JPH06237078A - 印刷回路用銅箔の製造方法 - Google Patents

印刷回路用銅箔の製造方法

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JPH06237078A
JPH06237078A JP4334893A JP4334893A JPH06237078A JP H06237078 A JPH06237078 A JP H06237078A JP 4334893 A JP4334893 A JP 4334893A JP 4334893 A JP4334893 A JP 4334893A JP H06237078 A JPH06237078 A JP H06237078A
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copper
copper foil
thiourea
layer
roughening treatment
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JP4334893A
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Takaaki Yamanishi
敬亮 山西
Hideo Oshima
秀夫 大島
Kazuhiko Sakaguchi
和彦 坂口
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Original Assignee
NIKKO GUURUDO FOIL KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 環境問題を呈さずしかも樹脂基板と充分な接
着強度を発現しそして粉落ちを生じない印刷回路用銅箔
の被接着面粗化処理技術を碓立すること。 【構成】 酸性銅電解浴において限界電流密度付近で電
解して銅箔の被接着面に多数の突起状銅電着物からなる
粗化処理層を形成する印刷回路用銅箔の製造方法おい
て、電解浴中に毒性を有しないチオ尿素及び/またはチ
オ尿素誘導体(例:チオセミカルバジド、1−アセチル
−2−チオ尿素、及び1,3−ジエチル−2−チオ尿
素)の1種以上を0.01〜50g/l添加する。銅箔
1の被接着面に粗化処理層3が形成される。好ましくは
該粗化処理層を被覆する銅めっき層4と銅、クロム、ニ
ッケル、鉄、コバルト及び亜鉛から選択される1種乃至
2種以上の金属又は合金からなるトリート層5とトリー
ト層を被覆する防錆層6とを形成する。デンドライトの
発達を抑えた丸みのある銅電着物粗化処理層が形成さ
れ、接着強度は高くまたエッチング後の基板の電気的特
性や粉落ち問題がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷回路用銅箔の製造
方法に関するものであり、特には銅箔と樹脂基板との接
着強度を高めるために電解浴中にチオ尿素及び/または
チオ尿素誘導体を添加した銅電解浴を用いて多数の突起
状(粒状又は節こぶ状、以下単に突起状と記載する)銅
電着物からなる粗化処理層を形成した印刷回路用銅箔の
製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】印刷回路用銅箔は一般に、合成樹脂等の基
材に高温高圧下で積層接着され、その後目的とする回路
を形成するべくレジストを用いて所定の回路パターンを
スクリーン印刷した後、不要部を除去するために塩酸等
のエッチング液を使用してエッチング処理が施される。
最終的に、所要の素子が半田付けされて、エレクトロニ
クスデバイス用の種々の印刷回路板を形成する。印刷配
線板用銅箔に対する品質要求は、樹脂基材と接着される
被接着面(粗化面)と光沢面とで異なる。
【0003】本発明が関与する粗化面に対する要求とし
ては、主として、 基材との引きはがし強さが高温加熱、湿式処理、半田
付け、薬品処理等の後でも充分なこと(剥離強度)、 保存時における酸化変色のないこと(防錆性)、 基材との積層、エッチング後に生じる所謂積層汚点の
ないこと(耐塩酸性) エッチングに際して粉落ちのないこと(粉落ち防止) 等が挙げられる。中でも、充分に高い引きはがし強度を
有することは被接着面の最も重要な基本的事項である。
【0004】銅箔と樹脂基板との接着強度を高めるため
に、銅箔の被接着面には、多数の突起状銅電着物からな
る粗化処理層が形成される。平滑な圧延銅箔生箔の表面
にこうした多数の突起状銅電着物を形成することが接着
強度を高めるために必要とされるからである。電解銅箔
生箔に粗化処理が施される場合には、生箔自体がすでに
凸部を有しており、その凸部の頂上部付近に突起状銅電
着物が多数電着して凸部を更に増強することになる。
【0005】有効な粗化処理として、特公昭54−38
053号、特公昭53−39327号等に砒素、アンチ
モン、ビスマス、セレンまたはテルルを含む酸性銅電解
浴中で限界電流密度前後で電解することが記載されてい
る。実用的には、砒酸が電解浴に添加されることが多
い。これにより生箔の凸部に多数の突起状銅電着物が形
成され、それにより接着強度が高まり、粗化処理方法と
して有効である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、砒素が
関与する場合、電解時に銅電着物中に砒素が数100p
pm取り込まれるため、銅箔の再生その他の処理時にま
たエッチングに際しての砒素が溶出したエッチング液の
処分時に存在する砒素が環境上また健康上重大な問題と
なる。こうした毒性元素を含まない粗化処理法としてベ
ンゾキノリン類を微量添加した浴を使用する方法(特公
昭56−41196号)、モリブデン、バナジウム或い
は両者を添加した浴での処理(特公昭62−56677
号、特公昭62−56678号)、或いはパルスめっき
での粗化処理(特開昭63−17597号、特開昭58
−164797号)等が提唱されているが、剥離強度、
粉落ちその他の面でいまだ必ずしも充分ではない。
【0007】本発明の課題は、印刷回路用銅箔の被接着
面について、環境問題を呈さず、しかも樹脂基板との間
で充分な接着強度を発現しそしてエッチングに際して粉
落ちを生じない粗化処理技術を確立することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、課題解決に
向けての検討の結果、チオ尿素及び/またはチオ尿素誘
導体の1種或いは2種以上を含有する銅電解浴を用いて
銅箔の被接着面に多数の突起状銅電着物からなる粗化処
理層を形成すると、デンドライト(樹枝状の結晶)の発
生を抑制しそして丸みを帯びた突起が良好に電着し、銅
箔と樹脂基板との接着強度を向上しそして粉落ちを回避
するのに有用であることを見出すに至った。この知見に
基づいて、本発明は、酸性銅電解浴において銅箔を陰極
として限界電流密度付近で電解して銅箔の被接着面に多
数の突起状銅電着物からなる粗化処理層を形成する印刷
回路用銅箔の製造方法において、電解浴中にチオ尿素及
び/またはチオ尿素誘導体の1種或いは2種以上を0.
01〜50g/l添加して粗化処理層を形成することを
特徴とする印刷回路用銅箔の製造方法を提供する。本発
明において有用なチオ尿素誘導体の例は、チオセミカル
バジド、1−アセチル−2−チオ尿素及び1,3−ジエ
チル−2−チオ尿素である。本発明は更に、接着強度以
外の特性をも考慮して、形成された粗化処理層上に銅、
クロム、ニッケル、鉄、コバルト及び亜鉛からなる群か
ら選択される1種乃至2種以上の金属または合金からな
るトリート層を電解により形成し、必要に応じ更に防錆
処理することを特徴とする上記の印刷回路用銅箔の製造
方法をも提供する。
【0009】
【作用】本発明の粗化処理において用いるチオ尿素(N
2 CSNH2 )並びにチオセミカルバジド(NH2
SNHNH2 )、1−アセチル−2−チオ尿素(CH3
CONHCSNH2 )、1,3−ジエチル−2−チオ尿
素(C25 NHCSNHC25 )等のチオ尿素誘導
体を含む電解液は、砒素、セレン、アンチモン等を含む
電解液のように毒性を有さず、またこれらが銅箔中に取
り込まれないために、環境汚染、産業廃棄物汚染等の問
題がない。こうして酸性銅電解浴中にチオ尿素及び/或
いはチオ尿素誘導体の1種或いは2種以上を0.01〜
50g/l存在せしめて粗化処理層を形成することによ
り、銅電着時の核発生を抑制してデンドライトの形成を
抑制し、また電着突起状粒子を丸めて、接着強度の向上
に有用となり、またエッチング時の粉落ちを防止する。
粉落ちが生じると、エッチング処理後銅の微粉が残るた
め電気的特性を損なう危険がある。銅電解浴にチオ尿素
やチオ尿素誘導体が存在しないと、限界電流密度付近で
電解すると樹枝状電着となり、接着強度を改善するより
むしろ損なうこととなる。
【0010】
【実施例】本発明は、圧延銅箔及び電解銅箔いずれをも
対象としうるが、特には電解銅箔が対象とされる。電解
銅箔に固有に存在する多数の凸部を個々に更に増強する
のに有用である。従来のように砒素に代表される有毒元
素を含む銅電解浴を使用しての限界電流前後の電解によ
りこうした粗化処理層が効果的に形成されるが、砒素が
数100ppm粗化処理層にとり込まれるために環境及
び健康問題を呈したのである。
【0011】図1は、電解銅箔の被接着面側の処理層の
例を概略的に示す。生箔1の被接着面には電解銅箔であ
るために、その表面全体にわたって凸部2が分布してい
る。この生箔上に粗化処理が行なわれる。本発明に従う
粗化処理により、凸部2の頂上部付近を主体として多数
の突起状銅電着物から構成される粗化処理層3が形成さ
れ、凸部を増強する。圧延銅箔のような平滑な銅箔に粗
化処理が施された場合には電着物自体が突起部を構成す
る。この後、多数の処理態様があるが、例えば突起状銅
電着物の脱落を防止するために薄い銅めっき層4が形成
され、そして後耐熱性その他の特性を付与するためにク
ロム、ニッケル、鉄、コバルト及び亜鉛等の金属乃至合
金、例えば黄銅等のトリートめっき層5が形成され、最
後にクロメート処理等に代表される防錆層6が形成され
る。こうして処理された銅箔被接着面が樹脂基板等に接
着される。以下、各工程について詳述する。
【0012】本発明に従う粗化処理用銅電解浴のめっき
条件は次の通りである: Cuイオン:5〜50g/l H2 SO4 :10〜100g/l チオ尿素、チオ尿素誘導体:0.01〜50g/l 温度:室温〜50℃ Dk :5〜80A/dm2 時間:1〜30秒 銅電解浴中に存在させるチオ尿素、チオ尿素誘導体或い
はその組合せの濃度は、0.01〜50g/lが適当で
あり、好ましくは0.1〜10g/lである。添加量が
0.01g/l未満では接着強度を増すのに充分な効果
はなく、他方50g/lを超えると突起状電着物が大き
くなり過ぎ、回路を形成した際にエッチング残となりや
すい。本発明において有用なチオ尿素誘導体の例は、チ
オセミカルバジド、1−アセチル−2−チオ尿素及び
1,3−ジエチル−2−チオ尿素である。
【0013】上記のような粗化処理後、粗化面に銅、ク
ロム、ニッケル、鉄、コバルト及び亜鉛からなる群から
選択される1種乃至2種以上の金属層または合金層を形
成するトリート処理を行うことが好ましい。例えば、粗
化処理層の突起状銅電着物の脱落を防止するために突起
状銅電着物を覆って薄い銅層が被覆され、その上にクロ
ム、ニッケル、鉄、コバルト或いは亜鉛の金属層、或い
は銅−ニッケル、銅−コバルト、銅−ニッケル−コバル
ト、銅−亜鉛等に代表され得る合金層が形成されうる
(例えば、特公昭56−9028号、特開昭54−13
971号、特開平2−292894号、特開平2−29
2895号、特公昭51−35711号、特公昭54−
6701号参照)。こうしたトリート処理層は銅箔の最
終性状を決定するものとしてまた障壁層としての役割を
果たす。
【0014】例えば、亜鉛被膜を例にとると、亜鉛電気
めっきおよび無電解めっきいずれでも行いうるが、粗化
面片面にのみ被膜を形成するためには亜鉛電解操作によ
る方が便宜である。また、厚さの精確な制御、厚さの一
様性、付着層の緻密化等の観点からも電解操作が好まし
い。亜鉛電解操作は、硫酸亜鉛めっき浴や塩化亜鉛めっ
き浴に代表される酸性亜鉛めっき浴、シアン化亜鉛めっ
き浴のようなアルカリ性亜鉛めっき浴、あるいはピロリ
ン酸亜鉛めっき浴が使用しうるが、もっとも一般的に使
用される硫酸亜鉛浴で充分である。硫酸亜鉛浴を使用し
た場合の好ましい亜鉛電解条件は下記の通りである。 ZnSO4 ・7H2 O:50〜350g/l pH(硫酸):2.5〜4.5 浴温度:40〜60℃ 陰 極:銅箔 陽 極:亜鉛または不溶性陽極 陰極電流密度:0.05〜0.4A/dm2 時 間:10〜30秒 亜鉛被覆量は、15〜1500μg /dm2 とすることが
好ましく、特に好ましくは15〜400μg /dm2 であ
る。亜鉛被覆量は、積層時の樹脂基板の種類によって異
なる。例えばフェノール樹脂基板用は、15〜60μg
/dm2 とし、ガラスエポキシ樹脂基板用は60〜150
0μg /dm2 、特に好ましくは60〜400μg /dm2
とする。
【0015】合金層の一例としてCu−Znトリート処
理の電解液組成及び条件例を挙げておく: NaCN :10〜30g/l NaOH :40〜100g/l CuCN :60〜120g/l Zn(CN)2 :1〜10g/l pH :10〜13 温度 :60〜80℃ Dk :1〜10A/dm2
【0016】更に、好ましくは、このトリート処理層表
面上に防錆層が形成される。公知の防錆処理の任意のも
のが適用可能である。浸漬クロメート処理液及び電解ク
ロメート処理液を含め、現在使用されている様々のクロ
メート処理液いずれも使用しうるが、好ましいクロメー
ト処理条件例を以下に示す: K2 Cr27 (或いはNa2 Cr27 、CrO
3 ):0.2〜20g/l 酸:りん酸あるいは硫酸、有機酸 pH:1.0〜3.5 浴温度:20〜40℃ 電流密度:0.1〜0.5A/dm2 時間:10〜60秒 陽極:鉛板、Pt−Ti板、ステンレス鋼板 クロム酸化物付着量はクロム量として50μg /dm2
下で充分であり、好ましくは15〜30μg /dm2 とさ
れる。クロム量が30μg /dm2 を超えると防錆力は向
上するがエッチング性が低下する。
【0017】有用な防錆方法として、本件出願人は、電
解亜鉛・クロム処理による亜鉛及び/又は酸化亜鉛とク
ロム酸化物との混合皮膜処理を提唱し(特公昭58−7
077号)、多くの成果を挙げてきた。更に、特開平2
−294490号は、長期間高温多湿条件下での黒点発
生を防止することを目的として、浸漬クロメート処理に
よりクロム酸化物皮膜を形成し、続いて電解亜鉛・クロ
ム処理により亜鉛及び/又は酸化亜鉛とクロム酸化物と
の混合皮膜を形成することを開示する。
【0018】最後に、必要に応じ、銅箔と樹脂基板との
接着力の改善を主目的として、防錆層上にシランカップ
リング剤を塗布するシラン処理が施される。塗布方法
は、シランカップリング剤溶液のスプレーによる吹付
け、コーターでの塗布、浸漬、流しかけ等いずれでもよ
い。例えば、特公昭60−15654号は、銅箔の粗面
側にクロメート処理を施した後シランカップリング剤処
理を行なうことによって銅箔と樹脂基板との接着力を改
善することを記載している。詳細はこれを参照された
い。
【0019】こうして粗化面を被膜処理された銅箔は、
光沢面を必要に応じ処理した後、粗化面に接着剤を塗布
して樹脂基板に加熱圧着することにより印刷回路用銅張
り積層板とされ、所定の加工操作を経た後、印刷回路板
として使用に供される。光沢面の処理方法としては、ク
ロメート処理を含む各種化成処理、銅とのキレート化反
応を利用した有機剤処理、銅より卑な金属ないし合金の
被覆処理等その面において要求される特定水準に応じて
適当なものが選ばれる。
【0020】この後、必要に応じて、銅箔の延性を改善
する目的で焼鈍処理を施すこともある。
【0021】本発明によるチオ尿素及び/或いはチオ尿
素誘導体を含有する銅電解浴で粗化処理した銅箔は、そ
の処理は均一であり、ムラもなく優秀な基板特性を示し
た。即ち、銅箔とガラス布基材エポキシ樹脂で積層板を
作製した場合、良好な接着性及び耐熱性を示し、デンド
ライトの発達を抑えた丸みのある銅電着物が形成される
ので、接着強度は高くまたエッチング後の基板の電気的
特性や粉落ちの問題がなく良好な性状を示した。
【0022】以下、実施例及び比較例を示す。
【0023】(実施例1)硫酸銅(5水塩)100g/
l、硫酸100g/l及びチオ尿素1g/lを含む水溶
液を30℃で電解浴として使用し、厚さ35μの電解銅
箔の粗化面上に電流密度30A/dm2 で7秒間めっき
した。本実施例において得られた銅箔の粗化面の突起状
銅電着物の電着状況を示す電子顕微鏡写真を図2として
示す。またガラス布基材エポキシ樹脂で加熱、加圧して
銅張積層板を作り、引きはがし強さ及び粉落ち特性を測
定して、表1の結果を得た。
【0024】(実施例2)硫酸銅(5水塩)100g/
l、硫酸100g/l及びチオセミカルバジド1g/l
を含む水溶液を30℃で電解浴として使用し、厚さ35
μの電解銅箔の粗化面上に電流密度40A/dm2 で5
秒間めっきした。本実施例において得られた銅箔の粗化
面の突起状銅電着物の電着状況を示す電子顕微鏡写真を
図3として示す。またガラス布基材エポキシ樹脂で加
熱、加圧して銅張積層板を作り、引きはがし強さ及び粉
落ち特性を測定して、表1の結果を得た。
【0025】(実施例3)硫酸銅(5水塩)100g/
l、硫酸100g/l及び1−アセチル−2−チオ尿素
0.1g/lを含む水溶液を30℃で電解浴として使用
し、厚さ35μの電解銅箔の粗化面上に電流密度20A
/dm2 で10秒間めっきした。本実施例において得ら
れた銅箔の粗化面の突起状銅電着物の電着状況を示す電
子顕微鏡写真を図4として示す。またガラス布基材エポ
キシ樹脂で加熱、加圧して銅張積層板を作り、引きはが
し強さ及び粉落ち特性を測定して、表1の結果を得た。
【0026】(実施例4)硫酸銅(5水塩)100g/
l、硫酸100g/l及び1,3−ジエチル−2−チオ
尿素0.1g/lを含む水溶液を30℃で電解浴として
使用し、厚さ35μの電解銅箔の粗化面上に電流密度2
0A/dm2 で10秒間めっきした。本実施例において
得られた銅箔の粗化面の突起状銅電着物の電着状況を示
す電子顕微鏡写真を図5として示す。またガラス布基材
エポキシ樹脂で加熱、加圧して銅張積層板を作り、引き
はがし強さ及び粉落ち特性を測定して表1の結果を得
た。
【0027】(比較例1)添加物を含まない例として、
硫酸銅(5水塩)100g/l及び硫酸100g/lの
水溶液を30℃で電解浴として使用し、厚さ35μの電
解銅箔の粗化面上に電流密度20A/dm2 で10秒間
めっきした。得られた銅箔の粗化面の突起状銅電着物の
電着状況を示す電子顕微鏡写真を図6として示す。また
ガラス布基材エポキシ樹脂で加熱、加圧して銅張積層板
を作り、引きはがし強さ及び粉落ち特性を測定して、表
1の結果を得た。図6には、樹枝状電着物が観察され
る。
【0028】(比較例2)従来からの砒素を含む電解浴
例として、硫酸銅(5水塩)100g/l、硫酸100
g/l及び砒酸2g/lを含む水溶液を30℃で電解浴
として使用し、厚さ35μの電解銅箔の粗化面上に電流
密度30A/dm2 で7秒間めっきした。このようにし
て得られた銅箔を分析したところ、箔全体に対する砒素
の含有量約100ppmであった。得られた銅箔の粗化
面の突起状銅電着物の電着状況をを示す電子顕微鏡写真
を図7として示す。またガラス布基材エポキシ樹脂で加
熱、加圧して銅張積層板を作り、引きはがし強さ及び粉
落ち特性を測定して、表1の結果を得た。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明によるチオ尿素及び/或いはチオ
尿素誘導体を含有する銅電解浴で粗化処理した銅箔は、
その処理は均一であり、ムラもなく優秀な基板特性を示
す。銅箔とガラス布基材エポキシ樹脂で積層板を作製し
た場合、良好な接着性及び耐熱性を示し、デンドライト
の発達を抑えた丸みのある電着物が形成されるので、接
着強度は高くまたエッチング後の基板の電気的特性や粉
落ちの問題がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解銅箔の被接着面側の処理層の例を概略的に
示す断面図である。
【図2】実施例1において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図3】実施例2において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図4】実施例3において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図5】実施例4において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図6】比較例1において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図7】比較例2において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【符号の説明】
1 生箔 2 凸部 3 粗化処理層 4 銅めっき層 5 トリート処理めっき層 6 防錆層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 印刷回路用銅箔の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷回路用銅箔の製造
方法に関するものであり、特には銅箔と樹脂基板との接
着強度を高めるために電解浴中にチオ尿素及び/または
チオ尿素誘導体を添加した銅電解浴を用いて多数の突起
状(粒状又は節こぶ状、以下単に突起状と記載する)銅
電着物からなる粗化処理層を形成した印刷回路用銅箔の
製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】印刷回路用銅箔は一般に、合成樹脂等の基
材に高温高圧下で積層接着され、その後目的とする回路
を形成するべくレジストを用いて所定の回路パターンを
スクリーン印刷した後、不要部を除去するために塩酸等
のエッチング液を使用してエッチング処理が施される。
最終的に、所要の素子が半田付けされて、エレクトロニ
クスデバイス用の種々の印刷回路板を形成する。印刷配
線板用銅箔に対する品質要求は、樹脂基材と接着される
被接着面(粗化面)と光沢面とで異なる。
【0003】本発明が関与する粗化面に対する要求とし
ては、主として、 基材との引きはがし強さが高温加熱、湿式処理、半田
付け、薬品処理等の後でも充分なこと(剥離強度)、 保存時における酸化変色のないこと(防錆性)、 基材との積層、エッチング後に生じる所謂積層汚点の
ないこと(耐塩酸性) エッチングに際して粉落ちのないこと(粉落ち防止) 等が挙げられる。中でも、充分に高い引きはがし強度を
有することは被接着面の最も重要な基本的事項である。
【0004】銅箔と樹脂基板との接着強度を高めるため
に、銅箔の被接着面には、多数の突起状銅電着物からな
る粗化処理層が形成される。平滑な圧延銅箔生箔の表面
にこうした多数の突起状銅電着物を形成することが接着
強度を高めるために必要とされるからである。電解銅箔
生箔に粗化処理が施される場合には、生箔自体がすでに
凸部を有しており、その凸部の頂上部付近に突起状銅電
着物が多数電着して凸部を更に増強することになる。
【0005】有効な粗化処理として、特公昭54−38
053号、特公昭53−39327号等に砒素、アンチ
モン、ビスマス、セレンまたはテルルを含む酸性銅電解
浴中で限界電流密度前後で電解することが記載されてい
る。実用的には、砒酸が電解浴に添加されることが多
い。これにより生箔の凸部に多数の突起状銅電着物が形
成され、それにより接着強度が高まり、粗化処理方法と
して有効である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、砒素が
関与する場合、電解時に銅電着物中に砒素が数100p
pm取り込まれるため、銅箔の再生その他の処理時にま
たエッチングに際しての砒素が溶出したエッチング液の
処分時に存在する砒素が環境上また健康上重大な問題と
なる。こうした毒性元素を含まない粗化処理法としてベ
ンゾキノリン類を微量添加した浴を使用する方法(特公
昭56−41196号)、モリブデン、バナジウム或い
は両者を添加した浴での処理(特公昭62−56677
号、特公昭62−56678号)、或いはパルスめっき
での粗化処理(特開昭63−17597号、特開昭58
−164797号)等が提唱されているが、剥離強度、
粉落ちその他の面でいまだ必ずしも充分ではない。
【0007】本発明の課題は、印刷回路用銅箔の被接着
面について、環境問題を呈さず、しかも樹脂基板との間
で充分な接着強度を発現しそしてエッチングに際して粉
落ちを生じない粗化処理技術を確立することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、課題解決に
向けての検討の結果、チオ尿素及び/またはチオ尿素誘
導体の1種或いは2種以上を含有する銅電解浴を用いて
銅箔の被接着面に多数の突起状銅電着物からなる粗化処
理層を形成すると、デンドライト(樹枝状の結晶)の発
生を抑制しそして丸みを帯びた突起が良好に電着し、銅
箔と樹脂基板との接着強度を向上しそして粉落ちを回避
するのに有用であることを見出すに至った。この知見に
基づいて、本発明は、酸性銅電解浴において銅箔を陰極
として限界電流密度付近で電解して銅箔の被接着面に多
数の突起状銅電着物からなる粗化処理層を形成する印刷
回路用銅箔の製造方法において、電解浴中にチオ尿素及
び/またはチオ尿素誘導体の1種或いは2種以上を0.
01〜50g/l添加して粗化処理層を形成することを
特徴とする印刷回路用銅箔の製造方法を提供する。本発
明において有用なチオ尿素誘導体の例は、チオセミカル
バジド、1−アセチル−2−チオ尿素及び1,3−ジエ
チル−2−チオ尿素である。本発明は更に、接着強度以
外の特性をも考慮して、形成された粗化処理層上に、銅
めっき層を形成した後、銅、クロム、ニッケル、鉄、コ
バルト及び亜鉛からなる群から選択される1種乃至2種
以上の金属または合金からなるトリート層を電解により
形成し、必要に応じ更に防錆処理することを特徴とする
上記の印刷回路用銅箔の製造方法をも提供する。
【0009】
【作用】本発明の粗化処理において用いるチオ尿素(N
CSNH)並びにチオセミカルバジド(NH
SNHNH)、1−アセチル−2−チオ尿素(CH
CONHCSNH)、1,3−ジエチル−2−チオ尿
素(CNHCSNHC)等のチオ尿素誘導
体を含む電解液は、砒素、セレン、アンチモン等を含む
電解液のように毒性を有さず、またこれらが銅箔中に取
り込まれないために、環境汚染、産業廃棄物汚染等の問
題がない。こうして酸性銅電解浴中にチオ尿素及び/或
いはチオ尿素誘導体の1種或いは2種以上を0.01〜
50g/l存在せしめて粗化処理層を形成することによ
り、銅電着時の核発生を抑制してデンドライトの形成を
抑制し、また電着突起状粒子を丸めて、接着強度の向上
に有用となり、またエッチング時の粉落ちを防止する。
粉落ちが生じると、エッチング処理後銅の微粉が残るた
め電気的特性を損なう危険がある。銅電解浴にチオ尿素
やチオ尿素誘導体が存在しないと、限界電流密度付近で
電解すると樹枝状電着となり、接着強度を改善するより
むしろ損なうこととなる。
【0010】
【実施例】本発明は、圧延銅箔及び電解銅箔いずれをも
対象としうるが、特には電解銅箔が対象とされる。電解
銅箔に固有に存在する多数の凸部を個々に更に増強する
のに有用である。従来のように砒素に代表される有毒元
素を含む銅電解浴を使用しての限界電流前後の電解によ
りこうした粗化処理層が効果的に形成されるが、砒素が
数100ppm粗化処理層にとり込まれるために環境及
び健康問題を呈したのである。
【0011】図1は、電解銅箔の被接着面側の処理層の
例を概略的に示す。生箔1の被接着面には電解銅箔であ
るために、その表面全体にわたって凸部2が分布してい
る。この生箔上に粗化処理が行なわれる。本発明に従う
粗化処理により、凸部2の頂上部付近を主体として多数
の突起状銅電着物から構成される粗化処理層3が形成さ
れ、凸部を増強する。圧延銅箔のような平滑な銅箔に粗
化処理が施された場合には電着物自体が突起部を構成す
る。この後、多数の処理態様があるが、例えば突起状銅
電着物の脱落を防止するために薄い銅めっき層4が形成
され、そして後耐熱性その他の特性を付与するために
銅、クロム、ニッケル、鉄、コバルト及び亜鉛等の金属
乃至合金、例えば黄銅等のトリートめっき層5が形成さ
れ、最後にクロメート処理等に代表される防錆層6が形
成される。こうして処理された銅箔被接着面が樹脂基板
等に接着される。以下、各工程について詳述する。
【0012】本発明に従う粗化処理用銅電解浴のめっき
条件は次の通りである: Cuイオン:5〜50g/l HSO:10〜100g/l チオ尿素、チオ尿素誘導体:0.01〜50g/l 温度:室温〜50℃ D:5〜80A/dm 時間:1〜30秒 銅電解浴中に存在させるチオ尿素、チオ尿素誘導体或い
はその組合せの濃度は、0.01〜50g/lが適当で
あり、好ましくは0.1〜10g/lである。添加量が
0.01g/l未満では接着強度を増すのに充分な効果
はなく、他方50g/lを超えると突起状電着物が大き
くなり過ぎ、回路を形成した際にエッチング残となりや
すい。本発明において有用なチオ尿素誘導体の例は、チ
オセミカルバジド、1−アセチル−2−チオ尿素及び
1,3−ジエチル−2−チオ尿素である。
【0013】上記のような粗化処理後、粗化面に、銅め
っき層を形成した後、銅、クロム、ニッケル、鉄、コバ
ルト及び亜鉛からなる群から選択される1種乃至2種以
上の金属層または合金層を形成するトリート処理を行う
ことが好ましい。例えば、特公昭62−56677号に
記載されている方法で粗化処理層の突起状銅電着物の脱
落を防止するために突起状銅電着物を覆って薄い銅めっ
き層が被覆され、その上に銅、クロム、ニッケル、鉄、
コバルト或いは亜鉛の金属層、或いは銅−ニッケル、銅
−コバルト、銅−ニッケル−コバルト、銅−亜鉛等に代
表され得る合金層が形成されうる(例えば、特公昭56
−9028号、特開昭54−13971号、特開平2−
292894号、特開平2−292895号、特公昭5
1−35711号、特公昭54−6701号参照)。こ
うしたトリート処理層は銅箔の最終性状を決定するもの
としてまた障壁層としての役割を果たす。
【0014】例えば、亜鉛被膜を例にとると、亜鉛電気
めっきおよび無電解めっきいずれでも行いうるが、粗化
面片面にのみ被膜を形成するためには亜鉛電解操作によ
る方が便宜である。また、厚さの精確な制御、厚さの一
様性、付着層の緻蜜化等の観点からも電解操作が好まし
い。亜鉛電解操作は、硫酸亜鉛めっき浴や塩化亜鉛めっ
き浴に代表される酸性亜鉛めっき浴、シアン化亜鉛めっ
き浴のようなアルカリ性亜鉛めっき浴、あるいはピロリ
ン酸亜鉛めっき浴が使用しうるが、もっとも一般的に使
用される硫酸亜鉛浴で充分である。硫酸亜鉛浴を使用し
た場合の好ましい亜鉛電解条件は下記の通りである。 ZnSO・7HO:50〜350g/l pH(硫酸):2.5〜4.5 浴温度:40〜60℃ 陰 極:銅箔 陽 極:亜鉛または不溶性陽極 陰極電流密度:0.05〜0.4A/dm 時 間:10〜30秒 亜鉛被覆量は、15〜1500μg/dmとすること
が好ましく、特に好ましくは15〜400μg/dm
である。亜鉛被覆量は、積層時の樹脂基板の種類によっ
て異なる。例えばフェノール樹脂基板用は、15〜60
μg/dmとし、ガラスエポキシ樹脂基板用は60〜
1500μg/dm、特に好ましくは60〜400μ
g/dmとする。
【0015】合金層の一例としてCu−Znトリート処
理の電解液組成及び条件例を挙げておく: NaCN :10〜30g/l NaOH :40〜100g/l CuCN :60〜120g/l Zn(CN):1〜10g/l pH :10〜13 温度 :60〜80℃ D :1〜10A/dm
【0016】更に、好ましくは、このトリート処理層表
面上に防錆層が形成される。公知の防錆処理の任意のも
のが適用可能である。浸漬クロメート処理液及び電解ク
ロメート処理液を含め、現在使用されている様々のクロ
メート処理液いずれも使用しうるが、好ましいクロメー
ト処理条件例を以下に示す: KCr(或いはNaCr、Cr
):0.2〜20g/l 酸:りん酸あるいは硫酸、有機酸 pH:1.0〜3.5 浴温度:20〜40℃ 電流密度:0.1〜0.5A/dm 時間:10〜60秒 陽極:鉛板、Pt−Ti板、ステンレス鋼板 クロム酸化物付着量はクロム量として50μg/dm
以下で充分であり、好ましくは15〜30μg/dm
とされる。クロム量が30μg/dmを超えると防錆
力は向上するがエッチング性が低下する。
【0017】有用な防錆方法として、本件出願人は、電
解亜鉛・クロム処理による亜鉛及び/又は酸化亜鉛とク
ロム酸化物との混合皮膜処理を提唱し(特公昭58−7
077号)、多くの成果を挙げてきた。更に、特開平2
−294490号は、長期間高温多湿条件下での黒点発
生を防止することを目的として、浸漬クロメート処理に
よりクロム酸化物被膜を形成し、続いて電解亜鉛・クロ
ム処理により亜鉛及び/又は酸化亜鉛とクロム酸化物と
の混合皮膜を形成することを開示する。
【0018】最後に、必要に応じ、銅箔と樹脂基板との
接着力の改善を主目的として、防錆層上にシランカップ
リング剤を塗布するシラン処理が施される。塗布方法
は、シランカップリング剤溶液のスプレーによる吹付
け、コーターでの塗布、浸漬、流しかけ等いずれでもよ
い。例えば、特公昭60−15654号は、銅箔の粗面
側にクロメート処理を施した後シランカップリング剤処
理を行なうことによって銅箔と樹脂基板との接着力を改
善することを記載している。詳細はこれを参照された
い。
【0019】こうして粗化面を被膜処理された銅箔は、
光沢面を必要に応じ処理した後、粗化面に接着剤を塗布
して樹脂基板に加熱圧着することにより印刷回路用銅張
り積層板とされ、所定の加工操作を経た後、印刷回路板
として使用に供される。光沢面の処理方法としては、ク
ロメート処理を含む各種化成処理、銅とのキレート化反
応を利用した有機剤処理、銅より卑な金属ないし合金の
被覆処理等その面において要求される特定水準に応じて
適当なものが選ばれる。
【0020】この後、必要に応じて、銅箔の延性を改善
する目的で焼鈍処理を施すこともある。
【0021】本発明によるチオ尿素及び/或いはチオ尿
素誘導体を含有する銅電解浴で粗化処理した銅箔は、そ
の処理は均一であり、ムラもなく優秀な基板特性を示し
た。即ち、銅箔とガラス布基材エポキシ樹脂で積層板を
作製した場合、良好な接着性及び耐熱性を示し、デンド
ライトの発達を抑えた丸みのある銅電着物が形成される
ので、接着強度は高くまたエッチング後の基板の電気的
特性や粉落ちの問題がなく良好な性状を示した。
【0022】以下、実施例及び比較例を示す。
【0023】(実施例1)硫酸銅(5水塩)100g/
l、硫酸100g/l及びチオ尿素1g/lを含む水溶
液を30℃で電解浴として使用し、厚さ35μの電解銅
箔の粗化面上に電流密度30A/dmで7秒間めっき
した。本実施例において得られた銅箔の粗化面の突起状
銅電着物の電着状況を示す電子顕微鏡写真を図2として
示す。またガラス布基材エポキシ樹脂で加熱、加圧して
銅張積層板を作り、引きはがし強さ及び粉落ち特性を測
定して、表1の結果を得た。
【0024】(実施例2)硫酸銅(5水塩)100g/
l、硫酸100g/l及びチオセミカルバジド1g/l
を含む水溶液を30℃で電解浴として使用し、厚さ35
μの電解銅箔の粗化面上に電流密度40A/dmで5
秒間めっきした。本実施例において得られた銅箔の粗化
面の突起状銅電着物の電着状況を示す電子顕微鏡写真を
図3として示す。またガラス布基材エポキシ樹脂で加
熱、加圧して銅張積層板を作り、引きはがし強さ及び粉
落ち特性を測定して、表1の結果を得た。
【0025】(実施例3)硫酸銅(5水塩)100g/
l、硫酸100g/l及び1−アセチル−2−チオ尿素
0.1g/lを含む水溶液を30℃で電解浴として使用
し、厚さ35μの電解銅箔の粗化面上に電流密度20A
/dmで10秒間めっきした。本実施例において得ら
れた銅箔の粗化面の突起状銅電着物の電着状況を示す電
子顕微鏡写真を図4として示す。またガラス布基材エポ
キシ樹脂で加熱、加圧して銅張積層板を作り、引きはが
し強さ及び粉落ち特性を測定して、表1の結果を得た。
【0026】(実施例4)硫酸銅(5水塩)100g/
l、硫酸100g/l及び1,3−ジエチル−2−チオ
尿素0.1g/lを含む水溶液を30℃で電解浴として
使用し、厚さ35μの電解銅箔の粗化面上に電流密度2
0A/dmで10秒間めっきした。本実施例において
得られた銅箔の粗化面の突起状銅電着物の電着状況を示
す電子顕微鏡写真を図5として示す。またガラス布基材
エポキシ樹脂で加熱、加圧して銅張積層板を作り、引き
はがし強さ及び粉落ち特性を測定して表1の結果を得
た。
【0027】(比較例1)添加物を含まない例として、
硫酸銅(5水塩)100g/l及び硫酸100g/lの
水溶液を30℃で電解浴として使用し、厚さ35μの電
解銅箔の粗化面上に電流密度20A/dmで10秒間
めっきした。得られた銅箔の粗化面の突起状銅電着物の
電着状況を示す電子顕微鏡写真を図6として示す。また
ガラス布基材エポキシ樹脂で加熱、加圧して銅張積層板
を作り、引きはがし強さ及び粉落ち特性を測定して、表
1の結果を得た。図6には、樹枝状電着物が観察され
る。
【0028】(比較例2)従来からの砒素を含む電解浴
例として、硫酸銅(5水塩)100g/l、硫酸100
g/l及び砒酸2g/lを含む水溶液を30℃で電解浴
として使用し、厚さ35μの電解銅箔の粗化面上に電流
密度30A/dmで7秒間めっきした。このようにし
て得られた銅箔を分析したところ、箔全体に対する砒素
の含有量約100ppmであった。得られた銅箔の粗化
面の突起状銅電着物の電着状況をを示す電子顕微鏡写真
を図7として示す。またガラス布基材エポキシ樹脂で加
熱、加圧して銅張積層板を作り、引きはがし強さ及び粉
落ち特性を測定して、表1の結果を得た。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明によるチオ尿素及び/或いはチオ
尿素誘導体を含有する銅電解浴で粗化処理した銅箔は、
その処理は均一であり、ムラもなく優秀な基板特性を示
す。銅箔とガラス布基材エポキシ樹脂で積層板を作製し
た場合、良好な接着性及び耐熱性を示し、デンドライト
の発達を抑えた丸みのある電着物が形成されるので、接
着強度は高くまたエッチング後の基板の電気的特性や粉
落ちの問題がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】電解銅箔の被接着面側の処理層の例を概略的に
示す断面図である。
【図2】実施例1において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図3】実施例2において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図4】実施例3において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図5】実施例4において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図6】比較例1において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【図7】比較例2において得られた銅箔の粗化面の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である(倍率:3000
倍)。
【符号の説明】 1 生箔 2 凸部 3 粗化処理層 4 銅めっき層 5 トリート処理めっき層 6 防錆層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性銅電解浴において銅箔を陰極として
    限界電流密度付近で電解して銅箔の被接着面に多数の突
    起状銅電着物からなる粗化処理層を形成する印刷回路用
    銅箔の製造方法において、電解浴中にチオ尿素及び/ま
    たはチオ尿素誘導体の1種或いは2種以上を0.01〜
    50g/l添加して粗化処理層を形成することを特徴と
    する印刷回路用銅箔の製造方法。
  2. 【請求項2】 チオ尿素誘導体が、チオセミカルバジ
    ド、1−アセチル−2−チオ尿素及び1,3−ジエチル
    −2−チオ尿素の群から選択されることを特徴とする請
    求項1の印刷回路用銅箔の製造方法。
  3. 【請求項3】 形成された粗化処理層上に銅、クロム、
    ニッケル、鉄、コバルト及び亜鉛からなる群から選択さ
    れる1種乃至2種以上の金属または合金からなるトリー
    ト層を電解により形成し、必要に応じ更に防錆処理する
    ことを特徴とする請求項1乃至2の印刷回路用銅箔の製
    造方法。
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