JP5475537B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)
(A)ポリアミド10〜90質量部、
(B)ゴム質重合体にスチレン系単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体とをグラフト重合してなるグラフト共重合体と、不飽和ニトリル単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体とを共重合してなる共重合体とを含むスチレン系樹脂であって、該スチレン系樹脂(B)全体中の該ゴム質重合体の割合が5〜50質量%であり、該スチレン系樹脂(B)中のアセトン可溶分中に不飽和ニトリル単量体及び不飽和ニトリル単量体由来の単位成分を30〜50質量%含む上記スチレン系樹脂90〜10質量部、
(C)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、不飽和カルボン酸無水物、マレイミド単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合してなる共重合体1〜50質量部、並びに
(D)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、グラフト変性したスチレン系エラストマー3〜50質量部
を含む熱可塑性樹脂組成物。
(2)
前記(B)スチレン系樹脂中の前記ゴム質重合体の質量平均粒子径が、300nm以上500nm未満と、100nm以上250nm未満とにそれぞれ分布を有する(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)
前記(B)スチレン系樹脂中の前記ゴム質重合体の質量平均粒子径において、該質量平均粒子径100nm以上250nm未満である成分の含有量:300nm以上500nm未満である成分の含有量の質量比が40:60〜60:40である(1)又は(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)
前記(A)ポリアミドと前記(B)スチレン系樹脂との合計100質量部中に、アクリル酸エステル単量体を含む共重合体を1〜20質量%含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)
前記(D)グラフト変性したスチレン系エラストマー中に、スチレン成分を20〜80質量%含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6)
前記(A)ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド(66/6I)コポリマーからなる群から選ばれる1つを含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(7)
下記(A)と下記(C)とを混練して混練物とし、該混練物に下記(B)及び下記(D)を更に加えて混練する工程を含む、熱可塑性樹脂組成物の製造方法;
(A)ポリアミド10〜90質量部、
(B)ゴム質重合体にスチレン系単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体とをグラフト重合してなるグラフト共重合体と、不飽和ニトリル単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体とを共重合してなる共重合体とを含むスチレン系樹脂であって、該スチレン系樹脂(B)全体中の該ゴム質重合体の割合が5〜50質量%であり、該スチレン系樹脂(B)中のアセトン可溶分中に不飽和ニトリル単量体及び不飽和ニトリル単量体由来の単位成分を30〜50質量%含む上記スチレン系樹脂90〜10質量部、
(C)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、不飽和カルボン酸無水物、マレイミド単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合してなる共重合体1〜50質量部、
(D)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、グラフト変性したスチレン系エラストマー3〜50質量部。
(A)ポリアミド10〜90質量部、
(B)ゴム質重合体にスチレン系単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体と、不飽和ニトリル単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体とを共重合してなる共重合体とを含むスチレン系樹脂であって、該スチレン系樹脂(B)全体中の該ゴム質重合体の割合が5〜50質量%であり、該スチレン系樹脂(B)中のアセトン可溶分中に不飽和ニトリル単量体及び不飽和ニトリル単量体由来の単位成分を30〜50質量%含む上記スチレン系樹脂90〜10質量部、
(C)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、不飽和カルボン酸無水物、マレイミド単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合してなる共重合体1〜50質量部、並びに
(D)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、グラフト変性したスチレン系エラストマー3〜50質量部
を含む。相容化剤として(C)成分を用い、更に耐衝撃性改良材として(D)成分を添加することで、(A)ポリアミドと(B)スチレン系樹脂との相容性を優れたものにでき、耐熱性と塗装性を保持しながらも、耐衝撃性に優れる熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
本実施の形態で使用することのできる(A)成分のポリアミドの種類としては、ポリマー主鎖に、アミド結合を有するものであれば良い。一般にポリアミドは、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られる。
(B)スチレン系樹脂は、ゴム質重合体にスチレン系単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体と、不飽和ニトリル単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体を共重合してなる共重合体とを含む。(B)スチレン系樹脂は、従来公知の方法により作製でき、例えば、乳化重合、塊状重合或いは塊状・懸濁重合により合成できる。
<ゴム質重合体にスチレン系単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体>
グラフト共重合体を製造する方法として、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、溶液重合等、公知の方法によって製造することができる。このうち、乳化重合にて製造する際には、レドックス開始剤・触媒系、あるいは熱分解型の開始剤を用いる方法が挙げられるが、レドックス開始剤・触媒系は、グラフト率の制御が容易であるため、得られた樹脂組成物は機械的強度に優れるという利点があり、さらに、最終重合率が上がりやすいために組成物中の未反応の単量体、およびオリゴマー量を低く抑えることができるため、より好ましい。
グラフト共重合体における、アセトン可溶分の還元粘度(ηsp/c)は0.3〜1.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.35〜1.0dl/g、更に好ましくは0.4〜0.9dl/gである。これがこの範囲にあると耐傷性と耐衝撃性のバランスに優れた組成物を得ることができる。
還元粘度は、重合反応により生成したグラフト共重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器により分離した可溶分を80℃4時間乾燥してアセトン除去し、非グラフト成分を分離し、100℃で1時間減圧乾燥したアセトン可溶分のうち、0.50gを2−ブタノン100mlにて溶解し、溶液を30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定して求められる。
(B)スチレン系樹脂中の不飽和ニトリル単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体を共重合してなる共重合体における、不飽和ニトリル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらの中でも、汎用性の点から、アクリロニトリルが好ましい。
不飽和ニトリル単量体、スチレン系単量体及びアクリル酸エステルの共重合体の添加量としては、耐熱性保持の点から、ポリアミド(A)及びスチレン系樹脂(B)の合計100質量部中に、1〜20質量%の添加量が好ましく、より好ましくは5〜20質量%の添加量、更に好ましくは8〜20質量%の添加量である。
共重合体は、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、溶液重合等、公知の方法によって製造することができる。
本実施の形態に係る熱可塑性樹脂組成物は、(C)不飽和カルボン酸無水物、マレイミド単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合してなる共重合体を含む。(C)成分は相容化剤として機能し、(A)ポリアミドと(B)スチレン系樹脂とを相容化させるのみならず、耐熱性の低下を防ぐことができる。
グラフト変性スチレン系エラストマーは、スチレン系エラストマーの一部に官能基含有不飽和単量体をグラフト変性して得られる。
グラフト変性スチレン系エラストマーのグラフト数は酸価で表され、ナトリウムメチラートを用いた滴定により求められるが、ポリアミドとスチレン系樹脂との相容性の観点から、好ましい範囲としては、好ましくは2以上20未満、より好ましくは5以上15未満、更に好ましくは7以上13未満である。この範囲の酸価数をもつグラフト変性スチレン系エラストマーを用いることにより、相容性のバランスが保持され、耐衝撃性の点でより良い効果を得ることができる。
(B)成分の添加量の範囲は90〜10質量部であり、好ましくは80〜20質量部、より好ましくは60〜30質量部であり、上記範囲の添加量とすることで、ポリアミドの耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性とスチレン系樹脂の塗装性、寸法安定性、成形性のバランスを得ることができる。
(C)成分の添加量は、(A)ポリアミドと(B)スチレン系樹脂の合計100質量部に対して1〜50質量部であり、好ましくは2〜30質量部であり、より好ましくは2.5〜10質量部である。上記範囲の添加量とすることで、耐熱性と剛性のバランスを保持することができる。
(D)成分の添加量は、耐熱性と耐衝撃性のバランスより、(A)ポリアミドと(B)スチレン系樹脂の合計100質量部に対して3〜50質量部であり、好ましくは3〜30質量部、より好ましくは3〜20質量部である。
(A)ポリアミド
(a−1)ポリアミド6 宇部興産社製、UBEナイロン 1015B
(B)スチレン系樹脂
(b−1)ABS樹脂
質量平均粒子径160nmと330nmのポリブタジエンラテックスを25.5質量部:26.28質量部に、t−ドデシルメルカプタン0.1質量部、及び脱イオン水100質量部を加え、気相部を窒素置換し、脱イオン水25質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.0801質量部、硫酸第一鉄0.0030質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.0207質量部を溶解してなる水溶液を加えた後、55℃に昇温した。続いて、1.25時間かけて70℃まで昇温しながら、アクリロニトリル17質量部、スチレンを33質量部、t−ドデシルメルカプタン0.4質量部、クメンハイドロパーオキシド0.1質量部よりなる単量体混合液、及び脱イオン水15質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.045質量部を溶解してなる水溶液を5時間にわたり添加した。添加終了後にクメンハイドロパーオキシド0.02質量部を加えた後、更に4時間、反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させ、ABSラテックスを得た。
傾斜角度45度の二段傾斜パドル型攪拌翼を備えた反応槽を用い、この反応槽に供給する供給液をアクリロニトリル26質量部、スチレン39質量部、トルエン35質量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを0.05質量部となるように調整した。この供給液を窒素ガスを用いてバブリングさせた。次に、調整した供給液を連続的に1.2kg/hの速度で反応槽へ供給し、重合温度124℃、反応槽内での反応液の充填率が65vol%を維持できるようにし、供給液量と同量の反応液を連続的に抜き出した。重合中、連続的に追加供給する単量体と有機溶剤の混合液は、反応槽内の気相部、液相部へ供給するが、液相部へ供給する量は、循環される該凝縮液とほぼ同量の混合液量とし、凝縮液と混合させて液相部へ供給し、残りの混合液反応槽気相部へ供給した。抜き出した反応液は、250℃、10mmHgの高真空に保たれた揮発分除去装置へ導入し、未反応単量体、有機溶剤を脱気回収し、共重合体をペレットとして回収した。
上記で得たグラフト共重合体と共重合体を、グラフト共重合体/共重合体=60/40(質量比)で混ぜ合わせ、二軸押出し機(Werner&Pfleiderer社製、ZSK−40)にて混錬を行い、(B)スチレン系樹脂として(b−1)ABS樹脂を得た。200〜240℃、回転数200rpmの条件で溶融混練を行った。その物性を以下に示す。
ゴム質重合体の質量平均粒子径 160nm :330nm =1:1(質量比)
スチレン系樹脂中のゴム質重合体の含有量:30質量%
ゴム質重合体のグラフト率:45%
グラフト共重合体中の非グラフト成分(アセトン可溶分)の還元粘度:0.40
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分中の不飽和ニトリル含有量:40質量%
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分の数平均分子量:57000
質量平均粒子径260nmのポリブタジエンラテックスをゴム質重合体として用い、かつ以下に示す成分組成となるようにグラフト共重合体及び共重合体を製造し、それぞれを適切な割合で混ぜ合わせた点以外は(b−1)と同様の条件で(B)スチレン系樹脂として、(b−2)ABS樹脂を製造した。その物性を以下に示す。
ゴム質重合体の質量平均粒子径 260nm 100%
スチレン系樹脂中のゴム質重合体の含有量:26質量%
ゴム質重合体のグラフト率:40%
グラフト共重合体中の非グラフト成分(アセトン可溶分)の還元粘度:0.41
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分中の不飽和ニトリル含有量:40質量%
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分の数平均分子量:40000
質量平均粒子径160nmのポリブタジエンラテックスと質量平均粒子径330nmのポリブタジエンラテックスを1:3の質量比で混練したものをゴム質重合体として用い、かつ以下に示す成分組成となるようにグラフト共重合体及び共重合体を製造し、それぞれを適切な割合で混ぜ合わせた点以外は(b−1)と同様の条件で(B)スチレン系樹脂として、(b−3)ABS樹脂を製造した。その物性を以下に示す。
ゴム質重合体の質量平均粒子径 160nm :330nm =1:3(質量比)
スチレン系樹脂中のゴム質重合体の含有量:30質量%
ゴム質重合体のグラフト率:37%
グラフト共重合体中の非グラフト成分(アセトン可溶分)の還元粘度:0.45
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分中の不飽和ニトリル含有量:20質量%
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分の数平均分子量:57000
ゴム質重合体として、質量平均粒子径160nmのポリブタジエンラテックスと質量平均粒子径520nmのポリブタジエンラテックスを1:1の質量比で混練したものを用い、かつ以下に示す成分組成となるようにグラフト共重合体及び共重合体を製造し、それぞれを適切な割合で混ぜ合わせた点以外はb−1と同様の条件で(B)スチレン系樹脂として、(b−4)ABS樹脂を製造した。その物性を以下に示す。
ゴム質重合体の質量平均粒径 160nm :520nm =1:1(質量比)
スチレン系樹脂中のゴム質重合体の含有量:30質量%
ゴム質重合体のグラフト率:45%
グラフト共重合体中の非グラフト成分(アセトン可溶分)の還元粘度:0.40
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分中の不飽和ニトリル含有量:40質量%
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分の数平均分子量:57000
質量平均粒子径160nmのポリブタジエンラテックスと平均粒子径330nmのポリブタジエンラテックスを1:1の質量比で混練したものをゴム質重合体として用いてグラフト共重合体を、かつアクリロニトリル22.75質量部、スチレン42.25質量部、トルエン35質量部を用いて共重合体を製造し、それぞれを適切な割合で混ぜ合わせた点以外は(b−1)と同様の条件で(B)スチレン系樹脂として、(b−5)ABS樹脂を製造した。その物性を以下に示す。
ゴム質重合体の質量平均粒径 160nm :330nm =1:1(質量比)
スチレン系樹脂中のゴム質重合体の含有量:30質量%
ゴム質重合体のグラフト率:45%
グラフト共重合体中の非グラフト成分(アセトン可溶分)の還元粘度:0.42
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分中の不飽和ニトリル含有量:35質量%
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分の数平均分子量:55000
傾斜角度45度の二段傾斜パドル型攪拌翼を備えた反応槽を用い、この反応槽に供給する供給液をアクリロニトリル40質量部、スチレン50質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部、トルエン35質量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを0.05質量部となるように調整した。この供給液を窒素ガスを用いてバブリングさせた。次に、調整した供給液を連続的に1.2kg/hの速度で反応槽へ供給し、重合温度124℃、反応槽内での反応液の充填率が65vol%を維持できるようにし、供給液量と同量の反応液を連続的に抜き出した。重合中、連続的に追加供給する単量体と有機溶剤の混合液は、反応槽内の気相部、液相部へ供給するが、液相部へ供給する量は、循環される該凝縮液とほぼ同量の混合液量とし、凝縮液と混合させて液相部へ供給し、残りの混合液反応槽気相部へ供給した。抜き出した反応液は、250℃、10mmHgの高真空に保たれた揮発分除去装置へ導入し、未反応単量体、有機溶剤を脱気回収し、共重合体をペレットとして回収した。これにより、(b−6)BAAS樹脂を得た。その物性を以下に示す。
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分中の不飽和ニトリルの含有量:40質量%
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分の数平均分子量:37000
共重合体中のアクリル酸n−ブチル含有量:10質量%
傾斜角度45度の二段傾斜パドル型攪拌翼を備えた反応槽を用い、この反応槽に供給する供給液をアクリロニトリル26質量部、スチレン39質量部、トルエン35質量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートを0.05質量部となるように調整した。この供給液を窒素ガスを用いてバブリングさせた。次に、調整した供給液を連続的に1.2kg/hの速度で反応槽へ供給し、重合温度124℃、反応槽内での反応液の充填率が65vol%を維持できるようにし、供給液量と同量の反応液を連続的に抜き出した。重合中、連続的に追加供給する単量体と有機溶剤の混合液は、反応槽内の気相部、液相部へ供給するが、液相部へ供給する量は、循環される該凝縮液とほぼ同量の混合液量とし、凝縮液と混合させて液相部へ供給し、残りの混合液反応槽気相部へ供給した。抜き出した反応液は、250℃、10mmHgの高真空に保たれた揮発分除去装置へ導入し、未反応単量体、有機溶剤を脱気回収し、共重合体をペレットとして回収した。これにより、(b−7)AS樹脂を得た。その物性を以下に示す。
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分中の不飽和ニトリルの含有量:40質量%
スチレン系樹脂中のアセトン可溶分の数平均分子量:57000
なお、上記の各物性は以下の方法によって測定した。
上記製造した(b−1)〜(b−7)の各試料1gにアセトン20mL加え、振とう機にて可溶成分が完全に溶解するまで振とうした。この溶液を20000rpmで40分間遠心分離後、可溶成分のみをろ別した後、80℃で4時間乾燥してアセトンを除去し、さらに100℃で1時間減圧乾燥してアセトン可溶成分を得た。そして、日本分光社製、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−410を用いて測定し、濃度既知の不飽和ニトリル単量体を含むサンプルのピーク値を用いて作成された検量線を使用して、不飽和ニトリル単量体の割合を求めた。
重合反応により生成したグラフト共重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器によりアセトン可溶分と不溶分とに分離した。この時、アセトンに溶解する成分は重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、アセトン不溶分はゴム状重合体、及びゴム状重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)である。80℃4時間乾燥してアセトン除去し、100℃で1時間減圧乾燥したアセトン不溶分の質量から同様に乾燥したゴム状重合体の質量を差し引いた値よりグラフト率を求めた。
<還元粘度の測定方法>
重合反応により生成したグラフト共重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器により分離した可溶分を80℃4時間乾燥してアセトン除去し、非グラフト成分を分離した。100℃で1時間減圧乾燥したアセトン可溶分のうち、0.50gを2−ブタノン100mlにて溶解し、溶液を30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定して還元粘度を求めた。
上記製造した(b−6)1gにアセトン20mL加え、振とう機にて完全に溶解するまで振とうした。この溶液をAgilent社製、GC−6890を用いて定量した。
測定方法:熱分解(py)GC
検出器:FID
使用カラム:J&W DB−1、長さ30m、孔径0.32mmφ、膜厚5μm
温度条件:INJ、DET共に280℃
使用パイロホイル:590℃
熱分解炉温度:200℃
ニードル温度:280℃
熱分解時間 :10秒
上記製造した(b−1)〜(b−7)の各試料1gにアセトン20mL加え、振とう機にて可溶成分が完全に溶解するまで振とうした。この溶液を20000rpmで40分間遠心分離後、可溶成分のみをろ別した後、80℃で4時間乾燥してアセトンを除去し、さらに100℃で1時間減圧乾燥してアセトン可溶成分を得、固化させた可溶成分のうち、20mgをテトラヒドロフラン(THF)10mLに完全に溶解させ、分子量既知のポリスチレンを用いて、GPC分子量測定を行った。
使用機器:東ソー社製、HLC−8228GPC
使用カラム:TOSOH TSK−GEL G6000HXL−G5000HXL−G4000HXL−G3000HXL
溶離液:THF 1級
(c−1)電気化学工業社製、「MS−L2A」
フェニルマレイミド−無水マレイン酸−スチレン共重合体
(c−2)電気化学工業社製、「MS−CP」
フェニルマレイミド−無水マレイン酸−スチレン共重合体
(c−3)旭化成ケミカルズ社製、「デルペット(商品名)980N」
フェニルマレイミド−無水マレイン酸−メタクリル酸メチル共重合体
(d−1)無水マレイン酸変性SEBS
酸価:10
スチレン/エチレン・ブチレン=30/70
重量平均分子量:70000
分子量分布 Mw/Mn=1.1
(d−2)無水マレイン酸変性SEBS
酸価:10
スチレン/エチレン・ブチレン=20/80
重量平均分子量:68000
分子量分布 Mw/Mn=1.07
(d−3)無水マレイン酸変性SEBS
酸価:10
スチレン/エチレン・ブチレン=40/60
重量平均分子量:70000
分子量分布 Mw/Mn=1.1
(d−4)無水マレイン酸変性SEBS
酸価:2
スチレン/エチレン・ブチレン=60/40
重量平均分子量:69000
分子量分布 Mw/Mn=1.12
(d−5)無水マレイン酸変性SEBS
酸価:2
スチレン/エチレン・ブチレン=30/70
重量平均分子量:70000
分子量分布 Mw/Mn=1.1
スチレン/エチレン・ブチレン比は下記の条件にて測定した。
測定機器:日本電子株式会社(JEOL)製 JNM−LA400
溶媒:重水素化クロロホルム
サンプル濃度:50mg/ml
観測周波数:400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数:64回
パルス幅:45°
測定温度:26℃
測定装置:島津製作所製 LC−10
カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm)、2本
溶媒:テトラヒドロフラン
検量線用サンプル:標準ポリスチレン10点
分子量分布Mw/Mnは得られた重量平均分子量と数平均分子量の比をとって求めた。
ISO75に基づいたテスト方法で荷重たわみ温度を測定した。荷重は1.8MPa
判定基準 75℃以上:良(○)、75℃未満:不可(×)
(2)シャルピー衝撃試験
ISO2818に基づいてノッチA付き試験片を作成し、ISO179に基づき、シャルピー衝撃強度(単位:kJ/m2)を測定した。
判定基準 20以上:良(○)、20未満:不可(×)
(3)メルトボリュームレート(MVR)
ISO1133に基づいたテスト方法でMVRを測定した。
測定条件 温度:265℃ 荷重:10kg 単位:cm3/10分
判定基準 10以上:良(○)、10未満:不可(×)
(4)塗装性及び塗装時の外観確認
東芝機械(株)製射出成形機 EC−60Nを用いて50mm×90mm×2.5mmtのプレートを成形し(シリンダー温度:250℃、金型温度:80℃)、油性マジック(magic INK No.500 赤色)で二度塗りを行い、マルチクロスカッターにて1mm×1mmの碁盤目を100マス作成後、セロハンテープにて碁盤目剥離試験を行った。
判定基準 70%以上剥離無し:良(○)、剥離無し20%以上70%未満:可(△)、剥離なし20%未満:不可(×)
また、同プレートを使用し、スガ試験機製デジタル変角光沢計を用いてJIS Z8741に準じて鏡面光沢度(Gs60°)を測定し、外観を確認した。
判定基準 測定値90%以上:優良(◎)、70%以上90%未満:良(○)、50%以上70%未満:可(△)、50%未満:不可(×)
Claims (7)
- (A)ポリアミド10〜90質量部、
(B)ゴム質重合体にスチレン系単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体とをグラフト重合してなるグラフト共重合体と、不飽和ニトリル単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体とを共重合してなる共重合体とを含むスチレン系樹脂であって、該スチレン系樹脂(B)全体中の該ゴム質重合体の割合が5〜50質量%であり、該スチレン系樹脂(B)中のアセトン可溶分中に不飽和ニトリル単量体及び不飽和ニトリル単量体由来の単位成分を30〜50質量%含む上記スチレン系樹脂90〜10質量部、
(C)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、不飽和カルボン酸無水物、マレイミド単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合してなる共重合体1〜50質量部、並びに
(D)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、グラフト変性したスチレン系エラストマー3〜50質量部
を含む熱可塑性樹脂組成物。 - 前記(B)スチレン系樹脂中の前記ゴム質重合体の質量平均粒子径が、300nm以上500nm未満と、100nm以上250nm未満とにそれぞれ分布を有する請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(B)スチレン系樹脂中の前記ゴム質重合体の質量平均粒子径において、該質量平均粒子径100nm以上250nm未満である成分の含有量:300nm以上500nm未満である成分の含有量の質量比が40:60〜60:40である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミドと前記(B)スチレン系樹脂との合計100質量部中に、アクリル酸エステル単量体を含む共重合体を1〜20質量%含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(D)グラフト変性したスチレン系エラストマー中に、スチレン成分を20〜80質量%含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド(66/6I)コポリマーからなる群から選ばれる1つを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 下記(A)と下記(C)とを混練して混練物とし、該混練物に下記(B)及び下記(D)を更に加えて混練する工程を含む、熱可塑性樹脂組成物の製造方法;
(A)ポリアミド10〜90質量部、
(B)ゴム質重合体にスチレン系単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体とをグラフト重合してなるグラフト共重合体と、不飽和ニトリル単量体及びこれと共重合可能な1種又は2種以上の単量体とを共重合してなる共重合体とを含むスチレン系樹脂であって、該スチレン系樹脂(B)全体中の該ゴム質重合体の割合が5〜50質量%であり、該スチレン系樹脂(B)中のアセトン可溶分中に不飽和ニトリル単量体及び不飽和ニトリル単量体由来の単位成分を30〜50質量%含む上記スチレン系樹脂90〜10質量部、
(C)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、不飽和カルボン酸無水物、マレイミド単量体及び芳香族ビニル系単量体を共重合してなる共重合体1〜50質量部、
(D)該(A)と該(B)との合計100質量部に対して、グラフト変性したスチレン系エラストマー3〜50質量部。
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