JP2009091515A - ペーストの製造方法、及びペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】回路基板等に精細なパターンを形成できるペーストの製造方法の提供。
【解決手段】有機溶剤中に少なくとも固体粉末を分散させ1次混合物を作製する分散工程と、前記1次混合物に樹脂バインダーを添加して2次混合物を作製する添加工程と、前記2次混合物より前記有機溶剤の一部を蒸散してペースト前駆体を作製する有機溶剤蒸散工程と、前記ペースト前駆体を分散乃至混練する分散・混練工程と、を含むことを特徴とするペーストの製造方法。好ましくは、前記有機溶剤は、沸点が35℃以上かつ100℃未満の低沸点有機溶剤と、沸点が150℃以上かつ250℃未満の高沸点有機溶剤とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、ペーストの製造方法、及びペーストに関する。
近年、半導体素子等の各種電子部品の電極又は絶縁膜形成や、画像表示装置等の回路基板の大型化に伴い、配線や電極、絶縁膜、抵抗体等の均一な膜厚で大面積の回路基板用パターンを形成することが求められている。
パターンの形成方法としては、蒸着、スパッタリング等により形成した薄膜等をフォトリソグラフィー法によりエッチングするエッチング方法、所望の特性を有するパターン形成用のペーストを用いてスクリーン印刷するスクリーン印刷法、押し出し塗布する押し出し塗布法、ダイから吐出して塗布するダイ塗布法等により所定の生パターンを形成し、これを乾燥、焼成することによりパターン形成する方法等が挙げられる。
エッチング法では、高精度のパターン形成が可能であるが、エッチング工程を有することによりパターン形成工程が煩雑となるため製造時間がかかる。また、材料の使用効率が悪いという問題もあった。さらに、大型画像表示装置のような大面積基板にパターンを形成する場合には、大型の薄膜形成装置、露光装置及びエッチング装置が多数必要となり、製造コストの増大をきたすという問題があった。また、パターンの膜厚分布や平滑性等の点で問題があり、充分な品質のものが得られなかった。これに対して、パターン形成用ペーストを用いるスクリーン印刷法、押し出し塗布法及びダイ塗布法等はエッチング工程がなく、上記のエッチング法に比べて工程が簡略であり、製造コストの低減が期待される。
従来、厚膜形成用ペーストは、ペーストの用途に応じた固体粉末を有機ビヒクルに分散させたものが用いられてきた。これら固体粉末含有ペーストとしては、回路配線や電極用の導電性ペースト、抵抗体を形成する抵抗体ペースト、コンデンサーを作製するコンデンサーペースト、素子等を被覆して保護、絶縁するガラスペーストなどが知られている。例えば、積層セラミック電子部品に用いられるスクリーン印刷用導電性ペーストは、Ni、Cu、Ag、Pd等の金属粉末からなる導電性成分と、比較的高沸点のカルビトールやターピネオールといった主有機溶剤にエチルセルロースやアクリル系樹脂といった有機樹脂バインダー成分を溶解させて有機ビヒクルを作製した後、分散機を用いて金属粉末を分散して作製される。
特に、固体粉末含有ペーストは、スクリーン印刷による造膜形成に使用されてきたが、基板あるいは半導体ウエハ上にトランジスタやダイオードなどが形成された電子部品などの多層配線を有する回路基板を作製する上では、1回の印刷塗布により平坦な厚膜を形成することと同時に、微細なパターンを持った電極形成も必要となっている。このため、異物が少なく良好な印刷性を備えた導電性又は絶縁性のペーストを使用する必要があり、固体粉末を有機溶剤に均一に分散するだけでなく、ペーストの濾過及び混練工程を厳密に管理する必要がある。厚膜の形成及び高精細パターンを有する塗膜形成においては、使用するペーストの粘度を大きくして印刷時にダレやにじみの少ないペーストを使用することが好ましい。
固体粉末含有ペーストとしては、例えば、有機ビヒクルとしてポリエステル、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の高分子樹脂をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ブチルセロソルブやテルピネオール等の有機溶剤中へ溶解させて粘度を調整したものが用いることが提案されている(特許文献1参照)。
また、固体粉末を有機ビヒクル及び有機溶剤中に分散させる方法として、ボールミルや三本ロールを用いた方法が知られている(特許文献2参照)。
特開平06−325618号公報 特開平06−309919号公報
従来の方法で作製したペーストを用いる場合は、比較的厚膜のパターン形成は可能であるが、高精細のパターンを形成するためにはペーストの粘度調整が不十分であった。例えば、特許文献1に記載の有機ビヒクル中の樹脂成分の濃度が高くなると、樹脂の溶解が不十分で不完全な溶解物が多くなったり、粘度が高いために、濾過時間及び混練時間が長くなったりするなど、製造コストが高くなる問題があった。
又、特許文献2に記載のペーストの製造方法においては、ボールミルや三本ロールを用いて固体粉末を有機ビヒクル及び有機溶剤に分散させるため、ペーストに含有される金属粉末あるいは無機粉末の凝集が強固である場合は、金属粉末あるいは無機粉末を十分に解粒して均一に分散させることには限界があるという問題があった。凝集した金属粉末あるいは無機粉末が含まれる分散性の悪いペーストでは、ペースト膜の表面の平滑性が低下してしまう。
本発明の目的は、上述の問題点に鑑み、回路基板等に精細なパターンを形成できるペーストの製造方法及びペーストを提供することである。
上記課題を解決するため本発明者等は、以下の発明を完成した。
本発明は、有機溶剤中に少なくとも固体粉末を分散させ1次混合物を作製する分散工程と、前記1次混合物に樹脂バインダーを添加して2次混合物を作製する添加工程と、前記2次混合物より前記有機溶剤の一部を蒸散してペースト前駆体を作製する有機溶剤蒸散工程と、前記ペースト前駆体を分散乃至混練する分散・混練工程と、を含むことを特徴とするペーストの製造方法である。
好ましい本発明は、前記有機溶剤が、沸点の異なる2種類以上の溶剤を含む混合溶剤であることを特徴とする前記ペーストの製造方法である。
好ましい本発明は、前記混合溶剤が、沸点が35℃以上かつ100℃未満の低沸点有機溶剤と、沸点が150℃以上かつ250℃未満の高沸点有機溶剤とを含むことを特徴とする前記ペーストの製造方法である。
好ましい本発明は、前記1次混合物が、樹脂バインダーを含むことを特徴とする前記ペーストの製造方法である。
好ましい本発明は、前記固体粉末が、導電性フィラー又は絶縁性フィラーを含むことを特徴とする前記ペーストの製造方法である。
好ましい本発明は、前記有機溶剤蒸散工程が、加熱と減圧のうち少なくとも一手法を用いて2次混合物中の有機溶剤の一部を35℃〜100℃で蒸発除去することを特徴とする前記ペーストである。
前記有機溶剤蒸散工程は、樹脂バインダーを有機溶剤に溶解する工程と、有機溶剤の一部を蒸散させる工程とを含むことを特徴とする前記ペーストの製造方法である。
好ましい本発明は、前記分散・混練工程が、有機溶剤の一部を蒸散させる工程を含むことを特徴とする前記ペーストの製造方法である。
本発明は、沸点が35℃以上かつ100℃未満の低沸点有機溶剤と、沸点が150℃以上かつ250℃未満の高沸点有機溶剤とを含む混合溶剤中に、固体粉末を分散させて1次混合物を作製し、該1次混合物に樹脂バインダーを添加して2次混合物を作製し、該2次混合物を加熱して一部の有機溶剤を除去してペースト前駆体とし、該ペースト前駆体を分散乃至混練して均一化したペーストである。
本発明によれば、回路基板等に精細なパターンを形成できるペーストの製造方法及びペーストを提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態を必要に応じて図面を参照にして説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明の好ましい形態における例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明のペーストの製造方法は、有機溶剤中に少なくとも固体粉末を分散させ1次混合物を作製する分散工程と、前記1次混合物に樹脂バインダーを添加して2次混合物を作製する添加工程と、前記2次混合物を加熱してペースト前駆体を作製する加熱工程と、前記ペースト前駆体を分散・混練する分散乃至混練工程とを含む。本発明のペーストの製造方法を図1に従って説明すると、まず、(A)工程として、有機溶剤中への固体粉末の分散による1次混合物の作製工程がある。この場合、有機溶剤は、揮発性の小さい高沸点溶剤を用いることが好ましく、この高沸点溶剤だけでは分散が不十分なときには、さらに100℃以下の沸点の低沸点溶剤を混合した混合溶剤を用いることが好ましい。固体粉末の有機溶剤への分散においては、固体粉末に有機溶剤を添加しても、有機溶剤に固体粉末を添加してもよい。
次に、(B)工程として、作製した1次混合物へのバインダーとなる樹脂バインダーの溶解による2次混合物の作製工程がある。この2次混合物の作製においては、1次混合物に樹脂バインダーの粉末を添加して攪拌すればよい。この場合、樹脂バインダーと有機溶剤は相溶性が優れている物同士を組み合わて使用することが好ましい。なお、この時点では、樹脂バインダーが完全に有機溶剤に溶解している必要はないが、均一に攪拌・混合され膨潤していることが好ましい。
次に、(C)工程として、2次混合物は有機溶剤の蒸散工程において、通常は加熱され、樹脂バインダーが完全に有機溶剤中に溶解される。また、有機溶剤の蒸散工程においては、必要に応じて低沸点の有機溶剤を蒸散させてもよい。このとき、減圧蒸留による有機溶剤の蒸散を短時間で実施するなどが好ましい。なお、この有機溶剤の蒸散工程は、(B)工程の2次混合物の作製工程と並行して実施することもできるし、後述の(D)工程の2次混合物の分散・混練工程と組み合わせて実施してもよい。
最後に、(D)工程として、有機溶剤の蒸散工程の終わった2次混合物であるペースト前駆体を分散乃至混練して均一化する2次混合物の分散・混練工程がある。2次混合物の分散・混練工程においては、有機溶剤と完全に溶融した樹脂バインダーが固体粉末の表面に付着し、固体粉末が樹脂バインダー中に均一に分散した状態のペーストを作製する。この際に、有機溶剤の一部を蒸散させて、ペーストの粘度を所望のものとすることが好ましい。ペーストの粘度が高くなりすぎたときは、有機溶剤を添加して粘度調整してもよい。
以上の(A)工程〜(D)工程について、さらに詳述する。
(A)工程においては、固体粉末の分散処理は有機溶剤への投入により、湿潤状態で可能となり、これにより固体粉末の分散性を高めることが容易である。この1次混合物を作製する工程においては、固体粉末の表面に吸着している空気が有機溶剤で置換され、固体粉末を有機溶剤で十分に濡らした状態とすることができるとともに、固体粉末の凝集を十分に解粒することができる。有機溶剤中で固体粉末を分散させておくことにより、最終製品であるペースト中の固体粉末をできるだけ1次粒径に分散した状態にできる。
(B)工程においては、上述のように、(A)工程で得られた固体粉末の高い分散性を維持した状態のまま、1次混合物に含まれている固体粉末の表面を、有機溶剤に樹脂バインダーを攪拌・膨潤させて2次混合物とする。2次混合物においては、固体粉末の隣接粒子の表面および粒子間を充分に被覆できる量の樹脂バインダーを添加することによって、最終製品であるペーストの分散状態をできるだけ均一にすることができる。
(C)工程においては、樹脂バインダーの有機溶剤中への溶解及び固体粉末表面の被覆を完全にし、有機溶剤の一部を蒸発除去することが実施されるため、2次混合物の粘度を高くすることができる。この工程においても、(A)工程で得られた固体粉末の分散状態を維持したままでペースト前駆体が作製できる。
(D)工程においては、(C)工程で得られたペースト前駆体を三本ロールなどで混練処理することによって均一化して完全なペーストとする。混練工程においては、三本ロールの狭ギャップ間をペースト前駆体が通過することにより均一化と同時に、ペースト前駆体に含有されている有機溶剤の一部を蒸発除去することによりペースト前駆体の増粘効果を進めることができるため、工程数を減らすことが可能になりペーストの生産性を向上できる。
本発明により製造されたペーストは、固体粉末と有機樹脂バインダー、及び有機溶剤から構成される。ペースト中の固体粉末としては、導電性フィラー、絶縁性フィラーが好ましく用いられる。これら無機物粉末には特に制約はなく、例えば、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、二酸化チタン、マイカ、炭酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、溶融シリカ、破砕シリカ、ヒュームドシリカ、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、タルク、ガラス短繊維やホウ酸アルミニウムや炭化ケイ素等の各種ウィスカ等が挙げられる。また、これらの無機物粉末を数種類併用しても良い。固体粉末の含有量は、35重量部〜85質量部、さらには、40重量部〜90質量部であることが好ましい。このようにすることで、乾燥時又は焼成時の収縮率が小さく、ペーストを回路基板のプリント配線や絶縁膜として利用する際の乾燥又は焼成による形状変化が小さくなり好ましい。
固体粉末として、導電性フィラーである金属粉末を使用する場合においては、Ag、Au、Pd、Ni、Cu、Al及びPtの群から選ばれる少なくとも1種を含むものが使用できる。これらは、単独、合金、混合粉末のいずれの状態であっても用いることができる。金属粉末の粒子径としては、体積基準分布の中心径が0.01〜0.5μmであることが好ましい。粒子径がこの範囲にあることで、緻密な微細パターンの形成が可能となる。
固体粉末として絶縁性フィラーを使用する場合においては、SiO、Al、CuO、AgO、AuO、FeO、BaTiOの中から選ばれる少なくとも1種類を含む物を使用できる。これらは、単独、混合粉末のいずれの状態であっても用いることができる。絶縁性粉末の粒子径としては、体積基準分布の中心径が0.01〜0.5μmであることが好ましい。粒子径がこの範囲にあることで、緻密な微細パターンの形成が可能となる。
本発明における樹脂バインダーは、有機溶剤中に溶解するものが使用でき、公知のもの樹脂を用いればよい。具体的には、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂、又は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルメチル(メタ)アクリレート等の重合体もしくは共重合体からなるアクリル系樹脂等が挙げられる。
また、(C)工程において、樹脂バインダーのガラス転移温度が低沸点の有機溶剤の沸点と同程度の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。このため、2次混合物を加熱処理する際に低沸点の有機溶剤を効率よく蒸散させることができ、効率的にペースト前駆体を製造することができる。
本発明のペーストの製造方法においては、樹脂バインダーを有機溶剤に溶解させる際、沸点差がある2種以上の有機溶剤を用いることが好ましい。ペーストをスクリーン印刷法などで膜厚形成するためには、ペーストの粘度を適度に高める、つまり含有樹脂濃度とフィラー濃度を適度に調整する必要がある。そのため、ペースト中の有機溶剤の含有量を減らし樹脂バインダーおよびフィラーの含有量を増加させることが考えられるが、ペースト中の樹脂バインダー濃度を高くしすぎると有機溶剤中への溶解過程でゲル化するなど不完全な溶解物が残る恐れがある。また、固体粉末に対する有機溶剤の含有量が少なすぎると、固形成分を十分に分散することが困難になり、その結果、最終製品であるペースト中に凝集物が発生しやすくなる。さらに、ペーストの製造工程における1次混合物や2次混合物、ペースト前駆体の粘度が高くなるため、各製造工程における攪拌や溶解などの時間が長くなり、製造時間が長くかかる問題がある。
本発明のペースト製造方法においては、樹脂バインダーを溶解させる高沸点の主有機溶剤の他に低沸点の有機溶剤を加え、製造段階における一次混合物や二次混合物に対する有機溶剤の含有比を大きくすることにより、固体粉末を短時間で効率的に樹脂バインダーに分散させることを特徴としている。具体的には、固体粉末をあらかじめ有機溶剤へ分散し、樹脂バインダーを添加し十分に攪拌・溶解した後、有機溶剤の蒸散工程及び2次混合物の分散・混練工程において低沸点の有機溶剤を蒸散させて、目的とする粘度を持った分散性の優れたペーストを製造できる。
低沸点の有機溶剤は、沸点が35℃以上かつ100℃未満の範囲内にあることが好ましい。低沸点の有機溶剤の沸点が35℃未満の場合、常温で揮発しやすく製造工程に使用する材料成分の比率管理が困難になるだけでなく、樹脂バインダーを充分に溶解させるために必要な時間を長く要し、製造コストが高くなる。また、樹脂バインダーを溶解する際には、1次混合物を撹拌しながら樹脂バインダーを徐々に加えていく方が溶けやすい。樹脂バインダーと1次混合物に含まれる有機溶剤の組み合わせによっては、常温で樹脂バインダーを溶解できる組み合わせのものもあるが、前記(C)工程において2次混合物を加熱することによって樹脂バインダーの溶解速度が速まるため、製造時間を短縮できる。また、加熱に加えて減圧下で有機溶剤を蒸留することにより、最終製品の材料構成比率を厳密に制御することが好ましい。しかし、前記(C)工程で2次混合物を加熱処理する温度が100℃より大きくなる場合、高沸点の有機溶剤も蒸発しやすくなるため、製造工程に使用する材料の成分比率の管理が困難になるだけでなく、使用する樹脂バインダーの種類によっては樹脂の急速な溶解が起こり、ゲル化するなど塊状物の発生が起きやすくなるという問題がある。加熱工程における好適な加熱温度は、35℃〜100℃である。これは、低沸点溶剤の沸点とほぼ同じ範囲である。
低沸点の有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、トルエン、ベンゼン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、及びこれらの混合物を用いることができる。
高沸点の有機溶剤の沸点は、150℃以上かつ250℃未満であることが望ましい。このような高沸点溶剤と低沸点溶剤とを組み合わせた混合溶剤を用いることにより、本発明のペーストが好適に製造できる。高沸点の有機溶剤の沸点が150℃未満の場合、(C)工程において2次混合物中に含まれる有機溶剤の蒸発が多量になり、目的の粘度を持つペーストの製造ができなくなる恐れがある。また、ペーストをスクリーン印刷用のインキとして使用する場合などには、ペーストに含まれる有機溶剤成分の蒸発により、印刷プロセスを安定させることが困難である。また、有機溶剤成分の沸点が250℃以上であると、ペーストを印刷成膜した後の乾燥性が悪く、連続での繰り返し印刷には適しているが乾燥プロセス温度を高くする必要がある。
高沸点の有機溶剤としては、例えば、αターピネオール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ブチルカルビトールアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸イソアミル、ジイソプロピルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、炭酸ジエチル、及びこれらの混合物を用いることができる。ここで、(A)の工程において使用される有機溶剤として、前述の低沸点の有機溶剤と、前述の高沸点の有機溶剤を複数組み合わせて使用することもできる。
一例として、低沸点の有機溶剤として沸点が78℃のエタノールと、高沸点の有機溶剤として沸点が208℃のエチレングリコールモノヘキシルエーテルと、樹脂バインダーとしてガラス転移温度が66℃のポリビニルブチラール樹脂とを使用する場合においては、(C)工程において2次混合物を減圧下で加熱温度を65℃にして製造を行なうことにより、低沸点の有機溶剤であるエタノールの蒸発が短時間で可能になり、ペーストを効率良く製造でき、また材料管理の面においても再現性が良く好ましい。
また、本発明において導電性のペーストを作製する場合においては、分散剤を適宜選択して使用してもよい。
本発明に使用できる分散剤は、アニオン性分散剤、あるいは脂肪酸系の分散剤を適宜用いることができる。一般に、 Ni,Cu,Ag,Pd等の金属粉末やセラミック等の無機酸化物粉末は、表面が水酸基により塩基性を示す。このような塩基性粉末の表面に酸性の分散剤を吸着させると、導電性厚膜ペースト中における粉末の分散性が向上する。高分子タイプとしてはアニオン性分散剤が挙げられ、低分子タイプとしては脂肪酸系の分散剤が挙げられる。特にアニオン性分散剤は、固形成分の粉末表面への吸着に関与する一分子構造中の官能基数が複数となり、粉末表面に立体的な吸着層を形成して粉末同士の凝集を防止するため、スラリーならびにペーストの分散性がより向上する。したがって、分散剤としてはアニオン性分散剤が好ましい。
アニオン性分散剤としては、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、マレイン酸、無水マレイン酸、リン酸エステル含有樹脂、スルホン酸エステル含有樹脂、ポリフェノール樹脂、ポリグルタミン酸、ポリオキシアルキレン、酸変性アルキド樹脂、酸変性アミド樹脂、およびこれらの組み合わせからなる共重合体で、重量平均分子量は5000以上、好ましくは10000以上のものを適宜用いることができる。重量平均分子量が5000未満であると、固形成分の粉末表面への吸着ならびに脱着のスピードが早くなり、分散処理中に分散剤の一部が脱着する問題が生じる。なお、アニオン性分散剤を用いる場合、主溶剤と希釈溶剤に対して相溶性があるものを選択する。また、アニオン性分散剤は、導電性厚膜ペースト中に0.05〜10.0重量部添加する。添加量が0.1重量部未満であると、固形成分の粉末表面に分散剤が十分に吸着しないため、固形成分の粉末が凝集する。10.0重量部を超えると、固形成分の粉末の表面吸着能が飽和して添加量に応じた分散性の向上は望めない。したがって、アニオン性分散剤は、予め分散性の向上効果が飽和する添加量を測定し、粉末表面への吸着が飽和する添加量、すなわち0.05〜10.0重量部の範囲で添加することが好ましい。
脂肪酸系の分散剤としては、例えばステアリン酸、オレイン酸、もしくはそれらの金属塩等を適宜用いることができる。なお、脂肪酸系の分散剤を用いる場合、主溶剤と希釈溶剤に対して相溶性があるものを選択する。また、脂肪酸系の分散剤は、導電性厚膜ペースト100重量部中に0.05〜5.0重量部添加する。添加量が0.05重量部未満であると、固形成分の粉末表面に分散剤が十分に吸着しないため、固形成分の粉末が凝集する。
添加量が5.0重量部を超えると、固形成分の粉末表面の吸着能が飽和して添加量に応じ
た分散性の向上は望めず、成膜時において下地基板との密着性が低下する。したがって、脂肪酸系の分散剤は、予め分散性の向上効果が飽和する添加量を測定し、粉末表面への吸着が飽和する添加量、すなわち0.05〜5.0重量部の範囲で添加することが好ましい。
本発明においては、固体粉末を有機溶剤中へ分散する手法としてはどのようにしてもよいが、一般にビーズミルと通称されているメディア攪拌型分散機を用いて、固体粉末である処理材料を分散処理すればよい。ビーズミルは、ステーターとロータの間隙に処理材料の流路を設け、この流路内に充填されたメディアで分散処理を行うタイプ、ベッセルと呼ばれる円筒形の処理槽内に充填されたメディアで分散処理を行うタイプなど、機種も多く、機構的にも各種のものがあるが、メディアを攪拌することで粒体粉末を分散するという基本構造は共通している。後者の代表的なものは以下の通りであるが、この形態に特に限定されない。
円筒形のベッセルと、この両端の、一方に処理材料の入口、他方に処理材料の出口を有し、処理材料の出口には、処理材料とメディアを分離し、処理材料のみを取り出すセパレーターを具備する。セパレーターには大きく分けてスクリーンセパレーター、ギャップセパレーター及び遠心分離方式セパレーターがあり、近年はこれら各種セパレーターを組み合わせたセパレーターも開発されている。スクリーンセパレーターは、メディアを通さない大きさの編み目を持ち、処理材料のみを処理槽の外へ排出する機構であり、ギャップセパレーターは、回転軸に取り付けられたロータと軸受け部に具備されたステーターに隙間を作り、ここでメディアと処理材料を分離する機構となっている。
(A)工程の分散工程にて用いるビーズミルにおいて、固体粉末と有機溶剤を予備的に混練した直後の分散体に含まれる一部の粗大な粒子を選択的に解粒・分散することを目的としている。φが1mm〜2mmの比較的大きなメディアを用いて、被分散体を循環させ短時間で処理することが本発明の効果を顕著とするために好ましい。よって、(A)工程の分散に用いるビーズミルのセパレーターとしては、スクリーンセパレーターあるいはギャップセパレーターを用いることが好ましい。この様な構造を持つ分散機の具体的な例として、VMA−Getzmann社の縦型ミル式分散機"ディスパーマット CD−C"等を挙げることができる。
例えば、ベッセルの一方には軸受けが固定され、その軸受けに円筒形の処理槽内を円周方向に攪拌するための回転軸が槽内中央に設けられている。軸受けと回転軸の接合部には、処理材料が軸受けを介して流出しないためのシール機構を有する。シール機構には、グランドパッキン、リップシール、シングルメカニカルシール、ダブルメカニカルシール等があり、耐久性の高いダブルメカニカルシールが好ましく用いられるが、特にこれらに限定されない。回転軸には種々の形状をした攪拌羽根が一定の間隔で取り付けられ、円周方向に回転しメディア及び処理材料に運動エネルギーとせん断力を与える。攪拌羽根の形状にはディスク型、ピン型、ピン付きディスク型等がある。ピン型は、回転軸に取り付けるリングから、円周方向にピンが何本か突き出た構造をしている。ピンの太さ、形状、本数には様々なものがあるが、特にこれらに限定されない。ディスクは穴あき型、カム型、波状円盤型、突起付き円盤型、ピン付き円盤型等があるが、特にこれらに限定されない。撹拌羽根の材質には、セラミック、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン等が用いられ、中でも耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の点からはセラミックが好ましく用いられ、被分散体への衝撃を抑えマイルドに分散する観点からは樹脂製の撹拌羽根が好ましく用いられる。
ベッセルは、その設置方向により縦型と横型が存在し、また横型の中には分散状況により、ベッセルの角度を変化させる機構を持ったものもあるが、特にこれらに限定されない。ベッセル内側の材質には、ガラス、超硬合金、ステンレス、鉄、セラミック等が用いられ、中でも耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の点からセラミックが好ましく用いられる。メディアが激しく衝突して高温を発するため、耐摩耗性が高く、熱伝導が良く冷却効果の高いジルコニアや、ジルコニア強化アルミナが特に好ましく用いられるが、特にこれらに限定されない。 入口部、出口部に関しても、メディアの衝突が考えられる部位の材質は、ベッセルと同様の考え方で材料選択がなされるが、特にこれらに限定されない。ベッセルの外側は、ベッセル内部を冷却するためのジャケットを具備しているのが好ましいが、特にこれらに限定されない。この様に構成された装置の処理槽内に、メディアを一定の充填率で満たし、処理材料と一緒に攪拌羽根で攪拌され分散が行われる。

本発明の効果を顕著なものとするためには、適切なメディアを選択し用いることが非常に重要となり、その特徴を以下に述べる。(A)工程の分散工程においては、粗大な被分散体の解粒を目的としており、使用するメディアの平均粒径を適切に選定することにより効果的に粗大粒子を解粒することが可能となる。メディアの材質には、ガラス、超硬合金、鋼球、セラミック等のビーズが用いられ、中でも耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等の点からセラミックが好ましく用いられ、さらに好ましくは耐摩耗性が高く、熱伝導が良く冷却効果の高いジルコニアや、ジルコニア強化アルミナが用いられるが、特にこれらに限定されない。ただし、分散工程に使用するメディアの嵩密度としては、3.7g/cmよりも大きいものを用いることが好ましく、高いほど衝撃力が大きくなり分散処理時間を短縮させることが可能となる。ここでいう嵩密度とは、メディア材料に存在する気孔を材料の一部と考慮して得られる密度をいうが、分野により用語が統一されていないため、上記定義の嵩密度を見掛け密度あるいは単に密度と呼ぶ場合もある。
本発明において、湿式分散機に供給される分散材料としては固体粉末及び有機溶剤を主成分とし、必要により、樹脂バインダーの一部、顔料誘導体、分散剤、及び界面活性剤等の添加剤等を混合してもよい。
(B)工程及び(C)工程においては、公知の加熱撹拌溶解機などを用いて樹脂バインダーを溶解することができるが、攪拌機は、防爆構造とすることが好ましい。溶解条件は、用いる樹脂バインダーや有機溶剤によって異なるが、通常25℃〜100℃の温度で1時間〜72時間程度行われる。最終製品のペーストに含まれる樹脂バインダーの濃度は、ペーストの塗布性や塗布膜厚によって選ばれるが、通常5重量部〜50質量部の範囲である。
2種以上の有機溶剤を使用する場合においては、高沸点の有機溶剤(A)と低沸点の有機溶剤(B)の重量比率A/重量比率Bは、15/85〜85/15の範囲であることが好ましい。A/Bの比がこの範囲にあることで、樹脂バインダーを添加及び攪拌を行なう(B)工程及び(C)工程において、2次混合物の加熱により2次混合物に含まれる低沸点の有機溶剤を蒸発させることが可能であるため、最終的に目的の粘度を持つペーストを製造することが容易となる。低沸点の有機溶剤を蒸発させる方法としては、公知の加熱装置やエバポレーター等が使用できる。
本発明の製造方法により製造したペーストは、各種成分を所定の組成となるように調合して高粘度かつ固形成分が均一に分散されたペーストである。粘度の高いペースト前駆体の分散・混練を行なう場合、三本ロールミル装置を使用して均一なペーストを作製することが好ましい。三本ロールミル装置は、後ロール(フィールドロール)、中ロール(センターロール)、前ロール(エプロンロール)の3つのロールから成り、そのロール周速比は例えば1:3:9のように後ロール→中ロール→前ロールの順で高速回転する。実際のロール運転では、後、中ロール上の左右に堰板があり、この堰板と後ロール、中ロール上の空間にペースト前駆体を貯め、後ロールから中ロールへ、中ロールから前ロール表面へとペースト前駆体を転写させ、最後にブレード(スクレーパ)で前ロール表面上のペースト前駆体を掻き取っている。粘性液体あるいはペ−スト前駆体はこの三本ロールの間隙を通過することにより、分散される。分散度はロール間隙及びロール締め圧、ロール回転数、ロールを通す回数によって決まる。一般的にロール間隙が狭いほど、またロール締め圧が高いほど、分散性は良くなる。ただし、極端に狭いロール間隙の状態でロールを長時間運転した場合、ペースト前駆体のずり応力による発熱でロール表面温度が急激に上昇し、それに伴いペースト前駆体温度も上昇するため、低沸点の有機溶剤の一部を蒸散させることができ、ペースト前駆体の増粘効果がある一方、工程管理を精密に行なわない場合にはペースト前駆体の品質に悪影響を及ぼすことがある。そのため、それぞれのペースト前駆体の特性に合わせてロール間隙、ロール締め圧、ロール回転数を設定する必要がある。具体的には特許文献1に記載の方法などが知られている。
三本ロールミル装置を連続運転するためには、後ロール、中ロール上に常にペースト前駆体を供給する手段が必要である。そのため、一般的に後、中ロール上にペースト前駆体を貯めるための、いわゆる堰板が存在する。この堰板により、ロールからのペースト前駆体の横漏れするのを防止することができる。前ロール表面に付着したペースト前駆体はブレードにより掻き取られるが、前ロールへのブレード押し圧が弱いとペースト前駆体が完全に掻き取られず、前ロールへのリターン(戻り)ペースト前駆体が多くなる。また、ブレードの長手方向の前ロールへの接触が不均一な場合、ブレードとロールとの間に隙間が生じ、その部分についてはペースト前駆体をきれいに掻き取ることができない。また、たとえ均一に接触していた場合でも、ブレード押し圧が極端に低い場合は、ブレードの左右の前ロールへの「当たり」が不均一となり、ペースト前駆体の掻き取り量が左右で異なり、その結果、分散性が悪くなる。三本ロールの後ロール、中ロール間の間隙及び前ロール、中ロール間の間隙についてはロール間隙をデジタル又はアナログで数値を読みとり、作業者がロール間隙を調整する。
[実施例]
はじめに、以下の実施例においては、高沸点の有機溶剤を有機溶剤A、低沸点の有機溶剤を有機溶剤Bと記述する。また、高沸点の有機溶剤Aと低沸点の有機溶剤Bの重量比率A/重量比率Bを、A/B=85/15などと記述する。使用した材料は表1にまとめて示す。
次に、以下の実施例において使用した材料、および、本発明の製造方法により作製した固体粉末含有ペーストの評価方法について(1)〜(4)に示す。
(1)固形粉末の平均粒径を、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子製)で測定した。
(2)粘度計(BROOKFIELD社製、タイプ:デジタル粘度計HBDV−II)を用いて10rpmでペーストの粘度計測を行なった。
500メッシュのスクリーン版を用意し、以下の有効印刷エリア40mm2において、ファインパターン印刷により成膜した。このとき、金属顕微鏡により大きさが20μm以上の突起物を計測した。
(3)導電ペーストを使用した場合の確認方法
前記スクリーン版を用いて、厚さ5μmの金属配線をライン幅/スペース=40μm/40μmで長さ30mmに形成し、ランダムに10箇所選択して触針式段差計(DEKTAK)により配線の表面粗さおよび突起物の数を計測した。このとき、表面粗さが3μm以上、突起物が10個以上で不良と判断した。
(4)絶縁ペーストを使用した場合の確認方法
前記スクリーン版を用いて、厚さ5μmの平坦膜を広さ30mm2で形成し、ランダムに10箇所選択して触針式段差計(DEKTAK)により絶縁膜の表面粗さおよび突起物の数を計測した。このとき、表面粗さが3μm以上、突起物が10個以上で不良と判断した。
実施例1、3、5には、導電性ペーストの製造方法につき、実施例2、4、6には、絶縁性ペーストの製造方法ついて示した。また、評価結果を表2にまとめて示す。
(実施例1)
高沸点有機溶剤のみを使用する。平均粒径0.5μmのCu粉末と、樹脂バインダーとしてエチルセルロース樹脂と、有機溶剤Aとして沸点が210℃のターピネオールを準備した。まず、ターピネオール14.95質量部と、Cu粉末50質量部とステアリン酸0.05重量部をジルコニアビーズ(粒径2mm)とともにジルコニア容器中に調合し、ロッキングミル(セイワ技研製、タイプ:RM−05)を用いて一定周波数で2時間分散処理を行なった後にふるいを通し、1次混合物を得た。
次に、前記1次混合物中に樹脂バインダーであるエチルセルロースを35質量部添加し、さらに50℃の加温下で縦型攪拌装置を用いて一定回転速度で1時間攪拌処理を行ない、2次混合物を得た。
続いて、2次混合物を三本ロール(井上製作所製)で分散・混練処理を行ない、2次混合物に含まれる有機溶剤であるターピネオールの一部を蒸発させながらペーストを均一に分散・混練した後、導電性のペースト1を得た。三本ロールによる分散・混練条件は、ローラー間隔を5μmとし、パス時間を5分とした。得られたペースト1を粘度計(BROOKFIELD社製、タイプ:デジタル粘度計HBDV−II)を用いて粘度計測を10rpmで行なった結果、粘度は230[Pa・s]であった。
(実施例2)
高沸点有機溶剤のみを使用する。平均粒径0.4μmのSiO2粉末と、樹脂バインダーとしてポリビニルブチラール樹脂と、有機溶剤Aとして沸点が171℃のブチルセロソルブを準備した。まず、ブチルセロソルブ25質量部と、SiO2粉末50質量部をジルコニアビーズ(粒径2mm)とともにジルコニア容器中に調合し、実施例1と同様にして、1次混合物を得た。
次に、前記1次混合物中に樹脂バインダーであるポリビニルブチラールを25質量部添加し、実施例1と同様にして2次混合物を得た。
続いて、実施例1と同様にして、2次混合物を三本ロールで分散・混練処理を行ない、絶縁性のペースト2を得た。得られたペースト2の粘度は240[Pa・s]であった。
(実施例3)
有機溶剤Aとして、210℃のターピネオール、有機溶剤Bとして、沸点が56℃のアセトンを用い、溶剤混合比率A/B=14.95/50とした。平均粒径0.5μmのCu粉末50質量部と、有機溶剤Aと有機溶剤Bとステアリン酸0.05重量部とを混合して合計で65質量部と、ジルコニアボール(1mm径)をジルコニア容器中に調合し、実施例1と同様にして1次混合物を得た。
続いて、樹脂バインダーとしてエチルセルロースを35質量部1次混合物へ添加し、減圧下50℃の下での減圧蒸留によりアセトンを蒸留させるとともに、樹脂バインダーを1次混合物中へ十分に膨潤させ2次混合物を得た。
続いて、実施例1と同様にして、2次混合物を三本ロールで分散・混練処理を行ない、2次混合物に含まれる有機溶剤の一部を蒸散させながらペーストを均一に分散・混練して導電性のペースト3を得た。三本ロールによる分散・混練条件は、ローラー間隔を5μmとし、パス回数を5回とした。得られたペーストの粘度は230[Pa・s]であった。
(実施例4)
有機溶剤Aとして、沸点が171℃のブチルセロソルブ、有機溶剤Bとして、沸点が78℃のエタノールを用い、溶剤混合比率A/B=20/10とした。平均粒径が0.3μmのAl2O3フィラーと平均粒径が0.1μmのSiO2フィラーとを合計で40質量部と、混合した有機溶剤を40質量部と、ジルコニアボール(1mm径)をジルコニア容器中に調合し、実施例1と同様にして、1次混合物を得た。
続いて、樹脂バインダーとしてポリビニルブチラール20質量部を1次混合物へ添加し、減圧下50℃の下での減圧蒸留によりエタノールを蒸留させるとともに、樹脂バインダーを1次混合物中へ十分に膨潤させ2次混合物を得た。
続いて、実施例1と同様にして、2次混合物を三本ロールで分散・混練処理を行ない、2次混合物に含まれる有機溶剤の一部を蒸散させながらペーストを均一に混練して絶縁性のペースト4を得た。得られたペースト4の粘度は240[Pa・s]であった。
(実施例5)
有機溶剤Aとして、沸点が171℃のブチルセロソルブ、有機溶剤Bとして、沸点が56℃のアセトンを用い、溶剤混合比率A/B=19.95/50とした。以下、実施例3と同様にして、導電ペースト5を得た。得られたペースト4の粘度は230[Pa・s]であった。
(実施例6)
有機溶剤Aとして、沸点が208℃のエチレングリコールモノヘキシルエーテル、有機溶剤Bとして、沸点が82℃の2−プロパノールを用い、溶剤混合比率A/B=20/10とした。以下、実施例4と同様にして、絶縁ペースト6を得た。得られたペースト4の粘度は220[Pa・s]であった。
表1には、各実施例における有機溶剤の配合比率と得られたペーストの粘度をまとめて示した。また、表2には、各実施例で得られたペーストのスクリーン印刷における印刷性につき、印刷膜の膜表面粗さ及び膜表面の突起物の相対数を示した。
Figure 2009091515
Figure 2009091515
表1,2から明らかなように、以上の実施例にて作製したペーストの粘度は、200[Pa・s]〜240[Pa・s]の範囲にあり、製造方法の安定性が確認された。また、ペーストの表面粗さは1.5μm〜2.6μmの範囲にあり、突起物の数は、0個〜4個の範囲であった。本発明の製造方法によるペーストにより、半導体ウエハ上にトランジスタやダイオードなどが形成された電子部品などの多層配線を有する回路基板を作製する上では、非常にショートやピンホールの少ない回路基板が得られる。
本発明のペーストの製造工程

Claims (9)

  1. 有機溶剤中に少なくとも固体粉末を分散させ1次混合物を作製する分散工程と、
    前記1次混合物に樹脂バインダーを添加して2次混合物を作製する添加工程と、
    前記2次混合物より前記有機溶剤の一部を蒸散してペースト前駆体を作製する有機溶剤蒸散工程と、
    前記ペースト前駆体を分散乃至混練する分散・混練工程と、
    を含むことを特徴とするペーストの製造方法。
  2. 前記有機溶剤は、沸点の異なる2種類以上の溶剤を含む混合溶剤であることを特徴とする請求項1に記載のペーストの製造方法。
  3. 前記混合溶剤は、沸点が35℃以上かつ100℃未満の低沸点有機溶剤と、沸点が150℃以上かつ250℃未満の高沸点有機溶剤とを含むことを特徴とする請求項2に記載のペーストの製造方法。
  4. 前記1次混合物は、樹脂バインダーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のペーストの製造方法。
  5. 前記固体粉末は、導電性フィラー又は絶縁性フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のペーストの製造方法。
  6. 前記有機溶剤蒸散工程は、加熱と減圧のうち少なくとも一手法を用いて2次混合物中の有機溶剤の一部を35℃〜100℃で蒸発除去することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペーストの製造方法。
  7. 前記有機溶剤蒸散工程は、樹脂バインダーを有機溶剤に溶解する工程と、有機溶剤の一部を蒸散させる工程とを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のペーストの製造方法。
  8. 前記分散・混練工程は、有機溶剤の一部を蒸散させる工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のペーストの製造方法。
  9. 沸点が35℃以上かつ100℃未満の低沸点有機溶剤と、沸点が150℃以上かつ250℃未満の高沸点有機溶剤とを含む混合溶剤中に、固体粉末を分散させて1次混合物を作製し、
    該1次混合物に樹脂バインダーを添加して2次混合物を作製し、
    該2次混合物を加熱して一部の有機溶剤を除去してペースト前駆体とし、
    該ペースト前駆体を分散乃至混練して均一化したペースト。
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