JP2009091975A - 気筒休止機構を備えた内燃機関の制御装置 - Google Patents

気筒休止機構を備えた内燃機関の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】稼働気筒数を減らす運転状態に移行する際の排気雰囲気の希薄化を抑制する。
【解決手段】内燃機関の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、該燃料噴射弁から噴射された燃料を含む混合気を燃焼させるための点火装置と、稼働気筒数を変更可能な可変気筒制御機構を備えた内燃機関の制御装置は、可変気筒制御機構によって稼働気筒数を減らす運転状態に移行する減筒移行手段と、該移行によって休止すべき気筒への燃料噴射の停止によって内燃機関の排気の雰囲気が希薄となる状態を、内燃機関の運転状態に基づいて予測する予測手段と、該予測手段によって希薄雰囲気が予測されたならば、該予測を行った燃焼サイクル中の点火装置による点火後に、該休止すべき気筒に対し、燃料噴射弁から追加の燃料を噴射する追加燃料制御手段と、を備える。
【選択図】図3

Description

この発明は、気筒休止機構を備えた内燃機関の制御装置に関する。
複数の気筒を備え、運転状態に応じて該複数の気筒の一部を休止する気筒休止機構を備えた内燃機関が提案されている。このような内燃機関において、稼働気筒数を減らす際に、新たに休止する気筒において燃料噴射を停止した状態で空気が供給されると、排気の雰囲気が希薄化(リーン化)になり、エミッションが低下するおそれがある。
下記の特許文献1には、上記のような排気雰囲気のリーン化を抑制するため、休止気筒の排気弁を停止させた後、所定の時間間隔をおいて吸気弁を停止させる手法が開示されている。
特開2000−170560号公報
上記手法によれば、先に排気弁を停止してから吸気弁を停止することで空気の排出を防止することができるため、排気の空燃比のリーン化を抑制することができる。しかしながら、吸排気弁の停止タイミングは、該吸排気弁の動作を制御する機構の応答特性によっては変動が生じるおそれがあり、よって、燃料噴射の停止タイミングと吸排気弁の停止タイミングのずれにも変動が生じるおそれがある。特に、吸排気弁を油圧によって作動させる場合には、このような応答特性の変動が生じやすいおそれがある。燃料噴射の停止タイミングと吸排気弁の停止タイミングがずれると、排気の空燃比がリーンになり、エミッション低下を起こすおそれがある。したがって、このようなずれによって生じる排気空燃比のリーン化をより効果的に抑制する手法が望まれている。
また、上記手法では、排気空燃比のリーン化を一層確実に防止するため、稼働気筒に対して燃料の増量を行い、該稼働気筒の空燃比のリッチ化が行われる。この点につき、燃費の観点から、さらなる改善の余地が存在する。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、内燃機関(2)の燃焼室(31)に直接燃料を噴射する燃料噴射弁(38)と、該燃料噴射弁から噴射された燃料を含む混合気を燃焼させるための点火装置(42、41)と、稼働気筒数を変更可能な可変気筒制御機構(21a、21b)を備えた内燃機関の制御装置であって、可変気筒制御機構によって稼働気筒数を減らす運転状態に移行する減筒移行手段(53)と、該移行によって休止すべき気筒への燃料噴射の停止によって内燃機関の排気の雰囲気が希薄となる状態を、内燃機関の運転状態に基づいて予測する予測手段(55)と、該予測手段によって希薄雰囲気が予測されたならば、該予測を行った燃焼サイクル中の点火装置による点火後に、該休止すべき気筒に対し、燃料噴射弁から追加の燃料を噴射する追加燃料制御手段(57)と、を備える。
本願発明者は、燃焼室に燃料を直接噴射する内燃機関の場合には、燃焼サイクル中のいずれにおいても燃料を噴射することが可能である点に着目した。この着目に基づき、稼動気筒数を減らす運転状態に移行する際に、休止すべき気筒への燃料噴射停止によって排気の雰囲気が希薄(リーン)となることを予測したならば、該予測を行った燃焼サイクル中に追加の燃料を噴射する。燃焼サイクルは、一般に、吸気、圧縮、膨張および排気の行程から成るが、たとえば膨張行程や排気行程で追加の燃料を噴射することができる。こうして、1燃焼サイクル中に、休止気筒への燃料噴射停止によって排気空燃比がリーン化されることを予測し、同じ該燃焼サイクル中に、該リーン化を防止するための追加燃料を該休止気筒に噴射するので、休止すべき気筒において燃料噴射の停止後になお吸排気弁が稼働していても、排気空燃比のリーン化を防ぐことができる。
この発明の一実施形態によると、上記の追加される燃料は、排気の雰囲気が理論空燃比になるよう決定される。こうして、理論空燃比で排気を行うことで、エミッション低下をより抑制することができる。
次に図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に従う、内燃機関(以下、エンジンと呼ぶ)およびその制御装置の全体的な構成図である。
電子制御ユニット(以下、「ECU」)という)1は、中央演算処理装置(CPU)およびメモリを備えるコンピュータである。メモリには、車両の様々な制御を実現するためのコンピュータ・プログラムおよび該プログラムの実施に必要なデータ(マップを含む)を格納することができる。ECU1は、車両の各部から信号を受取ると共に、該メモリに記憶されたデータおよびプログラムに従って演算を行い、車両の各部を制御するための制御信号を生成する。
エンジン2は、可変気筒数のエンジンであり、C1からC3の3気筒を有する第1のバンクと、C4からC6の3気筒を有する第2のバンクを備える。各気筒には、吸気管3および排気管4が連結されている。
各気筒の吸気管3の集合部の上流の吸気通路6には、スロットル弁7が設けられている。スロットル弁7の開度は、ECU1からの制御信号に従って制御される。スロットル弁7の開度を制御することにより、エンジン2に吸入される空気の量を制御することができる。
スロットル弁7の上流には、吸気通路6を流れる空気の量を検出するエアフローメータ(AFM)8と、吸気通路6の温度を検出する吸気温(TA)センサ11が設けられている。該エアフローメータ8およびTAセンサ11の検出値は、ECU1に送られる。スロットル弁7の下流には、吸気通路6の圧力(絶対圧)を検出するためのPBセンサ10が設けられており、該PBセンサ10の検出値はECU1に送られる。
第1のバンクには、気筒C1からC3の稼動および休止を切換える気筒休止機構21aが設けられ、第2のバンクには、気筒C4の稼動および休止を切換える気筒休止機構21bが設けられる。第1および第2の気筒休止機構21aおよび21bには、気筒休止のための油路22が接続されており、油路22は、制御弁23を介してオイルポンプ24に接続されており、オイルポンプ24には、オイルタンク(図示せず)が接続されている。
気筒休止機構21aおよび21bは、クランク軸の動力によって駆動されるオイルポンプから吐出される潤滑油を作動油とする油圧作動式の機構であり、この実施例では、高圧の作動油が作用した休止機構は作動状態となって、対応する気筒を休止させ、低圧の作動油が作用された休止機構は非作動状態となって、対応する気筒を稼働させる。制御弁23は、ECU1からの制御信号に従って、第1および第2の気筒休止機構21aおよび21bに対して作用する油圧を低圧と高圧との間で切り換えることによって、所望の気筒の稼動および休止を切換えるよう構成されている。
これらの気筒休止機構は、既知の任意の手段によって構成されることができ、たとえば、該機構の詳細な構成は、特開2005−105869号公報に示されている。
この実施例では、3つの運転モードがある。第1のモードは、気筒C1からC6のすべての吸気弁および排気弁を稼動させる全筒運転である。第2のモードは、第2のバンクの気筒C4の吸気弁および排気弁の稼動を休止する1筒休止運転である。第3のモードは、第1のバンクの気筒C1からC3の3つの気筒の吸気弁および排気弁の稼動を休止する3筒休止運転である。これらの運転モードは一例であり、当然ながら、様々な他の運転モードを実現するよう、気筒休止機構を構成してよい。
第1のモードである全筒運転を行うときには、休止機構21aおよび21bが非作動状態になるように、制御弁23が制御され、いずれの休止機構に対しても低圧の作動油を作用させる。第2のモードである1筒休止運転を行うときには、休止機構21bが作動状態になるよう、制御弁23によって高圧の作動油を作用させると共に、休止機構21aが非作動状態になるように、制御弁23によって低圧の作動油を作用させる。第3のモードである3筒休止運転を行うときには、第1のバンクの休止機構21aが作動状態になるように、制御弁23によって高圧の作動油を作用させると共に、休止機構21bが非作動状態になるように、制御弁23によって低圧の作動油を作用させる。
ECU1は、上記各種センサからの入力信号に応じて、メモリに記憶されたプログラムおよびデータ(マップを含む)に従い、エンジン2の運転状態を検出すると共に、スロットル弁7および制御弁23を制御するための制御信号を生成する。
図2を参照すると、エンジン2に搭載された気筒のうちの1つが示されている。なお、この図では、図1の気筒休止機構は省略されている。燃焼室31が、ピストン32とシリンダヘッド33の間に形成され、燃焼室31は、吸気バルブ35を介して吸気管3に連結され、排気バルブ36を介して排気管4に連結されている。
エンジン2は、燃料を直接燃料室31に噴射する直接噴射式エンジンであり、燃料噴射弁38が燃焼室31に臨むように取り付けられている。燃料噴射弁38は、コモンレール(図示せず)を介して、高圧ポンプ39および燃料タンク(図示せず)に接続されている。高圧ポンプ39は、燃料タンク内の燃料を昇圧した後、コモンレールを介して燃料噴射弁38に送り、燃料噴射弁38は、受取った燃料を燃焼室31内に噴射する。燃料の噴射圧力(燃料圧と呼ぶ)は、ECU1からの制御信号によって高圧ポンプ39を制御することによって変更されることができる。燃料圧は、コモンレールに設けられた燃圧センサによって検出され、その検出信号はECU1に送られる。また、燃料噴射弁38の噴射時間および噴射時期は、ECU1からの制御信号に従って制御される。
点火プラグ41が、燃焼室31に臨むように取り付けられている。点火プラグ41は、点火コイルを含む点火装置42から点火のためのエネルギーの供給を受け、ECU1からの制御信号に従う点火時期において、燃料噴射弁からの燃料と吸気バルブ35からの吸入空気との混合気を点火する。点火により、混合気は燃焼する。燃焼により混合気の体積は増大し、これによりピストン32を下方に押し下げる。ピストン32の往復運動は、クランク軸45の回転運動に変換される。
エンジン2には、クランク角センサ46が設けられている。クランク角センサ46は、クランク軸45の回転に従って、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU1に出力する。CRK信号は、所定のクランク角毎に出力される。ECU1は、CRK信号に応じ、エンジン2の回転数NEを算出する。TDC信号は、ピストン32の上死点(TDC)位置に関連したクランク角度で出力される。
また、エンジン2の各気筒の排気管4の集合部の下流には、排ガスを浄化する装置(触媒)51が設けられている。該排ガス浄化装置の上流には、空燃比(LAF)センサ52が設けられており、エンジン2のリーンからリッチにわたる領域の空燃比をリニアに検出する。空燃比センサ52の検出値は、ECU1に送られる。
以下の説明において、1燃焼サイクルは、吸気、圧縮、膨張および排気行程から成る。直接噴射式エンジンの場合、燃料は昇圧されて直接燃焼室内に噴射されるので、1燃焼サイクル中のどの行程でも噴射することが可能である。本願発明者はこの点に着目し、気筒を稼働状態から休止状態に移行させる際に、該気筒について、燃料噴射が停止されているにかかわらず吸排気弁が稼動している状態を検出する。以下、このような状態を、「エアサイクル」と呼ぶ。エアサイクルは、燃料噴射停止タイミングと、吸排気弁停止タイミングとがずれている状態である。エアサイクルを検出することにより、その燃焼サイクルにおける排気空燃比がリーン化されることが予測される。したがって、その同じ該燃焼サイクル中に、追加の燃料を噴射する。これにより、エアサイクルによって排気空燃比がリーン化されることを抑制する。
図3は、この発明の一実施形態に従う、制御装置の機能ブロック図である。各機能は、ECU1において実現される。
運転モード選択部51は、エンジン2の運転状態に従って、前述した第1〜第3の運転モードのうちの1つを選択する。たとえば、アクセルペダルの開度を検出するアクセルセンサ(図示せず)の検出値から、エンジンの負荷を判断し、該エンジン負荷と、クランク軸の回転角度位置を検出するクランク角センサ46から算出されることのできるエンジン回転数とに基づいて、運転モードを選択することができる。たとえば、負荷が高いほど、またエンジン回転数が高いほど、稼動気筒数が多くなるよう運転モードを選択することができる。
気筒休止部53は、選択された運転モードに応じて、新たに休止すべき気筒が発生したならば、該休止すべき気筒に対し、燃料噴射を停止すると共に、吸排気弁の作動停止を行うよう制御する。たとえば、全筒運転の第1のモードから、3筒運転の第3のモードに切り換えられた場合、気筒C1〜C3を新たに休止することとなる。したがって、これらの気筒に対し、燃料噴射を停止するよう燃料噴射弁38に制御信号を送ると共に、休止機構21aを介して吸排気弁の作動停止を行うよう制御弁23に制御信号を送る。
エアサイクル検出部55は、クランク角センサ46から受け取ったクランクパルス(CRK信号)に基づいて、クランク軸45の角速度(rad/秒)を算出する。クランクパルスの発生時間間隔から、該角速度を算出することができる。
ここで、図4を参照すると、一例として、気筒数が6である場合の、(a)全気筒運転および(b)1気筒運転におけるクランク角速度の挙動が示されている。(a)および(b)は、同じスケールで示されている。すべての気筒が稼働している場合、クランク角120度毎に各気筒において点火装置42による点火による混合気の爆発が生じる。気筒数が6であるので、6個の爆発を完了するのに要する1サイクルは、720度のクランク角度である。
各気筒において、クランク角速度は、爆発によって一旦上昇した後に下降する、という挙動を示す。したがって、(a)に示されるように、1サイクル(720度)の間に、このような挙動が6回現れる。クランク角速度の波高は、αで示されているように、ほぼ所定範囲内に収まる。
他方、(b)は、1サイクル中の6個の気筒のうち、1つの気筒について燃料供給が停止しているが、吸排気弁が作動しているエアサイクの状態を示している。この例では、1サイクル中、6番目に爆発すべき気筒に対する燃料供給が停止している。時間t1から始まる1サイクルのうち、時間t2において6番目の気筒の爆発が開始されるべきであるが、燃料供給が停止しているために爆発が生じず、符号101によって示されるように、時間t2において、角速度が、上昇することなく急速に減少していることがわかる。これは、いわゆる失火の状態と同等と考えることができる。このような燃料供給停止によって生じるクランク角速度の減少幅がβで示されており、これは、αに比べて非常に大きい。
したがって、クランク角速度の減少幅をモニターすることにより、燃料供給が停止されているにかかわらず吸排気動作が行われているエアサイクルの状態を検出することができる。
また、図5を参照すると、(a)には、図4の(b)と同じものが示されており、前述したように、1つの気筒について燃料供給が停止しているにもかかわらず、該気筒の吸排気弁が作動しているエアサイクルの状態を示す。他方、(b)には、6個の気筒のうちの1つの気筒について燃料供給が停止しており、かつ、該気筒の吸排気弁が作動していない状態を示す。(b)において、時間t1からから始まる1サイクルのうち、6番目に爆発すべき気筒について燃料供給が停止していると共に吸排気動作が停止しているので、符号103によって示されるように、角速度が上昇することなく減少している。この減少幅は、cによって示されている。なお、(a)および(b)は、同じスケールで示されている。
(a)および(b)を比較して明らかなように、両者は同様の波形形状を有する。しかしながら、(b)の場合は、吸排気動作も停止されているので、(b)の場合のクランク角速度の減少幅cは、吸排気動作は行われる(a)のクランク角速度の減少幅βに比べて小さい。
このように、クランク角速度の減少幅に基づいて、燃料供給が停止されているにかかわらず吸排気動作が行われているエアサイクルの状態を、燃料供給が停止され、かつ吸排気動作も停止している状態と区別して検出することができる。
図3に戻り、エアサイクル検出部55は、角速度の減少幅に基づいて、このようなエアサイクルを検出する。一実施例では、所定の時間間隔でクランク角度の変化を算出し、該変化が減少方向に向かっている間にわたって該変化の大きさ(絶対値)を積算していくことで、減少幅を算出する。該減少幅が所定のしきい値を超えた場合には、エアサイクルが生じたと判断する。該減少幅が生じたクランク角度範囲から、どの気筒にエアサイクルが生じたかについても判断することができる。
ここで、しきい値は、シミュレーション等によって決定されることができ、図4の例では、αより大きく、βより小さく設定される。また、しきい値は、図5の例で示すように、cより大きくなるよう設定されるのが好ましい。こうして、符号101で示されるようなクランク角速度の急減速を検出することができる。
代替的に、休止すべき気筒についてのクランク角速度のみをモニターするようにしてもよい。たとえば、第1〜第3の気筒を休止させる場合には、それに対応するクランク角速度をモニターし、減少方向への変動幅が所定のしきい値を超えた場合には、エアサイクルが発生したと判断する。図4の(b)では、時間t2からのクランク角度120度の範囲において6番目に爆発すべき気筒の減少幅が、β’で示されており、これが、所定のしきい値より大きければ、該気筒についてエアサイクルが生じたと判断することができる。この場合のしきい値も、シミュレーション等によって決定されることができる。
エアサイクルが発生した燃焼サイクルでは、その後の排気行程で排気される空気によって、内燃機関の空燃比が希薄(リーン)化することが予測される。たとえば、図4の(b)に示すように、6番目の気筒について、上記のようなエアサイクルが生じたとする。ここで図6を参照すると、該気筒の燃焼サイクルが示されており、エアサイクルは、点火後の膨張行程で検出される。同じ該燃焼サイクルの排気行程において、排気バルブが開かれて燃焼室内の気体が排気されるが、燃料が供給されていないために、排気されるのは空気である。したがって、内燃機関の空燃比はリーン化され、エミッション低下のおそれがある。
そこで、図3に示すように、追加燃料制御部57を設け、エアサイクルが検出されたことに応じて、該検出された燃焼サイクルと同じ燃焼サイクル中に追加の燃料を噴射するよう、燃料噴射弁を制御する。図6の例では、エアサイクル検出後の排気行程中に追加燃料が噴射される。これにより、追加燃料は、排気行程中に、燃焼室内の空気と共に排気管へと排気されることとなる。結果として、空燃比のリーン化を抑制することができる。
なお、追加燃料噴射は、エアサイクル検出後に噴射することができ、排気行程に限定されない。たとえば、符号102に示されるように、膨張行程の後半から排気行程にわたる期間中の任意の適切な時に、追加燃料を噴射することができる。
追加燃料制御部57は、好ましくは、追加として供給する燃料の量を、理論空燃比になるよう算出する。一実施例では、たとえばエアフローメータ8(図1)によって検出される吸入空気量に基づいて、理論空燃比を実現するためのマップを参照し、対応する燃料噴射量を求める。こうして求めた燃料噴射量の燃料が噴射されるよう、燃料噴射弁38を制御する。
図7は、この発明の一実施例に従う、制御プロセスのフローである。該プロセスは、ECU1のCPUにより、より具体的には、図3に示される各機能ブロックにより、所定の時間間隔で実行される。
ステップS11において、エンジンの運転状態に基づいて、運転モードを選択する。この実施例では、前述したように、第1から第3の運転モードのうちの1つが選択されるが、これに限定されるわけではない。
ステップS12において、選択された運転モードによって、稼働気筒数が減らされるかどうかを判断する。言い換えれば、休止気筒数が増やされるかどうか判断する。この判断がYesならば、新たに休止される気筒が存在することを示すので、ステップS13において、該休止すべき気筒に対し、燃料噴射を停止するための制御信号を燃料噴射弁に送ると共に、休止機構21aまたは21bを介して吸排気弁の作動を停止するための制御信号を制御弁23に送る。
ステップS14において、クランク軸の角速度が減少したかどうかを判断する。減少したならば、ステップS15において、該減少方向への変化を算出する。より具体的には、前回検出された角速度V(n−1)と、今回検出された角速度V(n)の差dVを算出することにより、該減少方向への変化を算出する。ステップS16において、該変化の積算値の前回値σ(n−1)に、今回算出された変化dV(n)を加算して、該変化の積算値の今回値すなわち減少幅σ(n)を算出する。
なお、前述したように、代替的に、ステップS14〜S16は、休止すべき気筒についてのみ算出するようにしてもよい。
ステップS17において、ステップS16で算出されたクランク角速度の減少幅が、所定のしきい値より大きいかどうかを判断する。この判断がYesならば、前述したようなエアサイクルが検出されたことを示し、よって、排気空燃比がリーン化されることが予測される。
ステップS18において、追加で噴射すべき燃料量を求める。前述したように、好ましくは、追加噴射燃料量は、理論空燃比を実現するように算出される。ステップS19において、該求めた量の追加燃料を、現在の燃焼サイクル(すなわち、エアサイクルが検出された燃焼サイクル)中の所定のタイミングで噴射するよう、燃料噴射弁を駆動するための制御信号を生成する。該所定のタイミングは、予め決めておいてもよいし、何らかの運転状態に応じて、たとえば図6に示すような膨張行程の後半から排気行程にわたる所定区間102内に噴射するよう、決定するようにしてもよい。
こうして、休止すべき気筒について、燃料噴射の停止タイミングと、吸排気弁の停止タイミングとがずれたとしても、エアサイクルの検出に応じて、その燃料サイクル中に追加の燃料が噴射されるので、排気空燃比がリーンになってエミッションが低下するのを防止することができる。
以上の実施形態では、運転モードが3つある場合について説明したが、この発明は、このような形態に制限されず、運転モードは、全筒運転と、複数の気筒のうちの一部を休止する部分運転との2つのモードでもよいし、3より多くのモードでもよい。また、この発明は、6気筒のエンジンに制限されず、任意の数の気筒のエンジンに適用可能である。また、休止すべき気筒を、どのバンクのどの気筒にすべきかについても、この実施形態に制限されることなく、他の形態となるよう設計することができる。また、この実施形態に示す直接噴射式エンジンは、ガソリンエンジンでもよいし、ディーゼルエンジンでもよい。
上記実施形態は、汎用の(例えば、船外機等の)内燃機関に適用可能である。
この発明の一実施例に従う、内燃機関および制御装置を概略的に示す図。 この発明の一実施例に従う、内燃機関および制御装置を概略的に示す図。 この発明の一実施例に従う、制御装置のブロック図。 この発明の一実施例に従う、全気筒が稼働している場合と1つの気筒がエアサイクル状態を示している場合のクランク角速度の挙動の一例を示す図。 この発明の一実施例に従う、1つの気筒がエアサイクル状態を示している場合と、1つの気筒の燃料供給停止および吸排気弁の停止が行われている場合のクランク角速度の挙動の一例を示す図。 この発明の一実施例に従う、エアサイクル検出と追加燃料噴射のタイミングを概略的に示す図。 この発明の一実施例に従う、制御プロセスのフローを示す図。
符号の説明
1 ECU
2 エンジン
21a、21b 休止機構
38 燃料噴射弁
45 クランクシャフト
46 クランク角センサ

Claims (2)

  1. 内燃機関の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、該燃料噴射弁から噴射された燃料を含む混合気を燃焼させるための点火装置と、稼働気筒数を変更可能な可変気筒制御機構を備えた内燃機関の制御装置であって、
    前記可変気筒制御機構によって稼働気筒数を減らす運転状態に移行する減筒移行手段と、
    前記移行によって休止すべき気筒への燃料噴射の停止によって前記内燃機関の排気の雰囲気が希薄となる状態を、該内燃機関の運転状態に基づいて予測する予測手段と、
    前記予測手段によって希薄雰囲気が予測されたならば、該予測を行った燃焼サイクル中の前記点火装置による点火後に、前記休止すべき気筒に対し、前記燃料噴射弁から追加の燃料を噴射する追加燃料制御手段と、
    を備える、制御装置。
  2. 前記追加される燃料は、前記排気の雰囲気が理論空燃比になるよう決定される、請求項1に記載の制御装置。
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