JP2009134197A - 接合膜付きカラーフィルター、被着体とカラーフィルターとの接合方法および画像表示装置 - Google Patents

接合膜付きカラーフィルター、被着体とカラーフィルターとの接合方法および画像表示装置 Download PDF

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和央 樋口
Yasuhide Matsuo
泰秀 松尾
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Abstract

【課題】被着体に対して、薄い接合膜を介して、高い寸法精度で強固に接合することができる接合膜付きカラーフィルター、カラーフィルターと被着体とを効率よく高い寸法精度で強固に接合する接合方法、および前記接合膜付きカラーフィルターを備え、信頼性が高く、鮮明な画像表示を行うことができる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】接合膜付きカラーフィルター1は、カラーフィルター2と、カラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の表面に設けられた接合膜3とを有しており、透明電極基板71(被着体)に対して接合可能なものである。このような接合膜3は、シロキサン結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含む膜である。
【選択図】図1

Description

本発明は、接合膜付きカラーフィルター、被着体とカラーフィルターとの接合方法および画像表示装置に関するものである。
カラー表示を行う液晶表示装置(LCD)等には、一般に、カラーフィルターが用いられている。このようなカラーフィルターは、光透過性を有する基板上に、遮光性を有する隔壁(バンク)と、隔壁で囲まれた領域に光の三原色である赤、緑、青に対応する3色の着色部とを有している。そして、LCD等に適用するカラーフィルターには、隔壁と着色部とを覆うように設けられた保護層(オーバーコート層)を介して、透明電極基板が形成され、このようにして得られたカラーフィルター基板を、液晶層を有するTFT(Thin Film Transistor)素子基板と貼り合わせることによりLCDを得ることができる。
ところで、カラーフィルターと透明電極基板との間に設けられる保護層は、耐熱性、耐薬品性、平滑性、光透過性、耐擦傷性、透明電極基板およびカラーフィルターとの密着性等の機能を有していることが要求されるものである。従来の保護層の材料としては、アクリル系、ウレタン系、ポリイミド系、エポキシ系等の有機系樹脂材料が広く用いられている。
しかしながら、従来の有機系樹脂で構成された保護膜(層)は、透明電極基板およびカラーフィルターとの密着性が不十分であり、保護膜と、透明電極基板およびカラーフィルターとの間で剥離が生じることがあった。
このような問題を解決するため、保護膜を構成する材料の検討が行われている。(例えば、特許文献1参照。)しかしながら、このような材料で構成された保護膜は、耐熱性が改善されるものの、透明電極基板との密着性が未だ不十分であり、保護膜と透明電極基板との間で剥離が生じることがあった。また、上述したような有機系樹脂材料は、主に、硬化性樹脂材料であり、モノマーやプレポリマーに硬化剤を混合した樹脂溶液を、スピンコーター等を用いてカラーフィルター上に塗布、乾燥(硬化)させることにより保護膜は形成される。このような保護膜は、その厚さにムラが生じ易く、得られるLCDにおいて、TFT素子が有する画素電極のパターンと、カラーフィルターが有する着色部(画素)のパターンとを高い精度で合わせすることが困難であった。このようなLCDでは、部分的に表示画像が不鮮明になってしまうことがあり、特に、近年求められている高解像度のLCDで顕著な問題であった。
特開平8−50289号公報
本発明の目的は、被着体に対して、薄い接合膜を介して、高い寸法精度で強固に接合することができる接合膜付きカラーフィルター、カラーフィルターと被着体とを効率よく高い寸法精度で強固に接合する接合方法、および前記接合膜付きカラーフィルターを備え、信頼性が高く、鮮明な画像表示を行うことができる画像表示装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の接合膜付きカラーフィルターは、光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた隔壁と、前記隔壁で囲まれた領域に設けられた着色層とを有するカラーフィルターと、
前記カラーフィルターの少なくとも前記隔壁上に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したとき、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする。
これにより、被着体に対して、薄い接合膜を介して、高い寸法精度で強固に接合することができる接合膜付きカラーフィルターが得られる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記隔壁は、あらかじめ、前記接合膜と接する表面に水酸基を有していることが好ましい。
これにより、カラーフィルターと被着体とを、高い寸法精度でより強固に接合することができる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記接合膜は、前記隔壁の表面と前記着色層の表面とに連続して設けられていることが好ましい。
これにより、接合膜を介してカラーフィルターと被着体とを接合してなる接合体は、より寸法精度が高いものとなるとともに、接合強度はより優れたものとなる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記着色層は、あらかじめ、前記接合膜と接する表面に水酸基を有していることが好ましい。
これにより、カラーフィルターと被着体とを、高い寸法精度でより強固に接合することができる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmであることが好ましい。
これにより、カラーフィルターと被着体とを十分に高い寸法精度で強固に接着させることができる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%であることが好ましい。
これにより、接合膜は、Si原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜自体がより強固なものとなる。このため、接合膜は、カラーフィルターおよび被着体に対して、特に高い接合強度を示すものとなる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記接合膜中のSi原子とO原子の存在比は、3:7〜7:3であることが好ましい。
これにより、接合膜の安定性が高くなり、カラーフィルターと被着体とをより強固に接合することができる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記Si骨格の結晶化度は、45%以下であることが好ましい。
これにより、Si骨格は十分にランダムな原子構造を含むものとなる。このため、Si骨格の特性が顕在化し、接合膜の寸法精度および接着性がより優れたものとなる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記脱離基は、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子が前記Si骨格に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものであることが好ましい。
これらの脱離基は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基は、接合膜の接着性をより高度なものとすることができる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記脱離基は、アルキル基であることが好ましい。
アルキル基は化学的な安定性が高いため、脱離基としてアルキル基を含む接合膜は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記接合膜は、プラズマ重合法により形成されたものであることが好ましい。
これにより、緻密で均質な接合膜を効率よく作製することができる。その結果、接合膜の被着体に対する接合強度は特に高いものとなる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、接合膜が機械的特性に優れたものとなる。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示す接合膜が得られる。したがって、カラーフィルターと被着体とを強固に接合することができる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものであることが好ましい。
これにより、接合膜が接着性に特に優れたものとなる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものであることが好ましい。
これにより、接着剤に比べて接着層(接合膜)の厚さや形状がほとんど変化しない。したがって、接合膜の寸法精度がより高いものとなる。また、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記隔壁の前記接合膜と接している面には、あらかじめ、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されていることが好ましい。
これにより、カラーフィルターが有する隔壁の接合膜を形成すべき領域を清浄化するとともに、この領域を活性化することができる。その結果、カラーフィルターと被着体との接合強度をより高めることができる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記表面処理は、プラズマ処理であることが好ましい。
これにより、接合膜を形成するために、隔壁の表面を特に最適化することができる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記隔壁と前記接合膜との間に、中間層が介挿されていることが好ましい。
これにより、信頼性の高い接合膜付きカラーフィルターが得られる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターでは、前記中間層は、酸化物系材料を主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、カラーフィルターと接合膜との間の接合強度を特に高めることができる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターは、光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた隔壁と、前記隔壁で囲まれた領域に設けられた着色層とを有するカラーフィルターと、
前記カラーフィルターの少なくとも前記隔壁上に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、金属原子と、該金属原子に結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したとき、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする。
これにより、被着体に対して、薄い接合膜を介して、高い寸法精度で強固に接合することができる接合膜付きカラーフィルターが得られる。
本発明の接合膜付きカラーフィルターは、光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた隔壁と、前記隔壁で囲まれた領域に設けられた着色層とを有するカラーフィルターと、
前記カラーフィルターの少なくとも前記隔壁上に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記接合膜から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする。
これにより、被着体に対して、薄い接合膜を介して、高い寸法精度で強固に接合することができる接合膜付きカラーフィルターが得られる。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法は、被着体と、本発明の接合膜付きカラーフィルターとを用意する工程と、
前記接合膜付きカラーフィルターの前記接合膜の少なくとも一部の領域にエネルギーを付与する工程と、
前記被着体と前記接合膜とが密着するように、前記被着体と前記接合膜付きカラーフィルターとを貼り合わせて接合する工程とを有することを特徴とする。
これにより、薄い接合膜を介して、カラーフィルターと被着体とを効率よく、高い寸法精度で強固に接合することができる。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法は、被着体と、本発明の接合膜付きカラーフィルターとを用意する工程と、
前記被着体と前記接合膜とが密着するように、前記被着体と前記接合膜付きカラーフィルターとを重ね合わせて、仮接合体を得る工程と、
前記仮接合体中の前記接合膜の少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記被着体と前記接合膜付きカラーフィルターとを接合する工程とを有することを特徴とする。
これにより、薄い接合膜を介して、カラーフィルターと被着体とを効率よく、高い寸法精度で強固に接合することができる。また、仮接合体の状態では、接合膜付きカラーフィルターと被着体との間は接合されていないので、接合膜付きカラーフィルターの被着体に対する相対位置を調整することができる。その結果、接合膜付きカラーフィルターと被着体とを重ね合わせた後、これらの位置を容易に微調整することができる。そして、接合膜の表面方向における位置精度を高めることができる。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法では、前記エネルギーの付与は、前記接合膜にエネルギー線を照射する方法、前記接合膜を加熱する方法、および前記接合膜に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われることが好ましい。
これらの方法は、接合膜に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができる。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法では、前記エネルギー線は、波長150〜300nmの紫外線であることが好ましい。
これにより、接合膜に付与されるエネルギー量が最適化されるので、接合膜中の骨格が必要以上に破壊されるのを防止しつつ、接合膜と脱離基との間の結合を選択的に切断することができる。その結果、接合膜の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜に接着性を確実に発現させることができる。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法では、前記加熱の温度は、25〜100℃であることが好ましい。
これにより、カラーフィルターが熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合膜を確実に活性化させることができる。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法では、前記圧縮力は、0.2〜10MPaであることが好ましい。
これにより、カラーフィルターに損傷等が生じるのを防止しつつ、単に圧縮するのみで、接合膜に対して適度なエネルギーを簡単に付与することができる。その結果、接合膜に十分な接着性が発現する。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法では、前記エネルギーの付与は、大気雰囲気中で行われることが好ましい。
これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギーの付与をより簡単に行うことができる。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法では、前記被着体は、あらかじめ、前記接合膜との密着性を高める表面処理を施した表面を有するものであり、
前記被着体は、前記表面処理を施した表面と前記接合膜とが密着するように、前記接合膜付きカラーフィルターに対して貼り合わされることが好ましい。
これにより、カラーフィルターと被着体との間の接合強度をより高めることができる。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法では、前記被着体は、あらかじめ、官能基、ラジカル、開環分子、不飽和結合、ハロゲンおよび過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基または物質を有する表面を有するものであり、
前記被着体は、前記基または物質を有する表面と前記接合膜とが密着するように、前記接合膜付きカラーフィルターに対して貼り合わされることが好ましい。
これにより、接合膜付きカラーフィルターの被着体に対する接合強度を、さらに高めることができる。
本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法では、前記被着体は、前記接合膜付きカラーフィルターが備える前記接合膜と同様の接合膜を備えており、
前記各接合膜同士が密着するように、前記被着体と前記接合膜付きカラーフィルターとを重ね合わせることが好ましい。
これにより、カラーフィルターと被着体とがより強固に接合される。
本発明の画像表示装置は、本発明の接合膜付きカラーフィルターと、前記他の被着体としての画像表示素子とが、前記接合膜を介して接合されていることを特徴とする。
これにより、信頼性が高く、鮮明な画像表示を行うことができる画像表示装置が得られる。
本発明の画像表示装置では、前記画像表示素子は、透明電極基板を有しており、
前記接合膜付きカラーフィルターは、前記画像表示素子のうちの前記透明電極基板に接合されていることが好ましい。
これにより、カラーフィルターと透明電極基板とが厚みムラなく、高い寸法精度で接合され、より信頼性の高い高解像度の画像表示装置が得られる。
本発明の画像表示装置は、光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた隔壁と、前記隔壁で囲まれた領域に設けられた着色層とを有するカラーフィルターと、
前記カラーフィルターと対向して配置された画像表示素子と、
これらの間に設けられた接合膜とを有し、
前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したとき、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、発現した接着性によって、前記カラーフィルターと前記画像表示素子とを接合していることを特徴とする。
これにより、信頼性が高く、鮮明な画像表示を行うことができる画像表示装置が得られる。
以下、本発明の接合膜付きカラーフィルター、被着体とカラーフィルターとの接合方法および画像表示装置を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の接合膜付きカラーフィルターは、光透過性を有する基板と、基板の一方の面側に設けられた隔壁と、隔壁で囲まれた領域に設けられた着色層とを有するカラーフィルターと、このカラーフィルターの少なくとも隔壁上に設けられた接合膜とを有しており、被着体(画像表示素子)に対して接合するのに用いられるものである。
この接合膜付きカラーフィルターのうち、接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含む接合膜とを有するものである。
このような接合膜付きカラーフィルターは、接合膜の平面視における少なくとも一部の領域、すなわち、平面視における接合膜の全面または一部の領域に対して、エネルギーを付与することにより、接合膜の少なくとも表面付近に存在する脱離基がSi骨格から脱離するものである。そして、この接合膜は、脱離基の脱離によって、その表面のエネルギーを付与した領域に、被着体との接着性が発現するという特徴を有するものである。
このような特徴を有する接合膜付きカラーフィルターは、被着体に対して、薄い接合膜を介して、効率よく高い寸法精度で強固に接合可能なものである。そして、例えば、被着体としての画像表示素子に、かかる接合膜付きカラーフィルターと接合膜を介して接合された画像表示装置は、カラーフィルターと画像表示素子とが、高い寸法精度で強固に接合され、画像表示素子が有する画素電極のパターンとカラーフィルターが有する着色層(画素)のパターンとを高い精度で合わせることができる。その結果、信頼性が高く、鮮明な画像表示を行うことができるものとなる。
<第1実施形態>
まず、本発明の接合膜付きカラーフィルター、被着体とカラーフィルターとの接合方法および画像表示装置の各第1実施形態について説明する。なお、本実施形態では、画像表示装置として、液晶表示装置について説明する。
図1は、本実施形態の画像表示装置(液晶表示装置)の第1実施形態を示す図(縦断面図)、図2および図3は、本発明の接合膜付きカラーフィルターと被着体とを接合する方法の第1実施形態を説明するための図、図4は、本発明の接合膜付きカラーフィルターが備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図、図5は、本発明の接合膜付きカラーフィルターが備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。なお、以下の説明では、図1ないし図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置70は、接合膜付きカラーフィルター1と、液晶表示素子80と、2枚の偏光板78、79とを有している。このような液晶表示装置70は、接合膜付きカラーフィルター1が、被着体としての液晶表示素子80と、接合膜3を介して接合されており、液晶表示素子80の上面、および接合膜付きカラーフィルター1の下面に、それぞれ偏光板78、79が設けられた構成を有している。
このような接合膜付きカラーフィルター1は、光透過性を有する基板21と、基板21上に形成された隔壁(バンク)23と、基板21上に形成され、隔壁23で囲まれた領域に設けられた各色(例えば、赤、緑、青)の着色部で構成された着色層22とを有するカラーフィルター2と、カラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の表面に連続して設けられた接合膜3とを有している。
また、接合膜付きカラーフィルター1が接合される相手(被着体)としての液晶表示素子80は、透明電極基板71と、透明電極基板71の上側に配された基板(対向基板)77と、透明電極基板71と基板77との間の空隙に封入された液晶よりなる液晶層73とを有している。そして、透明電極基板71の液晶層73側の面には共通電極72が設けられており、基板(対向基板)77の液晶層73、カラーフィルター2に対向する面には、カラーフィルター2の着色層22の各着色部に対応する位置に、マトリクス状に、画素電極76が配されている。さらに、共通電極72と液晶層73との間には配向膜75が設けられ、基板77(画素電極76)と液晶層73との間には配向膜74が設けられている。上述した接合膜付きカラーフィルター1は、このような液晶表示素子80の透明電極基板71と接合膜3を介して接合されている。
基板77は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えば、ガラス基板である。
共通電極72、画素電極76は、可視光に対して光透過性を有する材料で構成されたものであり、例えば、ITO等で構成されている。
また、図中省略しているが、各画素電極76に対応するように、複数のスイッチング素子(例えば、TFT:薄膜トランジスタ)が設けられている。そして、着色層22の各着色部に対応する各画素電極76について、共通電極72との間での電圧の印加状態を制御することにより、着色層22の各着色部(各画素電極76)に対応する領域での、光の透過性を制御することができる。
液晶表示装置70では、図示しないバックライトから発せられた光が、偏光板79側(図1中上側)から入射するようになっている。そして、液晶層73を透過し、カラーフィルター2の着色層22の各着色部に入射した光は、各着色部に対応する色の光として、偏光板78(図1中下側)から出射する。
このような液晶表示装置70の製造方法は、接合膜付きカラーフィルター1を用意する工程と、接合膜付きカラーフィルター1の接合膜3に対してエネルギーを付与して、接合膜3中から脱離基を脱離させることにより、接合膜3を活性化させる工程と、透明電極基板(被着体)71を用意し、接合膜付きカラーフィルター1が備える接合膜3と透明電極基板71とが密着するように、これらを貼り合わせ、接合体10を得る工程と、得られた接合体10の透明電極基板71上に液晶表示素子80を構成する各部材を順次形成し、その後に、カラーフィルター2の液晶表示素子80とは反対側の面、および液晶表示素子80のカラーフィルター2とは反対側の面に、それぞれ偏光板78、79を貼り合わせ、液晶表示装置70を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる液晶表示装置70の製造方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、接合膜付きカラーフィルター1(本発明の接合膜付きカラーフィルター)を用意する。
接合膜付きカラーフィルター1は、図2(a)に示すように、光透過性を有する基板21と、基板21上に形成された隔壁(バンク)23と、基板21上に形成され、隔壁23で囲まれた領域に設けられた各色(赤、緑、青)の着色部で構成された着色層22とを有するカラーフィルター2と、カラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の表面に連続して設けられた接合膜3とを有している。
基板21は、光透過性を有する板状の部材で、着色層22、隔壁23を保持する機能を有している。
基板21は、実質的に透明な材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、カラーフィルター2を透過する光により、より鮮明な画像表示を行うことができる。
また、基板21は、耐熱性、機械的強度に優れたものであるのが好ましい。これにより、例えば、カラーフィルター2の製造時に加わる熱による変形等を確実に防止することができる。このような条件を満足する基板21の構成材料としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ノルボルネン系開環重合体やその水素添加物等が挙げられる。
着色層22は、各色(赤、緑、青)に対応する着色剤(顔料、染料等)を主材料とした着色部で構成されている。そして、各着色部は、基板21上の後述する隔壁23で囲まれた領域に設けられている。
このような着色層22では、一組の異なる色の着色部で1画素を構成している。そして、カラーフィルター2においては、その横方向および縦方向に、着色層22を構成する各着色部が所定数配置されている。例えば、カラーフィルター2が、ハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1366×768個の画素が配置されており、フルハイビジョン用のカラーフィルターである場合には1920×1080個の画素が配置されており、スーパーハイビジョン用のカラーフィルターである場合には7680×4320個の画素が配置されている。なお、カラーフィルター2は、例えば、有効領域外に予備の画素を備えたものであってもよい。
このような着色層22(着色部)を構成する材料は、基板21上に着色層22を形成する方法(例えば、周知のフォトリソグラフィー法、インクジェット法など)により異なるが、後述するインクジェット法を用いてカラーフィルター2を製造する場合には、以下のような材料で構成されているのが好ましい。すなわち、着色層22を構成する材料としては、顔料、染料等の着色剤、樹脂材料(バインダー樹脂)としての硬化樹脂材料を含んでいるものが好ましい。なお、硬化樹脂材料とは、熱や、光(例えば、紫外線)などにより、硬化する性質を有する樹脂材料のことを指し、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂などが挙げられる。着色層22を構成する材料として、このような硬化樹脂材料を含むことにより、着色層22の耐溶剤性、耐熱性、および基板21との密着性がより優れたものとなる。
このような硬化樹脂材料としては、各種熱硬化性樹脂、各種光硬化性樹脂等を用いることができるが、エポキシ系樹脂であるのが好ましい。エポキシ系樹脂は、透明性が高く、硬度が高いものであるとともに、熱収縮量が小さい。このため、着色層22の基板21への密着性を特に優れたものとすることができ、カラーフィルター1の耐久性をさらに優れたものとすることができる。
着色層22の厚さ(高さ)は、特に限定されないが、着色層22の厚さをT[μm]、後述する隔壁の高さをH[μm]としたとき、0.6≦T/H≦1.5の関係を満足しているのが好ましく、0.8≦T/H≦1.2の関係を満足しているのがより好ましい。上記条件を満足するカラーフィルター2では、着色層22を構成する隣接する着色部同士が混色するのが確実に防止されるとともに、着色層22の厚さと隔壁23の高さとの差を十分に小さいものとすることができる。これにより、液晶表示装置70では、接合膜付きカラーフィルター1と、接合膜3を介して接合される透明電極基板71とが、より密接して接合され、結果として、接合膜付きカラーフィルター1を透明電極基板71(液晶表示素子80)により強固に接合することができる。
また、本実施形態の接合膜付きカラーフィルター1では、着色層22の表面に、後述するような接合膜3が設けられている。
このような着色層22の少なくとも接合膜3と接する領域には、着色層22の構成材料に応じて、着色層22と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、接合膜3と着色層22との間の接合強度をより高めることができ、最終的には、接合膜付きカラーフィルター1と被着体との接合強度を高めることができる。
かかる表面処理としては、例えば、スパッタリング処理、ブラスト処理のような物理的表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン暴露処理のような化学的表面処理、または、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。このような処理を施すことにより、着色層22の接合膜3と接する領域を清浄化するとともに、該領域を活性化させることができる。これにより、着色層22と接合膜3との間の接合強度をより高めることができ、最終的には、接合膜付きカラーフィルター1と被着体との接合強度を高めることができる。
上述したような表面処理の中でも、コロナ放電処理、窒化プラズマ処理を用いることにより、着色層22の表面は特に最適化され、着色層22と接合膜3との接合強度は特に優れたものとなる。
さらに、着色層22の少なくとも接合膜3と接する領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3と着色層22との接合強度を十分に高くすることができる。
このような基や物質としては、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、イミダゾール基のような官能基、ラジカル、開環分子、2重結合、3重結合のような不飽和結合、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン、過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基または物質が挙げられる。このような基または物質を有する表面は、着色層22の接合膜3に対する接合強度のさらなる向上を実現し得るものとなる。また、上述したような基または物質の中でも、着色層22の表面が水酸基を有しているのが好ましい。これにより、着色層22の接合膜3に対する接合強度を特に優れたものとすることができる。
また、このようなものを有する表面が得られるように、上述したような各種表面処理を適宜選択して行うことにより、接合膜3と着色層22の接合強度は特に優れたものとなる。
また、着色層22が有する隣接する着色部の間には、隔壁(バンク)23が設けられている。これにより、隣接する着色部同士が混色してしまうのを確実に防止することができ、その結果、鮮明な画像を確実に表示することができる。
隔壁23は、透明な材料で構成されたものであってもよいが、遮光性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、コントラストに優れた画像を表示することができる。隔壁(遮光部)23の色は、特に限定されないが、黒色であるのが好ましい。これにより、表示される画像のコントラストを特に優れたものとすることができる。
隔壁23の高さは、特に限定されないが、着色層22の膜厚よりも大きいものであるのが好ましい。これにより、隣接する着色部間での混色を確実に防止することができる。隔壁23の具体的な厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3.5μmであるのがより好ましい。これにより、隣接する着色部22の間での混色を確実に防止することができるとともに、接合膜付きカラーフィルター1を備えた液晶表示装置70における視野角特性を優れたものとすることができる。
隔壁23は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、例えば、主として硬化樹脂材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、後述するような方法で、隔壁23を容易に所望の形状を有するものとして形成することができる。また、隔壁23が遮光部としての機能を有するものである場合、その構成材料として、カーボンブラック等の光吸収性の材料を含むものであってもよい。
また、このような隔壁23の表面には、後述する接合膜3が設けられている。
このような隔壁23の接合膜3と接する領域には、隔壁23の構成材料に応じて、隔壁23と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、接合膜3と隔壁23との間の接合強度をより高めることができ、最終的には、着色層22と隔壁23との接合強度を高めることができる。
なお、表面処理としては、着色層22に対して施す前述したような表面処理と同様の処理を適用することができる。
さらに、隔壁23の接合膜3と接する領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜3と隔壁23との接合強度を十分に高くすることができる。
このような基や物質としては、前述した着色層22が有していると好ましい基や物質が挙げられる。
また、このようなものを有する表面が得られるように、上述したような各種表面処理を適宜選択して行うことにより、接合膜3と隔壁23の接合強度は特に優れたものとなる。
また、着色層22および隔壁23の表面に施す上述したような表面処理に代えて、着色層22および隔壁23の少なくとも接合膜3と接する領域には、中間層を形成しておくのが好ましい。
この中間層は、いかなる機能を有するものであってもよく、例えば、接合膜3との密着性を高める機能、クッション性(緩衝機能)、応力集中を緩和する機能等を有するものが好ましい。このような中間層を介して着色層22および隔壁23と接合膜3とを接合することになり、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71との接合体は、信頼性の高いものとなる。
かかる中間層の構成材料としては、例えば、アルミニウム、チタンのような金属系材料、金属酸化物、シリコン酸化物のような酸化物系材料、金属窒化物、シリコン窒化物のような窒化物系材料、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボンのような炭素系材料、シランカップリング剤、チオール系化合物、金属アルコキシド、金属−ハロゲン化合物のような自己組織化膜材料、樹脂系接着剤、樹脂フィルム、樹脂コーティング材、各種ゴム材料、各種エラストマーのような樹脂系材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの各材料で構成された中間層の中でも、酸化物系材料で構成された中間層によれば、着色層22および隔壁23と接合膜3との間の接合強度を特に高めることができる。
このようなカラーフィルター2の製造方法は特に限定されるものではないが、インクジェット法を用いる場合には、以下のようにして製造することができる。
すなわち、まず、基板21を用意し、基板21上に、隔壁23を構成する材料で構成された膜を形成した後、周知のフォトリソグラフィー技術を用いて、パターニングすることにより隔壁23を基板21上に形成する。そして、着色層22を構成する各色の着色剤およびバインダー樹脂としての硬化性樹脂に加え、着色剤、硬化性樹脂を分散させる溶媒(分散媒)、分散剤等によりなる着色層形成用組成物(インク)を、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)を用いて、各隔壁23間で囲まれた領域に各色の着色部に対応するように吐出する。その後、吐出されたインクの乾燥、硬化性樹脂の硬化を経て、着色層22が形成され、カラーフィルター2を得ることができる。
一方、接合膜3は、カラーフィルター2と後述する透明電極基板71との間に位置し、これらのカラーフィルター2と透明電極基板71との接合を担うものである。
かかる接合膜3は、図4、5に示すように、シロキサン(Si−O)結合302を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結合する脱離基303とを有するものである。
本発明の接合膜付きカラーフィルターは、主にこの接合膜3に特徴を有する。なお、この接合膜3については、後に詳述する。
[2]次に、接合膜付きカラーフィルター1の接合膜3の表面35に対してエネルギーを付与する。
エネルギーが付与されると、接合膜3では、脱離基303がSi骨格301から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、接合膜3の表面35および内部に活性手が生じる。これにより、接合膜3の表面35に、透明電極基板71との接着性が発現する。
このような状態の接合膜付きカラーフィルター1は、透明電極基板71と、化学的結合に基づいて強固に接合可能なものとなる。
ここで、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよく、例えば、エネルギー線を照射する方法、接合膜3を加熱する方法、接合膜3に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法、プラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、オゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等が挙げられる。
また、本実施形態では、接合膜3にエネルギーを付与する方法として、特に、接合膜3にエネルギー線を照射する方法を用いるのが好ましい。これらの方法は、接合膜3に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギー付与方法として好適である。
このうち、エネルギー線としては、例えば、紫外線、レーザー光のような光、X線、γ線、電子線、イオンビームのような粒子線等、またはこれらのエネルギー線を組み合わせたものが挙げられる。
これらのエネルギー線の中でも、特に、波長150〜300nm程度の紫外線を用いるのが好ましい(図2(b)参照)。かかる紫外線によれば、付与されるエネルギー量が最適化されるので、接合膜3中のSi骨格301が必要以上に破壊されるのを防止しつつ、Si骨格301と脱離基303との間の結合を選択的に切断することができる。これにより、接合膜3の特性(機械的特性、化学的特性等)が低下するのを防止しつつ、接合膜3に接着性を確実に発現させることができる。
また、紫外線によれば、広い範囲をムラなく短時間に処理することができるので、脱離基303の脱離を効率よく行わせることができる。さらに、紫外線には、例えば、UVランプ等の簡単な設備で発生させることができるという利点もある。
なお、紫外線の波長は、より好ましくは、160〜200nm程度とされる。
また、UVランプを用いる場合、その出力は、接合膜3の面積に応じて異なるが、1mW/cm〜1W/cm程度であるのが好ましく、5mW/cm〜50mW/cm程度であるのがより好ましい。なお、この場合、UVランプと接合膜3との離間距離は、3〜3000mm程度とするのが好ましく、10〜1000mm程度とするのがより好ましい。
また、紫外線を照射する時間は、接合膜3の表面35付近の脱離基303を脱離し得る程度の時間、すなわち、接合膜3の内部の脱離基303を多量に脱離させない程度の時間とするのが好ましい。具体的には、紫外線の光量、接合膜3の構成材料等に応じて若干異なるものの、0.5〜30分程度であるのが好ましく、1〜10分程度であるのがより好ましい。
また、紫外線は、時間的に連続して照射されてもよいが、間欠的(パルス状)に照射されてもよい。
一方、レーザー光としては、例えば、エキシマレーザー(フェムト秒レーザー)、Nd−YAGレーザー、Arレーザー、COレーザー、He−Neレーザー等が挙げられる。
また、接合膜3に対するエネルギー線の照射は、いかなる雰囲気中で行うようにしてもよく、具体的には、大気、酸素のような酸化性ガス雰囲気、水素のような還元性ガス雰囲気、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、またはこれらの雰囲気を減圧した減圧(真空)雰囲気等が挙げられるが、特に大気雰囲気中で行うのが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、エネルギー線の照射をより簡単に行うことができる。
このように、エネルギー線を照射する方法によれば、接合膜3に対して選択的にエネルギーを付与することが容易に行えるため、例えば、エネルギーの付与によるカラーフィルター2の変質・劣化を防止することができる。
また、エネルギー線を照射する方法によれば、付与するエネルギーの大きさを、精度よく簡単に調整することができる。このため、接合膜3から脱離する脱離基303の脱離量を調整することが可能となる。このように脱離基303の脱離量を調整することにより、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71との間の接合強度を容易に制御することができる。
すなわち、脱離基303の脱離量を多くすることにより、接合膜3の表面35および内部に、より多くの活性手が生じるため、接合膜3に発現する接着性をより高めることができる。一方、脱離基303の脱離量を少なくすることにより、接合膜3の表面および内部に生じる活性手を少なくし、接合膜3に発現する接着性を抑えることができる。
なお、付与するエネルギーの大きさを調整するためには、例えば、エネルギー線の種類、エネルギー線の出力、エネルギー線の照射時間等の条件を調整すればよい。
さらに、エネルギー線を照射する方法によれば、短時間で大きなエネルギーを付与することができるので、エネルギーの付与をより効率よく行うことができる。
ここで、エネルギーが付与される前の接合膜3は、図4に示すように、Si骨格301と脱離基303とを有している。かかる接合膜3にエネルギーが付与されると、脱離基303(本実施形態では、メチル基)がSi骨格301から脱離する。これにより、図5に示すように、接合膜3の表面35に活性手304が生じ、活性化される。その結果、接合膜3の表面に接着性が発現する。
ここで、接合膜3を「活性化させる」とは、接合膜3の表面35および内部の脱離基303が脱離して、Si骨格301において終端化されていない結合手(以下、「未結合手」または「ダングリングボンド」とも言う。)が生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、または、これらの状態が混在した状態のことを言う。
したがって、活性手304とは、未結合手(ダングリングボンド)、または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。このような活性手304によれば、透明電極基板71に対して、特に強固な接合が可能となる。
なお、後者の状態(未結合手が水酸基によって終端化された状態)は、例えば、接合膜3に対して大気雰囲気中でエネルギー線を照射することにより、大気中の水分が未結合手を終端化することによって、容易に生成することができる。
また、本実施形態では、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせる前に、あらかじめ、接合膜付きカラーフィルター1の接合膜3に対してエネルギーを付与する場合について説明しているが、かかるエネルギーの付与は、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせる(重ね合わせる)際、または貼り合わせた(重ね合わせた)後に行われるようにしてもよい。このような場合については、後述する第3実施形態において説明する。
[3]接合膜付きカラーフィルター1を貼り付ける相手となる透明電極基板71を用意する。そして、図2(c)に示すように活性化させた接合膜3と透明電極基板71とが密着するように、接合膜3を介してカラーフィルター2と透明電極基板71とを貼り合わせ、接合体10を得る。
このようにして得られた接合体10では、従来の接合方法で用いられていた接着剤のように、主にアンカー効果のような物理的結合に基づく接着ではなく、共有結合のような短時間で生じる強固な化学的結合に基づいて、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とが接合されている。このため、カラーフィルター2と透明電極基板71との密着性が高くなり、接合体10の接合強度を優れたものとすることができる。
ところで、従来の液晶表示装置(LCD)では、カラーフィルターが有する着色層および隔壁を覆うように保護層(オーバーコート層)が設けられ、その保護層を介して透明電極基板が形成されたり、あるいは、保護層上に直接透明電極が形成される。保護層を構成する材料としては、一般に、アクリル系、ウレタン系、ポリイミド系、エポキシ系等の硬化性樹脂材料が用いられている。このような保護層は、カラーフィルターと透明電極基板(あるいは、透明電極)との高い密着性が要求されるものであるが、上述したような材料で構成された保護層は、カラーフィルターおよび透明電極基板(あるいは透明電極)との密着性が不十分であり、保護膜と、カラーフィルターおよび透明電極基板(透明電極)との間で剥離が生じることがあった。特に、液晶表示装置を長時間連続駆動させた際に発生する熱により、このような剥離が起こりやすくなり、液晶表示装置の信頼性が低下するという問題があった。また、このような保護膜は、上述したような樹脂材料のモノマーやプレポリマーに硬化剤を混合した樹脂溶液を、カラーフィルター上(着色層および隔壁上)に塗布、乾燥(硬化)させることにより形成される。このような保護膜は、その厚さにムラが生じ易く、得られるLCDにおいて、TFT素子が有する画素電極のパターンと、カラーフィルターが有する着色部(画素)のパターンとを高い精度で合わせすることが困難であった。このようなLCDでは、部分的に表示画像が不鮮明になってしまうことがあった。
これに対し、図1に示す液晶表示装置70は、カラーフィルター2と透明電極基板71とが、接合膜3を介して接合されたものである。これにより、カラーフィルター2と透明電極基板71との密着性は優れたものとなり、カラーフィルター2と透明電極基板71とが剥離するのが確実に防止され、液晶表示装置70の信頼性を十分に高いものとすることができる。また、このような接合膜3は、厚みムラが生じ難いものであるとともに、モノマーやプレポリマーを熱や光により硬化させてなる保護層の厚さ(約数十μm)よりも極めて厚さが薄いものである。そのため、カラーフィルター2と透明電極基板71とを接合して得られる接合体10、および最終的に得られる液晶表示装置70の寸法精度を飛躍的に向上させることができる。また、このような液晶表示装置70では、液晶表示素子80が有する画素電極76のパターンと、カラーフィルター2が有する着色層22の着色部(画素)のパターンとを高い精度で合わせることができる。これにより、液晶表示装置70により表示される画像を鮮明なものとすることができる。特に、液晶表示装置70として、画素数が多い(解像度が高い)ものを製造する場合においても、表示される画像は、欠陥のない鮮明なものとなる。
透明電極基板71は、その一方の面が、接合膜3を介して、カラーフィルター2と接合されるとともに、もう一方の面が、ITO等で構成される電極材料が蒸着、スパッタリング等により成膜されるものである。
かかる透明電極基板71の構成材料は、例えば、前述したような基板21を構成する材料等が挙げられる。
また、カラーフィルター2を構成する着色層22、隔壁23、および透明電極基板71の各熱膨張率は、ほぼ等しいのが好ましい。これにより、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合せた際に、その接合界面に熱膨張差に伴う応力が発生し難くなる。その結果、接合体10および最終的に得られる液晶表示装置70において、剥離等の不具合が発生するのを確実に防止することができる。
また、後に詳述するが、カラーフィルター2および透明電極基板71の各熱膨張率が互いに異なる場合でも、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせる際の条件を以下のように最適化することにより、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを高い寸法精度で強固に接合することができる。
すなわち、カラーフィルター2と透明電極基板71の熱膨張率が互いに異なっている場合には、できるだけ低温下で接合を行うのが好ましい。接合を低温下で行うことにより、接合界面に発生する熱応力のさらなる低減を図ることができる。
具体的には、カラーフィルター2と透明電極基板71との熱膨張率差にもよるが、カラーフィルター2および透明電極基板71の温度が25〜50℃程度である状態下で、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせるのが好ましく、25〜40℃程度である状態下で貼り合わせるのがより好ましい。このような温度範囲であれば、カラーフィルター2と透明電極基板71の熱膨張率差がある程度大きくても、接合界面に発生する熱応力を十分に低減することができる。その結果、接合体10における反りや剥離等の発生を確実に防止することができる。
また、この場合、カラーフィルター2と透明電極基板71との間の熱膨張係数の差が、5×10−5/K以上あるような場合には、上記のようにして、できるだけ低温下で接合を行うことが特に推奨される。
このような透明電極基板71の接合膜付きカラーフィルター1との接合に供される領域には、透明電極基板71の構成材料に応じて、接合を行う前に、あらかじめ、透明電極基板71と接合膜3との密着性を高める表面処理を施すのが好ましい。これにより、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71との接合強度をより高めることができる。
なお、表面処理としては、上述したような着色層22および隔壁23に対して施す前述したような表面処理と同様の処理を適用することができる。
さらに、透明電極基板71の接合膜付きカラーフィルター1との接合に供される領域に、以下の基や物質を有する場合には、上記のような表面処理を施さなくても、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71との接合強度を十分に高くすることができる。
このような基や物質としては、例えば、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、イミダゾール基のような官能基、ラジカル、開環分子、2重結合、3重結合のような不飽和結合、F、Cl、Br、Iのようなハロゲン、過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基または物質が挙げられる。このような基または物質を有する表面は、透明電極基板71の接合膜3に対する接合強度のさらなる向上を実現し得るものとなる。
また、このようなものを有する表面が得られるように、上述したような各種表面処理を適宜選択して行うことにより、接合膜付きカラーフィルター1と特に強固に接合可能な透明電極基板71が得られる。
また、表面処理に代えて、透明電極基板71の接合膜付きカラーフィルター1との接合に供される領域には、あらかじめ、接合膜3との密着性を高める機能を有する中間層を形成しておくのが好ましい。これにより、かかる中間層を介して接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを接合することになり、より接合強度の高い液晶表示装置70が得られる。
かかる中間層の構成材料には、前述の着色層22に形成する中間層の構成材料と同様のものを用いることができる。
ここで、本工程において、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とが接合されるメカニズムについて説明する。
例えば、透明電極基板71の接合膜付きカラーフィルター1との接合に供される領域に、水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、接合膜付きカラーフィルター1の接合膜3と透明電極基板71とが接触するように、これらを貼り合わせたとき、接合膜付きカラーフィルター1の接合膜3の表面35に存在する水酸基と、透明電極基板71の前記領域に存在する水酸基とが、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とが接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71との接触界面では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とがより強固に接合されると推察される。
なお、前記工程[2]で活性化された接合膜3の表面は、その活性状態が経時的に緩和してしまう。このため、前記工程[2]の終了後、できるだけ早く本工程[3]を行うようにするのが好ましい。具体的には、前記工程[2]の終了後、60分以内に本工程[3]を行うようにするのが好ましく、5分以内に行うのがより好ましい。かかる時間内であれば、接合膜3の表面が十分な活性状態を維持しているので、本工程で接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせたとき、これらの間に十分な接合強度を得ることができる。
換言すれば、活性化させる前の接合膜3は、Si骨格301を有する接合膜であるため、化学的に比較的安定であり、耐候性に優れている。このため、活性化させる前の接合膜3は、長期にわたる保存に適したものとなる。したがって、そのような接合膜3を備えたカラーフィルター2を多量に製造または購入して保存しておき、本工程の貼り合わせを行う直前に、必要な個数のみに前記工程[2]に記載したエネルギーの付与を行うようにすれば、接合体10の製造効率の観点から有効である。
以上のようにして、図2(d)に示す接合体10を得ることができる。
なお、図2(d)では、接合膜付きカラーフィルター1の接合膜3の全面を覆うように透明電極基板71を重ね合わせているが、これらの相対的な位置は、互いにずれていてもよい。すなわち、接合膜3から透明電極基板71がはみ出るように、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とが重ね合わされていてもよい。
このようにして得られた接合体10は、カラーフィルター2と透明電極基板71との間の接合強度が5MPa(50kgf/cm)以上であるのが好ましく、10MPa(100kgf/cm)以上であるのがより好ましい。このような接合強度を有する接合体10は、その剥離を十分に防止し得るものとなる。
また、本発明によれば、Si骨格301を有する接合膜3を用いて接合を行っているため、数分以上の比較的長時間にわたって活性状態を維持することができる。このため、貼り合わせ作業に要する時間を十分に確保することができ、接合作業の効率化を高めることができる。
なお、接合体10を得た後、この接合体10に対して、必要に応じ、以下の3つの工程([4A]、[4B]および[4C])のうちの少なくとも1つの工程(接合体10の接合強度を高める工程)を行うようにしてもよい。これにより、接合体10、および最終的に製造される液晶表示装置70の接合強度のさらなる向上を図ることができる。
[4A]図3(e)に示すように、得られた接合体10を、カラーフィルター2と透明電極基板71とが互いに近づく方向に加圧する。
これにより、カラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の表面および透明電極基板71の表面に、それぞれ接合膜3の表面がより近接し、接合体10における接合強度をより高めることができる。
また、接合体10を加圧することにより、接合体10中の接合界面に残存していた隙間を押し潰して、接合面積をさらに広げることができる。これにより、接合体10における接合強度をさらに高めることができる。
このとき、接合体10を加圧する際の圧力は、接合体10が損傷を受けない程度の圧力で、できるだけ高い方が好ましい。これにより、この圧力に比例して接合体10における接合強度を高めることができる。
なお、この圧力は、カラーフィルター2および透明電極基板71の各構成材料や各厚さ、接合装置等の条件に応じて、適宜調整すればよい。具体的には、カラーフィルター2および透明電極基板71の各構成材料や各厚さ等に応じて若干異なるものの、0.2〜10MPa程度であるのが好ましく、1〜5MPa程度であるのがより好ましい。これにより、接合体10の接合強度を確実に高めることができる。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、カラーフィルター2および透明電極基板71の各構成材料によっては、カラーフィルター2および透明電極基板71に損傷等が生じるおそれがある。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、加圧する時間は、加圧する際の圧力に応じて適宜変更すればよい。具体的には、接合体10を加圧する際の圧力が高いほど、加圧する時間を短くしても、接合強度の向上を図ることができる。
[4B]図3(e)に示すように、得られた接合体10を加熱する。
これにより、接合体10における接合強度をより高めることができる。
このとき、接合体10を加熱する際の温度は、室温より高く、接合体10の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25〜100℃程度とされ、より好ましくは50〜100℃程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、接合体10が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合強度を確実に高めることができる。
また、加熱時間は、特に限定されないが、1〜30分程度であるのが好ましい。
また、前記工程[4A]、[4B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、図2(e)に示すように、接合体10を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、接合体10の接合強度を特に高めることができる。
[4C]得られた接合体10に紫外線を照射する。
これにより、接合膜3とカラーフィルター2および透明電極基板71との間に形成される化学結合を増加させ、カラーフィルター2および透明電極基板71と接合膜3との間の接合強度をそれぞれ高めることができる。その結果、接合体10の接合強度を特に高めることができる。
このとき照射される紫外線の条件は、前記工程[2]に示した紫外線の条件と同等にすればよい。
なお、本工程[4C]を行う場合、カラーフィルター2および透明電極基板71のうち、いずれか一方が透光性を有していることが必要である。そして、透光性を有する基板側から、紫外線を照射することにより、接合膜3に対して確実に紫外線を照射することができる。
以上のような工程を行うことにより、接合体10における接合強度のさらなる向上を容易に図ることができる。
[5]得られた接合体10の透明電極基板71上に、液晶表示素子80を構成する各部材を順次形成する。その後、カラーフィルター2の下側の面(カラーフィルター2の液晶表示素子80とは反対側の面)、および液晶表示素子80の上側の面(液晶表示素子80のカラーフィルター2とは反対側の面)に、それぞれ偏光板78、79を貼り合わせて、図3(e)に示すような液晶表示素子80を得る。
接合体10の透明電極基板71上に、液晶表示素子80を構成する各部材を形成する方法は、より具体的には、接合体10の透明電極基板71上に共通電極72、配向膜75を順次形成し、基板77上に画素電極76および配向膜74が設けられたTFT素子を図示しないスペーサーを介して、配向膜74と配向膜75とが対向するように配置する。そして、配向膜74、75との間に生じる空隙に液晶材料を流し込み、図示しない封止部材により液晶材料を封止することにより、液晶層73が形成されると同時に、カラーフィルター2と液晶表示素子80とが接合される。
2枚の偏光板78、79を、カラーフィルター2の下側の面および液晶表示素子80の上側の面に貼り付ける方法は特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系、アクリル系の粘接着剤を用いてこれらを接着させることができる。
ここで、前述したように、本発明の接合膜付きカラーフィルターは、接合膜3に特徴を有している。以下、接合膜3について詳述する。
前述したように、接合膜3は、図4に示すように、シロキサン(Si−O)結合302を含み、ランダムな原子構造を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結合する脱離基303とを有するものである。このような接合膜3は、シロキサン結合302を含みランダムな原子構造を有するSi骨格301の影響によって、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、カラーフィルター2と透明電極基板71との接合体10においても、寸法精度が高いものが得られる。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303がSi骨格301から脱離し、図5に示すように、接合膜3の表面35および内部に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3表面に接着性が発現する。
かかる接着性が発現すると、接合膜3を備えた接合膜付きカラーフィルター1は、透明電極基板71に対して、高い寸法精度で強固に効率よく接合可能なものとなる。
また、このような接合膜3は、流動性を有しない固体状のものとなる。このため、従来、流動性を有する液状または粘液状の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。これにより、接合膜付きカラーフィルター1を用いて得られた接合体10の寸法精度、特に、カラーフィルター2と透明電極基板71との離間距離の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
このような接合膜3としては、特に、接合膜3を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%程度であるのが好ましく、20〜80原子%程度であるのがより好ましい。Si原子とO原子とが、前記範囲の含有率で含まれていれば、接合膜3は、Si原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜3自体が強固なものとなる。また、かかる接合膜3は、カラーフィルター2および透明電極基板71に対して、特に高い接合強度を示すものとなる。
また、接合膜3中のSi原子とO原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。Si原子とO原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜3の安定性が高くなり、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とをより強固に接合することができるようになる。
なお、接合膜3中のSi骨格301の結晶化度は、45%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。これにより、Si骨格301は十分にランダムな原子構造を含むものとなる。このため、前述したSi骨格301の特性が顕在化し、接合膜3の寸法精度および接着性がより優れたものとなる。
また、Si骨格301に結合する脱離基303は、前述したように、Si骨格301から脱離することによって、接合膜3に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないようSi骨格301に確実に結合しているものである必要がある。
かかる観点から、脱離基303には、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子を含み、これらの各原子がSi骨格301に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものが好ましく用いられる。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、接合膜付きカラーフィルター1の接着性をより高度なものとすることができる。
なお、上記のような各原子がSi骨格301に結合するよう配置された原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、ビニル基、アリル基のようなアルケニル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、ハロゲン化アルキル基、メルカプト基、スルホン酸基、シアノ基、イソシアネート基等が挙げられる。
これらの各基の中でも、脱離基303は、特にアルキル基であるのが好ましい。アルキル基は化学的な安定性が高いため、アルキル基を含む接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
このような特徴を有する接合膜3の構成材料としては、例えば、ポリオルガノシロキサンのようなシロキサン結合を含む重合物等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、カラーフィルター2に対して特に強固に被着するとともに、透明電極基板71に対しても特に強い被着力を示し、その結果として、カラーフィルター2と透明電極基板71とを強固に接合することができる。
また、ポリオルガノシロキサンは、通常、撥水性(非接着性)を示すが、エネルギーを付与されることにより、容易に有機基を脱離させることができ、親水性に変化し、接着性を発現するが、この非接着性と接着性との制御を容易かつ確実に行えるという利点を有する。
また、ポリオルガノシロキサンの中でも、特に、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものが好ましい。オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とする接合膜3は、接着性に特に優れることから、本発明の接合膜付きカラーフィルターに対して特に好適に適用できるものである。また、オクタメチルトリシロキサンを主成分とする原料は、常温で液状をなし、適度な粘度を有するため、取り扱いが容易であるという利点もある。
また、接合膜3の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、2〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜3の平均厚さを前記範囲内とすることにより、カラーフィルター2と透明電極基板71とを高い寸法精度で強固に接合することができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、着色層22が有する色彩を鮮明に表現することができなくなるおそれがある。
さらに、接合膜3の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜3にある程度の形状追従性が確保される。このため、例えば、カラーフィルター2の接合膜3と接合する着色層22と隔壁23との高さが異なる場合でも、その高さの差にもよるが、着色層22と隔壁23との高さの差により生じる凹凸の形状に追従するように接合膜3を被着させることができる。その結果、接合膜3は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせた際に、接合膜3の透明電極基板71に対する密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
このような接合膜3は、いかなる方法で作製されたものでもよく、プラズマ重合法、CVD法、PVD法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法等により作製することができるが、これらの中でも、プラズマ重合法により作製されたものが好ましい。プラズマ重合法によれば、緻密で均質な接合膜3を効率よく作製することができる。これにより、接合膜3とカラーフィルター2および透明電極基板71との接合強度はさらに優れたものとなり、結果として、液晶表示装置70の信頼性をさらに優れたものとすることができる。さらに、プラズマ重合法で作製された接合膜3は、エネルギーが付与されて活性化された状態が比較的長時間にわたって維持される。このため、接合体10の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
以下、一例として、プラズマ重合法により接合膜3を作製する方法について説明する。
まず、接合膜3の作製方法を説明するのに先立って、カラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の表面(上面225、235)にプラズマ重合法を行いて接合膜3を作製する際に用いるプラズマ重合装置について説明する。
図6は、本発明の接合方法に用いられるプラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図6に示すプラズマ重合装置100は、チャンバー101と、カラーフィルター2を支持する第1の電極130と、第2の電極140と、各電極130、140間に高周波電圧を印加する電源回路180と、チャンバー101内にガスを供給するガス供給部190と、チャンバー101内のガスを排気する排気ポンプ170とを備えている。これらの各部のうち、第1の電極130および第2の電極140がチャンバー101内に設けられている。そして第1の電極130に支持されたカラーフィルター2は、カラーフィルター2の着色層22および隔壁23が設けられた面側が、第2の電極140と対向している。以下、各部について詳細に説明する。
チャンバー101は、内部の気密を保持し得る容器であり、内部を減圧(真空)状態にして使用されるため、内部と外部との圧力差に耐え得る耐圧性能を有するものとされる。
図6に示すチャンバー101は、軸線が水平方向に沿って配置されたほぼ円筒形をなすチャンバー本体と、チャンバー本体の左側開口部を封止する円形の側壁と、右側開口部を封止する円形の側壁とで構成されている。
チャンバー101の上方には供給口103が、下方には排気口104が、それぞれ設けられている。そして、供給口103にはガス供給部190が接続され、排気口104には排気ポンプ170が接続されている。
なお、本実施形態では、チャンバー101は、導電性の高い金属材料で構成されており、接地線102を介して電気的に接地されている。
第1の電極130は、板状をなしており、カラーフィルター2を支持している。
この第1の電極130は、チャンバー101の側壁の内壁面に、鉛直方向に沿って設けられており、これにより、第1の電極130は、チャンバー101を介して電気的に接地されている。なお、第1の電極130は、図6に示すように、チャンバー本体と同心状に設けられている。
第1の電極130のカラーフィルター2を支持する面には、静電チャック(吸着機構)139が設けられている。
この静電チャック139により、図6に示すように、カラーフィルター2を鉛直方向に沿って支持することができる。また、カラーフィルター2に多少の反りがあっても、静電チャック139に吸着させることにより、その反りを矯正した状態でカラーフィルター2をプラズマ処理に供することができる。
第2の電極140は、カラーフィルター2を介して、第1の電極130と対向して設けられている。なお、第2の電極140は、チャンバー101の側壁の内壁面から離間した(絶縁された)状態で設けられている。
この第2の電極140には、配線184を介して高周波電源182が接続されている。また、配線184の途中には、マッチングボックス(整合器)183が設けられている。これらの配線184、高周波電源182およびマッチングボックス183により、電源回路180が構成されている。
このような電源回路180によれば、第1の電極130は接地されているので、第1の電極130と第2の電極140との間に高周波電圧が印加される。これにより、第1の電極130と第2の電極140との間隙には、高い周波数で向きが反転する電界が誘起される。
ガス供給部190は、チャンバー101内に所定のガスを供給するものである。
図6に示すガス供給部190は、液状の膜材料(原料液)を貯留する貯液部191と、液状の膜材料を気化してガス状に変化させる気化装置192と、キャリアガスを貯留するガスボンベ193とを有している。また、これらの各部とチャンバー101の供給口103とが、それぞれ配管194で接続されており、ガス状の膜材料(原料ガス)とキャリアガスとの混合ガスを、供給口103からチャンバー101内に供給するように構成されている。
貯液部191に貯留される液状の膜材料は、プラズマ重合装置100により、重合してカラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の上面225、235に重合膜を形成する原材料となるものである。
このような液状の膜材料は、気化装置192により気化され、ガス状の膜材料(原料ガス)となってチャンバー101内に供給される。なお、原料ガスについては、後に詳述する。
ガスボンベ193に貯留されるキャリアガスは、電界の作用により放電し、およびこの放電を維持するために導入するガスである。このようなキャリアガスとしては、例えば、Arガス、Heガス等が挙げられる。
また、チャンバー101内の供給口103の近傍には、拡散板195が設けられている。
拡散板195は、チャンバー101内に供給される混合ガスの拡散を促進する機能を有する。これにより、混合ガスは、チャンバー101内に、ほぼ均一の濃度で分散することができる。
排気ポンプ170は、チャンバー101内を排気するものであり、例えば、油回転ポンプ、ターボ分子ポンプ等で構成される。このようにチャンバー101内を排気して減圧することにより、ガスを容易にプラズマ化することができる。また、大気雰囲気との接触によるカラーフィルター2の汚染・酸化等を防止するとともに、プラズマ処理による反応生成物をチャンバー101内から効果的に除去することができる。
また、排気口104には、チャンバー101内の圧力を調整する圧力制御機構171が設けられている。これにより、チャンバー101内の圧力が、ガス供給部190の動作状況に応じて、適宜設定される。
次に、上記のプラズマ重合装置100を用いて、カラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の上面225、235に接合膜3を作製する方法について説明する。
図7は、カラーフィルターが有する着色層および隔壁の表面に接合膜を作製する方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
接合膜3は、強電界中に、原料ガスとキャリアガスとの混合ガスを供給することにより、原料ガス中の分子を重合させ、重合物を着色層22および隔壁23上に堆積させることにより得ることができる。以下、詳細に説明する。
まず、カラーフィルター2を用意し、必要に応じて、着色層22および隔壁23の上面225、235に前述したような表面処理を施す。
次に、カラーフィルター2をプラズマ重合装置100のチャンバー101内に収納して封止状態とした後、排気ポンプ170の作動により、チャンバー101内を減圧状態とする。
次に、ガス供給部190を作動させ、チャンバー101内に原料ガスとキャリアガスの混合ガスを供給する。供給された混合ガスは、チャンバー101内に充填される(図7(a)参照)。
ここで、混合ガス中における原料ガスの占める割合(混合比)は、原料ガスやキャリアガスの種類や目的とする成膜速度等によって若干異なるが、例えば、混合ガス中の原料ガスの割合を20〜70%程度に設定するのが好ましく、30〜60%程度に設定するのがより好ましい。これにより、重合膜の形成(成膜)の条件の最適化を図ることができる。
また、供給するガスの流量は、ガスの種類や目的とする成膜速度、膜厚等によって適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、原料ガスおよびキャリアガスの流量を、それぞれ、1〜100ccm程度に設定するのが好ましく、10〜60ccm程度に設定するのがより好ましい。
次いで、電源回路180を作動させ、一対の電極130、140間に高周波電圧を印加する。これにより、一対の電極130、140間に存在するガスの分子が電離し、プラズマが発生する。このプラズマのエネルギーにより原料ガス中の分子が重合し、図7(b)に示すように、重合物がカラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の上面225、235に付着・堆積する。これにより、着色層22および隔壁23の表面上にプラズマ重合膜で構成された接合膜3が形成される(図7(c)参照)。
原料ガスとしては、例えば、メチルシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルシロキサンのようなオルガノシロキサン等が挙げられる。
このような原料ガスを用いて得られるプラズマ重合膜、すなわち接合膜3は、これらの原料が重合してなるもの(重合物)、すなわちポリオルガノシロキサンで構成されることとなる。
プラズマ重合の際、一対の電極130、140間に印加する高周波の周波数は、特に限定されないが、1kHz〜100MHz程度であるのが好ましく、10〜60MHz程度であるのがより好ましい。
また、高周波の出力密度は、特に限定されないが、0.01〜10W/cm程度であるのが好ましく、0.1〜1W/cm程度であるのがより好ましい。
また、成膜時のチャンバー101内の圧力は、133.3×10−5〜1333Pa(1×10−5〜10Torr)程度であるのが好ましく、133.3×10−4〜133.3Pa(1×10−4〜1Torr)程度であるのがより好ましい。
原料ガス流量は、0.5〜200sccm程度であるのが好ましく、1〜100sccm程度であるのがより好ましい。一方、キャリアガス流量は、5〜750sccm程度であるのが好ましく、10〜500sccm程度であるのがより好ましい。
処理時間は、1〜10分程度であるのが好ましく、4〜7分程度であるのがより好ましい。
また、カラーフィルター2の温度は、25℃以上であるのが好ましく、25〜100℃程度であるのがより好ましい。
以上のようにして、接合膜3を得るとともに、接合膜付きカラーフィルター1を得ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の接合膜付きカラーフィルター、被着体とカラーフィルターとの接合方法および画像表示装置の各第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の接合膜付きカラーフィルターを用いて、接合膜付きカラーフィルターと透明電極基板とを接合する接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法は、カラーフィルター2が有する隔壁23上のみに接合膜31を形成することにより、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを、各隔壁23上において部分的に接合するようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、カラーフィルター2と、カラーフィルター2上の隔壁23上のみに形成された接合膜31とを有する接合膜付きカラーフィルター1を用意する工程と、接合膜付きカラーフィルター1の接合膜31に対してエネルギーを付与して、接合膜31を活性化させる工程と、透明電極基板71を用意し、接合膜付きカラーフィルター1が備える接合膜31と透明電極基板71とが密着するように、これらを貼り合わせ、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とが接合膜31を介して接合されてなる接合体10を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、図8(a)に示すように、カラーフィルター2の着色層22および隔壁23が設けられた面側の上方に、隔壁23の形状に対応する形状をなす窓部61を有するマスク6を設ける。
次に、マスク6を介して、カラーフィルター2の隔壁23の上面235に接合膜31を成膜する。例えば、図8(a)に示すように、マスク6を介してプラズマ重合法により接合膜31を成膜する場合、プラズマ重合法によって生成された重合物は、カラーフィルター2の着色層22および隔壁23の表面に堆積するが、このときマスク6を介することにより、隔壁23の上面235にのみ重合物が堆積する。その結果、カラーフィルター2の隔壁23の上面235に接合膜31が形成される。
[2]次に、図8(b)に示すように、接合膜31にエネルギーを付与する。これにより、接合膜付きカラーフィルター1では、接合膜31の上面315に、透明電極基板71との接着性が発現する。
なお、本工程でエネルギーを付与する際には、接合膜31に選択的にエネルギーを付与してもよいが、接合膜31を含むカラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の表面全体にエネルギーを付与するようにしてもよい。
また、接合膜31に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよいが、例えば、前記第1実施形態で挙げたような方法で付与される。
[3]次に、図8(c)に示すように、透明電極基板71を用意する。そして、接合膜31と透明電極基板71とを密着するように、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせる。これにより、図8(d)に示す接合体10を得る。
このようにして得られた接合体10は、カラーフィルター2と透明電極基板71の対向面全体を接合するのではなく、隔壁23上のみで接合してなるものである。これにより、例えば、接合膜31を形成する領域の面積を制御(例えば、一部の隔壁23上のみに接合膜31を形成)することにより、接合体10の接合強度を容易に調整することができる。その結果、例えば、接合した箇所を容易に分離することができる接合体10が得られる。これにより、仮に、得られた液晶表示装置70において、画素電極76のパターンと着色層22が有する各着色部(画素)のパターンとがずれている場合には、画像表示装置70から接合膜付きカラーフィルター1を分離し、再度、接合膜31にエネルギーを付与し、活性化させてから透明電極基板71とを貼り合わせて、画像表示装置70を得ることができる。また、このような画像表示装置70は、カラーフィルター2を構成する着色層22上に接合膜が形成されていないため、着色層22が有する色彩をより鮮明に表現することができるものとなる。
以上のようにして接合体10を得ることができる。
なお、接合体10を得た後、この接合体10に対して、必要に応じ、前記第1実施形態の工程[4A]、[4B]および[4C]のうちの少なくとも1つの工程を行うようにしてもよい。
このようにして得られた接合体10を用いて、前記第1実施形態の工程[5]を行うことにより、液晶表示装置70を得ることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の接合膜付きカラーフィルター、この接合膜付きカラーフィルターと液晶表示素子とを接合する接合方法(本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法)、および本発明の接合膜付きカラーフィルターを備える画像表示装置の各第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の接合膜付きカラーフィルターを用いて、接合膜付きカラーフィルターと透明電極基板とを接合する接合方法の第3実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図9中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第3実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態および前記第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法は、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを重ね合わせた後に、接合膜3にエネルギーを付与するようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、接合膜付きカラーフィルター1を用意する工程と、透明電極基板71を用意し、接合膜3と透明電極基板71とが密着するように、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを重ね合わせて、仮接合体を得る工程と、仮接合体中の接合膜3に対してエネルギーを付与して、接合膜3を活性化させ、これにより、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを接合してなる接合体10を得る工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、前記第1実施形態と同様にして、接合膜付きカラーフィルター1を用意する(図9(a)参照)。
[2]次に、図9(b)に示すように、透明電極基板71を用意し、接合膜3の表面35と透明電極基板71とが密着するように、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを重ね合わせて、仮接合体を得る。なお、この仮接合体の状態では、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71との間は接合されていないので、接合膜付きカラーフィルター1の透明電極基板71に対する相対位置を調整することができる。これにより、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを重ね合わせた後、これらの位置を容易に微調整することができる。その結果、接合膜3の表面35方向における位置精度を高めることができる。
[3]次に、図9(c)に示すように、仮接合体中の接合膜3に対してエネルギーを付与する。接合膜3にエネルギーが付与されると、接合膜3に、透明電極基板71との接着性が発現する。これにより、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とが接合され、図1に示す接合体10が得られる。
ここで、接合膜3に付与するエネルギーは、いかなる方法で付与されてもよいが、例えば、前記第1実施形態で挙げたような方法で付与される。
また、本実施形態では、接合膜3にエネルギーを付与する方法として、特に、接合膜3にエネルギー線を照射する方法、接合膜3を加熱する方法、および接合膜3に圧縮力(物理的エネルギー)を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法を用いるのが好ましい。これらの方法は、接合膜3に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギー付与方法として好適である。
このうち、接合膜3にエネルギー線を照射する方法としては、前記第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
一方、接合膜3を加熱することにより、接合膜3に対してエネルギーを付与する場合には、加熱温度を25〜100℃程度に設定するのが好ましく、50〜100℃程度に設定するのがより好ましい。かかる範囲の温度で加熱すれば、カラーフィルター2が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合膜3を確実に活性化させることができる。
また、加熱時間は、接合膜3の脱離基303を脱離し得る程度の時間とすればよく、具体的には、加熱温度が前記範囲内であれば、1〜30分程度であるのが好ましい。
また、接合膜3は、いかなる方法で加熱されてもよいが、例えば、ヒータを用いる方法、赤外線を照射する方法等の各種方法で加熱することができる。
また、接合膜3に圧縮力を付与することにより、接合膜3に対してエネルギーを付与する場合には、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とが互いに近づく方向に、0.2〜10MPa程度の圧力で圧縮するのが好ましく、1〜5MPa程度の圧力で圧縮するのがより好ましい。これにより、単に圧縮するのみで、接合膜3に対して適度なエネルギーを簡単に付与することができ、接合膜3に、透明電極基板71との十分な接着性が発現する。なお、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、カラーフィルター2と透明電極基板71の各構成材料によっては、カラーフィルター2および透明電極基板71に損傷等が生じるおそれがある。
また、圧縮力を付与する時間は、特に限定されないが、10秒〜30分程度であるのが好ましい。なお、圧縮力を付与する時間は、圧縮力の大きさに応じて適宜変更すればよい。具体的には、圧縮力の大きさが大きいほど、圧縮力を付与する時間を短くすることができる。
以上のようにして接合体10を得ることができる。
なお、接合体10を得た後、この接合体10に対して、必要に応じ、前記第1実施形態の工程[4A]、[4B]および[4C]のうちの少なくとも1つの工程を行うようにしてもよい。
このようにして得られた接合体10を用いて、前記第1実施形態の工程[5]を行うことにより、液晶表示装置70を得ることができる。
また、本実施形態の接合方法では、仮接合体を得る工程[2]の後に、接合膜3にエネルギーを付与するものとして説明したが、本実施形態の工程[2]の後に、接合体10の代わりに仮接合体を用いて前記第1実施形態の工程[5]を行い、その後に、本実施形態の工程[3]を行ってもよい。これにより、液晶表示素子80が備える画素電極76のパターンとカラーフィルター2の着色層22が有する各着色部(画素)のパターンとを合わせてからカラーフィルター2と透明電極基板71とを接合することができる。その結果、液晶表示装置70は、画素数が多い(解像度が高い)液晶表示装置としてより好適に用いることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明の接合膜付きカラーフィルター、この接合膜付きカラーフィルターと液晶表示素子とを接合する接合方法(本発明の接合方法)、および本発明の接合膜付きカラーフィルターを備える画像表示装置の各第4実施形態について説明する。
図10は、本発明の接合膜付きカラーフィルターを用いて、接合膜付きカラーフィルターと透明電極基板とを接合する接合方法の第4実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図10中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第4実施形態にかかる接合方法について説明するが、前記第1実施形態ないし前記第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合方法は、接合膜付きカラーフィルター1と、接合膜32を備えた透明電極基板71とを接合するようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる接合方法は、カラーフィルター2と接合膜3とを備える接合膜付きカラーフィルター1と、接合膜3と同様の接合膜32を備える透明電極基板71とを用意する工程と、接合膜3と接合膜32とにそれぞれエネルギーを付与して、各接合膜3、32を活性化させる工程と、各接合膜3、32同士が密着するように、接合膜付きカラーフィルター1と、透明電極基板71とを貼り合わせる工程とを有する。
以下、本実施形態にかかる接合方法の各工程について順次説明する。
[1]まず、前記第1実施形態と同様にして、接合膜付きカラーフィルター1を用意する。また、接合膜3と同様の接合膜32を備える透明電極基板71とを用意する。(図10(a))
[2]次に、接合膜3と接合膜32に対して、図10(b)に示すようにそれぞれエネルギーを付与する。各接合膜3、32にエネルギーが付与されると、各接合膜3、32では、脱離基303がSi骨格301から脱離する。そして、脱離基303が脱離した後には、各接合膜3、32の表面35、325およびそれぞれの内部に活性手304が生じ、各接合膜3、32が活性化される。これにより、各接合膜3、32にそれぞれ接着性が発現する。
このような状態の接合膜3と接合膜32とは、それぞれ互いに接着可能なものとなる。
なお、エネルギー付与方法としては、前記第1実施形態と同様の方法を用いることができる。
ここで、各接合膜3、32を「活性化させる」とは、前述したように、各接合膜3、32の表面および内部の脱離基303が脱離して、Si骨格301に終端化されていない結合手(未結合手)が生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、または、これらの状態が混在した状態のことを言う。
したがって、活性手304とは、未結合手または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことを言う。
[3]次に、図10(c)に示すように、接着性が発現した各接合膜3、32同士が密着するように、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせる。これにより、図10(d)に示す接合体10を得る。
ここで、本工程において、各接合膜3、32同士を接合するが、この接合は、以下のような2つのメカニズム(i)、(ii)の双方または一方に基づくものであると推察される。
(i)例えば、各接合膜3、32の表面に水酸基が露出している場合を例に説明すると、本工程において、各接合膜3、32同士が密着するように、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせたとき、各接合膜3、32の表面に存在する水酸基同士が、水素結合によって互いに引き合い、水酸基同士の間に引力が発生する。この引力によって、カラーフィルター2と透明電極基板71とが接合されると推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合を伴って表面から切断される。その結果、各接合膜3、32同士の間では、水酸基が結合していた結合手同士が結合する。これにより、カラーフィルター2と透明電極基板71とがより強固に接合されると推察される。
(ii)各接合膜3、32同士を貼り合わせると、各接合膜3、32の表面や内部に生じた終端化されていない結合手(未結合手)同士が再結合する。この再結合は、互いに重なり合う(絡み合う)ように複雑に生じることから、接合界面にネットワーク状の結合が形成される。これにより、各接合膜3、32を構成するそれぞれの母材(Si骨格301)同士が直接接合して、各接合膜3、32同士が一体化する。
以上のような(i)または(ii)のメカニズムにより、図10(d)に示すような接合体10が得られる。
なお、接合体10を得た後、この接合体10に対して、必要に応じ、前記第1実施形態の工程[4A]、[4B]および[4C]のうちの少なくとも1つの工程を行うようにしてもよい。
例えば、接合体10を加圧しつつ、加熱することにより、接合体10のカラーフィルター2と透明電極基板71とがより近接する。これにより、各接合膜3、32の界面における水酸基の脱水縮合や未結合手同士の再結合が促進される。そして、各接合膜3、32同士の一体化がより進行する。その結果、各接合膜3、32同士がほぼ完全に一体化された接合膜を有する接合体10が得られる。
このようにして得られた接合体10を用いて、前記第1実施形態の工程[5]を行うことにより、液晶表示装置70を得ることができる。
<第5実施形態>
次に、本発明の接合膜付きカラーフィルター、被着体とカラーフィルターとの接合方法および画像表示装置の各第5実施形態について説明する。
図11は、本発明の接合膜付きカラーフィルターの第5実施形態または第6実施形態が備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図、図12は、本発明の接合膜付きカラーフィルターの第5実施形態または第6実施形態が備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。なお、以下の説明では、図11および図12中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、画像表示装置の第5実施形態について説明するが、前記第1実施形態ないし前記第4実施形態にかかる画像表示装置との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合膜付きカラーフィルターおよび画像表示装置は、接合膜の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる画像表示装置は、接合膜3がエネルギー付与前の状態で、金属原子と、この金属原子に結合する酸素原子と、これら金属原子および酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基303とを含むものである。換言すれば、エネルギー付与前の接合膜3は、金属酸化物で構成される金属酸化物膜に脱離基303を導入した膜であると言うことができる。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303が金属原子および酸素原子の少なくとも一方から脱離し、接合膜3の少なくとも表面付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3の表面に、前記第1実施形態と同様の接着性が発現する。
以下、本実施形態にかかる接合膜3について説明する。
また、接合膜3は、金属原子と、この金属原子と結合する酸素原子とで構成されるもの、すなわち金属酸化物に脱離基303が結合したものであることから、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、接合膜付きカラーフィルター1、およびかかる接合膜付きカラーフィルター1を備えた液晶表示装置70においても、寸法精度が高いものが得られる。
また、接合膜3は、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる接合体10においても、寸法精度が高いものが得られる。
さらに、接合膜3は、流動性を有さない固体状をなすものである。このため、従来から用いられている、流動性を有する液状または粘液状(半固形状)の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。したがって、接合膜3の寸法精度がより高いものとなる。また、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
また、本発明では、接合膜3は、導電性を有するものであるのが好ましい。これにより、後述する接合膜付きカラーフィルター1において、意図しない帯電を抑制または防止することができる。これにより、このような接合膜付きカラーフィルター1を適用した液晶表示装置70では、液晶層73に不本意な電圧がかかるのが確実に防止される。より具体的には、液晶層73を挟むように設けられた電極間(共通電極72と画素電極76との間)に電圧を印加しない状態において、液晶表示装置70が帯電されるのが確実に防止される。その結果、このような液晶表示装置70は、各画素における光の透過、または遮断を確実に行うことができ、より安定的に鮮明な画像表示を行えるものとなる。
また、接合膜3が導電性を有する場合、接合膜3の抵抗率は、構成材料の組成に応じて若干異なるものの、1×10−3Ω・cm以下であるのが好ましく、1×10−4Ω・cm以下であるのがより好ましい。
なお、脱離基303は、少なくとも接合膜3の表面35付近に存在していればよく、接合膜3のほぼ全体に存在していてもよいし、接合膜3の表面35付近に偏在していてもよい。なお、脱離基303が表面35付近に偏在する構成とすることにより、接合膜3に金属酸化物膜としての機能を好適に発揮させることができる。すなわち、接合膜3に、接合を担う機能の他に、導電性や透光性等の特性に優れた金属酸化物膜としての機能を好適に付与することができるという利点も得られる。換言すれば、脱離基303が、接合膜3の導電性や透光性等の特性を阻害してしまうのを確実に防止することができる。
以上のような接合膜3としての機能が好適に発揮されるように、金属原子が選択される。
具体的には、金属原子としては、特に限定されないが、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、TiおよびPb等が挙げられる。中でも、In(インジウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Ti(チタン)およびSb(アンチモン)のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。接合膜3を、これらの金属原子を含むもの、すなわちこれらの金属原子を含む金属酸化物に脱離基303を導入したものとすることにより、接合膜3は、優れた導電性と透明性とを発揮するものとなる。
より具体的には、金属酸化物としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、フッ素含有インジウム錫酸化物(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)および二酸化チタン(TiO)等が挙げられる。
なお、金属酸化物としてインジウム錫酸化物(ITO)を用いる場合には、インジウムとスズとの原子比(インジウム/スズ比)は、99/1〜80/20であるのが好ましく、97/3〜85/15であるのがより好ましい。これにより、前述したような効果をより顕著に発揮させることができる。
また、接合膜3中の金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と酸素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜3の安定性が高くなり、カラーフィルター2と透明電極基板71とをより強固に接合することができるようになる。
また、脱離基303は、前述したように、金属原子および酸素原子の少なくとも一方から脱離することにより、接合膜3に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないよう接合膜3に確実に結合しているものが好適に選択される。
かかる観点から、脱離基303には、水素原子、炭素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子、またはこれらの各原子で構成される原子団のうちの少なくとも1種が好適に用いられる。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、カラーフィルター2と透明電極基板71との接着性をより高度なものとすることができる。
なお、上記の各原子で構成される原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基およびスルホン酸基等が挙げられる。
以上のような各原子および原子団の中でも、脱離基303は、特に、水素原子であるのが好ましい。水素原子で構成される脱離基303は、化学的な安定性が高いため、脱離基303として水素原子を備える接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
以上のことを考慮すると、接合膜3としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、フッ素含有インジウム錫酸化物(FTO)、酸化亜鉛(ZnO)または二酸化チタン(TiO)の金属酸化物に、脱離基303として水素原子が導入されたものが好適に選択される。
かかる構成の接合膜3は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、このような接合膜3は、カラーフィルター2に対して特に強固に接着するとともに、透明電極基板71に対しても特に強い被着力を示し、その結果として、カラーフィルター2と透明電極基板71とを強固に接合することができる。
また、接合膜3の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、2〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜3の平均厚さを前記範囲内とすることにより、接合膜3の導電性を十分に確保しつつ、カラーフィルター2と透明電極基板71とをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、接合膜付きカラーフィルター1の透明電極基板71との寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜3の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜3にある程度の形状追従性が確保される。例えば、カラーフィルター2の接合膜3と接合する着色層22と隔壁23との高さが異なる場合でも、その高さの差にもよるが、着色層22と隔壁23との高さの差により生じる凹凸の形状に追従するように接合膜3を被着させることができる。その結果、接合膜3は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせた際に、接合膜3の透明電極基板71に対する密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
以上説明したような接合膜3は、接合膜3のほぼ全体に脱離基303を存在させる場合には、例えば、A:脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で、物理的気相成膜法により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物材料を成膜することにより形成することができる。また、脱離基303を接合膜3の表面35付近に偏在させる場合には、例えば、B:金属原子と前記酸素原子とを含む金属酸化物膜を成膜した後、この金属酸化物膜の表面付近に含まれる金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することにより形成することができる。
以下、AおよびBの方法を用いて、カラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の上面に接合膜3を成膜する場合について、詳述する。
<A> Aの方法では、接合膜3は、上記のように、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で、物理的気相成膜法(PVD法)により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物材料を成膜することにより形成される。このようにPVD法を用いる構成とすれば、金属酸化物材料をカラーフィルター2に向かって飛来させる際に、比較的容易に金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することができる。このため、接合膜3のほぼ全体にわたって脱離基303を導入することができる。
また、PVD法によれば、緻密で均質な接合膜3を効率よく成膜することができる。これにより、PVD法で成膜された接合膜3は、透明電極基板71に対して特に強固に接合し得るものとなる。さらに、PVD法で成膜された接合膜3は、エネルギーが付与されて活性化された状態が比較的長時間にわたって維持される。このため、接合膜付きカラーフィルター1の製造過程の簡素化、効率化を図ることができる。
また、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法等が挙げられるが、中でも、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法によれば、金属原子と酸素原子との結合が切断することなく、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気中に、金属酸化物の粒子を叩き出すことができる。そして、金属酸化物の粒子が叩き出された状態で、脱離基303を構成する原子成分を含むガスと接触させることができるため、金属酸化物(金属原子または酸素原子)への脱離基303の導入をより円滑に行うことができる。
以下、PVD法により接合膜3を成膜する方法として、スパッタリング法(イオンビームスパッタリング法)により、接合膜3を成膜する場合を代表に説明する。
まず、接合膜3の成膜方法を説明するのに先立って、カラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23上にイオンビームスパッタリング法により接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置200について説明する。
図13は、本実施形態にかかる接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図、図14は、図13に示す成膜装置が備えるイオン源の構成を示す模式図である。なお、以下の説明では、図13中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図13に示す成膜装置200は、イオンビームスパッタリング法による接合膜3の形成がチャンバー(装置)内で行えるように構成されている。
具体的には、成膜装置200は、チャンバー(真空チャンバー)211と、このチャンバー211内に設置され、カラーフィルター2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)212と、チャンバー211内に設置され、チャンバー211内に向かってイオンビームBを照射するイオン源(イオン供給部)215と、イオンビームBの照射により、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物(例えば、ITO)を発生させるターゲット(金属酸化物材料)216を保持するターゲットホルダー(ターゲット保持部)217とを有している。
また、チャンバー211には、チャンバー211内に、脱離基303を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を供給するガス供給手段260と、チャンバー211内の排気をして圧力を制御する排気手段230とを有している。
なお、本実施形態では、基板ホルダー212は、チャンバー211の天井部に取り付けられている。この基板ホルダー212は、回動可能となっている。これにより、カラーフィルター2上に接合膜3を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
イオン源(イオン銃)215は、図13に示すように、開口(照射口)250が形成されたイオン発生室256と、イオン発生室256内に設けられたフィラメント257と、グリッド253、254と、イオン発生室256の外側に設置された磁石255とを有している。
また、イオン発生室256には、図13に示すように、その内部にガス(スパッタリング用ガス)を供給するガス供給源219が接続されている。
このイオン源215では、イオン発生室256内に、ガス供給源219からガスを供給した状態で、フィラメント257を通電加熱すると、フィラメント257から電子が放出され、放出された電子が磁石255の磁場によって運動し、イオン発生室256内に供給されたガス分子と衝突する。これにより、ガス分子がイオン化する。このガスのイオンIは、グリッド253とグリッド254との間の電圧勾配により、イオン発生室256内から引き出されるとともに加速され、開口250を介してイオンビームBとしてイオン源215から放出(照射)される。
イオン源215から照射されたイオンビームBは、ターゲット216の表面に衝突し、ターゲット216からは粒子(スパッタ粒子)が叩き出される。このターゲット216は、前述したような金属酸化物材料で構成されている。
この成膜装置200では、イオン源215は、その開口250がチャンバー211内に位置するように、チャンバー211の側壁に固定(設置)されている。なお、イオン源215は、チャンバー211から離間した位置に配置し、接続部を介してチャンバー211に接続した構成とすることもできるが、本実施形態のような構成とすることにより、成膜装置200の小型化を図ることができる。
また、イオン源215は、その開口250が、基板ホルダー212と異なる方向、本実施形態では、チャンバー211の底部側を向くように設置されている。
なお、イオン源215の設置個数は、1つに限定されるものではなく、複数とすることもできる。イオン源215を複数設置することにより、接合膜3の成膜速度をより速くすることができる。
また、ターゲットホルダー217および基板ホルダー212の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができる第1のシャッター220および第2のシャッター221が配設されている。
これらシャッター220、221は、それぞれ、ターゲット216、カラーフィルター2および接合膜3が、不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
また、排気手段230は、ポンプ232と、ポンプ232とチャンバー211とを連通する排気ライン231と、排気ライン231の途中に設けられたバルブ233とで構成されており、チャンバー211内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
さらに、ガス供給手段260は、脱離基303を構成する原子成分を含むガス(例えば、水素ガス)を貯留するガスボンベ264と、ガスボンベ264からこのガスをチャンバー211に導くガス供給ライン261と、ガス供給ライン261の途中に設けられたポンプ262およびバルブ263とで構成されており、脱離基303を構成する原子成分を含むガスをチャンバー211内に供給し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置200を用いて、以下のようにして接合膜3が形成される。
ここでは、カラーフィルター2の着色層22および隔壁23上に接合膜3を成膜する方法について説明する。
まず、カラーフィルター2を用意し、このカラーフィルター2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
さらに、ガス供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に脱離基303を構成する原子成分を含むガスを供給する。これにより、チャンバー内をかかるガスを含む雰囲気下(水素ガス雰囲気下)とすることができる。
脱離基303を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基303を導入することができる。
また、チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、金属原子または酸素原子と、前記原子成分を含むガスとの反応が効率良く行われ、金属原子および酸素原子に確実に、前記原子成分を含むガスを導入することができる。
次に、第2のシャッター221を開き、さらに第1のシャッター220を開いた状態にする。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
このガスのイオンIは、グリッド253とグリッド254とにより加速されて、イオン源215から放出され、陰極材料で構成されるターゲット216に衝突する。これにより、ターゲット216から金属酸化物(例えば、ITO)の粒子が叩き出される。このとき、チャンバー211内が脱離基303を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)であることから、チャンバー211内に叩き出された粒子に含まれる金属原子および酸素原子に脱離基303が導入される。そして、この脱離基303が導入された金属酸化物がカラーフィルター2上に堆積することにより、接合膜3が形成される。
なお、本実施形態で説明したイオンビームスパッタリング法では、イオン源215のイオン発生室256内で、放電が行われ、電子eが発生するが、この電子eは、グリッド253により遮蔽され、チャンバー211内への放出が防止される。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜3に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜3の成膜中に導入された脱離基303が脱離するのを確実に防止することができる。
以上のようにして、ほぼ全体にわたって脱離基303が存在する接合膜3を成膜することができる。
<B> 一方、Bの方法では、接合膜3は、上記のように、金属原子と酸素原子とを含む金属酸化物膜を成膜した後、この金属酸化物膜の表面付近に含まれる金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303を導入することにより形成される。かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、金属酸化物膜の表面付近に脱離基303を偏在させた状態で導入することができ、接合膜および金属酸化物膜としての双方の特性に優れた接合膜3を形成することができる。
ここで、金属酸化物膜は、いかなる方法で成膜されたものでもよく、例えば、PVD法(物理的気相成膜法)、CVD法(化学的気相成膜法)、プラズマ重合法のような各種気相成膜法や、各種液相成膜法等により成膜することができるが、中でも、特に、PVD法により成膜するのが好ましい。PVD法によれば、緻密で均質な金属酸化物膜を効率よく成膜することができる。
また、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法およびレーザーアブレーション法等が挙げられるが、中でも、スパッタリング法を用いるのが好ましい。スパッタリング法によれば、金属原子と酸素原子との結合が切断することなく、雰囲気中に金属酸化物の粒子を叩き出して、カラーフィルター2上に供給することができるため、特性に優れた金属酸化物膜を成膜することができる。
さらに、金属酸化物膜の表面付近に脱離基303を導入する方法としては、各種方法が用いられ、例えば、B1:脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で金属酸化物膜を熱処理(アニーリング)する方法、B2:イオン・インプランテーション等が挙げられるが、中でも、特に、B1の方法を用いるのが好ましい。B1の方法によれば、比較的容易に、脱離基303を金属酸化物膜の表面付近に選択的に導入することができる。また、熱処理を施す際の、雰囲気温度や処理時間等の処理条件を適宜設定することにより、導入する脱離基303の量、さらには脱離基303が導入される金属酸化物膜の厚さの制御を的確に行うことができる。
以下、金属酸化物膜をスパッタリング法(イオンビームスパッタリング法)により成膜し、次に、得られた金属酸化物膜を、脱離基303を構成する原子成分を含む雰囲気下で熱処理(アニーリング)することにより、接合膜3を得る場合を代表に説明する。
なお、Bの方法を用いて接合膜3の成膜する場合も、Aの方法を用いて接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置200と同様の成膜装置が用いられるため、成膜装置に関する説明は省略する。
[i] まず、カラーフィルター2を用意する。そして、このカラーフィルター2を成膜装置200のチャンバー211内に搬入し、基板ホルダー212に装着(セット)する。
[ii] 次に、排気手段230を動作させ、すなわちポンプ232を作動させた状態でバルブ233を開くことにより、チャンバー211内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、このとき、加熱手段を動作させ、チャンバー211内を加熱する。チャンバー211内の温度は、25℃以上であればよいが、25〜100℃程度であるのが好ましい。かかる範囲内に設定することにより、膜密度の高い金属酸化物膜を成膜することができる。
[iii] 次に、第2のシャッター221を開き、さらに第1のシャッター220を開いた状態にする。
この状態で、イオン源215のイオン発生室256内にガスを導入するとともに、フィラメント257に通電して加熱する。これにより、フィラメント257から電子が放出され、この放出された電子とガス分子が衝突することにより、ガス分子がイオン化する。
このガスのイオンIは、グリッド253とグリッド254とにより加速されて、イオン源215から放出され、陰極材料で構成されるターゲット216に衝突する。これにより、ターゲット216から金属酸化物(例えば、ITO)の粒子が叩き出され、カラーフィルター2上に堆積して、金属原子と、この金属原子に結合する酸素原子とを含む金属酸化物膜が形成される。
なお、本実施形態で説明したイオンビームスパッタリング法では、イオン源215のイオン発生室256内で、放電が行われ、電子eが発生するが、この電子eは、グリッド253により遮蔽され、チャンバー211内への放出が防止される。
さらに、イオンビームBの照射方向(イオン源215の開口250)がターゲット216(チャンバー211の底部側と異なる方向)に向いているので、イオン発生室256内で発生した紫外線が、成膜された接合膜3に照射されるのがより確実に防止されて、接合膜3の成膜中に導入された脱離基303が脱離するのを確実に防止することができる。
[iv] 次に、第2のシャッター221を開いた状態で、第1のシャッター220を閉じる。
この状態で、加熱手段を動作させ、チャンバー211内をさらに加熱する。チャンバー211内の温度は、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基303が導入される温度に設定され、100〜600℃程度であるのが好ましく、150〜300℃程度であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、次工程[v]において、カラーフィルター2および金属酸化物膜を変質・劣化させることなく、金属酸化物膜の表面に効率良く脱離基303を導入することができる。
[v] 次に、ガス供給手段260を動作させ、すなわちポンプ262を作動させた状態でバルブ263を開くことにより、チャンバー211内に脱離基303を構成する原子成分を含むガスを供給する。これにより、チャンバー211内をかかるガスを含む雰囲気下(水素ガス雰囲気下)とすることができる。
このように、前記工程[iv]でチャンバー211内が加熱された状態で、チャンバー211内を、脱離基303を構成する原子成分を含むガスを含む雰囲気下(例えば、水素ガス雰囲気下)とすると、金属酸化物膜の表面付近に存在する金属原子および酸素原子の少なくとも一方に脱離基303が導入されて、接合膜3が形成される。
脱離基303を構成する原子成分を含むガスの流量は、1〜100ccm程度であるのが好ましく、10〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、金属原子および酸素原子の少なくとも一方に確実に脱離基303を導入することができる。
なお、チャンバー211内は、前記工程[ii]において、排気手段230を動作させることにより調整された減圧状態を維持しているのが好ましい。これにより、金属酸化物膜の表面付近に対する脱離基303の導入をより円滑に行うことができる。また、前記工程[ii]の減圧状態を維持したまま、本工程においてチャンバー211内を減圧する構成とすることにより、再度減圧する手間が省けることから、成膜時間および成膜コスト等の削減を図ることができるという利点も得られる。
この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、熱処理を施す時間は、15〜120分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
導入する脱離基303の種類等によっても異なるが、熱処理を施す際の条件(チャンバー211内の温度、真空度、ガス流量、処理時間)を上記範囲内に設定することにより、金属酸化物膜の表面付近に脱離基303を選択的に導入することができる。
以上のようにして、表面35付近に脱離基303が偏在する接合膜3を成膜することができる。
以上のような第5実施形態にかかる接合膜付きカラーフィルター1および接合体10においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
<第6実施形態>
次に、本発明の接合膜付きカラーフィルター、被着体とカラーフィルターとの接合方法および画像表示装置の各第6実施形態について説明する。
以下、画像表示装置の第6実施形態について説明するが、前記第1実施形態ないし前記第5実施形態にかかる画像表示装置との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる接合膜付きカラーフィルターおよび画像表示装置は、各接合膜の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態にかかる画像表示装置は、接合膜3がエネルギー付与前の状態で、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含むものである。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303の結合手が切れて接合膜3から脱離し、接合膜3の少なくとも表面付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3の表面に、前記第1実施形態と同様の接着性が発現する。
以下、本実施形態にかかる接合膜3について説明する。
接合膜3は、図11に示すように、カラーフィルター2が有する着色層22および隔壁23の表面上に設けられ、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303を含むものである。
このような接合膜3は、エネルギーが付与されると、脱離基303が接合膜3の少なくとも表面35付近から脱離し、図11に示すように、接合膜3の少なくとも表面35付近に、活性手304が生じるものである。そして、これにより、接合膜3の表面35に接着性が発現する。かかる接着性が発現すると、接合膜3を備えたカラーフィルター2は、透明電極基板71に対して、高い寸法精度で強固に効率よく接合可能なものとなる。
また、接合膜3は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基303とを含むもの、すなわち有機金属膜であることから、変形し難い強固な膜となる。このため、接合膜3自体が寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる接合膜付きカラーフィルター1においても、寸法精度が高いものが得られる。
このような接合膜3は、流動性を有さない固体状をなすものである。このため、従来から用いられている、流動性を有する液状または粘液状(半固形状)の接着剤に比べて、接着層(接合膜3)の厚さや形状がほとんど変化しない。したがって、このような接合膜3を用いて得られた接合膜付きカラーフィルター1の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。さらに、接着剤の硬化に要する時間が不要になるため、短時間で強固な接合が可能となる。
また、本発明では、接合膜3は、導電性を有するものであるのが好ましい。これにより、後述する接合膜付きカラーフィルター1において、意図しない帯電を抑制または防止することができる。これにより、このような接合膜付きカラーフィルター1を適用した液晶表示装置70では、液晶層73に不本意な電圧がかかるのが確実に防止される。より具体的には、液晶層73を挟むように設けられた電極間(共通電極72と画素電極76との間)に電圧を印加しない状態において、液晶表示装置70が帯電されるのが確実に防止される。その結果、このような液晶表示装置70は、各画素における光の透過、または遮断を確実に行うことができ、より安定的に鮮明な画像表示を行えるものとなる。
以上のような接合膜3としての機能が好適に発揮されるように、金属原子および脱離基303が選択される。
具体的には、金属原子としては、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、各種ランタノイド元素、各種アクチノイド元素のような遷移金属元素、Li、Be、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Rb、Sr、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、Tl、Pd、Bi、Poのような典型金属元素等が挙げられる。
ここで、遷移金属元素は、各遷移金属元素間で、最外殻電子の数が異なることのみの差異であるため、物性が類似している。そして、遷移金属は、一般に、硬度や融点が高く、電気伝導性および熱伝導性が高い。このため、金属原子として遷移金属元素を用いた場合、接合膜3に発現する接着性をより高めることができる。また、それとともに、接合膜3の導電性をより高めることができる。
また、金属原子として、Cu、Al、ZnおよびFeのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いた場合、接合膜3は、優れた導電性を発揮するものとなる。また、接合膜3を後述する有機金属化学気相成長法を用いて成膜する場合には、これらの金属を含む金属錯体等を原材料として用いて、比較的容易かつ均一な膜厚の接合膜3を成膜することができる。
また、脱離基303は、前述したように、接合膜3から脱離することにより、接合膜3に活性手を生じさせるよう振る舞うものである。したがって、脱離基303には、エネルギーを付与されることによって、比較的簡単に、かつ均一に脱離するものの、エネルギーが付与されないときには、脱離しないよう接合膜3に確実に結合しているものが好適に選択される。
具体的には、脱離基303としては、炭素原子を必須成分とし、水素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子およびハロゲン原子のうちの少なくとも1種を含む原子団が好適に選択される。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、接合膜3の接着性をより高度なものとすることができる。
より具体的には、原子団(基)としては、例えば、メチル基、エチル基のようなアルキル基、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、カルボキシル基の他、前記アルキル基の末端がイソシアネート基、アミノ基およびスルホン酸基等で終端しているもの等が挙げられる。
以上のような原子団の中でも、脱離基303は、特に、アルキル基であるのが好ましい。アルキル基で構成される脱離基303は、化学的な安定性が高いため、脱離基303としてアルキル基を備える接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
また、かかる構成の接合膜3において、金属原子と酸素原子の存在比は、3:7〜7:3程度であるのが好ましく、4:6〜6:4程度であるのがより好ましい。金属原子と炭素原子の存在比を前記範囲内になるよう設定することにより、接合膜3の安定性が高くなり、カラーフィルター2と透明電極基板71とをより強固に接合することができるようになる。また、接合膜3の導電性と透明性は特に優れたものとなる。
また、接合膜3の平均厚さは、1〜1000nm程度であるのが好ましく、50〜800nm程度であるのがより好ましい。接合膜3の平均厚さを前記範囲内とすることにより、接合膜3の導電性および透明性を十分に確保しつつ、カラーフィルター2と透明電極基板71とをより強固に接合することができる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、接合膜付きカラーフィルター1の透明電極基板71との寸法精度が著しく低下するおそれがある。
さらに、接合膜3の平均厚さが前記範囲内であれば、接合膜3にある程度の形状追従性が確保される。例えば、カラーフィルター2の接合膜3と接合する着色層22と隔壁23との高さが異なる場合でも、その高さの差にもよるが、着色層22と隔壁23との高さの差により生じる凹凸の形状に追従するように接合膜3を被着させることができる。その結果、接合膜3は、凹凸を吸収して、その表面に生じる凹凸の高さを緩和することができる。そして、接合膜付きカラーフィルター1と透明電極基板71とを貼り合わせた際に、接合膜3の透明電極基板71に対する密着性を高めることができる。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
以上説明したような接合膜3は、いかなる方法で成膜してもよいが、例えば、IIa:金属原子で構成される金属膜に、脱離基(有機成分)303を含む有機物を、金属膜のほぼ全体または表面付近に選択的に付与(化学修飾)して接合膜3を形成する方法、IIb:金属原子と、脱離基(有機成分)303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として有機金属化学気相成長法を用いて接合膜3を形成する方法(積層させる方法あるいは、単原子層からなる接合層を形成)、IIc:金属原子と脱離基303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として適切な溶媒に溶解させスピンコート法などを用いて接合膜を形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、IIbの方法により接合膜3を成膜するのが好ましい。かかる方法によれば、比較的簡単な工程で、かつ、均一な膜厚の接合膜3を形成することができる。
以下、IIbの方法、すなわち金属原子と、脱離基(有機成分)303を含む有機物とを有する有機金属材料を原材料として有機金属化学気相成長法を用いて接合膜3を形成する方法により、接合膜3を得る場合を代表に説明する。
まず、接合膜3の成膜方法を説明するのに先立って、接合膜3を成膜する際に用いられる成膜装置400について説明する。
図15は、本実施形態において、接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図15中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図15に示す成膜装置400は、有機金属化学気相成長法(以下、「MOCVD法」と省略することもある。)による接合膜3の形成をチャンバー411内で行えるように構成されている。
具体的には、成膜装置400は、チャンバー(真空チャンバー)411と、このチャンバー411内に設置され、カラーフィルター2(成膜対象物)を保持する基板ホルダー(成膜対象物保持部)412と、チャンバー411内に、気化または霧化した有機金属材料を供給する有機金属材料供給手段460と、チャンバー411内を低還元性雰囲気下とするためのガスを供給するガス供給手段470と、チャンバー411内の排気をして圧力を制御する排気手段430と、基板ホルダー412を加熱する加熱手段(図示せず)とを有している。
基板ホルダー412は、本実施形態では、チャンバー411の底部に取り付けられている。この基板ホルダー412は、モータの作動により回動可能となっている。これにより、カラーフィルター2上に接合膜3を均質かつ均一な厚さで成膜することができる。
また、基板ホルダー412の近傍には、それぞれ、これらを覆うことができるシャッター421が配設されている。このシャッター421は、基板21および接合膜3が不要な雰囲気等に曝されるのを防ぐためのものである。
有機金属材料供給手段460は、チャンバー411に接続されている。この有機金属材料供給手段460は、固形状の有機金属材料を貯留する貯留槽462と、気化または霧化した有機金属材料をチャンバー411内に送気するキャリアガスを貯留するガスボンベ465と、キャリアガスと気化または霧化した有機金属材料をチャンバー411内に導くガス供給ライン461と、ガス供給ライン461の途中に設けられたポンプ464およびバルブ463とで構成されている。かかる構成の有機金属材料供給手段460では、貯留槽462は、加熱手段を有しており、この加熱手段の作動により固形状の有機金属材料を加熱して気化し得るようになっている。そのため、バルブ463を開放した状態で、ポンプ464を作動させて、キャリアガスをガスボンベ465から貯留槽462に供給すると、このキャリアガスとともに気化または霧化した有機金属材料が、供給ライン461内を通過してチャンバー411内に供給されるようになっている。
なお、キャリアガスとしては、特に限定されず、例えば、窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガス等が好適に用いられる。
また、本実施形態では、有機金属材料供給手段460がチャンバー411に接続されている。ガス供給手段470は、チャンバー411内を低還元性雰囲気下とするためのガスを貯留するガスボンベ475と、前記低還元性雰囲気下とするためのガスをチャンバー411内に導くガス供給ライン471と、ガス供給ライン471の途中に設けられたポンプ474およびバルブ473とで構成されている。かかる構成のガス供給手段470では、バルブ473を開放した状態で、ポンプ474を作動させると、前記低還元性雰囲気下とするためのガスが、ガスボンベ475から、供給ライン471を介して、チャンバー411内に供給されるようになっている。ガス供給手段470をかかる構成とすることにより、チャンバー411内を有機金属材料に対して確実に低還元な雰囲気とすることができる。その結果、有機金属材料を原材料としてMOCVD法を用いて接合膜3を成膜する際に、有機金属材料に含まれる有機成分の少なくとも一部を脱離基303として残存させた状態で接合膜3が成膜される。
チャンバー411内を低還元性雰囲気下とするためのガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素ガスおよびヘリウム、アルゴン、キセノンのような希ガス、一酸化窒素、一酸化二窒素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、有機金属材料として、後述する2,4−ペンタジオネート−銅(II)や[Cu(hfac)(VTMS)]等のように分子構造中に酸素原子を含有するものを用いる場合には、低還元性雰囲気下とするためのガスに、水素ガスを添加するのが好ましい。これにより、酸素原子に対する還元性を向上させることができ、接合膜3に過度の酸素原子が残存することなく、接合膜3を成膜することができる。その結果、この接合膜3は、膜中における金属酸化物の存在率が低いものとなり、優れた導電性を発揮することとなる。
また、キャリアガスとして前述した窒素ガス、アルゴンガスおよびヘリウムガスのうちの少なくとも1種を用いる場合には、このキャリアガスに低還元性雰囲気下とするためのガスとしての機能をも発揮させることができる。
また、排気手段430は、ポンプ432と、ポンプ432とチャンバー411とを連通する排気ライン431と、排気ライン431の途中に設けられたバルブ433とで構成されており、チャンバー411内を所望の圧力に減圧し得るようになっている。
以上のような構成の成膜装置400を用いてMOCVD法により、以下のようにしてカラーフィルター2の着色層22および隔壁23上に接合膜3が形成される。
[i] まず、カラーフィルター2を用意する。そして、このカラーフィルター2を成膜装置400のチャンバー411内に搬入し、基板ホルダー412に装着(セット)する。
[ii] 次に、排気手段430を動作させ、すなわちポンプ432を作動させた状態でバルブ433を開くことにより、チャンバー411内を減圧状態にする。この減圧の程度(真空度)は、特に限定されないが、1×10−7〜1×10−4Torr程度であるのが好ましく、1×10−6〜1×10−5Torr程度であるのがより好ましい。
また、ガス供給手段470を動作させ、すなわちポンプ474を作動させた状態でバルブ473を開くことにより、チャンバー411内に、低還元性雰囲気下とするためのガス供給して、チャンバー411内を低還元性雰囲気下とする。ガス供給手段470による前記ガスの流量は、特に限定されないが、0.1〜10sccm程度であるのが好ましく、0.5〜5sccm程度であるのがより好ましい。
さらに、このとき、加熱手段を動作させ、基板ホルダー412を加熱する。基板ホルダー412の温度は、形成する接合膜3の種類、すなわち、接合膜3を形成する際に用いる原材料の種類によっても若干異なるが、80〜600℃程度であるのが好ましく、100〜450℃程度であるのがより好ましく、200〜300℃程度であるのがさらに好ましい。かかる範囲内に設定することにより、後述する有機金属材料を用いて、優れた接着性を有する接合膜3を成膜することができる。
[iii] 次に、シャッター421を開いた状態にする。
そして、固形状の有機金属材料を貯留された貯留槽462が備える加熱手段を動作させることにより、有機金属材料を気化させた状態で、ポンプ464を動作させるとともに、バルブ463を開くことにより、気化または霧化した有機金属材料をキャリアガスとともにチャンバー内に導入する。
このように、前記工程[ii]で基板ホルダー412が加熱された状態で、チャンバー411内に、気化または霧化した有機金属材料を供給すると、カラーフィルター2上で有機金属材料が加熱されることにより、有機金属材料中に含まれる有機物の一部が残存した状態で、カラーフィルター2上に接合膜3を形成することができる。
すなわち、MOCVD法によれば、有機金属材料に含まれる有機物の一部が残存するように金属原子を含む膜を形成すれば、この有機物の一部が脱離基303としての機能を発揮する接合膜3をカラーフィルター2上に形成することができる。
このようなMOCVD法に用いられる、有機金属材料としては、特に限定されないが、例えば、2,4−ペンタジオネート−銅(II)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、(8−ヒドロキシキノリン)亜鉛(Znq)、銅フタロシアニン、Cu(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)(ビニルトリメチルシラン)[Cu(hfac)(VTMS)]、Cu(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)(2−メチル−1−ヘキセン−3−エン)[Cu(hfac)(MHY)]、Cu(パーフルオロアセチルアセトネート)(ビニルトリメチルシラン)[Cu(pfac)(VTMS)]、Cu(パーフルオロアセチルアセトネート)(2−メチル−1−ヘキセン−3−エン)[Cu(pfac)(MHY)]等、各種遷移金属元素を含んだアミド系、アセチルアセトネート系、アルコキシ系、シリコンを含むシリル系、カルボキシル基をもつカルボニル系のような金属錯体、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、ジエチル亜鉛のようなアルキル金属や、その誘導体等が挙げられる。これらの中でも、有機金属材料としては、金属錯体であるのが好ましい。金属錯体を用いることにより、金属錯体中に含まれる有機物の一部を残存した状態で、接合膜3を確実に形成することができる。
また、本実施形態では、ガス供給手段470を動作させることにより、チャンバー411内を低還元性雰囲気下となっているが、このような雰囲気下とすることにより、カラーフィルター2の着色層22および隔壁23の表面上に純粋な金属膜が形成されることなく、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で成膜することができる。すなわち、接合膜および金属膜としての双方の特性に優れた接合膜3を形成することができる。
気化または霧化した有機金属材料の流量は、0.1〜100ccm程度であるのが好ましく、0.5〜60ccm程度であるのがより好ましい。これにより、均一な膜厚で、かつ、有機金属材料中に含まれる有機物の一部を残存させた状態で、接合膜3を成膜することができる。
以上のように、接合膜3を成膜した際に膜中に残存する残存物を脱離基303として用いる構成とすることにより、形成した金属膜等に脱離基を導入する必要がなく、比較的簡単な工程で接合膜3を成膜することができる。
なお、有機金属材料を用いて形成された接合膜3に残存する前記有機物の一部は、その全てが脱離基303として機能するものであってもよいし、その一部が脱離基303として機能するものであってもよい。
以上のようにして、接合膜3を成膜することができる。
以上のような第6実施形態にかかる接合膜付きカラーフィルター1および接合体10においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
《電子機器》
前述したような本発明のカラーフィルターを有する液晶表示装置等の画像表示装置(電気光学装置)1000は、各種電子機器の表示部に用いることができる。
図16は、本発明の画像表示装置を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が画像表示装置1000を備えている。
なお、本発明の画像表示装置は、上述したパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)の他にも、例えば、テレビ(例えば、液晶テレビ)や、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、携帯電話、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。中でも、テレビは、近年の表示部の大型化の傾向が顕著であるが、このような大型の表示部(例えば、対角線長80cm以上の表示部)を有する電子機器では、従来、表示画像を十分に鮮明なものとすることができないという問題があったが、本発明を適用すれば、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、上記のような大型の表示部を有する電子機器に適用した場合に、本発明の効果は、より顕著に発揮される。
以上、本発明の接合膜付きカラーフィルター、被着体とカラーフィルターとの接合方法および画像表示装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法は、前記各実施形態のうち、任意の1つまたは2つ以上を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明の被着体とカラーフィルターとの接合方法では、必要に応じて、1以上の任意の目的の工程を追加してもよい。
また、前記各実施形態では、画像表示装置として透過型の液晶表示装置を代表に説明しているが、本発明の表示装置は、反射型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、液晶プロジェクター、有機EL表示装置、無機EL表示装置、電気泳動表示装置、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種表示装置にも適用できる。
また、本発明の接合膜付きカラーフィルターを製造する方法では、前記実施形態の構成に限定されず、工程の順序が前後してもよい。また、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよく、不要な工程を削除してもよい。
また、本発明の接合膜付きカラーフィルターは、各実施形態の任意の構成を組み合わせたものであってもよい。
本発明の画像表示装置の好適な実施形態を示す図(縦断面図)である。 本発明の接合膜付きカラーフィルターと被着体とを接合する方法の第1実施形態を説明するための図である。 本発明の接合膜付きカラーフィルターと被着体とを接合する方法の第1実施形態を説明するための図である。 本発明の接合膜付きカラーフィルターが備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図である。 本発明の接合膜付きカラーフィルターが備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。 本発明の接合方法に用いられるプラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図である。 カラーフィルター上に接合膜を作製する方法を説明するための図(縦断面図)である。 本発明の接合膜付きカラーフィルターを用いて、接合膜付きカラーフィルターと透明電極基板とを接合する接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 本発明の接合膜付きカラーフィルターを用いて、接合膜付きカラーフィルターと透明電極基板とを接合する接合方法の第3実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 本発明の接合膜付きカラーフィルターを用いて、接合膜付きカラーフィルターと透明電極基板とを接合する接合方法の第4実施形態を説明するための図(縦断面図)である。 本発明の接合膜付きカラーフィルターの第5実施形態または第6実施形態が備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図である。 本発明の接合膜付きカラーフィルターの第5実施形態または第6実施形態が備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。 第5実施形態にかかる接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。 図13に示す成膜装置が備えるイオン源の構成を示す模式図である。 第6実施形態において、接合膜の作製に用いられる成膜装置を模式的に示す縦断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
符号の説明
1……接合膜付きカラーフィルター 2……カラーフィルター 21……基板 22……着色層 23…隔壁 225、235…上面 3、31、32……接合膜 301……Si骨格 302……シロキサン結合 303……脱離基 304……活性手 35、315、325……表面 10…接合体 70…液晶表示装置 71…透明電極基板 72…共通電極 73…液晶層 74、75…配向膜 76…画素電極 77…基板(対向基板) 78、79…偏光板 80…液晶表示素子 1000…画像表示装置 1100…パーソナルコンピュータ 1102…キーボード 1104…本体部 1106…表示ユニット 6…マスク 61…窓部 100……プラズマ重合装置 101……チャンバー 102……接地線 103……供給口 104……排気口 130……第1の電極 139……静電チャック 140……第2の電極 170……ポンプ 171……圧力制御機構 180……電源回路 182……高周波電源 183……マッチングボックス 184……配線 190……ガス供給部 191……貯液部 192……気化装置 193……ガスボンベ 194……配管 195……拡散板 200……成膜装置 211……チャンバー 212……基板ホルダー 215……イオン源 216……ターゲット 217……ターゲットホルダー 219……ガス供給源 220……第1のシャッター 221……第2のシャッター 230……排気手段 231……排気ライン 232……ポンプ 233……バルブ 250……開口 253……グリッド 254……グリッド 255……磁石 256……イオン発生室 257……フィラメント 260……ガス供給手段 261……ガス供給ライン 262……ポンプ 263……バルブ 264……ガスボンベ 400……成膜装置 411……チャンバー 412……基板ホルダー 421……シャッター 430……排気手段 431……排気ライン 432……ポンプ 433……バルブ 460……有機金属材料供給手段 461……ガス供給ライン 462……貯留槽 463……バルブ 464……ポンプ 465……ガスボンベ 470……ガス供給手段 471……ガス供給ライン 473……バルブ 474……ポンプ 475……ガスボンベ

Claims (33)

  1. 光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた隔壁と、前記隔壁で囲まれた領域に設けられた着色層とを有するカラーフィルターと、
    前記カラーフィルターの少なくとも前記隔壁上に設けられた接合膜とを有し、
    前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したとき、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする接合膜付きカラーフィルター。
  2. 前記隔壁は、あらかじめ、前記接合膜と接する表面に水酸基を有している請求項1に記載の接合膜付きカラーフィルター。
  3. 前記接合膜は、前記隔壁の表面と前記着色層の表面とに連続して設けられている請求項1または2に記載の接合膜付きカラーフィルター。
  4. 前記着色層は、あらかじめ、前記接合膜と接する表面に水酸基を有している請求項3に記載の接合膜付きカラーフィルター。
  5. 前記接合膜の平均厚さは、1〜1000nmである請求項1ないし4のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルター。
  6. 前記接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10〜90原子%である請求項1ないし5のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルター。
  7. 前記接合膜中のSi原子とO原子の存在比は、3:7〜7:3である請求項1ないし6のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルター。
  8. 前記Si骨格の結晶化度は、45%以下である請求項1ないし7のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルター。
  9. 前記脱離基は、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子が前記Si骨格に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものである請求項1ないし8のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルター。
  10. 前記脱離基は、アルキル基である請求項9に記載の接合膜付きカラーフィルター。
  11. 前記接合膜は、プラズマ重合法により形成されたものである請求項1ないし10のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルター。
  12. 前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを主材料として構成されている請求項11に記載の接合膜付きカラーフィルター。
  13. 前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を主成分とするものである請求項12に記載の接合膜付きカラーフィルター。
  14. 前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものである請求項1ないし13のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルター。
  15. 前記隔壁の前記接合膜と接している面には、あらかじめ、前記接合膜との密着性を高める表面処理が施されている請求項1ないし14のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルター。
  16. 前記表面処理は、プラズマ処理である請求項15に記載の接合膜付きカラーフィルター。
  17. 前記隔壁と前記接合膜との間に、中間層が介挿されている請求項1ないし16のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルター。
  18. 前記中間層は、酸化物系材料を主材料として構成されている請求項17に記載の接合膜付きカラーフィルター。
  19. 光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた隔壁と、前記隔壁で囲まれた領域に設けられた着色層とを有するカラーフィルターと、
    前記カラーフィルターの少なくとも前記隔壁上に設けられた接合膜とを有し、
    前記接合膜は、金属原子と、該金属原子に結合する酸素原子と、前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方に結合する脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したとき、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記金属原子および前記酸素原子の少なくとも一方から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする接合膜付きカラーフィルター。
  20. 光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた隔壁と、前記隔壁で囲まれた領域に設けられた着色層とを有するカラーフィルターと、
    前記カラーフィルターの少なくとも前記隔壁上に設けられた接合膜とを有し、
    前記接合膜は、金属原子と、有機成分で構成される脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したことにより、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記接合膜から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、他の被着体との接着性が発現するものであることを特徴とする接合膜付きカラーフィルター。
  21. 被着体と、請求項1ないし20のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルターとを用意する工程と、
    前記接合膜付きカラーフィルターの前記接合膜の少なくとも一部の領域にエネルギーを付与する工程と、
    前記被着体と前記接合膜とが密着するように、前記被着体と前記接合膜付きカラーフィルターとを貼り合わせて接合する工程とを有することを特徴とする被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  22. 被着体と、請求項1ないし20のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルターとを用意する工程と、
    前記被着体と前記接合膜とが密着するように、前記被着体と前記接合膜付きカラーフィルターとを重ね合わせて、仮接合体を得る工程と、
    前記仮接合体中の前記接合膜の少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、前記被着体と前記接合膜付きカラーフィルターとを接合する工程とを有することを特徴とする被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  23. 前記エネルギーの付与は、前記接合膜にエネルギー線を照射する方法、前記接合膜を加熱する方法、および前記接合膜に圧縮力を付与する方法のうちの少なくとも1つの方法により行われる請求項21または22に記載の被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  24. 前記エネルギー線は、波長150〜300nmの紫外線である請求項23に記載の被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  25. 前記加熱の温度は、25〜100℃である請求項23または24に記載の被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  26. 前記圧縮力は、0.2〜10MPaである請求項23ないし25のいずれかに記載の被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  27. 前記エネルギーの付与は、大気雰囲気中で行われる請求項23ないし26のいずれかに記載の被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  28. 前記被着体は、あらかじめ、前記接合膜との密着性を高める表面処理を施した表面を有するものであり、
    前記被着体は、前記表面処理を施した表面と前記接合膜とが密着するように、前記接合膜付きカラーフィルターに対して貼り合わされる請求項23ないし27のいずれかに記載の被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  29. 前記被着体は、あらかじめ、官能基、ラジカル、開環分子、不飽和結合、ハロゲンおよび過酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの基または物質を有する表面を有するものであり、
    前記被着体は、前記基または物質を有する表面と前記接合膜とが密着するように、前記接合膜付きカラーフィルターに対して貼り合わされる請求項23ないし28のいずれかに記載の被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  30. 前記被着体は、前記接合膜付きカラーフィルターが備える前記接合膜と同様の接合膜を備えており、
    前記各接合膜同士が密着するように、前記被着体と前記接合膜付きカラーフィルターとを重ね合わせる請求項23ないし29のいずれかに記載の被着体とカラーフィルターとの接合方法。
  31. 請求項1ないし20のいずれかに記載の接合膜付きカラーフィルターと、前記他の被着体としての画像表示素子とが、前記接合膜を介して接合されていることを特徴とする画像表示装置。
  32. 前記画像表示素子は、透明電極基板を有しており、
    前記接合膜付きカラーフィルターは、前記画像表示素子のうちの前記透明電極基板に接合されている請求項31に記載の画像表示装置。
  33. 光透過性を有する基板と、前記基板の一方の面側に設けられた隔壁と、前記隔壁で囲まれた領域に設けられた着色層とを有するカラーフィルターと、
    前記カラーフィルターと対向して配置された画像表示素子と、
    これらの間に設けられた接合膜とを有し、
    前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含みランダムな原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基とを含み、
    前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与したとき、前記接合膜の少なくとも表面付近に存在する前記脱離基が前記Si骨格から脱離し、前記接合膜の表面の前記領域に、発現した接着性によって、前記カラーフィルターと前記画像表示素子とを接合していることを特徴とする画像表示装置。
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