JP2009094211A - プリント配線板用金属板材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 このプリント配線板用金属板材1は、板状のプリント配線板用樹脂基材2と張り合わされる、最大厚さ100μm以上のプリント配線板用金属板材1であって、前記プリント配線板用樹脂基材2に対して張り合わされる表面に、当該表面の十点平均表面粗さRzが1.0μm以上〜10μm以下となるように溝3を形成し、かつ粒径0.2μm以上〜4.0μm以下の微粒子4を付着してなることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
これは、比較的厚い0.1mm以上の厚さの金属板材の表面を、いわゆるハーフエッチングの要領で全面的に蝕刻することで、その金属板材を構成している金属の粒界に沿って平均粒径1μm〜30μm程度の多数の凸部からなる第一粗化面を形成し、さらにその粒界に沿って電界が集中することを利用して、電析により平均粒径0.1μm〜10μmの微粒子をその粒界に沿って集中的に付着させることで第二粗化面を形成する、というものである。
すなわち、上記の特開2004−200557号公報にて提案された技術では、金属板材を構成している金属材料の粒界に沿って電析により微粒子を適度に集中させて付着させているが、そのようにしてもなお、その粒界付近以外の部分では粒界の部分よりも微粒子が集中していない(微粒子の密度が必ずしも十分でない)ことなどから、必ずしも十分な接合力が得られず、自動車用途等の極めて過酷な使用環境下では、接合の耐久性が不足して金属板材の剥離や部分的剥れなどが発生する場合があった。
図1は、本発明の一実施の形態に係るプリント配線板用金属板材の積層構造を示す図、図2は、その主要な製造工程を示す図、図3は、本発明の一実施の形態に係るプリント配線板用金属板材の作用における比較例として、プリント配線板用金属板の表面に溝が形成されておらず平坦な場合の表面構造(a)および溝が微粒子で埋まった状態の場合の表面構造(b)を模式的に示す図である。
プリント配線板用金属板材1a(配線パターン層とも呼ぶ)は、第1の粗面化処理および第2の粗面化処理を施された後、プリント配線板用樹脂基材2の配線形成側の表面に接合され、さらにフォトエッチング法などによってパターニング加工されて、配線パターン層となっている。
プリント配線板用金属板材1b(ヒートシンク層とも呼ぶ)は、第1の粗面化処理および第2の粗面化処理を施された後、プリント配線板用樹脂基材2の配線形成側とは反対側の(裏面側の)表面に接合されて、ヒートシンク層となっている。
プリント配線板用金属板材1bの金属材料としては、ヒートシンク層として要求される放熱特性を確保するために、プリント配線板用金属板材1aの金属材料と同様に100μm以上の厚さのプリント配線板用銅系板材が好適に用いられる。
る。このプリント配線板用樹脂基材2の表面に、第1の粗面化処理および第2の粗面化処理を施してなるプリント配線板用金属板材1が、ホットプレス法などによって熱圧着されて、両者が強固に接合される。
まず、図2(a)に示したような未処理の状態の銅系板材1cを用意する。この銅系板材1cの表面に、図2(b)に示したように、溝3を形成する。この溝3は、この溝3を形成してなるプリント配線板用金属板材1の表面のRz(十点平均表面粗さ)が1.0μm以上〜10μm以下となるように、深さおよび密度(プリント配線板用金属板材1の表面における単位面積当たりの本数または面積比率)を設定されて、ショットブラスト法、電気粗めっき法、エッチング法、あるいは機械的ラビング法などによって形成される。
また逆に、Rzが10μm超の場合には、溝3が余りにも深くなり過ぎてしまう傾向にある。このため、溝3の深さ方向に完全にはプリント配線板用樹脂基材2の樹脂が入り込むことが困難となり、その溝3の底部付近にいわゆるボイド(樹脂が完全には充填できなかった空隙)が生じる。そうすると、そのボイドに残された空気や水蒸気が、加熱時に膨張して甚だしくは配線板を破損させたり、徐々に表面方向へと滲み出してきて配線パターン層の銅を腐食させたりする虞が高くなる。このため、Rzは10μm以下であることが望ましい。
の接合力は極めて小さなものとなってしまう。
他方、本実施の形態に係るプリント配線板用金属板材1のように溝3を形成した場合には、その溝3によって接合力が飛躍的に増大することは既述の通りであるが、しかしその反面、図3(b)に模式的に示したように、溝3の淵(エッジ)の部分に微粒子4の付着が集中する傾向にある。これは、微粒子4をプリント配線板用金属板材1の表面に付着させる際に、溝3の淵のエッジ部分に、いわゆるエッジ効果によって電界が集中し、その部分に集中的に微粒子4が付着するためである。このように溝3の淵の部分に微粒子4が集中して付着すると、その溝3の淵すなわち入り口の部分が微粒子4に因って塞がれてしまい、プリント配線板用樹脂基材2の樹脂が溝3の深さ方向へと食い込むことが困難になる虞がある。
また、上記と同様の観点から、微粒子4の粒径は、プリント配線板用金属板材1の表面のRzの値に対して、5%以上〜50%以下の大きさに設定することが望ましい。すなわち、微粒子4の粒径がRz(すなわち概ね溝3の深さの平均値)の50%超であると、微粒子4が溝3内を塞いでしまう虞が高くなり、かつ粒径がRzの5%未満であると、その、微粒子4がプリント配線板用金属板材1の表面から脱落する虞が高くなるからである。
また、上記と同様の観点から、溝3の内部における微粒子4の付着面積を、溝3内の面積の3%以上〜60%以下とすることが望ましい。
また、プリント配線板用金属板材1の表面全体における微粒子4の面内分布密度を、プリント配線板用金属板材1の全面積のとすることが望ましい。これは、プリント配線板用金属板材1の表面全体における微粒子4の面内分布密度が60%未満であると、プリント配線板用樹脂基材2との接合面積の増大効果が十分には得られなくなる虞が高くなり、95%超であると上記のように微粒子4が溝3内を塞いでしまう虞が高くなるからである。
ト配線板用樹脂基材2の樹脂を立体的に食い込ませるようにすることができ、これによりプリント配線板用金属板材1とプリント配線板用樹脂基材2との接合についての高い耐久性や信頼性を確実に維持することが可能となる。
図4は、各実施例および各比較例のプリント配線板の引き剥がし強度の計測方法について模式的に示す図であり、図5は、各実施例および各比較例のプリント配線板用金属板材に関する各種設定と、それを用いて作製された各プリント配線板の引き剥がし強度およびPCT後の接合強度保持率とを、纏めて示す図である。ここで、図5および以下の説明では、引き剥がし強度の単位は、[N/mm]で表すものとし、接合強度保持率の単位は、PCT前の接合強度に対するPCT後の接合強度の割合を[%]で表すものとした。
より詳細には、各実施例については、実施例1、2、4がRz=4.5μm、実施例3がRz=6.5μmとなり、比較例1、3、4がRz=4.5μm、比較例5がRz=0.8μm、比較例6がRz=12μmとなるように、それぞれ溝3を形成した。比較例2については、この溝3は形成しない(すなわち第1の粗面化処理は敢えて施さない)ものとした。
させた。
より詳細には、各実施例については、微粒子4の平均粒径は、実施例1、3では1.2μm、実施例2、4では2.3μmとした。また、電気銅めっきの電流密度および処理時間は、実施例1、3では30A/dm2で9秒(図5では電気銅めっきBと表記)とし、実施例2、4では50A/dm2で9秒(図5では電気銅めっきCと表記)とした。これらの電気銅めっきのプロセス条件の設定によれば、各実施例で付着される微粒子4は、プリント配線板用金属板材1の全面積に対して60%以上〜95%以下の面内分布密度となり、かつ溝3の内部における粒子4の付着密度が溝3内の全面積に亘って3%以上〜60%以下となった。
目標値(合格基準値)としては、引き剥がし強度5.0N/mm以上、接合強度保持率
70%以上とした。
すなわち、各実施例のプリント配線板用金属板材1は、そのいずれも、目標である引き剥がし強度5.0N/mm以上および接合強度保持率70%以上の、両方を満たすことが確認された。
他方、比較例の場合には、そのいずれもが、目標の引き剥がし強度5.0N/mm以上および接合強度保持率70%以上のうちのいずれか一方または両方を満たすことができないことが確認された。
微粒子4は付着しているが、溝3が全く形成されていない、比較例2の場合には、引き剥がし強度および接合強度保持率の、どちらも満たさない結果となった。
溝3による表面粗さRzは実施例と同様の仕様に形成したが、微粒子4の粒径が実施例の仕様よりも小さ過ぎる、比較例3の場合には、引き剥がし強度は目標値を達成できたが、接合強度保持率は満たさない結果となった。
溝3による表面粗さRzは実施例と同様の仕様に形成したが、微粒子4の粒径が実施例の仕様よりも大き過ぎる、比較例4の場合には、引き剥がし強度は目標値を達成できたが、接合強度保持率は満たさない結果となった。
微粒子4の粒径および分布密度等は実施例の仕様と同様であるが、溝3による表面粗さRzが実施例の仕様よりも小さ過ぎる、比較例5の場合には、引き剥がし強度は目標値を達成できたが、接合強度保持率は満たさない結果となった。
微粒子4の粒径および分布密度等は実施例の仕様と同様であるが、溝3による表面粗さRzが実施例の仕様よりも大き過ぎる、比較例6の場合には、引き剥がし強度は目標値を達成できたが、接合強度保持率は満たさない結果となった。
また、各比較例のプリント配線板用金属板材では、目標とした引き剥がし強度5.0N/mm以上および接合強度保持率70%以上のうちの一方または両方を満たすことができないことが確認された。
また、さらに、板厚100μmの板材、板厚1000μmの板材、および板厚3000μmの板材を用いて、上記実施例と同様の条件設定でプリント配線板を作製し実験を行った場合でも、上記の目標値を達成できた。
表面粗さRzが小さ過ぎると、プリント配線板用金属板材1に対するプリント配線板用樹脂基材2の樹脂の食い込み(いわゆるアンカー効果)を十分に得ることが困難となり、逆に表面粗さRzが大き過ぎると、引き剥がし強度自体には問題はないが、PCT後の接合強度保持率が顕著に低下する。
微粒子4の粒径が小さ過ぎる、またはその分布密度が小さ過ぎると、十分な接合強度保持率を達成できない。また、特に溝3の淵の部分付近や溝3内における微粒子4の分布密度が大き過ぎる、または微粒子4の粒径が大き過ぎると、図3(b)に模式的に示したように、その微粒子4が溝3を塞いでしまうこととなり、プリント配線板用金属板材1に対するプリント配線板用樹脂基材2の樹脂の食い込みが妨げられて、PCT後の接合強度保持率が顕著に低下する。
第1の粗面化処理および第2の粗面化処理を施してなるプリント配線板用金属板材1に、さらにNi/Coめっきおよびシランカップリング処理を施すことにより、引き剥がし強度および接合強度保持率の両方を、さらに良好なものとすることができる。
なお、上記の実施の形態および実施例では、プリント配線板用金属板材1自体の金属板材として、一般に最もよく用いられる銅板材を用いる場合について説明したが、これのみには限定されないことは勿論である。この他にも、例えばアルミニウム板等を用いることなども可能である。あるいは、例えば樹脂に対する表面濡れ性が銅板と同等の金属板材であれば、その他の材料からなる板材にも適用可能である。
また、実施例2で行ったNi/Coめっきおよびシランカップリング処理の他にも、例えばNiめっきのみ、Znめっきのみ、シランカップリング処理のみ、あるいはクロメート処理のみ、もしくはそれらの2つ以上の組み合わせ等を行うようにすることなども可能である。
2 プリント配線板用樹脂基材
3 溝
4 微粒子
Claims (8)
- 板状のプリント配線板用樹脂基材と張り合わされる、最も厚い部分の厚さ100μm以上のプリント配線板用金属板材であって、
前記プリント配線板用樹脂基材に対して張り合わされる表面に、当該表面の十点平均表面粗さRzが1.0μm以上〜10μm以下となるように溝を形成し、かつ粒径0.2μm以上〜4.0μm以下の微粒子を付着してなる
ことを特徴とするプリント配線板用金属板材。 - 請求項1記載のプリント配線板用金属板材において、
前記微粒子が、Cu、Ni、Zn、Co、Fe、Mo、Wのうちのいずれか1つの金属元素からなる材料または2以上の金属元素を組み合わせた材料からなるものである
ことを特徴とするプリント配線板用金属板材。 - 請求項1または2記載のプリント配線板用金属板材において、
前記微粒子の粒径が、前記Rzの値に対して5%以上〜50%以下である
ことを特徴とするプリント配線板用金属板材。 - 請求項1ないし3のうちいずれか1つの項に記載のプリント配線板用金属板材において、
前記溝における前記微粒子の付着した面積が、当該溝の面積の3%以上〜60%以下である
ことを特徴とするプリント配線板用金属板材。 - 請求項1ないし4のうちいずれか1つの項に記載のプリント配線板用金属板材において、
前記微粒子の、当該プリント配線板用金属板材全面における付着占有面積比率が、当該プリント配線板用金属板材の全面積の60%以上〜95%以下である
ことを特徴とするプリント配線板用金属板材。 - 板状のプリント配線板用樹脂基材に対して張り合わされる、最も厚い部分の厚さ100μm以上のプリント配線板用金属板材の製造方法であって、
前記プリント配線板用金属板材における、前記プリント配線板用樹脂基材に対して張り合わされる表面に、当該表面の十点平均表面粗さRzが1.0μm以上〜10μm以下となるように溝を形成する第1の粗面化工程と、
前記第1の粗面化を施してなる表面に、粒径0.2μm以上〜4.0μm以下の微粒子を付着させる第2の粗面化工程と
を含むことを特徴とするプリント配線板用金属板材の製造方法。 - 請求項6記載のプリント配線板用金属板材の製造方法において、
前記第2の粗面化工程を、エッチング、ショットブラスト、電気粗化めっきのうちのいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせにより行う
ことを特徴とするプリント配線板用金属板材の製造方法。 - 請求項6または7記載のプリント配線板用金属板材の製造方法において、
前記第1の粗面化処理および前記第2の粗面化処理を施した後、さらにNiめっき、Znめっき、クロメート処理、シランカップリング処理のうちのいずれか1つまたは2つ以上を組み合わせた処理を施す
ことを特徴とするプリント配線板用金属板材の製造方法。
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