JP4946780B2 - 接合膜付き偏光板、画像表示装置 - Google Patents
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ところで、このような偏光板は、画像表示装置に適用する際、一般的に、液晶パネルなどの画像表示素子にアクリル系粘接着剤等の透明性の高い光学用の粘接着剤を用いて接合(接着)されるものである(例えば、特許文献1参照)。
このように粘接着剤を用いて偏光板と画像表示素子とを接着する際には、液状またはペースト状の粘接着剤を接着面に塗布し、塗布された粘接着剤を介して部材同士を貼り合わせる。その後、熱または光の作用により粘接着剤を硬化させることにより、偏光板と画像表示素子とを接合する。
本発明の接合膜付き偏光板は、光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面に設けられた偏光層と、を積層してなる偏光板と、
前記偏光板の少なくともいずれかの面側に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含む原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする。
これにより、被着体に対して、高い寸法精度で強固に接合することができる接合膜付き偏光板を提供することができる。また、このような接合膜付き偏光板の被着体が画像表示素子である画像表示装置では、表示される画像に、白抜け現象が発生するのを確実に防止することができる。
これにより、偏光層が外部環境(光、熱、湿度など)の影響により劣化するのが確実に防止され、偏光板の耐久性(耐候性)を長期間にわたって優れたものとすることができる。
前記偏光フィルムの前記他のフィルムと反対の面に前記接合膜が設けられたものであることが好ましい。
これにより、偏光層が複数のフィルムを有する積層体であっても、基板と偏光層とが高い寸法精度で強固に接合され、耐久性に優れるとともに、画像表示装置に適用した際に、白抜け現象の発生が確実に防止された接合膜付き偏光板とすることができる。
これにより、偏光層と接合膜との接合強度をさらに高めることができ、結果として、接合膜付き偏光板の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記偏光層は、偏光フィルムと、該偏光フィルムとは異なる機能を有する他のフィルムとの積層体をなし、
前記他のフィルムの前記偏光フィルムと反対の面に前記接合膜が設けられたものであることが好ましい。
これにより、偏光層が複数のフィルムを有する積層体であっても、基板と偏光層とが高い寸法精度で強固に接合され、耐久性に優れるとともに、画像表示装置に適用した際に、白抜け現象の発生が確実に防止された接合膜付き偏光板とすることができる。
これにより、偏光層と接合膜との接合強度をさらに高めることができ、結果として、接合膜付き偏光板の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記他のフィルムは、前記偏光フィルムを保護する保護フィルムや、透過光の所定の方向の速度を遅くする機能、入射光の一部の波長の光成分のみを透過する機能、入射光の一部の波長の光成分を吸収または反射する機能、または入射光の反射を防止する機能から選択される少なくとも一つの機能を有する光学フィルムであることが好ましい。
これにより、入射光を精度良く偏光させる機能に加えて、上述したような機能を確実に発現した接合膜付き偏光板を得ることができる。
これにより、被着体に高い寸法精度で強固に接合することができる接合膜付き偏光板を得ることができる。また、このような接合膜付き偏光板の被着体が画像表示素子である画像表示装置では、表示される画像に、白抜け現象が発生するのを確実に防止することができる。
これにより、基板と接合膜との接合強度をさらに高めることができ、結果として、接合膜付き偏光板の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記偏光層と前記基板とは、前記接合膜と同様の接合膜を介して接合されていることが好ましい。
これにより、寸法精度がさらに優れるとともに、より高い耐久性を有する接合膜付き偏光板を得ることができる。
これにより、接合膜付き偏光板の耐久性を十分に優れたものとしつつ、各構成フィルムが有する機能を確実に発現させることができる接合膜付き偏光板を得ることができる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記偏光層は、偏光フィルム、該偏光フィルムとは異なる機能を有する他のフィルムとの積層体をなし、
接合膜付き偏光板の平均厚さをT(μm)、前記基板の平均厚さをT1(μm)、前記偏光フィルムの平均厚さをT2(μm)、前記他のフィルムの厚さをT3(μm)としたとき、0.99≦(T1+T2+T3)/Tであることが好ましい。
これにより、偏光板を透過する光に、不本意な位相のずれが生じるのをより確実に防止
することができ、偏光板を構成する各フィルムが有する機能をより確実に発現させることができる。
これにより、偏光板と被着体とを十分に高い寸法精度で強固に接着させることができる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%であることが好ましい。
これにより、接合膜は、Si原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜自体が強固なものとなる。また、かかる接合膜は、偏光板に対して、特に高い接合強度を示すものとなる。
これにより、接合膜の安定性が高くなり、偏光板と被着体とをより強固に接合することができるようになる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記Si骨格の結晶化度は、45%以下であることが好ましい。
これにより、Si骨格は特にランダムな原子構造を含むものとなる。そして、寸法精度および接着性により優れた接合膜が得られ、結果として、偏光板と被着体とをより高い寸法精度で強固に接着することができる。
これらの脱離基は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、エネルギーを付与することによって比較的簡単に、かつ均一に脱離する脱離基が得られることとなり、偏光板と被着体との接着性をより高度化することができる。
これにより、耐候性および耐薬品性に優れた接合膜が得られる。その結果、得られる接合膜付き偏光板の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記接合膜は、プラズマ重合法により形成されたものであることが好ましい。
これにより、偏光板と被着体とは、接合膜を介して、特に強固に接合し得る接合膜付き偏光板が得られる。また、プラズマ重合法で形成された接合膜は、エネルギーが付与されて脱離基が脱離した状態(活性化状態)が比較的長時間にわたって維持されるため、得られる接合膜付き偏光板の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
これにより、接着性により優れた接合膜が得られ、偏光板と被着体とをより強固に接着させることができる。また、この接合膜は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物であることが好ましい。
これにより、接合膜を介して接合される偏光板と被着体との接合強度は特に優れたものとなる。
これにより、偏光板と被着体とを、従来に比べて格段に高い寸法精度で接合することができるとともに、従来に比べ、短時間で強固な接合が可能になる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記偏光板の前記接合膜と接している面には、あらかじめ、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されていることが好ましい。
これにより、偏光板の接合膜と接する表面を清浄化および活性化し、偏光板と被着体との接合強度を高めることができる。
これにより、偏光板と被着体との接合強度を特に優れたものとすることができる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記偏光板と前記接合膜との間に、中間層を有することが好ましい。
これにより、信頼性の高い接合膜付き偏光板を得ることができる。
本発明の接合膜付き偏光板では、前記中間層は、酸化物系材料を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、偏光板と被着体との間の接合強度を特に高めることができる。
前記偏光板の少なくともいずれかの面側に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、金属原子、該金属原子に結合する酸素原子、および前記金属原子または前記酸素原子に結合する脱離基、を含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする。
これにより、被着体に高い寸法精度で強固に接合することができる接合膜付き偏光板を提供することができる。また、このような接合膜付き偏光板の被着体が画像表示素子である画像表示装置では、表示される画像に、白抜け現象が発生するのを確実に防止することができる。
前記偏光板の少なくともいずれかの面側に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、金属原子、有機成分で構成される脱離基、を含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記接合膜から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする。
これにより、被着体に高い寸法精度で強固に接合することができる接合膜付き偏光板を提供することができる。また、このような接合膜付き偏光板の被着体が画像表示素子である画像表示装置では、表示される画像に、白抜け現象が発生するのを確実に防止することができる。
これにより、白抜け現象が抑えられ、耐久性に優れた画像表示装置を得ることができる。
本発明の画像表示装置では、前記画像表示素子の前記接合膜付き偏光板と接している面には、あらかじめ、水酸基を有していることが好ましい。
これにより、偏光板と画像表示素子との接合強度を特に高いものとすることができる。
本発明の接合膜付き偏光板は、光透過性を有する基板と、入射光を偏光させる機能を有する偏光層とを有する偏光板の少なくとも一方の面に接合膜を有するものである。
この接合膜付き偏光板を構成する接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含むものである。
このような特徴を有する接合膜付き偏光板は、被着体に対して、高い寸法精度で強固に接合可能なものである。そして、例えば、被着体としての画像表示素子に、かかる接合膜付き偏光板と接合膜を介して接合された画像表示装置は、偏光板と画像表示素子とが、高い寸法精度で強固に接合された、信頼性の高いものとすることができる。
まず、本発明の接合膜付き偏光板、および画像表示装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の接合膜付き偏光板の第1実施形態を示す断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示すように、本実施形態の接合膜付き偏光板1は、光透過性を有する基板2と、偏光層4としての偏光フィルム41とを有する偏光板10と、偏光フィルム41の上面(偏光フィルム41の基板2とは反対側の面)に設けられた接合膜3とを有している。以下、これらの各部について順次説明する。
接合膜付き偏光板1を構成する基板2は、光透過性を有するものであり、偏光フィルム41に傷が付くのを防止したり、接合膜付き偏光板1全体としての機械的強度を向上させるものである。
このような基板2を構成する材料としては、上述したような機能を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系開環重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリビニルブチラール、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アラミド系樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の樹脂系材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンのようなシリコン系材料、ケイ酸ガラス(石英ガラス)、ケイ酸アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、バリウムガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス系材料、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属、またはこれらの金属を含む合金、炭素鋼、ステンレス鋼、酸化インジウムスズ(ITO)、ガリウムヒ素のような金属系材料、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコンのようなシリコン系材料、アルミナ、ジルコニア、フェライト、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステンのようなセラミックス系材料、グラファイトのような炭素系材料、またはこれらの各材料の1種または2種以上を組み合わせた複合材料等が挙げられる。
このような基板2の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000μm程度であるのが好ましく、30〜500μm程度であるのがより好ましい。これにより、接合膜付き偏光板1の光透過性を十分に高いものとしながらも、接合膜付き偏光板1の機械的強度を十分に高いものとすることができる。
次に、偏光フィルムについて説明する。
偏光フィルム41は、入射した光を偏光させる機能を有するものである。
偏光フィルム41としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、部分ホルマール化ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分ケン価物等で構成された高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着、染色させ、一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
また、偏光フィルム41は、図1に示すように、偏光フィルム41の上面(基板2とは反対側の面)に後述するような接合膜3が設けられている。このような構成を有する接合膜付き偏光板1は、被着体と高い寸法精度で強固に接合されたものとなる。
さらに、偏光フィルム41の少なくとも接合膜3と接する領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3と偏光フィルム41との接合強度を十分に高くすることができる。
また、表面処理に代えて、偏光フィルム41の少なくとも接合膜3と接する領域には、中間層を形成しておくのが好ましい。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、接合膜3との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層を介して偏光フィルム41と接合膜3とを接合することになり、接合膜付き偏光板1と被着体との接合体は、信頼性の高いものとなる。
また、これらの各材料で構成された中間層の中でも、酸化物系材料で構成された中間層によれば、偏光フィルム41と接合膜3との間の接合強度を特に高めることができる。
次に、接合膜について詳細に説明する。
なお、図2は、本実施形態の接合膜付き偏光板が有する接合膜のエネルギー付与前の表面付近の状態を示す部分拡大図、図3は、本実施形態の接合膜付き偏光板が有する接合膜のエネルギー付与後の表面付近の状態を示す部分拡大図である。
かかる接合膜3は、図2、3に示すように、シロキサン(Si−O)結合302を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結合する脱離基303とを有するものであり、本発明の接合膜付き偏光板は、主にこの接合膜3に特徴を有する。
このような接合膜3は、シロキサン結合302を含みランダムな原子構造を有するSi骨格301の影響によって、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる接合膜付き偏光板1においても、寸法精度が高いものが得られる。
かかる接着性が発現した接合膜3を有する接合膜付き偏光板1は、被着体に対して、高い寸法精度で強固に接合効率良く接合可能なものとなる。
また、このような接合膜3は、流動性を有しない固体状のものとなる。このため、従来、流動性を有する液状または粘液状の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。これにより、接合膜付き偏光板1と被着体とが接合された接合体の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
なお、接合膜3中のSi骨格301の結晶化度は、45%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。これにより、Si骨格301は十分にランダムな原子構造を含むものとなる。このため、前述したSi骨格301の特性が顕在化し、接合膜3の寸法精度および接着性がより優れたものとなる。
このような特徴を有する接合膜3の構成材料としては、例えば、ポリオルガノシロキサンのようなシロキサン結合を含む重合物等が挙げられる。
また、ポリオルガノシロキサンは、通常、撥水性(非接着性)を示すが、エネルギーを付与されることにより、容易に有機基を脱離させることができ、親水性に変化し、接着性を発現するが、この非接着性と接着性との制御を容易かつ確実に行えるという利点を有する。
さらに、接合膜3の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜3にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、偏光フィルム41の接合面(接合膜3に隣接する面)に凹凸が存在している場合でも、その凹凸の高さにもよるが、凹凸の形状に追従するように接合膜3を被着させることができる。その結果、接合膜3は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、接合膜付き偏光板1と被着体とを貼り合わせた際に、接合膜3と、偏光板10と被着体との密着性を高めることができる。
このような接合膜3は、いかなる方法で作製されたものでもよく、プラズマ重合法、CVD法、PVD法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法等により作製することができるが、これらの中でも、プラズマ重合法により作製されたものが好ましい。プラズマ重合法によれば、緻密で均質な接合膜3を効率よく作製することができる。これにより、プラズマ重合法で作製された接合膜3は、耐久性に優れるとともに、接合膜付き偏光板1と被着体とを強固に接合し得るものとなる。さらに、プラズマ重合法で作製された接合膜3は、エネルギーが付与されて活性化された状態が比較的長時間にわたって維持される。このため、接合膜付き偏光板1の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
また、偏光板10と被着体とは、互いに剛性が異なっているのが好ましい。これにより、接合膜付き偏光板1と被着体との接合強度をさらに優れたものとすることができる。
なお、本実施形態では、画像表示装置として液晶表示装置について説明する。
図4は、本実施形態の画像表示装置(液晶表示装置)を示す断面図である。なお、なお、以下の説明では、図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
同図に示すように、本実施形態の液晶表示装置60は、液晶表示素子70と、2枚の接合膜付き偏光板68、69とを有している。このような液晶表示装置60は、各接合膜付き偏光板(68、69)が、被着体としての液晶表示素子70と、接合膜3を介して接合された構成を有している。
基板611および基板67は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極62、画素電極66は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
図5および図6は、本実施形態の接合膜付き偏光板を用いて、接合膜付き偏光板と画像表示素子とを接合する好適な実施形態を示すための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図5または図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
基板2、偏光フィルム41としては、前述したようなものを用いることができる。
また、偏光フィルム41の接合膜3が形成される領域には、あらかじめ、前述したような表面処理が施されているのが好ましい。これにより、偏光フィルム41と後述する接合膜3との密着性を特に優れたものとすることができる。
このような基板2と偏光フィルム41との接合方法は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール系、ウレタン系、アクリル系の各種光学粘接着剤を用いて、これらを接合することができる。
このような接合膜3は、偏光フィルム41と基板611との間に位置し、偏光フィルム41と基板611との接合を担うものである。
前述したように、接合膜3は、図2、3に示すように、シロキサン(Si−O)結合302を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結合する脱離基303とを有するものである。このような接合膜3は、シロキサン結合302を含みランダムな原子構造を有するSi骨格301の影響によって、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、接合膜付き偏光板1と基板611とを、高い寸法精度で接合することができる。
まず、接合膜3の形成方法を説明するのに先立って、偏光板10上(偏光フィルム41上)にプラズマ重合法を行いて接合膜3を作製する際に用いるプラズマ重合装置について説明する。
図7に示すプラズマ重合装置100は、チャンバー101と、偏光板10を支持する第1の電極130と、第2の電極140と、各電極130、140間に高周波電圧を印加する電源回路180と、チャンバー101内にガスを供給するガス供給部190と、チャンバー101内のガスを排気する排気ポンプ170とを備えている。これらの各部のうち、第1の電極130および第2の電極140がチャンバー101内に設けられている。以下、各部について詳細に説明する。
図7に示すチャンバー101は、軸線が水平方向に沿って配置されたほぼ円筒形をなすチャンバー本体と、チャンバー本体の左側開口部を封止する円形の側壁と、右側開口部を封止する円形の側壁とで構成されている。
なお、本実施形態では、チャンバー101は、導電性の高い金属材料で構成されており、接地線102を介して電気的に接地されている。
この第1の電極130は、チャンバー101の側壁の内壁面に、鉛直方向に沿って設けられており、これにより、第1の電極130は、チャンバー101を介して電気的に接地されている。なお、第1の電極130は、図7に示すように、チャンバー本体と同心状に設けられている。
この静電チャック139により、図7に示すように、偏光板10を鉛直方向に沿って支持することができる。また、偏光板10に多少の反りがあっても、静電チャック139に吸着させることにより、その反りを矯正した状態で偏光板10をプラズマ処理に供することができる。
この第2の電極140には、配線184を介して高周波電源182が接続されている。また、配線184の途中には、マッチングボックス(整合器)183が設けられている。これらの配線184、高周波電源182およびマッチングボックス183により、電源回路180が構成されている。
このような電源回路180によれば、第1の電極130は接地されているので、第1の電極130と第2の電極140との間に高周波電圧が印加される。これにより、第1の電極130と第2の電極140との間隙には、高い周波数で向きが反転する電界が誘起される。
図7に示すガス供給部190は、液状の膜材料(原料液)を貯留する貯液部191と、液状の膜材料を気化してガス状に変化させる気化装置192と、キャリアガスを貯留するガスボンベ193とを有している。また、これらの各部とチャンバー101の供給口103とが、それぞれ配管194で接続されており、ガス状の膜材料(原料ガス)とキャリアガスとの混合ガスを、供給口103からチャンバー101内に供給するように構成されている。
このような液状の膜材料は、気化装置192により気化され、ガス状の膜材料(原料ガス)となってチャンバー101内に供給される。なお、原料ガスについては、後に詳述する。
また、チャンバー101内の供給口103の近傍には、拡散板195が設けられている。
拡散板195は、チャンバー101内に供給される混合ガスの拡散を促進する機能を有する。これにより、混合ガスは、チャンバー101内に、ほぼ均一の濃度で分散することができる。
また、排気口104には、チャンバー101内の圧力を調整する圧力制御機構171が設けられている。これにより、チャンバー101内の圧力が、ガス供給部190の動作状況に応じて、適宜設定される。
図7は、基板2上に接合膜3を作製する方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
接合膜3は、強電界中に、原料ガスとキャリアガスとの混合ガスを供給することにより、原料ガス中の分子を重合させ、重合物を偏光板10上(偏光フィルム41上)に堆積させることにより得ることができる。以下、詳細に説明する。
まず、用意された偏光板10をプラズマ重合装置100のチャンバー101内に収納して封止状態とした後、排気ポンプ170の作動により、チャンバー101内を減圧状態とする。
ここで、混合ガス中における原料ガスの占める割合(混合比)は、原料ガスやキャリアガスの種類や目的とする成膜速度等によって若干異なるが、例えば、混合ガス中の原料ガスの割合を20〜70%程度に設定するのが好ましく、30〜60%程度に設定するのがより好ましい。これにより、重合膜の形成(成膜)の条件の最適化を図ることができる。
また、供給するガスの流量は、ガスの種類や目的とする成膜速度、膜厚等によって適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、原料ガスおよびキャリアガスの流量を、それぞれ、1〜100ccm程度に設定するのが好ましく、10〜60ccm程度に設定するのがより好ましい。
このような原料ガスを用いて得られるプラズマ重合膜、すなわち接合膜3は、これらの原料が重合してなるもの(重合物)、すなわちポリオルガノシロキサンで構成されることとなる。
また、高周波の出力密度は、特に限定されないが、0.01〜10W/cm2程度であるのが好ましく、0.1〜1W/cm2程度であるのがより好ましい。
原料ガス流量は、0.5〜200sccm程度であるのが好ましく、1〜100sccm程度であるのがより好ましい。一方、キャリアガス流量は、5〜750sccm程度であるのが好ましく、10〜500sccm程度であるのがより好ましい。
また、偏光板10の温度は、25℃以上であるのが好ましく、25〜100℃程度であるのがより好ましい。
以上のようにして、偏光板10上に接合膜3が形成された接合膜付き偏光板1を得ることができる。
エネルギーが付与されると、接合膜3では、脱離基303がSi骨格301から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、接合膜3の表面39および内部に活性手が生じる。これにより、接合膜3の表面39に、基板611との接着性が発現する。
ここで、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよく、例えば、エネルギー線を照射する方法、接合膜3を加熱する方法、接合膜3に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法、プラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、オゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等が挙げられる。
このうち、エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザー光のような光、X線、γ線、電子線、イオンビームのような粒子線等、またはこれらのエネルギー線を組み合わせたものが挙げられる。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、160〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、接合膜3の面積に応じて異なるが、1mW/cm2〜1W/cm2程度であるのが好ましく、5mW/cm2〜50mW/cm2程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜3との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
一方、レーザー光としては、例えば、エキシマレーザー(フェムト秒レーザー)、Nd−YAGレーザー、Arレーザー、CO2レーザー、He−Neレーザー等が挙げられる。
このように、エネルギー線を照射する方法によれば、接合膜3に対して選択的にエネルギーを付与することが容易に行えるため、例えば、エネルギーの付与による偏光板10の変質・劣化を防止することができる。
すなわち、脱離基303の脱離量を多くすることにより、接合膜3の表面39および内部に、より多くの活性手が生じるため、接合膜3に発現する接着性をより高めることができる。一方、脱離基303の脱離量を少なくすることにより、接合膜3の表面および内部に生じる活性手を少なくし、接合膜3に発現する接着性を抑えることができる。
さらに、エネルギー線を照射する方法によれば、短時間で大きなエネルギーを付与することができるので、エネルギーの付与をより効率よく行うことができる。
ここで、エネルギーが付与される前の接合膜3は、図2に示すように、Si骨格301と脱離基303とを有している。かかる接合膜3にエネルギーが付与されると、脱離基303(本実施形態では、メチル基)がSi骨格301から脱離する。これにより、図3に示すように、接合膜3の表面39に活性手304が生じ、活性化される。その結果、接合膜3の表面に接着性が発現する。
なお、後者の状態(未結合手が水酸基によって終端化された状態)は、例えば、接合膜3に対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射することにより、大気中の水分が未結合手を終端化することによって、容易に生成することができる。
このようにして得られた接合体71では、接合膜3を介して偏光板10と基板611(被着体)とを接合することにより得られる前述したような効果を確実に得ることができる。
ここで、用意する液晶表示素子70は、前述したようなものを用いることができる。
すなわち、偏光フィルム41と基板611の熱膨張率が互いに異なっている場合には、できるだけ低温下で接合を行うのが好ましい。接合を低温下で行うことにより、接合界面に発生する熱応力のさらなる低減を図ることができる。
また、このような基板611の接合膜3との接合に供される領域には、基板611の構成材料に応じて、接合を行う前に、あらかじめ、基板611と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。
このような表面処理としては、前述したような表面処理を好適に用いることができる。
かかる中間層の構成材料には、前述の偏光フィルム41に形成する中間層の構成材料と同様のものを用いることができる。
例えば、基板611の接合膜3との接合に供される領域に、水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、接合膜3と基板611とが接触するように、基板2と基板611とを貼り合わせたとき、接合膜3の表面39に存在する水酸基と、基板611の前記領域に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、接合膜3を備える基板2と基板611とが接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、接合膜3と基板611との接触界面では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、接合膜3を介して偏光板10と基板611とがより強固に接合されると推察される。
以上のようにして、図5(e)に示す接合体71を得ることができる。
また、接合体71を得た後、この接合体71に対して、必要に応じ、以下の3つの工程([5A]、[5B]および[5C])のうちの少なくとも1つの工程(接合体71の接合強度を高める工程)を行うようにしてもよい。これにより、接合体71の接合強度のさらなる向上を図ることができる。
これにより、偏光板10の表面および基板611の表面に、それぞれ接合膜3の表面がより近接し、接合体71における接合強度をより高めることができる。
また、接合体71を加圧することにより、接合体71中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、接合体71の接合強度をさらに高めることができる。
このとき、接合体71を加圧する際の圧力は、接合体71が損傷を受けない程度の圧力で、できるだけ高い方が好ましい。これにより、この圧力に比例して接合体71の接合強度を高めることができる。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、接合体71を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
これにより、接合膜付き偏光板1における接合強度をより高めることができる。
このとき、接合膜付き偏光板1を加熱する際の温度は、室温より高く、接合膜付き偏光板1の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25〜100℃程度とされ、より好ましくは50〜100℃程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、接合体71が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合強度を確実に高めることができる。
また、前記工程[5A]、[5B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、図6(f)に示すように、接合体71を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、接合体71の接合強度を特に高めることができる。
これにより、接合膜3と偏光板10および基板611との間に形成される化学結合を増加させ、偏光板10および基板611と接合膜3との間の接合強度をそれぞれ高めることができる。その結果、接合体71の接合強度を特に高めることができる。
このとき照射される紫外線の条件は、前記工程[3]に示した紫外線の条件と同等にすればよい。
なお、上記の説明では、接合膜付き偏光板1(接合膜付き偏光板68)と基板611との接合について説明したが、上記と同様にして接合膜付き偏光板1(接合膜付き偏光板69)と基板67とを接合することができる。
次に、本発明の接合膜付き偏光板、および本発明の画像表示装置の各第2実施形態について説明する。
図9は本発明の接合膜付き偏光板の第2実施形態を示す断面図である。なお、以下の説明では、図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図9に示すように、本実施形態の接合膜付き偏光板1は、光透過性を有する基板2と、偏光フィルム41と、偏光フィルム41の基板2とは反対の面側に設けられ、偏光フィルム41を保護する機能を有する保護フィルム42とを有する偏光板10と、保護フィルム42の上面(保護フィルム42の偏光フィルム41とは反対側の面)に設けられた接合膜3を有している。さらに、偏光板10を構成する基板2と偏光フィルム41との間、偏光フィルム41と保護フィルム42との間には、それぞれ、接合膜31、接合膜32が設けられている。すなわち、本実施形態の接合膜付き偏光板1は、偏光層4が偏光フィルム41と保護フィルム42との積層体であるとともに、偏光板10を構成する基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42が、それぞれ、前述した接合膜3と同様の接合膜31、32を介して接合されている以外は、前記実施形態1と同様である。
このような保護フィルム42の平均厚さは、特に限定されないが、5〜100μm程度であるのが好ましく、30〜80μm程度であるのがより好ましい。これにより、偏光フィルム41の光透過性を十分に高いものとしつつ、偏光層4の機械的強度を十分に高いものとすることができる。
さらに、保護フィルム42の接合膜3と接する領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3と保護フィルム42との接合強度を十分に高くすることができる。
また、表面処理に代えて、保護フィルム42の接合膜3と接する領域には、接合膜3との密着性を高める機能を有する中間層を形成しておくのが好ましい。これにより、かかる中間層を介して接合膜3と保護フィルム42とを接合することになり、結果として、保護フィルム42と偏光フィルム41との接合強度は特に優れたものとすることができる。
また、基板2の少なくとも接合膜3と接する領域には、基板2の構成材料に応じて、基板2と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、接合膜3と基板2との間の接合強度をより高めることができ、最終的には、基板2と偏光フィルム41との接合強度を高めることができる。
さらに、基板2の少なくとも接合膜3と接する領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3と基板2との接合強度を十分に高くすることができる。
また、表面処理に代えて、基板2の少なくとも接合膜3と接する領域には、接合膜3との密着性を高める機能を有する中間層を形成しておくのが好ましい。これにより、かかる中間層を介して接合膜3と基板2とを接合することになり、結果として、基板2と偏光フィルム41との接合強度は特に優れたものとすることができる。
かかる中間層の構成材料には、前述の偏光フィルム41に形成する中間層の構成材料と同様のものを用いることができる。
本実施形態にかかる接合膜付き偏光板1の製造方法は、基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42のお互いに接合する面のいずれにも前述した接合膜が設けられている以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる接合膜付き偏光板1の製造方法は、基板2と偏光フィルム41と保護フィルム42とを用意する工程と、基板2と保護フィルム41の一方の面、および偏光フィルム41の両面に接合膜を形成する工程と、基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42に設けられた各接合膜に対して、エネルギーを付与して、各接合膜(接合膜311、312、321、322)を活性化させる工程と、接合膜311、312同士、および接合膜321、322同士がそれぞれ密着するように基板2と偏光フィルム41と保護フィルム42とを貼り合わせる工程と、保護フィルム42上に接合膜3を形成し、接合膜付き偏光板1を得る工程とを有する。
図10は、図9に示す接合膜付き偏光板1の製造方法の好適な実施形態を示すための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図10中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1]まず、基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42とを用意する。(図示せず)なお、このような基板2、偏光フィルム41、および保護フィルム42としては、前述したようなものを用いることができる。
ここで、接合膜3を「活性化させる」とは、前述したように、各接合膜311、312、321、322の表面3116、3126、3216、3226および内部の脱離基303が脱離して、Si骨格301に終端化されていない結合手(未結合手)が生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、または、これらの状態が混在した状態のことを言う。
したがって、活性手304とは、未結合手または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。
ここで、本工程において、接合膜同士を密着させて接合するが、この接合は、以下のような2つのメカニズム(i)、(ii)の双方または一方に基づくものであると推察される。ここでは、基板2と偏光フィルム41とを接合膜311、接合膜312を介して接合する場合を例に説明する。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、基板2と偏光フィルム41との間では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、基板2と偏光フィルム41とがより強固に接合されると推察される。
また、偏光フィルム41と保護フィルム42とを接合膜321、接合膜322を介して接合する場合も、上記と同様のメカニズムで接合されるものと推測される。
の上面(保護フィルム42の上面)に前記第1実施形態と同様にして接合膜(接合膜3)を成形し、図10(d)に示すような接合膜付き偏光板1が得られる。
なお、偏光板10を得た後、この偏光板10に対して、必要に応じ、前記第1実施形態の工程[5A]、[5B]および[5C]のうちの少なくとも1つの工程を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、接合膜付き偏光板1は、偏光層4が偏光フィルム41と一層の保護フィルム42との積層体であるとして説明したが、本発明の接合膜付き偏光板は、これに限定されず、例えば、偏光層が前述したような偏光フィルム41および保護フィルム42に加え、上述したような機能を有する光学フィルムを有するものであってもよい。
次に、本発明の接合膜付き偏光板、および本発明の画像表示装置の第3実施形態について説明する。
図11は、本発明の接合膜付き偏光板の第3実施形態を示す断面図である。なお、以下の説明では、図11中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図11に示すように、本実施形態の接合膜付き偏光板1は、前記各実施形態の接合膜付き偏光板と同様に、偏光板10と、偏光板10の上面に接合膜3を有している。本実施形態の偏光板10は、光透過性を有する基板2と、偏光層4としての保護フィルム43と偏光フィルム41と保護フィルム44とがこの順番で積層され、基板2は、保護フィルム43と接合されるものである。また、基板2と保護フィルム43との間、保護フィルム43と偏光フィルム41との間、および、偏光フィルム41と保護フィルム44との間には、それぞれ、接合膜33、34、35が設けられている。すなわち、偏光層4が、前述した偏光層4の基板2と接合される側に、さらに保護フィルム43を接合膜33を介して接合されたものであること以外は、前記実施形態2と同様である。
このように、偏光フィルム41が接合膜33、35を介して、前述したような保護フィルム43、44と接合されることにより、偏光フィルム41が外部環境の影響により劣化するのがより確実に防止される。その結果、接合膜付き偏光板1は長期間にわたって偏光性能の劣化がなく、耐久性(耐候性)に特に優れたものとなる。
次に、本発明の接合膜付き偏光板、および本発明の画像表示装置の第4実施形態について説明する。
図12は、本発明の接合膜付き偏光板の第4実施形態が備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図、図13は、本発明の接合膜付き偏光板の第4実施形態が備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。なお、以下の説明では、図12および図13中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本実施形態にかかる接合膜付き偏光板および画像表示装置は、接合膜の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303が金属原子および酸素原子の少なくとも一方から脱離し、接合膜3の少なくとも表面付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3の表面に、前記第1実施形態ないし前記第3実施形態と同様の接着性が発現する。
接合膜3は、金属原子と、この金属原子と結合する酸素原子とで構成されるもの、すなわち金属酸化物に脱離基303が結合したものであることから、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、接合膜付き偏光板1、およびかかる接合膜付き偏光板1を備えた液晶表示装置60においても、寸法精度が高いものが得られる。
なお、脱離基303は、少なくとも接合膜3の表面39付近に存在していればよく、接合膜3のほぼ全体に存在していてもよいし、接合膜3の表面39付近に偏在していてもよい。なお、脱離基303が表面39付近に偏在する構成とすることにより、接合膜3に金属酸化物膜としての機能を好適に発揮させることができる。すなわち、接合膜3に、接合を担う機能の他に、導電性や透光性等の特性に優れた金属酸化物膜としての機能を好適に付与することができるという利点も得られる。換言すれば、脱離基303が、接合膜3の導電性や透光性等の特性を阻害してしまうのを確実に防止することができる。
以上のような接合膜3としての機能が好適に発揮されるように、金属原子が選択される。
より具体的には、金属酸化物としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、フッ素含有インジウム錫酸化物(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)および二酸化チタン(TiO2)等が挙げられる。
また、接合膜3中の金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と酸素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜3の安定性が高くなり、基板2と偏光フィルム41とをより強固に接合することができるようになる。
以上のような各原子および原子団の中でも、脱離基303は、特に、水素原子であるのが好ましい。水素原子で構成される脱離基303は、化学的な安定性が高いため、脱離基303として水素原子を備える接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
かかる構成の接合膜3は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、このような接合膜3は、偏光フィルム41に対して特に強固に接着するとともに、被着体に対しても特に強い被着力を示し、その結果として、接合膜付き偏光板1と被着体とを強固に接合することができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、接合膜付き偏光板1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
<A> Aの方法では、接合膜3は、上記のように、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で、物理的気相成膜法(PVD法)により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物材料を成膜することにより形成される。このようにPVD法を用いる構成とすれば、金属酸化物材料を偏光板10(偏光フィルム41)に向かって飛来させる際に、比較的容易に金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することができる。このため、接合膜3のほぼ全体にわたって脱離基303を導入することができる。
まず、接合膜3の成膜方法を説明するのに先立って、偏光板10上(偏光フィルム41上)にイオンビームスパッタリング法により接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置200について説明する。
図14に示す成膜装置200は、イオンビームスパッタリング法による接合膜3の形成がチャンバー(装置)内で行えるように構成されている。
なお、本実施形態では、基板ホルダー212は、チャンバー211の天井部に取り付けられている。この基板ホルダー212は、回動可能となっている。これにより、偏光板10上に接合膜3を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
また、イオン発生室256には、図14に示すように、その内部にガス(スパッタリング用ガス)を供給するガス供給源219が接続されている。
この成膜装置200では、イオン源215は、その開口250がチャンバー211内に位置するように、チャンバー211の側壁に固定(設置)されている。なお、イオン源215は、チャンバー211から離間した位置に配置し、接続部を介してチャンバー211に接続した構成とすることもできるが、本実施形態のような構成とすることにより、成膜装置200の小型化を図ることができる。
なお、イオン源215の設置個数は、1つに限定されるものではなく、複数とすることもできる。イオン源215を複数設置することにより、接合膜3の成膜速度をより速くすることができる。
これらシャッター220、221は、それぞれ、ターゲット216、偏光板10および接合膜3が、不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
さらに、ガス供給手段260は、脱離基303を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を貯留するガスボンベ264と、ガスボンベ264からこのガスをチャンバー211に導くガス供給ライン261と、ガス供給ライン261の途中に設けられたポンプ262およびバルブ263とで構成されており、脱離基303を構成する原子成分を含むガスをチャンバー211内に供給し得るようになっている。
まず、偏光板10を用意し、この偏光板10を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
脱離基303を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基303を導入することができる。
また、チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、金属原子または酸素原子と、前記原子成分を含むガスとの反応が効率良く行われ、金属原子および酸素原子に確実に、前記原子成分を含むガスを導入することができる。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜3に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜3の成膜中に導入された脱離基303が脱離するのを確実に防止することができる。
以上のようにして、ほぼ全体にわたって脱離基303が存在する接合膜3を成膜することができる。
なお、Bの方法を用いて接合膜3の成膜する場合も、Aの方法を用いて接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置200と同様の成膜装置が用いられるため、成膜装置に関する説明は省略する。
[ii] 次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、このとき、加熱手段を動作させ、チャンバー211内を加熱する。チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、膜密度の高い金属酸化物膜を成膜することができる。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜3に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜3の成膜中に導入された脱離基303が脱離するのを確実に防止することができる。
この状態で、加熱手段を動作させ、チャンバー211内をさらに加熱する。チャンバー211内の温度は、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基303が導入される温度に設定され、100〜600℃程度であるのが好ましく、150〜300℃程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、次工程[v]において、偏光板10および金属酸化物膜を変質・劣化させることなく、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基303を導入することができる。
このように、前記工程[iv]でチャンバー211内が加熱された状態で、チャンバー211内を、脱離基303を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)とすると、金属酸化物膜の表面付近に存在する金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303が導入されて、接合膜3が形成される。
脱離基303を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基303を導入することができる。
また、熱処理を施す時間は、15〜120分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
以上のようにして、表面39付近に脱離基303が偏在する接合膜3を成膜することができる。
以上のような第4実施形態にかかる接合膜付き偏光板1、液晶表示装置60においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
次に、本発明の接合膜付き偏光板、および本発明の画像表示装置の第5実施形態について説明する。
以下、本発明の接合膜付き偏光板の第5実施形態について説明するが、前記第1実施形態ないし前記第4実施形態にかかる偏光板との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
すなわち、本実施形態にかかる接合膜付き偏光板は、接合膜3がそれぞれエネルギー付与前の状態で、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含むものである。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303の結合手が切れて接合膜3から脱離し、接合膜3の少なくとも表面付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3の表面に、前記第4実施形態と同様の接着性が発現する。
接合膜3は、偏光板10上に設けられ、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含むものである。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303が接合膜3の少なくとも表面39付近から脱離し、図13に示すように、接合膜3の少なくとも表面39付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3の表面39に接着性が発現する。かかる接着性が発現すると、接合膜3を備えた偏光板10は、被着体に対して、高い寸法精度で強固に効率よく接合可能なものとなる。
このような接合膜3は、流動性を有さない固体状をなすものである。このため、従来から用いられている、流動性を有する液状または粘液状(半固形状)の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。したがって、このような接合膜3を用いて得られた接合膜付き偏光板1の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
具体的には、金属原子としては、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、各種ランタノイド元素、各種アクチノイド元素のような遷移金属元素、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Rb、Sr、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、Tl、Pd、Bi、Poのような典型金属元素等が挙げられる。
より具体的には、原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、カルボキシル基の他、前記アルキル基の末端がイソシアネート基、アミノ基およびスルホン酸基等で終端しているもの等が挙げられる。
また、かかる構成の接合膜3において、金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と炭素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜3の安定性が高くなり、接合膜付き偏光板1と被着体とをより強固に接合することができるようになる。また、接合膜3を優れた導電性を発揮するものとすることができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、接合膜付き偏光板1の寸法精度が著しく低下するおそれがある。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
まず、接合膜3の成膜方法を説明するのに先立って、接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置400について説明する。
図16に示す成膜装置400は、有機金属化学気相成長法(以下、「MOCVD法」と省略することもある。)による接合膜3の形成をチャンバー411内で行えるように構成されている。
また、基板ホルダー412の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができるシャッター421が配設されている。このシャッター421は、偏光板10および接合膜3が不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
なお、キャリアガスとしては、特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガス等が好適に用いられる。
なお、有機金属材料として、後述する2,4−ペンタジオネート−銅(II)や[Cu(hfac)(VTMS)]等のように分子構造中に酸素原子を含有するものを用いる場合には、低還元性雰囲気下とするためのガスに、水素ガスを添加するのが好ましい。これにより、酸素原子に対する還元性を向上させることができ、接合膜3に過度の酸素原子が残存することなく、接合膜3を成膜することができる。その結果、この接合膜3は、膜中における金属酸化物の存在率が低いものとなり、優れた導電性を発揮することとなる。
また、排気手段430は、ポンプ432と、ポンプ432とチャンバー411とを連通する排気ライン431と、排気ライン431の途中に設けられたバルブ433とで構成されており、チャンバー411内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
[i] まず、偏光板10を用意する。そして、この偏光板10を成膜装置400のチャンバー411内に搬入し、基板ホルダー412に装着(セット)する。
[ii] 次に、排気手段430を動作させ、すなわちポンプ432を作動させた状態でバルブ433を開くことにより、チャンバー411内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
そして、固形状の有機金属材料を貯留された貯留槽462が備える加熱手段を動作させることにより、有機金属材料を気化させた状態で、ポンプ464を動作させるとともに、バルブ463を開くことにより、気化または霧化した有機金属材料をキャリアガスとともにチャンバー内に導入する。
すなわち、MOCVD法によれば、有機金属材料に含まれる有機物の一部が残存するように金属原子を含む膜を形成すれば、この有機物の一部が脱離基303としての機能を発揮する接合膜3を偏光板10上に形成することができる。
以上のように、接合膜3を成膜した際に膜中に残存する残存物を脱離基303として用いる構成とすることにより、形成した金属膜等に脱離基を導入する必要がなく、比較的簡単な工程で接合膜3を成膜することができる。
以上のようにして、接合膜3を成膜することができる。
以上のような第5実施形態にかかる接合膜付き偏光板1、および液晶表示装置60においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
前述したような本発明の接合膜付き偏光板を有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図17は、本発明の画像表示装置を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
例えば、上述した各実施形態では、接合膜付き偏光板1として、偏光層4の基板2とは反対側の面に接合膜3を有するものについて説明したが、接合膜付き偏光板1は、基板2の偏光層4とは反対側の面に接合膜3を有するものであってもよい。
また、本発明の接合膜付き偏光板は、各実施形態の任意の構成を組み合わせたものであってもよい。
Claims (19)
- 光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面に設けられた偏光層と、を積層してなる偏光板と、
前記偏光板の少なくともいずれかの面側に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含む原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする接合膜付き偏光板。 - 前記接合膜は、前記偏光層の前記基板と反対の面に設けられたものである請求項1に記載の接合膜付き偏光板。
- 前記偏光層は、偏光フィルムと、該偏光フィルムとは異なる機能を有する他のフィルムとの積層体をなし、
前記偏光フィルムの前記他のフィルムと反対の面に前記接合膜が設けられたものである請求項2に記載の接合膜付き偏光板。 - 前記偏光層は、偏光フィルムと、該偏光フィルムとは異なる機能を有する他のフィルムとの積層体をなし、
前記他のフィルムの前記偏光フィルムと反対の面に前記接合膜が設けられたものである請求項2に記載の接合膜付き偏光板。 - 前記偏光層は、偏光フィルム、該偏光フィルムとは異なる機能を有する他のフィルムとの積層体をなし、
接合膜付き偏光板の平均厚さをT(μm)、前記基板の平均厚さをT1(μm)、前記偏光フィルムの平均厚さをT2(μm)、前記他のフィルムの厚さをT3(μm)としたとき、0.99≦(T1+T2+T3)/Tである請求項1ないし4のいずれかに記載の接合膜付き偏光板。 - 前記他のフィルムは、前記偏光フィルムを保護する保護フィルムや、透過光の所定の方向の速度を遅くする機能、入射光の一部の波長の光成分のみを透過する機能、入射光の一部の波長の光成分を吸収または反射する機能、または入射光の反射を防止する機能から選択される少なくとも一つの機能を有する光学フィルムである請求項3ないし5のいずれかに記載の接合膜付き偏光板。
- 前記偏光フィルムと前記他のフィルムとが、前記接合膜と同様の接合膜を介して接合されている請求項3ないし6のいずれかに記載の接合膜付き偏光板。
- 前記接合膜は、前記基板の前記偏光層と反対の面に設けられたものである請求項1に記載の接合膜付き偏光板。
- 前記偏光層と前記基板とは、前記接合膜と同様の接合膜を介して接合されている請求項1ないし8のいずれかに記載の接合膜付き偏光板。
- 前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmである請求項1ないし9のいずれかに記載の接合膜付き偏光板。
- 前記Si骨格の結晶化度は、45%以下である請求項1ないし10のいずれかに記載の接合膜付き偏光板。
- 前記脱離基は、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子が前記Si骨格に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものである請求項1ないし11のいずれかに記載の接合膜付き偏光板。
- 前記脱離基は、アルキル基である請求項12に記載の接合膜付き偏光板。
- 前記接合膜は、プラズマ重合法により形成されたものである請求項1ないし13のいずれかに記載の接合膜付き偏光板。
- 前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを主材料として構成されている請求項14に記載の接合膜付き偏光板。
- 前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物である請求項15に記載の接合膜付き偏光板。
- 光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた偏光層と、を積層してなる偏光板と、
前記偏光板の少なくともいずれかの面側に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、金属原子、該金属原子に結合する酸素原子、および前記金属原子または前記酸素原子に結合する脱離基、を含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする接合膜付き偏光板。 - 光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた偏光層と、を積層してなる偏光板と、
前記偏光板の少なくともいずれかの面側に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、金属原子、有機成分で構成される脱離基、を含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記接合膜から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする接合膜付き偏光板。 - 請求項1ないし18のいずれかに記載の接合膜付き偏光板と前記他の被着体としての画像表示素子とを備えたことを特徴とする画像表示装置。
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