JP2009098632A - エレクトロクロミック表示デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1基板10と、第1電極20…と、第2基板30と、第2電極40…と、エレクトロクロミック組成物層50と、を備え、第1電極20…と第2電極40…との間の通電によって表示を実施するとともに、第1電極20…と第2電極40…との間に表示のための通電とは逆方向の通電によって表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイス100において、エレクトロクロミック組成物層50は、電子供与性染料前駆体としてのロイコ染料52aを含み、消去のための通電時にロイコ染料52aを吸着する吸着剤53(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)が添加されたエレクトロクロミック組成物52を備えている。
【選択図】図1
Description
第1基板と、前記第1基板の上面に設けられた第1電極と、前記第1基板の上方に当該第1基板に対向して設けられ、透明な材料により形成された第2基板と、前記第2基板の下面に設けられ、少なくとも一部が透明な電極材料により形成された第2電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間の通電によって表示を実施するとともに、前記第1電極と前記第2電極との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物層は、支持電解質と、極性溶剤と、電子供与性染料前駆体と、を含むエレクトロクロミック組成物を備え、
前記エレクトロクロミック組成物には、前記消去のための通電時に前記電子供与性染料前駆体を吸着する酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムが添加されていることを特徴とする。
第1基板と、前記第1基板の上面に設けられた第1電極と、前記第1基板の上方に当該第1基板に対向して設けられ、透明な材料により形成された第2基板と、前記第2基板の下面に設けられ、少なくとも一部が透明な電極材料により形成された第2電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間の通電によって表示を実施するとともに、前記第1電極と前記第2電極との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物層は、支持電解質と、極性溶剤と、電子供与性染料前駆体と、を含むエレクトロクロミック組成物を備え、
前記第1電極と前記エレクトロクロミック組成物層との間に、前記消去のための通電時に前記電子供与性染料前駆体を吸着する酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムを含む吸着層を備えることを特徴とする。
請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物は、下記の一般式(1)で表される化合物及び/又は下記の一般式(2)で表される化合物並びに下記の一般式(3)で表される化合物及び/又は下記の一般式(4)で表される化合物が添加されていることを特徴とする。
請求項1〜3の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記電子供与性染料前駆体は、ロイコ染料であり、
前記エレクトロクロミック組成物には、ヒンダードフェノール類が添加されていることを特徴とする。
請求項1〜4の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記極性溶剤は、前記支持電解質を用い通電性を示す有機溶媒の少なくとも1種であることを特徴とする。
請求項1〜5の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記支持電解質は、下記の一般式(5)で表される化合物及び/又は下記の一般式(6)で表される化合物であることを特徴とする。
請求項1〜6の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物には、ポリマー化合物が添加されていることを特徴とする。
請求項1〜7の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、並行して延びる複数の電極であり、
前記第2電極は、前記第1電極と直交する方向に並行して延びる複数の透明電極によりなる透明表示電極であり、
前記第1電極と前記第2電極とが立体交差する領域に画素が形成されることを特徴とする。
請求項1〜7の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、並行して延びる複数の電極であり、
前記第2電極は、透明表示電極部と、当該透明表示電極部に接続されたライン状電極部と、から構成される、前記第1電極と直交する方向に並行して延びる複数の電極であり、
前記第1電極と前記第2電極の透明表示電極部とが立体交差する領域に画素が形成されることを特徴とする。
請求項1〜9の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、金属電極であることを特徴とする。
請求項1〜9の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、透明電極であることを特徴とする。
請求項1〜7の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、透明表示電極部と、当該透明表示電極部に接続されたライン状電極部と、から構成される、並行して延びる複数の電極であり、
前記第2電極は、透明表示電極部と、当該透明表示電極部に接続されたライン状電極部と、から構成される、前記第1電極と直交する方向に並行して延びる複数の電極であり、
前記第1電極の透明表示電極部と前記第2電極の透明表示電極部とが相対して立体交差する領域に画素が形成されることを特徴とする。
請求項1〜12の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物層は、前記第1基板及び前記第2基板に対して略垂直方向に貫通する細孔を有する多孔質体を備え、
前記エレクトロクロミック組成物は、前記多孔質体の細孔内に導入されていることを特徴とする。
請求項1〜13の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
パッシブマトリックス駆動によって表示のための駆動をすることを特徴とする。
すなわち、消去のための通電時には、染料は酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムに吸着されるため、染料が表示電極と反対側の電極に移動して発色表示を形成してしまうことを防止することができる。したがって、表示のための通電とは逆方向に通電することによって表示を消去する際、通電量を厳密に制御しなくても、確実に表示を消去することができる。
すなわち、消去のための通電時には、染料は酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムに吸着されるため、染料が表示電極と反対側の電極に移動して発色表示を形成してしまうことを防止することができる。したがって、表示のための通電とは逆方向に通電することによって表示を消去する際、通電量を厳密に制御しなくても、確実に表示を消去することができる。
まず、第1の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス100について説明する。
図1は、第1の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス100を模式的に示す平面図(a)及び断面図(b)である。
第1の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス100は、例えば、第1基板10と、第1基板10の上面に設けられた第1電極20…と、第1基板10の上方に第1基板10に対向して設けられた第2基板30と、第2基板30の下面に設けられた第2電極40…と、第1基板10と第2基板20との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層50と、を備えて構成される。
エレクトロクロミック表示デバイス100は、第1電極20…と第2電極40…との間の通電によって表示を実施するとともに、第1電極20…と第2電極40…との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するようになっている。
第1電極20…は、例えば、並行して延びる複数の電極である。第2電極40…は、例えば、第1電極20…と直交する方向に並行して延びる複数の透明電極によりなる透明表示電極である。そして、第1電極20…と第2電極40…とが立体交差する領域に画素60…が形成されている。
第1電極20…は、エレクトロクロミック組成物層50に接するように、且つ、第2電極40…に対向してエレクトロクロミック組成物層50を挟むように、第1基板10の上面に設けられている。
第1電極20…は、第2電極40…と対になり、エレクトロクロミック組成物層50に通電する機能を有する。
第1電極20…は、第2電極40…と立体交差、すなわち、間隔を有して交差し、その交点の領域に画素60を形成している。
第2電極40…は、エレクトロクロミック組成物層50に接するように、且つ、第1電極20…に対向してエレクトロクロミック組成物層50を挟むように、第2基板30の下面に設けられている。
第2電極40…は、第1電極20…と対になり、エレクトロクロミック組成物層50に通電する機能を有する。
第2電極40…は、第1電極20…と立体交差、すなわち、間隔を有して交差し、その交点の領域に画素60を形成している。
無論、細孔51aの形状は、円形に限ることはなく、矩形などの多角形であっても良い。また、画素60の形状は正方形に限ることはなく、その他の多角形であっても良いし、円形であっても良い。
多孔質体51の細孔51a…の内部の少なくとも一部(多孔質体51の細孔51a…の壁)を構成している材料は、絶縁体材料又は半導体材料が好ましい。具体的には、金属のカルコゲナイド(例えば、酸化物、硫化物、セレン化物など)、シリコンが好ましく、金属酸化物がより好ましく、アルミニウム、アルミナ、所定の繊維(例えば、テフロン、ナイロン(米国デュポン社の登録商標)、ポリエステルなど)が最も好ましい。
公知の技術としては、例えば、(1)陽極電解酸化によって作成される陽極酸化アルミナ(例えば、Science,268,1466(1995))、(2)ダイヤモンドフィルム上にポーラスアルミナ膜を鋳型として置いてプラズマエッチングを行い、その後、ソフトエッチング(例えば、リン酸によるソフトエッチング等)によりポーラスアルミナ膜を溶かすことによって作成されるダイヤモンド多孔性ナノ構造体(例えば、Advanced Materials,12,444(2000))、(3)転写によって作成される金属多孔性構造体(例えば、特開平6−200378号公報)、(4)スパッタリング法によって基板上にアルミニウムシリコン混合膜を成膜し、混合膜中のアルミニウム領域(アルミニウムを含む柱状構造体領域)のみを選択的にエッチング(エッチング法としては、アルミニウムのみを選択的に溶解する酸やアルカリを用いたウエットエッチングが好ましい。)することによって作成されるシリコン多孔質膜(例えば、特開平8−186245号公報)、(5)自己組織化により作製した陽極酸化アルミナを用いて、細孔の凹凸構造をポリメタクリル酸メチルなどの重合体に一度転写した後、転写体上にゾルゲル反応などにより無機金属酸化物の層を形成させることによって作成される各種材料からなる多孔性ナノ構造体(例えば、特開平6−32675号公報)、(6)ブロック共重合体を利用して、数十ナノメートル間隔で膜方向に垂直に配向したミクロ相分離構造を形成することによりミクロ相分離構造膜を作成し、例えばシリンダー部分を溶解することによって作成される多孔質膜(例えば、特開2004−124088号公報、特開2005−314526号公報)、(7)高分子、金属、プラスチックなどに選択的エッチングにより細孔を形成することによって作成される多孔質膜、若しくは、作成された多孔質膜を鋳型として用い、他の高分子、金属、プラスチックなどに転写することによって作成される多孔質膜、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
好ましい材料としては、エレクトロクロミック組成物52は極性溶剤を構成成分としていることから、その極性溶剤に対して耐性のあるものが良く、例えば、ガラスペーストや極性溶剤耐性のある熱硬化性樹脂などを用いることができる。ガラスペーストとしては、例えば、旭硝子株式会社製AP誘電体ペーストAP5346G,AP5695BD、日本電気硝子株式会社製ガラスペーストPLS−3124、日本電気硝子株式会社製粉末ガラスLS−0241などが挙げられるが、これに限定されるものではない。極性溶剤耐性のある熱硬化性樹脂としては、例えば、1液性のエポキシ樹脂(具体的には、例えば、株式会社スリーボンド製スリーボンド2200シリーズのうち、2217,2217B,2219Dなど)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
好ましい材料としては、上述のとおり極性溶剤に対して耐性のあるものが良く、具体的には、例えば、アスペクト比の高い多孔質体51を、1回露光で得ることができる東京応化工業株式会社製MEMS用永久レジストTMMRS−2000などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
フィルタとして入手できる酸化アルミニウムによるメンブレンフィルタ(厚み:60μm、孔径:0.2μm,0.1μm,0.02μm)、ミリポア社製オム二ポアメンブレン(厚み:80μm,100μm、孔径:0.1μm,0.2μm,0.45μm,1.0μm,5μm,10μm)、ミリポア社製ナイロンネットフィルタ(厚み:55μm、目開き(糸と糸との間の隙間の大きさ):11μm,20μm,41μm,60μm,80μm)、ミリポア社製アイソポアメンブレン(厚み:10μm、孔径:0.05μm,0.1μm,0.22μm,0.4μm,0.6μm,0.8μm,1.2μm,2μm,3μm,5μm,8μm,10μm,12μm)、日東電工株式会社製超高分子量ポリエチレン多孔質フィルムサンマップ(厚み:100μm,200μm、孔径:17μm)、Sefar Inc.製NYTAL(ナイロンメッシュクロス)NY−20HC(厚み55μm、目開き:20μm),21T−53(厚み100μm、目開き:53μm),ASTM270−53(厚み60μm、目開き:53μm),NY5−HC(厚み100μm、目開き:5μm),NY1−HD(厚み75μm、目開き:1μm)、Sefa Inc.製PETEX(
ポリエステルメッシュクロス)PET51HC(厚み60μm、目開き:51μm),PET24(厚み70μm、目開き:24μm),PET11HC(厚み60μm、目開き:11μm)などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
そして、エレクトロクロミック組成物52には、第1電極20…と第2電極40…との間の消去のための通電時にロイコ染料52aを吸着する吸着剤53が添加されている。
また、エレクトロクロミック組成物52に添加可能な成分としては、例えば、エレクトロクロミック表示デバイス100の表示品質の劣化を抑制するための化合物(一般式が上記の式(1)で表される化合物及び/又は上記の式(2)で表される化合物並びに上記の式(3)で表される化合物及び/又は上記の式(4)で表される化合物)と、エレクトロクロミック組成物52の物性(例えば、増粘など)を調整するためのポリマー化合物と、ロイコ染料52aの発色を促すためのヒンダードフェノール類と、などが挙げられる。
具体的には、エレクトロクロミック組成物52は、第1電極20…と第2電極40…との間の通電によって発色し、発色のための通電とは逆方向の通電によって、又は、発色のための通電を遮断することによって消色する。
エレクトロクロミック組成物52は、流動性があれば良く、例えば、低粘度の液体状であっても良いし、高粘度のペースト状であっても良いし、流動性の小さいゲル状であっても良い。
ロイコ染料52aとしては、例えば、部分骨格にラクトン、ラクタム、スルトン、スピロピラン、エステル又はアミド構造を有する実用上無色となりうる化合物などが挙げられる。具体的には、例えば、トリアリルメタン化合物、ビスフェニルメタン化合物、キサンテン化合物、フルオラン化合物、チアジン化合物、スピロピラン化合物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
例えば、ロイコ染料52aが下記の式(17)で表される化合物、下記の式(18)で表される化合物及び下記の式(20)で表される化合物であれば、配合量は、エレクトロクロミック組成物52全体に対して3〜40重量%とすることができる。
支持電解質は、エレクトロクロミック組成物52全体の重量に対して、0.01〜20重量%となるように添加することが好ましく、前記機能の十分な発現のためには、0.1〜20重量%となるように添加することがより好ましい。
一般式が上記の式(5)で表される化合物の具体例としては、例えば、NaClO4、LiClO4、KClO4、RbClO4、CsClO4、NH4ClO4、LiBF4、LiPF6などが挙げられる。
また、一般式が上記の式(6)で表される化合物の具体例としては、例えば、(CH3)4NClO4、(C2H5)4NClO4、(n−C4H9)4NClO4、(CH3)4NBF4、(C2H5)4NBF4、(n−C4H9)4NBF4、(CH3)4NCl、(C2H5)4NCl、(CH3)4NBr、(C2H5)4NBr、(n−C4H9)4NBr、(n−C4H9)4NI、C6H5(CH3)3NClO4、C6H5(C2H5)3NClO4、C8H17(CH3)3NClO4、(C2H5)4NPF6、(n−C4H9)4NPF6、(CH3)4NCF3SO3、(C2H5)4NCF3SO3などが挙げられる。
極性溶剤の具体例としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルフォキシド、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルなどが挙げられる。例示した極性溶剤は、何れもエレクトロクロミック組成物52の構成成分として用いる極性溶剤として好ましいものであるが、特に好ましいものとしてはN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。
吸着剤53(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)の添加の態様は、特に限定されるものではないが、エレクトクロミック組成物52中に粉末で添加し、超音波やボールミル、ホモミキサーなどのホモジナイザーを用いて均一に分散し、エレクトロクロミック組成物52溶液の分散液として用いることが好ましい。
αアルミナのように表面積の小さい酸化アルミニウム、10μm以上の粒径を有する大きな酸化アルミニウム、表面積の小さい水酸化アルミニウム、10μm以上の粒径を有する水酸化アルミニウムは、ロイコ染料52aの吸着効果が小さく、十分な吸着動作を発現するためには、1グラムのロイコ染料52aに対して、0.5グラム〜5グラム、好ましくは1グラム〜3グラムの添加が好ましい。
また、γアルミナのように表面積の大きい酸化アルミニウム、1μm以下の粒径を有する小さい酸化アルミニウム、表面積の大きい水酸化アルミニウム、1μm以下の粒径を有する小さい酸化アルミニウムは、ロイコ染料52aの吸着効果が大きいため、1グラムのロイコ染料52aに対して、0.1グラム〜0.5グラムの添加で、十分な吸着動作を発現する。
また、薄層クロマトグラフィなどに用いられる活性アルミナの類は、数10μmの粒径を有する大粒子であっても、1グラムのロイコ染料52aに対して、0.1グラム〜0.5グラムの添加で、十分な吸着動作を発現する。
以下に、好適な市販の吸着剤53(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)の例を示すが、これらは例示であり、吸着剤53を限定するものではない。
市販の吸着剤53の具体例としては、例えば、メルク社製薄層クロマト用酸化アルミニウム60GNeutral(粒径4μm〜50μm)、日本軽金属製ローソーダアルミナLS235(粒径0.47μm),活性アルミナC200(粒径4.4μm),水酸化アルミニウムB1403(粒径1.5μm)、住友化学製γアルミナKC501(粒径1μm)などが挙げられる。
これらの化合物の添加量は、ロイコ染料52aの含有量に対して、1〜20重量%となるように添加することが好ましく、前記機能の十分な発現のためには、5〜20重量%となるように添加することが好ましい。
一般式が下記の式(57)で表される化合物並びに下記の式(58)で表される化合物及び/又は下記の式(59)で表される化合物は、ロイコ染料52aの発色、消色の繰り返し動作に伴うエレクトロクロミック表示デバイス100の表示品質の劣化を抑制する機能を有する化合物である。
式(58)中のR18、R19、R20及びR21は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基及びアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。ただし、R18、R19、R20及びR21は、すべてが同時に水素原子であることはない。隣り合うR18とR19は、互いに縮合し、5員又は6員の縮合環を形成しても良い。隣り合うR20とR21は、互いに縮合し、5員又は6員の縮合環を形成しても良い。
式(59)中のR22、R23、R24及びR25は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、水酸基及びアルコキシカルボニル基の中から選択される基を表す。ただし、R22、R23、R24及びR25は、すべてが同時に水素原子であることはない。隣り合うR22とR23及び隣り合うR24とR25は、一方又は両方が5員又は6員の縮合環を形成する。隣り合うR22とR23及び隣り合うR24とR25の一方が縮合環を形成する場合は、他方の2つの基は、共に水素原子である。
また、一般式が上記の式(58)で表される化合物及び/又は上記の式(59)で表される化合物の添加量は、ロイコ染料52aの含有量に対して、1〜20重量%とすることが好ましく、前記機能の十分な発現のためには、5〜20重量%とすることがより好ましい。
ポリマー化合物は、エレクトロクロミック組成物52の粘度を高めるために用いるが、この場合のエレクトロクロミック組成物52の性状は、低粘度の液体状、高粘度のペースト状、流動性の小さいゲル状、とすることができる。
ポリマー化合物の好ましい配合量は、エレクトロクロミック組成物52全体の重量に対して、0.1〜80重量%とすることが好ましい。
ポリマー化合物の具体例としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド、又は、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンスルフィドの繰返し単位を有する高分子、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリビニルブチラールのごときポリビニルホルマールなどが挙げられる。特に好ましいものとしては、ポリビニルブチラール、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
ヒンダードフェノール類の具体例としては、例えば、4−tert−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、2,2´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−sec−ブチリデンジフェノール、ビスフェノールA、4,4´−シクロへキシリデンジフェノール、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−3´,4´−ジメチルフェニルスルホン、4−(4´−イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノール、4,4´−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、1,4−ビス−(4´−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,3−ビス−(4´−ヒドロキクミル)ベンゼン、4,4´−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−di−tert−ペンチルフェニル)エチル]-4,6−di−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2,2´−メチレンビス(6−tert-ブチル−4−メチルフェノール)、4,4´−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスペンなどが挙げられる。
市販のヒンダードフェノール類(酸化防止剤)の具体例としては、例えば、住友化学社製のスミライザーGP,スミライザーMDP,スミライザーWXR,スミライザーGA80、チバスペシャリティケミカルズ社製のIrganox245,Irganox259,Irganox1222,Irganox1035FF,Irganox1098などを挙げることができる。
エレクトロクロミック表示デバイス100の製造方法は、以下の[1]〜[6]の工程を含む。
第1基板準備工程は、第1基板10を準備する工程である。
第1の蒸着工程は、第1基板10の片方の面に第1電極20…を設ける工程である。第1電極20…は、公知の蒸着法、メッキ法、スパッタ法などによって成膜され、次いで、フォトリソグラフィー法によってパターニングされ、次いで、エッチング法によって縞状に形成される。
第2基板準備工程は、第2基板30を準備する工程である。
第2の蒸着工程は、第2基板30の片方の面に第2電極40…を設ける工程である。第2電極40…は、公知の蒸着法、メッキ法、スパッタ法などによって成膜され、次いで、フォトリソグラフィー法によってパターニングされ、次いで、エッチング法によって縞状に形成される。
多孔質体設置工程は、第1電極20…が形成された第1基板10と、第2基板40…が形成された第2基板20と、の間に多孔質体51を設置する工程である。
具体的には、例えば、第1電極20…が形成された第1基板10と、第2電極40…が形成された第2基板20と、の間に、前述の材料(例えば、ミリポア社製ナイロンネットフィルタ(厚み:55μm、目開き:11μm))を挟みこむことによって、多孔質体51を形成する。
或いは、例えば、第1電極20…が形成された第1基板10及び/又は第2電極40…が形成された第2基板20における電極が形成された面に、ガラスペースト(例えば、日本電気硝子株式会社製ガラスペーストPLS−3124)などをスクリーン印刷することによって、多孔質体51を設置する。
或いは、例えば、第1電極20…が形成された第1基板10及び/又は第2電極40…が形成された第2基板20における電極が形成された面に、例えば、東京応化工業株式会社製MEMS用永久レジストTMMRS−2000をスピナーなどによって付与し、次いで、所定のマスクを用いて、フォトリソグラフィー法によりパターン状に立体成形することによって多孔質体51を形成して設置する。
貼りあわせ工程は、第1電極20…が形成された第1基板10と、第2電極40…が形成された第2基板20と、を電極を内側にして貼りあわせ、所定の添加物(吸着剤53、化合物(一般式が上記の式(1)で表される化合物及び/又は上記の式(2)で表される化合物並びに上記の式(3)で表される化合物及び/又は上記の式(4)で表される化合物)、ポリマー化合物、ヒンダードフェノール類など)が添加されたエレクトロクロミック組成物52を封入する工程である。なお、エレクトロクロミック組成物52には、一般式が上記の式(1)で表される化合物及び/又は上記の式(2)で表される化合物並びに上記の式(3)で表される化合物及び/又は上記の式(4)で表される化合物に代えて、一般式が下記の式(57)で表される化合物並びに下記の式(58)で表される化合物及び/又は下記の式(59)で表される化合物を添加しても良い。
具体的には、例えば、所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を多孔質体51に浸み込ませてエレクトロクロミック組成物層50を形成させ、このエレクトロクロミック組成物層50の両面に、第1電極20…が形成された第1基板10と、第2電極40…が形成された第2基板30と、貼りあわせる。
或いは、例えば、一方の基板(例えば、第1電極20…が形成された第1基板10)に設置された多孔質体51に所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を浸み込ませてエレクトロクロミック組成物層50を形成させ、このエレクトロクロミック組成物層50に他方の基板(例えば、第2電極40…が形成された第2基板30)を貼りあわせる。
或いは、例えば、第1電極20…が形成された第1基板10と、第2電極40…が形成された第2基板30と、を多孔質体51が設置された状態で貼りあわせ、多孔質体51が設置された2枚の基板間の空隙に、所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を、ピペット等を用い注入する。
或いは、例えば、第1電極20…が形成された第1基板10と、第2電極40…が形成された第2基板30と、を多孔質体51が設置された状態で貼りあわせ、多孔質体51が設置された2枚の基板間の空隙に、ガラスキャピラリなどを別途あらかじめ形成しておき、所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52を、そのガラスキャピラリなどを用いて多孔質体51内へと吸引することによって封入する。
エレクトロクロミック表示デバイス100は、例えば、パッシブマトリックス駆動によって、以下のように駆動される。
エレクトロクロミック表示デバイス100の発色は、第1電極20…と第2電極40…との間に通電することによってエレクトロクロミック組成物52に通電すると、エレクトロクロミック組成物層50と第2電極40…との界面(第2電極40…の表面)にてエレクトロクロミック組成物52が電気化学的な変化を起こすことによって行われる。また、エレクトロクロミック表示デバイス100の消色は、発色のための通電とは逆方向の通電によって、或いは、発色のための通電を遮断して放置することによって行われるが、発色のための通電とは逆方向の通電の方が、速やかに消去動作を実施することができる。
エレクトロクロミック表示デバイス100の発色濃度は、通電する電気量(通電量)によって任意に調整することができる。さらに、通電は、電流の連続的な供給によっても、電流の間歇的な供給によっても可能である。電流の間歇的な供給とは、例えば、パルスによる駆動を指す。一方、エレクトロクロミック表示デバイス100の発色は、通電の遮断によっても消色するが、電子ペーパーとして利用する場合には、発色を維持する必要がある。エレクトロクロミック表示デバイス100の表示の維持は、例えば、表示のために供給した電流よりも小さい電流の供給によって行うことができる。例えば、連続的な電流の供給であれば、発色の維持は、電圧又は電流を発色時の半分以下にして行うことができる。また、間歇的な電流の供給、すなわち、パルス駆動であれば、発色の維持は、例えば、通電期間を発色時よりも短くしたり、パルスの強度、幅、又は間隔を発色時よりも小さくしたりして行うことができる。
具体的には、エレクトロクロミック組成物52を多孔質体51に含浸して、多孔質体51の細孔51a…内にエレクトロクロミック組成物52を導入した場合、エレクトロクロミック組成物52内のロイコ染料52aは、例えば、図3に示すように、多孔質体51の細孔51a…内からエレクトロクロミック組成物層50と第2電極40との界面(第2電極40の表面)の表示領域へと移動して発色し、エレクトロクロミック組成物層50と第2電極40との界面(第2電極40の表面)から多孔質体51の細孔51a…内へと移動して消色する。したがって、本発明においては、ロイコ染料52aによる第2電極40の表面からの離脱は、ロイコ染料52aが多孔質体51の細孔51a…内へと移動しないと達成できないため、本発明におけるロイコ染料52aは、多孔質体51を利用しない表示デバイスのロイコ染料52aと比較して、第2電極40の表面からの離脱に時間がかかる。
したがって、ロイコ染料52aを即座に第2電極40の表面から離脱させて消色するためには、発色のための通電とは逆方向の通電を行う必要がある。
具体的には、ロイコ染料52aは溶液中で分極している。吸着剤53(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)は、比表面積が大きく吸着能力が高いという特徴を有するとともに、表面が分極している。発色表示のための通電においては、第2電極40は正帯電することから、電子供与性であるロイコ染料52aは、電子を第2電極40に供与して発色し、表示を行う。一方、消去のための通電では、表示と反対方向に通電を行うため、第2電極40は負帯電する。ロイコ染料52aは、その負帯電した第2電極40から電子を受容して消色し、発色は消去される。そして、無色となったロイコ染料52aは、第1電極20の方向へ移動するが、高い吸着能力を有するとともに表面が分極した吸着剤53の存在によって、第1電極20へは到達せずに、吸着剤53へと移動して、捕捉吸着される。これにより、第1の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス100においては、消去のための通電時に、ロイコ染料52aが、エレクトロクロミック組成物層50と第1電極20の界面(第1電極20の表面)に移動して発色することを防止することができる。
以下に、具体的な実施例によって本発明(第1の実施の形態)を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
第2基板30として、0.7mm厚の矩形状の無アルカリガラス基板を用い、その一方の面(下面)に、第2電極40…としてITOをスパッタ形成した。スパッタされたITOは、膜厚200nm、表面抵抗10Ω/□であった。スパッタ形成されたITOを、フォトリソグラフィー法を用いて、ストライプ幅0.42mm、ピッチ0.45mmとして、ストライプ状に、パターン形成した。
同様に、第1基板10として、矩形状の無アルカリガラス基板を用い、その一方の面(上面)に、第1電極20…としてITOをスパッタ形成した。スパッタされたITOは、膜厚200nm、表面抵抗10Ω/□であった。スパッタ形成されたITOを、フォトリソグラフィー法を用いて、ストライプ幅0.42mm、ピッチ0.45mmとして、128ラインのストライプ状に、パターン形成した。
以下、吸着剤53が添加されていないエレクトロクロミック組成物を、「エレクトロクロミック組成物B」、「エレクトロクロミック組成物C」と呼び、エレクトロクロミック組成物Bを備えるエレクトロクロミック表示デバイスを「表示デバイスB」と呼び、エレクトロクロミック組成物Cを備えるエレクトロクロミック表示デバイスを「表示デバイスC」と呼ぶ。
ロイコ染料(上記の式(20))400mg、
一般式が上記の式(1)で表される化合物(上記の式(21);2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン)40mg、
一般式が上記の式(3)で表される化合物(上記の式(52);コハク酸イミド)40mg、
ヒンダードフェノール類(住友化学社製のスミライザーGP)20mg、
一般式が上記の式(6)で表される化合物((n−C4H9)4NBF4)40mg、
極性溶剤(N,N−ジメチルアセトアミド)1.0g、
ポリマー化合物(ポリビニルブチラール;積水化学製エスレックBH3)50mg、
吸着剤53(酸化アルミニウム;日本軽金属製活性アルミナC200)100mgである。
ロイコ染料(上記の式(20))400mg、
一般式が上記の式(1)で表される化合物(上記の式(21);2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン)40mg、
一般式が上記の式(3)で表される化合物(上記の式(52);コハク酸イミド)40mg、
ヒンダードフェノール類(住友化学社製のスミライザーGP)20mg、
一般式が上記の式(6)で表される化合物((n−C4H9)4NBF4)40mg、
ポリマー化合物(ポリビニルブチラール;積水化学製エスレックBH3)50mg、
極性溶剤(N,N−ジメチルアセトアミド)1.0gである。
ロイコ染料(上記の式(20))400mg、
一般式が上記の式(6)で表される化合物((n−C4H9)4NBF4)40mg、
極性溶剤(N,N−ジメチルアセトアミド)1.0g、
ポリマー化合物(ポリビニルブチラール;積水化学製エスレックBH3)50mgである。
表示デバイスA、表示デバイスB、表示デバイスCのそれぞれに、パターン作製回路を接続した。そして、電圧2.0Vを印加し、パッシブマトリックス駆動表示によって、2値の表示パターンを形成した。すなわち、表示デバイスA、表示デバイスB、表示デバイスCのそれぞれについて、パッシブマトリックス回路の駆動により、第1電極20と第2電極40の交差する部分(画素60)の第2電極40の表面部分を中心として、ブラック色素を生成させ、ブラックのパターンを得た。
ブラックのパターンが表示された表示デバイスA、表示デバイスB、表示デバイスCのそれぞれに対し、電圧印加(通電)を止め、そのまま放置し、消去動作を実施した。
所定のタイミングで、2405型マイクロデンシトメーター(サカタインクスエンジアニリング)にて、最大反射濃度(OD値)を測定し、図4の結果を得た。
表示デバイスA、表示デバイスB、表示デバイスCのそれぞれに、電圧2.0Vを印加して表示動作を実施し、その後、表示のための電圧印加とは逆方向に電圧2.0Vを印加し消去動作を実施した。この表示動作及び消去動作を1000回繰り返した。
電圧印加の度に、2405型マイクロデンシトメーター(サカタインクスエンジアニリング)にて、最大反射濃度(OD値)を測定し、図5の結果を得た。
図5の「+2.0V」は表示のための電圧印加を示し、「−2.0V」は消去のための電圧印加を示す。
すなわち、表示デバイスAは、消去のための電圧印加(通電)によって完全に表示を消去できるとともに、繰り返し使用しても性能が劣化しないことが分かった。
すなわち、表示デバイスBは、繰り返し使用しても表示濃度は一定であるが、表示を消去することができないことが分かった。
すなわち、表示デバイスCは、表示を消去することができないとともに、繰り返し使用すると表示濃度が低下してしまうことが分かった。
すなわち、消去のための通電時には、ロイコ染料52aは吸着剤53に吸着されるため、ロイコ染料52aが表示電極(第2電極40)と反対側の電極(第1電極20)に移動して発色表示を形成してしまうことを防止することができる。したがって、表示のための通電とは逆方向に通電することによって表示を消去する際、通電量を厳密に制御しなくても、確実に表示を消去することができる。
すなわち、エレクトロクロミック組成物52を多孔質体51の細孔51a…内に導入するだけで、緻密で煩雑な工程を経て形成される隔壁を備えなくても、画素60,60間のクロストークを抑えることができる。さらに、多孔質体51に形成された細孔51a…は、第1基板10及び第2基板30に対して略垂直方向に貫通しているため、細孔がランダムに形成された多孔質体を使用する場合と比較して、解像力やコントラストが高くなり、簡易な構成で、高い表示性能を有することができる。
次に、第2の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス200について説明する。
なお、第2の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス200は、エレクトロクロミック組成物層50を構成するエレクトロクロミック組成物52に吸着剤53が添加(分散)されておらず、その代わりに、吸着剤53を含む吸着層70が、第1電極20…とエレクトロクロミック組成物層50との間に備えられている点のみが、第1の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス100と異なる。したがって、異なる箇所のみについて説明し、その他の共通する部分は同一符号を付して説明する。
第2の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス200は、例えば、第1基板10と、第1電極20…と、第2基板30と、第2電極40…と、エレクトロクロミック組成物層50と、第1電極20…とエレクトロクロミック組成物層50との間に設けられた吸着層70と、を備えて構成される。
そして、エレクトロクロミック組成物52に添加可能な成分としては、例えば、エレクトロクロミック表示デバイス100の表示品質の劣化を抑制するための化合物(一般式が上記の式(1)で表される化合物及び/又は上記の式(2)で表される化合物並びに上記の式(3)で表される化合物及び/又は上記の式(4)で表される化合物)と、エレクトロクロミック組成物52の物性(例えば、増粘など)を調整するためのポリマー化合物、ロイコ染料52aの発色を促すためのヒンダードフェノール類と、などが挙げられる。
なお、エレクトロクロミック組成物52には、一般式が上記の式(1)で表される化合物及び/又は上記の式(2)で表される化合物並びに上記の式(3)で表される化合物及び/又は上記の式(4)で表される化合物に代えて、一般式が下記の式(57)で表される化合物並びに下記の式(58)で表される化合物及び/又は下記の式(59)で表される化合物を添加しても良い。
吸着層70は、例えば、第1電極20…上に堆積されて、エレクトロクロミック組成物層50と接している。
具体的には、吸着層70は、例えば、吸着剤53や水溶性バインダーなどを水等の媒体中に均一に分散させて分散液を作成し、その分散液を第1電極20…上に塗布して乾燥させることによって形成される。
水溶性バインダーの添加量は、特に限定されるものではないが、吸着剤53に対して、0.1〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。水溶性バインダーの添加量が少なすぎると、塗布、形成された吸着層70が、接触等で剥がれやすくなる等の物理的損傷を受けやすい。一方、水溶性バインダーの添加量が多すぎると、吸着剤53(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)の吸着効果を阻害する。また、水溶性バインダーの添加量が多すぎると、電気抵抗を高める原因となり、通電量の低下等、エレクトロクロミック表示デバイス200の発色表示動作及び消去動作に、不都合な影響を与える。
以下に、好適な市販の酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムの例を示すが、これらは例示であり、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムを限定するものではない。
市販の吸着剤53の具体例としては、例えば、メルク社製薄層クロマト用酸化アルミニウム60GNeutral(粒径4μm〜50μm)、日本軽金属製ローソーダアルミナLS235(粒径0.47μm),活性アルミナC200(粒径4.4μm),水酸化アルミニウムB1403(粒径1.5μm)、住友化学製γアルミナKC501(粒径1μm)などが挙げられる。
エレクトロクロミック表示デバイス200の製造方法は、以下の[1]〜[7]の工程を含む。
第1基板準備工程は、第1基板10を準備する工程である。
第1の蒸着工程は、第1基板10の片方の面に第1電極20…を設ける工程である。
第2基板準備工程は、第2基板30を準備する工程である。
第2の蒸着工程は、第2基板30の片方の面に第2電極40…を設ける工程である。
吸着層設置工程は、第1基板に形成された第1電極20…の表面に、吸着層70を設置する工程である。
具体的には、例えば、吸着剤53(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)を、ポリビニルアルコール等の水溶性バインダーとともに、ボールミリング、ホモジナイザー、ホモミキサー、超音波分散機等を用いて、水等の媒体中に分散させて分散液を作成する。そして、その分散液を、第1電極20…の表面に、マイヤーバー、アプリケーターなどを用いて、塗布することによって、吸着層70を形成する。
多孔質体設置工程は、吸着層70及び第1電極20…が形成された第1基板10と、第2基板40…が形成された第2基板20と、の間に多孔質体51を設置する工程である。
貼りあわせ工程は、吸着層70及び第1電極20…が形成された第1基板10と、第2電極40…が形成された第2基板20と、を貼りあわせ、所定の添加物(化合物(一般式が上記の式(1)で表される化合物及び/又は上記の式(2)で表される化合物並びに上記の式(3)で表される化合物及び/又は上記の式(4)で表される化合物)、ポリマー化合物、ヒンダードフェノール類など)が添加されたエレクトロクロミック組成物52を封入する工程である。なお、エレクトロクロミック組成物52には、一般式が上記の式(1)で表される化合物及び/又は上記の式(2)で表される化合物並びに上記の式(3)で表される化合物及び/又は上記の式(4)で表される化合物に代えて、一般式が下記の式(57)で表される化合物並びに下記の式(58)で表される化合物及び/又は下記の式(59)で表される化合物を添加しても良い。
エレクトロクロミック表示デバイス200は、例えば、パッシブマトリックス駆動によって駆動される。
第2の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス200の駆動は、第1の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス100の駆動と略同一であるため、詳細な説明は省略する。
具体的には、ロイコ染料52aは溶液中で分極している。吸着剤53(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)は、比表面積が大きく吸着能力が高いという特徴を有するとともに、表面が分極している。発色表示のための通電においては、第2電極40は正帯電することから、電子供与性であるロイコ染料52aは、電子を第2電極40に供与して発色し、表示を行う。一方、消去のための通電では、表示と反対方向に通電を行うため、第2電極40は負帯電する。ロイコ染料52aは、その負帯電した第2電極40から電子を受容して消色し、発色は消去される。そして、無色となったロイコ染料52aは、第1電極20の方向へ移動するが、高い吸着能力を有するとともに表面が分極した吸着剤53の存在によって、吸着層70へと移動して、捕捉吸着される。これにより、第2の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス200においては、消去のための通電時に、ロイコ染料52aが、第1電極20の表面に移動して発色することを防止することができる。
以下に、具体的な実施例によって本発明(第2の実施の形態)を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
第2基板30として、0.7mm厚の矩形状の無アルカリガラス基板を用い、その一方の面(下面)に、第2電極40…としてITOをスパッタ形成した。スパッタされたITOは、膜厚200nm、表面抵抗10Ω/□であった。スパッタ形成されたITOを、フォトリソグラフィー法を用いて、ストライプ幅0.42mm、ピッチ0.45mmとして、60ラインのストライプ状に、パターン形成した。
同様に、第1基板10として、矩形状の無アルカリガラス基板を用い、その一方の面(上面)に、第1電極20…としてITOをスパッタ形成した。スパッタされたITOは、膜厚200nm、表面抵抗10Ω/□であった。スパッタ形成されたITOを、フォトリソグラフィー法を用いて、ストライプ幅0.42mm、ピッチ0.45mmとして、60ラインのストライプ状に、パターン形成した。
ロイコ染料(上記の式(20))400mg、
一般式が上記の式(58)で表される化合物(上記の式(67);2,5−ジ−tert−アミルキノン)40mg、
一般式が上記の式(57)で表される化合物(上記の式(60);トリフェニルアンチモン)35mg、
一般式が上記の式(6)で表される化合物((n−C4H9)4NBF4)40mg、
極性溶剤(N,N−ジメチルアセトアミド)1.0g、
ポリマー化合物(ポリビニルブチラール;積水化学製エスレックBH3)50mgである。
表示デバイスD−1に、パターン作製回路を接続した。そして、パッシブマトリックス駆動法を用いて、表示のための通電を行った。具体的には、1ライン当たり10m秒の速度で電圧5.0Vを印加し、0.6秒間で図7に示すようなブラックパターン(市松模様のパターン)を形成した。その後、印加する電圧を2.5Vにして、図7に示すようなブラックパターンを60秒間保持した。
次いで、図7に示すようなブラックパターンが表示された表示デバイスD−1に対し、表示と反対方向に通電(消去のための通電)を行った。具体的には、1ライン当たり10m秒の速度で電圧7.0Vを印加し、1秒間通電した。
表示デバイスD−1に、パターン作製回路を接続した。そして、パッシブマトリックス駆動法を用いて、表示のための通電を行った。具体的には、1ライン当たり10m秒の速度で電圧5.0Vを印加し、0.6秒間で図7に示すようなブラックパターンを形成した。その後、印加する電圧を2.5Vにして、図7に示すようなブラックパターンを60秒間保持した。
次いで、図7に示すようなブラックパターンが表示されたD−1に対し、電圧印加(通電)を止め、そのまま放置し、消去動作を実施した。
これにより、通電による消去動作は、放置による消去動作よりも速やかな消去動作を実施できることが分かった。
表示デバイスD−2に、パターン作製回路を接続した。そして、パッシブマトリックス駆動法を用いて、表示のための通電を行った。具体的には、1ライン当たり10m秒の速度で電圧5.0Vを印加し、0.6秒間で図7に示すようなブラックのパターンを形成した。その後、印加する電圧を2.5Vにして、図7に示すようなブラックのパターンを60秒間保持した。
次いで、図7に示すようなブラックパターンが表示された表示デバイスD−2に対し、表示と反対方向に通電(消去のための通電)を行った。具体的には、1ライン当たり10m秒の速度で電圧7.0Vを印加し、1秒間通電し、さらに3秒間通電した。
さらに、表示デバイスD−2においては、引き続き行った3秒間の消去のための通電によって、ブラックのパターンの表示濃度が増加し、ロイコ染料52aが表示電極(第2電極40)と反対側の電極(第1電極20)に移動することを確認した。
これにより、吸着層70を備えていないと、確実に表示を消去できないことが分かった。
すなわち、消去のための通電時には、染料は酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムに吸着されるため、染料が表示電極と反対側の電極に移動して発色表示を形成してしまうことを防止することができる。したがって、表示のための通電とは逆方向に通電することによって表示を消去する際、通電量を厳密に制御しなくても、確実に表示を消去することができる。
第1の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス100は、第1電極20…と第2電極40…との間に通電することによって、多孔質体51の細孔51a内に導入された、所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52に通電することができれば良く、例えば、図8に示す、エレクトロクロミック表示デバイス100Aのように、多孔質体51の細孔51a…の底部を閉じる導電性部材54Aを備えていても良い。
第2の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス200も同様である。
第1の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス100は、第1電極20…と第2電極40…との間に通電することによって、多孔質体51の細孔51a内に導入された、所定の添加物が添加されたエレクトロクロミック組成物52に通電することができれば良く、第1電極20…と第2電極40…は、例えば、図9に示す、エレクトロクロミック表示デバイス100Bの第1電極20B…と第2電極40B…であっても良い。
第2の実施の形態のエレクトロクロミック表示デバイス200も同様である。
第1電極20B…は、エレクトロクロミック組成物層50に接するように、且つ、第2電極40B…に対向してエレクトロクロミック組成物層50を挟むように、第1基板10の上面に設けられている。
第1電極20B…は、第2電極40B…と対になり、エレクトロクロミック組成物層50に通電する機能を有する。
第1電極20B…は、第2電極40B…の透明表示電極部41Bと立体交差、すなわち、間隔を有して交差し、その交点の領域に画素60を形成している。
第2電極40B…は、エレクトロクロミック組成物層50に接するように、且つ、第1電極20B…に対向してエレクトロクロミック組成物層50を挟むように、第2基板30の下面に設けられている。
第2電極40B…は、第1電極20B…と対になり、エレクトロクロミック組成物層50に通電する機能を有する。
第2電極40B…の透明表示電極41B…は、第1電極20B…と立体交差、すなわち、間隔を有して交差し、その交点の領域に画素60を形成している。
20,20B 第1電極
30 第2基板
40,40B 第2電極
50,50A エレクトロクロミック組成物層
51 多孔質体
51a 細孔
52 エレクトロクロミック組成物
52a ロイコ染料(電子供与性染料前駆体)
53 吸着剤(酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウム)
60 画素
70 吸着層
100,200,100A,100B エレクトロクロミック表示デバイス
Claims (14)
- 第1基板と、前記第1基板の上面に設けられた第1電極と、前記第1基板の上方に当該第1基板に対向して設けられ、透明な材料により形成された第2基板と、前記第2基板の下面に設けられ、少なくとも一部が透明な電極材料により形成された第2電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間の通電によって表示を実施するとともに、前記第1電極と前記第2電極との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物層は、支持電解質と、極性溶剤と、電子供与性染料前駆体と、を含むエレクトロクロミック組成物を備え、
前記エレクトロクロミック組成物には、前記消去のための通電時に前記電子供与性染料前駆体を吸着する酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムが添加されていることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 第1基板と、前記第1基板の上面に設けられた第1電極と、前記第1基板の上方に当該第1基板に対向して設けられ、透明な材料により形成された第2基板と、前記第2基板の下面に設けられ、少なくとも一部が透明な電極材料により形成された第2電極と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられたエレクトロクロミック組成物層と、を備え、前記第1電極と前記第2電極との間の通電によって表示を実施するとともに、前記第1電極と前記第2電極との間の当該表示のための通電とは逆方向の通電によって当該表示の消去を実施するエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物層は、支持電解質と、極性溶剤と、電子供与性染料前駆体と、を含むエレクトロクロミック組成物を備え、
前記第1電極と前記エレクトロクロミック組成物層との間に、前記消去のための通電時に前記電子供与性染料前駆体を吸着する酸化アルミニウム及び/又は水酸化アルミニウムを含む吸着層を備えることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物は、下記の一般式(1)で表される化合物及び/又は下記の一般式(2)で表される化合物並びに下記の一般式(3)で表される化合物及び/又は下記の一般式(4)で表される化合物が添加されていることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記電子供与性染料前駆体は、ロイコ染料であり、
前記エレクトロクロミック組成物には、ヒンダードフェノール類が添加されていることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜4の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記極性溶剤は、前記支持電解質を用い通電性を示す有機溶媒の少なくとも1種であることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜6の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物には、ポリマー化合物が添加されていることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜7の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、並行して延びる複数の電極であり、
前記第2電極は、前記第1電極と直交する方向に並行して延びる複数の透明電極によりなる透明表示電極であり、
前記第1電極と前記第2電極とが立体交差する領域に画素が形成されることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜7の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、並行して延びる複数の電極であり、
前記第2電極は、透明表示電極部と、当該透明表示電極部に接続されたライン状電極部と、から構成される、前記第1電極と直交する方向に並行して延びる複数の電極であり、
前記第1電極と前記第2電極の透明表示電極部とが立体交差する領域に画素が形成されることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜9の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、金属電極であることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜9の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、透明電極であることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜7の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記第1電極は、透明表示電極部と、当該透明表示電極部に接続されたライン状電極部と、から構成される、並行して延びる複数の電極であり、
前記第2電極は、透明表示電極部と、当該透明表示電極部に接続されたライン状電極部と、から構成される、前記第1電極と直交する方向に並行して延びる複数の電極であり、
前記第1電極の透明表示電極部と前記第2電極の透明表示電極部とが相対して立体交差する領域に画素が形成されることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜12の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
前記エレクトロクロミック組成物層は、前記第1基板及び前記第2基板に対して略垂直方向に貫通する細孔を有する多孔質体を備え、
前記エレクトロクロミック組成物は、前記多孔質体の細孔内に導入されていることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。 - 請求項1〜13の何れか一項に記載のエレクトロクロミック表示デバイスにおいて、
パッシブマトリックス駆動によって表示のための駆動をすることを特徴とするエレクトロクロミック表示デバイス。
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