JP2013037131A - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の帯状のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用い、連続して偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造方法であって、各ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを順次先端側から移動経路に送り入れて該移動経路中で長手方向に延伸する第1の工程と、先行する第一のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの末端部と次の第二のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの先端部とを重ね合わせ、溶着により接合して連結する第2の工程とを有し、前記第2の工程では、相対湿度80%環境下での接合部における前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の伸び量が、前記環境下での非接合部における前記幅方向の伸び量に対して95%以上110%以下となるように接合することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
【選択図】 図1
Description
この種の偏光フィルムの製造方法としては、原反となる帯状のポリビニルアルコール系樹脂(PVA)フィルムがロール状に巻回されてなる原反ロールからポリビニルアルコール系樹脂フィルム(原反フィルム)を送り出して該原反フィルムの移動経路を規制しつつ、該原反フィルムをガイドする複数本のローラと各種の薬液浴とを備えた装置に通して延伸させる方法が採用されている。例えば、原反フィルムをその長手方向に移動させて膨潤浴や染色浴に連続して浸漬させた後に前後2箇所において前記ローラで原反フィルムをニップして、その間において張力を加えて前記延伸を実施させる方法が採用されたりしている。
この種の接合方法としては、従来、粘着テープや接着剤などの接着接合方法、リベットや糸などによる縫合接合方法またはヒートシーラーなどによる加熱溶融接合方法などが採用されている。
・粘着テープや接着剤などによる接着接合における問題点
膨潤浴、染色浴などに原反フィルムを浸漬させる工程において、接着剤の成分などが薬液に溶け出すことで、薬液を汚染し、製品への異物付着の要因となりうることに加え、接着剤が薬液に溶解されたり薬液の成分によって膨潤したりすることで接合強度が低下し、延伸工程において所望の延伸倍率に達する前に連結部に破断を生じさせるおそれを有する。
・リベットや糸などによる縫合接合における問題点
この方法では、原反フィルムにリベットや糸を通すための穴が穿設されることになるために連結部に張力が加わった場合に前記穴を起点とした破断を生じさせるおそれを有する。
このことを防止すべく穴数を減らして穴の間隔を広めに確保させると、張力が加わった際に、シワが生じやすくなって延伸ムラを生じさせるおそれを有する。
・ヒートシーラー等による加熱溶融接合における問題点
上記のような接着接合や縫合接合における問題点の解決を図り得る接合方法として、下記特許文献1、2及び3などに示すようなヒートシーラーによって接合する方法が知られている。
この方法では、接着接合に比べて薬液を汚染するおそれが低く、縫合接合のように穴を設ける必要がない。
しかし、ヒートシーラーでは溶着領域、及び、その周辺は、溶着時に受けた熱によって変性して通常の部分に比べて硬化した状態となる傾向がある。
そのため、延伸時にこの溶着領域を挟んで張力が加えられるとこの硬化した箇所と通常の状態の箇所との境界部分に集中して応力が生じ易く、全体が所望の延伸倍率に至る前に当該領域が極端に延伸されるおそれを有する。
したがって、高い延伸倍率での延伸を実施させようとすると連結部において原反フィルムの破断を生じさせるおそれを有する。
しかしながら上記のような回避策を選択した場合においては、連結部前後の延伸倍率は所望の倍率(5.25倍以上)とはなっていないことから、製品として用いることが出来ず、材料ロスを発生させることになる。
すなわち、従来の偏光フィルムの製造方法においては、高い偏光機能を有する偏光フィルムを効率良く製造することが難しいという問題を有していた。
各ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを順次先端側から移動経路に送り入れて該移動経路中で長手方向に延伸する第1の工程と、
先行する第一のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの末端部と次の第二のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの先端部とを重ね合わせ、溶着により接合して連結する第2の工程とを有し、
前記第2の工程では、相対湿度80%環境下での接合部における前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の伸び量が、前記環境下での非接合部における前記幅方向の伸び量に対して95%以上110%以下となるように接合することを特徴とする。
また、上記幅方向における非接合部の相対湿度80%環境下での伸び量は、非接合部における、(上記長手方向長さ3.0mm×上記幅方向長さ40mm)の領域を切り取り、切り取られた非接合部たる非接合部切片を、上記と同様に、チャック間距離が20mmとなるように掴み、荷重2gで上記幅方向(非接合部切片の長手方向)に引っ張った後、このように引っ張った状態で相対湿度80%環境下に2時間放置した後の伸び量を意味する。
なお、接合部幅が1.5mm未満の場合には、採取可能な長さを接合部における上記長手方向長さとして切り取り、この長さの2倍の長さを非接合部における上記長手方向長さとして切り取って上記と同様に評価することにより、上記接合部及び非接合部の伸び量を得る。
まず、本実施形態の偏光フィルムの製造方法を実施するための好ましい延伸装置について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の延伸装置は、帯状のポリビニルアルコール系樹脂フィルム(以下「原反フィルム」、あるいは、単に「フィルム」ともいう)がロール状に巻回された原反ロールから前記原反フィルム1が送り出される原反フィルム供給部3と、送り出された原反フィルム1を所定の薬液に浸漬するための複数の浸漬浴4と、該浸漬浴4内に前記原反フィルム1を通すように、原反フィルム1の移動経路を規制する複数のローラ9と、該移動経路中にて原反フィルム1を延伸する延伸部と、複数の浸漬浴4に浸漬され且つ延伸されたフィルムを偏光フィルムとしてロール状に巻き取る偏光フィルム巻取部10とが備えられている。
図1に示すように、複数の浸漬浴4として、フィルムの流れ方向上流側から順に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させる膨潤液の貯留された膨潤浴4a、膨潤されたフィルムを染色する染色液の貯留された染色浴4b、フィルムを構成している樹脂の分子鎖を架橋させる架橋剤液の貯留された架橋浴4c、浴内でフィルムを延伸するための延伸浴4d、及び、該延伸浴4dに通されたフィルムを洗浄する洗浄液が貯留された洗浄浴4eという5種類の浸漬浴4が延伸装置に備えられている。
更に、本態様の延伸装置においては、ロール状に巻回された表面保護フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルムやシクロオレフィンポリマーフィルム)等の積層用フィルム12が前記乾燥装置11で乾燥されたフィルムの両面側にそれぞれ配されており、乾燥後のフィルムの両面に積層用フィルム12を積層させるためのラミネート装置が備えられている。
尚、図2に於いては、レーザー照射によって接合された部分(溶着部)を黒塗り部30で示している。
この図3は、レーザー溶着によって原反フィルム同士を接合して連結する連結装置を示す概略構成図である。
図3は、連結される原反フィルムをその側面からTD方向(幅方向)に向かって見た連結装置の正面図が示されている。
この図3に示すように、前記連結装置は、平坦な上面部を有するステージ40と、該ステージ40の上方に配され、上下方向に移動可能に配された加圧部材50と、該加圧部材50の上方に配されたレーザー光源(図示せず)とを有しており、先行する第一の原反フィルム1の末端部1aと、これに連結する新たな第二の原反フィルム1の先端部1bとを前記ステージ40上において上下に重ね合わせ、この重ね合わせた部分を前記加圧部材50で加圧しつつ前記レーザー光源からレーザー光Rを照射することにより、前記末端部1aと前記先端部1bとの界面部を加熱溶融させて溶着させ得るように構成されており、前記加圧部材50がレーザー光Rの透過性に優れた透明な部材で構成されている。
例えば、フタロシアニン系吸収剤、ナフタロシアニン系吸収剤、ポリメチン系吸収剤、ジフェニルメタン系吸収剤、トリフェニルメタン系吸収剤、キノン系吸収剤、アゾ系吸収剤、ジインモニウム塩などを用いることが出来る。
また、800nm〜1200nmの波長を有するレーザー光Rを発するレーザー光源を用いる場合には、例えば、米国Gentex社製から商品名「Clearweld(登録商標)」として市販の光吸収剤を用いることが出来る。
なかでも、安価で且つ面内均一なレーザービームが容易に得られる半導体レーザーやファイバーレーザーが好ましい。
また、原反フィルムの分解を避けつつ溶融を促す目的においては、瞬間的に高いエネルギーが投入されるパルスレーザーよりも連続波のCWレーザーのほうが好ましい。
レーザー光の出力(パワー)、ビームサイズ及び形状、照射回数、更に走査速度などは、対象となる原反フィルム及び光吸収剤の光吸収率といった光学特性や原反フィルムを構成しているポリマーの融点、ガラス転移点(Tg)といった熱特性などの違いに対して適宜最適化されればよいが、レーザーが照射された部分においてポリビニルアルコール系樹脂を効率的に流動化させて強固な接合を得るために、照射するレーザー光のパワー密度としては、200W/cm2〜10,000W/cm2の範囲内であることが好ましく、300W/cm2〜5,000W/cm2の範囲内であることがさらに好ましく、1,000W/cm2〜3,000W/cm2の範囲内であることが特に好ましい。
この照射スポット径(照射幅)としては、前記照射レーザーパワー密度を満たすパワーにて、新旧原反フィルム重ね合わせ幅の1/10以上3倍以下が好ましい。
重ね合わせ幅の1/10未満では、重ね合わせ部の未接合部が大きく、接合後に搬送する際にばたついて、良好な搬送性を阻害するおそれを有する。
また、3倍を超える幅でレーザー光を照射すると、接合及び延伸特性には影響は及ぼさないものの、エネルギー利用効率の観点からは好ましくない。
好ましくは、重ね合わせ幅の1/5以上2倍以下である。
なお、新旧原反フィルムの重ね合せ幅は、小さくなると、繰り返し精度よく広幅な原反フィルムを重ね合わせ配置することが難しくなるおそれがあり、大きくなると、未接合領域が大きくなり、接合後に搬送する際にフィルムのばたつきが発生するおそれがある。従って、かかる新旧原反フィルムの重ね合せ幅は、例えば、このような観点を考慮して適宜設定することができる。
また、レーザー光のビーム形状は、円形であってもよいし、より高いパワー密度を得る観点から線状であってもよい。
したがって、これらの条件を満たすことのできるレーザー光源を連結装置に採用することが好ましい。
レーザー光の照射に際する加圧強度としては、0.5〜100kgf/cm2の範囲内であることが好ましく、10〜70kgf/cm2の範囲内であることが更に好ましい。
したがって、前記連結装置において好ましく採用される加圧部材50としては、このような強度で加圧することが可能な部材であればそのガラス部材の形状は特に限定されず、例えば、平板、円筒、球状のものを使用することが出来る。
ガラス部材の厚みは特に限定されないが、薄すぎると歪みによって良好な加圧ができず、厚すぎるとレーザー光の利用効率が下がるため、レーザー光が透過する方向における厚みが3mm以上30mm未満であることが好ましく、5mm以上20mm未満であることが更に好ましい。
レーザー光Rの利用効率を高めるために、加圧部材50として利用するガラス製部材は、用いるレーザー光波長に対して高い透明性を有することが好ましく、50%以上の光透過率を有していることが好ましく、70%以上の光透過率を有していることが更に好ましい。
すなわち、光透過性の良好なラバーシートやクッション性を有する透明樹脂シート等を備えた加圧部材50を採用することもでき、例えば、背面側がガラス製部材で構成され、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムと接する前面側が透明ラバーシートで構成された加圧部材50を採用することができる。
このクッション層の厚みは、50μm以上5mm未満であることが好ましく、1mm以上3mm未満が更に好ましい。
50μm未満であると、クッション性に乏しく、5mm以上の場合は、当該クッション層によってレーザー光の吸収や散乱が生じ、前記末端部1aと先端部1bとの接触界面部に到達するレーザー光のエネルギーを低下させるおそれを有する。
このクッション層は、用いるレーザー光波長に対して30%以上の光透過率を有することが好ましく、50%以上が更に好ましい。
また、かかるクッション層と同様のクッション層を、ステージ40の上面に配することもできる。ステージ40上に配する場合には、クッション層を形成するための材料の光学特性、すなわち光透過性は特に限定されず、上記したようなシリコンラバー等に加えて、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリイミド、トリアセチルセルロースなどを用いることもできる。
また、前記第2の工程では、相対湿度80%環境下での接合部における前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の伸び量が、前記環境下での非接合部における前記幅方向の伸び量に対して95%以上110%以下となるように接合する。
すなわち、本実施形態の偏光フィルムの製造方法においては、最終的に目標の延伸倍率となるように膨潤浴4aから延伸浴4dの各浴において延伸を実施する。
また、本実施形態の偏光フィルムの製造方法においては、前記延伸工程後のフィルムを洗浄する洗浄工程、該洗浄されたフィルムを乾燥装置11で乾燥させる乾燥工程、該乾燥後のフィルムに表面保護フィルムを積層する積層工程を実施する。
このことにより、引き続き、この新たなる原反ロールから原反フィルムを延伸装置に供給し前記第1の工程を実施して、偏光フィルムを連続的に製造させる。また、かかる第1の工程及び第2の工程を繰り返し実施することにより、順次連続して偏光フィルムを製造させることができる。
通常、これらの原反フィルムは、上記に述べたようにロール状に巻回された原反ロールの状態で用いる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの形成材料であるポリマーの重合度は、一般に500〜10,000であり、1,000〜6,000の範囲であることが好ましく、1,400〜4,000の範囲にあることがより好ましい。
さらに、部分ケン化ポリビニルアルコールフィルムの場合、そのケン化度は、例えば、水への溶解性の点から、75モル%以上が好ましく、より好ましくは98モル%以上であり、98.3〜99.8モル%の範囲にあることがより好ましい。
原反フィルムの位相差値は、5nm〜100nmのものが好ましい。
また、面内均一な偏光フィルムを得る為に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム面内の位相差バラツキはできるだけ小さいほうが好ましく、原反フィルムとしてのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの面内位相差バラツキは、測定波長1000nmにおいて10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることが更に好ましい。
連結される前の原反フィルムが15質量%を超える吸水率を有すると、レーザー溶着時において加熱溶融部に水分蒸発による発泡が生じやすくなり、接合不良を起こすおそれを有する。
逆に吸水率が2質量%未満の場合は、原反フィルムをレーザーで加熱した部分における樹脂流動性が乏しくなって、接合効率の低下を招くおそれを有する。
このようなことから、接合に際して用いる原反フィルムの吸水率は上記のような範囲内であることが好ましい。
なお、この吸水率については、乾燥前後の質量を比較することによって求められ、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを83℃×1時間加熱して、その加熱減量を加熱前のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの質量で除して求めることができる。
本工程においては、例えば、原反フィルム供給部3から送出される原反フィルムを前記ローラ9によって移動速度を一定に維持しつつ水で満たされた膨潤浴4aに案内して水中に前記原反フィルムを浸漬させる。
これにより原反フィルムが水洗され、原反フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるとともに、原反フィルムを水で膨潤させることで染色ムラ等の不均一性を防止する効果が期待できる。
膨潤液の温度は、20〜45℃の範囲とすることが好ましく、25〜40℃とすることが更に好ましい。
前記原反フィルムが前記膨潤液に浸漬される浸漬時間は、2〜180秒間とすることが好ましく、10〜150秒間とすることがより好ましく、30〜120秒間とすることが特に好ましい。
また、この膨潤浴中でポリビニルアルコール系樹脂フィルムを長さ方向に延伸してもよく、そのときの延伸倍率は膨潤による伸展も含めて1.1〜3.5倍程度とすることが好ましい。
前記膨潤工程を経たフィルムには、膨潤工程と同様にローラ9によって染色浴4bに貯留されている染色液中に浸漬させて染色工程を実施する。
例えば、ヨウ素等の二色性物質を含む染色液に膨潤工程を経たポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することによって、上記二色性物質をフィルムに吸着させる方法を採用して前記染色工程を実施することができる。
前記二色性物質としては、従来公知の物質が使用でき、例えば、ヨウ素や有機染料等が挙げられる。
これらの二色性物質は、一種類のみ使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
具体例としては、コンゴーレッドとスプラブルーG、スプラオレンジGLとダイレクトスカイブルーの組合せ、又は、ダイレクトスカイブルーとファーストブラックとの組合せなどが挙げられる。
前記染色浴の染色液としては、前記二色性物質を溶媒に溶解した溶液を使用できる。
前記溶媒としては、水を一般的に使用できるが、水と相溶性のある有機溶媒を更に添加して用いても良い。
この染色液における二色性物質の濃度としては、0.010〜10質量%の範囲とすることが好ましく、0.020〜7質量%の範囲とすることがより好ましく、0.025〜5質量%とすることが特に好ましい。
このヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。
これらヨウ化物の添加割合は、前記染色浴において、0.010〜10質量%とすることが好ましく、0.10〜5質量%とすることがより好ましい。
これらの中でも、ヨウ化カリウムを添加することが好ましく、ヨウ素とヨウ化カリウムの割合(質量比)は、1:5〜1:100の範囲とすることが好ましく、1:6〜1:80の範囲とすることがより好ましく、1:7〜1:70の範囲とすることが特に好ましい。
また、この染色浴中でフィルムを長さ方向に延伸しても良く、このときの累積した総延伸倍率は、1.1〜4.0倍程度とすることが好ましい。
なお、染色工程としては、前述のような染色浴に浸漬する方法以外に、例えば、二色性物質を含む水溶液を前記ポリマーフィルムに塗布又は噴霧する方法を採用しても良い。
また、本発明においては、染色工程を行わずに、用いる原反フィルムとして、予め二色性物質が混ぜられたポリマー原料で成膜されたフィルムを採用しても良い。
次いで、架橋剤液を貯留する架橋浴4cにフィルムを導入し、前記架橋剤液中にフィルムを浸漬して架橋工程を実施する。
前記架橋剤としては、従来公知の物質を使用できる。
例えば、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物や、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどを使用できる。
これらは一種類のみ用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
二種類以上を併用する場合には、例えばホウ酸とホウ砂の組合せが好ましく、また、その添加割合(モル比)は、4:6〜9:1の範囲とすることが好ましく、5.5:4.5〜7:3の範囲とすることがより好ましく、6:4とすることが最も好ましい。
前記架橋浴の架橋剤液としては、前記架橋剤を溶媒に溶解したものを使用できる。
前記溶媒としては、例えば水を使用できるが、更に水と相溶性のある有機溶媒を併用しても良い。前記架橋剤液における架橋剤の濃度は、特に限定されるものではないが、1〜10質量%の範囲とすることが好ましく、2〜6質量%とすることがより好ましい。
このヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどが挙げられ、これらを添加する場合におけるヨウ化物の含有量は0.05〜15質量%とすることが好ましく、0.5〜8質量%とすることがより好ましい。
架橋剤とヨウ化物の組合せとしては、ホウ酸とヨウ化カリウムの組合せが好ましく、ホウ酸とヨウ化カリウムの割合(質量比)は、1:0.1〜1:3.5の範囲とすることが好ましく、1:0.5〜1:2.5の範囲とすることが更に好ましい。
当該架橋工程においては、架橋浴中でフィルムを長さ方向に延伸してもよく、このときの累積した総延伸倍率は、1.1〜5.0倍程度とすることが好ましい。
なお、架橋工程としては、染色工程と同様に、架橋剤液中に浸漬させる処理方法に代えて、架橋剤含有溶液を塗布又は噴霧する方法によって実施しても良い。
前記延伸工程は、染色、架橋されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、例えば、後述するように累積した総延伸倍率が5.25〜8倍程度となるようにその長さ方向に延伸する工程であり、湿式延伸法では、延伸浴に貯留された溶液中にフィルムを浸漬した状態でその長さ方向に張力を加えて延伸を実施する。
延伸浴に貯留する溶液としては、特に限定されるわけではないが、例えば、各種金属塩、ヨウ素、ホウ素又は亜鉛の化合物の添加された溶液を用いることが出来る。
この溶液の溶媒としては、水、エタノールあるいは各種有機溶媒を適宜用いることが出来る。
なかでも、ホウ酸及び/又はヨウ化カリウムをそれぞれ2〜18質量%程度添加した溶液を用いることが好ましい。
このホウ酸とヨウ化カリウムを同時に用いる場合には、その含有割合(質量比)は、1:0.1〜1:4程度、より好ましくは、1:0.5〜1:3程度の割合で用いることが好ましい。
前記延伸浴における溶液の温度としては、例えば、40〜67℃の範囲とすることが好ましく、50〜62℃とすることがより好ましい。
該洗浄工程は、例えば、水などの洗浄液の貯留された洗浄浴にフィルムを通すことにより、これより前の処理で付着したホウ酸等の不要残存物を洗い流す工程である。
前記水には、ヨウ化物を添加することが好ましく、例えば、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムを添加することが好ましい。
洗浄浴の水にヨウ化カリウムを添加する場合、その濃度は通常0.1〜10質量%、好ましくは3〜8質量%とされる。
更に、洗浄液の温度は、10〜60℃とすることが好ましく、15〜40℃とすることがより好ましい。
また、洗浄処理の回数、すなわち、洗浄液に浸漬した後、洗浄液から引き上げる繰り返し回数は、特に限定されることなく複数としてもよく、複数の洗浄浴に添加物の種類や濃度の異なる水を貯留しておき、これらにフィルムを通すことにより洗浄工程を実施してもよい。
なお、フィルムを各工程における浸漬浴から引き上げる際には、液ダレの発生を防止するために、従来公知であるピンチロール等の液切れロールを用いたり、エアナイフによって液を削ぎ落としたりするなどの方法により、余分な水分を取り除いても良い。
前記洗浄工程において洗浄を行ったフィルムは、前記乾燥機11に導入し、自然乾燥、風乾燥、加熱乾燥など、適宜最適な方法で乾燥させて当該乾燥工程を実施することができる。
この内、加熱乾燥による乾燥工程を実施する場合であれば、加熱乾燥の条件は、加熱温度を20〜80℃程度、乾燥時間を1〜10分間程度とすることが好ましい。
更には、乾燥温度は前記方法に関わらずフィルムの劣化を防ぐ目的としてできるだけ低温にすることが好ましい。
より好ましくは60℃以下であり、45℃以下とすることが特に好ましい。
本実施形態においては、以上のような工程を経たフィルムを巻取りローラにて巻き取る巻取り工程を実施することによりロール状に巻回された偏光フィルムを得ることができる。
なお、本実施形態においては、乾燥工程にて乾燥させた偏光フィルムの表面片側もしくは両側に適宜表面保護用フィルムなどを積層させる積層工程を実施してから巻取り工程を実施するようにしてもよい。
このように製造される偏光フィルムの最終的な総延伸倍率は、原反フィルムに対して、5.25〜8.0倍の範囲の内のいずれかの延伸倍率であることが好ましく、5.5〜7.0倍の範囲の内のいずれかの延伸倍率であることがより好ましい。
上記のような延伸倍率が好ましいのは、最終的な総延伸倍率が5.25倍未満では、高い偏光特性を有する偏光フィルムを得ることが難しく、8.0倍を超えると、フィルムに破断を生じさせるおそれを有するためである。
前記のように本実施形態においては、一つの原反ロールの全てが延伸装置に供給されてしまう前に、更に次の原反ロールからポリビニルアルコール系樹脂フィルム(原反フィルム)を繰り出させて、この新たな原反フィルムの先端部1bを延伸装置で各工程が実施されている原反ロールの末端部1aに重ね合わせた状態で接合して連結する連結工程(前記第2の工程)を実施する。また、連結工程においては、先端部1bと末端部1aとを重ね合わせ、相対湿度80%環境下での接合部におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の伸び量が、上記環境下での非接合部における上記幅方向の伸び量に対して95%以上110%以下となるように接合して連結する。
このように先行する第一の原反フィルムの末端部と、次の原反フィルムの先端部とを接合することによって、高い偏光機能を付与するために必要な、高い延伸倍率、例えば、5.25倍以上の延伸倍率においても破断が発生しない連結が可能となり、接合部が通過する場合においても延伸条件を変更することなく第二の原反フィルムを延伸する工程(前記第1の工程)に移行することができ効率よく偏光フィルムを製造することができる。
すなわち、第一の原反フィルムと第二の原反フィルムとを、延伸条件を変えずに延伸装置に連続通紙できることによって、作業効率の向上、生産性の向上、歩留まりの向上及び材料ロスの削減効果が得られる。
例えば、前記連結装置と前記膨潤浴4aとの間にアキュムレータを備えた延伸装置を使用して第一の原反ロールを前記アキュムレータを通じて膨潤浴4aに供給し、該第一の原反ロールの巻き終わり部分に差し掛かった際に、その末端部を停止状態にさせつつも前記アキュムレータに蓄積した原反フィルムを膨潤浴4a側に供給して、前記第一の原反フィルムの延伸(前記第1の工程)を実施しつつ、新たなる原反ロールの先端部と前記末端部とのレーザー溶着による連結工程を実施させることができる。
すなわち、接合部31における、(ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの長手方向長さ1.5mm)×(ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向長さ40mm)の領域33を切り取る。続いて、切り取られた接合部たる接合部切片35を、固定部チャック37と可動チャック38とを有する引張試験装置(不図示)を用い、初期チャック間距離20mm、荷重2gで引っ張り、このように引っ張った状態で不図示の恒湿器を用いて相対湿度80%環境下に2時間放置し、放置後の接合部切片35における長手方向(すなわち上記幅方向、図6のTD方向)の伸び量として測定することができる。
また、非接合部32における、(上記長手方向長さ3.0mm)×(上記幅方向長さ40mm)の測定領域34を切り取る。続いて、切り取った非接合部たる非接合部切片36を、上記と同様の引張試験装置を用い、初期チャック間距離20mm、荷重2gで引っ張り、このように引っ張った状態で不図示の恒湿器を用いて相対湿度80%環境下に2時間放置し、放置後の非接合部切片36の長手方向(すなわち上記幅方向、図6のTD方向)の伸び量として測定することができる。
なお、引張試験装置として、熱分析測定装置(調湿TMA、BrukerAXS社製、HC−TMA4000SA)を用いることができる。
また、非接合部切片の短手方向長さ3.0mmを接合部切片の短手方向長さ1.5mmの2倍としたのは、2つのポリビニルアルコール系樹脂フィルムを重ね合わせて接合することにより接合部の厚みが非接合部の厚みに対して2倍となるところ、接合部切片と非接合部切片との断面積を等しくするためである。
また、上記のように相対湿度80%環境下に2時間放置するのは、接合部及び非接合部の吸湿量を飽和させて、測定結果の精度を向上させるためである。このことは、図7によって示される。すなわち、図7には、種々の条件で2つのポリビニルアルコール系樹脂フィルムを接合した接合部を、相対湿度80%環境下に放置して上記と同様にして伸び量を測定したときの、時間経過と伸び量の測定結果との関係を示すが、この関係から、放置後2時間経過すれば、測定結果が略一定となることがわかる。なお、図7では、接合部切片を、最初に相対湿度20%環境下に放置した後、次に相対湿度50%環境下に放置し、さらにその次に相対湿度80%環境下に放置したときの実験結果を示すが、最初から相対湿度80%環境下に放置した場合でも、放置後2時間経過すれば、測定結果が略一定となる。
非接合部の厚さが5μm以上であれば機械的強度が低下することはなく、また40μm以下であれば光学特性が低下せず、画像表示装置に適用しても薄型化を実現できる。
なお、実用に際しては、両面又は片面に各種光学層を積層して光学フィルムとしたり、各種表面処理を施したりして、液晶表示装置等の画像表示装置に用いることもできる。
前記光学層としては、要求される光学特性を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、偏光フィルムの保護を目的とした透明保護層、視覚補償等を目的とした配向液晶層、他のフィルムを積層するための粘着層の他、偏光変換素子、反射板、半透過板、位相差板(1/2や1/4などの波長板(λ板)を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの画像表示装置等の形成に用いられるフィルムを用いることが出来る。
また表面処理としては、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止や拡散又はアンチグレアを目的とした表面処理を挙げることが出来る。
本実施形態の偏光フィルムの製造方法は、以上の通りであるが、本発明は本実施形態に限定されず本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。
(基本条件)
・原反フィルム:ポリビニルアルコール樹脂(PVA)フィルム((株)クラレ社製、
厚み75μm、幅50mm、吸水率6%)
・重ね合わせ幅:1.5mm幅
・加熱溶融接合部:レーザー
・レーザー:半導体レーザー(波長940nm、パワー85W、スポット径2mmφ、
パワー密度2705W/cm2、走査速度50mm/sec、積算照射量
108J/cm2、トップハットビーム)
・光吸収剤:商品名「Clearweld(登録商標) LD120C」(米国ジェンテ
ックス社製、溶媒アセトン)、下側に配した原反フィルムの上面に2.0m
m幅で10nL/mm2塗布
・加圧部材:石英ガラス板(10mm厚)
・加圧条件:原反フィルム重ね合わせ部へ加重50kgf/cm2で押し付け
(評価条件)
・長さ測定:熱機械分析装置(調湿TMA、BrukerAXS社製、HC−TMA40
00SA)、初期チャック間距離20mm、荷重2gで引っ張った後、この
状態で相対湿度80%環境下に加湿して2時間放置後の長さを測定
上記基本条件にて、2本の原反フィルムを連結し、接合部において(原反フィルムの長手方向長さ1.5mm)×(原反フィルムの幅方向長さ40mm)の領域を切り取って矩形状の接合部切片を採取し、非接合部において(上記長手方向長さ3.0mm)×(上記幅方向長さ40mm)の領域を切り取って矩形状の非接合部切片を採取した。これら接合部切片及び非接合部切片を、上記評価条件にて、相対湿度80%に設定された恒湿器内に2時間放置した後、TMAを用いて伸び量を測定したところ、接合部の伸び量は、1316μm、非接合部の伸び量は1336μmであり、非接合部の伸び量に対する接合部の伸び量の比率は、98.5%であった。この結果を、表1、図8、図9に示す。
また、上記と同条件で2本の原反フィルムを連結し、接合部前後を50mm長ほど切り出して、図1に示すような延伸装置を用い、総延伸倍率が膨潤浴では2.6倍、染色浴では3.4倍、架橋浴では3.6倍、延伸浴では6.2倍となるように延伸した後、洗浄浴を通過させることにより、偏光フィルムをバッチ製造した。その結果、総延伸倍率6.2倍まで延伸しても、破断は認められなかった。
原反フィルムの幅を2600mmへ変更すること以外は上記基本条件にて新旧原反フィルムを接合し、図1に示すような延伸装置を用い、総延伸倍率が膨潤浴では2.6倍、染色浴では3.4倍、架橋浴では3.6倍、延伸浴では6.2倍となるようにロールトゥロールで偏光フィルムを製造した。その結果、実施例1と同様、総延伸倍率6.2倍まで延伸しても破断することが無く、連続通紙することができた。なお、原反フィルムの幅の相違は、接合部及び非接合部の伸び量に影響を及ぼさないため、実施例2における、上記非接合部に対する接合部の伸び量は、実施例1と同様、98.5%とし得る。この結果を、表1、図8、図9に示す。
走査速度を30mm/secに変更すること以外は上記基本条件にて実施例1と同様に2本の原反フィルムを接合し、実施例1と同様に接合部から試料を採取して伸び量を測定した結果、接合部の伸び量は1333μmであった。また、非接合部の伸び量として実施例1で得られた伸び量を用い、実施例1と同様にして上記幅方向における非接合部に対する接合部の伸び量の比率を算出したところ、99.8%であった。この結果を、表1、図8、図9に示す。
また、このように走査速度を30mm/secとし、さらにフィルム幅を2600mmに変更すること以外は上記基本条件にて新旧フィルムを接合し、実施例2と同様にして偏光フィルムを製造した結果、総延伸倍率6.2倍まで延伸しても破断することが無く、連続通紙することができた。
レーザーパワーを130Wに変更すること以外は上記基本条件にて実施例1と同様に2本の原反フィルムを接合し、実施例1と同様に接合部から試料を採取して伸び量を測定した結果、接合部の伸び量は1280μmであった。また、非接合部の伸び量として実施例1で得られた伸び量を用い、非接合部に対する接合部の伸び量の比率を算出したところ、95.8%であった。この結果を、表1、図8、図9に示す。
また、このようにレーザーパワーを130Wとし、さらにフィルム幅を2600mmに変更すること以外は上記基本条件にて接合を行い、延伸浴での総延伸倍率を5.5倍に変更すること以外は実施例2と同様にして偏光フィルムを製造した結果、総延伸倍率5.5倍まで延伸しても破断することが無く、連続通紙することができた。
レーザーパワーを70W、スポット径を1.5mmφに変更すること以外は上記基本条件にて実施例1と同様に2本の原反フィルムを接合し、実施例1同様に接合部から試料を採取して伸び量を測定した結果、接合部の伸び量は1450μmであった。また、非接合部の伸び量として実施例1で得られた伸び量を用い、非接合部に対する接合部の伸び量の比率を算出したところ、108.5%であった。この結果を、表1、図8、図9に示す。
また、このようにレーザーパワーを70W、スポット径を1.5mmφとし、さらにフィルム幅を2600mmに変更すること以外は上記基本条件にて接合を行い、延伸浴での総延伸倍率を5.8倍に変更すること以外は実施例2と同様にして偏光フィルムを製造した結果、総延伸倍率5.8倍まで延伸しても破断することが無く、連続通紙することができた。
新旧原反フィルムの重ね合わせ幅を3mmとし、ここに幅3mmのニクロム線を使って250℃、10秒の加熱条件でヒートシールを実施してライン状の溶着部を形成させたこと以外は、実施例1と同様にして偏光フィルムをバッチ製造した。そして、実施例1同様に接合部から試料を採取して伸び量を測定した結果、接合部の伸び量は1208μmであった。また、非接合部の伸び量として実施例1で得られた伸び量を用い、非接合部に対する接合部の伸び量の比率を算出したところ、90.4%であった。この結果を、表1、図8、図9に示す。
また、このような加熱条件で、フィルム幅を2600へ変更して接合を行い、延伸浴での総延伸倍率を5.25倍に変更すること以外は実施例2と同様にして偏光フィルムを製造した結果、総延伸倍率5.25倍の延伸時に破断が発生し、連続通紙することができなかった。
新旧原反フィルムの重ね合せ部の界面及び表裏面に光吸収剤を塗布すること以外は上記基本条件にて実施例1と同様に2本の原反フィルムを接合し、実施例1と同様に接合部から試料を採取して伸び量を測定した結果、接合部の伸び量は1510μmであった。また、非接合部の伸び量として実施例1で得られた伸び量を用い、非接合部に対する接合部の伸び量の比率を算出したところ、113.0%であった。この結果を、表1、図8、図9に示す。
また、このように光吸収剤を塗布せず、フィルム幅を2600mmへ変更すること以外は上記基本条件にて接合を行い、延伸浴での総延伸倍率を5.25倍に変更すること以外は実施例2と同様にして偏光フィルムを製造した結果、総延伸倍率5.25倍の延伸時に破断が発生し、連続通紙することができなかった。
原反フィルムの幅を2600mm、レーザーパワーを50W、パワー密度を1592W/cm2、走査速度5mm/sec、積算照射量637J/cm2に変更すること以外は上記基本条件にて接合し、実施例1と同様に接合部から試料を採取して伸び量を測定した結果、接合部の伸び量は1258μmであった。また、非接合部の伸び量として実施例1で得られた伸び量を用い、非接合部に対する接合部の伸び量の比率を算出したところ、94.1%であった。この結果を、表1、図8、図9に示す。
また、このように原反フィルムの幅、レーザーパワー、パワー密度、走査速度及び積算照射量を設定すること以外は上記基本条件にて接合を行い、延伸浴での総延伸倍率を5.25に変更すること以外は実施例2と同様にして、偏光フィルムを製造した。その結果、総延伸倍率5.25倍の延伸時に破断が発生し、連続通紙することができなかった。
Claims (5)
- 複数の帯状のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用い、連続して偏光フィルムを製造する偏光フィルムの製造方法であって、
各ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを順次先端側から移動経路に送り入れて該移動経路中で長手方向に延伸する第1の工程と、
先行する第一のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの末端部と次の第二のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの先端部とを重ね合わせ、溶着により接合して連結する第2の工程とを有し、
前記第2の工程では、相対湿度80%環境下での接合部における前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの幅方向の伸び量が、前記環境下での非接合部における前記幅方向の伸び量に対して95%以上110%以下となるように接合することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。 - 前記第2の工程を、前記末端部と前記先端部とをレーザー溶着によって接合して連結することにより実施することを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
- 前記末端部と前記先端部との界面部に光吸収剤を配して前記レーザー溶着を実施することを特徴とする請求項2に記載の偏光フィルムの製造方法。
- 波長800nm以上11000nm以下の赤外線レーザーで前記レーザー溶着を実施することを特徴とする請求項2または3に記載の偏光フィルムの製造方法。
- 前記第一のポリビニルアルコール系樹脂フィルム、及び、前記第二のポリビニルアルコール系樹脂フィルムのそれぞれ非接合部及び接合部の延伸倍率が、いずれも5.25倍以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の偏光フィルムの製造方法。
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