降性及びシートの組付性を良好に維持できる。溝部54の壁面は、ラップベルト用プリテンショナ92の外周面の形状に対応した形状を有し、プリテンショナ92を溝部54の所定の固定位置に嵌め込むことでプリテンショナ92を固定位置に仮固定できるようにしてある。これにより、プリテンショナ92の組み付け性を向上できる。なお、プリテンショナ92の溝部54への嵌め込み部分は、図示しないブラケット等により膨出部52の上面に固定してもよい。
図2に戻って、溝部54は、車両の前後方向に沿って延設されている。溝部54は、平面視でレール30に重ならないように配置されており、これにより、溝部54とレール30が干渉しないようにしてある。上述したように、レール30の前端部は車室内側の斜め前方へ延びるように湾曲しており、このレール30の前端部に対して、下部アンカ102は左右方向車室外側に配置され、溝部54は左右方向車室内側に配置されて、下部アンカ102から溝部54に跨るプリテンショナ92は、平面視でレール30と交差するように配置されることとなる。このような配置により、各部材の干渉を避けながら、各部材を適切な位置に配置できる。なお、下部アンカ102が平面視でレール30に干渉しないように各部材の配置を調整する際、下部アンカ102の位置は変更せずに、レール30及びレールボックス46の位置を後退させることが好ましい。下部アンカ102の位置を、シート4に対する適切な位置に維持することで、プリテンショナ92を適正に機能させることができ、レールボックス46の位置を後退させることで、レールボックス46の車室外側の開口部分のうちセンターピラー18の下方に位置する部分が少なくなり、これにより側面衝突に対する剛性を向上できるためである。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
本発明が適用される車両の一実施形態を示す概略図である。 スライドドアの下端部の構造を示す図1のii−ii断面図である。 センターピラーの下端部の近傍を示す斜視図である。 サイドシルを車室外側から見た斜視図である。 サイドシルを示す図2のv−v断面図である。 3点式シートベルト装置を示す斜視図である。 ラップベルト用プリテンショナ周辺の構造を示す図6のvii−vii断面図である。 ピラートリムの下端部を示す斜視図である。 サイドシルの膨出部およびその周辺部を示す側面図である。
符号の説明
2:車両、4:シート、10:乗降口、12:前側の乗降口、14:後側の乗降口、18:ピラー、24:スライドドア、30:レール、44:サイドシル、46:レールボックス、52:膨出部、54:溝部、58:クロスメンバ、72:ピラートリム、79:3点式シートベルト装置、80:シートベルト、82:ショルダーベルト、84:ラップベルト、86:上部支持部材、92:ラップベルト用プリテンショナ、102:下部支持部材、110:ショルダーベルト用プリテンショナ付きリトラクタ。

Claims (7)

  1. 車両フロアの左右方向両側において車両の前後方向に延びるサイドシルと、
    該サイドシルの上方に設けられた乗降口と、
    前記乗降口近傍において前記フロア上に設けられたシートと、
    車両の前後方向にスライド移動可能とされ、前記乗降口の少なくとも一部を開閉するスライドドアと、
    車両の左右方向の車室内側へ向かって膨出するように前記サイドシルに設けられ、前記スライドドアを案内するレールを収容する膨出部と、
    乗員の肩から腰部にかけて斜めに掛け渡されるショルダーベルトと乗員の腰部を跨いで横方向に掛け渡されるラップベルトとから構成されるシートベルトと、前記ショルダーベルトの上端部を支持する上部支持部材と、前記ラップベルトの車室外側端部を支持する下部支持部材とを含む3点式シートベルト装置と、を備えた車両において、
    前記ラップベルトを引き込むラップベルト用プリテンショナが、前記膨出部の上面において前記下部支持部材の設置部から車両の後方へ向かって延びるように配置され、
    前記膨出部の上面に、前記ラップベルト用プリテンショナが前記乗降口に突出しないように嵌る溝部が形成されていることを特徴とする車両の乗員保護装置。
  2. 前記乗降口は、前記サイドシルの前記シート近傍部から上方へ向かって延びるピラーによって前側の乗降口と後側の乗降口とに仕切られ、
    前記スライドドアは、前記後側の乗降口を開閉するドアであり、
    前記膨出部は、前記シートの近傍部から車両の後方へ向かって延びるように設けられ、
    前記溝部は、前記ピラーよりも後側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両の乗員保護装置。
  3. 前記溝部は、平面視で前記レールに重ならないように配置されていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の車両の乗員保護装置。
  4. 前記下部支持部材は、前記レールよりも左右方向車室外側に配置され、
    前記溝部は、前記レールよりも左右方向車室内側に配置され、
    前記ラップベルト用プリテンショナは、平面視で前記レールと交差するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の車両の乗員保護装置。
  5. 前記溝部は、後方に向かうに連れて低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両の乗員保護装置。
  6. 前記溝部の壁面が、前記ラップベルト用プリテンショナを前記溝部の所定の固定位置に嵌め込むことで前記ラップベルト用プリテンショナを前記固定位置に仮固定できる形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両の乗員保護装置。
  7. 前記ショルダーベルトの一端部を巻き取るリトラクタと、前記ショルダーベルトを引き込むショルダーベルト用のプリテンショナは、前記ラップベルト用プリテンショナよりも上方で且つ車室外側に配設され、且つ、前記ピラーの車室内側を覆うピラートリムにより車室内側から覆われていることを特徴とする請求項2に記載の車両の乗員保護装置。
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