JP2014108996A - 熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐候性、耐衝撃性、および表面外観に優れた成形品を得ることができ、かつ成形加工性に優れた熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂は、エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含むゴム質重合体(A)に、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(b)をグラフト重合させたグラフト重合体(B)と、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(c)を共重合させた共重合体であり、一方または両方の分子末端に末端官能基を有する変性共重合体(C)と、を反応して得られる反応物を含有する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の熱可塑性樹脂は、エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含むゴム質重合体(A)に、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(b)をグラフト重合させたグラフト重合体(B)と、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(c)を共重合させた共重合体であり、一方または両方の分子末端に末端官能基を有する変性共重合体(C)と、を反応して得られる反応物を含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
ABS樹脂は耐衝撃性や機械的強度などの物性バランスが良好な熱可塑性樹脂として、自動車部品やOA機器、その他の雑貨製品など各種分野で幅広く使用されている。
しかし、ABS樹脂は、ゴム成分であるポリブタジエンが主鎖に炭素−炭素不飽和結合を多く有するために、酸素、オゾンまたは紫外線などによって劣化しやすく耐候性に劣ることが知られている。そのため、ABS樹脂を成形した成形品は、野外で長期にわたり使用される分野、特に自動車外装部品などに使用するには不向きであった。
しかし、ABS樹脂は、ゴム成分であるポリブタジエンが主鎖に炭素−炭素不飽和結合を多く有するために、酸素、オゾンまたは紫外線などによって劣化しやすく耐候性に劣ることが知られている。そのため、ABS樹脂を成形した成形品は、野外で長期にわたり使用される分野、特に自動車外装部品などに使用するには不向きであった。
ABS樹脂の耐候性を改良する方法として、主鎖に炭素−炭素不飽和結合を有さないゴム成分を使用する方法が提案されている。その代表としてエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体やエチレン・α−オレフィン共重合体を使用するAES樹脂が知られている。
ところが、AES樹脂に用いられるエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体やエチレン・α−オレフィン共重合体は、ABS樹脂に用いられるジエン系ゴムに比べてグラフト活性点が少なく、十分な耐衝撃性が得られにくい。そこで、耐衝撃性に優れた成形品を得るためには高温で反応させたり、開始剤の量を増やしたりして、グラフト効率を向上させる必要があった。
しかし、このような手法でグラフト効率を向上させようとすると、ラジカル重合開始点が増えるために、グラフト鎖が短くなる傾向があり、十分な耐衝撃性が得られない。逆に反応温度を下げたり、開始剤の量を減らしたりすると、グラフトされていない長鎖のアクリロニトリル・スチレン鎖(AS)が増加し、その結果、耐衝撃性が向上しにくくなるばかりか、成形加工性が低下する。
しかし、このような手法でグラフト効率を向上させようとすると、ラジカル重合開始点が増えるために、グラフト鎖が短くなる傾向があり、十分な耐衝撃性が得られない。逆に反応温度を下げたり、開始剤の量を減らしたりすると、グラフトされていない長鎖のアクリロニトリル・スチレン鎖(AS)が増加し、その結果、耐衝撃性が向上しにくくなるばかりか、成形加工性が低下する。
特許文献1には、グラフト変性エチレン・プロピレン共重合ゴムとカルボキシル基含有スチレン共重合体とから成る、耐衝撃性などの物性バランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
ところで、特に自動車外装部品では、耐候性や耐衝撃性に優れることだけでなく、高級な製品の意匠性に合わせた高い外観品質(例えば光沢性など)が求められる。
しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、耐衝撃性や表面外観を必ずしも満足できなかった。
しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、耐衝撃性や表面外観を必ずしも満足できなかった。
本発明は、耐候性、耐衝撃性、および表面外観に優れた成形品を得ることができ、かつ成形加工性に優れた熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物の場合、グラフト変性エチレン・プロピレン共重合ゴムとカルボキシル基含有スチレン共重合体とを溶融混練することで両者が反応するが、カルボキシル基含有スチレン共重合体のどの位置にカルボキシル基が存在しているかでグラフト鎖長が変わる。そのため、効率的に長鎖のグラフト鎖をグラフト変性エチレン・プロピレン共重合ゴムに導入しにくく、このことが成形品の耐衝撃性や表面外観に影響することを突き止めた。
そこで、特定のゴム成分を用いたグラフト重合体と、特定の位置にグラフト重合体と反応しうる官能基を有する変性共重合体とを併用することで、成形品の耐衝撃性や表面外観を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
そこで、特定のゴム成分を用いたグラフト重合体と、特定の位置にグラフト重合体と反応しうる官能基を有する変性共重合体とを併用することで、成形品の耐衝撃性や表面外観を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1] エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含むゴム質重合体(A)に、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(b)をグラフト重合させたグラフト重合体(B)と、
芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(c)を共重合させた共重合体であり、一方または両方の分子末端に末端官能基を有する変性共重合体(C)と、
を反応して得られる反応物を含有する、熱可塑性樹脂。
[2] 前記末端官能基が、ヒドロキシ基、アミノ基、イミダゾリン基、エポキシ基、カルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記[1]に記載の熱可塑性樹脂。
[3] 前記[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂を含有する、熱可塑性樹脂組成物。
[1] エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含むゴム質重合体(A)に、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(b)をグラフト重合させたグラフト重合体(B)と、
芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(c)を共重合させた共重合体であり、一方または両方の分子末端に末端官能基を有する変性共重合体(C)と、
を反応して得られる反応物を含有する、熱可塑性樹脂。
[2] 前記末端官能基が、ヒドロキシ基、アミノ基、イミダゾリン基、エポキシ基、カルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記[1]に記載の熱可塑性樹脂。
[3] 前記[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂を含有する、熱可塑性樹脂組成物。
本発明の熱可塑性樹脂、および熱可塑性樹脂組成物は、耐候性、耐衝撃性、および表面外観に優れた成形品を得ることができ、かつ成形加工性に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。
「熱可塑性樹脂」
本発明の熱可塑性樹脂は、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)とを反応して得られる反応物を含有する。
なお、本発明において、「グラフト共重合体(B)と変性共重合体(C)との反応」とは、後述するグラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と、変性共重合体(C)の末端官能基とが化学結合(例えば共有結合、イオン結合、水素結合など)することを意味する。
また、本明細書においては、「成形品」とは、本発明の熱可塑性樹脂、および本発明の熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
「熱可塑性樹脂」
本発明の熱可塑性樹脂は、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)とを反応して得られる反応物を含有する。
なお、本発明において、「グラフト共重合体(B)と変性共重合体(C)との反応」とは、後述するグラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と、変性共重合体(C)の末端官能基とが化学結合(例えば共有結合、イオン結合、水素結合など)することを意味する。
また、本明細書においては、「成形品」とは、本発明の熱可塑性樹脂、および本発明の熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
<グラフト重合体(B)>
グラフト重合体(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含むゴム質重合体(A)に、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(b)をグラフト重合させたものである。
グラフト重合体(B)は、エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含むゴム質重合体(A)に、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(b)をグラフト重合させたものである。
(ゴム質重合体(A))
ゴム質重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含む。
エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどなどが挙げられる。これらの中でも、成形品の耐衝撃性が向上する点で、プロピレンが好ましい。これらα−オレフィンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なお、α−オレフィンとしてエチレンを用いる場合、得られるエチレン・α−オレフィン共重合体はエチレンの単独重合体である。
ゴム質重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含む。
エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどなどが挙げられる。これらの中でも、成形品の耐衝撃性が向上する点で、プロピレンが好ましい。これらα−オレフィンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なお、α−オレフィンとしてエチレンを用いる場合、得られるエチレン・α−オレフィン共重合体はエチレンの単独重合体である。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体は、非共役ジエン成分を含んでいてもよい。すなわち、エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと、α−オレフィンと、非共役ジエンの共重合体であってもよい。
非共役ジエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これら非共役ジエンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
非共役ジエンとしては、例えば、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これら非共役ジエンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、成形品の耐衝撃性がより向上する点で、エチレン・プロピレン共重合体が特に好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、該共重合体を構成する全単位(100質量%)のうち、エチレン単位を45〜85質量%含有することが好ましく、より好ましくは50〜70質量%である。エチレン単位の割合が上記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性がより向上する。
エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量は、ゴム質重合体(A)100質量%中、60〜99質量%であることが好ましく、80〜95質量%であることがより好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量が60質量%以上であれば、成形品の耐衝撃性および表面外観を良好に維持できる。一方、エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量が99質量%以下であれば、グラフト共重合体(B)と変性共重合体(C)とが反応しやすくなるため、成形品の耐衝撃性や表面外観が向上する。
低分子量酸変性α−オレフィン共重合体は、α−オレフィン系重合体に、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト重合させたものである。
α−オレフィンとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体の説明において先に例示したα−オレフィンが挙げられる。これらの中でも、成形品の耐衝撃性が向上する点で、エチレンが好ましい。これらα−オレフィンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノアミドなどが挙げられる。これら不飽和カルボン酸またはその無水物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
α−オレフィンとしては、エチレン・α−オレフィン共重合体の説明において先に例示したα−オレフィンが挙げられる。これらの中でも、成形品の耐衝撃性が向上する点で、エチレンが好ましい。これらα−オレフィンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノアミドなどが挙げられる。これら不飽和カルボン酸またはその無水物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
低分子量酸変性α−オレフィン共重合体としては、成形品の耐衝撃性がより向上する点で、酸変性ポリエチレンが特に好ましい。
低分子量酸変性α−オレフィン共重合体は、該共重合体を構成する全単位(100質量%)のうち、α−オレフィン単位を80〜99.8質量%含有することが好ましく、不飽和カルボン酸単位を0.2〜20質量%含有することが好ましい。α−オレフィン単位および不飽和カルボン酸単位の割合が上記範囲内であれば、低分子量酸変性α−オレフィン共重合体とエチレン・α−オレフィン共重合体との相溶性が向上し、不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基をゴム質重合体(A)中に一様に分散できる。その結果、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)とが十分に反応し、耐衝撃性が向上する。
低分子量酸変性α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量は、1000〜9000であることが好ましく、1500〜4000であることがより好ましい。低分子量酸変性α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量が上記範囲内であれば、エチレン・α−オレフィン共重合体との分散性および相溶性が向上する。
ここで、粘度平均分子量は、JIS K 7367−3:1999に準じ、溶媒はデカヒドロナフタレン、温度は135℃の条件で測定した値である。
ここで、粘度平均分子量は、JIS K 7367−3:1999に準じ、溶媒はデカヒドロナフタレン、温度は135℃の条件で測定した値である。
低分子量酸変性α−オレフィン共重合体の含有量は、ゴム質重合体(A)100質量%中、1〜40質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。低分子量酸変性α−オレフィン共重合体の含有量が1質量%以上であれば、グラフト共重合体(B)と変性共重合体(C)とが反応しやすくなるため、成形品の耐衝撃性や表面外観が向上する。ただし、低分子量酸変性α−オレフィン共重合体の含有量が40質量%を超えても、グラフト共重合体(B)と変性共重合体(C)の反応性は頭打ちなるばかりか、逆に、成形品の耐衝撃性の低下や外観不良を生じる場合がある。よって、成形品の耐衝撃性および表面外観を良好に維持できる点で、低分子量酸変性α−オレフィン共重合体の含有量は40質量%以下が好ましい。
ゴム質重合体(A)は、エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体からなるものでもよいが、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、これら共重合体以外の成分、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン等の芳香族ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸誘導体;アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアクリル酸誘導体;およびこれらの単独重合体または2種以上の共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系共重合体;SEBS、SEPS等の熱可塑性エラストマー;シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等のポリシロキサン誘導体などを含んでいてもよい。
(単量体混合物(b))
単量体混合物(b)は、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む。
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これら芳香族ビニルは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
単量体混合物(b)は、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む。
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。これら芳香族ビニルは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
単量体混合物(b)100質量%中の芳香族ビニルの含有量は、60〜95質量%であることが好ましい。単量体混合物(b)中の芳香族ビニルの含有量が上記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性が向上する。
シアン化ビニルとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらシアン化ビニルは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
単量体混合物(b)100質量%中のシアン化ビニルの含有量は、5〜40質量%であることが好ましい。単量体混合物(b)中のシアン化ビニルの含有量が上記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性が向上する。
単量体混合物(b)には、上記の芳香族ビニルおよびシアン化ビニルの他に、これらと共重合可能な他の単量体を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
他の単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸エステル類、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド類などが挙げられる。これら他の単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを意味する。
他の単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸エステル類、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド類などが挙げられる。これら他の単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを意味する。
(グラフト重合体(B)の製造)
グラフト重合体(B)は、上述したゴム質重合体(A)の存在下に、単量体混合物(b)をグラフト重合させることで得られる。
グラフト重合時のゴム質重合体(A)の割合は40〜80質量%であることが好ましく、単量体混合物(b)の割合は20〜60質量%であることが好ましい(ただし、ゴム質重合体(A)と単量体混合物(b)の合計を100質量%とする。)。ゴム質重合体(A)および単量体混合物(b)の割合が上記範囲内であれば、生産性が良好であり、さらに成形品の耐衝撃性が向上する。
グラフト重合体(B)は、上述したゴム質重合体(A)の存在下に、単量体混合物(b)をグラフト重合させることで得られる。
グラフト重合時のゴム質重合体(A)の割合は40〜80質量%であることが好ましく、単量体混合物(b)の割合は20〜60質量%であることが好ましい(ただし、ゴム質重合体(A)と単量体混合物(b)の合計を100質量%とする。)。ゴム質重合体(A)および単量体混合物(b)の割合が上記範囲内であれば、生産性が良好であり、さらに成形品の耐衝撃性が向上する。
グラフト共重合体(B)は、塊状重合法、溶液重合法、塊状懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法により製造され、容易に重合できる点では、乳化重合が好ましい。
以下に、グラフト共重合体(B)を乳化重合により製造する方法の一例を示す。
以下に、グラフト共重合体(B)を乳化重合により製造する方法の一例を示す。
まず、エチレン・α−オレフィン共重合体と低分子量酸変性α−オレフィン共重合体とを乳化剤の存在下で機械的剪断力を与え、水中に微細に分散安定化させることでゴム質重合体(A)のラテックスを得る。
得られたゴム質重合体(A)のラテックスの質量平均粒子径は、目的とする熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物の成形性、成形品の耐衝撃性に応じて調整することが好ましいが、成形品の耐衝撃性が向上する点で、100〜600nmであることが好ましい。
得られたゴム質重合体(A)のラテックスの質量平均粒子径は、目的とする熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物の成形性、成形品の耐衝撃性に応じて調整することが好ましいが、成形品の耐衝撃性が向上する点で、100〜600nmであることが好ましい。
ついで、ゴム質重合体(A)のラテックスを攪拌翼ジャケット付き反応容器に仕込み、これに、単量体混合物(b)の全量または一部を数回に分けて一括または連続して滴下し、攪拌しながら40〜70℃にて、5〜60分間放置した後、さらに重合開始剤を添加する。
これにより、添加した単量体混合物(b)中の各単量体(芳香族ビニルおよびシアン化ビニル等)がゴム質重合体(A)に含浸し、ゴム質重合体(A)内および表面にて重合し、グラフト物が得られる。
グラフト重合体(B)は、ゴム質重合体(A)に少なくとも芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位を含む共重合体がグラフト重合したグラフト物と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位を含む共重合体や未反応の単量体等との混合物の状態で得られる。
これにより、添加した単量体混合物(b)中の各単量体(芳香族ビニルおよびシアン化ビニル等)がゴム質重合体(A)に含浸し、ゴム質重合体(A)内および表面にて重合し、グラフト物が得られる。
グラフト重合体(B)は、ゴム質重合体(A)に少なくとも芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位を含む共重合体がグラフト重合したグラフト物と、芳香族ビニル単位およびシアン化ビニル単位を含む共重合体や未反応の単量体等との混合物の状態で得られる。
<変性共重合体(C)>
変性共重合体(C)は、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(c)を共重合させた共重合体であり、一方または両方の分子末端に末端官能基を有する。
変性共重合体(C)は、一方の分子末端に末端官能基を有する前記共重合体のみで構成されていてもいし、両方の分子末端に末端官能基を有する前記共重合体のみで構成されていてもいし、これらの混合物であってもよい。
変性共重合体(C)は、一方または両方の分子末端のみに末端官能基を有することが好ましい。
変性共重合体(C)は、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(c)を共重合させた共重合体であり、一方または両方の分子末端に末端官能基を有する。
変性共重合体(C)は、一方の分子末端に末端官能基を有する前記共重合体のみで構成されていてもいし、両方の分子末端に末端官能基を有する前記共重合体のみで構成されていてもいし、これらの混合物であってもよい。
変性共重合体(C)は、一方または両方の分子末端のみに末端官能基を有することが好ましい。
ここで、末端官能基とは、グラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と化学結合(例えば共有結合、イオン結合、水素結合など)できる官能基のことである。具体的には、ヒドロキシ基、アミノ基、イミダゾリン基、エポキシ基、カルボキシ基、オキサゾリン基、イミダゾール基などが挙げられる。これらの中でも、成形品の耐衝撃性が向上する点で、ヒドロキシ基、アミノ基、イミダゾリン基、エポキシ基、カルボキシ基が好ましい。これら末端官能基は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
単量体混合物(c)に含まれる芳香族ビニルおよびシアン化ビニルとしては、グラフト重合体(B)の説明において先に例示した芳香族ビニルおよびシアン化ビニルなどが挙げられ、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
単量体混合物(c)100質量%中の芳香族ビニルの含有量は、60〜95質量%であることが好ましく、シアン化ビニルの含有量は、5〜40質量%であることが好ましい。単量体混合物(c)中の芳香族ビニルおよびシアン化ビニルの含有量が上記範囲内であれば、グラフト重合体(B)および後述する共重合体(D)との相溶性が向上するだけでなく、熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物の成形加工性や、成形品の耐衝撃性が向上する。
単量体混合物(c)100質量%中の芳香族ビニルの含有量は、60〜95質量%であることが好ましく、シアン化ビニルの含有量は、5〜40質量%であることが好ましい。単量体混合物(c)中の芳香族ビニルおよびシアン化ビニルの含有量が上記範囲内であれば、グラフト重合体(B)および後述する共重合体(D)との相溶性が向上するだけでなく、熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物の成形加工性や、成形品の耐衝撃性が向上する。
単量体混合物(c)には、上記の芳香族ビニルおよびシアン化ビニルの他に、これらと共重合可能な他の単量体を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
他の単量体としては、グラフト重合体(B)の説明において先に例示した他の単量体などが挙げられ、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
他の単量体としては、グラフト重合体(B)の説明において先に例示した他の単量体などが挙げられ、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
変性共重合体(C)の質量平均分子量は、30000〜400000であることが好ましく、70000〜200000であることがより好ましい。変性共重合体(C)の質量平均分子量が上記下限値以上であれば、成形体の耐衝撃性の向上効果が十分に得られやすくなり、質量平均分子量が上記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂の成形加工性がより良好となる。
変性共重合体(C)の質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定された、ポリスチレン換算の質量平均分子量である。
変性共重合体(C)の質量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定された、ポリスチレン換算の質量平均分子量である。
(変性共重合体(C)の製造)
変性共重合体(C)は、分子末端に前記末端官能基を有する開始剤(例えば、有機過酸化物、アゾ重合開始剤、光重合開始剤など)の存在下に、単量体混合物(c)を共重合させることで得られる。
なお、分子末端に末端官能基を有する開始剤の存在下に単量体混合物(c)を共重合させると、変性共重合体(C)は、両方の分子末端に末端官能基を有さない共重合体との混合物の状態で得られる場合もある。この両方の分子末端に末端官能基を有さない共重合体を変性共重合体(C)から分離する必要はなく、詳しくは後述するが、変性共重合体(C)とともにグラフト重合体(B)と溶融混練してもよい。
変性共重合体(C)は、分子末端に前記末端官能基を有する開始剤(例えば、有機過酸化物、アゾ重合開始剤、光重合開始剤など)の存在下に、単量体混合物(c)を共重合させることで得られる。
なお、分子末端に末端官能基を有する開始剤の存在下に単量体混合物(c)を共重合させると、変性共重合体(C)は、両方の分子末端に末端官能基を有さない共重合体との混合物の状態で得られる場合もある。この両方の分子末端に末端官能基を有さない共重合体を変性共重合体(C)から分離する必要はなく、詳しくは後述するが、変性共重合体(C)とともにグラフト重合体(B)と溶融混練してもよい。
共重合の方法としては特に制限されず、通常行われている方法を採用できる。一般的な方法としては、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合などが挙げられる。
分子末端に末端官能基を有する有機過酸化物としては、例えば、ビス(3−カルボキシプロピオニル)ペルオキシド、ビス(1−アミノエチル)ペルオキシドなどが挙げられる。
分子末端に末端官能基を有するアゾ重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}などが挙げられる。
分子末端に末端官能基を有する光重合開始剤としては、例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンなどが挙げられる。
分子末端に末端官能基を有するアゾ重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}などが挙げられる。
分子末端に末端官能基を有する光重合開始剤としては、例えば、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパンなどが挙げられる。
<熱可塑性樹脂の製造>
熱可塑性樹脂を製造する方法には特に制限はなく、通常行われている方法および装置を使用して製造することができる。一般的に使用されている方法としては溶融混練法が挙げられる。グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)とを混合し、これらの混合物を溶融混練することで、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との反応が起こり、具体的には、グラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と、変性共重合体(C)の末端官能基とが化学結合し、反応物が得られる。
熱可塑性樹脂は、この反応物と、未反応のグラフト重合体(B)や変性共重合体(C)等との混合物の状態で得られる。
熱可塑性樹脂を製造する方法には特に制限はなく、通常行われている方法および装置を使用して製造することができる。一般的に使用されている方法としては溶融混練法が挙げられる。グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)とを混合し、これらの混合物を溶融混練することで、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との反応が起こり、具体的には、グラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と、変性共重合体(C)の末端官能基とが化学結合し、反応物が得られる。
熱可塑性樹脂は、この反応物と、未反応のグラフト重合体(B)や変性共重合体(C)等との混合物の状態で得られる。
溶融混練時の温度については、グラフト重合体(B)および変性共重合体(C)が溶融する温度であれば特に制限されないが、160〜300℃が好ましく、200〜280℃がより好ましい。溶融混練時の温度が上記範囲内であれば、グラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と、変性共重合体(C)の末端官能基との反応が効率的に進行する。
溶融混練の時間についても特に制限されない。
溶融混練に使用する装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダーなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂は、回分式で製造してもよいし、連続式で製造してもよい。
溶融混練の時間についても特に制限されない。
溶融混練に使用する装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダーなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂は、回分式で製造してもよいし、連続式で製造してもよい。
グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)は、質量比率がグラフト重合体(B):変性共重合体(C)=10:90〜99:1となるように混合することが好ましく、より好ましくは15:85〜45:55である。質量比率が上記範囲内であれば、熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物の流動性が向上し、成形品の耐衝撃性や機械的強度などの物性バランスが良好となる。
<作用効果>
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂は、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との反応物を含有する。変性共重合体(C)は、一方または両方の分子末端に末端官能基を有する。すなわち、グラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と化学結合する末端官能基の位置が、分子末端に存在している。よって、効率的に長鎖のグラフト鎖をグラフト重合体(B)に導入できるので、本発明の熱可塑性樹脂からは、耐衝撃性および表面外観に優れた成形品が得られる。加えて、グラフト重合体(B)は、特定のゴム質重合体(A)に単量体混合物(b)がグラフト重合したものであるため、変性共重合体(C)と併用することで熱可塑性樹脂の成形加工性が向上するとともに、成形品の耐候性および耐衝撃性も向上し、かつ表面外観も良好となる。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂は、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との反応物を含有する。変性共重合体(C)は、一方または両方の分子末端に末端官能基を有する。すなわち、グラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と化学結合する末端官能基の位置が、分子末端に存在している。よって、効率的に長鎖のグラフト鎖をグラフト重合体(B)に導入できるので、本発明の熱可塑性樹脂からは、耐衝撃性および表面外観に優れた成形品が得られる。加えて、グラフト重合体(B)は、特定のゴム質重合体(A)に単量体混合物(b)がグラフト重合したものであるため、変性共重合体(C)と併用することで熱可塑性樹脂の成形加工性が向上するとともに、成形品の耐候性および耐衝撃性も向上し、かつ表面外観も良好となる。
「熱可塑性樹脂組成物」
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した本発明の熱可塑性樹脂を含有する。
また、熱可塑性樹脂組成物は、共重合体(D)(ただし、変性共重合体(C)を除く。)や、添加剤などを含有していてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した本発明の熱可塑性樹脂を含有する。
また、熱可塑性樹脂組成物は、共重合体(D)(ただし、変性共重合体(C)を除く。)や、添加剤などを含有していてもよい。
<共重合体(D)>
共重合体(D)は、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(d)を共重合させた共重合体である(ただし、変性共重合体(C)を除く。)。
単量体混合物(d)に含まれる芳香族ビニルおよびシアン化ビニルとしては、グラフト重合体(B)の説明において先に例示した芳香族ビニルおよびシアン化ビニルなどが挙げられ、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
単量体混合物(d)100質量%中の芳香族ビニルの含有量は、60〜95質量%であることが好ましく、シアン化ビニルの含有量は、5〜40質量%であることが好ましい。単量体混合物(d)中の芳香族ビニルおよびシアン化ビニルの含有量が上記範囲内であれば、グラフト重合体(B)および変性共重合体(C)との相溶性が向上するだけでなく、熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物の成形加工性や、成形品の耐衝撃性が向上する。
共重合体(D)は、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(d)を共重合させた共重合体である(ただし、変性共重合体(C)を除く。)。
単量体混合物(d)に含まれる芳香族ビニルおよびシアン化ビニルとしては、グラフト重合体(B)の説明において先に例示した芳香族ビニルおよびシアン化ビニルなどが挙げられ、それぞれ1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
単量体混合物(d)100質量%中の芳香族ビニルの含有量は、60〜95質量%であることが好ましく、シアン化ビニルの含有量は、5〜40質量%であることが好ましい。単量体混合物(d)中の芳香族ビニルおよびシアン化ビニルの含有量が上記範囲内であれば、グラフト重合体(B)および変性共重合体(C)との相溶性が向上するだけでなく、熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物の成形加工性や、成形品の耐衝撃性が向上する。
単量体混合物(d)には、上記の芳香族ビニルおよびシアン化ビニルの他に、これらと共重合可能な他の単量体を、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
他の単量体としては、グラフト重合体(B)の説明において先に例示した他の単量体などが挙げられ、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
他の単量体としては、グラフト重合体(B)の説明において先に例示した他の単量体などが挙げられ、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
共重合体(D)の製造方法としては特に制限されず、通常行われている方法を採用できる。一般的な方法としては、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合などが挙げられる。
<添加剤>
添加剤としては、樹脂組成物の製造時(混合時)や成形時に用いられる慣用の添加剤、例えば、滑材、顔料、染料、充填剤(カーボンブラック、シリカ、酸化チタン等)、耐熱剤、酸化劣化防止剤、耐候剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤などが挙げられる。
添加剤としては、樹脂組成物の製造時(混合時)や成形時に用いられる慣用の添加剤、例えば、滑材、顔料、染料、充填剤(カーボンブラック、シリカ、酸化チタン等)、耐熱剤、酸化劣化防止剤、耐候剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤などが挙げられる。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
熱可塑性樹脂組成物は、予めグラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との混合物を溶融混練して熱可塑性樹脂を製造し、得られた熱可塑性樹脂と共重合体(D)と必要に応じて添加剤とを混合し、この混合物をさらに溶融混練することで得られる。
熱可塑性樹脂組成物は、予めグラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との混合物を溶融混練して熱可塑性樹脂を製造し、得られた熱可塑性樹脂と共重合体(D)と必要に応じて添加剤とを混合し、この混合物をさらに溶融混練することで得られる。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、上述した方法に限定されない。例えば、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)と共重合体(D)と必要に応じて添加剤とを混合し、これらの混合物を溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を製造してもよい。各成分の混合順序については特に制限されない。
このように共重合体(D)や添加剤の存在下でグラフト重合体(B)と変性共重合体(C)とを溶融混練しても、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との反応は妨げられることなく進行し、グラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と、変性共重合体(C)の末端官能基とが化学結合した反応物が得られる。
このように共重合体(D)や添加剤の存在下でグラフト重合体(B)と変性共重合体(C)とを溶融混練しても、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との反応は妨げられることなく進行し、グラフト重合体(B)の不飽和カルボン酸またはその無水物由来のカルボキシ基と、変性共重合体(C)の末端官能基とが化学結合した反応物が得られる。
予め熱可塑性樹脂を製造しておき、得られた熱可塑性樹脂と共重合体(D)と必要に応じて添加剤との混合物を溶融混練する方法であれば、熱可塑性樹脂組成物中の変性共重合体(C)の含有量が少なくても、十分な耐衝撃性や表面外観が得られる。
一方、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)と共重合体(D)等とを混合して溶融混練する方法であれば、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)の反応と、共重合体(D)等の混合とを同時に行うことができるので、短時間で熱可塑性樹脂組成物を製造できる。
一方、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)と共重合体(D)等とを混合して溶融混練する方法であれば、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)の反応と、共重合体(D)等の混合とを同時に行うことができるので、短時間で熱可塑性樹脂組成物を製造できる。
熱可塑性樹脂組成物は、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)と共重合体(D)との割合(含有量)の合計を100質量部としたときに、グラフト重合体(B)を10〜80質量部、変性共重合体(C)を1〜90質量部、共重合体(D)を0〜89質量部含有することが好ましい。各成分の割合が上記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性や機械的強度などの物性バランスが良好となる。
<作用効果>
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との反応物を含有する熱可塑性樹脂を含有するので、耐候性、耐衝撃性、および表面外観に優れた成形品を得ることができ、かつ成形加工性に優れる。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)との反応物を含有する熱可塑性樹脂を含有するので、耐候性、耐衝撃性、および表面外観に優れた成形品を得ることができ、かつ成形加工性に優れる。
「成形品」
本発明の熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形機法、押出法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、カレンダー成形法およびインフレーション成形法などの成形加工法により、熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂組成物を成形加工してなる。成形加工法としては、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができるため、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましい。
本発明により得られる成形品は耐候性、耐衝撃性、表面外観に優れることから、野外で長期にわたり使用される分野に好適である。その中でも特に、高級な製品の意匠性に合わせた高い外観品質が求められる、自動車外装部品として好適に使用できる。
本発明の熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂組成物より得られる成形品は、例えば、射出成形法、射出圧縮成形機法、押出法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、カレンダー成形法およびインフレーション成形法などの成形加工法により、熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂組成物を成形加工してなる。成形加工法としては、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができるため、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましい。
本発明により得られる成形品は耐候性、耐衝撃性、表面外観に優れることから、野外で長期にわたり使用される分野に好適である。その中でも特に、高級な製品の意匠性に合わせた高い外観品質が求められる、自動車外装部品として好適に使用できる。
以下、具体的に実施例を示す。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
「製造例1:グラフト重合体(B1)」
ゴム質重合体(A1)として、低分子量酸変性α−オレフィン共重合体12質量%を含むエチレン・プロピレン共重合体のラテックス(質量平均粒子径=390nm)70質量部(固形分換算)に、ピロリン酸ナトリウム0.15質量部、硫酸第一鉄七水塩0.006質量部、およびフラクトース0.35質量部を仕込み、内温を80℃に保った。これに、スチレン21質量部およびアクリロニトリル9質量部からなる単量体混合物(b)と、クメンハイドロパーオキサイド0.6質量部とを、各々別の供給口から140分かけて同時に滴下して重合を行った。この間、内温は80℃で一定に制御した。滴下終了後、さらに100分間80℃のまま保持した後に冷却してグラフト重合を完結させた。反応性生物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してグラフト重合体(B1)を得た。
なお、製造例1で用いた低分子量酸変性α−オレフィン共重合体は、ポリエチレンに無水マレイン酸がグラフト重合した、エチレン単位を97質量%含む共重合体であり、JIS K 7367−3:1999に準じて測定される粘度平均分子量が2700である。
また、エチレン・プロピレン共重合体は、エチレン単位を71質量%、プロピレン単位を29質量%含む共重合体である。
ゴム質重合体(A1)として、低分子量酸変性α−オレフィン共重合体12質量%を含むエチレン・プロピレン共重合体のラテックス(質量平均粒子径=390nm)70質量部(固形分換算)に、ピロリン酸ナトリウム0.15質量部、硫酸第一鉄七水塩0.006質量部、およびフラクトース0.35質量部を仕込み、内温を80℃に保った。これに、スチレン21質量部およびアクリロニトリル9質量部からなる単量体混合物(b)と、クメンハイドロパーオキサイド0.6質量部とを、各々別の供給口から140分かけて同時に滴下して重合を行った。この間、内温は80℃で一定に制御した。滴下終了後、さらに100分間80℃のまま保持した後に冷却してグラフト重合を完結させた。反応性生物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してグラフト重合体(B1)を得た。
なお、製造例1で用いた低分子量酸変性α−オレフィン共重合体は、ポリエチレンに無水マレイン酸がグラフト重合した、エチレン単位を97質量%含む共重合体であり、JIS K 7367−3:1999に準じて測定される粘度平均分子量が2700である。
また、エチレン・プロピレン共重合体は、エチレン単位を71質量%、プロピレン単位を29質量%含む共重合体である。
得られたグラフト重合体(B1)をメタノールで洗浄した後、アセトンで抽出し、グラフト重合体(B1)のアセトン可溶分の質量平均分子量を測定したところ、38000であった。また、下記式(1)より求めたグラフト重合体(B1)のグラフト率は28.2%であった。
グラフト率(%)={(P−E)/E}×100 ・・・(1)
式(1)中、「P」は、グラフト重合体(B)または熱可塑性樹脂組成物をメタノールで洗浄した後1g採取し、これをアセトン200mLに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られるアセトン不溶分の質量(g)である。「E」は、グラフト重合体(B)または熱可塑性樹脂組成物1gに含まれるゴム質重合体(A)の質量(g)である。
グラフト率(%)={(P−E)/E}×100 ・・・(1)
式(1)中、「P」は、グラフト重合体(B)または熱可塑性樹脂組成物をメタノールで洗浄した後1g採取し、これをアセトン200mLに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23000rpm)で60分遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られるアセトン不溶分の質量(g)である。「E」は、グラフト重合体(B)または熱可塑性樹脂組成物1gに含まれるゴム質重合体(A)の質量(g)である。
「製造例2:グラフト重合体(B2)」
エチレン・プロピレン共重合体100質量部およびオレイン酸4.5質量部をn−ヘキサン500質量部に完全に溶解して、エチレン・プロピレン共重合体溶液を得た。次に、脱イオン水640質量部に水酸化カリウム0.8質量部を溶解した水溶液に、エチレングリコール0.5質量部を加え60℃に保ち、続いて、これに上記のエチレン・プロピレン共重合体溶液を徐々に加えた後、ホモミキサーで攪拌した。次いで、n−ヘキサン溶剤と水の一部を水蒸気蒸留に留去し、エチレン・プロピレン共重合体のラテックス(質量平均粒子径=390nm)を得た。これをゴム質重合体(A2)として用いた。
得られたエチレン・プロピレン共重合体のラテックス70質量部(固形分換算)に、ピロリン酸ナトリウム0.08質量部、硫酸第一鉄七水塩0.004質量部、およびフラクトース0.18質量部を仕込み、内温を70℃に保った。これに、スチレン21質量部およびアクリロニトリル9質量部からなる単量体混合物(b)と、クメンハイドロパーオキサイド0.3質量部とを、各々別の供給口から140分かけて同時に滴下して重合を行った。この間、内温は70℃で一定に制御した。滴下終了後、さらに100分間70℃のまま保持した後に冷却してグラフト重合を完結させた。反応性生物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してグラフト重合体(B2)を得た。
なお、製造例2で用いたエチレン・プロピレン共重合体は、エチレン単位を71質量%、プロピレン単位を29質量%含む共重合体である。
エチレン・プロピレン共重合体100質量部およびオレイン酸4.5質量部をn−ヘキサン500質量部に完全に溶解して、エチレン・プロピレン共重合体溶液を得た。次に、脱イオン水640質量部に水酸化カリウム0.8質量部を溶解した水溶液に、エチレングリコール0.5質量部を加え60℃に保ち、続いて、これに上記のエチレン・プロピレン共重合体溶液を徐々に加えた後、ホモミキサーで攪拌した。次いで、n−ヘキサン溶剤と水の一部を水蒸気蒸留に留去し、エチレン・プロピレン共重合体のラテックス(質量平均粒子径=390nm)を得た。これをゴム質重合体(A2)として用いた。
得られたエチレン・プロピレン共重合体のラテックス70質量部(固形分換算)に、ピロリン酸ナトリウム0.08質量部、硫酸第一鉄七水塩0.004質量部、およびフラクトース0.18質量部を仕込み、内温を70℃に保った。これに、スチレン21質量部およびアクリロニトリル9質量部からなる単量体混合物(b)と、クメンハイドロパーオキサイド0.3質量部とを、各々別の供給口から140分かけて同時に滴下して重合を行った。この間、内温は70℃で一定に制御した。滴下終了後、さらに100分間70℃のまま保持した後に冷却してグラフト重合を完結させた。反応性生物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してグラフト重合体(B2)を得た。
なお、製造例2で用いたエチレン・プロピレン共重合体は、エチレン単位を71質量%、プロピレン単位を29質量%含む共重合体である。
得られたグラフト重合体(B2)をメタノールで洗浄した後、アセトンで抽出し、グラフト重合体(B2)のアセトン可溶分の質量平均分子量を測定したところ、141000であった。また、上記式(1)より求めたグラフト重合体(B2)のグラフト率は23.1%であった。
「製造例3:変性共重合体(C1)」
蒸留水250質量部とアルキルベンゼンスルホン酸2.0質量部を内温75℃に保ち、これにスチレン70質量部およびアクリロニトリル30質量部からなる単量体混合物(c)と、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](和光純薬工業株式会社製、「VA−061」)2.5質量部と、t−ドデシルメルカプタン0.5質量部とを120分かけて同時に滴下して重合を行った。この間、内温は75℃で一定に制御した。滴下終了後、さらに100分間75℃のまま保持した後に冷却して重合を終了した。反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して変性共重合体(C1)を得た。
得られた変性共重合体(C1)は、両末端のみにイミダゾリン基を有する共重合体と、一方の末端のみにイミダゾリン基を有する共重合体と、イミダゾリン基を有さない共重合体との混合物であり、質量平均分子量は92000であった。なお、質量平均分子量は、GPCにより測定し、ポリスチレン換算した値である。
蒸留水250質量部とアルキルベンゼンスルホン酸2.0質量部を内温75℃に保ち、これにスチレン70質量部およびアクリロニトリル30質量部からなる単量体混合物(c)と、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](和光純薬工業株式会社製、「VA−061」)2.5質量部と、t−ドデシルメルカプタン0.5質量部とを120分かけて同時に滴下して重合を行った。この間、内温は75℃で一定に制御した。滴下終了後、さらに100分間75℃のまま保持した後に冷却して重合を終了した。反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して変性共重合体(C1)を得た。
得られた変性共重合体(C1)は、両末端のみにイミダゾリン基を有する共重合体と、一方の末端のみにイミダゾリン基を有する共重合体と、イミダゾリン基を有さない共重合体との混合物であり、質量平均分子量は92000であった。なお、質量平均分子量は、GPCにより測定し、ポリスチレン換算した値である。
「製造例4:変性共重合体(C2)」
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のかわりに、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(和光純薬工業株式会社製、「V−501」)を用いた以外は、製造例3と同様の条件で重合し、反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して変性共重合体(C2)を得た。
得られた変性共重合体(C2)は、両末端のみにカルボキシ基を有する共重合体と、一方の末端のみにカルボキシ基を有する共重合体と、カルボキシ基を有さない共重合体との混合物であり、質量平均分子量は97000であった。
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のかわりに、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(和光純薬工業株式会社製、「V−501」)を用いた以外は、製造例3と同様の条件で重合し、反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して変性共重合体(C2)を得た。
得られた変性共重合体(C2)は、両末端のみにカルボキシ基を有する共重合体と、一方の末端のみにカルボキシ基を有する共重合体と、カルボキシ基を有さない共重合体との混合物であり、質量平均分子量は97000であった。
「製造例5:変性共重合体(C3)」
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のかわりに、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(和光純薬工業株式会社製、「VA−080」)を用い、内温を90℃とした以外は、製造例3と同様の条件で重合し、反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して変性共重合体(C3)を得た。
得られた変性共重合体(C3)は、両末端のみにヒドロキシ基を有する共重合体と、一方の末端のみにヒドロキシ基を有する共重合体と、ヒドロキシ基を有さない共重合体との混合物であり、質量平均分子量は91000であった。
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のかわりに、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}(和光純薬工業株式会社製、「VA−080」)を用い、内温を90℃とした以外は、製造例3と同様の条件で重合し、反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して変性共重合体(C3)を得た。
得られた変性共重合体(C3)は、両末端のみにヒドロキシ基を有する共重合体と、一方の末端のみにヒドロキシ基を有する共重合体と、ヒドロキシ基を有さない共重合体との混合物であり、質量平均分子量は91000であった。
「製造例6:変性共重合体(C4)」
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のかわりに、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](和光純薬工業株式会社製、「VA−086」)を用い、内温を95℃とした以外は、製造例3と同様の条件で重合し、反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して変性共重合体(C4)を得た。
得られた変性共重合体(C4)は、両末端のみにヒドロキシ基を有する共重合体と、一方の末端のみにヒドロキシ基を有する共重合体と、ヒドロキシ基を有さない共重合体との混合物であり、質量平均分子量は89000であった。
2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]のかわりに、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](和光純薬工業株式会社製、「VA−086」)を用い、内温を95℃とした以外は、製造例3と同様の条件で重合し、反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して変性共重合体(C4)を得た。
得られた変性共重合体(C4)は、両末端のみにヒドロキシ基を有する共重合体と、一方の末端のみにヒドロキシ基を有する共重合体と、ヒドロキシ基を有さない共重合体との混合物であり、質量平均分子量は89000であった。
「製造例7:酸変性共重合体」
蒸留水170質量部とアルキルベンゼンスルホン酸2.0質量部を内温75℃に保ち、ピロリン酸ナトリウム0.2質量部と過硫酸カリウム0.25質量部を加えた。次に、スチレン68質量部と、アクリルニトリル27質量部と、メタクリル酸5質量部と、t−ドデシルメルカプタン0.3質量部とを360分かけて同時に滴下して重合を行った。この間、内温は75℃で一定に制御した。滴下終了後、さらに100分間75℃のまま保持した後に冷却して重合を終了した。反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して酸変性共重合体を得た。
得られた酸変性共重合体は、分子鎖の両末端以外が酸変性された共重合体であり、質量平均分子量は112000であった。
蒸留水170質量部とアルキルベンゼンスルホン酸2.0質量部を内温75℃に保ち、ピロリン酸ナトリウム0.2質量部と過硫酸カリウム0.25質量部を加えた。次に、スチレン68質量部と、アクリルニトリル27質量部と、メタクリル酸5質量部と、t−ドデシルメルカプタン0.3質量部とを360分かけて同時に滴下して重合を行った。この間、内温は75℃で一定に制御した。滴下終了後、さらに100分間75℃のまま保持した後に冷却して重合を終了した。反応性生物のラテックスを塩酸カルシウム水溶液で凝固、水洗した後、乾燥して酸変性共重合体を得た。
得られた酸変性共重合体は、分子鎖の両末端以外が酸変性された共重合体であり、質量平均分子量は112000であった。
「製造例8:共重合体(D)」
蒸留水120質量部に、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.003質量部と、スチレン68質量%およびアクリロニトリル32質量%からなる単量体混合物(d)100質量部と、t−ドデシルメルカプタン0.35質量部と、過酸化ベンゾイル0.15質量部と、リン酸カルシウム0.5質量部とを添加して、110℃で10時間懸濁重合し、共重合体(D)を得た。
得られた共重合体(D)の質量平均分子量は102000であった。
蒸留水120質量部に、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.003質量部と、スチレン68質量%およびアクリロニトリル32質量%からなる単量体混合物(d)100質量部と、t−ドデシルメルカプタン0.35質量部と、過酸化ベンゾイル0.15質量部と、リン酸カルシウム0.5質量部とを添加して、110℃で10時間懸濁重合し、共重合体(D)を得た。
得られた共重合体(D)の質量平均分子量は102000であった。
「実施例1」
グラフト重合体(B1)を25質量部と、変性共重合体(C1)を75質量部とを混合し、30mm二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX−30α」)を用いて230℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂を得た。表1に熱可塑性樹脂の配合組成を示す。
得られた熱可塑性樹脂について、上記式(1)よりグラフト率を求めた。また、以下に示す方法により成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、以下に示す方法により表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
グラフト重合体(B1)を25質量部と、変性共重合体(C1)を75質量部とを混合し、30mm二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX−30α」)を用いて230℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂を得た。表1に熱可塑性樹脂の配合組成を示す。
得られた熱可塑性樹脂について、上記式(1)よりグラフト率を求めた。また、以下に示す方法により成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、以下に示す方法により表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
<測定・評価方法>
(成形加工性)
ISO 1133に準拠し、220℃でのメルトボリュームレート(MVR)を測定した。なお、MVRは熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の成形加工性の指標であり、数値が高いほど、成型加工性に優れることを意味する。
(成形加工性)
ISO 1133に準拠し、220℃でのメルトボリュームレート(MVR)を測定した。なお、MVRは熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物の成形加工性の指標であり、数値が高いほど、成型加工性に優れることを意味する。
(光沢性)
100×100mm(厚み2mm)の成形品の表面に対して、デジタル変角光計(スガ試験機株式会社製、「UGV−5D」)を用い、入射角60°、反射角60°での反射率を測定した。
100×100mm(厚み2mm)の成形品の表面に対して、デジタル変角光計(スガ試験機株式会社製、「UGV−5D」)を用い、入射角60°、反射角60°での反射率を測定した。
(剛性)
ISO 178に準拠し、10×80×4mmの成形品の曲げ弾性率を測定した。
ISO 178に準拠し、10×80×4mmの成形品の曲げ弾性率を測定した。
(耐衝撃性)
ISO 179に準拠し、測定温度23℃および−30℃の条件で、10×80×4mmの成形品のVノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
ISO 179に準拠し、測定温度23℃および−30℃の条件で、10×80×4mmの成形品のVノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
(耐候性)
サンシャインウェザーメーター(スガ試験機社製)を用い、100×100mm(厚み2mm)の成形品を、ブラックパネル温度63℃、サイクル条件;60分(降雨:12分)の環境下に1000時間暴露した。そして、1000時間の暴露前後の成形品の変色の度合い(ΔE)を、色差計を用いて測定した。
サンシャインウェザーメーター(スガ試験機社製)を用い、100×100mm(厚み2mm)の成形品を、ブラックパネル温度63℃、サイクル条件;60分(降雨:12分)の環境下に1000時間暴露した。そして、1000時間の暴露前後の成形品の変色の度合い(ΔE)を、色差計を用いて測定した。
「実施例2」
グラフト重合体(B1)の配合量を15質量部、変性共重合体(C1)の配合量を85質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を製造し、評価した。熱可塑性樹脂の配合組成、および評価結果を表1に示す。
グラフト重合体(B1)の配合量を15質量部、変性共重合体(C1)の配合量を85質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を製造し、評価した。熱可塑性樹脂の配合組成、および評価結果を表1に示す。
「実施例3」
グラフト重合体(B1)の配合量を71.4質量部、変性共重合体(C1)の配合量を28.6質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を製造した。
得られた熱可塑性樹脂35質量部と、共重合体(D)65質量部とを混合し、30mm二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX−30α」)を用いて230℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。表1に熱可塑性樹脂組成物の配合組成を示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてグラフト率を求め、成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、実施例1と同様にして表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
グラフト重合体(B1)の配合量を71.4質量部、変性共重合体(C1)の配合量を28.6質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を製造した。
得られた熱可塑性樹脂35質量部と、共重合体(D)65質量部とを混合し、30mm二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX−30α」)を用いて230℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。表1に熱可塑性樹脂組成物の配合組成を示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてグラフト率を求め、成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、実施例1と同様にして表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
「実施例4」
グラフト重合体(B1)を25質量部と、変性共重合体(C1)を20質量部と、共重合体(D)を55質量部とを混合し、30mm二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX−30α」)を用いて230℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。表1に熱可塑性樹脂組成物の配合組成を示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてグラフト率を求め、成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、実施例1と同様にして表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
グラフト重合体(B1)を25質量部と、変性共重合体(C1)を20質量部と、共重合体(D)を55質量部とを混合し、30mm二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX−30α」)を用いて230℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。表1に熱可塑性樹脂組成物の配合組成を示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてグラフト率を求め、成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、実施例1と同様にして表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
「実施例5〜7」
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例4と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてグラフト率を求め、成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、実施例1と同様にして表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例4と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてグラフト率を求め、成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、実施例1と同様にして表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
「比較例1」
変性共重合体(C1)を酸変性共重合体に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を製造し、評価した。熱可塑性樹脂の配合組成、および評価結果を表1に示す。
変性共重合体(C1)を酸変性共重合体に変更した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂を製造し、評価した。熱可塑性樹脂の配合組成、および評価結果を表1に示す。
「比較例2〜4」
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例4と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてグラフト率を求め、成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、実施例1と同様にして表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例4と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてグラフト率を求め、成形加工性を評価した。これらの結果を表1に示す。
また、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して各種成形品(試験片)を作製し、実施例1と同様にして表面外観(光沢性)、剛性、耐衝撃性、耐候性を評価した。これらの結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1、2の熱可塑性樹脂、および実施例3〜7の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性に優れていた。また、これらのグラフト率は、グラフト重合体(B1)単独のグラフト率よりも高いことから、グラフト重合体(B)と変性共重合体(C)とが反応し、効率的に長鎖のグラフト鎖をグラフト重合体(B)に導入できたことが示された。
また、各実施例の熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、耐候性、耐衝撃性、表面外観、および剛性に優れていた。
また、各実施例の熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、耐候性、耐衝撃性、表面外観、および剛性に優れていた。
一方、変性共重合体(C)のかわりに、分子鎖の両末端以外が酸変性された共重合体を用いた比較例1の熱可塑性樹脂は、実施例1、2の熱可塑性樹脂に比べてグラフト率が低く、効率的に長鎖のグラフト鎖がグラフト重合体(B)に導入されなかったことが示された。また、酸変性共重合体同士の架橋が進行し、成形加工性に劣っていた。また、比較例1の熱可塑性樹脂を成形した成形品は、表面外観に劣っていた。また、実施例1の成形品に比べて耐衝撃性にも劣っていた。
変性共重合体(C)を配合しなかった比較例2の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、実施例1の成形品に比べて耐衝撃性および表面外観に劣っていた。
低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含まないゴム質重合体(A2)に単量体混合物(b)がグラフト重合したグラフト重合体(B2)を用いた比較例3、4の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性に劣っていた。また、比較例3、4の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、耐衝撃性および表面外観に劣っていた。
なお、比較例4は変性共重合体(C1)を用いた例であるが、熱可塑性樹脂組成物とグラフト重合体(B2)のグラフト率が同じ値であることから、グラフト重合体(B2)は変性共重合体(C1)と反応しにくいことが示された。
変性共重合体(C)を配合しなかった比較例2の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、実施例1の成形品に比べて耐衝撃性および表面外観に劣っていた。
低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含まないゴム質重合体(A2)に単量体混合物(b)がグラフト重合したグラフト重合体(B2)を用いた比較例3、4の熱可塑性樹脂組成物は、成形加工性に劣っていた。また、比較例3、4の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形品は、耐衝撃性および表面外観に劣っていた。
なお、比較例4は変性共重合体(C1)を用いた例であるが、熱可塑性樹脂組成物とグラフト重合体(B2)のグラフト率が同じ値であることから、グラフト重合体(B2)は変性共重合体(C1)と反応しにくいことが示された。
Claims (3)
- エチレン・α−オレフィン共重合体および低分子量酸変性α−オレフィン共重合体を含むゴム質重合体(A)に、芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(b)をグラフト重合させたグラフト重合体(B)と、
芳香族ビニルおよびシアン化ビニルを含む単量体混合物(c)を共重合させた共重合体であり、一方または両方の分子末端に末端官能基を有する変性共重合体(C)と、
を反応して得られる反応物を含有する、熱可塑性樹脂。 - 前記末端官能基が、ヒドロキシ基、アミノ基、イミダゾリン基、エポキシ基、カルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂を含有する、熱可塑性樹脂組成物。
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2012
- 2012-12-03 JP JP2012264335A patent/JP2014108996A/ja active Pending
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