JP2684164B2 - 印刷回路用銅箔の表面処理方法 - Google Patents

印刷回路用銅箔の表面処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷回路用銅箔の表面
処理方法に関するものであり、特に、印刷回路用基材樹
脂に接着した場合に熱による接着力劣化が少ない、即
ち、耐熱性の高い印刷回路用銅箔を得ることができる印
刷回路用銅箔の表面処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、印刷回路板に対する製造技
術は年々急速な成長をとげ、高性能化、高信頼性に対す
る要求が増している。その材料の1つである印刷回路用
銅箔に対しても、要求される特性はますます厳しいもの
になってきている。
【0003】より詳しく説明すると、印刷回路板製造の
第一段階は、先ず、銅箔を合成樹脂含浸基材に積層し、
プレスにより加熱圧着して銅張積層板を得ることである
が、合成樹脂含浸基材として一般によく使用されるガラ
スエポキシ基材では、成形条件が加熱温度160 ℃〜170
℃で圧着時間1〜2時間である。しかし、近年、増加し
つつあるガラスポリイミド基材や特殊高耐熱性樹脂で
は、さらに、高温長時間の成形条件となる。また、表面
実装技術の進展に伴い、半田リフローなど基板の加熱時
間が長時間必要になってきたことや、製品となった後、
回路に高密度化が進んでいるため、機器運転中の発熱量
が増大し、そのため耐熱性を要求される場合が多くなっ
てきた。例えばその一例として、UL796規格におい
ても、高温長時間耐熱試験において、177 ℃、10日間加
熱後の銅箔剥離強度が2ポンド/インチ(0.357 kg/cm
)以上であることが記載されている。また、印刷回路
用銅箔は前記のような耐熱性の他、同時に、樹脂に接着
した後の耐塩酸性などの耐薬品性、エッチング後基板面
に対する耐熱変色性 (耐ブラウントランスファー性) 及
びエッチング後ステイン (残留物, しみなど) が無いこ
となど、多くの特性を満足することを要求される。
【0004】以上のような印刷回路用銅箔の要求特性を
満足させるために、従来の表面処理方法として、例え
ば、特公昭51-35711号公報には、銅箔表面に亜鉛、イン
ジウム、黄銅などからなる群より選ばれた層を被覆する
ことが、特公昭53-39376号公報には、銅箔表面に2層か
らなる電着銅層を設け、さらに亜鉛などの層を被覆する
ことが、特開昭62-56583号公報には、銅箔表面に銅・亜
鉛合金鍍金層を介してクロム・亜鉛合金鍍金層を設ける
ことが提案されている。さらに、特開昭59-104499 号公
報には、銅箔上に金属の球状化又は樹枝状層を被着し、
該層を銅の層で被覆し、その上に亜鉛、ニッケルと鉛、
セレン、テルル、錫及び砒素の内少なくとも1つの金属
との合金を含むバリヤー層を設けることが提案されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、亜鉛を
主成分とする合金皮膜では、耐熱性の点では優れている
が、その皮膜は酸類に対して極めて耐薬品性に劣るた
め、樹脂基板との接着後、エッチング、特に、塩化第二
銅エッチングにおいてアンダーカットを生じたり、印刷
回路板製造工程での酸洗やソフトエッチングなどにおい
て、樹脂との接着力が低下し、回路の浮き上がりを生じ
るなどの問題点があった。
【0006】また、黄銅皮膜は狭い組成範囲において耐
熱性、耐薬品性を両立する特性があるが、黄銅の皮膜を
施す場合、シアン浴を用いる以外、工業的に確立されて
いる処理方法はなく、このシアン浴を用いる場合には排
液、洗浄液の処理や作業環境など公害性の上で大きな問
題点があった。また、水溶液による電気めっき法以外で
は、溶融めっき法、蒸着法及びスパッタリング法などが
あるが、工業上、量産性があり低コストであるものは溶
融めっき法しかなく、しかし、この溶融めっき法は粗面
化処理の工程と連続して使用することができず、さら
に、溶融による高温によって、できあがった粗面が破壊
され、銅箔の表面処理として実用に適さないという問題
点があった。
【0007】また、前記黄銅皮膜を通常の電解法により
施す場合、高電流密度で形成すると、適性めっき領域を
はずれ、粉状の析出物が生成し、この粉状の析出物がエ
ッチング後ステインになったり、接着性、耐薬品性が低
下する場合があるなどの問題点があった。
【0008】さらに、前記特開昭59-104499 号公報に記
載された、ニッケル−亜鉛合金浴に鉛を添加することに
より粉末化特性を除いている処理方法では、エッチング
による回路形成時において、処理バリヤー層がエッチン
グの腐食によってアンダーカットが生じやすく、接着力
が低下するという問題点やプリント回路板製造工程中の
塩酸処理などの薬品処理によって、接着力が低下し、回
路が剥がれるなどの問題点やアルカリエッチングなどの
エッチング剤の場合、ニッケル又は鉛を多くすると処理
バリヤー層や粉状化した金属粒子が溶融せず、ステイン
として残留し、短絡の原因となる可能性があるという問
題点があった。
【0009】そこで、本発明者は前記した問題点に鑑
み、高電流密度でも粉状の析出物を生成せず、しかも高
温長時間耐熱試験での接着力を向上させることができ、
さらに、処理方法としてシアン類を全く使用せず、耐熱
性及び耐薬品性に優れた表面処理方法を得るべく種々研
究、検討した結果、銅及び亜鉛の皮膜にニッケルを添加
することにより前記問題点を解決できるという刮目すべ
き知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって解決できる。即ち、本発明に係る
印刷回路用銅箔の表面処理方法は、銅箔の少なくとも一
方の面を銅イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、酒石
酸及びアルカリを含む銅−亜鉛−ニッケル処理浴中にお
いて陰極電気分解して銅、亜鉛及びニッケルより成るバ
リヤー層を形成し、次いで、該バリヤー層にクロメート
処理を行うようにしたものである。また、本発明は上記
印刷回路用銅箔の表面処理方法において、銅−亜鉛−ニ
ッケル処理浴中のアルカリの強度を水酸化ナトリウムと
して、60g/l 以上とし、銅イオン/亜鉛イオン比を 0.8
〜3.0 としたものである。さらに、本発明は上記印刷回
路用銅箔の表面処理方法において、銅−亜鉛−ニッケル
処理浴中のニッケルイオン濃度を 0.4〜30g/l としたも
のである。
【0011】本発明の構成を詳しく説明すれば次の通り
である。通常、印刷回路用銅箔は各種の粗面化処理や防
錆処理が行われるが、本発明に係る印刷回路用銅箔の表
面処理方法では、バリヤー層は通常の粗面化処理の後に
施され、さらに、その後に防錆処理等が施されて用いら
れる。
【0012】バリヤー層は銅、亜鉛及びニッケルにより
構成され、この一つが欠けたとしても、耐薬品性又は耐
熱性、エッチング性が劣るものとなる。また、このバリ
ヤー層の組成は銅50〜85Wt%、亜鉛15〜50Wt%、ニッケ
ル 0.2〜5 Wt%が好ましく、銅が50Wt%以下又は亜鉛が
50Wt%以上では耐薬品性が劣り、銅が85Wt%以上、亜鉛
が15Wt%以下では耐熱性が劣るものとなる。またニッケ
ルが 0.2Wt%以下では高電流密度電解での粉状化防止の
効果が低く、 5Wt%以上では耐熱性の向上効果は期待で
きない。ニッケルの添加量は 0.5〜1.5 Wt%の範囲が最
も耐熱性が向上する。また、バリヤー層の厚さは 0.05
〜0.5 μm が好ましく、0.05μm 以下では耐熱性が劣
り、0.5 μm 以上は不経済である。
【0013】銅−亜鉛−ニッケル処理浴は、銅イオン、
亜鉛イオン、ニッケルイオン、酒石酸及びアルカリを基
本浴組成とする。銅イオン供給源は硫酸銅、酒石酸銅な
どを使用する。銅イオン濃度は 2〜12g/l の範囲が好ま
しい。亜鉛イオン供給源は硫酸亜鉛、酒石酸亜鉛、酸化
亜鉛などを使用する。亜鉛イオン濃度は、 1〜6 g/l の
範囲が好ましい。銅、亜鉛イオン濃度ともこの範囲外で
は良好な電着物を得るために長時間の陰極電気分解を必
要とする等の不都合がある。
【0014】銅イオン/亜鉛イオン比は、前記、銅、亜
鉛イオン濃度の範囲では 0.8〜3 が好ましい。この比が
低い場合は、亜鉛の析出比率が大きく、耐熱特性に優れ
るが、耐塩酸性に劣る。高い場合は逆に銅析出比率が大
きくなりすぎ、耐塩酸性は良くなるが、耐熱性が低下す
る。従って、両者を満足する上記範囲内にしなければな
らない。
【0015】酒石酸はロッセル塩、酒石酸カリウム、酒
石酸ナトリウムなどを供給源とする。この濃度は前記
銅、亜鉛イオン濃度の範囲では、その金属の錯イオン化
のために、酒石酸/銅のモル比が 0.5以上必要である。
【0016】アルカリは水酸化ナトリウム又は水酸化カ
リウムを供給源とし、アルカリの強度は、前記銅、亜鉛
イオン濃度の範囲では水酸化ナトリウムとして、60g/l
以上が好ましい。ここで、アルカリの強度は中和滴定で
のアルカリ量を示しており、水酸化ナトリウムの総添加
量とは異なる。60g/l 以下の場合、銅イオン/亜鉛イオ
ン比が適正範囲においても耐塩酸性が低下する。これは
アルカリが少ない場合、酸化物、水酸化物などの非合金
化析出物が多いため、その皮膜の耐酸性が低くなるもの
と思われる。さらに、アルカリが少ない場合、即ち、水
酸化ナトリウムとして30g/l 以下の場合、水酸化亜鉛の
沈澱を生じ、処理皮膜にとりこまれるなど悪影響を及ぼ
し、フィルターの目づまりなど作業性も大きく低下す
る。
【0017】陰極電気分解する時の浴温は35℃以下が好
ましい。35℃以上ではその析出物皮膜の耐塩酸性が低く
なることがある。また電流密度は 2〜20A/dm2 、特に好
ましくは 5〜15A/dm2 が良い。5 A/dm2 以下の低電流密
度ではその皮膜の耐塩酸性が低くなることがあり、一
方、20A/dm2 以上の高電流密度は不経済である。また、
ニッケルイオンを入れない場合は10A/dm2 以上で析出物
が粉状化し、時によりエッチングステイン (残留物) と
なり、絶縁性低下の原因となる。この傾向は塩化第二銅
エッチングよりもアルカリエッチングで顕著に現れるが
ニッケルイオンを添加するとこの析出物の粉状化が防止
できる効果がある。
【0018】低電流密度で耐塩酸性の良い皮膜を得るた
めには、銅、亜鉛イオンとともに、例えば、銅イオン濃
度 5g/l 以下、亜鉛イオン濃度 4g/l 以下と低濃度側に
すると良い。
【0019】電解時間は 5〜30秒が適当である。短時間
では得られる皮膜厚が薄く、耐熱性に劣る。長時間では
不経済であり、銅箔自体の銅純度が低下する場合があり
好ましくない。
【0020】ニッケルイオンの添加は処理外観を均一化
し、高電流密度域での析出物の粉状化を抑制する作用を
持つためエッチングステインを防止することができる。
電子顕微鏡観察においてもニッケルイオンを添加した場
合、高電流密度析出物の粉末異常析出化が抑制されるこ
とを確認した。また、ニッケルを添加した方が耐熱特性
は上昇する。ニッケルイオンの供給源は硫酸ニッケルな
どを使用し、濃度はニッケルイオンとして 0.4〜30g/l
が良く、さらに好ましくは 2〜12g/l が適当量である。
ニッケルを多く添加しても、ニッケルの電解析出比率が
低いので、析出物中のニッケル含有量は約 5Wt%未満で
ある。
【0021】銅−亜鉛−ニッケル処理浴の作成方法は、
まず酒石酸塩を溶解させ、その後、金属イオン供給源の
塩を投入し、半濁状態で攪拌しつつ、アルカリを投入し
溶解する方法が好ましい。消費される金属イオンの供給
については、例えば、硫酸塩系は、銅、亜鉛はそのまま
水に溶解し濃厚液として浴中に添加し、ニッケルは酒石
酸塩と共に溶解して添加する。
【0022】陽極は作業性の点で白金など不溶性陽極を
使用するのが好ましい。
【0023】以上に記した浴組成、処理条件により、銅
−亜鉛−ニッケルの処理層ができる。この処理層は、既
に粗面化された銅箔に形成することが、樹脂との接着力
を増すためにも好ましい。銅箔に粗面を形成する方法
は、例えば、特公昭45-34245号に記されている、酸性銅
電解浴中で陰極電解処理する方法などが使用できる。ま
た、本発明に係る表面処理方法は銅箔に銅−亜鉛−ニッ
ケル処理層を形成の後、クロメート処理を施すことが必
須であり、このクロメート処理を施すことにより耐塩酸
性は向上し、接着力も増加する。クロメート処理として
は、例えば、三酸化クロム、重クロム酸ナトリウム、重
クロム酸カリウムなどを含む浴中に浸漬するか、陰極電
解をする。陰極電解をした方が耐ブラウントランスファ
ー性は良くなる。浴温は室温でよく、pHは酸性でもア
ルカリ性でもよい。
【0024】
【作用】本発明においては、銅箔を銅イオン、亜鉛イオ
ン、ニッケルイオン、酒石酸及びアルカリを含む銅−亜
鉛−ニッケル処理浴中にて、陰極電気分解して銅、亜鉛
及びニッケルより成るバリヤー層を形成するようにした
ので、銅−亜鉛−ニッケルの処理において、高電流密度
の適用に対しても粉状化が生じず、エッチング時におい
て、ステインの発生する心配がなく、また、基板樹脂と
の加熱圧着時、粉状金属粒子が基材中へ侵入することに
がないので、エッチングで回路を形成した場合の短絡の
原因となる可能性がなくなる。また、製造工程におい
て、粉状化の発生の心配がないので、適用電流を広くと
ることができ制御しやすい。さらに、銅−亜鉛めっきで
唯一実用化されているシアン浴及びシアンを含む浴を使
用していないので、また、処理浴はアンモニアなど異臭
を発生することがないので、製造作業環境が悪化するこ
とがない。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例及びその比較例につい
て説明する。あらかじめ粗面化処理された35μm 厚さの
電解銅箔を表1に示された各浴組成、処理条件において
陰極電解した。なお、浴温はすべて30℃で行い、陽極は
白金を使用した。次いで、水洗し、この銅箔を重クロム
酸ナトリウム10g/l 水溶液中で電流密度 0.3A/dm2 、5
秒間陰極電解し、水洗し、乾燥させた。この銅箔をFR-4
グレードのエポキシ樹脂含浸ガラス基材に積層し、成型
して銅張積層板を得、各種特性試験を行った。その結果
を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】注1 JIS-C-6481-1986 5.7に準拠、ただ
し、線幅を1mmとした。 注2 20%塩酸, 25℃, 60分間浸漬。 注3 塩化第二銅エッチング液組成:CuCl2 80g/l 、Na
Cl 60g/l、HCl(36%)25cc/l。 ○:アンダーカット無し。 △:10〜30μm のアンダーカット有り、実用上問題有
り。 ×:30μm 以上の大きなアンダーカット、実用上不可。 注4 アルカリエッチング:ヤマトヤ商会株式会社製ア
ルカ・エッチ使用。 ○:ステイン無し。 □:ステインわずかに有り。 一般用途では、実用上問題なし。 △:ステイン有り、実用上不可。 ×:ステイン大、実用上不可。 注5 エッチング基板面 170℃、1hr オーブン加熱。 ○:変色無し。 △:変色やや有り、実用上問題有り。
【0028】なお、比較のため、実施例と同じあらかじ
め粗面化処理された35μm 厚さの電解銅箔を、実施例と
同じ重クロム酸ナトリウム10g/l 水溶液中で電流密度
0.3A/dm2 、5秒間陰極電解し、水洗し、乾燥させ、実
施例と同じ基材に積層成型し、その銅箔の各種特性試験
結果を比較例1として表1に示した。
【0029】また、実施例と同じあらかじめ粗面化処理
された35μm 厚さの電解銅箔を酸化亜鉛 6g/l 、水酸化
ナトリウム45g/l の浴中で20℃、電流密度 5A/dm2 、15
秒間陰極電解し、水洗し、次いで実施例と同じ重クロム
酸ナトリウム10g/l の浴中で、電流密度 0.3A/dm2 、5
秒間陰極電解し、水洗し、乾燥させ、実施例と同じ基材
に積層成型し、各種特性試験を行った結果を比較例2と
して表1に同時に示す。
【0030】また、実施例と同じ予め粗面化処理された
35μm 厚さの電解銅箔をニッケルイオンを含まない銅−
亜鉛系処理浴を用いる他は実施例と同じ条件で表1に示
す10種の浴組成、処理条件で陰極電解し、水洗の後、実
施例1と同じ重クロム酸ナトリウム10g/l の浴中で電流
密度 0.3A/dm2 、5秒間陰極電解し、水洗し、乾燥さ
せ、実施例と同じ基材に積層成型し、各種特性試験を行
った結果を比較例3〜12として表1に示す。
【0031】表1の各種特性試験結果から明らかなよう
に、本発明における印刷回路用銅箔は従来のバリヤー層
に比べ耐熱性又は耐薬品性を向上させると同時に、ニッ
ケルを含むことにより、これを含まない銅、亜鉛バリヤ
ー層に比べエッチングステインの問題がなく、また耐熱
性も向上している。
【0032】本発明の実施例2と比較例12の処理面の形
状を電子顕微鏡で観察した結果を図1及び図2に示す
が、この電子顕微鏡写真(×3,800 )から明らかなよう
に、ニッケルイオンを添加した場合の実施例2(図1)
は、ニッケルイオンを添加しない比較例12(図2)に比
べ、析出物の粉状化がみられない。即ち、ニッケルイオ
ンの添加は析出物の粉状化を防止する働きがある。
【0033】さらに、実施例と同じ予め粗面化処理され
た35μm 厚さの電解銅箔を表2に示された銅イオンを含
まない各浴組成、そして処理条件において陰極電解し
た。なお、浴のpHはアンモニアで調製した。浴温は25
℃で行い、陰極はステンレスを使用した。次いで水洗い
の後、実施例1と同じ重クロム酸ナトリウム10g/lの浴
中で電流密度0.3A/dm2、5秒間陰極電解し、水洗し、乾
燥させた。さらに、これを実施例と同じ基材に積層成形
し、各種特性試験を行った。結果を比較例13〜23として
同じ表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】比較例13〜23の特性は耐熱性は良いもの
の、耐塩酸性が悪く、10%以上を大きく越えた劣化率を
示し、且つ塩化第二銅エッチングにおいてはアンダーカ
ットを生じ、実用上大きな問題をもっている。
【0036】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、粉
状化が生じないので、その粉状化による金属粒子が浮遊
して、ガイドするロールと箔との間に混入し、箔の表面
を傷つけ、製品としての価値を無にするというようなこ
とがない。また、エッチングによる回路形成時、処理バ
リヤー層がエッチングの腐食によってアンダーカットを
生じることが無く、塩酸処理などプリント回路板製造工
程中の薬品処理によって接着力が低下し、回路が剥がれ
るなどということがない。また、アルカリエッチングな
どのエンチング剤の場合、処理バリヤー層が溶解せず、
ステインとして残留し、短絡の原因となるようなことが
なく、エッチング基板面の耐熱変色性が高く、所謂耐ブ
ラウントランスファー性に優れている。また、本発明に
係る表面処理方法は処理浴に全くシアンを含まず、公害
対策上優れており、処理方法も容易で極めて実用性が高
い方法である。さらに、本方法により形成された処理層
は高い耐熱性をもっており、高温長時間で接着力の低下
が少なく、満足される表面処理銅箔を得ることができ
る。従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえ
る。なお、本発明により得られた銅箔は樹脂との接着性
が良好で、高温長時間耐熱試験を行った場合の耐熱特性
が優れているだけでなく、同時に耐塩酸性などの耐薬品
性を満足し、また、ブラウントランスファーやエッチン
グステインが生じない、極めて高性能な特性を発揮す
る。すなわち、本発明により得られた銅箔は一般の多層
板ばかりでなく、より耐熱性が要求される高密度回路板
にも適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2における処理表面に発生した
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3,800 )である。
【図2】比較例12における処理表面に発生した粒子構造
を示す電子顕微鏡写真(×3,800 )である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 11/38 306 C25D 11/38 306 307 307

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅箔の少なくとも一方の面を銅イオン、
    亜鉛イオン、ニッケルイオン、酒石酸及びアルカリを含
    む銅−亜鉛−ニッケル処理浴中において陰極電気分解し
    て銅、亜鉛及びニッケルより成るバリヤー層を形成し、
    次いで、該バリヤー層にクロメート処理を行うことを特
    徴とする印刷回路用銅箔の表面処理方法。
  2. 【請求項2】 銅−亜鉛−ニッケル処理浴中のアルカリ
    の強度が水酸化ナトリウムとして、60g/l 以上であり、
    銅イオン/亜鉛イオン比が0.8 〜3.0 である請求項1記
    載の印刷回路用銅箔の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 銅−亜鉛−ニッケル処理浴中のニッケル
    イオン濃度が 0.4〜30g/l である請求項1記載の印刷回
    路用銅箔の表面処理方法。
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JPH07321458A (ja) 1995-12-08

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