JP2009096376A - ホイール式建設機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】 油圧シリンダをロックしたままの状態で車両走行すると、車輪が空転したか否かを検出することにより、ロック状態の解除を早期に促すようにする。
【解決手段】 アクスルロックスイッチ24からの信号でラムシリンダ18のロック状態を判別し、走行ペダルセンサ25からの信号で車両の走行状態を検出する。そして、回転センサ28,29からの信号で後車輪5(または前車輪4)間の回転数差が既定値よりも大きいと判定したときには、キャブ8内に設けた警報装置30を即座に作動させ、オペレータに警報を発する。このため、例えばオペレータが車両走行時にラムシリンダ18のロック解除を忘れていても、警報装置30による警報によってロック状態の解除を即座に促すことができ、車輪の空転に伴う過負荷が差動機構17等に作用するのを防止する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えばホイール式油圧ショベル、ホイール式油圧クレーンまたはホイールローダ等として好適に用いられるホイール式建設機械に関する。
一般に、ホイール式油圧ショベル等の建設機械は、左,右の車輪に連結された左,右の車軸を有し、該左,右の車軸を回転源(例えば、油圧モータ等)により差動機構を介してそれぞれ回転駆動する構成としている。また、これらの車軸は、筒状のアクスルハウジング内に回転可能に収容して設けられ、該アクスルハウジングと車体のフレームとの間には、所謂ラムシリンダと呼ばれる油圧シリンダが左,右に離間して設けられている。
そして、車体上に設けられた作業装置により掘削作業等を行うときには、前記油圧シリンダの伸縮動作をシリンダロック手段により規制し、作業時の掘削反力等で車体が傾いたり、大きく振動したりするのを防ぐようにしている。一方、車両の走行時には前記油圧シリンダのロックを解除し、該油圧シリンダのロッドが伸縮するのを許すことにより、これに伴う油液の流動抵抗を利用して走行時の振動等を吸収、緩衝できるようにしている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2006−151305号公報 特開2003−136932号公報
ところで、上述した従来技術では、例えばオペレータが手動でシリンダロック用の操作スイッチ等を切換操作することにより、ラムシリンダ等の油圧シリンダをロックしたり、ロックを解除したりする構成としている。このため、例えば土砂等の掘削作業等を行うときに操作スイッチを切換えて油圧シリンダをロックした後に、このままの状態で車両を走行させることがあり、下記のような問題が生じる。
即ち、油圧シリンダをロックしたままの状態で車両を走行させると、4輪のうち、いずれかの車輪が路面の凹凸等に追従できずに浮上がって空転することがある。そして、このような車輪の空転を繰返し続けた場合には、空転に伴う過度な回転等によって差動機構(デファレンシャルギヤ)に過負荷が作用し、差動機構の耐久性、寿命が低下するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、油圧シリンダをロックしたままの状態で車両を走行すると、車輪が空転したか否かを検出することにより、ロック状態の解除を早期に促すことができ、差動機構等の耐久性、寿命を向上することができるようにしたホイール式建設機械を提供することにある。
上述した課題を解決するために本発明は、左,右の前車輪と左,右の後車輪とによって自走可能となった車体と、該車体と各車輪側との間に設けられロッドの伸縮時には該車体の揺動を許容する複数の油圧シリンダと、該各油圧シリンダの伸縮を規制するロック位置と伸縮を許すロック解除位置とに選択的に切換えられるシリンダロック手段と、前記車体に設けられた作業装置とからなるホイール式建設機械に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記車体が走行状態にあるか否かを検出する走行検出手段と、前記各車輪のうち少なくとも2つの車輪側に設けられ該各車輪間の回転数差を検出する回転検出手段と、前記シリンダロック手段、走行検出手段および回転検出手段からの信号に従って前記油圧シリンダのロック状態で車両が走行し前記車輪間の回転数差が既定値よりも大きいと判定したときに、報知手段を作動させる報知制御手段とを備える構成としたことにある。
また、請求項2の発明によると、前記車体にはオペレータが乗降する運転室を設け、前記報知手段は該運転室内に設け、前記報知制御手段は、車両の走行時に前記油圧シリンダがロック状態にあることを前記報知手段によりオペレータに対して報知する構成としている。
また、請求項3の発明によると、前記左,右の前車輪には左,右の車軸を連結して設け、該左,右の車軸は回転源により第1の差動機構を介して回転駆動する構成とし、前記左,右の後車輪には左,右の車軸を連結して設け、該左,右の車軸は前記回転源により第2の差動機構を介して回転駆動する構成としている。
また、請求項4の発明によると、前記回転検出手段は、前記左,右の前車輪の位置と前記左,右の後車輪の位置とのうち、少なくともいずれか一方の位置に設ける構成としている。
さらに、請求項5の発明によると、前記回転検出手段は、前記左,右の前車輪の位置と前記左,右の後車輪の位置とにそれぞれ設け、前記報知制御手段は、前記各回転検出手段からの信号により前記各車輪のうちいずれの車輪で空転が発生しているかを判別する構成としている。
上述の如く、請求項1に記載の発明によれば、シリンダロック手段からの信号で油圧シリンダのロック状態を判別し、走行検出手段からの信号で車両の走行状態を検出し、回転検出手段からの信号で車輪間の回転数差が既定値よりも大きいと判定したときには、報知制御手段により報知手段を作動させる構成としているので、例えばオペレータが車両走行時に油圧シリンダのロック解除を忘れ、車輪に空転が発生する場合でも、報知手段による警報によってロック状態の解除を促すことができ、シリンダロック手段をロック解除位置へと早期に切換えることができる。このため、左,右の車輪に対して回転力(走行駆動力)を伝える差動機構等に、車輪の空転に伴う過負荷が作用するのを抑えることができ、差動機構の耐久性、寿命を延ばすことができる。
また、請求項2に記載の発明は、車両の走行時に油圧シリンダがロック状態にあるときには、運転室内に設けた報知手段を報知制御手段で作動させオペレータに警報を発することができる。これにより、オペレータが車両走行時に油圧シリンダのロック解除を忘れ、車輪に空転が発生する場合でも、報知手段による警報によってロック状態の解除を促すことができる。
また、請求項3に記載の発明は、左,右の前車輪に連結される左,右の車軸を、回転源により第1の差動機構を介してそれぞれ回転駆動することができ、左,右の後車輪に連結される左,右の車軸を、回転源により第2の差動機構を介してそれぞれ回転駆動することができる。そして、例えばオペレータが車両走行時に油圧シリンダのロック解除を忘れたとしても、請求項1の発明と同様に報知手段による警報によって、シリンダロック手段をロック解除位置へと早期に切換えることを促すことができる。このため、前記第1,第2の差動機構等に空転に伴う過負荷が作用するのを抑えることができ、各差動機構の耐久性、寿命を延ばすことができる。
また、請求項4に記載の発明は、回転検出手段を左,右の前車輪位置と左,右の後車輪の位置のうち、少なくともいずれか一方の位置に設けることにより、差動機構に過負荷を与えるような空転を早期に検出することができる。
さらに、請求項5に記載の発明によれば、報知制御手段は回転検出手段からの信号により各車輪のうちいずれの車輪で空転が発生しているかを判別することができ、左,右の前車輪と左,右の後車輪のうち空転する車輪が、例えば前,後で互い違いになる位置関係にあるか、前,後で揃う位置関係にあるか等を判別することができる。
以下、本発明の実施の形態によるホイール式建設機械を、ホイール式油圧ショベルに適用した場合を例に挙げて、添付図面を参照して詳細に説明する。
ここで、図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1はホイール式建設機械としてのホイール式油圧ショベル、2は該ホイール式油圧ショベル1の下部走行体で、該下部走行体2は、図1に示すようにトラックフレームとしてのシャーシ3と、該シャーシ3の前部下側に設けられた左,右の前車輪4,4(図5参照)と、シャーシ3の後部下側に設けられた左,右の後車輪5,5(図2参照)等とを含んで構成されている。
そして、下部走行体2のシャーシ3は、後述の上部旋回体6と共に自走可能な車体を構成している。また、前記各前車輪4は、後述のフロントアクスルハウジング15等を介してシャーシ3の下面側に回転可能に設けられ、各後車輪5は、後述のリヤアクスルハウジング12等を介してシャーシ3の下面側に回転可能に設けられている。
6は下部走行体2のシャーシ3上に旋回可能に搭載された上部旋回体で、該上部旋回体6は、図1に示すように旋回フレーム7と、該旋回フレーム7の前部左側に設けられ内部に運転室を画成したキャブ8と、該キャブ8の後側に位置して旋回フレーム7上に設けられた建屋カバー9およびカウンタウエイト10等とにより構成されている。
そして、建屋カバー9は、旋回フレーム7上に立設され、内部に原動機としてのエンジンおよび油圧ポンプ(図示せず)等を収容している。また、カウンタウエイト10は、建屋カバー9の後側に位置して旋回フレーム7に設けられ、後述の作業装置11に対する上部旋回体6の重量バランスをとるものである。
11は上部旋回体6の前部に俯仰動可能に設けられた作業装置で、該作業装置11は、ブーム11A、アーム11Bおよびバケット11C等により構成され、作業具としてのバケット11Cにより土砂等の掘削作業を行うものである。そして、作業装置11は、キャブ8(運転室)内に搭乗したオペレータの視界内に配置されている。
12は下部走行体2の一部を構成する後輪側のリヤアクスルハウジングで、該リヤアクスルハウジング12は、図2中に示す如く左,右の後車輪5,5間に設けられた筒状体として形成され、その軸方向中間部には、後述の差動機構17が収容される大径のボックス部12Aが設けられている。
そして、リヤアクスルハウジング12は、図2に示すようにボックス部12Aの上部側が支持軸13等を介してシャーシ3の下面側に揺動可能に連結されている。これにより、リヤアクスルハウジング12は、左,右の後車輪5と一緒に支持軸13を中心にして上,下方向(図2中の矢示A,A方向)に揺動し、このときには、後述の各ラムシリンダ18が伸縮動作するものである。
ここで、リヤアクスルハウジング12内には、左,右の車軸14,14が軸受(図示せず)等を介して回転可能に設けられ、該各車軸14の先端側(軸方向外側の部位)には、左,右の後車輪5,5が一体回転するように取付けられている。また、車軸14の基端側(軸方向内側の部位)は、後述の差動機構17に連結され、これにより左,右の車軸14は、互いに異なる回転数で回転駆動できる構成となっている。
15は下部走行体2の一部を構成するフロントアクスルハウジングで、該フロントアクスルハウジング15は、図5、図6に示す如く左,右の前車輪4,4間に設けられた筒状体として形成され、その軸方向中間部は、後述の差動機構16が収容される大径のボックス部15Aとなっている。そして、フロントアクスルハウジング15内にも、前述したリヤアクスルハウジング12とほぼ同様に左,右の車軸(いずれも図示せず)が回転可能に設けられ、左,右の前車輪4は、夫々の車軸と一体に回転するものである。
また、フロントアクスルハウジング15についても、ボックス部15Aの上部側がシャーシ3に揺動可能に連結され、ラムシリンダ18の伸縮動作に伴ってフロントアクスルハウジング15は左,右の前車輪4と一緒に上,下方向に揺動するものである。なお、フロントアクスルハウジング15は、操舵機構(図示せず)により左,右の前車輪4と共に舵取り操作、即ちステアリング操作されるものである。
16,17は本実施の形態で採用した第1,第2の差動機構で、該各差動機構16,17は、所謂デファレンシャルギヤを用いて構成され、後述する油圧モータ27からの回転駆動力を前車輪4,後車輪5に伝えるものである。そして、第1の差動機構16は、図5、図6中に示すように前車輪4側に設けられ、第2の差動機構17は、後車輪5側に設けられるものである。
18,18はシャーシ3とリヤアクスルハウジング12との間に設けられた左,右一対のラムシリンダで、該各ラムシリンダ18は、図2に示すように油圧シリンダにより構成され、その一側(チューブ側)がシャーシ3の左,右両側に固定して取付けられている。そして、ラムシリンダ18は、その他側(ロッド18A側)がリヤアクスルハウジング12に押付けるように当接される。
また、左,右のラムシリンダ18は、後述の如くロッド18Aが伸縮動作することにより、リヤアクスルハウジング12が左,右の後車輪5と一緒に支持軸13を中心にして図2中の矢示A,A方向に揺動するのを許す。そして、ラムシリンダ18は、このときに発生する油液の流動抵抗等を利用してシャーシ3側の振動を吸収、緩衝するものである。
この場合、図2中ではリヤアクスルハウジング12上に設けたラムシリンダ18について説明した。しかし、フロントアクスルハウジング15側についても、これと同様な油圧シリンダからなる左,右のラムシリンダ(図示せず)が設けられるものである。
19,19は各ラムシリンダ18をタンク20に接続する管路21の途中に設けられたパイロット操作逆止弁からなるパイロット式チェック弁で、該各チェック弁19は、通常は閉弁状態を保持することにより、ラムシリンダ18を油圧ロックしてロッド18Aの伸縮を規制する。一方、パイロットポンプ22からパイロット圧が後述の如く供給されると、各チェック弁19は開弁される。そして、この状態では各ラムシリンダ18がタンク20に連通して伸縮可能な状態となり、リヤアクスルハウジング12が図2中の矢示A,A方向に揺動するのを許すものである。
23はタンク20、パイロットポンプ22と各チェック弁19との間に設けられた電磁式の切換弁(以下、電磁弁23という)で、該電磁弁23は、図2に示すように後述のコントローラ31から制御信号が出力されることにより、ロック位置(a)とロック解除位置(b)とのいずれかに選択的に切換えられる。そして、電磁弁23がロック位置(a)に切換えられているときには、パイロットポンプ22が各チェック弁19に対して遮断され、これによりラムシリンダ18は、伸縮動作が規制(禁止)されたロック状態に保持されるものである。
一方、電磁弁23をロック解除位置(b)に切換えたときには、パイロットポンプ22からのパイロット圧が各チェック弁19に供給され、これらのチェック弁19は開弁状態に保持される。これにより左,右のラムシリンダ18は、管路21を介して互いに連通すると共に、タンク20に対しても連通される。このため、夫々のラムシリンダ18はロッド18Aの伸縮動作を許すロック解除状態となり、このロック解除状態では、例えばリヤアクスルハウジング12が支持軸13を中心として上,下に揺動できるものである。
24は電磁弁23と共にシリンダロック手段を構成するアクスルロックスイッチ(以下、ロックスイッチ24という)で、該ロックスイッチ24は、図1に示すキャブ8内に設けられ、オペレータによって手動で切換操作される。そして、ロックスイッチ24は、後述のコントローラ31に対して図4に示す信号ALを出力し、ロックスイッチ24が閉成(ON)操作されたときに、コントローラ31は、電磁弁23をロック位置(a)に切換える制御を行う。
一方、オペレータがロックスイッチ24を開成(OFF)操作したときには、電磁弁23がコントローラ31からの制御信号によりロック位置(a)からロック解除位置(b)に切換えられ、各ラムシリンダ18は、ロッド18Aの伸縮を許すようにロック解除されるものである。
25は走行検出手段としての走行ペダルセンサで、この走行ペダルセンサ25は、図3に示すように走行ペダル26の下側等に付設され、走行ペダル26の踏込み操作を検知することにより後述のコントローラ31に対して図4に示す如き信号SPを出力する。そして、コントローラ31は、走行ペダルセンサ25からの信号SPにより、オペレータが走行ペダル26を踏込み操作しているか否か、即ち車両が走行状態にあるか否かを検出するものである。
27は回転源としての油圧モータで、該油圧モータ27は、例えばHST(ハイドロスタティックトランスミッション)と呼ばれる仕様の油圧閉回路を用いて回転駆動される。そして、油圧モータ27の出力側は、図3に例示するように後輪側の差動機構17に連結され、油圧モータ27の回転が差動機構17を介して左,右の車軸14に伝達される。
また、図5に示す前輪側の差動機構16にも、油圧モータ27の回転が伝えられる。これにより、左,右の前車輪4と左,右の後車輪5とは、油圧モータ27からの回転力により4輪駆動されるものである。即ち、本実施の形態で採用したホイール式油圧ショベル1の下部走行体2は、左,右の前車輪4と左,右の後車輪5とが油圧モータ27からの回転力で直接的に4輪駆動される所謂リジット4駆型の車両として構成されている。
28,29は左,右の後車輪5,5の回転を検出する回転検出手段としての回転センサで、該回転センサ28,29は、図3に示すように左,右の車軸14,14に近接した位置に配設され、それぞれの回転数NL ,NR を検出するものである。そして、回転センサ28,29で検出した左,右の回転数NL ,NRは、後述のコントローラ31により両者の回転数差ΔNとして算定され、これにより、車輪の空転が判別されるものである。
30はキャブ8(運転室)内に設けられた報知手段としての警報装置で、この警報装置30は、キャブ8(運転室)内の前面パネルに装備されたディスプレイ等の表示器、警報ランプ、警報ブザーまたは音声合成装置等により構成される。そして、警報装置30は、後述の如く車両の走行時にも拘わらず各ラムシリンダ18がロック状態にあると、これを解除すべきことをオペレータに報知するものである。また、車両の4輪のうちいずれかの車輪4,5で空転が発生したときには、空転が発生した車輪4,5を警報装置30により後述の如くオペレータに対して報知することもできる。
31は本実施の形態で採用した報知制御手段としてのコントローラで、該コントローラ31は、その入力側がロックスイッチ24、走行ペダルセンサ25および左,右の回転センサ28,29等に接続され、出力側が電磁弁23および警報装置30等に接続されている。また、コントローラ31は、ROM,RAM等からなる記憶部31Aを有し、この記憶部31A内には、後述の図4に示す処理プログラムと、走行判定値Ks 、回転数の既定値α等とが格納されている。
また、コントローラ31には、図3中に示すように、走行判定マップ32、アンド回路33、回転数差ΔNを演算する演算器34、車輪の空転判定マップ35および警報装置30に出力する制御信号の切換器36等が設けられている。そして、アンド回路33は、ロックスイッチ24が閉成(ON)操作され、かつ走行判定マップ32で車両の走行時と判定したときに切換器36を切換えるための信号を出力し、このときに空転判定マップ35で車輪の空転時と判定すると、警報装置30が警報を発するように制御動作が行われるものである。
本実施の形態によるホイール式油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、上部旋回体6のキャブ8に乗込んだオペレータが車両を路上走行させるときには、ロックスイッチ24を開成(OFF)操作し、電磁弁23をロック位置(a)からロック解除位置(b)に切換える。これにより、各ラムシリンダ18はロック状態が解除され、夫々のロッド18Aが路面の凹凸等に追従して伸縮できるようになる。
次に、作業装置11を作動させて土砂等の掘削作業を行うときには、オペレータがロックスイッチ24を閉成すると、電磁弁23がロック位置(a)に切換えられる。そして、このときには各ラムシリンダ18の伸縮が規制されてロック状態に保持される。このため、作業装置11(バケット11C)からの掘削反力等でシャーシ3が上部旋回体6と一緒に前,後方向または左,右方向等に傾いたり、大きく振動したりするのを防ぐことができる。
ところで、キャブ8に乗込んだオペレータは、手動でロックスイッチ24を切換操作するため、例えば土砂等の掘削作業等を行うときにロックスイッチ24を切換えてラムシリンダ18をロックした後に、このままの状態で車両を走行させることがあり、下記のような問題が生じる。
即ち、ラムシリンダ18をロックしたままの状態で車両を走行させると、特に路面の凹凸が多い悪路走行時には、前車輪4と後車輪5のうちいずれかの車輪が路面の凹凸等に追従できずに浮上がって空転することがある。そして、このような車輪の空転を繰返して続けた場合には、空転に伴う過度な回転等によって差動機構16,17(デファレンシャルギヤ)に過負荷が作用してしまう。
そこで、本実施の形態では、このような問題を解決するために、下記のようなコントローラ31による制御処理を実行し、差動機構16,17等の摩耗、損傷を防ぐようにしている。
即ち、図4に示すプログラムに従って処理動作がスタートすると、ステップ1では、ロックスイッチ24からの信号AL、走行ペダルセンサ25からの信号SPを読込むと共に、左,右の回転センサ28,29からの信号(左,右の回転数NL ,NR )を読込む。
そして、次なるステップ2では、前記信号ALが閉成(ON)信号であるか否かを判定し、「NO」と判定する間は、ロックスイッチ24が開成(OFF)操作されているので、ステップ3に移って警報の出力停止状態、即ち警報装置30を停止状態に保持すると共に、ステップ4でリターンする。
一方、ステップ2で「YES」と判定したときには(AL=ON)、ロックスイッチ24が閉成(ON)操作されているので、次なるステップ5に移って走行ペダルセンサ25からの信号SPが走行判定値Ks を越えているか否かを判定する。そして、ステップ5で「NO」と判定する間は、車両が走行状態でないと判断できるので、ステップ3に移って警報の出力停止状態を保持すると共に、ステップ4でリターンする。
次に、ステップ5で「YES」と判定したときには(SP>Ks )、車両が走行状態であると判断できるので、次なるステップ6に移って、例えば左,右の後車輪5間の回転数差ΔNを下記の数1式により演算する。
Figure 2009096376
そして、次なるステップ7では、回転数差ΔNの絶対値が回転数の既定値αよりも大きいか否かを判定する。ここで、ステップ7で「NO」と判定する間は、回転数差ΔNが小さく、左,右の後車輪5のいずれにも空転は発生していないと判断できるので、この場合もステップ3に移って警報の出力停止状態を保持する。
一方、ステップ7で「YES」と判定したときには、左,右の回転数差ΔNが大きく、車輪5の空転が発生していると判断できるので、この場合にはステップ8に移って警報の出力制御を行う。そして、ステップ8では警報装置30を作動させることにより、車両の走行時にも拘わらず各ラムシリンダ18がロック状態にあり、これを早期に解除すべきことをオペレータに報知する。
また、この場合には、左,右の後車輪5のうち、いずれの車輪で空転が発生しているのかを、警報装置30によりオペレータに対して報知することもできる。特に、車両の前車輪4と後車輪5を含めて4輪に対して夫々回転センサ28,29等を設ける構成とすることにより、いずれの車輪4,5で空転が発生しているかを特定して、オペレータに対し報知することができる。
即ち、図5に示す車両の走行状態では、右側の前車輪4が路面から浮上がって空転すると共に、左側の後車輪5が路面から浮上がって空転している。また、図6に示す他の走行状態では、右側の前車輪4が路面から浮上がって空転すると共に、右側の後車輪5が路面から浮上がって空転している。そして、このような空転状態を前記ステップ7の処理で判別することにより、各ラムシリンダ18のロックを早期に解除することができる。
かくして、本実施の形態によれば、ロックスイッチ24からの信号ALでラムシリンダ18のロック状態を判別し、走行ペダルセンサ25からの信号SPで車両の走行状態を検出し、回転センサ28,29からの信号で後車輪5(または前車輪4)間の回転数差ΔNが既定値αよりも大きいと判定したときには、キャブ8内に設けた警報装置30を即座に作動させ、オペレータに警報を発する構成としている。
このため、例えばオペレータが車両走行時にラムシリンダ18のロック解除を忘れていても、警報装置30による警報によってロック状態の解除を即座に促すことができ、車両走行時にはロックスイッチ24を開成位置(ロック解除位置)へと早期に切換えることができる。
そして、ラムシリンダ18のロック解除を行うことにより、路面の凹凸に追従して各ラムシリンダ18のロッド18Aを迅速に伸縮させることができる。これにより、悪路走行時等にも各車輪4,5を路面に接地させることができ、空転の発生を抑えることができる。
従って、本実施の形態によれば、ラムシリンダ18をロックしたままの状態で車両を走行駆動した場合でも、前述の如く車輪が空転したか否かを判別することにより、ラムシリンダ18のロックを早期に解除すべきことを警報装置30により報知することができる。
これにより、前車輪4側の差動機構16と後車輪5側の差動機構17等とに、空転に伴う車輪の過回転に起因した過負荷が作用するのを抑えることができ、デファレンシャルギヤ等からなる差動機構16,17の耐久性、寿命を延ばすことができる。
また、車両の前車輪4と後車輪5とを含め4輪に対して回転センサ28,29等をそれぞれ設ける構成とすれば、いずれの車輪4,5で空転が発生しているかを特定して、オペレータに対し報知することができる。そして、左,右の前車輪4と左,右の後車輪5のうち空転する車輪が、例えば図5に例示したように前,後で互い違いになる位置関係にあるか、また、図6に例示したように前,後で揃う位置関係にあるか等を判別することができる。
なお、前記実施の形態では、ホイール式油圧ショベル1の下部走行体2を4輪駆動車(例えば、リジッド4駆)として構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば後車輪5側のみを油圧モータ等の回転源で差動機構を介して回転駆動する構成とした2輪駆動式の車両に適用してもよいものである。
また、前記実施の形態では、シャーシ3とリヤアクスルハウジング12、フロントアクスルハウジング15との間にそれぞれ油圧シリンダ(例えば、ラムシリンダ18)を設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばフロントアクスルハウジングとシャーシとの間に油圧シリンダ(ラムシリンダ)を設け、リヤアクスルハウジング(後輪)側はシャーシに固定する構成としてもよいものである。
また、前記実施の形態では、HST仕様の油圧閉回路を用いた油圧モータ27により前,後の差動機構16,17を介して前車輪4,後車輪5を走行駆動する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば原動機(エンジン)の回転を走行用減速機等の変速機構を介して前,後の差動機構16,17側に伝える構成としてもよい。
また、前記実施の形態では、ホイール式建設機械としてホイール式油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式油圧クレーン、ホイールローダ、ブルドーザ等のように、前,後の車輪を用いて路上走行を行う構成とした種々の型式のホイール式建設機械にも適用できるものである。
本発明の実施の形態によるホイール式油圧ショベルを示す正面図である。 リヤアクスルハウジングとシャーシとの間で伸縮動作するラムシリンダをロック位置と解除位置とに切換えるための油圧回路等を示す制御ブロック図である。 図2中のコントローラによる内部構成等を示すブロック図である。 図2中のコントローラによる制御処理を示す流れ図である。 左,右の車輪が前,後で互い違いになる関係で空転している状態を示す動作説明図である。 左,右の車輪が前,後で揃った位置関係で空転している状態を示す動作説明図である。
符号の説明
1 ホイール式油圧ショベル(ホイール式建設機械)
2 下部走行体
3 シャーシ(車体)
4 前車輪
5 後車輪
7 旋回フレーム
8 キャブ(運転室)
10 カウンタウエイト
11 作業装置
12 リヤアクスルハウジング
13 支持軸
14 車軸
15 フロントアクスルハウジング
16 第1の差動機構
17 第2の差動機構
18 ラムシリンダ(油圧シリンダ)
18A ロッド
23 電磁弁(シリンダロック手段)
24 アクスルロックスイッチ(シリンダロック手段)
25 走行ペダルセンサ(走行検出手段)
27 油圧モータ(回転源)
28,29 回転センサ(回転検出手段)
30 警報装置(報知手段)
31 コントローラ(報知制御手段)

Claims (5)

  1. 左,右の前車輪と左,右の後車輪とによって自走可能となった車体と、該車体と各車輪側との間に設けられロッドの伸縮時には該車体の揺動を許容する複数の油圧シリンダと、該各油圧シリンダの伸縮を規制するロック位置と伸縮を許すロック解除位置とに選択的に切換えられるシリンダロック手段と、前記車体に設けられた作業装置とからなるホイール式建設機械において、
    前記車体が走行状態にあるか否かを検出する走行検出手段と、
    前記各車輪のうち少なくとも2つの車輪側に設けられ該各車輪間の回転数差を検出する回転検出手段と、
    前記シリンダロック手段、走行検出手段および回転検出手段からの信号に従って前記油圧シリンダのロック状態で車両が走行し前記車輪間の回転数差が既定値よりも大きいと判定したときに、報知手段を作動させる報知制御手段とを備える構成としたことを特徴とするホイール式建設機械。
  2. 前記車体にはオペレータが乗降する運転室を設け、前記報知手段は該運転室内に設け、前記報知制御手段は、車両の走行時に前記油圧シリンダがロック状態にあることを前記報知手段によりオペレータに対して報知する構成としてなる請求項1に記載のホイール式建設機械。
  3. 前記左,右の前車輪には左,右の車軸を連結して設け、該左,右の車軸は回転源により第1の差動機構を介して回転駆動する構成とし、前記左,右の後車輪には左,右の車軸を連結して設け、該左,右の車軸は前記回転源により第2の差動機構を介して回転駆動する構成としてなる請求項1または2に記載のホイール式建設機械。
  4. 前記回転検出手段は、前記左,右の前車輪の位置と前記左,右の後車輪の位置とのうち、少なくともいずれか一方の位置に設ける構成としてなる請求項1,2または3に記載のホイール式建設機械。
  5. 前記回転検出手段は、前記左,右の前車輪の位置と前記左,右の後車輪の位置とにそれぞれ設け、前記報知制御手段は、前記各回転検出手段からの信号により前記各車輪のうちいずれの車輪で空転が発生しているかを判別する構成としてなる請求項1,2または3に記載のホイール式建設機械。
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KR101877717B1 (ko) * 2016-12-30 2018-07-12 농업회사법인 희망농업기계 주식회사 수평조절장치가 구비된 차량
CN114368845A (zh) * 2021-12-09 2022-04-19 徐州市正联机电设备有限公司 一种用于生态修复增氧机防止叶轮打滑的固定装置

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