JP2009102520A - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスに優れ、しかも耐薬品性および耐摩耗性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド(A)5〜95質量部と、粘度平均分子量1000〜9000の酸変性α−オレフィン共重合体およびエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体を含むゴム状重合体に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を重合させてなるグラフト共重合体(B)4.9〜80質量部と、不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を共重合してなる数平均分子量20000〜70000のカルボン酸基含有共重合体(C)0.1〜20質量部とを含有する(但し、上記(A)、(B)および(C)の合計は100質量部である)。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種工業用品やスポーツ・レジャー用品等に使用される熱可塑性樹脂組成物および成形品に関する。
一般に、ナイロン6、ナイロン66に代表される脂肪族ポリアミドは、優れた機械的強度、耐薬品性、耐摩耗性などの特徴を有することから、自動車、電気・電子・機械部品等の工業用品、スポーツ・レジャー用品等多くの用途に使用されている。しかし、脂肪族ポリアミドは、耐衝撃性が劣るという欠点があり、また、その化学構造に起因して吸水し易く、水分率が過度に高い環境では寸法変化が大きく、更には剛性が低下するという実用上の問題があった。そのため、これらの欠点を改良するため、過去に多くの研究がなされてきた。
例えば、ポリアミドとABS樹脂を混合する方法(特許文献1参照)、ポリアミドとABS樹脂とを配合した上に、不飽和カルボン酸とスチレンやアクリロニトリルとを共重合してなるカルボン酸基含有共重合体を相溶化剤として配合する方法(特許文献2参照)、相溶化剤として、限られた範囲の還元粘度を有するカルボン酸基含有共重合体を用いる方法(特許文献3参照)などが提案されている。
特公昭38−23476号公報 特公平7−84549号公報 特開2000−17170号公報
これら特許文献記載の技術により、耐衝撃性についてはある程度改善されている。しかし、近年、家電製品や自動車部品等の大型化や薄肉化が一層進展しており、成形サイクルの向上が求められている。そのため、樹脂としては耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスに優れることが求められているが、上記特許文献記載の技術では不充分であった。
しかも、ABS樹脂またはABSグラフト共重合体を配合した場合には、ポリアミドの利点である耐薬品性および耐摩耗性が低下するという問題も生じた。
よって、本発明の目的は、得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスに優れ、しかも耐薬品性および耐摩耗性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。また、耐薬品性、耐摩耗性および耐衝撃性に優れた成形品を提供することにある。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1] ポリアミド(A)5〜95質量部と、
粘度平均分子量1000〜9000の酸変性α−オレフィン共重合体およびエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体を含むゴム状重合体に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を重合させてなるグラフト共重合体(B)4.9〜80質量部と、
不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を共重合してなる数平均分子量20000〜70000のカルボン酸基含有共重合体(C)0.1〜20質量部とを含有する(但し、上記(A)、(B)および(C)の合計は100質量部である)ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2] 芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体およびこれら単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体成分を重合してなる他の重合体(D)を、0質量部を超えて40質量部以下含有する(但し、上記(A)、(B)、(C)および(D)の合計は100質量部である)ことを特徴とする[1]記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] [1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物が成形されたことを特徴とする成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスに優れ、しかも耐薬品性および耐摩耗性に優れている。
本発明の成形品は、耐薬品性、耐摩耗性および耐衝撃性に優れる。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ポリアミド(A)と、グラフト共重合体(B)と、カルボン酸基含有共重合体(C)とを必須成分として含有し、他の重合体(D)を任意成分として含有するものである。
[ポリアミド(A)]
ポリアミド(A)としては、例えば、ジアミンとジカルボン酸とから得られるポリアミドが挙げられる。ここで、ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−および1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、芳香族ジアミンが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
また、ポリアミドとしては、例えば、ξ−カプロラクタム、ω−ドデカラクタムなどのラクタム類の開環重合によって得られるポリアミド、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから得られるポリアミドおよびこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミド、さらにはポリアミドをハードセグメントとし、かつポリエーテルをソフトセグメントとするポリアミドエラストマーなどが挙げられる。
これらのうち、工業的に安価かつ大量に製造されていることから、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリドデカアミド(ナイロン12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、およびこれらの共重合体、例えばナイロン6/66(”/”印は共重合体であることを意味する。)、ナイロン6/610、ナイロン6/12、ナイロン66/12、ナイロン6/66/610/12、およびこれらの混合体などが好ましい。また、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン/テレフタル酸/イソフタル酸系のポリアミドも好ましい。
ポリアミドの数平均分子量としては特に制限はないが、10000〜40000であることが好ましい。
ポリアミドの分子構造としては、線状ポリアミド、分岐ポリアミドなどのいずれであってもよい。
ポリアミドの重合方法としては、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合およびこれらの方法を組み合わせた方法が適用され、中でも、溶融重合が好ましい。また、ポリアミド原料がラクタム類である場合にはアニオン重合によって重合体を得ることもできる。
ポリアミド(A)の含有量は、(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100質量部とした際の5〜95質量部であり、好ましくは15〜90質量部である。ポリアミド(A)が5質量部以上であることにより、得られる成形品の耐薬品性、耐摩耗性が向上し、ポリアミド(A)が95質量部以下であることにより、得られる成形品の耐衝撃性が向上する上に、寸法安定性も良好になる。
[グラフト共重合体(B)]
グラフト共重合体(B)は、酸変性α−オレフィン共重合体およびエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体を含むゴム状重合体に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を重合してなるものである。
ゴム状重合体に含まれるエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体としては、非共役ジエン成分として、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン等を含むものが好ましい。
また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体は架橋していることが好ましい。エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体が架橋していれば、得られる成形品の耐衝撃性および耐薬品性がより向上する。
酸変性α−オレフィン共重合体としては、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィンに、不飽和カルボン酸をグラフト重合させた酸変性α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
ここで、α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン等が挙げられ、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノアミド等が挙げられる。
酸変性α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィン単位は99.8〜60質量%、不飽和カルボン単位は0.2〜40質量%であることが好ましい。不飽和カルボン酸単位が0.2質量%以上であれば、グラフト共重合体(B)を得る際の重合安定性が向上する。しかし、40質量%を超えると、得られる樹脂組成物の剛性や耐熱性が低下する傾向にある。
酸変性α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量は1000〜9000であり、1500〜4000であることが好ましい。酸変性α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量が1000以上であることにより、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐摩耗性が良好となる。また、9000以下であることにより、分散性及び相溶性が優れる。
ここで、粘度平均分子量は、JIS K 7367−3(1999)に準じ、溶媒はデカヒドロナフタレン、温度は135℃での測定したものである。
ゴム状重合体において、酸変性α−オレフィン共重合体の含有量は、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましい。酸変性α−オレフィン共重合体の含有量が1質量部以上であれば、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性をより高めることができる。しかしながら、酸変性α−オレフィン共重合体の配合量が40質量部を超えても、耐衝撃性はそれ以上改良されず、逆に剛性や耐熱性が低下することがある。
また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体100質量部に対して酸変性α−オレフィン共重合体が1〜40質量部含まれていれば、グラフト共重合体(B)を得る際のグラフト重合を安定化させることもできる。
ゴム状重合体にグラフト重合させる芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン等、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンが挙げられる。芳香族ビニル系単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられる。シアン化ビニル系単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム状重合体には、上記の芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体の他に、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を本発明の目的を損なわない範囲でグラフト重合してもよい。
他のビニル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類等が挙げられる。他のビニル系単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
グラフト共重合体(B)は、塊状重合法、溶液重合法、塊状懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法により製造され、容易に重合できる点では、乳化重合が好ましい。
以下に、グラフト共重合体(B)を乳化重合により製造する一例を示す。
(i)まず、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体および酸変性α−オレフィン共重合体の所定量を溶剤に溶解し、これに乳化剤を添加して乳化させて、ゴム状重合体含有液を調製する。
溶剤としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環族炭化水素溶剤を用いることができる。乳化剤としては、例えば、オレイン酸カリウム、不均化ロジン酸カリウム等のアニオン系界面活性剤が用いられる。乳化剤の添加量は、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体100質量部に対して1〜10質量部とするのが好ましい。
なお、乳化剤は、例えばオレイン酸をエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体と酸変性α−オレフィン共重合体溶液に混合しておき、その後、水酸化カリウム水溶液を添加して、オレイン酸カリウムを生成させることにより添加することもできる。
(ii)ゴム状重合体含有液に水を添加した後、これを充分に撹拌し、溶剤を留去することにより、平均粒子径0.2〜1μmのラテックスを得る。
(iii)次いで、このラテックス中のエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体100質量部に対して、ジビニルベンゼン等の多官能性化合物を0.1〜5.0質量部、ジ−t−ブチル−オキシトリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物を0.1〜5.0質量部添加し、60〜140℃で、0.5〜5.0時間程度反応させる。これによりエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体架橋物(B1)のラテックスを調製する。
このエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体架橋物(B1)は、熱可塑性樹脂組成物の物性バランスがより良好になることから、ゲル含有量が30〜90重量%、平均粒子径が0.2〜1μmであることが好ましい。(B1)のゲル含有量が30重量%以上であれば、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性がより向上する上に、表面外観が良好になる。しかし、(B1)のゲル含有量が90重量%を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にある。また、(B1)の平均粒子径が0.2μm以上であれば、得られる成形品の耐衝撃性がより向上し、1μm以下であれば、得られる成形品の表面外観が良好になる。
ここで、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体架橋物(B1)のラテックスのゲル含量は以下の方法により測定される。
まず、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体架橋物(B1)のラテックスを希硫酸にて水洗、乾燥した後、これを1g採取し、200mlのトルエン中に115℃で5時間浸漬する。次いで、200メッシュのステンレス金網にて濾過後、得られた残渣を乾燥する。乾燥後、残渣を秤量し、次式によってゲル含有量を求める。
ゲル含有量(%)= [乾燥後の残渣質量/トルエン浸漬前の試料の質量]×100(%)
(iv)次いで、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体架橋物(B1)のラテックスに、芳香族ビニル系単量体55〜80質量%およびシアン化ビニル系単量体45〜20質量%を含む単量体混合物(B2)を添加し、適宜加熱してグラフト重合させる。
ここで、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体架橋物(B1)と単量体混合物(B2)との合計量に対する、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体架橋物(B1)の割合は10〜90質量%であることが好ましい。エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体架橋物(B1)の割合が10質量%以上(単量体混合物(B2)が90重量%未満)の場合には、得られる成形品の耐衝撃性がより向上する。また、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体架橋物(B1)の割合が90質量%以下(単量体混合物(B2)が10質量%を超える)の場合には、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性がより高くなる。
(v)グラフト重合終了後には、必要に応じて酸化防止剤を添加した後、得られたグラフト共重合体ラテックスに凝固剤を添加して、樹脂固形分を凝固させる。凝固剤としては、例えば、硫酸、酢酸、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸マグネシウム等の水溶液が挙げられる。凝固剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(vi)得られた樹脂固形分を分離し、これを水洗、脱水、乾燥することによりグラフト共重合体(B)を得る。
グラフト共重合体(B)の含有量は、(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100質量部とした際の4.9〜80質量部であり、好ましくは15〜90質量部である。グラフト共重合体(B)の含有量が4.9質量部以上であることにより、得られる成形品の耐衝撃性が向上し、80質量部以下であることにより、流動性および耐摩耗性が向上する。
[カルボン酸基含有共重合体(C)]
カルボン酸基含有共重合体(C)は、不飽和カルボン酸単量体と、芳香族ビニル系単量体と、シアン化ビニル系単量体とを共重合してなる共重合体である。
カルボン酸基含有共重合体(C)を形成する不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。これらのうち、重合時における他の単量体への溶解性の点で、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
また、不飽和カルボン酸単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
カルボン酸基含有共重合体(C)を形成する芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体としては、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものと同様のものを用いることができる。
カルボン酸基含有共重合体(C)における不飽和カルボン酸単量体単位の割合は0.05〜20質量%であることが好ましい。不飽和カルボン酸単量体単位の割合が0.05質量%以上であれば、この共重合体(C)がポリアミド(A)に相溶しやすくなるため、得られる成形品の耐衝撃性がより向上し、20質量%以下であれば、流動性をより向上させることができる。
カルボン酸基含有共重合体(C)における芳香族ビニル系単量体単位の割合は90〜50質量%であることが好ましい。また、シアン化ビニル系単量体単位の割合は9.95〜45質量%であることが好ましい。芳香族ビニル系単量体単位およびシアン化ビニル系単量体単位が前記範囲にあれば、流動性と耐衝撃性のバランスがより向上する。
カルボン酸基含有共重合体(C)においては、芳香族ビニル系単量体単位とシアン化ビニル系単量体単位の一部を、これらと共重合可能な他のビニル系単量体単位、例えば、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものとして例示したメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル単量体、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物等に置き換えてもよい。
このような共重合可能な他のビニル系単量体単位は、カルボン酸基含有共重合体(C)中に0〜40質量%であることが好ましい。
カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量は20000〜70000であり、好ましくは25000〜60000である。カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量が20000以上であることにより、得られる成形品の耐衝撃性が向上し、70000以下であることにより、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性が向上する。
ここで、カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量は、該共重合体(C)をテトラヒドロフランに溶解させ、得られた溶液を測定試料としてGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製)により測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した値である。
カルボン酸基含有共重合体(C)は、塊状重合法、溶液重合法、塊状懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法により製造される。
カルボン酸基含有共重合体(C)の含有量は、(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100質量部とした際の0.1〜20質量部であり、好ましくは0.5〜15質量部である。カルボン酸基含有共重合体(C)の含有量が0.1質量部以上であることにより、得られる成形品の耐衝撃性が向上し、20質量部以下であることにより、流動性が向上する。
[他の重合体(D)]
他の重合体(D)は、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体およびこれら単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体成分を重合してなるものである。他の重合体(D)が熱可塑性樹脂組成物を含有すれば、流動性をより向上させると共に、寸法安定性を向上させることができる。
他の重合体(D)を形成する芳香族ビニル系単量体としては、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものと同様のものを用いることができ、中でも、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル系単量体についても、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものと同様のものを用いることができ、中でも、アクリロニトリルが好ましい。
芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体に共重合可能なその他のビニル単量体についても、前記グラフト共重合体(B)の製造に用いられるものとして例示した他のビニル系単量体(ただし、不飽和カルボン酸単量体を除く)を用いることができる。
他の重合体(D)の質量平均分子量は50000〜300000であることが好ましく、60000〜250000であることがより好ましい。他の重合体(D)の質量平均分子量が50000以上であれば、得られる成形品の耐衝撃性がより向上し、300000以上であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性がより向上する。
ここで、他の重合体(D)の質量平均分子量は、該重合体(D)をテトラヒドロフランに溶解させ、得られた溶液を測定試料としてGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(東ソー(株)製)により測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した値である。
他の重合体(D)の製造方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、塊状懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法が適用される。
他の重合体(D)の含有量は、(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100質量部とした際の0質量部を超え40質量部以下であることが好ましい。他の重合体(D)が40質量部以下であれば、得られる成形品の耐衝撃性の低下を防止しつつ、他の重合体(D)を配合したことによる効果も発揮する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等の飽和ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなどが含まれてもよい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、加工助剤、顔料、充填剤等の添加剤が含まれてもよい。
上記熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、(A),(B),(C)および(D)成分と、必要に応じて添加される成分とを混合し、例えば、押出機、バンバリーミキサー、混練ロール等にて混練し、ペレット化する方法などが挙げられる。
上述した熱可塑性樹脂組成物は、得られる成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスに優れ、しかも耐薬品性および耐摩耗性に優れる。これは、ポリアミド(A)と、AESグラフト共重合体であるグラフト共重合体(B)とが、分子量が特定されたカルボン酸基含有共重合体(C)によって高い相溶性で相溶しているためと推定される。とりわけ、グラフト共重合体(B)を構成するゴム状重合体が酸変性α−オレフィン共重合体を含むため、相溶性向上の効果を充分に発揮すると思われる。
<成形品>
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、真空成形法、ブロー成形法などが挙げられる。
本発明の成形品は、上記熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものであるため、耐薬品性、耐摩耗性および耐衝撃性に優れる。このような成形品は、自動車、電気・電子・機械部品等の工業用品、スポーツ・レジャー用品等多くの用途に好適である。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」は質量基準である。
また、以下の例における平均粒子径は、マイクロトラックUPA−150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法より測定した。
また、数平均分子量および質量平均分子量は、測定するポリマーをテトラヒドロフランに溶解させ、得られた溶液を測定試料としてGPC(東ソー(株)製)により測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した。
粘度平均分子量は、JIS K 7367−3(1999)に準じ、溶媒はデカヒドロナフタレン、温度は135℃にて測定したものである。
[ポリアミド(A)]
ポリアミド(A)としては、ナイロン−6(1013B、宇部興産(株)製 数平均分子量13000)を用いた。
[グラフト共重合体(B−1)]
(製造例1)
(EPDM架橋物のラテックスの製造)
まず、三井化学(株)製EPDM(商品名:TP3180、エチレン/プロピレン/ジエン比率(質量%)=70/28/2)100部をn−ヘキサン566部に溶解した後、三井化学(株)製酸変性ポリエチレン(商品名:ハイワックス2203A、粘度平均分子量:2700 酸価:30)12部を添加し、更にオレイン酸4.5部を加え、完全に溶解させて重合体溶液を調製した。
これとは別に、蒸留水700部に水酸化カリウム0.9部を溶解した水酸化カリウム水溶液を調製し、これを60℃に加熱した。この水酸化カリウム水溶液に上記重合体溶液を徐々に添加して乳化させた後、ホモミキサーにより撹拌した。次いで、溶剤と水の一部を留去して粒径0.48μmのラテックスを得た。
次いで、このラテックスに、EPDM100部に対してジビニルベンゼン1.5部、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルシクロヘキサン1.0部を添加し、120℃で1時間反応させて、EPDM架橋物のラテックスを得た。このEPDM架橋物のラテックスの平均粒子径は0.48μmであった。また、EPDM架橋物のゲル含有量は70%であった。
なお、ゲル含有量は以下のように測定した。
まず、EPDM架橋物のラテックスを希硫酸にて凝固させ、水洗乾燥した後、これを0.5g採取して200mlのトルエン中に115℃、5時間浸漬した。次いで、200メッシュのステンレス金網にて濾過し、得られた残渣を乾燥した。乾燥後、残渣を秤量し、次式によってゲル含有量を求めた。
ゲル含有量(%)=[乾燥後の残渣質量/トルエン浸漬前の試料の質量]×100(%)
(グラフト共重合体の製造)
EPDM架橋物のラテックス(固形分として)50部、デキストロース0.6部、硫酸第一鉄・7水塩0.01部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム・2水塩0.45部、純水150部を撹拌機付き反応器に仕込んだ。
次いで、撹拌しながら80℃まで昇温し、さらに、アクリロニトリル17部、スチレン33部、クメンヒドロペルオキシド1部を150分かけて滴下投入するとともに、オレイン酸カリウム1部、純水30部を180分かけて滴下投入した。
滴下投入後、さらに1時間撹拌しながら保持して、グラフト共重合体ラテックスを得た。このグラフト共重合体の重合率は98.5%であった。
[重合率の測定]
なお、グラフト共重合体の重合率は次のようにして測定した。
反応器から少量の反応混合物を採取し、この質量を測定後、赤外線ランプで加熱乾燥し、残存した不揮発分の質量を測定し、次の計算式により求めた。
重合率[%]=(α×A÷B−(β+γ))/ε×100
α:反応混合物採取時に容器内に存在する反応混合物[部]
A:採取した反応混合物の加熱乾燥後の質量
B:採取した反応混合物の加熱乾燥前の質量
β:反応混合物採取時に容器内に存在するゴム質重合体(a)(固形分)[部]
γ:反応混合物採取時に容器内に存在する副原料[部]
ε:反応混合物採取時に容器内に存在する単量体混合物[部]
重合後、フェノール系酸化防止剤((株)エーピーアイコーポレーション製、商品名:ヨシノックス2246G)および硫黄系酸化防止剤((株)エーピーアイコーポレーション製、商品名:DLTP「ヨシトミ」)を添加した。次いで、ラテックスに硫酸を添加して樹脂固形分を析出し、得られた樹脂固形分を洗浄、脱水、乾燥して、グラフト共重合体(B−1)の粉末を得た。
製造例2:グラフト共重合体(B−2)の製造
製造例1のグラフト共重合体(B−1)の製造において、EPDM架橋物のラテックス(固形分として)の量を70部、アクリロニトリルの量を10部、スチレンの量を20部に変更した以外は、製造例1と同様にして、グラフト共重合体(B−2)を得た。このグラフト共重合体(B−2)の重合率は99.5%であった。
製造例3:グラフト共重合体(B−3)の製造
製造例1のグラフト共重合体(B−1)の製造において、EPDM架橋物のラテックス(固形分として)の量を90部、アクリロニトリルの量を3部、スチレンの量を7部に変更した以外は、製造例1と同様にして、グラフト共重合体(B−3)を得た。このグラフト共重合体(B−3)の重合率は99.5%であった。
製造例4:グラフト共重合体(B−4)の製造
製造例1のグラフト共重合体(B−1)の製造において、EPDM架橋物のラテックスを、固形分濃度が50%、平均粒子径0.31μmのポリブタジエンラテックス50部(固形分として)に変更した以外は、製造例1と同様にして、グラフト共重合体(B−4)を得た。このグラフト共重合体(B−4)の重合率は98.5%であった。
製造例5:カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造
ステンレス容器に純水200部、過硫酸カリウム0.3部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を仕込み、攪拌下に65℃に昇温した。これにスチレン71部、アクリロニトリル24部、メタクリル酸5部およびt−ドデシルメルカプタン0.4部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続的に添加した後、容器内の温度を70℃に昇温し、この温度で1時間保持し、重合を完結させて重合体ラテックスを得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−1)の重合率は99.5%であった。
次いで、この重合体ラテックスを酢酸カルシウムにて凝固した後、脱水、乾燥して、カルボン酸基含有共重合体(C−1)を得た。得られたカルボン酸基含有共重合体(C−1)の数平均分子量は45000であった。
製造例6:カルボン酸基含有共重合体(C−2)の製造
カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造において、t−ドデシルメルカプタンを0.1部に変更した以外は、製造例5と同様にして、カルボン酸基含有共重合体(C−2)を得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−2)の重合率は99.5%であった。また、得られたカルボン酸基含有共重合体(C−2)の数平均分子量は81000であった。
製造例7:カルボン酸基含有共重合体(C−3)の製造
カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造において、t−ドデシルメルカプタン1.5部に変更した以外は、製造例5と同様にしてカルボン酸基含有共重合体(C−3)を得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−3)の重合率は99.5%であった。また、得られたカルボン酸基含有共重合体(C−3)の数平均分子量は19000であった。
製造例8:カルボン酸基含有共重合体(C−4)の製造
カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造において、スチレンの量を74.25部、アクリロニトリルの量を24.75部、メタクリル酸の量を1部に変更した以外は、製造例5と同様にしてカルボン酸基含有共重合体(C−4)を得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−4)の重合率は99.5%であった。また、得られたカルボン酸基含有共重合体(C−4)の数平均分子量は49000であった。
製造例9:カルボン酸基含有共重合体(C−5)の製造
カルボン酸基含有共重合体(C−1)の製造において、スチレンの量を67.5部、アクリロニトリルの量を22.5部、メタクリル酸の量を10部に変更した以外は、製造例5と同様にしてカルボン酸基含有共重合体(C−5)を得た。このカルボン酸基含有共重合体(C−5)の重合率は99.5%であった。また、得られたカルボン酸基含有共重合体(C−5)の数平均分子量は42000であった。
製造例10:他の重合体(D)の製造
窒素置換した反応器に水120部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾビスイソブチロニトリル0.3部、t−ドデシルメルカプタン0.35部と、アクリロニトリル27部とスチレン73部からなるモノマー混合物を加えた。次いで、反応器内の温度60℃として5時間加熱後、120℃に昇温し、4時間反応を行った。これにより得た反応液の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーを用いて残存単量体を求め、算出した結果、この共重合体の重合率は99.8%であった。
得られた反応液を冷却した後、洗浄、脱水、乾燥して、ビーズ状の他の重合体(D)を得た。得られた重合体(D)の質量平均分子量は120000であった。
実施例1〜10、比較例1〜7
ポリアミド(A)、グラフト共重合体(B−1〜B−4)、カルボン酸基含有共重合体(C−1〜C−5)および他の重合体(D)を表1、表2に示す割合で混合し、30mm二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」)を用いて260℃で溶融混合し、ペレット化した。その後、得られたペレットを75トン射出成形機((株)日本製鋼所製「J75EII−P」)により成形温度260℃で成形した。成形品の物性を下記方法で評価した。結果を表1および表2に示す。
(流動性)
スパイラルフロー金型(幅15mm×厚さ2mm)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、圧力7.4MPaの条件で、熱可塑性樹脂組成物を射出成形機から射出し、スパイラル流動長[mm]を測定した。
(シャルピー衝撃強度)
ISO 179に準拠し、測定温度23℃および−30℃で測定した。
(面衝撃強度)
高速衝撃試験機((株)島津製作所製 HTM−1)を使用し、射出成形により作製した平板試験片(100×100×3mm)中央に、23℃の環境下で、先端径1/2インチラウンドミサイルを5.0m/秒の速度で落下させた。そして、試験片が破壊するまでの応力−ひずみ曲線の面積から、その破壊エネルギー[kJ]を算出した。
(耐薬品性)
射出成形により作製した短冊状試験片(150×10×2mm)を、曲率が漸次変化する表面を有するベンディングフォーム法試験冶具に沿わして固定した。次いで、試験片に薬液を塗布し、23℃の環境下で48時間放置した。そして、試験片におけるクレーズおよびクラックの発生有無を確認し、試験冶具の曲率から限界歪み[%]を求めた。薬液としては、可塑剤:フタル酸ジ2−エチルヘキシル(DOP)、汎用ブレーキオイル:DOT−4(本田技研工業(株))、トイレ用洗剤:トイレパワーズ(エステー化学(株))を使用した。
(耐摩耗性)
ASTM D−1044に準拠し、テーバー摩耗試験機(東洋精機製作所(株)製)を使用し、射出成形により作製した平板試験片(100×100×3mm)について、テーバー試験(摩耗輪:CS−17・荷重:1000g・1000回転)後の摩耗量[mg]を測定した。
Figure 2009102520
Figure 2009102520
表1に示すように、ポリアミド(A)とグラフト共重合体(B)とカルボン酸基含有共重合体(C)とを必須成分として含有する実施例1〜10の熱可塑性樹脂組成物は流動性および耐衝撃性のバランスに優れ、しかも耐薬品性および耐摩耗性に優れていた。
これに対し、ポリアミド(A)からなる比較例1の熱可塑性樹脂組成物は耐摩耗性が低かった。
ポリアミド(A)およびカルボン酸基含有共重合体(C)を含有しなかった比較例2の熱可塑性樹脂組成物は耐薬品性が低かった。
カルボン酸基含有共重合体(C)を含有しなかった比較例3の熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性が低かった。
カルボン酸基含有共重合体(C)の含有量が20部を超えていた比較例4の熱可塑性樹脂組成物は流動性が低かった。
グラフト共重合体(C)をABSグラフト共重合体に置き換えた比較例5の熱可塑性樹脂組成物は耐薬品性が低かった。
カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量が70000を超えていた比較例6の熱可塑性樹脂組成物は流動性が低かった。
カルボン酸基含有共重合体(C)の数平均分子量が20000未満であった比較例7の熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性が低かった。

Claims (3)

  1. ポリアミド(A)5〜95質量部と、
    粘度平均分子量1000〜9000の酸変性α−オレフィン共重合体およびエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体を含むゴム状重合体に、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を重合させてなるグラフト共重合体(B)4.9〜80質量部と、
    不飽和カルボン酸単量体、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を共重合してなる数平均分子量20000〜70000のカルボン酸基含有共重合体(C)0.1〜20質量部とを含有する(但し、上記(A)、(B)および(C)の合計は100質量部である)ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体およびこれら単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体成分を重合してなる他の重合体(D)を、0質量部を超えて40質量部以下含有する(但し、上記(A)、(B)、(C)および(D)の合計は100質量部である)ことを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物が成形されたことを特徴とする成形品。
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