JP2004200557A - 積層配線用金属板材 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属コアプリント配線用金属板材、あるいは大電流配線基板用金属板材のような厚さが比較的厚い積層配線用金属板材で、金属板表面の全面もしくはその一部に樹脂を接合し積層板を形成する、特に熱伝導が良好な配線基板用金属板材を提供することを目的とする。
【解決手段】板厚0.1mm以上の金属板の表面に、金属板表面の一部を選択的にエッチングして形成された凹部によって仕切られた平均粒径1〜30μmの多数の凸部よりなる第一粗化面と、該第一粗化面の凸部もしくは凹部の全面あるいはその一部に電析により平均粒径0.1〜10μmの微粒子が形成された第二粗化面からなり、第一粗化面と第二粗化面を形成した金属板表面の全面もしくはその一部を樹脂と接合し積層板を形成とすることを特徴とする積層配線用金属板材である。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
基材となる金属板の厚さが0.1mmから10mm程度の比較的厚い積層配線用金属板材であって、金属板表面の片面、両面またはその一部に樹脂を接着、積層することにより積層配線材を構成する、例えば金属コアプリント配線用金属板材、あるいは大電流配線基板用金属板材に関するものであり、特に熱伝導が良好な金属板を選択することにより放熱特性を重要視した配線基板用金属板材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線材用基板に使用する金属箔は一般に10〜70μm厚の電解銅箔である。この電解銅箔を基材としたプリント配線基板の製造方法は先ず、片面を粗化処理した銅箔と樹脂シートとを積層して接着する。次に樹脂と接着した面の反対側の銅箔面を例えばフォトレジストで塗布し、配線パターンが描かれたフィルムを重ねて露光し、現像後、エッチングにより回路部を形成する。この工程とスルーホールやバンプ形成をさらに複数回繰り返して多数積層し完成する。
【0003】
前記電解銅箔はチタンやステンレス製の電解ドラム上に金属銅を電解により析出することにより製造されるが、この際に電解銅箔の析出面側がM面(マット面)となり、その反対面は電解ドラムから連続的に引き剥がされてS面(シャイニー面)となる。樹脂との接着に用いられる面はM面が適当であるが、このままでは積層用樹脂との接着性が低いため、M面にさらに銅の微粒子等を電析し樹脂とのアンカー効果を高めた粗化処理を行っている。
【0004】
一方、金属コア材プリント基板や大電流配線基板に使用する金属板の厚さは0.1〜1mm程度必要とし、金属板としてはアルミ圧延板や銅圧延板が使用されている。例えば銅板を使用する場合には、銅板と樹脂との接着性を高めるため、銅板表面に黒化処理等を行っている。
金属コア材プリント基板や大電流配線基板等の積層配線用金属材には銅箔、銅板を使用することが多いので、今後特にことわりのない限り本明細書では金属材として銅を例にして説明する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電解銅箔を製造する技術を使用して0.1〜1mm程度の厚さ、特に0.2mm以上の厚さの銅板を連続的に製造することは困難である。この厚さの銅板の製造には圧延銅板が適している。その理由は両者の製造法の違いに由来する。電解による製造法においては、使用する電解ドラムに銅を電析する際の析出速度が遅いため面積当たりの製造時間が長くなり、板厚が大きいほど製造コストが高くなる。これに対して圧延銅は素材の銅鋳造材を熱間圧延や冷間圧延を複数回繰り返し圧延することにより製造するため、板厚が大きいほど圧延回数を少なくてすみ、コストを低く抑えられるからである。即ち、厚板の製造はコスト的に圧延銅板の方が圧倒的に有利である。
【0006】
一方、プリント配線用銅板と樹脂シート(例えばFR−4のようなプリプレグ)とをホットプレス接合して積層するためには、銅板表面が粗化処理されていることが必要である。粗化処理せずに接着剤を使用して樹脂シートと接着する方法も当然考えられが、この方法は接着直後においては接着強度も良好であり優れているが、多くの接着剤は接着剤自体の耐熱性が低いために、240℃以上のはんだの融点を越える温度に十分に耐えられず、プリント配線用としては相応しい方法とはいえない。なお、高温に耐えられる接着剤も開発されてはいるが未だに高価であり、積層配線板用としては適さないものである。
銅板表面の粗化処理は、例えばフレキシブルプリント配線材(FPC)等に多く使用されているような薄い圧延銅箔(例えば10〜0.1mmの厚さ)に施す技術は研究開発されているが、この技術を板厚の大きい圧延銅板に適用しようとしても適合せず、厚い銅板と銅箔とでは異なった粗化処理を行う必要性がある。
【0007】
上述のように電解銅箔のM面は箔製造時に大きい粗度表面(例えばRzで10μm程度)を有している。しかし、この表面に直接樹脂を接合しても大きな引き剥がし強さは得られない。これはM面凹凸の凸部分がなで肩であるため、アンカー効果が小さく、十分な粗化効果が得られないためである。そこで、M面の凸部分の先端にさらに銅微粒子を電析により付与し、凸部に更に細かい凹凸を付与することによりアンカー効果を強めている。このようにして粗化した電解銅箔の引き剥がし強さは、電解銅箔や粗化処理により異なるが、例えば、18μm厚の粗化処理した電解銅箔とFR−4との間の引き剥がし強さは1.5kN・m−1程度である。
【0008】
電解銅箔のM面に比較して圧延銅箔(板)の両面の粗度は一般的に一桁低く、Rzで1μm以下である。このように表面粗度が小さい圧延銅箔と樹脂との接着方法は電解銅箔と同じ処理方法では適合しないのが一般的である。即ち、圧延銅箔に上述したように電解銅箔のM面に銅微粒子を付与した方法と同様に、圧延銅箔表面に銅微粒子を電析により付与し、例えばRzで2μmの凹凸がある粗化表面としても、圧延銅箔の粗化前の表面粗度は電解銅箔の粗化前M面のような凸部がなで肩の凹凸はないので、アンカー効果は電解銅箔の場合と比較して小さい。例えばこの方法で粗化処理した圧延銅箔をFR−4と接着した場合の引き剥がし強さは1kN/m程度と小く、この値は樹脂シートとの接着力として最低限を確保する強さであり、昨今では更に大きな接着力が望まれている。
【0009】
そのため本発明者は、このような電解銅箔への粗化処理方法を改良して厚い圧延銅板材に適用することにより、樹脂との接着性の良好な配線用金属材が提供できることを期待し、多くの実験を重ねた。しかし、いずれも期待できる粗化処理方法を見出すことができなかった。具体的には、例えば金属材として0.4mmの銅板の表面に銅微粒子を付与する粗化処理を実施し、FR−4との接着後の引き剥がし強さを測定したところ、目標の引き剥がし強さが3.5kN・m−1であったのに対し、2.0kN・m−1しか得ることができなかった。なお、この具体例における引き剥がし強さの値は上記18μm銅箔の場合よりもかなり大きい。その理由は、測定する銅板材の厚さが銅箔よりも1桁以上大きいためである。しかし、本発明者は厚い圧延銅板材(厚さ0.4mm)の引き剥がし強さの目標値3.5kN・m−1が一つの基準となると考えている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は厚い圧延銅板材(厚さ0.4mm)の引き剥がし強さの目標値3.5kN・m−1を満足する積層配線用金属板材を提供するもので、板厚0.1mm以上の金属板の表面に、平均粒径1〜30μmの多数の凸部よりなる第一粗化面と、該第一粗化面を設けることで形成される凸部もしくは凹部の全面あるいはその一部に平均粒径0.1〜10μmの微粒子を設けた第二粗化面からなり、第一粗化面と第二粗化面を形成した金属板表面の全面もしくはその一部を樹脂と接合し積層板とすることを特徴とするものである。
【0011】
より具体的には、板厚0.1mm以上の金属板の表面に、金属板表面の一部を選択的にエッチングして形成された凹部によって仕切られた平均粒径1〜30μmの多数の凸部よりなる第一粗化面と、該第一粗化面の凸部もしくは凹部の全面あるいはその一部に電析により平均粒径0.1〜10μmの微粒子が形成された第二粗化面からなり、第一粗化面と第二粗化面を形成した金属板表面の全面もしくはその一部を樹脂と接合し積層板を形成とすることを特徴とする積層配線用金属板材である。
【0012】
上記本発明積層配線用金属板材における第二粗化面を形成する微粒子は、金属微粒子、合金微粒子、酸化物微粒子のいずれか、もしくはこれらの複合体であることが望ましい。
【0013】
本発明における銅板材の厚さは0.1mm以上であることを前提にしている。本発明において銅板の厚さを0.1mm以上に規定するのは、金属コアを使用したプリント配線用金属板材、あるいは大電流基板用金属板のような、特に熱伝導が良好である、即ち、放熱特性を重要視しているため、厚さが0.1mm未満ではこの効果がそれ程期待できないためである。
また、0.1mm以上の厚さに規定する他の理由は、0.1mmよりも薄いいわゆる金属箔を使用した場合には後述する第一粗化が実施できない点である。第一粗化は金属板表面の結晶粒を取り巻く粒界を選択的にエッチングすることにより行う。しかし、一般に金属板を圧延によって薄くする場合、金属の種類によっても異なるが、概ね0.1mmの厚さよりも薄くなると結晶粒が圧延によって長くなり、その粒界の存在が不明瞭になっていく。即ち、厚さが0.1mm以上であるからこそ本発明の金属板材の第一粗化が実施可能となるのである。
【0014】
このように0.1mmよりも薄い圧延銅箔は結晶粒が長く、かつ粒界が不明瞭になっているので、本発明のように金属表面の粒界を第一粗化で選択的にエッチングしようとしても、結晶粒の界面が不明確であるがため粒界に沿った明確な凹凸をつけることができない。更にこのような表面状態では後述の第二粗化で行う微粒子付与の樹脂接着に対する効果が十分に発揮できず、結果的に良好な粗化面が得られないことになるのである。
【0015】
本発明の金属板材としては格別種類を選ぶものではなく、アルミニウム板、ステンレススチール板等を使用することができるが、本発明の目的のためには銅または銅合金が適している。これは本発明の使用目的である金属コアプリント配線材や大電流基板においては金属板材の導電率や熱伝導率が高いことが要求されるが、これに最も適しているのは純銅もしくは銅合金であるからである。
純銅はタフピッチ銅、無酸素銅、厚さ0.1mm以上の電解銅等いずれも使用することができる。ただし、電解銅箔は200μm以上になると製造が極めて困難になり高価となるので特別な用途に使用する場合以外は好ましくない。また、銅合金としては、Cu−Ag、Cu−Sn、Cu−Zn、Cu−Zr、Cu−Fe−P、Cu−Cr−Sn−Zn、Cu−Ni−Zn−Ag、Cu−Ni−Si−Mg、Cu−Zn−P等を用いることができる。
【0016】
本発明の第一粗化表面は、平均粒径が1〜30μmの比較的大きな丘陵状凸部を有していることを特徴とする。 平均粒径が1μmよりも小さい場合には粒子が小さすぎて第二粗化による金属微粒子の付与が所望の形態にならず、良好な樹脂との接着性が得られず、また、平均粒径が30μmよりも大きい場合には、第一粗化を行った効果がほとんどなく、好ましくない。平均粒径はさらに好ましくは 3〜20μmの範囲が望ましい。
【0017】
ここに示す平均粒径は次のようにして算出する。はじめに、第一粗化によるエッチング処理を行った金属表面をサンプルとしてSEM(走査型電子顕微鏡)観察し、20個の結晶粒を任意に選び、それぞれの面積を算出する。次に、その面積を有する円の直径をそれぞれ算出し、20の直径の平均値をもって平均粒径とする。
【0018】
第一粗化面の形成は金属板表面のエッチングにより形成することができる。一般に金属表面を酸化性の強い薬品に接触させるか、もしくは電気化学的にアノード酸化することにより得ることができる。酸化性の強い薬品として、例えば三酸化クロム、硝酸、硫酸の混合液を挙げることができる。金属板が銅もしくは銅合金の場合には、銅が貴な金属であるため、硫酸、塩酸等の単組成の酸性水溶液ではエッチング効果が少なく、このような混合組成の酸化水溶液が使用しやすく適している。
【0019】
また、回路形成に使用する塩化第二鉄や塩化第二銅も使用可能であるが、酸化力が強すぎて粒界を選択的にエッチングする効果が弱いため安定した条件設定が難しく、本発明に使用する薬品には必ずしも適しているとはいえない。また、薬品に有機系添加剤を加えることにより効果を助長することも可能である。
電解によるアノード酸化でエッチングする場合には、例えば電解液に硫酸と硫酸銅の混合液を使用し、対極には銅板を使用し、比較的低電流密度で長時間溶解すると粒界部分が選択的にエッチングされやすくなり有効である。なお、電流密度を高くすると銅板表面に酸化銅が生成しやすくなり、粒界の選択的なエッチングを阻害することになり好ましくない。
【0020】
本発明は、第一粗化面上にさらに第二粗化面として平均粒径0.1〜10μmの微粒子を付与したことを特徴としている。微粒子は第一粗化面の凸部、凹部のいずれにも付与されていて良いが、通常凸部の表面に選択的に付与されている。微粒子の平均粒径は0.1〜10μmが好ましい。平均粒径が0.1μmよりも小さい場合にはアンカー効果がほとんど得られず、樹脂との接着性を高くすることができない。また、平均粒径が10μmよりも大きいと、第一粗化による凹凸に対してバランスのとれた金属微粒子を付与することができず好ましくない。平均粒径はさらに好ましくは0.3〜3μmが好ましい。なお、ここでの微粒子の平均粒径の求め方は上述の第一粗化における結晶粒の平均粒径と同様である。
【0021】
第二粗化における微粒子は特に限定されないが、Cu、Ni、Co等の金属微粒子を使用することができる。またCr等の酸化物の微粒子や、これらと金属微粒子との混合微粒子であってもかまわない。これらの微粒子はいずれも電析によって付与することができる。例えばCu微粒子を付与する場合には、電解液に硫酸と硫酸銅の混合溶液を使用し、限界電流密度よりも大きな電流密度で短時間カソード電解すれば所望のCu微粒子を付与することができる。
【0022】
【作用】
本発明の粗化の作用について圧延銅板材(以下単に銅板という)を例にして説明する。
本発明では、銅板表面に第一粗化、第二粗化の2種類の粗化を行うことにより銅板と銅板上に積層する樹脂シートとの接着性を高めることができる。従来技術において詳説したように、樹脂との接着性を高めるためにはアンカー効果を高くすることが重要である。しかしアンカー効果を高くするためには単に表面を粗らすだけでは効果的でなく、粗化により形成される凹凸の適度な高さ(或いは凹凸の差)と凹凸の適度な集中が必要である。
【0023】
凹凸の適度な高さとは次のことを意味する。接着性を向上させるためには、凹凸の高さの差を大きくし、アンカー効果を最大にすれが良い。ところが凹凸の高さの差を大きくし過ぎると逆の効果も生じる。例えば粗化処理した銅板を樹脂と積層した後エッチングして大電流用回路を形成するような場合、粗化処理に用いた微粒子(例えば銅微粒子)の凸部が樹脂にくい込んだ部分が高すぎると、回路形成のエッチング時に積層した樹脂の中に微粒子が残り、回路形成に不利となるためである。しかし逆に凹凸の高さが小さければアンカー効果が失われて接着性を高めることはできない。
【0024】
一方、凹凸の適度な集中とは次のことを意味する。例えば、ある面積の平面上に微粒子(例えば銅微粒子)を多数電析させる場合、粒子がミクロ的にも分散して均一な密度で電析した粗化処理表面と、微粒子がミクロ的に集中し不均一な密度で電析した粗化処理表面では、一般に後者の粗化処理表面の方が樹脂との接着性は高い。この理由は、局所的に微粒子がミクロ的に集中している部分のアンカー効果が、均一密度で電析した部分のアンカー効果よりも格段に高いためである。
【0025】
ところで、本発明は第一粗化面と第二粗化面を用いてこの凹凸の適度な高さと凹凸の適度な集中を達成することにより、樹脂との接着性を高めたものである。
本発明において先ず第一粗化面を形成することにより、銅板表面が凹部によって仕切られた平均結晶粒径1〜30μmの多数の凸部となる。次いで微粒子を第一粗化面上に付与する第二粗化により、さらに凹凸の高さの差を大きくして凹凸の差を適度な高さとする。このように第一粗化面により得た一つの丘陵状凸部とその隣の丘陵状凸部に挟まれた凹部、即ち谷部分に樹脂が入り込み、また、該凹部並びに凸部に設けた微粒子による凹凸の高さを有効に利用して接着性が向上するのである。
しかし、銅板と樹脂との接着性は凹凸の適度な高さだけでは十分に向上させるることはできない。接着性を高める効果は次に示す凹凸の適度な集中による作用により十分な接着性を得ることができるのである。
【0026】
本発明において銅板表面に形成する凹凸の適度な集中は第一粗化と第二粗化とによって形成される。先ず第一粗化により銅板表面は多くの丘陵状凸部に分割される。この結果多くの平面上凸部とが形成される。この凸部は通常エッチングにより銅板表面に凹部を形成する。エッチングにより凹部を形成することで銅板表面に形成される凹凸は電解銅箔のM面のような緩やかな凹凸ではなく、その断面はデューティーサイクルの非常に長い矩形波のような形状であり、なで肩ではなくいかり肩となる。
【0027】
この第一粗化面にさらに第二粗化面を形成する場合、微粒子(例えば銅微粒子)を電析により銅板表面に付与するが、もしも第一粗化処理がなされていなければ銅板表面は平坦なので微粒子は均一に分散して金属表面に付与され、上述の凹凸の適度な集中を達成することはできなく、結局樹脂との接着性の高い表面処理をすることができない。
これに対して、第一粗化面形成を行った後に第二粗化面形成を行った場合には、第二粗化における金属微粒子の電析が特定の位置に集中しやすくなり、これにより凹凸の適度な集中を達成することができるのである。金属微粒子電析における特定の位置とは、第一粗化により形成した一つの丘陵状凸部の周囲である。この部分には金属微粒子が丘陵状凸部の内側よりも比較的高密度に電析する性質があるからである。
【0028】
第一粗化により形成した一つの丘陵状凸部の周囲に金属微粒子が密度高く電析する理由は、エッジ効果によりこの部分の電析電流密度が他よりも高くなるためである。通常のカソード反応として金属等を析出させる場合、全ての面で析出密度を均一にすることは難しい。電極の周囲(即ちエッジ)ほど電流密度が高くなりやすく、この部分の電析密度は平均電析密度よりも高くなるからである。この現象は、第一粗化で形成した丘陵部凸部周囲のようにミクロ電析においても適用できる。
上述したように、本発明は第一粗化、第二粗化処理を行うことにより凹凸の適度な集中が実現でき、凹凸の適度な高さと共に樹脂との接着性を著しく高くできる粗化表面を形成することができる。
【0029】
【実施例】
【実施例1】
材料として、30cm×30cm×0.4mmのタフピッチ銅板を10枚用意し、脱脂後10wt%硫酸に60sec浸漬して表面の酸化皮膜を除去した。
第一粗化のためのエッチング液として、硝酸0.3mol・dm−3、硫酸0.5mol・dm−3、クロム酸0.2mol・dm−3、塩化アンモニウム0.1mol・dm−3、の水溶液を50dm作製した。
第二粗化のための電解液として硫酸0.3mol・dm−3、硫酸銅0.3mol・dm−3、の水溶液を30dm作製した。
【0030】
はじめに図1に示すタフピッチ銅板1の第一粗化を行った。材料のタフピッチ銅板1を温度45℃のエッチング液に10分間浸漬してエッチングし、水洗した。この銅板1の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果、図2に示すように結晶粒界に沿って凹部11が形成されていることが確認できた。
次いで第二粗化を行った。第一粗化を行ったタフピッチ板をカソードとし、アノードとして鉛電極(30cm×30cm×3mm)をカソードの両側に置き、電流密度を10A・dm−2として10sec通電した。電解液は前記第二粗化用水溶液を使用し、液温は25℃とした。最後に水洗後0.1mol・dm−3のクロム酸に20sec浸漬し、水洗後乾燥して実施例1の金属板を10枚完成した。
製作した金属板の1枚を小さく切断しその表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果、図3に示すように第一粗化によって形成された凹部11と第二粗化によって形成された銅微粒子12が確認できた。
【0031】
また、第一粗化によって形成された結晶粒を無作為に20点採取したところ、その平均粒子径は8.3μmであった。一方、第二粗化によって形成された銅微粒子を無作為に採取したところ、その平均粒径は0.4μmであった。この銅微粒子は第一粗化によって形成された結晶粒の全面に付与されていたが、結晶粒周囲、即ち粒界部分における銅微粒子の密度が高いことが観察された。
次にこの積層板に対する引き剥がし強さを測定するため、完成した金属板に市販0.1mm厚のFR−4プリプレグを10枚積層し、電解銅箔とFR−4プリプレグをホットプレスする条件と同様の条件で銅板と樹脂との積層板を完成した。
【0032】
【実施例2】
金属材料としてSnを0.15重量%含む銅合金板を用いた以外は実施例1の製作と全く同様にして実施例2の金属材を製作した。また、実施例1と同様に引き剥がし強さを測定するためにFR−4と積層した評価用サンプルを製作した。
実施例1に使用したタフピッチ銅の軟化温度は200℃程度であり、ホットプレスの際に銅の軟化が生じたが、Snを0.15重量%含む銅合金板の軟化温度は450℃程度であるため、ホットプレスの際にも軟化が生じなかった。このため、本材料を構造体として使用する場合や機械加工を施す際には、金属材の変形がタフピッチ材よりも起こり難く、この点では実施例1よりも優れていることが分かった。ただし、導電率や熱導電率はタフピッチ銅の90%程度であるので、タフピッチ銅と同等の放熱特性を得るためには厚さを10%大きくする必要がある。
【0033】
【実施例3】
第二粗化を行うための電解液の組成を硫酸0.3mol・dm−3、硫酸ニッケル0.3mol・dm−3の混合溶液とした以外は実施例1と全く同様の方法で実施例3の金属材を製作した。第二粗化により析出した金属微粒子は実施例1とほぼ同様の粒子形状であった。蛍光X線による元素分析の結果、Niが30mg・dm−2ほど含まれていることが判明した。また、実施例1と同様に引き剥がし強さを測定するためにFR−4と積層した評価用サンプルを製作した。
【0034】
【比較例1】
第二粗化を行わなかった点を除いては実施例1の金属板製作と同様の方法で比較例1の金属材を製作した。当然ながら、結晶粒の形状と大きさは実施例1の第一粗化に相当する部分と全く同じであった。また、実施例1と同様に引き剥がし強さを測定するためにFR−4と積層した評価用サンプルを製作した。
【0035】
【比較例2】
第一粗化を行わず、直ちに第二粗化条件で微粒子を付与し、実施例1の金属板製作と同様の方法で比較例2の金属材を製作した。第二粗化によって形成された銅微粒子の平均粒子径は第一粗化によって形成した銅微粒子の平均粒子径とほぼ同じであった。しかし、粒子分布の状態は大きく異なり、ほぼ均一に分散していた。局部的に集中した状態は実施例1の場合よりもはるかに少なかった。実施例1と同様に引き剥がし強さを測定するためにFR−4と積層した評価用サンプルを製作した。
実施例1〜3、比較例1,2をそれぞれ引き剥がし試験を行い、その結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 2004200557
【0037】
以上のように本発明の実施例1〜3では目標とする3.5kN・m−1以上の引き剥がし強さが得られたが、比較例1、2では何れも3kN・m−1以下の引き剥がし強さしか得られなかった。このように、実施例により0.1mm以上の板厚の金属板表面に第一粗化面と第二粗化面とを設け、該粗化面の凹凸の適度な高さと適度な集中により樹脂との接着強度が高められたことが実証された。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、板厚0.1mm以上の金属板の表面に、金属板表面の一部を選択的にエッチングして形成された凹部によって仕切られた平均粒径1〜30μmの多数の凸部よりなる第一粗化面と、該第一粗化面の凸部もしくは凹部の全面あるいはその一部に電析により平均粒径0.1〜10μmの微粒子が形成された第二粗化面からなり、第一粗化面と第二粗化面を形成した金属板表面の全面もしくはその一部を樹脂と接合し積層板を形成するため、該第一、第二の粗化面の凹凸が適度な高さと適度に集中することとなり、樹脂との接着強度を高め、強い引き剥がし強度を有する積層配線用金属板材を提供することができる。
【0039】
特に、第二粗化面を形成する微粒子を、金属微粒子、合金微粒子、酸化物微粒子のいずれか、もしくはこれらの複合体とすることで、更に樹脂との接着強度を高め、強い引き剥がし強度を有する積層配線用金属板材とすることができる優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】処理前の金属材を示す斜視図
【図2】第一処理を施した金属材をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果の斜視図
【図3】第二処理を施した金属材をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した結果の斜視図
【符号の説明】
1 金属材
11 凹部
12 微粒子

Claims (3)

  1. 板厚0.1mm以上の金属板の表面に、平均粒径1〜30μmの多数の凸部よりなる第一粗化面と、該第一粗化面を設けることで形成される凸部もしくは凹部の全面あるいはその一部に平均粒径0.1〜10μmの微粒子を設けた第二粗化面からなり、第一粗化面と第二粗化面を形成した金属板表面の全面もしくはその一部を樹脂と接合し積層板とすることを特徴とする積層配線用金属板材。
  2. 板厚0.1mm以上の金属板の表面に、金属板表面の一部を選択的にエッチングして形成された凹部によって仕切られた平均粒径1〜30μmの多数の凸部よりなる第一粗化面と、該第一粗化面の凸部もしくは凹部の全面あるいはその一部に電析により平均粒径0.1〜10μmの微粒子が形成された第二粗化面からなり、第一粗化面と第二粗化面を形成した金属板表面の全面もしくはその一部を樹脂と接合し積層板を形成とすることを特徴とする積層配線用金属板材。
  3. 第二粗化面を形成する微粒子が、金属微粒子、合金微粒子、酸化物微粒子のいずれか、もしくはこれらの複合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層配線用金属板材
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