JP2006137929A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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卓也 森下
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Abstract

【課題】耐衝撃性、剛性、耐熱性および流動性のバランスに優れ、さらに優れた寸法安定性、塗装性および溶着性をも有した、自動車内外装材料や電気・電子機器のハウジング・部品周り材料として有用な熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】スチレン系樹脂とポリアミド樹脂に対して、ポリオレフィン系樹脂0.1〜60重量%と、α、β−不飽和カルボン酸無水物およびその誘導体よりなる群から選ばれたビニル系単量体単位を含む変性ビニル系共重合体0.01〜80重量%を添加してなる熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とからなる樹脂組成物に対し、ポリオレフィン系樹脂と特定の変性ビニル系共重合体とをさらに添加した熱可塑性樹脂組成物に関するものであり、詳しくは耐衝撃性、剛性、耐熱性および流動性のバランスに優れ、さらに優れた寸法安定性、塗装性および溶着性をも有した熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
スチレン系樹脂は、高剛性、良外観で寸法安定性がよく、吸湿性が低いといった特徴を有していることから、汎用熱可塑性樹脂として広く使用されている。しかし、スチレン系樹脂は、耐薬品性、耐摩耗性、耐熱性が十分ではなく、苛酷な条件下での使用が制限されていた。
また、ポリアミド樹脂は、耐薬品性、耐摩耗性、耐熱性に優れていることから、エンジニアリングプラスチックとして広く使用されているが、吸水性が高く、吸水後の剛性、寸法安定性に課題を有していた。
そこで、スチレン系樹脂とポリアミド樹脂のそれぞれの長所を兼備した樹脂組成物の検討が従来からなされており、例えば、代表的なスチレン系樹脂であるABS樹脂とポリアミド樹脂のブレンド組成物(例えば、特許文献1参照)が提案されている。しかしながら、ABS樹脂とポリアミド樹脂との単なるブレンドでは、両者の相溶性が悪く、耐衝撃性が著しく低いという問題があった。
そのため、ABS樹脂とポリアミド樹脂との相溶性を改良する方法として、スチレンと不飽和ジカルボン酸無水物との共重合体をスチレン系樹脂とポリアミド樹脂との相溶化剤として用いた三成分からなる樹脂組成物(例えば特許文献2参照)が提案され、相溶性の改善が為されているが、その耐衝撃性と耐薬品性は未だ不十分なレベルであった。
そこで、耐衝撃性と耐薬品性を向上するべく、ABS樹脂とポリアミド樹脂に、酸および/または酸無水物変性ポリオレフィン系樹脂と酸無水物含有マレイミド系共重合体、例えばスチレン−N−フェニルマレイミド−無水マレイン酸を配合した樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献3、特許文献4参照)。また、ABS樹脂とポリアミド樹脂に、酸および/または酸無水物変性ポリオレフィン系樹脂と酸変性樹脂、例えばスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸を配合した樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献5参照)。これらの樹脂組成物では、耐衝撃性と耐薬品性の向上が為されているが、自動車部品や自動車内外装材料といった用途に展開する上で必要となる塗装性と耐熱性において、未だ不十分なレベルであった。そこで、塗装性の向上と樹脂組成物の低比重化を目的として、ポリスチレン系樹脂とポリアミド樹脂に対するポリオレフィン系樹脂の配合割合を増加させ、更にスチレン−メタクリル酸共重合体を添加した樹脂組成物が報告されている(例えば特許文献6参照)。しかし、この樹脂組成物では、耐衝撃性、剛性および寸法安定性が未だ不十分なレベルであった。
特公昭38−23476号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−195157号公報(特許請求の範囲) 特開平2−311545号公報(特許請求の範囲) 特開平7−316381号公報(特許請求の範囲) 特開平5−70643号公報(特許請求の範囲) 特開平11−147977号公報(特許請求の範囲)
したがって本発明の目的は、スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とからなる樹脂組成物を得るに際し、耐衝撃性、剛性、耐熱性および流動性のバランスに優れ、さらに優れた寸法安定性、塗装性および溶着性をも有した、自動車部品、自動車内外装材料および電気・電子機器のハウジング・部品周り材料として有用な熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
そこで本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、スチレン系樹脂とポリアミド樹脂とに対して、ポリオレフィン系樹脂と、さらに特定の変性ビニル系共重合体を添加することにより、耐衝撃性、剛性、耐熱性および流動性のバランスに優れ、さらに優れた寸法安定性、塗装性および溶着性をも兼備した熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、上記目的を達成するために、本発明によれば、(i)ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体あるいは芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト(共)重合体(A−1)と、芳香族ビニル系単量体あるいは芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られるビニル系(共)重合体(A−2)のうち少なくとも1種を配合してなるスチレン系樹脂と、(ii)ポリアミド樹脂および (iii)ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対して、前記(iii)ポリオレフィン系樹脂成分が0.1〜60重量%であり、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、(iv)芳香族ビニル系単量体単位0〜99.95重量%、α、β−不飽和カルボン酸無水物およびその誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体単位0.05〜60重量%およびその他の少なくとも1種の単量体単位0〜99.95重量%からなる変性ビニル系共重合体0.01〜80重量%をさらに含有してなる熱可塑性樹脂組成物が提供される。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
(i)スチレン系樹脂と、(ii)ポリアミド樹脂、および(iii)ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対して、前記(iii)ポリオレフィン系樹脂成分が0.1〜50重量%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物であること、
(iv)変性ビニル系共重合体が、少なくとも芳香族ビニル系単量体単位、シアン化ビニル系単量体単位およびα、β−不飽和カルボン酸無水物単位とからなる共重合体であること、
(iii)ポリオレフィン系樹脂が、ビニル系単量体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂を含むものであること、
(v)層状珪酸塩を(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対して、さらに0.05〜40重量部含有してなること、
(v)層状珪酸塩が少なくとも(ii)ポリアミド樹脂中に10層以下のレベルで均一に分散していること、
(vi)強化材を(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対して、さらに0.05〜150重量部含有してなること、
(i)スチレン系樹脂がゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体を含む単量体あるいは単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト(共)重合体(A−1)5〜95重量%と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体あるいは単量体混合物を重合して得られるビニル系(共)重合体(A−2)5〜95重量%とからなること
がいずれも好ましい条件として挙げられる。
本発明によれば、以下に説明するとおり、耐衝撃性、剛性、耐熱性および流動性のバランスに優れ、さらに優れた寸法安定性、塗装性および溶着性をも有した熱可塑性樹脂組成物が得られる。この樹脂組成物は、溶着性に優れるため、複雑形状化により溶着を必要とする成形体においても好適に用いることができ、自動車部品、自動車内外装材料および電気・電子機器のハウジング・部品周り材料として有用である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明で用いる(i)スチレン系樹脂は、ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体あるいは芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト(共)重合体(A−1)と、芳香族ビニル系単量体あるいは芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られるビニル系(共)重合体(A−2)のうち少なくとも1種を配合してなるものである。
このような(i)スチレン系樹脂の具体例としては、例えば、ポリスチレン、AS樹脂、MS樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン共重合体)、MAS樹脂(メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレン共重合体)、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)、およびMBS樹脂(メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体)などが挙げられる。グラフト(共)重合体(A−1)を構成するゴム質重合体としては、ガラス転移温度が0℃以下のものが好適であり、中でもジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン−α−オレフィン系共重合ゴム、水素添加ゴムおよびシリコーンゴムが好ましく用いられ、より好ましくはジエン系ゴムである。具体的にはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体などのジエン系ゴム、ポリアクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル−メタクリル酸アリル、アクリル酸ブチル−アクリル酸アリル、アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸アリルなどのアクリル系ゴム、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのエチレン−α−オレフィン系共重合ゴム、ブタジエン系重合体の水素添加物、共役ジエン重合体ブロックと芳香族ビニル化合物重合体ブロックとのブロック共重合体の水素添加物およびこれらを組み合わせたブロック共重合体などの水素添加ゴム、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体ラテックスなどのシリコーンゴムなどが挙げられ、中でもポリブタジエンまたはブタジエン共重合体が好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。
ゴム質重合体のゴム粒子径は特に制限されないが、ゴム粒子の重量平均粒子径が0.05〜0.7μm、特に0.10〜0.55μmのものが耐衝撃性に優れ好ましい。
なお、ゴム粒子の重量平均粒子径は、「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法(アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より累積重量分率50%の粒子径を求める方法)により測定することができる。
また、グラフト(共)重合体(A−1)中の芳香族ビニル系単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、およびブロモスチレンなどが挙げられるが、特にスチレンが好ましく、これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。
さらに、芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物中に含まれる芳香族ビニル系単量体以外の単量体としては、耐薬品性向上の目的で、シアン化ビニル系単量体が好ましく用いられ、また、色調、透明性向上の目的で、(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく用いられる。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルによるエステル化物などが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。また、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを使用することもできる。これらは単独ないし2種以上を用いることもできる。
本発明におけるグラフト(共)重合体(A−1)は、好ましくはゴム質重合体10〜80重量部、より好ましくは40〜80重量部、さらに好ましくは50〜80重量部の存在下に、上記の単量体または単量体混合物を好ましくは20〜90重量部、より好ましくは20〜60重量部、さらに好ましくは20〜50重量部を(共)重合することによって得られる。ゴム質重合体の割合は特に制限はないが、10重量部未満では衝撃強度が低下する傾向にあり、80重量部を超えると表面外観が低下する傾向にある。
また、グラフト(共)重合体(A−1)に用いられる単量体混合物中の、芳香族ビニル系単量体の混合率は10重量%以上が好ましく、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは40〜95重量&、特に好ましくは50〜80重量%、最も好ましくは60重量%〜75重量%である。芳香族ビニル系単量体以外の単量体として、シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、その混合率は90重量%以下が好ましく、より好ましくは60重量%以下であり、更に好ましくは5〜60重量%であり、特に好ましくは20重量%〜50重量%、最も好ましくは25重量%〜40重量%である。
なお、グラフト(共)重合体(A−1)は、ゴム質重合体に単量体または単量体混合物をグラフト(共)重合させる際に生成するグラフトしていない(共)重合体を含んでいてもよい。すなわち単量体混合物の単量体同士で結合し、グラフト化していない(共)重合体を含んでいてもよく、通常はグラフトしていない(共)重合体との混合物として得られたものを使用する。この混合物は本来は組成物であるが、本発明においては便宜上まとめて、グラフト(共)重合体(A−1)という。ここでグラフト率については特に制限はないが、衝撃強度の観点からグラフト率は10〜150%であることが好ましい。グラフト率は次式により算出される。
グラフト率(%)=[ゴム質重合体にグラフト重合したビニル系(共)重合体量]/[グラフト(共)重合体のゴム含有量]×100
また、グラフトしていない(共)重合体のメチルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極限粘度は特に制限はないが、0.1〜1.5dl/gの範囲のものが衝撃強度と成形加工性のバランスの観点から好ましく用いられ、より好ましくは0.15〜1.0dl/gの範囲のであり、更に好ましくは0.15〜0.7dl/gの範囲である。
グラフト(共)重合体(A−1)の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、沈殿重合および乳化重合などの通常の方法が用いられる。単量体の仕込み方法に関しても特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、また共重合体の組成分布の生成を防止するために仕込み単量体の一部または全部を連続仕込みまたは分割仕込みしながら重合してもよい。また、別々に(グラフト)共重合したグラフト(共)重合体(A−1)の2種以上をブレンドし用いることも可能である。
本発明におけるビニル系(共)重合体(A−2)に用いられる芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、およびブロモスチレンなどの芳香族ビニル系単量体が必須であり、特にスチレンが好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
芳香族ビニル系単量体以外の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、およびエタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体が耐薬品性向上の点から好ましく用いられ、特にアクリロニトリルが好ましい。また、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、およびN−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体も耐熱性と難燃性が向上するため好ましく、特にN−フェニルマレイミドが好ましい。その他必要に応じて、アクリル酸およびメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルによるエステル化物などの(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを使用することもできる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
ビニル系(共)重合体(A−2)に用いられる単量体または単量体混合物中の、芳香族ビニル系単量体は10重量%以上が好ましく、より好ましくは40重量%以上であり、更に好ましくは40〜95重量%であり、、特に好ましくは50〜80重量%、最も好ましくは60〜75重量%である。芳香族ビニル系単量体以外の単量体として、シアン化ビニル系単量体を混合する場合には、その混合率は90重量%以下が好ましく、より好ましくは60重量以下であり、更に好ましくは5〜60重量%であり、特に好ましくは20重量%〜50重量%、最も好ましくは25重量%〜40重量%である。マレイミド系単量体を混合する場合には5〜99重量%が好ましく、より好ましくは5〜90重量%であり、更に好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%である。
本発明におけるビニル系(共)重合体(A−2)のメチルエチルケトン溶媒、30℃で測定した極限粘度は特に制限はないが、0.1〜1.5dl/gの範囲のものが耐衝撃性と成形加工性のバランスの観点から好ましく用いられ、より好ましくは0.15〜1.2dl/gの範囲、さらに好ましくは0.15〜0.9dl/gの範囲、特に好ましくは0.15〜0.7dl/gの範囲のものである。
ビニル系(共)重合体(A−2)の製造法に関しては特に制限がなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、沈殿重合および乳化重合などの通常の方法が用いられる。単量体の仕込み方法に関しても特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、また共重合体の組成分布の生成を防止するために仕込み単量体の一部または全部を連続仕込みまたは分割仕込みしながら重合してもよい。また、別々に重合したビニル系(共)重合体(A−2)の2種以上をブレンドして用いることも可能である。
本発明で使用する(i)スチレン系樹脂はグラフト(共)重合体(A−1)とビニル系(共)重合体(A−2)のうち少なくとも1種からなるものであるが、(i)スチレン系樹脂が少なくともグラフト(共)重合体(A−1)を含む場合においては、グラフト(共)重合体(A−1)とビニル系(共)重合体(A−2)の混合比は、グラフト(共)重合体(A−1)5〜95重量%、ビニル系(共)重合体(A−2)5〜95重量%が好ましく、より好ましくはグラフト(共)重合体(A−1)40〜80重量%、ビニル系(共)重合体(A−2)20〜60重量%である。
本発明で用いられる(ii)ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸とを主たる原料とするポリマーである。本発明において用いる(ii)ポリアミド樹脂の原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられる。(ii)ポリアミド樹脂はこれら原料から通常公知の重縮合によって得られ、本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
好ましい(ii)ポリアミド樹脂の例としては、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ナイロン9T、ナイロンMXD6、ナイロン6/66コポリマー、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンセバカミドコポリマー(ナイロン6/610)、ナイロン6/6Tコポリマー、ナイロン6/66/610コポリマー、ナイロン6/12コポリマー、ナイロン6T/12コポリマー、ナイロン6T/66コポリマー、ポリアカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6I)、ナイロン66/6I/6コポリマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/6I/66コポリマー、ナイロン6/66/610/12コポリマー、ナイロン6T/M−5Tコポリマーなどの共重合体を挙げることができ、ナイロン6、ナイロン66およびこれらを主成分とする共重合体が好ましく、特に好ましくはナイロン6およびナイロン6を主成分とする共重合体である。
これら(ii)ポリアミド樹脂の分子量は特に制限はないが、98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した溶液の相対粘度が、25℃で1.8〜5の範囲であることが好ましい。より好ましくは2〜4.0の範囲であり、さらに好ましくは2〜2.8の範囲である。相対粘度が5を超える場合、本発明の樹脂組成物の流動性が低下する傾向にある。また、相対粘度が2未満の場合は、本発明の樹脂組成物の機械特性が低下する傾向にある。(ii)ポリアミド樹脂の融点は示差走査熱量測定器(パーキンエルマー(Perkin Elmer)社製DSC−7型)を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/minで測定した結晶融解ピークトップを融点としたときの融点が150〜280℃であることが好ましい。
本発明において、(iii)ポリオレフィン系樹脂を構成するモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等で表わされるオレフィン系単量体やアレン、メチルアレン、ブタジエン、イソブチレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等で表されるジオレフィン系単量体、更にはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、およびブロモスチレンなどの芳香族ビニル系単量体や芳香族ビニル系単量体を含むビニル系単量体の混合物等を挙げることができる。(iii)ポリオレフィン系樹脂は、上記のモノマーの単独重合体あるいは2種以上の異なるモノマーの共重合体(ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造、芳香族ビニル系単量体とオレフィン系単量体等の前記モノマーとの水素化ブロック共重合体などのいずれも含む)であり、これらの重合体の混合物であってもよい。本発明に用いるポリオレフィン系樹脂において、単独重合体としては前述のモノマーの重合体が挙げられる。また、これらのオレフィン系モノマー、ジオレフィン系モノマーの2種以上を共重合して得られる共重合体としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−ブテン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ヘキセン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・1、4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・1、4−シクロヘキサジエン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・1−オクテン共重合体などを挙げることができる。これらの中でもエチレン・ポリプロピレン共重合体およびポリプロピレンがより好ましい。また、他樹脂との溶着等後加工性の必要に応じてポリオレフィン樹脂は、2種以上を併用して使用することも実用上好適である。かかるポリプロピレンとしては、特に制限はなく、アイソタクティック、アタクティック、シンジオタクティックなどいずれも使用することができる。またホモポリマー以外にプロピレン成分を70重量%以上含む他のオレフィン成分とのブロック、またはランダム共重合体を使用することもできる。
これらポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は0.1〜70g/10min、さらに好ましくは0.3〜60g/10minのものが用いられる。MFRが0.1g/10min未満の場合は流動性が悪く、70g/10minを超える場合は衝撃強度が低くなるため好ましくない。これらのMFRは、重合された重合体を有機過酸化物とともに加熱分解し調製したものであっても差し支えない。
本発明では(iii)ポリオレフィン系樹脂が、変性剤、つまりラジカル重合性のビニル系単量体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。(iii)ポリオレフィン系樹脂中の変性ポリオレフィン系樹脂の配合量は、全ポリオレフィン系樹脂のうち、1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは10〜90重量%の範囲であり、特に好ましくは20〜80重量%の範囲である。(iii)ポリオレフィン系樹脂が変性ポリオレフィンを含むことにより、相溶性が一層向上し、成形加工性を保持しつつ耐衝撃性に優れるという特徴を有する。これらラジカル重合性のビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、N−フェニルマレイミド、酢酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸等のα、β−不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水クロトン酸、メチル無水マレイン酸、メチル無水フマル酸、無水メサコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのα、β−不飽和カルボン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、シトラコン酸ジブチル、2−ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸ジメチル等のα、β−不飽和カルボン酸のエステル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジグリシジルマレエート、グリシジルアリルエーテルなどのエポキシ基含有ビニル系単量体などを挙げることができる。これらの中では、α、β−不飽和カルボン酸、α、β−不飽和カルボン酸無水物またはその誘導体が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂中のこれらビニル系単量体単位の含有割合は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。本発明の(iii)ポリオレフィン系樹脂としては、α、β−不飽和カルボン酸、α、β−不飽和カルボン酸無水物またはその誘導体からなる群より選ばれた1種以上のビニル系単量体により変性された変性ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、中でも無水マレイン酸変性ポリプロピレンと、無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体を含むことがより好ましい。
これらの変性したポリオレフィン系樹脂を製造する方法としては、ポリオレフィン系樹脂および上記のビニル系単量体をラジカル開始剤の存在下または不存在下で溶融混練する方法でもよいし、また、ポリオレフィン系樹脂および上記のビニル系単量体を、不活性有機溶媒体中でラジカル開始剤の存在下または不存在下に加熱した条件下で反応させることもできる。製造方法に関してはなんら制限されるものではない。
また、(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系重合体を合わせて100重量部とした際の(iii)ポリオレフィン系樹脂の配合割合は、0.1〜60重量%、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは2〜50重量%、更に好ましくは12〜50重量%であり、特に好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは20〜40重量%である。(iii)ポリオレフィン系樹脂の量が少なすぎると耐薬品性およびポリオレフィン系樹脂との溶着性が低下する傾向にあり、多すぎると剛性と塗装性が低下する傾向にある。
本発明における(iv)変性ビニル系共重合体は、芳香族ビニル系単量体単位0〜99.95重量%、α、β−不飽和カルボン酸無水物およびその誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体単位0.05重量%〜60重量%およびその他の少なくとも1種の単量体単位0〜99.95重量%からなる変性ビニル系共重合体である。(iv)変性ビニル系共重合体に必要に応じて含有される芳香族ビニル系単量体単位としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、o−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられ、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく、より好ましくはスチレンである。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
(iv)変性ビニル系共重合体に含有されるα、β−不飽和カルボン酸無水物およびその誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体単位には特に制限はなく、α、β−不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水イタコン酸、無水クロトン酸、メチル無水マレイン酸、メチル無水フマル酸、無水メサコン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などを挙げることができる。また、α、β−不飽和カルボン酸無水物の誘導体としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メチルマレイン酸、メチルフマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドビシクロ−(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、クロトン酸モノメチル、クロトン酸モノエチル、メチルマレイン酸モノメチル、メチルフマル酸モノメチル、メサコン酸モノメチル、シトラコン酸モノメチル、グルタコン酸モノメチル、テトラヒドロフタル酸モノメチル、およびこれら誘導体の金属塩などを挙げることができる。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。α、β−不飽和カルボン酸無水物およびその誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体としては、α、β−不飽和カルボン酸無水物がより好ましく、中でも無水マレイン酸が特に好ましい。
(iv)変性ビニル系共重合体に必要に応じて含有されるその他の少なくとも1種の単量体単位としては、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性と耐薬品性の観点から、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体が、特に好ましく用いられ、中でもアクリロニトリルが最も好ましい。シアン化ビニル系単量体単位以外の単量体単位としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらカルボン酸の金属塩、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ジブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸3−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸3−ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどが挙げられ、さらに、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、マレイン酸モノエチルエステル、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミン、p−アミノスチレン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、マレイン酸グリシジル、フマル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル、グルタコン酸グリシジル、p−グリシジルスチレン、2−イソプロペニル−オキサゾリン、2−ビニル−オキサゾリン、2−アクロイル−オキサゾリンおよび2−スチリル−オキサゾリンなどを挙げることができ、中でもメタクリル酸、メタクリル酸メチル、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドが好ましく用いられる。
本発明において、(iv)変性ビニル系共重合体(以下、単に(iv)共重合体と呼ぶ。)をメチルエチルケトン溶媒に溶解させ、30℃で測定した極限粘度は特に制限はないが、0.15〜1.2dl/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.15〜0.75dl/gの範囲、さらに好ましくは0.15〜0.5dl/gの範囲、特に好ましくは0.15〜0.4dl/gの範囲、最も好ましくは0.15〜0.3dl/gの範囲である。極限粘度が0.15dl/gより低い場合には樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にある。
なお、本発明の好ましい極限粘度範囲を有する(iv)共重合体を製造するに際しては、特に制限はないが、ラジカル重合で製造する場合には、アゾ化合物、過酸化物等のラジカル重合開始剤の添加量、あるいはアルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤の添加量、または、重合で溶媒を使用する場合においてはその溶媒量を制御すること等により、所望の極限粘度範囲を有する(iv)共重合体を得ることができる。中でも、本発明の(iv)共重合体を製造するにおいて、重合の安定性と重合速度の維持の観点から、連鎖移動剤の添加量を制御する方法がより好ましく使用することができ、この際の連鎖移動剤としては、特にアルキルメルカプタンが好ましく用いられる。ここで使用されるアルキルメルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、およびn−オクタデシルメルカプタンなどが挙げられ、より好ましくはn−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンである。
本発明の(iv)共重合体を製造する際のアルキルメルカプタンの添加量としては、特に制限はないが、本発明の(iv)共重合体の極限粘度をより望ましい範囲とするには、例えば以下のようにアルキルメルカプタンの添加量を制御することが好ましい。(iv)共重合体を溶液重合により製造するに際し、例えば、反応系に仕込んだ単量体混合物の全量100重量部に対して、120重量部のメチルエチルケトンを使用した場合に、メチルエチルケトン中、30℃における極限粘度が0.15〜0.5dl/gである(iv)共重合体を製造するには、アルキルメルカプタン添加量は0.04〜0.8重量部の範囲に制御する。また、同様の溶液重合にて、極限粘度が0.15〜0.4dl/gの範囲にあるアルキルメルカプタンを製造するには0.1〜0.8重量部の範囲に制御する。さらに、同様の溶液重合にて、極限粘度が0.15〜0.3dl/gの範囲にある(iv)共重合体を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.2〜0.8重量部の範囲に制御する。また、(iv)共重合体を塊状重合により製造する場合には、反応系に仕込んだ単量体混合物の全量100重量部に対して、アルキルメルカプタンを0.25〜2.5重量部の範囲に制御し重合を行うことによって、メチルエチルケトン中、30℃で測定した極限粘度が0.15〜0.5dl/gの範囲にある(iv)共重合体を製造することができ、アルキルメルカプタンを0.35〜1.8重量部の範囲に制御することにより極限粘度が0.2〜0.4dl/gの範囲にある(iv)共重合体を製造することができる。さらに、極限粘度が0.15〜0.30dl/gの範囲にある(iv)共重合体を製造するには、t−ドデシルメルカプタンを0.75〜2.5重量部の範囲に制御する。
また、(iv)共重合体の数平均分子量、重量平均分子量に関しては、例えば、(iv)共重合体5mgを溶媒テトラヒドロフラン10mlに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:Shodex KF−806L及びKF−804Lを直結,昭和電工社製)を用いて測定することができる。なお、カラム温度30℃であり、検出器は紫外線検出器を用い、数平均分子量、重量平均分子量はポリスチレン換算である。この場合の(iv)共重合体の数平均分子量は好ましくは4000〜150000の範囲であり、より好ましくは4000〜100000の範囲であり、さらに好ましくは4000〜50000の範囲であり、特に好ましくは4000〜19000の範囲であり、最も好ましくは4000〜16000の範囲である。また、重量平均分子量は好ましくは12000〜300000の範囲であり、より好ましくは12000〜200000の範囲であり、さらに好ましくは12000〜100000の範囲であり、特に好ましくは12000〜38000の範囲であり、最も好ましくは12000〜34000の範囲である。
(iv)共重合体に含有される単量体単位の量は、芳香族ビニル系単量体単位は0〜99.95重量%、好ましくは20〜99.4重量%、より好ましくは30〜99重量%、さらに好ましくは40〜98重量%、特に好ましくは40〜97.5重量%である。(iv)共重合体中に含有されるα、β−不飽和カルボン酸無水物単位およびその誘導体単位よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体単位単位の量は0.05〜60重量%、好ましくは0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1.5〜10重量%、特に好ましくは2〜10重量%である。(iv)共重合体に含有されるその他の少なくとも1種の単量体単位の含有量は、0〜99.95重量%であり、好ましくは0.5〜60重量%、更に好ましくは0.5〜50重量%である。
なお、(iv)共重合体にα、β−不飽和カルボン酸無水物の誘導体単位が含有される場合、この誘導体単位はα、β−不飽和カルボン酸無水物の誘導体の重合により導入されるほか、α、β−不飽和カルボン酸無水物がいったん共重合した後、その後の共重合体中のα、β−不飽和カルボン酸無水物が加水分解等の反応により変換された、マレイン酸モノメチルやマレイン酸などに代表されるα、β−不飽和カルボン酸無水物の誘導体であってもよい。ここで、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位またはその誘導体単位が0.05重量%未満の場合には、(ii)ポリアミド樹脂との反応性、あるいは反応性および親和性が乏しくなるため、耐衝撃性が低下する傾向にある。60重量%を超えると最終組成物の成形加工性が低下するため好ましくない。
(iv)共重合体中を得る方法については特に制限はないが、付加重合、中でもラジカル重合が好ましく用いられ、この場合の重合方法については、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、沈殿重合、乳化重合、または塊状懸濁重合などの重合法の組み合わせを用いることができ、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合または沈殿重合をより好ましく用いることができる。また、回分式、連続式のいずれも好ましく用いることができる。
また、重合時の各単量体の仕込み方法に関しては、特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、また共重合体の組成分布の生成を防止するために仕込み単量体の一部または全部を連続仕込みまたは分割仕込みしながら重合してもよいが、得られる熱可塑性樹脂組成物の表面外観の観点から、仕込み単量体の一部または全部を連続仕込みまたは分割仕込みしながら重合する方がより好ましい。また、配合する(iv)共重合体としては、別々に重合した(iv)共重合体の2種以上をブレンドして用いることも可能である。
本発明の(iv)共重合体における各成分単位の定量には、赤外分光光度計やプロトン核磁気共鳴(1H−NMR)測定機、ガスクロマトグラフィーなどが用いられるが、本発明ではフーリエ変換赤外分光光度計(島津製作所製 FTIR−8100A)を用いる定量法を採用した。(iv)共重合体中のα、β−不飽和カルボン酸無水物単位の定量法は次のように行う。例えば、(iv)共重合体が、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位に加え、芳香族ビニル系単量体単位を含有するものである場合、α、β−不飽和カルボン酸無水物と芳香族ビニル系単量体を様々なモル比で混合し、赤外吸収スペクトル測定することにより、α、β−不飽和カルボン酸無水物と芳香族ビニル系単量体との特性吸収のピークの強度比とモル比に関する赤外吸収スペクトル検量線を作成する。次に(iv)系共重合体の赤外吸収スペクトル測定を行い、作成した検量線を用いることで、反応付加し、(iv)共重合体中に含まれるα、β−不飽和カルボン酸無水物単位と芳香族ビニル系単量体単位のモル比を算出する。次いで(iv)共重合体の他の成分単位についても同様の方法で、芳香族ビニル系単量体単位とのモル比を算出し、これらの結果を基にα、β−不飽和カルボン酸無水物単位の含有量を算出することができる。なお、赤外吸収スペクトル検量線の作成には、芳香族ビニル系単量体では芳香族のC=C面内振動による特性吸収のピーク(約1495cm−1)を、α、β−不飽和カルボン酸無水物はカルボニル基の伸縮振動による特性吸収のピーク(約1780cm−1)を用い、これらの特性吸収のピークは(iv)共重合体中では、芳香族ビニル系単量体単位については約1495cm−1に、α、β−不飽和カルボン酸無水物単位については約1780cm−1に確認される。
また、(iv)共重合体の配合量は、(i)スチレン系樹脂と(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物100重量部に対して0.01〜80重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜30重量部の範囲、より好ましくは0.5〜15重量部の範囲、さらに好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。(iv)共重合体が0.01重量部未満では、相溶化剤としての添加効果に乏しく、得られる組成物の耐衝撃性に劣る傾向にあり、80重量部を超えると最終組成物の成形加工性が低下する傾向にある。
本発明では必要に応じて(v)層状珪酸塩を添加することもでき、(v)層状珪酸塩の添加は、熱可塑性樹脂組成物の剛性と耐熱性を向上させる観点から好ましい。使用される(v)層状珪酸塩としては膨潤性層状珪酸塩が好ましく、膨潤性層状珪酸塩とはアルミニウム、マグネシウム、リチウム等の金属を含む8面体シートの上下に珪酸4面体シートが重なって1枚の板状結晶層を形成している2:1型の構造を持つものであり、通常、その板状結晶層の層間に交換性の陽イオンを有している。
その1枚の板状結晶の大きさは、通常幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロームである。また、その交換性陽イオンのカチオン交換容量は0.2〜3meq/gのものが挙げられ、好ましくはカチオン交換容量が0.8〜1.5meq/gのものである。
(v)層状珪酸塩の具体例としてはモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性雲母等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであってもよい。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物やNa型四珪素フッ素雲母、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性雲母が好ましく、モンモリロナイトがより好ましい。
また、本発明における(v)層状珪酸塩としては、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換されたものであることが好ましい。
有機オニウムイオンとしてはアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これらのなかではアンモニウムイオンとホスホニウムイオンが好ましく、特にアンモニウムイオンが好んで用いられる。アンモニウムイオンとしては、1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム、4級アンモニウムのいずれでも良い。
1級アンモニウムイオンとしてはデシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
2級アンモニウムイオンとしてはメチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
3級アンモニウムイオンとしてはジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
4級アンモニウムイオンとしてはベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウムなどのトリアルキルメチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。
これらのアンモニウムイオンの中でも、4級アンモニウムイオンが好ましく、具体的には、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムが好ましく、特にトリオクチルメチルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムが最も好ましい。
本発明において層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された(v)層状珪酸塩は、交換性の陽イオンを層間に有する層状珪酸塩と有機オニウムイオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法か、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。
本発明において、層状珪酸塩に対する有機オニウムイオンの量は、層状珪酸塩の分散性、溶融時の熱安定性、成形時のガス、臭気の発生抑制などの点から、層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し通常、0.4〜2.0当量の範囲であるが、0.8〜1.2当量であることが好ましい。
また、これら層状珪酸塩は上記の有機オニウム塩に加え、反応性官能基を有するカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得るために好ましい。かかるカップリング剤としてはイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられ、特に好ましいのは、有機シラン系化合物である。
なお、本発明の(v)層状珪酸塩を含有した熱可塑性樹脂組成物を製造するにおいて、(v)層状珪酸塩を熱可塑性樹脂組成物中に分散させる手法としては特に制限はないが、(v)層状珪酸塩を(ii)ポリアミド樹脂中に予め分散させておくことが好ましい。このように(v)層状珪酸塩を(ii)ポリアミド樹脂に分散させる手法としては特に制限はないが、(v)層状珪酸塩をポリアミドのモノマー中に分散させた後、重合する方法と、予め層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換した(v)層状珪酸塩とポリアミド樹脂を溶融混練する方法が好ましく用いられる。(v)層状珪酸塩をポリアミドのモノマー中に分散させた後、重合する方法については、ジオクタデシルアミンに代表されるアミンや12−アミノデカン酸に代表されるアミノ酸あるいはラクタム等の膨潤化剤と接触させ、層間を拡げておきモノマーを層間に取り込みやすくした後、重合を行い均一に分散させるという方法が好ましい。一方、(v)層状珪酸塩と(ii)ポリアミド樹脂を溶融混練して製造する方法については、予め層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンの有機オニウムイオンによる交換を行わずに、層状珪酸塩と(ii)ポリアミド樹脂を溶融混練する際に、これら有機オニウムイオンで処理を行う方法を用いてもよい。
カップリング剤を使用する場合、層状珪酸塩の有機オニウムイオンによる処理とカップリング剤による処理の順序にも特に制限はないが、まず有機オニウムイオンで処理した後、カップリング剤処理をすることが好ましい。
本発明において(v)層状珪酸塩の含有量は(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂の併せて100重量部に対して、0.05〜40重量部であり、好ましくは0.05〜20重量部である。また、(v)層状珪酸塩の含有量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、無機灰分量として0.05〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部、特に好ましくは1〜8重量部となる範囲である。無機灰分量が少なすぎると剛性改良効果が小さく、無機灰分量が多すぎると靱性が低下する場合がある。無機灰分量は本発明の熱可塑性樹脂組成物2gを600℃の電気炉で3時間灰化させて求めた値である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、(v)層状珪酸塩が(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂のうちの1種以上の樹脂中に10層以下のレベルで均一分散していることが好ましく、より好ましくは6層以下のレベルで均一に分散していることであり、さらに好ましくは単層のレベルで均一に分散していることである。また、この(v)層状珪酸塩は少なくとも(ii)ポリアミド樹脂中に分散していることが好ましい。この分散状態としては10層以下のレベルで均一に分散していることが好ましく、より好ましくは6層以下のレベルで均一に分散していることであり、さらに好ましくは単層のレベルで均一に分散していることである。本発明において単層のレベルで均一に分散している状態とは、層状珪酸塩が単層〜5層程度の状態で、二次凝集することなく樹脂中に分散していることをいう。この状態は樹脂組成物から切片を切削しこれを電子顕微鏡で観察することによって確認できる。
本発明において、(v)層状珪酸塩が混合される場合に、その添加方法においては特に制限はなく、(i)スチレン系樹脂と(ii)ポリアミド樹脂、(iii)ポリオレフィン系樹脂および(iv)共重合体を混合する際に添加しても、例えば(ii)ポリアミド樹脂を製造する際に添加してもよい。後者の場合において、(ii)ポリアミド樹脂の製造時に(v)層状珪酸塩も添加する場合には、(ii)ポリアミドの重合時に(v)層状珪酸塩を存在せしめてポリアミド中に層状珪酸塩を分散させる方法と、(ii)ポリアミド樹脂と(v)層状珪酸塩を溶融混練して得る方法が好ましく用いられ、より好ましくは(ii)ポリアミド樹脂と(v)層状珪酸塩を溶融混練して得る方法である。また、(ii)ポリアミド樹脂の一部と(v)層状珪酸塩とを溶融混練しマスターバッチを製造した後、(ii)ポリアミド樹脂の残部と再度溶融混練する方法も(v)層状珪酸塩を微細に分散させるために好ましい方法である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物はさらに(vi)強化材を添加することにより、強度、剛性、耐熱性などを大幅に向上させることができる。
このような(vi)強化材は繊維状であっても粒状などの非繊維状であってもよく、その具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、パイロフィライト、ベントナイト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの充填材が挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら強化材を2種類以上併用することも可能である。なかでもチョップドストランドタイプのガラス繊維、炭素繊維、タルク、カオリン、マイカなどが好ましく用いられる。
これらの添加量は特に制限はないが、(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂の併せて100重量部に対して、0.05〜150重量部の範囲が好ましく、より好ましくは2〜50重量部である。また、これら(vi)強化材のうち、非繊維状強化剤については反応性官能基を有するカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。かかるカップリング剤としては、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
本発明において、必要に応じて(vi)強化材が混合される場合に、その添加方法においては特に制限はなく、(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii)ポリオレフィン系樹脂、(iv)共重合体および必要に応じて(v)層状珪酸塩を溶融混練する際に添加しても、これらの樹脂成分の1種以上に(vi)強化材を予め添加し溶融混練した後に、残りの成分と混合し溶融混練してもよい。
また、本発明では必要に応じて結晶核剤を混合することができ、ポリカプロアミドまたはポリカプロアミドを主成分とする共重合ポリアミドの結晶化を促進する公知の結晶核剤を用いることができる。その具体例としては、タルク、シリカ、グラファイトなどの無機微粒子、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、カプロラクタム二量体などのポリアミドオリゴマー、ナイロン6T、ナイロン66/6Tなど高融点ポリアミドなどが挙げられる。これらのなかで、タルクやシリカなどの無機微粒子が好ましく、特にタルクが好ましい。結晶核剤を添加する場合の好ましい添加量は(i)スチレン系樹脂と(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂の併せて100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルフォン、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を適宜混合することによって、さらに好ましい物性、特性に調節することも可能である。これらは(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii)ポリオレフィン系樹脂、(iv)共重合体および必要に応じて(v)層状珪酸塩および/または(vi)強化材を一括または任意の順序にて配合する際に添加することができる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、導電性を付与するために導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーを含有することができる。その材料は特に限定されるものではないが、導電性フィラーとして、通常樹脂の導電化に用いられる導電性フィラーであれば特に制限はなく、その具体例としては、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維、金属酸化物、導電性物質で被覆された無機フィラー、カーボン粉末、黒鉛、炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボンおよびカーボンナノチューブなどが挙げられる。
金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、および錫などが例示できる。
金属繊維の金属種の具体例としては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、および黄銅などが例示できる。かかる金属粉、金属フレーク、金属リボン、および金属繊維はチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
金属酸化物の具体例としては、SnO(アンチモンドープ)、In(アンチモンドープ)、およびZnO(アルミニウムドープ)などが例示でき、これらはチタネート系、アルミ系、シラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
導電性物質で被覆された無機フィラーにおける導電性物質の具体例としては、アルミニウム、ニッケル、銀、カーボン、SnO(アンチモンドープ)、およびIn(アンチモンドープ)などが例示できる。また被覆される無機フィラーとしては、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカー、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛系ウィスカー、チタン酸系ウィスカー、および炭化珪素ウィスカーなどが例示できる。被覆方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法、および焼き付け法などが挙げられる。また、これらはチタネート系、アルミ系、およびシラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。
カーボン粉末はその原料、製造法からアセチレンブラック、ガスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、およびディスクブラックなどに分類される。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、その原料、製造法は特に限定されないが、アセチレンブラックおよびファーネスブラックが特に好適に用いられる。またカーボン粉末は、その粒子径、表面積、灰分などの特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。本発明で用いることのできるカーボン粉末は、これら特性に特に制限はないが、強度、電気伝導度のバランスの点から、平均粒径は好ましくは500nm以下、更に好ましくは5〜100nm、特に好ましくは10〜70nmである。かかるカーボン粉末はチタネート系、アルミ系、シラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていても良い。また溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
導電性ポリマーの具体例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(パラフェニレン)、ポリチオフェン、およびポリフェニレンビニレンなどが例示できる。
前記導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーは、2種以上を併用して用いても良い。かかる導電性フィラー、導電性ポリマーの中で、特にカーボンブラックが強度、経済性の点で特に好適に用いられる。
本発明で用いられる導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーの含有量は、用いる導電性フィラーおよび/または導電性ポリマーの種類により異なるため一概に規定はできないが、導電性と流動性、機械的強度などとのバランスの点から、(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂の併せて100重量部に対して、0.1〜250重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは1〜100重量部の範囲である。但し、前記導電性フィラー、導電性ポリマーの配合は一般に強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラー、導電性ポリマーの配合量はできるだけ少ない方が望ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ヨウ化第1銅などのハロゲン化銅化合物など)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系など)、離型剤(ステアラミドおよびエチレンワックスなど)、滑剤(モンタン酸等の高級脂肪酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス、高級アルコールなど)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラックなど)、染料(ニグロシンなど)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミドなど)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤など)、難燃剤(赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、ポリリン酸アンモニウムやリン酸トリフェニルなどのリン系難燃剤、シリコーン系の非ハロゲン系難燃剤、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、デカブロモジフェニルオキシドなどのハロゲン系難燃剤、あるいはこれらのハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせなど)、他の重合体を添加することができる。
また、本発明において、本発明の樹脂組成物を溶融成形して得られる成形体の形状と成形体の相構造には特に制限はないが、成形体の中心部において、電子顕微鏡で観察される相構造として、(ii)ポリアミド樹脂が連続相となる相構造を少なくとも一部に有することが、耐衝撃性の観点から好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関しては、例えば、(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii)ポリオレフィン系樹脂、(iv)共重合体および必要に応じて(v)層状珪酸塩および/または(vi)強化材を、ペレット、粉末、細片状態などで、高速攪拌機などを用いて均一混合した後、十分な混練能力のある一軸または多軸の210〜330℃に昇温したベントを有する押出機で溶融混練する方法およびバンバリーミキサーやゴムロール機を用いて溶融混練する方法などを採用することができる。なお、(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii)ポリオレフィン系樹脂、(iv)共重合体および必要に応じて(v)層状珪酸塩および/または(vi)強化材の混合順序ならびにその状態には何ら制限はなく、これらの一括同時混合、特定の二種以上の成分を予備混合した後に残る成分を混合する方法が例示される。
本発明の樹脂組成物の溶融成形は、従来公知の方法(射出成形、押出成形、吹込成形、プレス成形等)を採用することができる。また、成形温度については、通常、210〜330℃の温度範囲から選択される。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、剛性、耐熱性および流動性のバランスに優れ、さらに優れた寸法安定性、塗装性および溶着性をも兼備しているため、上記特性を生かした種々の成形品に用いることができ、特に自動車部品、自動車内外装材料および電気・電子機器のハウジング・部品周り成形品に有用に用いることができる。
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、実施例で採用した各種物性の測定方法を記載する。
アイゾット衝撃強度:厚さ1/4インチの射出成形品によりノッチ付きアイゾット衝撃強度をASTM D256に従って測定した。衝撃強度測定は、常温(23℃)と低温(−30℃)でそれぞれ行った。
曲げ弾性率:ASTM D−790に従って測定した。
耐熱性:ASTM D−648に従って、厚さ1/4インチの射出成形品を用いて、荷重0.46MPaと1.82MPaとのそれぞれについて荷重たわみ温度(DTUL)を測定した。
流動性:JIS K7210 B法に従って、荷重10kgf、250℃にてメルトフローレートを測定した。
寸法安定性:ASTM D−638の1号ダンベル(厚さ1/8インチ)を湿度80%、温度60℃で200時間処理し、成形直後の絶対乾燥時(絶乾時)と処理後の試験片長さ(長尺方向)から吸水時寸法変化率として求めた。
寸法変化率(%)={(処理後の試験片長さ−絶乾時の試験片長さ)/絶乾時の試験片長さ}×100
塗装性:縦80mm×横80mm×厚さ2mmの角板にアクリル−ウレタン2液塗料(ウレタンPG60/ハードナー、関西ペイント(株)製)を塗布した後、80℃、2時間の条件下で乾燥させた。次いで、JIS K5400−1990規格に規定されている碁盤目テープ法によって、1mm方形の碁盤目(10×10個)をつけ、セロハンテープ剥離試験を行い塗膜の残数によりその塗装性の評価を行った。評価基準は以下とした。塗膜の残数90以上:○、塗膜の残数70以上89以下:△、塗膜の残数69以下:×。
溶着性(ポリオレフィン系樹脂との溶着性):本発明の樹脂組成物と、参考例のポリオレフィン系樹脂(d−3)とについて、図1に示す表面形状で厚さ10mmの試験片を各々射出成形により得た。これら試験片(本発明の樹脂組成物の試験片とポリオレフィン系樹脂(d−3)の試験片)をブランソン社製2850型振動溶着装置を用いて以下の条件で振動溶着した後、引張試験を行い、本発明の樹脂組成物とポリオレフィン系樹脂(d−3)との溶着部分の引張降伏強度を測定した。
振動数:240Hz、加圧力:70kgf、振幅:1.5mm、溶着代:1.5mm
溶着性(ABS樹脂との溶着性):本発明の樹脂組成物と、ABS樹脂(東レ社製、“トヨラック”タイプ100)とについて、図1に示す表面形状で厚さ10mmの試験片を各々射出成形により得た。これら試験片(本発明の樹脂組成物の試験片と前記ABS樹脂の試験片)をブランソン社製2850型振動溶着装置を用いて以下の条件で振動溶着した後、引張試験を行い、本発明の樹脂組成物と前記ABS樹脂との溶着部分の引張降伏強度を測定した。
振動数:240Hz、加圧力:70kgf、振幅:1.5mm、溶着代:1.5mm
参考例
<(i)スチレン系樹脂>
(参考例1)(A−1)グラフト共重合体(a−1)の調製:
以下の物質を重合容器に仕込み、撹拌しながら65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、スチレン71重量部、アクリロニトリル29重量部およびt−ドデシルメルカプタン0.3重量部からなる混合物40重量部を5時間かけて連続滴下した。
ポリブタジエンラテックス(重量平均粒子径0.2μm):60重量部(固形分換算)
オレイン酸カリウム:0.5重量部
ブドウ糖:0.5重量部
ピロリン酸ナトリウム:0.5重量部
硫酸第一鉄:0.005重量部
脱イオン水:120重量部
並行してクメンハイドロパーオキサイド0.25重量部、オレイン酸カリウム2.5重量部および純水25重量部からなる水溶液を、7時間で連続滴下し反応を完結させた。得られたグラフト共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソーダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体(a−1)を得た。
このグラフト共重合体(a−1)の所定量(m)にアセトンを加えて4時間還流し、この溶液を8800rpm(遠心力10000G)で40分遠心分離した後、不溶分を濾過した。この不溶分を70℃で5時間減圧乾燥後、重量(n)を測定し、グラフト率=[(n)−(m)×L]/[(m)×L]×100の計算式で算出したグラフト率は37%であった。ここで、Lはグラフト共重合体のゴム含有率である。
上記アセトン溶液の濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、析出物(アセトン可溶分)を得た。この可溶分を、70℃で5時間減圧乾燥後、0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.39dl/gであった。
(参考例2)(A−2)ビニル系共重合体(a−2)の調製:
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリ0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み、反応器中の気相を窒素ガスで置換しよくかき混ぜながら70℃に保った。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続けアクリルアミドとメタクリル酸メチル二元共重合体の水溶液として得た。イオン交換水で希釈して、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を得た。
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、得られたメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、60℃に昇温し懸濁重合を開始した。スチレン:71重量部
アクリロニトリル:29重量部
t−ドデシルメルカプタン:0.2重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.4重量部
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、2時間かけて90℃まで昇温し90℃を2時間保ち重合を終了した。反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビーズ状のビニル系共重合体(a−2)を得た。ポリマー収率は96%であった。この共重合体を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて測定した極限粘度は0.51dl/gであった。
<(ii)ポリアミド樹脂>
(参考例3)ポリアミド樹脂(b−1):98%濃硫酸中に1g/dlの濃度で溶解した溶液の相対粘度が25℃で2.5のナイロン6
(参考例4)層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂(b−2)の調整
前記ポリアミド樹脂(b−1)の100重量部に対して膨潤性層状珪酸塩(c−1)8重量部を混合した後、スクリュウ径30mm、L/Dが44.5の同方向回転2軸押出機(日本製鋼所製 TEX−30)の上流側の供給口から投入し、樹脂温度250℃、スクリュウ回転数150rpmで溶融混練することにより、層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂(b−2)を得た。得られた層状珪酸塩含有ポリアミド樹脂(b−2)はペレタイズした後、80℃で10時間真空乾燥した。
(参考例5)強化材含有ポリアミド樹脂(b−3)の調整
前記ポリアミド樹脂(b−1)の100重量部に対して強化材(c−2)20重量部を混合した後、スクリュウ径30mm、L/Dが44.5の同方向回転2軸押出機(日本製鋼所製 TEX−30)の上流側の供給口から投入し、樹脂温度250℃、スクリュウ回転数150rpmで溶融混練することにより、強化材含有ポリアミド樹脂(b−3)を得た。得られた強化材含有ポリアミド樹脂(b−3)はペレタイズした後、80℃で10時間真空乾燥した。
<(v)層状珪酸塩>
(参考例6)(v)膨潤性層状珪酸塩(c−1)の調整
Na型モンモリロナイト(クニミネ工業:クニピアF、陽イオン交換容量120m当量/100g)100gを温水10リットルに攪拌分散し、ここにベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド51g(陽イオン交換容量と等量)を溶解させた温水2Lを添加して1時間攪拌した。生じた沈殿を濾別した後、温水で洗浄した。この洗浄と濾別の操作を3回行い、得られた固体を80℃で真空乾燥して乾燥した膨潤性層状珪酸塩(c−1)を得た。得られた膨潤性層状珪酸塩(c−1)の無機灰分量を測定したところ、68重量%であった。なお、無機灰分量の測定は膨潤性層状珪酸塩0.1gを600℃の電気炉で3時間灰化して求めた値である。
<(vi)強化材>
(参考例7)(vi)強化材(c−2):平均粒子径3μmのタルク
(参考例8)(vi)強化材(c−3):数平均繊維径10μm、引張弾性率230GPaの炭素繊維 <(iii)ポリオレフィン系樹脂>
(参考例9)変性ポリオレフィン系樹脂(d−1):三井化学社製“タフマー”MH5020
(参考例10)変性ポリオレフィン系樹脂(d−2)の調整
MFR1.5g/10分のポリプロピレン100部に無水マレイン酸2部、ラジカル開始剤としてパ−ヘキサ25B(日本油脂社製)0.2部、エチルベンゼン0.4部をヘンシエルミキサーで十分に混合した後、この混合物をベント付2軸押出機で樹脂温度210℃で溶融混練、押出を行うことによって変性ポリオレフィン系樹脂(d−2)のペレットを製造した。得られた変性ポリオレフィン系樹脂(d−2)は、MFRが2.5g/10minであり、無水マレイン酸の変性量は約1重量%であった。
(参考例11)ポリオレフィン系樹脂(d−3):MFR8g/10分のポリプロピレン
<(iv)共重合体>
(参考例12)(iv)共重合体(e−1)の調製
スチレン66.0重量部、アクリロニトリル32.5重量部、無水マレイン酸1.5重量部、t−ドデシルメルカプタン0.20重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン150重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した後、80℃で7時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、(iv)共重合体(e−1)を得た。ポリマー収率は94%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成は、スチレン単位を68.4重量%、アクリロニトリル単位を30.1重量%、無水マレイン酸単位を1.5重量%含有するものであった。また、(iv)共重合体(e−1)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.35dl/gであった。
(参考例13) (iv)共重合体(e−2)の調製
スチレン69.7重量部、アクリロニトリル28.5重量部、無水マレイン酸1.8重量部、t−ドデシルメルカプタン0.14重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン80重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した後、80℃で5時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のメタノールに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、(iv)共重合体(e−2)を得た。ポリマー収率は94%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成は、スチレン単位を70.4重量%、アクリロニトリル単位を27.8重量%、無水マレイン酸単位を1.8重量%含有するものであった。また、(iv)共重合体(e−2)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.43dl/gであった。
(参考例14)(iv)共重合体(e−3)の調製
スチレン30重量部、アクリロニトリル33.5重量部、無水マレイン酸0.3重量部、t−ドデシルメルカプタン0.28重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を、メチルエチルケトン60重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。次いで、スチレン33.5重量部と無水マレイン酸2.5重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部をメチルエチルケトン60重量部に溶解した溶液を5時間で連続的に添加した。添加後さらに80℃で3時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のヘキサンに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、(iv)共重合体(e−3)を得た。ポリマー収率は93%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を63.4重量%、アクリロニトリル単位を33.6重量%、無水マレイン酸単位を2.8重量%含有するものであった。また、(iv)共重合体(e−3)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.30dl/gであった。
(参考例15)(iv)共重合体(e−4)の調製
スチレン38.6重量部、アクリロニトリル30.5重量部、無水マレイン酸0.1重量部、t−ドデシルメルカプタン0.04重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を、メチルエチルケトン40重量部を入れたバッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに仕込み、この溶液を300rpmで攪拌しながら温度を80℃まで昇温した。次いで、スチレン30重量部と無水マレイン酸0.8重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部をメチルエチルケトン60重量部に溶解した溶液を6時間で連続的に添加した。添加後更に80℃で3時間保ち、重合を終了した。冷却後、溶液を5倍当量のヘキサンに注ぎ込み、再沈殿により精製を行い、乾燥により溶媒を完全に留去し、(iv)共重合体(e−4)を得た。ポリマー収率は95%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成は、スチレン単位を69.6重量%、アクリロニトリル単位を29.5重量%、無水マレイン酸単位を0.9重量%含有するものであった。また、(iv)共重合体(e−4)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.64dl/gであった。
<比較例用の共重合体>
(参考例16)共重合体(f−1)(比較例用)の調製
アクリルアミド80重量部、メタクリル酸メチル20重量部、過硫酸カリ0.3重量部、イオン交換水1500重量部を反応器中に仕込み反応器中の気相を窒素ガスで置換しよくかき混ぜながら70℃に保った。反応は単量体が完全に、重合体に転化するまで続けアクリルアミドとメタクリル酸メチル二元共重合体の水溶液として得た。イオン交換水で希釈して、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を得た。
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、得られたメタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質を反応系を撹拌しながら添加し、60℃に昇温し懸濁重合を開始した。
スチレン:70重量部
アクリロニトリル:25重量部
メタクリル酸:5重量部
t−ドデシルメルカプタン:0.4重量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、2時間かけて90℃まで昇温し90℃を2時間保ち重合を終了した。反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビーズ状のビニル系共重合体(f−1)を得た。ポリマー収率は96%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を70重量%、アクリロニトリル単位を25重量%、メタクリル酸単位を5重量%含有するものであった。また、共重合体(f−1)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.59dl/gであった。
(参考例17)共重合体(f−2)(比較例用)の調製
重合容器に、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込み、撹拌しながら65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、スチレン67重量部、アクリロニトリル30重量部、メタクリル酸3重量部およびt−ドデシルメルカプタン1.5重量部からなる混合物およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加した。続いて重合系を70℃に昇温し、3時間重合を行い、重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析・脱水・乾燥することにより、共重合体(f−2)を得た。このときのポリマー収率は95%であった。赤外吸収スペクトル測定により、赤外吸収スペクトル検量線を用いて求めた組成はスチレン単位を67重量%、アクリロニトリル単位を30重量%、メタクリル酸単位を3重量%含有するものであった。また、共重合体(f−2)を0.4g/100ml(メチルエチルケトン、30℃)に調製し、ウベローデ粘度計を用いて30℃で測定した極限粘度は0.31dl/gであった。
実施例1〜7
参考例に記載の(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii)ポリオレフィン系樹脂、(iv)共重合体、(v)層状珪酸塩および(vi)強化材を表1に示した配合比で混合し、スクリュウ径30mm、L/Dが25の同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−30)で樹脂温度250℃、スクリュウ回転数150rpmで溶融混練、押出を行うことによってペレットを製造した。各ペレットについて成形温度250℃、金型温度70℃の条件で射出成形に供し、各試験片を作製しそれについて物性の評価を行なった。これらの結果を表1に示す。
比較例1〜5
参考例に記載の(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii)ポリオレフィン系樹脂、(v)層状珪酸塩および比較例用の共重合体を表1に示した配合比で混合し、スクリュウ径30mm、L/Dが25の同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−30)で樹脂温度250℃、スクリュウ回転数150rpmで溶融混練、押出を行うことによってペレットを製造した。各ペレットについて成形温度250℃、金型温度70℃の条件で射出成形に供し、各試験片を作製しそれについて物性の評価を行なった。これらの結果を表1に示す。
Figure 2006137929
実施例8〜13
参考例に記載の(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii)ポリオレフィン系樹脂、(iv)共重合体、(v)層状珪酸塩および(vi)強化材を表2に示した配合比で混合し、スクリュウ径30mm、L/Dが25の同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−30)で樹脂温度250℃、スクリュウ回転数150rpmで溶融混練、押出を行うことによってペレットを製造した。各ペレットについて成形温度250℃、金型温度70℃の条件で射出成形に供し、各試験片を作製しそれについて物性の評価を行なった。これらの結果を表2に示す。
比較例6〜9
参考例に記載の(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂、(iii)ポリオレフィン系樹脂、(v)層状珪酸塩および比較例用の共重合体を表2に示した配合比で混合し、スクリュウ径30mm、L/Dが25の同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−30)で樹脂温度250℃、スクリュウ回転数150rpmで溶融混練、押出を行うことによってペレットを製造した。各ペレットについて成形温度250℃、金型温度70℃の条件で射出成形に供し、各試験片を作製しそれについて物性の評価を行なった。これらの結果を表2に示す。
Figure 2006137929
実施例および比較例より、次のことが明らかになった。
表1より、本発明の特定の(iv)共重合体を添加した実施例1〜7の樹脂組成物は、本発明の(iv)共重合体とは異なる比較例用の共重合体を添加した比較例1〜5の樹脂組成物と比較して、耐衝撃性、剛性、耐熱性および流動性のバランスに優れ、さらに寸法安定性、塗装性および溶着性にも優れることがわかった。
表2より、本発明の特定の(iv)共重合体を添加した実施例8〜13の樹脂組成物は、本発明の(iv)共重合体とは異なる比較例用の共重合体を添加した比較例6〜8の樹脂組成物と比較して、流動性、寸法安定性および塗装性に優れ、特に溶着性に優れることがわかった。また、比較例9の樹脂組成物は溶着性に優れるが、(ii)ポリアミド樹脂を含まないため、実施例8〜13の樹脂組成物と比較して、耐衝撃性に劣り、特に耐熱性および塗装性に劣ることがわかった。
以上より、(i)スチレン系樹脂と(ii)ポリアミド樹脂に対して、 (iii)ポリオレフィン系樹脂と(iv)共重合体、および必要に応じて(v)層状珪酸塩および/または(vi)強化材をさらに含有を添加した本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、剛性、耐熱性および流動性のバランスに優れ、さらに優れた寸法安定性、塗装性および溶着性をも有していることがわかった。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記した優れた特性を生かして、特に自動車部品、自動車内外装材料および電気・電子機器のハウジング・部品周り材料として有用に用いることができる。
振動溶着強度測定用の試験片形状を示した図である。

Claims (9)

  1. (i)ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体あるいは芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト(共)重合体(A−1)と、芳香族ビニル系単量体あるいは芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を重合して得られるビニル系(共)重合体(A−2)のうち少なくとも1種を配合してなるスチレン系樹脂と、(ii)ポリアミド樹脂、および(iii)ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対して、前記(iii)ポリオレフィン系樹脂成分が0.1〜60重量%であり、前記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、芳香族ビニル系単量体単位0〜99.95重量%、α、β−不飽和カルボン酸無水物およびその誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種のビニル系単量体単位0.05〜60重量%およびその他の少なくとも1種の単量体単位0〜99.95重量%からなる変性ビニル系共重合体(iv)0.01〜80重量%を更に含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. (i)スチレン系樹脂と、(ii)ポリアミド樹脂、および(iii)ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対して、前記(iii)ポリオレフィン系樹脂成分が0.1〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (iv)変性ビニル系共重合体が、少なくとも芳香族ビニル系単量体単位、シアン化ビニル系単量体単位およびα、β−不飽和カルボン酸無水物単位とからなる共重合体である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. (iii)ポリオレフィン系樹脂が、ビニル系単量体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂を含むものであることを特徴とする請求項1〜3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. (v)層状珪酸塩を(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対して、さらに0.05〜40重量部含有してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. (v)層状珪酸塩が少なくとも(ii)ポリアミド樹脂中に10層以下のレベルで均一に分散していることを特徴とする請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. (vi)強化材を(i)スチレン系樹脂、(ii)ポリアミド樹脂および(iii)ポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物の合計100重量部に対して、さらに0.05〜150重量部含有してなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. (i)スチレン系樹脂がゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体を含む単量体あるいは単量体混合物をグラフト重合してなるグラフト(共)重合体(A−1)5〜95重量%と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体あるいは単量体混合物を重合して得られるビニル系(共)重合体(A−2)5〜95重量%とからなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を溶融成形加工してなる成形体。
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