JP2009098465A - 偏光板、画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光透過性を有する基板と入射光を偏光させる機能を有する偏光層とが高い寸法精度で強固に接合され、かつ、耐久性に優れるとともに、白抜け現象の発生が抑えられた偏光板、かかる偏光板を備えた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】本発明の偏光板1は、光透過性を有する基板2と偏光フィルム41とを有し、基板2と偏光フィルム41とが接合膜3を介して接合されており、接合膜3は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、接合膜3は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、接合膜3の表面付近に存在する脱離基が前記Si骨格から脱離し、接合膜3に発現した接着性によって、基板2と偏光フィルム41とを接合している。
【選択図】図1

Description

本発明は、偏光板、画像表示装置に関するものである。
液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、プラズマ表示装置等の画像表示装置には、偏光板が広く用いられている。例えば、TN型の液晶表示装置は、液晶表示素子(液晶パネル)の両面にお互いに偏光方向を直交させた偏光板が設けられたものである。
ところで、このような偏光板は、偏光能を有する偏光フィルムの両面または片面に、偏光フィルムを保護したり、偏光板の機械的強度を向上させる目的で、光透過性を有する基板(基材)と接合(接着)されたものである。従来、このような偏光フィルムと基板との接合方法としては、アクリル系粘接着剤等の透明性の高い光学用の粘接着剤を用いる方法が多く用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
このように粘接着剤を用いて偏光フィルムと基板とを接着する際には、液状またはペースト状の粘接着剤を接着面に塗布し、塗布された粘接着剤を介して部材同士を貼り合わせる。その後、熱または光の作用により粘接着剤を硬化させることにより、偏光フィルムと基板とを接合する。
ところが、このような粘接着剤を用いて偏光フィルムと基板とを接合する場合、以下のような問題があった。すなわち、偏光フィルムと基板との接着強度が低く、偏光フィルムと基板との間で剥離が起こり、偏光板の耐久性を十分なものとすることができなかった。また、このような粘接着剤を硬化させてなる粘接着剤層は厚みムラが生じやすく、十分な寸法精度で偏光フィルムと基板とを接合することができなかった。さらに、このような粘接着剤は、硬化時に体積収縮を起こし、形成される粘接着剤層に残留応力が発生する。その結果、このような偏光板を適用した画像表示装置では、表示される画像に、黒表示状態において光が漏れる現象(いわゆる、白抜け現象)が起こるという問題があった。
特開平11−95209号公報
本発明の目的は、光透過性を有する基板と入射光を偏光させる機能を有する偏光層とが高い寸法精度で強固に接合され、かつ、耐久性に優れるとともに、白抜け現象の発生が抑えられた偏光板、かかる偏光板を備えた画像表示装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の偏光板は、光透過性を有する基板と、
偏光層とを有し、
前記基板と前記偏光層とが接合膜を介して接合されており、
前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基板と前記偏光層とを接合していることを特徴とする。
これにより、光透過性を有する基板と入射光を偏光させる機能を有する偏光層とが高い寸法精度で強固に接合され、かつ、耐久性に優れるとともに、白抜け現象の発生が抑えられた偏光板が得られる。
本発明の偏光板では、前記偏光層は、偏光フィルムと、該偏光フィルムとは異なる他のフィルムとを有する積層体をなし、
前記偏光フィルム側が前記接合膜を介して前記基板に接合されるものであることが好ましい。
これにより、偏光フィルムが外部環境(光、熱、湿度など)の影響により劣化するのが確実に防止され、偏光板の耐久性(耐候性)を長期間にわたって優れたものとすることができる。
本発明の偏光板では、前記偏光フィルムは、あらかじめ、その表面に水酸基を有していることが好ましい。
これにより、基板と偏光層との接合強度をさらに高めることができ、結果として、偏光板の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の偏光板では、前記偏光層は、偏光フィルムと、該偏光フィルムとは異なる他のフィルムとを有する積層体をなし、
前記他のフィルム側が前記接合膜を介して前記基板に接合されるものであることが好ましい。
これにより、偏光層が複数のフィルムを有する積層体であっても、基板と偏光層とが高い寸法精度で強固に接合され、耐久性に優れるとともに、白抜け現象の発生が抑えられた偏光板とすることができる。
本発明の偏光板では、前記他のフィルムは、あらかじめ、その表面に水酸基を有していることが好ましい。
これにより、基板と偏光層との接合強度をさらに高めることができ、結果として、偏光板の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の偏光板では、前記基板は、あらかじめ、その表面に水酸基を有するものであることが好ましい。
これにより、基板と偏光層との接合強度をさらに高めることができる。
本発明の偏光板では、前記他のフィルムは、前記偏光フィルムを保護する保護フィルムや、透過光の所定の方向の速度を遅くする機能、入射光の一部の波長の光成分のみを透過する機能、入射光の一部の波長の光成分を吸収または反射する機能、または入射光の反射を防止する機能から選択される少なくとも一つの機能を有する光学フィルムであることが好ましい。
これにより、入射光を精度良く偏光させる機能に加えて、上述したような機能を確実に発現した偏光板を得ることができる。
本発明の偏光板では、前記偏光層は、前記偏光フィルムと前記光学フィルムとを前記接合膜と同様の接合膜を介して接合してなるものであることが好ましい。
これにより、偏光板の耐久性を十分に優れたものとしつつ、各構成フィルムが有する機能を確実に発現させることができる偏光板を得ることができる。
本発明の偏光板では、偏光板の平均厚さをT(μm)、前記基板の平均厚さをT1(μm)、前記偏光フィルムの平均厚さをT2(μm)、前記他のフィルムの平均厚さをT3(μm)としたとき、0.99≦(T1+T2+T3)/Tの関係を満足することが好ましい。
これにより、偏光層を透過する光に、不本意な位相のずれが生じるのをより確実に防止
することができ、偏光層を構成する各フィルムが有する機能をより確実に発現させることができる。
本発明の偏光板では、前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmであることが好ましい。
これにより、基板と偏光層とを十分に高い寸法精度で強固に接着させることができる。
本発明の偏光板では、前記接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%であることが好ましい。
これにより、接合膜は、Si原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜自体が強固なものとなる。また、かかる接合膜は、基板および偏光層に対して、特に高い接合強度を示すものとなる。
本発明の偏光板では、前記接合膜中のSi原子とO原子の存在比は、3:7〜7:3であることが好ましい。
これにより、接合膜の安定性が高くなり、基板と偏光層とをより強固に接合することができるようになる。
本発明の偏光板では、前記Si骨格の結晶化度は、45%以下であることが好ましい。
これにより、Si骨格は特にランダムな原子構造を含むものとなる。そして、寸法精度および接着性により優れた接合膜が得られ、結果として、基板と偏光層とをより高い寸法精度で強固に接着することができる。
本発明の偏光板では、前記脱離基は、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子が前記Si骨格に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものであることが好ましい。
これらの脱離基は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、エネルギーを付与することによって比較的簡単に、かつ均一に脱離する脱離基が得られることとなり、基板と偏光層との接着性をより高度化することができる。
本発明の偏光板では、前記脱離基は、アルキル基であることが好ましい。
これにより、耐候性および耐薬品性に優れた接合膜が得られる。その結果、得られる偏光板の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の偏光板では、前記接合膜は、プラズマ重合法により形成されたものであることが好ましい。
これにより、基板と偏光層とは、接合膜を介して、特に強固に接合し得る偏光板が得られる。また、プラズマ重合法で形成された接合膜は、エネルギーが付与されて脱離基が脱離した状態(活性化状態)が比較的長時間にわたって維持されるため、得られる偏光板の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
本発明の偏光板では、前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、接着性により優れた接合膜が得られ、基板と偏光層とをより強固に接着させることができる。また、この接合膜は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
本発明の偏光板では、前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものであることが好ましい。
これにより、接合膜を介して接合される基板と偏光層との接合強度は特に優れたものとなる。
本発明の偏光板では、前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものであることが好ましい。
これにより、基板と偏光層とを、従来に比べて格段に高い寸法精度で接合することができるとともに、従来に比べ、短時間で強固な接合が可能になる。
本発明の偏光板では、前記基板の前記接合膜と接している面には、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されていることが好ましい。
これにより、基板の表面を清浄化および活性化し、基板と接合膜との接合強度を高めることができる。
本発明の偏光板では、前記偏光層の前記接合膜と接している面には、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されていることが好ましい。
これにより、偏光層の接合膜と接する表面を清浄化および活性化し、偏光層と接合膜との接合強度を高めることができる。
本発明の偏光板では、前記表面処理は、プラズマ処理であることが好ましい。
これにより、基板と偏光層との接合強度を特に優れたものとすることができる。
本発明の偏光板では、前記基板と前記接合膜との間に、中間層を有することが好ましい。
これにより、信頼性の高い偏光板を得ることができる。
本発明の偏光板では、前記偏光層と前記接合膜との間に、中間層を有することが好ましい。
これにより、信頼性の高い偏光板を得ることができる。
本発明の偏光板では、前記中間層は、酸化物系材料を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、基板と偏光層との間の接合強度を特に高めることができる。
本発明の偏光板は、光透過性を有する基板と、
偏光層とを有し、
前記基板と前記偏光層とが接合膜を介して接合されており、
前記接合膜は、金属原子と、該金属原子に結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基板と前記偏光層とを接合していることを特徴とする。
これにより、光透過性を有する基板と入射光を偏光させる機能を有する偏光層とが高い寸法精度で強固に接合され、かつ、耐久性に優れるとともに、白抜け現象の発生が抑えられた偏光板が得られる。
本発明の偏光板は、光透過性を有する基板と、
偏光層とを有し、
前記基板と前記偏光層とが接合膜を介して接合されており、
前記接合膜は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記接合膜から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基板と前記偏光層とを接合していることを特徴とする。
これにより、光透過性を有する基板と入射光を偏光させる機能を有する偏光層とが高い寸法精度で強固に接合され、かつ、耐久性に優れるとともに、白抜け現象の発生が抑えられた偏光板が得られる。
本発明の画像表示装置は、本発明の偏光板と画像表示素子とを備えたことを特徴とする。
これにより、白抜け現象が抑えられ、耐久性に優れた画像表示装置を得ることができる。
以下、本発明の偏光板および画像表示装置を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の偏光板は、光透過性を有する基板と、入射光を偏光させる機能を有する偏光層とが、接合膜を介して接合されたものである。
この偏光板を構成する接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含むものである。
このような接合膜は、接合膜の平面視における少なくとも一部の領域、すなわち、平面視における接合膜の全面または一部の領域に対して、エネルギーを付与したことにより、接合膜の少なくとも表面付近に存在する脱離基がSi骨格から脱離したものである。そして、この接合膜は、脱離基の脱離によって、その表面のエネルギーが付与された領域に、接着性が発現し、基板と偏光層とを接合するという特徴を有するものである。
このような接合膜を有する偏光板は、基板と偏光層とが高い寸法精度で強固に接合し、耐久性に優れたものとなり、偏光板の信頼性を高いものとすることができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の偏光板の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の偏光板の第1実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の偏光板1は、光透過性を有する基板2と、偏光層4としての偏光フィルム41と、基板2と偏光フィルム41との間に接合膜3とを有している。以下、これらの各部について順次説明する。
[基板]
偏光板1を構成する基板2は、光透過性を有するものであり、偏光フィルム41に傷が付くのを防止したり、偏光板1全体としての機械的強度を向上させるものである。
このような基板2を構成する材料としては、上述したような機能を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系開環重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリビニルブチラール、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アラミド系樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の樹脂系材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンのようなシリコン系材料、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス系材料、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属、またはこれらの金属を含む合金、炭素鋼、ステンレス鋼、酸化インジウムスズ(ITO)、ガリウムヒ素のような金属系材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンのようなシリコン系材料、アルミナ、ジルコニア、フェライト、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのようなセラミックス系材料、グラファイトのような炭素系材料、またはこれらの各材料の1種または2種以上を組み合わせた複合材料等が挙げられる。
このような基板2の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000μm程度であるのが好ましく、30〜500μm程度であるのがより好ましい。これにより、偏光板1の光透過性を十分に高いものとしながらも、偏光板1の機械的強度を十分に高いものとすることができる。
また、基板2は、その表面に、Niめっきのようなめっき処理、クロメート処理のような不働態化処理、または窒化処理等を施したものであってもよい。
また、基板2の少なくとも接合膜3と接する領域には、基板2の構成材料に応じて、基板2と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。
かかる表面処理としては、例えば、スパッタリング処理、ブラスト処理のような物理的表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン暴露処理のような化学的表面処理、または、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。このような処理を施すことにより、基板2の接合膜3と接する領域を清浄化するとともに、該領域を活性化させることができる。これにより、基板2と接合膜3との間の接合強度をより高めることができ、最終的には、基板2と偏光フィルム41との接合強度を高めることができる。
また、これらの各表面処理の中でもプラズマ処理を用いることにより、基板2の表面は特に最適化され、基板2と接合膜3との接合強度は特に優れたものとなる。
なお、表面処理を施す基板2が、樹脂材料(高分子材料)で構成されている場合には、特に、コロナ放電処理、窒素プラズマ処理等が好適に用いられる。
また、基板2の構成材料によっては、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3との接合強度が十分に高くなるものがある。このような効果が得られる基板2の構成材料としては、例えば、前述したような各種ガラス系材料、各種シリコン系材料等を主材料とするものが挙げられる。
このような材料で構成された基板2は、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、比較的活性の高い水酸基が結合している。したがって、このような材料で構成された基板2を用いると、上記のような表面処理を施さなくても、基板2と接合膜3とを強固に接合することができる。
なお、この場合、基板2の全体が上記のような材料で構成されていなくてもよく、少なくとも接合膜3と接する領域の表面付近が上記のような材料で構成されていればよい。
さらに、基板2の少なくとも接合膜3と接する領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、基板2と接合膜3との接合強度を十分に高くすることができる。
このような基や物質としては、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、イミダゾール基のような官能基、ラジカル、開環分子、2重結合、3重結合のような不飽和結合、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン、過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基または物質が挙げられる。このような基または物質を有する表面は、基板2の接合膜3に対する接合強度のさらなる向上を実現し得るものとなる。
また、このようなものを有する表面が得られるように、上述したような各種表面処理を適宜選択して行うことにより、基板2と接合膜3との接合強度は特に優れたものとなる。
また、表面処理に代えて、基板2の少なくとも接合膜3と接する領域には、中間層を形成しておくのが好ましい。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、接合膜3との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層を介して基板2と接合膜3とを接合することになり、信頼性の高い接合体、すなわち偏光板1を得ることができる。
かかる中間層の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタンのような金属系材料、金属酸化物、シリコン酸化物のような酸化物系材料、金属窒化物、シリコン窒化物のような窒化物系材料、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボンのような炭素系材料、シランカップリング剤、チオール系化合物、金属アルコキシド、金属−ハロゲン化合物のような自己組織化膜材料、樹脂系接着剤、樹脂フィルム、樹脂コーティング材、各種ゴム材料、各種エラストマーのような樹脂系材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの各材料で構成された中間層の中でも、酸化物系材料で構成された中間層によれば、基板2と接合膜3との間の接合強度を特に高めることができる。
[偏光フィルム]
次に、偏光フィルムについて説明する。
偏光フィルム41は、入射した光を偏光させる機能を有するものであり、後述する接合膜3を介して、基板2と接合されるものである。
偏光フィルム41としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン価物等で構成された高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着、染色させ、一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
これらの中でも、偏光フィルム41は、ポリビニルアルコール(PVA)を主材料とした高分子フィルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着、染色させ、一軸延伸したものが好ましい。ポリビニルアルコール(PVA)は透明性、耐熱性、染色剤であるヨウ素または二色性染料との親和性、延伸時の配向性のいずれもが優れた材料である。したがって、PVAを主材料とする偏光フィルム41は、耐熱性に優れたものとなるとともに、偏光能に優れたものとなる。
このような偏光フィルム41の平均厚さは、特に限定されないが、5〜100μm程度であるのが好ましく、30〜80μm程度であるのがより好ましい。これにより、偏光フィルム41の光透過性を十分に高いものとしつつ、偏光板1の機械的強度を十分に高いものとすることができる。
また、偏光フィルム41の少なくとも接合膜3と接する領域には、偏光フィルム41の構成材料に応じて、偏光フィルム41と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、接合膜3と偏光フィルム41との間の接合強度をより高めることができ、最終的には、基板2と偏光フィルム41との接合強度を高めることができる。
なお、表面処理としては、基板2に対して施す前述したような表面処理と同様の処理を適用することができるが、中でも、コロナ放電処理、窒化プラズマ処理を用いることにより、偏光フィルム41の表面は特に最適化され、偏光フィルム41と接合膜3との接合強度は特に優れたものとなる。
さらに、偏光フィルム41の少なくとも接合膜3と接する領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3と偏光フィルム41との接合強度を十分に高くすることができる。
このような基や物質としては、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、イミダゾール基のような官能基、ラジカル、開環分子、2重結合、3重結合のような不飽和結合、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン、過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基または物質が挙げられる。このような基または物質を有する表面は、基板2の接合膜3に対する接合強度のさらなる向上を実現し得るものとなる。また、上述したような基または物質の中でも、偏光フィルム41の表面が水酸基を有しているのが好ましい。これにより、基板2の接合膜3に対する接合強度を特に優れたものとすることができる。
また、このようなものを有する表面が得られるように、上述したような各種表面処理を適宜選択して行うことにより、接合膜3と偏光フィルム41の接合強度は特に優れたものとなる。
また、表面処理に代えて、偏光フィルム41の少なくとも接合膜3と接する領域には、接合膜3との密着性を高める機能を有する中間層を形成しておくのが好ましい。これにより、かかる中間層を介して接合膜3と偏光フィルム41とを接合することになり、結果として、基板2と偏光フィルム41との接合強度は特に優れたものとすることができる。
かかる中間層の構成材料には、前述の基板2に形成する中間層の構成材料と同様のものを用いることができる。
[接合膜]
次に、接合膜について詳細に説明する。
なお、図2は、本発明の偏光板が有する接合膜のエネルギー付与前の表面付近の状態を示す部分拡大図、図3は、本発明の偏光板が有する接合膜のエネルギー付与後の表面付近の状態を示す部分拡大図である。
接合膜3は、前述した基板2と偏光フィルム41との間に位置し、これらの基板2と偏光フィルム41との接合を担うものである。
かかる接合膜3は、図2、3に示すように、シロキサン(Si−O)結合302を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結合する脱離基303とを有するものであり、本発明の偏光板は、主にこの接合膜3に特徴を有する。
このような接合膜3は、シロキサン結合302を含みランダムな原子構造を有するSi骨格301の影響によって、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる偏光板1においても、寸法精度が高いものが得られる。
また、偏光板1において、接合膜3は、エネルギーが付与され、脱離基303がSi骨格301から脱離し、図3に示すように、接合膜3の表面および内部に、活性手304が生じたものである。このような接合膜3の表面は接着性が発現したものとなる。
かかる接着性が発現した接合膜3を有する偏光板1では、基板2と偏光フィルム41とが、高い寸法精度で強固に効率よく接合したものとなる。
このような偏光板1では、基板と偏光フィルムとの接合方法で従来用いられていた粘接着剤のように、主にアンカー効果のような物理的結合に基づく接着ではなく、共有結合のような短時間で生じる強固な化学的結合に基づいて、基板2と偏光フィルム41とが接合されている。このため、偏光板1は短時間で形成することができ、かつ、極めて剥離し難く、接合ムラ等も生じ難いものとなる。また、このような接合膜3は、厚みムラが生じ難いものであるとともに、粘接着剤を熱や光により硬化させてなる粘接着剤層の厚さ(約数十μm)よりも極めて厚さが薄いものである。そのため、粘接着剤で基板と偏光フィルムとを接合して得られる従来の偏光板に比べ、偏光板1の寸法精度は飛躍的に向上する。また、このような偏光板1は、基板と偏光フィルムとの接合に粘接着剤を用いた従来の偏光板よりも、その厚さを薄くすることができる。これにより、偏光板1を透過可能な光成分(偏光)が、偏光板1で不本意に吸収されるのが抑制され、偏光板1の光透過率を高いものとすることができる。
また、従来から用いられている粘接着剤は、硬化時に体積収縮を起こし、形成される粘接着剤層に残留応力が生じるものであったが、上述したような接合膜3は、体積収縮が起こらず、残留応力がほとんど発生しないものである。このような残留応力は、基板および偏光フィルムの形状を歪めてしまう。その結果、粘接着剤層に残留応力が蓄積した偏光板を画像表示装置に適用すると、表示される画像に、黒表示状態において光が漏れる現象(白抜け現象)が起こるという問題があり、特に大型の画像表示装置(例えば、液晶ディスプレイなど)で顕著であった。これに対して、偏光板1を適用した画像表示装置では、このような問題が発生するのを確実に防止することができ、結果として、偏光板1を適用する画像表示装置の歩留まりを優れたものとすることができる。また、画像表示装置のサイズを問わず、上述したような白抜け現象の発生を確実に防止することができるため、特に、大型の画像表示装置に偏光板1を好適に適用することができる。
また、基板と偏光フィルムとを粘接着剤で接合させる場合には、粘接着剤と接合面との間に空気を巻き込み易いという問題があったが、偏光板1では、接合膜3と接合される基板2または偏光フィルム41との間に、空気が入るのを抑制することができる。
また、このような接合膜3は、流動性を有しない固体状のものとなる。このため、従来、流動性を有する液状または粘液状の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。これにより、基板2と偏光フィルム41との寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
このような接合膜3としては、特に、接合膜3を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%程度であるのが好ましく、20〜80原子%程度であるのがより好ましい。Si原子とO原子とが、前記範囲の含有率で含まれていれば、接合膜3は、Si原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜3自体が強固なものとなる。また、かかる接合膜3は、基板2および偏光フィルム41に対して、特に高い接合強度を示すものとなる。
また、接合膜3中のSi原子とO原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。Si原子とO原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜3の安定性が高くなり、基板2と偏光フィルム41とをより強固に接合することができるようになる。
なお、接合膜3中のSi骨格301の結晶化度は、45%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。これにより、Si骨格301は十分にランダムな原子構造を含むものとなる。このため、前述したSi骨格301の特性が顕在化し、接合膜3の寸法精度および接着性がより優れたものとなる。
また、Si骨格301に結合する脱離基303は、前述したように、Si骨格301から脱離することによって、接合膜3に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないようSi骨格301に確実に結合しているものである必要がある。
かかる観点から、脱離基303には、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子を含み、これらの各原子がSi骨格301に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものが好ましく用いられる。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、接合膜3の接着性をより高度なものとすることができる。
なお、上記のような各原子がSi骨格301に結合するよう配置された原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、ビニル基、アリル基のようなアルケニル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基、メルカプト基、スルホン酸基、シアノ基、イソシアネート基等が挙げられる。
これらの各基の中でも、脱離基303は、特にアルキル基であるのが好ましい。アルキル基は化学的な安定性が高いため、アルキル基を含む接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
このような特徴を有する接合膜3の構成材料としては、例えば、ポリオルガノシロキサンのようなシロキサン結合を含む重合物等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、基板2および偏光フィルム41に対して特に強い被着力を示し、その結果として、基板2と偏光フィルム41とを強固に接合することができる。
また、ポリオルガノシロキサンは、通常、撥水性(非接着性)を示すが、エネルギーを付与されることにより、容易に有機基を脱離させることができ、親水性に変化し、接着性を発現するが、この非接着性と接着性との制御を容易かつ確実に行えるという利点を有する。
なお、この撥水性(非接着性)は、主に、ポリオルガノシロキサン中に含まれたアルキル基による作用である。したがって、ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、エネルギーを付与されることにより、表面に接着性が発現するとともに、表面以外の部分においては、前述したアルキル基による作用・効果が得られるという利点も有する。したがって、接合膜3は、耐候性、撥水性、および耐薬品性に優れたものとなる。これにより、例えば、偏光フィルム41の材料として、吸湿性の高いポリビニルアルコール(PVA)を用いた場合には、以下のような効果を得ることができる。すなわち、ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3を介して、基板2とPVAを主材料とする偏光フィルム41とを接合することにより、偏光フィルム41が吸湿により反るのが確実に防止され、偏光板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、ポリオルガノシロキサンの中でも、特に、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものが好ましい。オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とする接合膜3は、接着性に特に優れることから、本発明の偏光板1に対して特に好適に適用できるものである。また、オクタメチルトリシロキサンを主成分とする原料は、常温で液状をなし、適度な粘度を有するため、取り扱いが容易であるという利点もある。
また、接合膜3の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、2〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜3の平均厚さを前記範囲内とすることにより、基板2と偏光フィルム41との寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、これらをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、基板2ろ偏光フィルム41との寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜3の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜3にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、基板2の接合面(接合膜3に隣接する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜3を被着させることができる。その結果、接合膜3は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせた際に、接合膜3と、基板2および偏光フィルム41との密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
このような接合膜3は、いかなる方法で作製されたものでもよく、プラズマ重合法、CVD法、PVD法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法等により作製することができるが、これらの中でも、プラズマ重合法により作製されたものが好ましい。プラズマ重合法によれば、緻密で均質な接合膜3を効率よく作製することができる。これにより、プラズマ重合法で作製された接合膜3は、耐久性に優れるとともに、基板2と偏光フィルム41とを強固に接合し得るものとなる。さらに、プラズマ重合法で作製された接合膜3は、エネルギーが付与されて活性化された状態が比較的長時間にわたって維持される。このため、偏光板1の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
また、偏光板1を構成する基板2と偏光フィルム41との熱膨張率は、ほぼ等しいのが好ましい。基板2および偏光フィルム41の熱膨張率がほぼ等しければ、接合膜3と基板2、および接合膜3と偏光フィルム41との接合界面に熱膨張に伴う応力が発生し難くなる。その結果、最終的に得られる偏光板1において、剥離等の不具合が発生するのを確実に防止することができる。
また、基板2と偏光フィルム41は、互いに剛性が異なっているのが好ましい。これにより、基板2と偏光フィルム41とをより強固に接合することができる。
次に上述した偏光板1の製造方法について説明する。
図4および図5は、図1に示す偏光板の製造方法の好適な実施形態を示すための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図4または図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本実施形態にかかる偏光板の製造方法は、基板2を用意する工程と、基板2上に接合膜3を形成する工程と、基板2上に形成された接合膜3に対してエネルギーを付与して、接合膜3中から脱離基を脱離させることにより、接合膜3を活性化させる工程と、偏光フィルム41を用意し、基板2上に形成された接合膜3と偏光フィルム41とが密着するように、これらを貼り合わせ、偏光板1を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる偏光板の製造方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、基板2を用意する。(図4(a)参照)
基板2としては、前述したようなものを用いることができる。
また、基板2の接合膜3が形成される領域には、あらかじめ、前述したような表面処理が施されているのが好ましい。これにより、基板2と後述する接合膜3との密着性を特に優れたものとすることができる。
また、上述したような表面処理に代えて、基板2の接合膜3が形成される領域には、接合膜3との密着性を高める機能を有する中間層を形成しておくのが好ましい。このような中間層としては前述したような材料で構成されたものを用いることができる。
[2]次に、基板2上に接合膜3を形成する。(図4(b)参照)
このような接合膜3は、基板2と偏光フィルム41との間に位置し、基板2と偏光フィルム41との接合を担うものである。
前述したように、接合膜3は、図2、3に示すように、シロキサン(Si−O)結合302を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結合する脱離基303とを有するものである。このような接合膜3は、シロキサン結合302を含みランダムな原子構造を有するSi骨格301の影響によって、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる偏光板1においても、寸法精度が高いものが得られる。
基板2の表面に接合膜3を形成する方法は、特に限定されず、前述したようにプラズマ重合法、CVD法、PVD法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法等により作製することができるが、以下、一例として、プラズマ重合法により基板2の表面に接合膜3を形成する方法について説明する。
まず、接合膜3の形成方法を説明するのに先立って、基板2上にプラズマ重合法を用いて接合膜3を作製する際に用いるプラズマ重合装置について説明する。
図6は、プラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図6に示すプラズマ重合装置100は、チャンバー101と、基板2を支持する第1の電極130と、第2の電極140と、各電極130、140間に高周波電圧を印加する電源回路180と、チャンバー101内にガスを供給するガス供給部190と、チャンバー101内のガスを排気する排気ポンプ170とを備えている。これらの各部のうち、第1の電極130および第2の電極140がチャンバー101内に設けられている。以下、各部について詳細に説明する。
チャンバー101は、内部の気密を保持し得る容器であり、内部を減圧(真空)状態にして使用されるため、内部と外部との圧力差に耐え得る耐圧性能を有するものとされる。
図6に示すチャンバー101は、軸線が水平方向に沿って配置されたほぼ円筒形をなすチャンバー本体と、チャンバー本体の左側開口部を封止する円形の側壁と、右側開口部を封止する円形の側壁とで構成されている。
チャンバー101の上方には供給口103が、下方には排気口104が、それぞれ設けられている。そして、供給口103にはガス供給部190が接続され、排気口104には排気ポンプ170が接続されている。
なお、本実施形態では、チャンバー101は、導電性の高い金属材料で構成されており、接地線102を介して電気的に接地されている。
第1の電極130は、板状をなしており、基板2を支持している。
この第1の電極130は、チャンバー101の側壁の内壁面に、鉛直方向に沿って設けられており、これにより、第1の電極130は、チャンバー101を介して電気的に接地されている。なお、第1の電極130は、図6に示すように、チャンバー本体と同心状に設けられている。
第1の電極130の基板2を支持する面には、静電チャック(吸着機構)139が設けられている。
この静電チャック139により、図6に示すように、基板2を鉛直方向に沿って支持することができる。また、基板2に多少の反りがあっても、静電チャック139に吸着させることにより、その反りを矯正した状態で基板2をプラズマ処理に供することができる。
第2の電極140は、基板2を介して、第1の電極130と対向して設けられている。なお、第2の電極140は、チャンバー101の側壁の内壁面から離間した(絶縁された)状態で設けられている。
この第2の電極140には、配線184を介して高周波電源182が接続されている。また、配線184の途中には、マッチングボックス(整合器)183が設けられている。これらの配線184、高周波電源182およびマッチングボックス183により、電源回路180が構成されている。
このような電源回路180によれば、第1の電極130は接地されているので、第1の電極130と第2の電極140との間に高周波電圧が印加される。これにより、第1の電極130と第2の電極140との間隙には、高い周波数で向きが反転する電界が誘起される。
ガス供給部190は、チャンバー101内に所定のガスを供給するものである。
図6に示すガス供給部190は、液状の膜材料(原料液)を貯留する貯液部191と、液状の膜材料を気化してガス状に変化させる気化装置192と、キャリアガスを貯留するガスボンベ193とを有している。また、これらの各部とチャンバー101の供給口103とが、それぞれ配管194で接続されており、ガス状の膜材料(原料ガス)とキャリアガスとの混合ガスを、供給口103からチャンバー101内に供給するように構成されている。
貯液部191に貯留される液状の膜材料は、プラズマ重合装置100により、重合して基板2の表面に重合膜を形成する原材料となるものである。
このような液状の膜材料は、気化装置192により気化され、ガス状の膜材料(原料ガス)となってチャンバー101内に供給される。なお、原料ガスについては、後に詳述する。
ガスボンベ193に貯留されるキャリアガスは、電界の作用により放電し、およびこの放電を維持するために導入するガスである。このようなキャリアガスとしては、例えば、Arガス、Heガス等が挙げられる。
また、チャンバー101内の供給口103の近傍には、拡散板195が設けられている。
拡散板195は、チャンバー101内に供給される混合ガスの拡散を促進する機能を有する。これにより、混合ガスは、チャンバー101内に、ほぼ均一の濃度で分散することができる。
排気ポンプ170は、チャンバー101内を排気するものであり、例えば、油回転ポンプ、ターボ分子ポンプ等で構成される。このようにチャンバー101内を排気して減圧することにより、ガスを容易にプラズマ化することができる。また、大気雰囲気との接触による基板2の汚染・酸化等を防止するとともに、プラズマ処理による反応生成物をチャンバー101内から効果的に除去することができる。
また、排気口104には、チャンバー101内の圧力を調整する圧力制御機構171が設けられている。これにより、チャンバー101内の圧力が、ガス供給部190の動作状況に応じて、適宜設定される。
次に、上記のプラズマ重合装置100を用いて、基板2上に接合膜3を形成する方法について説明する。
図7は、基板2上に接合膜3を作製する方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
接合膜3は、強電界中に、原料ガスとキャリアガスとの混合ガスを供給することにより、原料ガス中の分子を重合させ、重合物を基板2上に堆積させることにより得ることができる。以下、詳細に説明する。
まず、用意された基板2をプラズマ重合装置100のチャンバー101内に収納して封止状態とした後、排気ポンプ170の作動により、チャンバー101内を減圧状態とする。
次に、ガス供給部190を作動させ、チャンバー101内に原料ガスとキャリアガスの混合ガスを供給する。供給された混合ガスは、チャンバー101内に充填される(図7(a)参照)。
ここで、混合ガス中における原料ガスの占める割合(混合比)は、原料ガスやキャリアガスの種類や目的とする成膜速度等によって若干異なるが、例えば、混合ガス中の原料ガスの割合を20〜70%程度に設定するのが好ましく、30〜60%程度に設定するのがより好ましい。これにより、重合膜の形成(成膜)の条件の最適化を図ることができる。
また、供給するガスの流量は、ガスの種類や目的とする成膜速度、膜厚等によって適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、原料ガスおよびキャリアガスの流量を、それぞれ、1〜100ccm程度に設定するのが好ましく、10〜60ccm程度に設定するのがより好ましい。
次いで、電源回路180を作動させ、一対の電極130、140間に高周波電圧を印加する。これにより、一対の電極130、140間に存在するガスの分子が電離し、プラズマが発生する。このプラズマのエネルギーにより原料ガス中の分子が重合し、図7(b)に示すように、重合物が基板2に付着・堆積する。これにより、基板2上にプラズマ重合膜で構成された接合膜3が形成される(図7(c)参照)。
原料ガスとしては、例えば、メチルシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルシロキサンのようなオルガノシロキサン等が挙げられる。
このような原料ガスを用いて得られるプラズマ重合膜、すなわち接合膜3は、これらの原料が重合してなるもの(重合物)、すなわちポリオルガノシロキサンで構成されることとなる。
プラズマ重合の際、一対の電極130、140間に印加する高周波の周波数は、特に限定されないが、1kHz〜100MHz程度であるのが好ましく、10〜60MHz程度であるのがより好ましい。
また、高周波の出力密度は、特に限定されないが、0.01〜10W/cm程度であるのが好ましく、0.1〜1W/cm程度であるのがより好ましい。
また、成膜時のチャンバー101内の圧力は、133.3×10−5〜1333Pa(1×10−5〜10Torr)程度であるのが好ましく、133.3×10−4〜133.3Pa(1×10−4〜1Torr)程度であるのがより好ましい。
原料ガス流量は、0.5〜200sccm程度であるのが好ましく、1〜100sccm程度であるのがより好ましい。一方、キャリアガス流量は、5〜750sccm程度であるのが好ましく、10〜500sccm程度であるのがより好ましい。
処理時間は、1〜10分程度であるのが好ましく、4〜7分程度であるのがより好ましい。
また、基板2の温度は、25℃以上であるのが好ましく、25〜100℃程度であるのがより好ましい。
以上のようにして、基板2上に接合膜3を形成することができる。
[3]次に、基板2の接合膜3の表面36に対してエネルギーを付与する。(図4(c)参照)
エネルギーが付与されると、接合膜3では、脱離基303がSi骨格301から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、接合膜3の表面36および内部に活性手が生じる。これにより、接合膜3の表面36に、偏光フィルム41との接着性が発現する。
このような状態の接合膜3は、偏光フィルム41と、化学的結合に基づいて強固に接合可能なものとなる。
ここで、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよく、例えば、エネルギー線を照射する方法、接合膜3を加熱する方法、接合膜3に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法、プラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、オゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等が挙げられる。
また、本実施形態では、接合膜3にエネルギーを付与する方法として、特に、接合膜3にエネルギー線を照射する方法を用いるのが好ましい。これらの方法は、接合膜3に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギー付与方法として好適である。
このうち、エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザー光のような光、X線、γ線、電子線、イオンビームのような粒子線等、またはこれらのエネルギー線を組み合わせたものが挙げられる。
これらのエネルギー線の中でも、特に、波長150〜300nm程度の紫外線を用いるのが好ましい(図4(c)参照)。かかる紫外線によれば、付与されるエネルギー量が最適化されるので、接合膜3中のSi骨格301が必要以上に破壊されるのを防止しつつ、Si骨格301と脱離基303との間の結合を選択的に切断することができる。これにより、接合膜3の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜3に接着性を発現させることができる。
また、紫外線によれば、広い範囲をムラなく短時間に処理することができるので、脱離基303の脱離を効率よく行わせることができる。さらに、紫外線には、例えば、UVランプ等の簡単な設備で発生させることができるという利点もある。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、160〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、接合膜3の面積に応じて異なるが、1mW/cm〜1W/cm程度であるのが好ましく、5mW/cm〜50mW/cm程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜3との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
また、紫外線を照射する時間は、接合膜3の表面36付近の脱離基303を脱離し得る程度の時間、すなわち、接合膜3の内部の脱離基303を多量に脱離させない程度の時間とするのが好ましい。具体的には、紫外線の光量、接合膜3の構成材料等に応じて若干異なるものの、0.5〜30分程度であるのが好ましく、1〜10分程度であるのがより好ましい。
また、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
一方、レーザー光としては、例えば、エキシマレーザー(フェムト秒レーザー)、Nd−YAGレーザー、Arレーザー、COレーザー、He−Neレーザー等が挙げられる。
また、接合膜3に対するエネルギー線の照射は、いかなる雰囲気中で行うようにしてもよく、具体的には、大気、酸素のような酸化性ガス雰囲気、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧(真空)雰囲気等が挙げられるが、特に大気雰囲気中で行うのが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギー線の照射をより簡単に行うことができる。
このように、エネルギー線を照射する方法によれば、接合膜3に対して選択的にエネルギーを付与することが容易に行えるため、例えば、エネルギーの付与による基板2の変質・劣化を防止することができる。
また、エネルギー線を照射する方法によれば、付与するエネルギーの大きさを、精度よく簡単に調整することができる。このため、接合膜3から脱離する脱離基303の脱離量を調整することが可能となる。このように脱離基303の脱離量を調整することにより、基板2と偏光フィルム41との間の接合強度を容易に制御することができる。
すなわち、脱離基303の脱離量を多くすることにより、接合膜3の表面36および内部に、より多くの活性手が生じるため、接合膜3に発現する接着性をより高めることができる。一方、脱離基303の脱離量を少なくすることにより、接合膜3の表面および内部に生じる活性手を少なくし、接合膜3に発現する接着性を抑えることができる。
なお、付与するエネルギーの大きさを調整するためには、例えば、エネルギー線の種類、エネルギー線の出力、エネルギー線の照射時間等の条件を調整すればよい。
さらに、エネルギー線を照射する方法によれば、短時間で大きなエネルギーを付与することができるので、エネルギーの付与をより効率よく行うことができる。
ここで、エネルギーが付与される前の接合膜3は、図2に示すように、Si骨格301と脱離基303とを有している。かかる接合膜3にエネルギーが付与されると、脱離基303(本実施形態では、メチル基)がSi骨格301から脱離する。これにより、図3に示すように、接合膜3の表面36に活性手304が生じ、活性化される。その結果、接合膜3の表面に接着性が発現する。
ここで、接合膜3を「活性化させる」とは、接合膜3の表面36および内部の脱離基303が脱離して、Si骨格301において終端化されていない結合手(以下、「未結合手」または「ダングリングボンド」とも言う。)が生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、または、これらの状態が混在した状態のことを言う。
したがって、活性手304とは、未結合手(ダングリングボンド)、または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。このような活性手304によれば、偏光フィルム41に対して、特に強固な接合が可能となる。
なお、後者の状態(未結合手が水酸基によって終端化された状態)は、例えば、接合膜3に対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射することにより、大気中の水分が未結合手を終端化することによって、容易に生成することができる。
[4]次に、偏光フィルム41を用意する。そして、図4(d)に示すように、活性化させた接合膜3と偏光フィルム41とが密着するように、接合膜3を介して基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせる。これにより、図5(e)に示すような偏光板1を得る。
このようにして得られた偏光板1では、接合膜3を介して基板2と偏光フィルム41とを接合することにより得られる前述したような効果を確実に得ることができる。
また、本実施形態では、接合に供される基板2および偏光フィルム41のうち、基板2のみに接合膜3が設けられている。基板2上に接合膜3を形成する際に、接合膜3の形成方法によっては、基板2が比較的長時間にわたってプラズマに曝されることになるが、本実施形態では、偏光フィルム41は、プラズマに曝されることはない。したがって、例えば、偏光フィルム41の構成材料が、プラズマに対する耐久性が比較的低いものであっても、本実施形態にかかる方法によれば、偏光フィルム41が有する特性(機械的強度、偏光性能など)を維持しつつ、基板2と偏光フィルム41とを、高い寸法精度で強固に接合することができる。
ここで、用意する偏光フィルム41は、前述したようなものを用いることができる。
また、前述したように、偏光フィルム41の熱膨張率は、基板2の熱膨張率とほぼ等しいのが好ましい。基板2と偏光フィルム41の熱膨張率がほぼ等しければ、これらを貼り合せた際に、その接合界面に熱膨張に伴う応力が発生し難くなる。その結果、最終的に得られる偏光板1において、剥離等の不具合が発生するのをより確実に防止することができる。
また、基板2と偏光フィルム41の各熱膨張率が互いに異なる場合でも、基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせる際の条件を以下のように最適化することにより、基板2と偏光フィルム41とを高い寸法精度で強固に接合することができる。
すなわち、基板2と偏光フィルム41の熱膨張率が互いに異なっている場合には、できるだけ低温下で接合を行うのが好ましい。接合を低温下で行うことにより、接合界面に発生する熱応力のさらなる低減を図ることができる。
具体的には、基板2と偏光フィルム41との熱膨張率差にもよるが、基板2および偏光フィルム41の温度が25〜50℃程度である状態下で、基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせるのが好ましく、25〜40℃程度である状態下で貼り合わせるのがより好ましい。このような温度範囲であれば、基板2と偏光フィルム41の熱膨張率差がある程度大きくても、接合界面に発生する熱応力を十分に低減することができる。その結果、偏光板1における反りや剥離等の発生を確実に防止することができる。
また、この場合、基板2と偏光フィルム41との間の熱膨張係数の差が、5×10−5/K以上あるような場合には、上記のようにして、できるだけ低温下で接合を行うことが特に推奨される。
また、このような偏光フィルム41の接合膜3との接合に供される領域には、偏光フィルム41の構成材料に応じて、接合を行う前に、あらかじめ、偏光フィルム41と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。
このような表面処理としては、前述したような表面処理を好適に用いることができる。
また、表面処理に代えて、偏光フィルム41の少なくとも接合膜3と接する領域には、接合膜3との密着性を高める機能を有する中間層を形成しておくのが好ましい。これにより、かかる中間層を介して接合膜3と偏光フィルム41とを接合することになり、結果として、基板2と偏光フィルム41との接合強度は特に優れたものとすることができる。
かかる中間層の構成材料には、前述の基板2に形成する中間層の構成材料と同様のものを用いることができる。
ここで、本工程において、接合膜3と偏光フィルム41とが接合されるメカニズムについて説明する。
例えば、偏光フィルム41の接合膜3との接合に供される領域に、水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、接合膜3と偏光フィルム41とが接触するように、基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせたとき、接合膜3の表面36に存在する水酸基と、偏光フィルム41の前記領域に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、接合膜3を備える基板2と偏光フィルム41とが接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、接合膜3と偏光フィルム41との接触界面では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、接合膜3を介して基板2と偏光フィルム41とがより強固に接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、接合膜3と偏光フィルム41との接触界面では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、接合膜3を介して基板2と偏光フィルム41とがより強固に接合されると推察される。
なお、前記工程[3]で活性化された接合膜3の表面は、その活性状態が経時的に緩和してしまう。このため、前記工程[3]の終了後、できるだけ早く本工程[4]を行うようにするのが好ましい。具体的には、前記工程[3]の終了後、60分以内に本工程[4]を行うようにするのが好ましく、5分以内に行うのがより好ましい。かかる時間内であれば、接合膜3の表面が十分な活性状態を維持しているので、本工程で接合膜3を備える基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせたとき、これらの間に十分な接着強度を得ることができる。
このようにして接合された基板2と偏光フィルム41との間は、その接合強度が5MPa(50kgf/cm)以上であるのが好ましく、10MPa(100kgf/cm)以上であるのがより好ましい。このような接合強度であれば、接合界面の剥離を十分に防止し得るものとなる。そして、信頼性の高い偏光板1が得られる。
以上のようにして、図5(e)に示す偏光板1を得ることができる。
また、偏光板1を得た後、この偏光板1に対して、必要に応じ、以下の3つの工程([5A]、[5B]および[5C])のうちの少なくとも1つの工程(偏光板1の接合強度を高める工程)を行うようにしてもよい。これにより、偏光板1の接合強度のさらなる向上を図ることができる。
[5A]図5(f)に示すように、得られた偏光板1を、基板2と偏光フィルム41とが互いに近づく方向に加圧する。
これにより、基板2の表面および偏光フィルム41の表面に、それぞれ接合膜3の表面がより近接し、偏光板1における接合強度をより高めることができる。
また、偏光板1を加圧することにより、偏光板1中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、偏光板1における接合強度をさらに高めることができる。
このとき、偏光板1を加圧する際の圧力は、偏光板1が損傷を受けない程度の圧力で、できるだけ高い方が好ましい。これにより、この圧力に比例して偏光板1における接合強度を高めることができる。
なお、この圧力は、基板2および偏光フィルム41の各構成材料や各厚さ、接合装置等の条件に応じて、適宜調整すればよい。具体的には、基板2および偏光フィルム41の各構成材料や各厚さ等に応じて若干異なるものの、0.2〜10MPa程度であるのが好ましく、1〜5MPa程度であるのがより好ましい。これにより、偏光板1の接合強度を確実に高めることができる。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、基板2および偏光フィルム41の各構成材料によっては、基板2および偏光フィルム41に損傷等が生じるおそれがある。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、偏光板1を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
[5B]図5(f)に示すように、得られた偏光板1を加熱する。
これにより、偏光板1における接合強度をより高めることができる。
このとき、偏光板1を加熱する際の温度は、室温より高く、偏光板1の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25〜100℃程度とされ、より好ましくは50〜100℃程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、偏光板1が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合強度を確実に高めることができる。
また、加熱時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましい。
また、前記工程[5A]、[5B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、図5(f)に示すように、偏光板1を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、偏光板1の接合強度を特に高めることができる。
[5C]図5(g)に示すように、得られた偏光板1に紫外線を照射する。
これにより、接合膜3と基板2および偏光フィルム41との間に形成される化学結合を増加させ、基板2および偏光フィルム41と接合膜3との間の接合強度をそれぞれ高めることができる。その結果、偏光板1の接合強度を特に高めることができる。
このとき照射される紫外線の条件は、前記工程[3]に示した紫外線の条件と同等にすればよい。
以上のような工程を行うことにより、偏光板1における接合強度のさらなる向上を容易に図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の偏光板の第2実施形態について説明する。
図8は本発明の偏光板の第2実施形態を示す断面図である。なお、以下の説明では、図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態にかかる偏光板について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態の偏光板1は、光透過性を有する基板2と、偏光層4としての偏光フィルム41と、偏光フィルム41の基板2とは反対の面側に設けられ、偏光フィルム41を保護する機能を有する保護フィルム42とを有し、基板2と偏光フィルム41との間、および偏光フィルム41と保護フィルム42との間には、それぞれ、接合膜31、接合膜32が設けられている。すなわち、本実施形態の偏光板1は、偏光層4が偏光フィルム41と保護フィルム42との積層体であるとともに、接合膜32を介して偏光フィルム41と保護フィルム42とが接合されている以外は、前記実施形態1と同様である。
このような偏光板1は、基板2と偏光フィルム41との間、および偏光フィルム41と保護フィルム42との間に、それぞれ、前述したような特徴を有する接合膜31、32を有するものである。これにより、基板2と偏光フィルム41、および偏光フィルム41と保護フィルム42、それぞれの接合強度は優れたものとなるとともに、偏光板1の厚みムラを好適に抑制することができる。その結果、偏光板1は、高い寸法精度を有し、耐久性に優れたものとなる。また、偏光板1を構成する各部(基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42)が、高い寸法精度で接合されたものであるため、偏光板1の光学設計をより精密に行うことができる。さらに、偏光板1では、偏光フィルム41が接合膜31、32を介して、それぞれ、基板2および保護フィルム42と接合されたものであり、偏光フィルム41は直接、外部環境(光、熱、湿度など)の影響を受けない。そのため、偏光板1は、耐候性に優れたものとなる。特に、偏光フィルム41として、吸湿性の高い材料(例えば、前述したPVAなど)を用いた場合でも、偏光フィルム41が吸湿するのがより確実に防止される。その結果、偏光板1は、高温湿潤な環境下で長期間使用した場合であっても、偏光性能の劣化がない耐久性に優れたものとなる。
このような保護フィルム42を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系開環重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。
このような保護フィルム42の平均厚さは、特に限定されないが、5〜100μm程度であるのが好ましく、30〜80μm程度であるのがより好ましい。これにより、偏光フィルム41の光透過性を十分に高いものとしつつ、偏光板1の機械的強度を十分に高いものとすることができる。
また、偏光板1の平均厚さをT(μm)、基板の平均厚さをT1(μm)、偏光フィルム41の平均厚さをT2(μm)、保護フィルム42の平均厚さをT3(μm)としたとき、0.99≦(T1+T2+T3)/Tの関係を満足するのが好ましく、0.995≦(T1+T2+T3)/Tの関係を満足するのがより好ましい。これにより、偏光板1を透過する光に、不本意な位相のずれが生じるのをより確実に防止することができ、偏光板1の光学設計をより容易なものとすることができる。
また、保護フィルム42の少なくとも接合膜32と接する領域には、保護フィルム42の構成材料に応じて、保護フィルム42と接合膜32との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、接合膜3と保護フィルム42との間の接合強度をより高めることができ、最終的には、偏光フィルム41と保護フィルム42との接合強度を高めることができる。
なお、表面処理としては、偏光フィルム41に対して施す前述したような表面処理と同様の処理を適用することができる。
さらに、保護フィルム42の少なくとも接合膜3と接する領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3と保護フィルム42との接合強度を十分に高くすることができる。
このような基や物質としては、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、イミダゾール基のような官能基、ラジカル、開環分子、2重結合、3重結合のような不飽和結合、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン、過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基または物質が挙げられる。このような基または物質を有する表面は、保護フィルム42の接合膜3に対する接合強度のさらなる向上を実現し得るものとなる。また、上述したような基または物質の中でも、保護フィルム42の表面が水酸基を有しているのが好ましい。これにより、保護フィルム42の接合膜3に対する接合強度を特に優れたものとすることができる。
また、このようなものを有する表面が得られるように、上述したような各種表面処理を適宜選択して行うことにより、接合膜3と保護フィルム42の接合強度は特に優れたものとなる。
また、表面処理に代えて、保護フィルム42の少なくとも接合膜3と接する領域には、接合膜3との密着性を高める機能を有する中間層を形成しておくのが好ましい。これにより、かかる中間層を介して接合膜3と保護フィルム42とを接合することになり、結果として、保護フィルム42と偏光フィルム41との接合強度は特に優れたものとすることができる。
かかる中間層の構成材料には、前述の基板2に形成する中間層の構成材料と同様のものを用いることができる。
次に本実施形態の偏光板1の製造方法について説明する。
本実施形態にかかる偏光板1の製造方法は、基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42のお互いに接合する面のいずれにも前述した接合膜が設けられている以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる偏光板1の製造方法は、基板2と偏光フィルム41と保護フィルム42とを用意する工程と、基板2と保護フィルム42の一方の面、および偏光フィルム41の両面に接合膜を形成する工程と、基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42に設けられた各接合膜に対して、エネルギーを付与して、各接合膜(接合膜311、312、321、322)を活性化させる工程と、接合膜311、312同士、および接合膜321、322同士がそれぞれ密着するように基板2と偏光フィルム41と保護フィルム42とを貼り合わせ、偏光板1を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
図9および図10は、図8に示す偏光板1の製造方法の好適な実施形態を示すための図(縦断面図)である。
[1]まず、基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42とを用意する。(図示せず)なお、このような基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42としては、前述したようなものを用いることができる。
[2]次に、基板2と保護フィルム42の一方の面、および偏光フィルム41の両面に、前記第1実施形態と同様にして接合膜(接合膜311、312、321、322)を成形する。(図9(a)参照)なお、本実施形態では、基板2上に接合膜311が成形され、偏光フィルム41の基板2と接合する面上に接合膜312、また、保護フィルム42と接合する面上に接合膜321がそれぞれ形成され、保護フィルム42上に接合膜322が形成されている。
[3]次に、図9(b)に示すように、各接合膜311、312、321、322に対して、それぞれエネルギーを付与する。各接合膜311、312、321、322にエネルギーが付与されると、各接合膜311、312、321、322では、図2に示す脱離基303がSi骨格301から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、図3に示すように、各接合膜311、312、321、322の表面および内部に活性手304が生じ、各接合膜311、312、321、322が活性化される。これにより、各接合膜311、312、321、322にそれぞれ接着性が発現する。
なお、エネルギー付与方法としては、前記第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
ここで、接合膜3を「活性化させる」とは、前述したように、各接合膜311、312、321、322の表面3116、3126、3216、3226および内部の脱離基303が脱離して、Si骨格301に終端化されていない結合手(未結合手)が生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、または、これらの状態が混在した状態のことを言う。
したがって、活性手304とは、未結合手または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。
[4]次に、図9(c)に示すように、接着性が発現した接合膜311と接合膜312とを密着するように基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせるとともに、同じく、接着性は発現した接合膜321と接合膜322とを貼り合わせ、偏光板1を得る。
ここで、本工程において、接合膜同士を密着させて接合するが、この接合は、以下のような2つのメカニズム(i)、(ii)の双方または一方に基づくものであると推察される。ここでは、基板2と偏光フィルム41とを接合膜311、接合膜312を介して接合する場合を例に説明する。
(i)例えば、各接合膜311、312の表面3116、3126に水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせたとき、接合膜311、312の表面3116、3126に存在する水酸基同士が、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、基板2と偏光フィルム41とが接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、基板2と偏光フィルム41との間では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、基板2と偏光フィルム41とがより強固に接合されると推察される。
(ii)基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせると、各接合膜311、312の表面3116、3126や内部に生じた終端化されていない結合手(未結合手)同士が再結合する。この再結合は、互いに重なり合う(絡み合う)ように複雑に生じることから、接合界面にネットワーク状の結合が形成される。これにより、各接合膜311、312を構成するそれぞれの母材(Si骨格301)同士が直接接合して、各接合膜311、312同士が一体化する。
また、偏光フィルム41と保護フィルム42とを接合膜321、接合膜322を介して接合する場合も、上記と同様のメカニズムで接合されるものと推測される。
以上のような(i)または(ii)のメカニズムにより、図9(d)に示すような偏光板1が得られる。
なお、偏光板1を得た後、この偏光板1に対して、必要に応じ、前記第1実施形態の工程[5A]、[5B]および[5C]のうちの少なくとも1つの工程を行うようにしてもよい。
例えば、図10(e)に示すように、偏光板1を加圧しつつ、加熱することにより、偏光板1の基板2と偏光フィルム41、および偏光フィルム41と保護フィルム42のいずれもが、より近接する。これにより、接合膜31を構成する接合膜311と接合膜312との界面、および接合膜32を構成する接合膜321と接合膜322との界面における水酸基の脱水縮合や未結合手同士の再結合が促進される。そして、各接合膜31、32は、それぞれを構成する接合膜311、312、および接合膜321、322のそれぞれの一体化がより進行する。その結果、図10(f)に示すように、ほぼ完全に一体化された各接合膜31’、32’を有する偏光板1’が得られる。
また、上述したような保護フィルム42の代わりに、次に示すような機能を有する光学フィルムを用いた場合には、以下のような効果を得ることができる。なお、このような光学フィルムとしては、例えば、透過光の所定の方向の速度を遅くする機能、入射光の一部の波長の光成分のみを透過する機能、入射光の一部の波長の光成分を吸収または反射する機能、または入射光の反射を防止する機能から選択される少なくとも一つの機能を有する光学フィルムが挙げられる。
すなわち、保護フィルム42の代わりに、上述したような機能を有する光学フィルムを用いた偏光板は、偏光フィルム41が有する偏光性能と、上述したような光学フィルムが有する機能とを確実に発揮することができるものとなる。また、前述したように、偏光フィルム41と光学フィルムとを接合する接合膜の厚さは、従来から偏光板を構成する各部の接合に用いられている接着剤層の厚さに比べて、極めて薄いものであり、接合膜で生じる位相差(リタデーション)を極めて小さくすることができる。その結果、偏光板の光学設計をより容易なものとすることができる。
また、本実施形態の偏光板1は、偏光層4が偏光フィルム41と保護フィルム42とを接合膜32を介して接合されたものとして説明したが、接合膜32の代わりに、粘接着剤により接合したり、熱処理により偏光フィルム41と保護フィルム42とを融着させたものを偏光層として用いてもよい。
また、本実施形態では、偏光板1は、偏光層4が偏光フィルム41と一層の保護フィルム42との積層体であるとして説明したが、本発明の偏光板は、これに限定されず、例えば、偏光層が前述したような偏光フィルム41および保護フィルム42に加え、上述したような機能を有する光学フィルムを有するものであってもよい。
<第3実施形態>
次に、本発明の偏光板の第3実施形態について説明する。
図11は、本発明の偏光板の第3実施形態を示す断面図である。なお、以下の説明では、図11中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、偏光板の第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態および前記第2実施形態にかかる偏光板との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態の偏光板1は、光透過性を有する基板2と、偏光層4としての保護フィルム43と偏光フィルム41と保護フィルム44とがこの順番で積層され、基板2は、保護フィルム43と接合されるものである。また、基板2と保護フィルム43との間、保護フィルム43と偏光フィルム41との間、および、偏光フィルム41と保護フィルム44との間には、それぞれ、接合膜33、34、35が設けられている。すなわち、偏光層4が、前述した偏光層4の基板2と接合される側に、さらに保護フィルム43を接合膜33を介して接合されたものであること以外は、前記実施形態2と同様である。
このように、偏光フィルム41が接合膜33、35を介して、前述したような保護フィルム43、44と接合されることにより、偏光フィルム41が外部環境の影響により劣化するのがより確実に防止される。その結果、偏光板1は長期間にわたって偏光性能の劣化がなく、耐久性(耐候性)に特に優れたものとなる。
<第4実施形態>
次に、本発明の偏光板の第4実施形態について説明する。
図12は、本発明の偏光板の第4実施形態が備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図、図13は、本発明の偏光板の第4実施形態が備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。なお、以下の説明では、図12および図13中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、偏光板の第4実施形態について説明するが、前記第1実施形態ないし前記第3実施形態にかかる偏光板との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる偏光板は、接合膜の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる偏光板は、接合膜3がそれぞれエネルギー付与前の状態で、金属原子と、この金属原子に結合する酸素原子と、これら金属原子および酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基303とを含むものである。換言すれば、エネルギー付与前の接合膜3は、それぞれ、金属酸化物で構成される金属酸化物膜に脱離基303を導入した膜であると言うことができる。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303が金属原子および酸素原子の少なくとも一方から脱離し、接合膜3の少なくとも表面付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3の表面に、前記第1実施形態ないし前記第3実施形態と同様の接着性が発現する。
以下、本実施形態にかかる接合膜3について説明する。
接合膜3は、金属原子と、この金属原子と結合する酸素原子とで構成されるもの、すなわち金属酸化物に脱離基303が結合したものであることから、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる偏光板1においても、寸法精度が高いものが得られる。
さらに、接合膜3は、流動性を有さない固体状をなすものである。このため、従来から用いられている、流動性を有する液状または粘液状(半固形状)の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。したがって、接合膜3を用いて得られた偏光板1の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
また、本発明では、接合膜3は、導電性を有するものであるのが好ましい。これにより、後述する偏光板1において、意図しない帯電を抑制または防止することができる。これにより、例えば、このような偏光板1を、液晶表示素子(液晶パネル)の両面に備えた液晶表示装置では、液晶パネルに不本意な電圧がかかるのが確実に防止される。結果として、このような液晶表示装置は、各画素における光の透過、または遮断を確実に行うことができ、より安定的に鮮明な画像表示を行えるものとなる。
また、接合膜3が導電性を有する場合、接合膜3の抵抗率は、構成材料の組成に応じて若干異なるものの、1×10−3Ω・cm以下であるのが好ましく、1×10−4Ω・cm以下であるのがより好ましい。
なお、脱離基303は、少なくとも接合膜3の表面36付近に存在していればよく、接合膜3のほぼ全体に存在していてもよいし、接合膜3の表面36付近に偏在していてもよい。なお、脱離基303が表面36付近に偏在する構成とすることにより、接合膜3に金属酸化物膜としての機能を好適に発揮させることができる。すなわち、接合膜3に、接合を担う機能の他に、導電性や透光性等の特性に優れた金属酸化物膜としての機能を好適に付与することができるという利点も得られる。換言すれば、脱離基303が、接合膜3の導電性や透光性等の特性を阻害してしまうのを確実に防止することができる。
以上のような接合膜3としての機能が好適に発揮されるように、金属原子が選択される。
具体的には、金属原子としては、特に限定されないが、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、TiおよびPb等が挙げられる。中でも、In(インジウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Ti(チタン)およびSb(アンチモン)のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。接合膜3を、これらの金属原子を含むもの、すなわちこれらの金属原子を含む金属酸化物に脱離基303を導入したものとすることにより、接合膜3は、優れた導電性と透明性とを発揮するものとなる。
より具体的には、金属酸化物としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、フッ素含有インジウム錫酸化物(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)および二酸化チタン(TiO)等が挙げられる。
なお、金属酸化物としてインジウム錫酸化物(ITO)を用いる場合には、インジウムとスズとの原子比(インジウム/スズ比)は、99/1〜80/20であるのが好ましく、97/3〜85/15であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、接合膜3中の金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と酸素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜3の安定性が高くなり、基板2と偏光フィルム41とをより強固に接合することができるようになる。
また、脱離基303は、前述したように、金属原子および酸素原子の少なくとも一方から脱離することにより、接合膜3に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないよう接合膜3に確実に結合しているものが好適に選択される。
かかる観点から、脱離基303には、水素原子、炭素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子、またはこれらの各原子で構成される原子団のうちの少なくとも1種が好適に用いられる。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、基板2と偏光フィルム41との接着性をより高度なものとすることができる。
なお、上記の各原子で構成される原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基およびスルホン酸基等が挙げられる。
以上のような各原子および原子団の中でも、脱離基303は、特に、水素原子であるのが好ましい。水素原子で構成される脱離基303は、化学的な安定性が高いため、脱離基303として水素原子を備える接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
以上のことを考慮すると、接合膜3としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、フッ素含有インジウム錫酸化物(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)または二酸化チタン(TiO)の金属酸化物に、脱離基303として水素原子が導入されたものが好適に選択される。
かかる構成の接合膜3は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、このような接合膜3は、基板2に対して特に強固に接着するとともに、偏光フィルム41に対しても特に強い被着力を示し、その結果として、基板2と偏光フィルム41とを強固に接合することができる。
また、接合膜3の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、2〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜3の平均厚さを前記範囲内とすることにより、偏光板1の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、基板2と偏光フィルム41とをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、偏光板1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜3の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜3にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、基板2の接合面(接合膜3を成膜する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜3を被着させることができる。その結果、接合膜3は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせた際に、接合膜3の偏光フィルム41に対する密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
以上説明したような接合膜3は、接合膜3のほぼ全体に脱離基303を存在させる場合には、例えば、A:脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で、物理的気相成膜法により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物材料を成膜することにより形成することができる。また、脱離基303を接合膜3の表面36付近に偏在させる場合には、例えば、B:金属原子と前記酸素原子とを含む金属酸化物膜を成膜した後、この金属酸化物膜の表面付近に含まれる金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することにより形成することができる。
以下、AおよびBの方法を用いて、基板2上に接合膜3を成膜する場合について、詳述する。
<A> Aの方法では、接合膜3は、上記のように、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で、物理的気相成膜法(PVD法)により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物材料を成膜することにより形成される。このようにPVD法を用いる構成とすれば、金属酸化物材料を基板2に向かって飛来させる際に、比較的容易に金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することができる。このため、接合膜3のほぼ全体にわたって脱離基303を導入することができる。
さらに、PVD法によれば、緻密で均質な接合膜3を効率よく成膜することができる。これにより、PVD法で成膜された接合膜3は、偏光フィルム41に対して特に強固に接合し得るものとなる。さらに、PVD法で成膜された接合膜3は、エネルギーが付与されて活性化された状態が比較的長時間にわたって維持される。このため、偏光板1の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
また、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法等が挙げられるが、中でも、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法によれば、金属原子と酸素原子との結合が切断することなく、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気中に、金属酸化物の粒子を叩き出すことができる。そして、金属酸化物の粒子が叩き出された状態で、脱離基303を構成する原子成分を含むガスと接触させることができるため、金属酸化物(金属原子または酸素原子)への脱離基303の導入をより円滑に行うことができる。
以下、PVD法により接合膜3を成膜する方法として、スパッタリング法(イオンビームスパッタリング法)により、接合膜3を成膜する場合を代表に説明する。
まず、接合膜3の成膜方法を説明するのに先立って、基板2上にイオンビームスパッタリング法により接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置200について説明する。
図14は、本実施形態にかかる接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図、図15は、図14に示す成膜装置が備えるイオン源の構成を示す模式図である。なお、以下の説明では、図14中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図14に示す成膜装置200は、イオンビームスパッタリング法による接合膜3の形成がチャンバー(装置)内で行えるように構成されている。
具体的には、成膜装置200は、チャンバー(真空チャンバー)211と、このチャンバー211内に設置され、基板2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)212と、チャンバー211内に設置され、チャンバー211内に向かってイオンビームBを照射するイオン源(イオン供給部)215と、イオンビームBの照射により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物(例えば、ITO)を発生させるターゲット(金属酸化物材料)216を保持するターゲットホルダー(ターゲット保持部)217とを有している。
また、チャンバー211には、チャンバー211内に、脱離基303を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を供給するガス供給手段260と、チャンバー211内の排気をして圧力を制御する排気手段230とを有している。
なお、本実施形態では、基板ホルダー212は、チャンバー211の天井部に取り付けられている。この基板ホルダー212は、回動可能となっている。これにより、基板2上に接合膜3を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
イオン源(イオン銃)215は、図15に示すように、開口(照射口)250が形成されたイオン発生室256と、イオン発生室256内に設けられたフィラメント257と、グリッド253、254と、イオン発生室256の外側に設置された磁石255とを有している。
また、イオン発生室256には、図14に示すように、その内部にガス(スパッタリング用ガス)を供給するガス供給源219が接続されている。
このイオン源215では、イオン発生室256内に、ガス供給源219からガスを供給した状態で、フィラメント257を通電加熱すると、フィラメント257から電子が放出され、放出された電子が磁石255の磁場によって運動し、イオン発生室256内に供給されたガス分子と衝突する。これにより、ガス分子がイオン化する。このガスのイオンIは、グリッド253とグリッド254との間の電圧勾配により、イオン発生室256内から引き出されるとともに加速され、開口250を介してイオンビームBとしてイオン源215から放出(照射)される。
イオン源215から照射されたイオンビームBは、ターゲット216の表面に衝突し、ターゲット216からは粒子(スパッタ粒子)が叩き出される。このターゲット216は、前述したような金属酸化物材料で構成されている。
この成膜装置200では、イオン源215は、その開口250がチャンバー211内に位置するように、チャンバー211の側壁に固定(設置)されている。なお、イオン源215は、チャンバー211から離間した位置に配置し、接続部を介してチャンバー211に接続した構成とすることもできるが、本実施形態のような構成とすることにより、成膜装置200の小型化を図ることができる。
また、イオン源215は、その開口250が、基板ホルダー212と異なる方向、本実施形態では、チャンバー211の底部側を向くように設置されている。
なお、イオン源215の設置個数は、1つに限定されるものではなく、複数とすることもできる。イオン源215を複数設置することにより、接合膜3の成膜速度をより速くすることができる。
また、ターゲットホルダー217および基板ホルダー212の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができる第1のシャッター220および第2のシャッター221が配設されている。
これらシャッター220、221は、それぞれ、ターゲット216、基板2および接合膜3が、不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
また、排気手段230は、ポンプ232と、ポンプ232とチャンバー211とを連通する排気ライン231と、排気ライン231の途中に設けられたバルブ233とで構成されており、チャンバー211内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
さらに、ガス供給手段260は、脱離基303を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を貯留するガスボンベ264と、ガスボンベ264からこのガスをチャンバー211に導くガス供給ライン261と、ガス供給ライン261の途中に設けられたポンプ262およびバルブ263とで構成されており、脱離基303を構成する原子成分を含むガスをチャンバー211内に供給し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置200を用いて、以下のようにして接合膜3が形成される。
ここでは、基板2上に接合膜3を成膜する方法について説明する。
まず、基板2を用意し、この基板2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
さらに、ガス供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に脱離基303を構成する原子成分を含むガスを供給する。これにより、チャンバー内をかかるガスを含む雰囲気下(水素ガス雰囲気下)とすることができる。
脱離基303を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基303を導入することができる。
また、チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、金属原子または酸素原子と、前記原子成分を含むガスとの反応が効率良く行われ、金属原子および酸素原子に確実に、前記原子成分を含むガスを導入することができる。
次に、第2のシャッター221を開き、さらに第1のシャッター220を開いた状態にする。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
このガスのイオンIは、グリッド253とグリッド254とにより加速されて、イオン源215から放出され、陰極材料で構成されるターゲット216に衝突する。これにより、ターゲット216から金属酸化物(例えば、ITO)の粒子が叩き出される。このとき、チャンバー211内が脱離基303を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)であることから、チャンバー211内に叩き出された粒子に含まれる金属原子および酸素原子に脱離基303が導入される。そして、この脱離基303が導入された金属酸化物が基板2上に堆積することにより、接合膜3が形成される。
なお、本実施形態で説明したイオンビームスパッタリング法では、イオン源215のイオン発生室256内で、放電が行われ、電子eが発生するが、この電子eは、グリッド253により遮蔽され、チャンバー211内への放出が防止される。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜3に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜3の成膜中に導入された脱離基303が脱離するのを確実に防止することができる。
以上のようにして、ほぼ全体にわたって脱離基303が存在する接合膜3を成膜することができる。
<B> 一方、Bの方法では、接合膜3は、上記のように、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物膜を成膜した後、この金属酸化物膜の表面付近に含まれる金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することにより形成される。かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、金属酸化物膜の表面付近に脱離基303を偏在させた状態で導入することができ、接合膜および金属酸化物膜としての双方の特性に優れた接合膜3を形成することができる。
ここで、金属酸化物膜は、いかなる方法で成膜されたものでもよく、例えば、PVD法(物理的気相成膜法)、CVD法(化学的気相成膜法)、プラズマ重合法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法等により成膜することができるが、中でも、特に、PVD法により成膜するのが好ましい。PVD法によれば、緻密で均質な金属酸化物膜を効率よく成膜することができる。
また、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびレーザーアブレーション法等が挙げられるが、中でも、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法によれば、金属原子と酸素原子との結合が切断することなく、雰囲気中に金属酸化物の粒子を叩き出して、基板2上に供給することができるため、特性に優れた金属酸化物膜を成膜することができる。
さらに、金属酸化物膜の表面付近に脱離基303を導入する方法としては、各種方法が用いられ、例えば、B1:脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で金属酸化物膜を熱処理(アニーリング)する方法、B2:イオン・インプランテーション等が挙げられるが、中でも、特に、B1の方法を用いるのが好ましい。B1の方法によれば、比較的容易に、脱離基303を金属酸化物膜の表面付近に選択的に導入することができる。また、熱処理を施す際の、雰囲気温度や処理時間等の処理条件を適宜設定することにより、導入する脱離基303の量、さらには脱離基303が導入される金属酸化物膜の厚さの制御を的確に行うことができる。
以下、金属酸化物膜をスパッタリング法(イオンビームスパッタリング法)により成膜し、次に、得られた金属酸化物膜を、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で熱処理(アニーリング)することにより、接合膜3を得る場合を代表に説明する。
なお、Bの方法を用いて接合膜3の成膜する場合も、Aの方法を用いて接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置200と同様の成膜装置が用いられるため、成膜装置に関する説明は省略する。
[i] まず、基板2を用意する。そして、この基板2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
[ii] 次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、このとき、加熱手段を動作させ、チャンバー211内を加熱する。チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、膜密度の高い金属酸化物膜を成膜することができる。
[iii] 次に、第2のシャッター221を開き、さらに第1のシャッター220を開いた状態にする。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
このガスのイオンIは、グリッド253とグリッド254とにより加速されて、イオン源215から放出され、陰極材料で構成されるターゲット216に衝突する。これにより、ターゲット216から金属酸化物(例えば、ITO)の粒子が叩き出され、基板2上に堆積して、金属原子と、この金属原子に結合する酸素原子とを含む金属酸化物膜が形成される。
なお、本実施形態で説明したイオンビームスパッタリング法では、イオン源215のイオン発生室256内で、放電が行われ、電子eが発生するが、この電子eは、グリッド253により遮蔽され、チャンバー211内への放出が防止される。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜3に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜3の成膜中に導入された脱離基303が脱離するのを確実に防止することができる。
[iv] 次に、第2のシャッター221を開いた状態で、第1のシャッター220を閉じる。
この状態で、加熱手段を動作させ、チャンバー211内をさらに加熱する。チャンバー211内の温度は、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基303が導入される温度に設定され、100〜600℃程度であるのが好ましく、150〜300℃程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、次工程[v]において、基板2および金属酸化物膜を変質・劣化させることなく、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基303を導入することができる。
[v] 次に、ガス供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に脱離基303を構成する原子成分を含むガスを供給する。これにより、チャンバー211内をかかるガスを含む雰囲気下(水素ガス雰囲気下)とすることができる。
このように、前記工程[iv]でチャンバー211内が加熱された状態で、チャンバー211内を、脱離基303を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)とすると、金属酸化物膜の表面付近に存在する金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303が導入されて、接合膜3が形成される。
脱離基303を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基303を導入することができる。
なお、チャンバー211内は、前記工程[ii]において、排気手段230を動作させることにより調整された減圧状態を維持しているのが好ましい。これにより、金属酸化物膜の表面付近に対する脱離基303の導入をより円滑に行うことができる。また、前記工程[ii]の減圧状態を維持したまま、本工程においてチャンバー211内を減圧する構成とすることにより、再度減圧する手間が省けることから、成膜時間および成膜コスト等の削減を図ることができるという利点も得られる。
この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、熱処理を施す時間は、15〜120分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
導入する脱離基303の種類等によっても異なるが、熱処理を施す際の条件(チャンバー211内の温度、真空度、ガス流量、処理時間)を上記範囲内に設定することにより、金属酸化物膜の表面付近に脱離基303を選択的に導入することができる。
以上のようにして、表面36付近に脱離基303が偏在する接合膜3を成膜することができる。
以上のような第4実施形態にかかる偏光板においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<第5実施形態>
次に、本発明の偏光板の第5実施形態について説明する。
以下、本発明の偏光板の第5実施形態について説明するが、前記第1実施形態ないし前記第4実施形態にかかる偏光板との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる偏光板は、接合膜の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる偏光板は、接合膜3がそれぞれエネルギー付与前の状態で、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含むものである。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303が接合膜3から脱離し、接合膜3の少なくとも表面付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3の表面に、前記第4実施形態と同様の接着性が発現する。
以下、本実施形態にかかる接合膜3について説明する。
接合膜3は、基板2上に設けられ、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含むものである。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303の結合手が切れて接合膜3の少なくとも表面36付近から脱離し、図13に示すように、接合膜3の少なくとも表面36付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3の表面36に接着性が発現する。かかる接着性が発現すると、接合膜3を備えた基板2は、偏光フィルム41に対して、高い寸法精度で強固に効率よく接合可能なものとなる。
また、接合膜3は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303とを含むもの、すなわち有機金属膜であることから、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる偏光板1においても、寸法精度が高いものが得られる。
このような接合膜3は、流動性を有さない固体状をなすものである。このため、従来から用いられている、流動性を有する液状または粘液状(半固形状)の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。したがって、このような接合膜3を用いて得られた偏光板1の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
また、本発明では、接合膜3は、導電性を有するものであるのが好ましい。これにより、後述する偏光板1において、意図しない帯電を抑制または防止することができる。これにより、例えば、このような偏光板1を、液晶表示素子(液晶パネル)の両面に備えた液晶表示装置では、液晶パネルに不本意な電圧がかかるのが確実に防止される。結果として、このような液晶表示装置は、各画素における光の透過、または遮断を確実に行うことができ、より安定的に鮮明な画像表示を行えるものとなる。
以上のような接合膜3としての機能が好適に発揮されるように、金属原子および脱離基303が選択される。
具体的には、金属原子としては、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、各種ランタノイド元素、各種アクチノイド元素のような遷移金属元素、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Rb、Sr、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、Tl、Pd、Bi、Poのような典型金属元素等が挙げられる。
ここで、遷移金属元素は、各遷移金属元素間で、最外殻電子の数が異なることのみの差異であるため、物性が類似している。そして、遷移金属は、一般に、硬度や融点が高く、電気伝導性および熱伝導性が高い。このため、金属原子として遷移金属元素を用いた場合、接合膜3に発現する接着性をより高めることができる。また、それとともに、接合膜3の導電性をより高めることができる。
また、金属原子として、Cu、Al、ZnおよびFeのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いた場合、接合膜3は、優れた導電性を発揮するものとなる。また、接合膜3を後述する有機金属化学気相成長法を用いて成膜する場合には、これらの金属を含む金属錯体等を原材料として用いて、比較的容易かつ均一な膜厚の接合膜3を成膜することができる。
また、脱離基303は、前述したように、接合膜3から脱離することにより、接合膜3に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないよう接合膜3に確実に結合しているものが好適に選択される。
具体的には、脱離基303としては、炭素原子を必須成分とし、水素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子のうちの少なくとも1種を含む原子団が好適に選択される。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、接合膜3の接着性をより高度なものとすることができる。
より具体的には、原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、カルボキシル基の他、前記アルキル基の末端がイソシアネート基、アミノ基およびスルホン酸基等で終端しているもの等が挙げられる。
以上のような原子団の中でも、脱離基303は、特に、アルキル基であるのが好ましい。アルキル基で構成される脱離基303は、化学的な安定性が高いため、脱離基303としてアルキル基を備える接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
また、かかる構成の接合膜3において、金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と炭素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜3の安定性が高くなり、基板2と偏光フィルム41とをより強固に接合することができるようになる。また、接合膜3を優れた導電性を発揮するものとすることができる。
また、接合膜3の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、50〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜3の平均厚さを前記範囲内とすることにより、偏光板1の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、基板2と偏光フィルム41とをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、偏光板1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜3の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜3にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、基板2の接合面(接合膜3を成膜する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜3を被着させることができる。その結果、接合膜3は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、基板2と偏光フィルム41とを貼り合わせた際に、接合膜3の偏光フィルム41に対する密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
以上説明したような接合膜3は、いかなる方法で成膜してもよいが、例えば、IIa:金属原子で構成される金属膜に、脱離基(有機成分)303を含む有機物を、金属膜のほぼ全体または表面付近に選択的に付与(化学修飾)して接合膜3を形成する方法、IIb:金属原子と、脱離基(有機成分)303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として有機金属化学気相成長法を用いて接合膜3を形成する方法(積層させる方法あるいは、単原子層からなる接合層を形成)、IIc:金属原子と脱離基303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として適切な溶媒に溶解させスピンコート法などを用いて接合膜を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、IIbの方法により接合膜3を成膜するのが好ましい。かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、かつ、均一な膜厚の接合膜3を形成することができる。
以下、IIbの方法、すなわち金属原子と、脱離基(有機成分)303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として有機金属化学気相成長法を用いて接合膜3を形成する方法により、接合膜3を得る場合を代表に説明する。
まず、接合膜3の成膜方法を説明するのに先立って、接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置400について説明する。
図16は、本実施形態において、接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図15中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図16に示す成膜装置400は、有機金属化学気相成長法(以下、「MOCVD法」と省略することもある。)による接合膜3の形成をチャンバー411内で行えるように構成されている。
具体的には、成膜装置400は、チャンバー(真空チャンバー)411と、このチャンバー411内に設置され、基板2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)412と、チャンバー411内に、気化または霧化した有機金属材料を供給する有機金属材料供給手段460と、チャンバー411内を低還元性雰囲気下とするためのガスを供給するガス供給手段470と、チャンバー411内の排気をして圧力を制御する排気手段430と、基板ホルダー412を加熱する加熱手段(図示せず)とを有している。
基板ホルダー412は、本実施形態では、チャンバー411の底部に取り付けられている。この基板ホルダー412は、モータの作動により回動可能となっている。これにより、基板2上に接合膜3を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
また、基板ホルダー412の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができるシャッター421が配設されている。このシャッター421は、基板2および接合膜3が不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
有機金属材料供給手段460は、チャンバー411に接続されている。この有機金属材料供給手段460は、固形状の有機金属材料を貯留する貯留槽462と、気化または霧化した有機金属材料をチャンバー411内に送気するキャリアガスを貯留するガスボンベ465と、キャリアガスと気化または霧化した有機金属材料をチャンバー411内に導くガス供給ライン461と、ガス供給ライン461の途中に設けられたポンプ464およびバルブ463とで構成されている。かかる構成の有機金属材料供給手段460では、貯留槽462は、加熱手段を有しており、この加熱手段の作動により固形状の有機金属材料を加熱して気化し得るようになっている。そのため、バルブ463を開放した状態で、ポンプ464を作動させて、キャリアガスをガスボンベ465から貯留槽462に供給すると、このキャリアガスとともに気化または霧化した有機金属材料が、供給ライン461内を通過してチャンバー411内に供給されるようになっている。
なお、キャリアガスとしては、特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガス等が好適に用いられる。
また、本実施形態では、有機金属材料供給手段460がチャンバー411に接続されている。ガス供給手段470は、チャンバー411内を低還元性雰囲気下とするためのガスを貯留するガスボンベ475と、前記低還元性雰囲気下とするためのガスをチャンバー411内に導くガス供給ライン471と、ガス供給ライン471の途中に設けられたポンプ474およびバルブ473とで構成されている。かかる構成のガス供給手段470では、バルブ473を開放した状態で、ポンプ474を作動させると、前記低還元性雰囲気下とするためのガスが、ガスボンベ475から、供給ライン471を介して、チャンバー411内に供給されるようになっている。ガス供給手段470をかかる構成とすることにより、チャンバー411内を有機金属材料に対して確実に低還元な雰囲気とすることができる。その結果、有機金属材料を原材料としてMOCVD法を用いて接合膜3を成膜する際に、有機金属材料に含まれる有機成分の少なくとも一部を脱離基303として残存させた状態で接合膜3が成膜される。
チャンバー411内を低還元性雰囲気下とするためのガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素ガスおよびヘリウム、アルゴン、キセノンのような希ガス、一酸化窒素、一酸化二窒素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、有機金属材料として、後述する2,4−ペンタジオネート−銅(II)や[Cu(hfac)(VTMS)]等のように分子構造中に酸素原子を含有するものを用いる場合には、低還元性雰囲気下とするためのガスに、水素ガスを添加するのが好ましい。これにより、酸素原子に対する還元性を向上させることができ、接合膜3に過度の酸素原子が残存することなく、接合膜3を成膜することができる。その結果、この接合膜3は、膜中における金属酸化物の存在率が低いものとなり、優れた導電性を発揮することとなる。
また、キャリアガスとして前述した窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガスのうちの少なくとも1種を用いる場合には、このキャリアガスに低還元性雰囲気下とするためのガスとしての機能をも発揮させることができる。
また、排気手段430は、ポンプ432と、ポンプ432とチャンバー411とを連通する排気ライン431と、排気ライン431の途中に設けられたバルブ433とで構成されており、チャンバー411内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置400を用いてMOCVD法により、以下のようにして基板2上に接合膜3が形成される。
[i] まず、基板2を用意する。そして、この基板2を成膜装置400のチャンバー411内に搬入し、基板ホルダー412に装着(セット)する。
[ii] 次に、排気手段430を動作させ、すなわちポンプ432を作動させた状態でバルブ433を開くことにより、チャンバー411内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、ガス供給手段470を動作させ、すなわちポンプ474を作動させた状態でバルブ473を開くことにより、チャンバー411内に、低還元性雰囲気下とするためのガス供給して、チャンバー411内を低還元性雰囲気下とする。ガス供給手段470による前記ガスの流量は、特に限定されないが、0.1〜10sccm程度であるのが好ましく、0.5〜5sccm程度であるのがより好ましい。
さらに、このとき、加熱手段を動作させ、基板ホルダー412を加熱する。基板ホルダー412の温度は、形成する接合膜3の種類、すなわち、接合膜3を形成する際に用いる原材料の種類によっても若干異なるが、80〜600℃程度であるのが好ましく、100〜450℃程度であるのがより好ましく、200〜300℃程度であるのがさらに好ましい。かかる範囲内に設定することにより、後述する有機金属材料を用いて、優れた接着性を有する接合膜3を成膜することができる。
[iii] 次に、シャッター421を開いた状態にする。
そして、固形状の有機金属材料を貯留された貯留槽462が備える加熱手段を動作させることにより、有機金属材料を気化させた状態で、ポンプ464を動作させるとともに、バルブ463を開くことにより、気化または霧化した有機金属材料をキャリアガスとともにチャンバー内に導入する。
このように、前記工程[ii]で基板ホルダー412が加熱された状態で、チャンバー411内に、気化または霧化した有機金属材料を供給すると、基板20上で有機金属材料が加熱されることにより、有機金属材料中に含まれる有機物の一部が残存した状態で、基板20上に接合膜3を形成することができる。
すなわち、MOCVD法によれば、有機金属材料に含まれる有機物の一部が残存するように金属原子を含む膜を形成すれば、この有機物の一部が脱離基303としての機能を発揮する接合膜3を基板2上に形成することができる。
このようなMOCVD法に用いられる、有機金属材料としては、特に限定されないが、例えば、2,4−ペンタジオネート−銅(II)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、(8−ヒドロキシキノリン)亜鉛(Znq)、銅フタロシアニン、Cu(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)(ビニルトリメチルシラン)[Cu(hfac)(VTMS)]、Cu(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)(2−メチル−1−ヘキセン−3−エン)[Cu(hfac)(MHY)]、Cu(パーフルオロアセチルアセトネート)(ビニルトリメチルシラン)[Cu(pfac)(VTMS)]、Cu(パーフルオロアセチルアセトネート)(2−メチル−1−ヘキセン−3−エン)[Cu(pfac)(MHY)]等、各種遷移金属元素を含んだアミド系、アセチルアセトネート系、アルコキシ系、シリコンを含むシリル系、カルボキシル基をもつカルボニル系のような金属錯体、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、ジエチル亜鉛のようなアルキル金属や、その誘導体等が挙げられる。これらの中でも、有機金属材料としては、金属錯体であるのが好ましい。金属錯体を用いることにより、金属錯体中に含まれる有機物の一部を残存した状態で、接合膜3を確実に形成することができる。
また、本実施形態では、ガス供給手段470を動作させることにより、チャンバー411内を低還元性雰囲気下となっているが、このような雰囲気下とすることにより、基板2上に純粋な金属膜が形成されることなく、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で成膜することができる。すなわち、接合膜および金属膜としての双方の特性に優れた接合膜3を形成することができる。
気化または霧化した有機金属材料の流量は、0.1〜100ccm程度であるのが好ましく、0.5〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、均一な膜厚で、かつ、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で、接合膜3を成膜することができる。
以上のように、接合膜3を成膜した際に膜中に残存する残存物を脱離基303として用いる構成とすることにより、形成した金属膜等に脱離基を導入する必要がなく、比較的簡単な工程で接合膜3を成膜することができる。
なお、有機金属材料を用いて形成された接合膜3に残存する前記有機物の一部は、その全てが脱離基303として機能するものであってもよいし、その一部が脱離基303として機能するものであってもよい。
以上のようにして、接合膜3を成膜することができる。
以上のような第5実施形態にかかる偏光板においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<画像表示装置>
次に、本発明の偏光板を備えた画像表示装置である液晶表示装置の好適な実施形態について説明する。
図17は、液晶表示装置の好適な実施形態を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置60は、基板611と、基板611上に形成された複数の隔壁(バンク)613と、基板611上に形成され、複数の隔壁613間に設けられた着色部612とを有するカラーフィルター61と、カラーフィルター61の着色部12が設けられた面側に配された基板(対向基板)67と、カラーフィルター61と基板67との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層63と、カラーフィルター61の基板611の液晶層63に対向する面とは反対の面側(図7中下側)に設けられた第1の偏光板68と、基板67の液晶層63に対向する面とは反対の面側(図7中上側)に設けられた第2の偏光板69とを有している。そして、カラーフィルター61の着色部612および隔壁613が設けられた面(着色部612および隔壁613の基板611に対向する面とは反対の面)には、共通電極62が設けられており、基板(対向基板)67の液晶層63、カラーフィルター61に対向する面には、カラーフィルター61の各着色部612に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極66が配されている。さらに、共通電極62と液晶層63との間には配向膜65が設けられ、基板67(画素電極66)と液晶層63との間には配向膜64が設けられている。なお、第1の偏光板68および第2の偏光板69は、前述したような本発明の偏光板である。
基板611および基板67は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
カラーフィルター61を構成する隔壁613は、隣接する着色部612同士が混色してしまうのを防止したり、隣接する画素間からの光漏れを防止するために設けられ、例えば、カーボンブラック等の遮光性を有する材料で構成されている。また、着色部612は、各色(例えば、赤、緑、青)に対応する顔料等を主とする材料で構成されたものである。
共通電極62、画素電極66は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極66に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、各着色部612に対応する各画素電極66について、共通電極62との間での電圧の印加状態を制御することにより、各着色部612(各画素電極66)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
液晶表示装置60では、図示しないバックライトから発せられた光が、第2の偏光板69側(図17中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層63を透過し、カラーフィルター61の各着色部612に入射した光は、各着色部612に対応する色の光として、第1の偏光板68(図17中下側)から出射する。
このような液晶表示装置60は、上述したように、第1の偏光板68および第2の偏光板69として、前述したような本発明の偏光板を適用したものである。このような第1の偏光板68および第2の偏光板69は、偏光フィルムと基板とを粘接着剤を用いて接合したような従来の偏光板に比べて、その厚さを十分に薄くすることができるとともに、厚みムラのない、寸法精度に優れたものである。結果として、液晶表示装置60は、第1の偏光板68および第2の偏光板69での不本意な透過光の吸収が抑制され、鮮明な画像表示を行えるものとなる。また、偏光層と基板とを粘接着剤で接合した従来の偏光板を備えた画像表示装置では、表示される画像に、黒表示状態において光が漏れる現象(白抜け現象)が起こるという問題があり、特に大型の画像表示装置(例えば、液晶ディスプレイなど)で顕著であった。これに対して、第1の偏光板68および第2の偏光板69として、前述したような本発明の偏光板を適用した液晶表示装置60では、このような問題の発生を確実に防止することができる。結果として、液晶表示装置60により表示される画像を、長期間にわたって鮮明なものとすることができるとともに、このような液晶表示装置60の歩留まりを優れたものとすることができる。また、液晶表示装置60のサイズを問わず、上述したような白抜け現象の発生を確実に防止することができるため、特に、大型の液晶表示装置に本発明の偏光板を好適に適用することができる。
《電子機器》
前述したような本発明の偏光板を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図18は、本発明の画像表示装置を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
なお、本発明の画像表示装置は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)の他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、携帯電話、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、上述したような白抜け現象の発生が特に問題となっていたが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明の偏光板、画像表示装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、前述した各実施形態では、各接合膜を介して基板2と偏光フィルム41(あるいは、偏光フィルム41と保護フィルム42)とを接合する際に、あらかじめ、各接合膜にエネルギーを付与し、各接合膜を活性化させてから、各部材同士を貼り合わせるものとして説明したが、各部材同士を貼り合わせる方法はこれに限定されない。例えば、基板2と偏光フィルム41(あるいは、偏光フィルム41と保護フィルム42)とを、活性化前の接合膜を介して密着させ、重ね合わせてなる積層体中の接合膜に対してエネルギーを付与して、接合膜を活性化させ、接着性を発現させることにより、基板2と偏光フィルム41(あるいは、偏光フィルム41と保護フィルム42)とを接合させてもよい。
また、上記の説明では、画像表示装置として液晶表示装置(透過型液晶表示装置)について説明したが、本発明の画像表示装置は、これに限定されず、例えば、本発明の偏光板を備えた反射型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、液晶プロジェクター、有機EL表示装置、無機EL表示装置、電気泳動表示装置、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイであってもよい。
また、本発明の偏光板を製造する方法では、前記実施形態の構成に限定されず、工程の順序が前後してもよい。また、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよく、不要な工程を削除してもよい。
また、本発明の偏光板は、各実施形態の任意の構成を組み合わせたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.偏光板の製造
(実施例1)
まず、ヨウ素で染色されたポリビニルアルコール(PVA)製の偏光フィルムと、トリアセチルセルロース(TAC)製の基板を用意した。なお、このような偏光フィルムの厚さは50μmであり、基板の厚さは70μmであった。
次いで、基板を図6に示すプラズマ重合装置のチャンバー内に収納し、酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、表面処理を行った面に、平均厚さ200nmのプラズマ重合膜(接合膜)を成膜した。なお、成膜条件は以下に示す通りである。
<成膜条件>
・原料ガスの組成 :オクタメチルトリシロキサン
・原料ガスの流量 :50sccm
・キャリアガスの組成:アルゴン
・キャリアガスの流量:100sccm
・高周波電力の出力 :100W
・チャンバー内圧力 :1Pa(低真空)
・処理時間 :15分
・基板温度 :20℃
このようにして成膜されたプラズマ重合膜は、オクタメチルトリシロキサン(原料ガス)の重合物で構成されており、シロキサン結合を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格と、アルキル基(脱離基)とを含むものである。
次に、得られたプラズマ重合膜に以下に示す条件で紫外線を照射した。
<紫外線照射条件>
・雰囲気ガスの組成 :大気(空気)
・雰囲気ガスの温度 :20℃
・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
・紫外線の波長 :172nm
・紫外線の照射時間 :5分
一方、偏光フィルムの片面に対して、酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、紫外線を照射してから1分後に、プラズマ重合膜の紫外線を照射した面と、偏光フィルムの表面処理を施した面とが接触するように、ガラス基板と偏光フィルムとを貼り合わせた。これにより、偏光板を得た。
次に、得られた偏光板を、3MPaで圧縮しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、偏光板の接合強度の向上を図った。
(実施例2)
まず、ヨウ素で染色されたポリビニルアルコール(PVA)製の偏光フィルムと、2枚のトリアセチルセルロース(TAC)製の基板を用意した。なお、このような偏光フィルムの厚さは50μmであり、基板の厚さは70μmであった。
次いで、偏光フィルムの両面、および2枚の基板の一方の面に、前記実施例1と同様にして、プラズマ重合膜を成膜した。
次に、偏光フィルムの両面に形成されたプラズマ重合膜、および2枚の基板上に形成されたプラズマ重合膜に、それぞれ紫外線を照射した。
次に、各プラズマ重合膜同士が密着するように、2枚の基板を偏光フィルムに貼り合わせた。これにより、偏光フィルムの両面がプラズマ重合膜を介して基板と接合された偏光板を得た。
次に、得られた偏光板を、3MPaで圧縮しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、偏光板の接合強度の向上を図った。
(実施例3)
まず、実施例2と同様にして、偏光フィルムの両面がプラズマ重合膜を介してTAC製の基板と接合された積層体を得た。
次に、ガラス基板を用意し、前記実施例1と同様にして、上述した積層体の一方の面、およびガラス基板の一方の面にプラズマ重合膜を成膜した。
次に、積層体およびガラス基板上に形成されたプラズマ重合膜に、それぞれ紫外線を照射した。
次に、各プラズマ重合膜同士が密着するように、積層体とガラス基板とを貼り合わせた。これにより、偏光板を得た。
次に、得られた偏光板を、3MPaで圧縮しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、偏光板の接合強度の向上を図った。
(実施例4)
まず、ヨウ素で染色されたポリビニルアルコール(PVA)製の偏光フィルムと、トリアセチルセルロース(TAC)製の基板を用意した。なお、このような偏光フィルムの厚さは50μmであり、基板の厚さは70μmであった。
次いで、基板を図14に示す成膜装置のチャンバー内に収納し、酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、表面処理を行った面に、イオンビームスパッタリング法を用いて、ITOに水素原子が導入された接合膜(平均厚さ100nm)を成膜した。なお、成膜条件は以下に示す通りである。
<イオンビームスパッタリングの成膜条件>
・ターゲット :ITO
・チャンバーの到達真空度 :2×10−6Torr
・成膜時のチャンバー内の圧力 :1×10−3Torr
・水素ガスの流量 :60sccm
・チャンバー内の温度 :20℃
・イオンビームの加速電圧 :600V
イオン発生室側のグリッドへの印加電圧 :+400V
チャンバー側のグリッドへの印加電圧 :−200V
・イオンビーム電流 :200mA
・イオン発生室に供給するガス種 :Krガス
・処理時間 :20分
このようにして成膜された接合膜は、ITOに水素原子が導入されたもので構成されており、金属原子(インジウムおよびスズ)と、この金属原子と結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基(水素原子)とを含むものである。
次に、得られた接合膜に以下に示す条件で紫外線を照射した。
<紫外線照射条件>
・雰囲気ガスの組成 :窒素ガス
・雰囲気ガスの温度 :20℃
・雰囲気ガスの圧力 :大気圧(100kPa)
・紫外線の波長 :172nm
・紫外線の照射時間 :5分
一方、偏光フィルムの片面に対して、酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、紫外線を照射してから1分後に、接合膜の紫外線を照射した面と、偏光フィルムの表面処理を施した面とが接触するように、基板と偏光フィルムとを貼り合わせた。これにより、偏光板を得た。
次に、得られた偏光板を、3MPaで圧縮しつつ、80℃で加熱し、15分間維持した。これにより、偏光板の接合強度の向上を図った。
(実施例5)
接合膜を以下のようにして成膜した以外は、前記実施例4と同様である。
基板を図16に示す成膜装置のチャンバー内に収納し、酸素プラズマによる表面処理を行った。
次に、表面処理を行った面に、原材料を2,4−ペンタジオネート−銅(II)とし、MOCVD法を用いて、平均厚さ100nmの接合膜を成膜した。なお、成膜条件は以下に示す通りである。
<成膜条件>
・チャンバー内の雰囲気 :窒素ガス + 水素ガス
・有機金属材料(原材料) :2,4−ペンタジオネート−銅(II)
・有機金属材料の流量 :1sccm
・キャリアガス :窒素ガス
・水素ガスの流量 :0.2sccm
・チャンバーの到達真空度 :2×10−6Torr
・成膜時のチャンバー内の圧力 :1×10−3Torr
・基板ホルダーの温度 :275℃
・処理時間 :10分
以上のようにして成膜された接合膜は、金属原子として銅原子を含み、脱離基として、2,4−ペンタジオネート−銅(II)に含まれる有機物の一部が残存しているものである。
なお、以上のようにして得られた偏光板を、10MPaで圧縮しつつ、120℃で加熱し、15分間維持した。これにより、偏光板の接合強度の向上を図った。
(比較例)
基板と偏光フィルムとの間の接合部を、ポリビニルアルコール系の接着剤で接合するようにした以外は、前記実施例1と同様にして偏光板を製造した。
2.偏光板の評価
2.1 寸法精度の評価
各実施例および比較例で得られた偏光板について、それぞれ寸法精度を測定した。
その結果、各実施例で得られた偏光板では、いずれも、比較例で得られた偏光板に比べて寸法精度が高かった。
2.2 白抜き現象の有無
各実施例および比較例で得られた偏光板を、図17に示すような液晶表示装置に適用した。
このようにして得られた液晶表示装置を、60℃、相対湿度80%RHの環境下で200時間静置した後、これらの画像表示装置を画像表示させ、表示される画像に白抜き現象が起こるかを目視で確認した。
その結果、各実施例で得られた偏光板を適用した画像表示装置では、白抜き現象(黒表示状態において光が漏れる現象)が発生しなかったのに対して、比較例の偏光板を適用した液晶表示装置では、このような白抜き現象の発生が認められた。
また、各実施例の偏光板は、優れた接合強度を有しており、耐久性に優れたものであった。
本発明の偏光板の第1実施形態を示すための図(断面図)である。 本発明の偏光板が備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図である。 本発明の偏光板が備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。 偏光板の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。 偏光板の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。 第1実施形態にかかる偏光板が備える接合膜の作製に用いられるプラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図である。 基板上に接合膜を作製する方法を説明するための図(縦断面図)である。 本発明の偏光板の第2実施形態を示すための図(断面図)である。 偏光板の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。 偏光板の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。 本発明の偏光板の第3実施形態を示すための図(断面図)である。 本発明の偏光板の第4実施形態が備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図である。 本発明の偏光板の第4実施形態が備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。 第4実施形態にかかる偏光板が備える接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。 図14に示す成膜装置が備えるイオン源の構成を示す模式図である。 第5実施形態にかかる偏光板が備える接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。 液晶表示装置の実施形態を示す断面図である。 本発明の画像表示装置を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
符号の説明
1……偏光板 2……基板 26……上面 3、31、31’、311、312、32、32’、321、322、33、34、35……接合膜 301……Si骨格 302……シロキサン結合 303……脱離基 304……活性手 36、3116、3126、3216、3226……表面 4……偏光層 41…偏光フィルム 42、43、44…保護フィルム 100……プラズマ重合装置 101……チャンバー 102……接地線 103……供給口 104……排気口 130……第1の電極 139……静電チャック 140……第2の電極 170……ポンプ 171……圧力制御機構 180……電源回路 182……高周波電源 183……マッチングボックス 184……配線 190……ガス供給部 191……貯液部 192……気化装置 193……ガスボンベ 194……配管 195……拡散板 200……成膜装置 211……チャンバー 212……基板ホルダー 215……イオン源 216……ターゲット 217……ターゲットホルダー 219……ガス供給源 220……第1のシャッター 221……第2のシャッター 230……排気手段 231……排気ライン 232……ポンプ 233……バルブ 250……開口 253……グリッド 254……グリッド 255……磁石 256……イオン発生室 257……フィラメント 260……ガス供給手段 261……ガス供給ライン 262……ポンプ 263……バルブ 264……ガスボンベ 400……成膜装置 411……チャンバー 412……基板ホルダー 421……シャッター 430……排気手段 431……排気ライン 432……ポンプ 433……バルブ 460……有機金属材料供給手段 461……ガス供給ライン 462……貯留槽 463……バルブ 464……ポンプ 465……ガスボンベ 470……ガス供給手段 471……ガス供給ライン 473……バルブ 474……ポンプ 475……ガスボンベ 60…液晶表示装置 61…カラーフィルター 611…基板 612…着色部 613…隔壁 62…共通電極 63…液晶層 64、65…配向膜 66…画素電極 67…基板(対向基板) 68…第1の偏光板 69…第2の偏光板 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピュータ 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット

Claims (28)

  1. 光透過性を有する基板と、
    偏光層とを有し、
    前記基板と前記偏光層とが接合膜を介して接合されており、
    前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基板と前記偏光層とを接合していることを特徴とする偏光板。
  2. 前記偏光層は、偏光フィルムと、該偏光フィルムとは異なる他のフィルムとを有する積層体をなし、
    前記偏光フィルム側が前記接合膜を介して前記基板に接合されるものである請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記偏光フィルムは、あらかじめ、その表面に水酸基を有している請求項2に記載の偏光板。
  4. 前記偏光層は、偏光フィルムと、該偏光フィルムとは異なる他のフィルムとを有する積層体をなし、
    前記他のフィルム側が前記接合膜を介して前記基板に接合されるものである請求項1に記載の偏光板。
  5. 前記他のフィルムは、あらかじめ、その表面に水酸基を有している請求項4に記載の偏光板。
  6. 前記基板は、あらかじめ、その表面に水酸基を有するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の偏光板。
  7. 前記他のフィルムは、前記偏光フィルムを保護する保護フィルムや、透過光の所定の方向の速度を遅くする機能、入射光の一部の波長の光成分のみを透過する機能、入射光の一部の波長の光成分を吸収または反射する機能、または入射光の反射を防止する機能から選択される少なくとも一つの機能を有する光学フィルムである請求項2ないし6のいずれかに記載の偏光板。
  8. 前記偏光層は、前記偏光フィルムと前記光学フィルムとを前記接合膜と同様の接合膜を介して接合してなるものである請求項2ないし7のいずれかに記載の偏光板。
  9. 偏光板の平均厚さをT(μm)、前記基板の平均厚さをT1(μm)、前記偏光フィルムの平均厚さをT2(μm)、前記他のフィルムの平均厚さをT3(μm)としたとき、0.99≦(T1+T2+T3)/Tの関係を満足する請求項2ないし8のいずれかに記載の偏光板。
  10. 前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmである請求項1ないし9のいずれかに記載の偏光板。
  11. 前記接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%である請求項1ないし10のいずれかに記載の偏光板。
  12. 前記接合膜中のSi原子とO原子の存在比は、3:7〜7:3である請求項1ないし11のいずれかに記載の偏光板。
  13. 前記Si骨格の結晶化度は、45%以下である請求項1ないし12のいずれかに記載の偏光板。
  14. 前記脱離基は、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子が前記Si骨格に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものである請求項1ないし13のいずれかに記載の偏光板。
  15. 前記脱離基は、アルキル基である請求項14に記載の偏光板。
  16. 前記接合膜は、プラズマ重合法により形成されたものである請求項1ないし15のいずれかに記載の偏光板。
  17. 前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを主材料として構成されている請求項16に記載の偏光板。
  18. 前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものである請求項17に記載の偏光板。
  19. 前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものである請求項1ないし18のいずれかに記載の偏光板。
  20. 前記基板の前記接合膜と接している面には、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されている請求項1ないし19のいずれかに記載の偏光板。
  21. 前記偏光層の前記接合膜と接している面には、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されている請求項1ないし20のいずれかに記載の偏光板。
  22. 前記表面処理は、プラズマ処理である請求項20または21に記載の偏光板。
  23. 前記基板と前記接合膜との間に、中間層を有する請求項1ないし22のいずれかに記載の偏光板。
  24. 前記偏光層と前記接合膜との間に、中間層を有する請求項1ないし23のいずれかに記載の偏光板。
  25. 前記中間層は、酸化物系材料を主材料として構成されている請求項23または24に記載の偏光板。
  26. 光透過性を有する基板と、
    偏光層とを有し、
    前記基板と前記偏光層とが接合膜を介して接合されており、
    前記接合膜は、金属原子と、該金属原子に結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基板と前記偏光層とを接合していることを特徴とする偏光板。
  27. 光透過性を有する基板と、
    偏光層とを有し、
    前記基板と前記偏光層とが接合膜を介して接合されており、
    前記接合膜は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の表面付近に存在する前記脱離基が前記接合膜から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に発現した接着性によって、前記基板と前記偏光層とを接合していることを特徴とする偏光板。
  28. 請求項1ないし27のいずれかに記載の偏光板と画像表示素子とを備えたことを特徴とする画像表示装置。
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