JP2014052510A - エレクトロクロミック表示装置およびその駆動方法 - Google Patents

エレクトロクロミック表示装置およびその駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価な多色EC表示素子を提供すること。
【解決手段】表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持された表示層を有する表示素子であって、1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量が異なる複数の表示層が積層されたことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示素子、詳しくは、エレクトロクロミック表示素子を用いたディスプレイに関し、反射型ディスプレイ、電子ペーパーに応用される。
紙に替わる電子媒体として電子ペーパーの開発が盛んにおこなわれている。従来のディスプレイであるCRTや液晶ディスプレイに対して電子ペーパーに必要な特性又は好ましい特性としては、反射型表示素子であり、かつ、高い白反射率・高いコントラスト比を有すること、高精細な表示ができること、表示にメモリ効果があること、低電圧で駆動できること、薄くて軽いこと、安価であることなどが挙げられる。特に表示特性としては、紙と同等な白反射率・コントラスト比が要求されており、これらの特性を兼ね備えた表示デバイスを開発することは容易ではない。これまで提案されている電子ペーパーの技術としては、例えば反射型液晶素子、電気泳動素子、トナー泳動素子などが挙げられるが、いずれも白反射率が低い。
電圧を印加すると可逆的に電界酸化または電界還元反応が起こり可逆的に色変化する現象をエレクトロクロミズムといわれるが、このような現象を起こすエレクトロクロミック(以下、ECと略す場合がある)化合物の発色/消色を利用したEC表示素子は、反射型の表示素子であり高い白反射率が可能であること、高いコントラスト比が得られること、メモリ効果があること、低電圧で駆動できることから、電子ペーパーの候補として挙げられる。特許文献1〜3では酸化チタンなどの半導体性微粒子の表面に有機EC化合物を担持させたEC表示素子について報告している。このEC素子は半導体性微粒子の表面積効果により非常に効率良く発消色させることができ、繰り返し耐久性も高いことが知られている。
さらに、EC表示素子は材料構造によって様々な色を発色できるため多色表示素子としても期待されている。特にEC表示素子の特徴である高い白反射率、高いコントラスト比を失わずに多色表示をおこなうには各色を並列配置するのではなく積層し、各層を個別に発色・消色させることが望ましい。
そこで、特許文献4、5では、積層構造のEC表示素子を各層ごとに発色・消色閾値電圧を変えることにより個別に発色・消色する方法を提案している。
具体的には、導電性または半導体性微粒子の表面に絶縁性または半導体性物質を付着させる方法(特許文献4)や、導電性または半導体性微粒子の加熱処理条件を変える方法である(特許文献5)。
これらの方法においても発色・消色閾値電圧制御は可能であるが、より簡便な方法によるコストダウンが望まれている。
本発明の課題は、以上のような問題点に鑑みなされたものであり、安価な多色EC表示素子を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、1次粒子径1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量を変えてEC表示素子を作製すると発色・消色する閾値電圧が大きく異なることを見いだし、この現象に基いてさらに検討を重ねて、本発明の多色EC表示素子を開発するに至った。
斯して、上記課題は、本発明の(1)「表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持された表示層を有する表示素子であって、1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量が異なる複数の表示層が積層されたことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。」、(2)「前記表示層ごとに異なる1次粒子径が1nm以上10nm以下である導電性または半導体性微粒子の含有量の各層ごとの差が10%以上30%以下であることを特徴とする前記(1)項に記載のエレクトロクロミック表示素子。」
により達成される。
また、本発明は、つぎのような「エレクトロクロミック表示素子」及び「エレクトロクロミック表示素子の駆動方法」を包含する。
(3)「前記複数の表示層は、少なくとも、前記微粒子の含有量がより少ない表示層(1)と前記微粒子の含有量がより多い表示層(2)とを含み、前記表示層(1)は、発消色のための駆動閾値電圧(Vc1、Vd1)がより低いものであり、前記表示層(2)は、発消色のための駆動閾値電圧(Vc1,Vd1)がより高いものであること(但し、該表示層(1)発色のための駆動電圧(Vc1)と消色のため駆動電圧(Vd1)とは極性が逆であり、該表示層(2)発色のための駆動電圧(Vc2)と消色のため駆動電圧(Vd2)も極性が逆である)を特徴とする前記(1)項または(2)項に記載のエレクトロクロミック表示装置。」
(4)「前記微粒子の含有量がより多い表示層(1)の発色時の色調と、前記微粒子の含有量がより少ない表示層(2)の発色時の色調とが異なることを特徴とする前記(3)項に記載のエレクトロクロミック表示装置。」
(5)「前記表示層(1)及び(2)とは発色時の色調、及び、発消色のための駆動閾値電圧が異なるその余の表示層(3)を更に含むものであることを特徴とする前記(3)項又は(4)項に記載のエレクトロクロミック表示装置。」
(6)「前記(4)項又は(5)項に記載の表示装置に、前記表示層(1)のみを発色させるため、前記表示層(1)発色のためのより低い駆動閾値電圧(Vc1)以上でかつ前記表示層(2)発色のための駆動閾値電圧(Vc2)よりも低い電圧を特定域に印加する操作と、前記表示層(1)及び表示層(2)を同時に発色させて両者の混合色を呈色させるため、前記表示層(2)発色のための高い発色駆動閾値電圧(Vc2)以上の電圧を特定域に印加する操作と、前記表示層(2)のみを発色状態に保持するため、前記発色駆動閾値電圧(Vc2)以上の電圧を印加した後、前記表示層(1)消色のためのより低い駆動閾値電圧(Vd1)以上でかつ前記表示層(2)消色のためのより高い駆動閾値電圧(Vd2)未満の電圧を印加する操作と、前記表示層(1)及び表示層(2)の双方を消色させて初期状態にするため、前記表示層(2)消色のための高い消色駆動閾値電圧(Vd2)以上の電圧を印加する操作とが、選択可能であることを特徴とするエレクトロクロミック表示素子の駆動方法。」
以下の詳細かつ具体的説明から明らかなように、本発明により、導電性または半導体性微粒子の1次粒子径が1nm以上10nm以下の含有量を変えるのみで閾値電圧を変えることができるため、積層構造による多色表示媒体を安価で提供できる。
本発明の多色表示素子の構成例を示した図である。 本発明の多色表示素子による色表示の一例を示した図である。
上記のように、本発明の多色表示素子の特徴は、表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持された表示層を有する表示素子であって、1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量が異なる複数の表示層が積層されたことである。
ここで、上記のように、1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量を変えてEC表示素子を作製すると発色・消色する閾値電圧が大きく異なることが見い出され、この現象を用いることで本発明の多色表示素子を開発するに至った。
1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子が存在することにより、表示層中の界面が増え、かつ、EC表示素子作製の際の粒子同士の部分焼結により粒子同士が密着して導電特性が変化する等の理由のためか、表示層の特性が変化する。
特に1次粒子径が1nm以上10nm以下であれば、導電特性を顕著に変化させることを見出した。
そして、導電特性を変化させる1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量を変えることにより発色・消色する閾値電圧が大きく異なることを見いだした。
本発明の多色表示素子の構成例を図1に示し、以下に説明する。ただし、本発明の多色表示素子の構成は図1に限ることではない。
本発明の多色表示素子は、表示電極に異なる色を発色する複数の表示層(表示層(1)及び表示層(2)の2つの表示層)が積層された構造である。各表示層(1)(2)は、導電性または半導体性微粒子とその表面に吸着した有機EC化合物から成るEC組成物を含んでいる。この図の例では、本発明についての理解を容易にするため、表示層(1)及び表示層(2)の2つの表示層を有するものが示されているが、無論、本発明においては更にその余の表示層(3)を含んでいてもよい。表示電極の作製手順を示す。
まず、分散液を調整する。
本発明に使用する導電性または半導体性微粒子の1次粒径は1nm以上500nm以下が好ましく、1nm以上300nm以下がより好ましい。
1次粒径が1nm以上500nm以下とすることにより非常に大きな比表面積をもつことができ、効率良く電荷が授受できる。さらに透明な膜を形成することができるため表示素子として大きな利点がある。
表示層中の1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性超微粒子の含有量は、次の加熱処理工程での加熱程度にもよる(高温になれば1nm〜10nmの超微粒子の含有率は焼結の進行により減少)が、主に分散液中に含有させる1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の量によって変化させることができる。
作製されたEC表示素子の表示層中の1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量は0%よりも多く、50%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5%以上30%以下である。
前記分散液を焼結処理(加熱や加圧)した結果、表示層ごとに1次粒径が1nm以上10nm以下である導電性または半導体性微粒子の含有量を異ならせることが好ましく、さらにこのましくは各層ごとの該含有量の差が1%以上30%以下であり、さらに好ましくは5%以上30%以下であり、さらに好ましくは10%以上30%以下であることである。
各層ごとの前記含有量の差が1%以上30%以下であれば、電荷異動特性に差を持たせることがきて閾値電圧の違いによる発色をよりはっきりさせることができ、複数の表示層における多孔質な導電性または半導体性微粒子の孔に含有されたEC材料のそれぞれを確実に変色させることができる。
各層ごとの前記含有量の差が10%以上30%以下であれば、フルカラー表示であっても高コントラストでの表示が可能となる。
各層ごとの前記含有量の差が30よりも大きくなると、閾値電圧が大きくなり、省エネの観点から好ましくない。
1次粒径が1nm以上10nm以下である導電性または半導体性微粒子の含有量は異なっていればよく、順序はいずれでも(表示電極側が多くても、対向電極側が多くても)よい。
表示層中の1次粒径が1nm以上10nm以下である導電性または半導体性微粒子の含有量は50%以下が好ましい。
1次粒径が1nm以上10nm以下である導電性または半導体性微粒子の含有量が50%よりも多いと多孔質な空洞部が少なくなりEC材料の含有量が減って発色不足になる傾向がある。
表示層中の1nm以上10nm以下である導電性または半導体性微粒子の含有量は焼結処理によって変えることもできるし、分散液中の1次粒径が0.1nm以上10nmの導電性または半導体性微粒子の量によって変えることもできる。
含有量および1次粒子径は表示層の断面の電子顕微鏡の画像から求めることができる。
電子顕微鏡での観察画像から得られる粒子の投影面積に等しい円の直径(円相当径)を1次粒子径と定義する。
そして300個以上の粒子の円相当径を測定し、その分布を個数基準で算出し、1nm以上10nm以下の積算値を含有量と定義する。
また、本発明における1次粒子径が1nm以上10nm以下である半導体微粒子の含有量の測定は、SEM観察で得られた半導体部の画像から各半導体微粒子の投影面積と同等の円相当径(1次粒子径)を測定してその分布を個数基準で求め、1次粒子径が1nm以上10nm以下である半導体微粒子の積算値を得、全粒径の半導体微粒子総計に対する前記積算値の割合(%)を算出することにより、含有量を求めることによる。
導電性または半導体性微粒子の材質は特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でも酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
半導体粒子を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
分散体には、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。
さらに樹脂を添加してもよい。
この時に使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
この時加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
分散は一般的に知られている手法を用いることができ、例えばビーズミル、ペイントシェーカー等のメディア分散、超音波やローターによるせん断などを利用したホモジナイザー、ジェットミルなどで分散することができる。
調製した微粒子分散溶液を透明電極付き基板上に塗布し、表示層(1)を形成する。
本発明の多色表示素子の表示電極に用いる透明導電基板としては、ガラス、あるいはプラスチックフィルムにITO、FTO、ZnOなどの透明導電薄膜をコーティングしたものが望ましい。
塗布方法としては、スクリーン印刷法、スピンコート法、スキージ法、ドクターブレード法、スプレー法、インクジェット法などがありどれを用いても構わない。一般に厚い膜を形成するためにはスクリーン印刷法、スキージ法などが有用な方法である。また、表示層は、透明電極付き基板上に任意のパターンで形成しても構わない。本発明の多色表示素子は、透明電極付き基板の全面に表示層を設けた場合においても部分的に電圧を印加することでその部分のみを発色させることができるが、電荷がわずかに拡散するため発色画像が少しぼやけてしまうことがある。そこで、あらかじめ表示層を画素ごとに高精細にパターニングしておくことで、電荷の拡散による画像のぼやけを防ぎ、シャープな発色画像を得ることができる。
塗布後、加熱処理を行なっても構わない。加熱処理温度は、透明電極付き基板に影響がない程度の温度までならば何℃でも構わない。例えば基板の材質がガラスであるならば600℃程度までなら構わない。
加熱処理はマイクロ波を用いてもよい。マイクロ波は数百メガヘルツより大きな周波数をもつ電磁波であり、特に、2.45ギガヘルツの周波数のものは電子レンジなどに用いられ、水などを瞬時に加熱することができる。そこで、本発明の表示電極に2.45ギガヘルツのマイクロ波を照射すると表示層が急速に加熱されることが分かった。さらに、このマイクロ波照射では表示層内の微粒子および水が選択的に加熱され、有機EC化合物には影響が少ないことが分かった。
また、照射強度と照射時間を制御することで表示層を様々な温度に調節できることが分かった。従って、通常の加熱処理と比較して、有機EC化合物にダメージを与えずに高温処理できる、低温でも水を除去することができるといった利点がある。
一方、本発明で表示層形成時に用いられ含有量の違いにより表示層の駆動のための電圧の閾値幅を左右する超微粒の無機導電性または半導体性微粒子は、また、超微粒子であるが故の高活性(所謂「超微粒子が呈する量子的特性」)のためか、そのような比較的低温では変化しないが、高温処理した場合は、超微粒子であるが故の高活性(所謂「超微粒子が呈する量子的特性」)のためか、速やかに部分焼結された表示層を形成する。ある程度の表面の平滑化やガラス化等を生じ、或いはさらに、比較的大きい粒子同士の間に形成される大きな隙間に超微粒子が入り込むことで隙間を埋めるということで、導電性等表示層の性質変化(EC材料の吸着能の変化)を生じる。
換言すれば、導電率増大は、1次粒径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子が焼結により溶けて密着することによる。しかし、1次粒径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子が増えることは、表示層中の界面が増えて、抵抗が増すことになります。またEC材料の吸着状態による電荷移動能力も変わることになる。そのバランスで、閾値電圧が決まっていると推測している。
また加熱処理に代えて、または合わせて、加圧処理をしてもよい。加圧処理をおこなうにはプレス装置を用いることが最も簡便である。加える圧力値は10000fkg/cm程度までが好ましい。10000fkg/cmより大きいと加圧プレス処理により表示層を破損してしまう恐れがある。
次に有機EC化合物を微粒子層に吸着させる。吸着方法は、特にどのような方法を用いても構わないが、簡便な方法としては、末端にホスホン酸、カルボン酸などの吸着基を有する有機EC化合物を水、アルコールなどに溶解させ微粒子層を浸漬することが挙げられる。
次に、表示層(2)を表示層(1)上に積層形成する。
表示層(2)と表示層(1)の1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量の差は1%以上30%以下が好ましく、さらに好ましくは5%以上30%以下であり、さらに好ましくは10%以上30%以下である。
表示層が3層以上ある場合は、隣り合う層の1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量の差は1%以上30%以下が好ましく、さらに好ましくは5%以上30%以下であり、さらに好ましくは10%以上30%以下である。各層間の差は同じでもよいし、異なっていても良い。
表示層(2)の1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量は分散液中の1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量を変化させることによって変えてもよいし、加熱処理、加圧処理条件を変化させることによって変えてもよい。
加熱処理、加圧処理によって近接する微粒子同士が少なくとも部分的に焼結するからである。
なお加熱処理する場合は、表示層(1)に吸着させた有機EC化合物発色および消色機能が失われる温度以下で加熱する必要がある。ここで、有機EC化合物の発色および消色機能が失われる温度とは、加熱によるエネルギーによって分子内の化学結合が切れたり、酸素などの他の原子が付加したり、化合物同士が二量化や重合反応を起こしたりすることで分子の構造が変わり、その結果、電荷の授受により色変化が起こらなくなってしまう温度と定義する。この温度は化合物の種類によって異なるが、一般的な有機EC化合物では150℃程度である。
最後に表示層(1)で用いた化合物とは異なる色を発色する有機EC化合物を微粒子層に吸着させ、表示層(2)を作製する。
さらに、図示してないその余の表示層(3)を1層又は複数層、積層させる場合は上記の表示層(2)の形成と同様の工程を繰り返しおこなえばよい。
各々の表示層の厚さは0.1〜100μm程度が望ましく、十分な発色濃度および高速な発色・消色応答を得るには1〜10μm程度がさらに望ましい。
有機EC化合物としては、ビオロゲン系化合物、スチリル系化合物、フェノチアジン系化合物などが挙げられるが、還元発色性であること、分子構造によって多くの色を発色できることからビオロゲン系化合物を用いることが望ましい。また、微粒子表面に担持するために吸着部位を有する必要がある。吸着部位としては、ホスホン酸、カルボン酸、スルホン酸、サリチル酸などの酸性構造がよく、特にホスホン酸構造は強い吸着能を有するのでもっとも有用な構造である。各表示層について複数種類の有機EC化合物が吸着しても構わない。有機EC化合物は分子構造によって様々な色を発色できため、複数種類の化合物の組み合わせによって多彩な色を発色することができる。有機EC化合物を担持するには、有機EC化合物を水、アルコール、あるいは有機溶媒に溶解させ、透明導電極付き基板を浸漬する。溶液の濃度は0.01mol/lから1mol/l程度が好ましい。浸漬時間は10分から50時間程度が好ましく、より好ましくは1時間から24時間程度である。
本発明の多色表示素子を用いてEC表示素子を作製するには、例えば、表示電極とスペーサー部材を介して対向電極を配置し、両基板の間に電解質を封入する。また、白色反射部位として、対向基板に白色反射層を形成する、または、電解質中に白色顔料微粒子を分散させる。
対向電極としては、ガラス、あるいはプラスチックフィルムにITO、FTO、ZnOなどの透明導電薄膜をコーティングしたもの、亜鉛や白金などの導電性金属膜をコーティングしたものなどを用いる。ITO、FTO、ZnOなどの透明導電薄膜をコーティングした基板を用いる場合は、酸化錫微粒子やITO微粒子など、比表面積の大きな導電性粒子を形成すると電荷を効率良く授受することができる。
電解質としては、過塩素酸リチウム、ホウフッ化リチウムなどのリチウム塩をアセトニトリル、炭酸プロピレンなどの有機溶媒に溶解させた溶液系、パーフルオロスルフォン酸系高分子膜などの固体系などがある。溶液系はイオン伝導度が高いという利点がある。固体系は劣化がなく高耐久性の素子を作製することに適している。
白色反射層としては、白色顔料粒子を樹脂に分散させ対向基板上に塗布することが最も簡便な作製方法である。白色顔料微粒子としては、一般的な金属酸化物からなる粒子が適用でき、具体的には酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウムなどが挙げられる。また、電解液中に白色顔料粒子を分散する場合は、あらかじめ電解液に白色顔料粒子を分散しておいてから、表示素子中に注入すればよい。この場合、白色顔料粒子を固定するための樹脂は必要ないため素子内のイオン伝導度がよく、低電圧で素子を駆動できる。
本発明の表示装置の駆動方法としては、任意の電圧、電流を印加することができればどのような方法を用いても構わない。パッシブ駆動方法を用いれば安価な表示装置を作製することができる。また、アクティブ駆動方法を用いれば高精細、かつ高速な表示をおこなうことができる。本発明の多色表示素子においては、対向基板上にアクティブ駆動素子を設けることで容易にアクティブ駆動ができる。
本発明の多色表示素子による色表示駆動の一例を図2に示す。本発明において、図1に示される例の表示装置の、(1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量が少ない)表示層(1)は図2に示すように発色閾値電圧(Vc1)、逆極性の消色閾値電圧(Vd1)の絶対値は、表示層(2)の発色閾値電圧(Vc2)、逆極性の消色閾値電圧(Vd2)より小さい。このときに、Vc1≦Vc<Vc2となる電圧Vcを素子に印加すると表示層(1)のみが発色する。また、Vc≧Vc2となる電圧Vcを素子に印加すると表示層(1)、表示層(2)が共に発色して2層の混色が表示できる。さらに、Vc≧Vc2となる電圧Vcを素子に印加して表示層(1)、表示層(2)を発色させた後にVd1≦Vd<Vd2となる電圧Vdを素子に印加すると、表示層(1)のみが消色し、表示層(2)の色が表示できる。このような組み合わせにより多色表示することができる。
[実施例1]
以下、本発明の実施例および、比較例について説明する。
[表示層(1)用分散液の調製]
個数平均一次粒径20nmの酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させた。
[表示層(2)用分散液の調製]
酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させた。
酸化チタン微粒子は個数平均一次粒径20nmと6nmの混合とし、個数基準で一次粒径20nmが90%、1次粒径6nmが10%になるようにした。
[表示層(1)の作製]
酸化スズ透明電極膜が全面に付いたガラス基板の一部(面積1cm)に、分散液をスピンコート法で厚さ約2μmになるように塗布した。その後、130℃で1時間加熱処理をおこなった。
有機EC化合物として、1−Benzl−1’−(2−phosphonoethyl)−4、4’−bipyridiniumdibromide(以下、EC1と呼称する)を用い、水に溶解させ0.02M溶液を調製した。このEC1水溶液にガラス基板を室温で24時間浸漬させ、微粒子層にEC1を付着させた。
[表示層(2)の作製]
表示層(1)の上に微粒子分散液をスピンコート法で厚さ約2μmになるように塗布した。その後、130℃で1時間加熱処理をおこなった。
有機EC化合物として、1−Ethyl−1’−(3−phosphonopropyl)−4、4’−bipyridiniumdichloride(以下、EC2と呼称する)を用い、水に溶解させ0.02M溶液を調製した。
このEC2水溶液にガラス基板を室温で24時間浸漬させ、微粒子層にEC2を付着させた。
[多色表示媒体の作製]
対向電極は以下のように作製した。一次粒径300nmの酸化チタン粒子5gおよびポリエチレン樹脂1gをテトラヒドロフラン溶液10mlに分散させた。厚さ0.2mmの亜鉛板に調製した分散液をスピンコート法で全面に塗布した。膜厚は約5ミクロンであり、紙と同様な白色を示した。表示電極と対向電極を50μmのスペーサーを介して貼り合わせ、セルを作製した。過塩素酸リチウムを炭酸プロピレンに0.2M溶解させた電解質溶液を調製し、このセル内に封入することで多色表示素子を作製した。
[多色表示媒体の駆動評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。なお、この測定には、反射分光測色装置(大塚電子株式会社製)を用いておこなった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.5Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−1.5Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−2.5Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−1.5Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
[実施例2]
[表示層(1)用分散液の調製]
酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させた。
酸化チタン微粒子は個数平均一次粒径20nmと6nmの混合とし、個数基準で一次粒径20nmが90%、1次粒径6nmが10%になるようにした。
[表示層(2)用分散液の調製]
酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させた。
酸化チタン微粒子は個数平均一次粒径20nmと6nmの混合とし、個数基準で一次粒径20nmが70%、1次粒径6nmが30%になるようにした。
実施例1と同様にして表示層(1)、表示層(2)を作製し、多色表示媒体を作製した。
[多色表示媒体の駆動評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。なお、この測定には、反射分光測色装置(大塚電子株式会社製)を用いておこなった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−2.0Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧3.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−3.5Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧3.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−2.0Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
[実施例3]
[表示層(1)用分散液の調製]
酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させた。
酸化チタン微粒子は個数平均一次粒径20nmと6nmの混合とし、個数基準で一次粒径20nmが80%、1次粒径6nmが20%になるようにした。
[表示層(2)用分散液の調製]
酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させた。
酸化チタン微粒子は個数平均一次粒径20nmと6nmの混合とし、個数基準で一次粒径20nmが50%、1次粒径6nmが50%になるようにした。
実施例1と同様にして表示層(1)、表示層(2)を作製し、多色表示媒体を作製した。
[多色表示媒体の駆動評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。なお、この測定には、反射分光測色装置(大塚電子株式会社製)を用いておこなった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.5Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−2.5Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧4.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−4.5Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧4.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−2.5Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
[実施例4]
[表示層(1)(2)用分散液の調製]
酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させた。
酸化チタン微粒子は個数平均一次粒径20nmと6nmの混合とし、個数基準で一次粒径20nmが80%、1次粒径6nmが20%になるようにした。
表示層(1)を実施例1と同様にスピンコート法塗布後、500℃で1時間加熱処理をおこなった。
実施例1と同様にして、表示層(2)を作製し、多色表示媒体を作製した。
[多色表示媒体の駆動評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。なお、この測定には、反射分光測色装置(大塚電子株式会社製)を用いておこなった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−2.0Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.5Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−3.0Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.5Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−2.0Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
[実施例5]
実施例4と同様にして表示層(1)(2)用分散液を調製した。
表示層(1)を実施例1と同様にスピンコート法塗布後、10fkg/cmで加圧処理をおこなった。
実施例1と同様にして、表示層(2)を作製し、多色表示媒体を作製した。
[多色表示媒体の駆動評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。なお、この測定には、反射分光測色装置(大塚電子株式会社製)を用いておこなった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが赤紫色に発色した。この色はEC1が発色したことに起因する。この電圧ではEC2は発色しなかった。−2.0Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.5Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。−3.0Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.5Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−2.0Vの電圧を1秒印加したところ赤紫色は消色して青色に変化した。これはEC1が消色して、EC2の発色が見えていることに起因する。
[比較例1]
[表示層(1)(2)用分散液の調製]
個数平均一次粒径20nmの酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させた。
実施例1と同様にして、表示層(1)(2)を作製し、多色表示媒体を作製した。
[多色表示媒体の駆動評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧1.5Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分は発色しなかった。電圧2.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。従ってEC1のみを発色させることはできなかった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−1.5Vの電圧を1秒印加したところ何も変化は起こらなかった。−2.5Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。従ってEC2の色のみを表示させることはできなかった。
[比較例2]
[表示層(1)(2)用分散液の調製]
酸化チタン微粒子をエタノール中に20wt%入れ、分散させた。
酸化チタン微粒子の割合は、個数基準で一次粒径20nmが70%、1次粒径6nmが30%になるようにした。
実施例1と同様にして、表示層(1)(2)を作製し、多色表示媒体を作製した。
[多色表示媒体の駆動評価]
電圧を印加しない状態で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧2.5Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分は発色しなかった。電圧3.0Vを1秒印加したところ、表示電極の微粒子層のある部分のみが濃紫色に発色した。この色はEC1、EC2がともに発色したことに起因する。従ってEC1のみを発色させることはできなかった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、電圧3.0Vを1秒印加し、微粒子層のある部分のみを濃紫色に発色させた。さらに−2.5Vの電圧を1秒印加したところ何も変化は起こらなかった。−3.0Vの電圧を1秒印加したところ濃紫色は消色して再び白色になった。従ってEC2の色のみを表示させることはできなかった。
[表示層の評価]
素子の断面を作製し、SEMにて観察した。その画像から300個以上の粒子の円相当径を測定し、その分布を個数基準で算出した結果、1nm以上10nm以下の積算値は表1のとおりであった。
Figure 2014052510
特表2001−510590号公報 特開2002−328401号公報 特開2004−151265号公報 特開2006−234857号公報 特開2007−132963号公報

Claims (2)

  1. 表示電極と、表示電極に対して間隔をおいて対向して設けた対向電極と、両電極間に電解質を備え、表示電極の対向電極側の表面に、導電性または半導体性微粒子の表面に有機エレクトロクロミック化合物が担持された表示層を有する表示素子であって、1次粒子径が1nm以上10nm以下の導電性または半導体性微粒子の含有量が異なる複数の表示層が積層されたことを特徴とするエレクトロクロミック表示素子。
  2. 前記表示層ごとに異なる1次粒子径が1nm以上10nm以下である導電性または半導体性微粒子の含有量の各層ごとの差が10%以上30%以下であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック表示素子。
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