JP2009090967A - 自動車用ウエザストリップ - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量化し、フランジ部に対する挟持力を確保し、容易に安価に製造することができる自動車用ウエザストリップを得る。
【解決手段】自動車用ウエザストリップ10は、断面略U字形のトリム部20と、シール部40を有する。トリム部20は、インサート部材26と、インサート部材を被覆する被覆材を有し、被覆材はトリム部の内面にフランジ部9を保持する保持リップ24、25を備え、被覆材としてEPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材を用い、比重が0.6〜0.8で、かつ、25%伸張応力が500KPa以上の物性を有するゴムのスポンジ材を使用したことを特徴とする自動車用ウエザストリップである。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材の間をシールする自動車用ウエザストリップに関するものである。特に、車体開口部周縁又は開口部開閉部材に形成されたフランジ部に取付けられるトリム部と、開口部開閉部材又は車体開口部周縁に当接してシールするシール部を有する自動車用ウエザストリップに関するものである。
本発明を車体開口部周縁のフランジ部に取付けられ、自動車ドア閉時にドアと当接し、ドアと車体との間をシールするオープニングトリムウエザストリップを例に取り説明する。
図4に示すように、自動車の車体の車体開口部周縁6に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110は、押出成形により成形され、トリム部120と、カバーリップ130と中空シール部140から構成されている。
トリム部120は、断面略U字形をなし、車体開口部周縁6に形成されたフランジ部9を把持して、オープニングトリムウエザストリップ110を車体開口部の全周に亘り取付けるものである。トリム部120は、その内部にインサート部材126が埋設され、上記断面略U字形の内面にはフランジ部9を保持する車外側保持リップ124と車内側保持リップ125が形成されており、保持リップ124、125によって、車体1のフランジ部9に保持されている。
中空シール部140は、トリム部120の車外側の外面に一体的に形成され、ドア2が閉じられたときに、ドア2の外周に当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。中空シール部140は、ドア2の形状に合わせて柔軟に当接し、確実にシールするようにゴムのスポンジ材で形成されている。通常、このスポンジ材は、柔軟性、耐候性、伸び、剛性を考慮して比重0.4〜0.6、25%伸張応力が140KPa〜190KPaのEPDMのスポンジゴムが用いられていた。ここで比重が0.4より小さくなると所定の剛性(25%伸張応力)が得られず、ドア閉時のシール圧が得られ難くなるとともに、車体開口部周縁6のコーナー部に沿って湾曲して装着される時に不必要な変形が生じる恐れがあり、反対に比重が0.6より大きくなると、剛性が高くなり、ドア閉力が上がるという不具合がある。
カバーリップ130は、トリム部120の車内側の外面から車内方向に延設され、車内に設けられたガーニッシュ等に当接して、オープニングトリムウエザストリップ110とガーニッシュや車体との間の隙間をカバーしている。なお、カバーリップ130の表面には装飾のためにソリッド材の熱可塑性エラストマー製の表皮層133が設けられている。
このようなオープニングトリムウエザストリップ110においては、トリム部120は、フランジ部9を確実に保持するために、その内部にインサート部材126が埋設され、上記車外側保持リップ124と車内側保持リップ125を含み、上記インサート部材126を被覆するための材料として、EPDMゴムのソリッド材が使用されていた。このEPDMゴムのソリッド材の比重は、1.2〜1.3程度であり、25%伸張応力としては800KPa以上の大きな値であり、充分な剛性を備えたものであった。そのため、EPDMゴムのソリッド材によるトリム部120は、その車外側保持リップ124と車内側保持リップ125でフランジ部9を挟持して、安定してその取付け姿勢を保持することができる。
しかし、近年地球環境の保護のため、自動車の軽量化が求められ、自動車の軽量化のために、オープニングトリムウエザストリップ110等においても軽量化が必要となり、ソリッド材を微発泡させて軽量化が図られていた(例えば、特許文献1〜4参照。)。
しかしながら、ソリッド材を微発泡させたものは、その比重が0.8〜1.05程度であり通常のスポンジ材の比重が0.4〜0.6程度のものと比べて、軽量化が不充分であった。これは、被覆材としての材料をソリッド材(比重1.2〜1.3)から通常のスポンジ材(比重0.4〜0.6程度のもの)に発泡率を上げると、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125の剛性が低下(25%伸張応力が140KPa〜190KPa)し過ぎてしまい、トリム部120をドア開口部周縁の上辺部のフランジ部9に取付けたときに、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125による挟持力の低下から抜け荷重が低下して、フランジ部9からトリム部120が抜けやすくなることと、オープニングトリムウエザストリップ110をドア開口部周縁のコーナー部に沿って湾曲して装着する時に、トリム部120が傾き、中空シール部140が所定位置からズレてシール性が確保できない恐れがあったため微発泡に留めていた。
ところで、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125の剛性を確保するには、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125の肉厚を大きくすればよいが、トリム部120の断面略U字形の内部は狭く、その肉厚を大きくすることには限界があった。通常のスポンジ材で車外側保持リップ124と車内側保持リップ125を形成した場合に、ソリッド材又は微発泡材と同等の剛性を得るには、その肉厚(約1.0〜1.5mm)を2倍以上にあげる必要があり、実用的ではなかった。
なお、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125の肉厚を従来と同じ厚さとし、微発泡材料に発泡剤を多く入れて比重を0.6〜0.8に調整した場合の25%伸張応力は200KPa〜350KPaで、比重が0.8〜1.05程度の従来の微発泡材料の半分以下の値となり、トリム部120としての機能を発揮しなかった。
実開昭57―153050号公報 特開平11−193335号公報 特開2000−264135号公報 特開2002−316537号公報
上記のように、トリム部120を形成するソリッド材は、比重が約1.2であり、微発泡材は、比重が約0.8〜1.05であるため、さらに発泡させて比重を小さく(約0.5〜0.8程度)することが求められている。
しかしながら、上記のように微発泡材料をさらに発泡させて、比重を小さくすると、軽量化の要請に対しては好ましいが、剛性は低下してしまうこととなり、取付部としてのトリム部120の機能が発揮されなくなる。
このため、ウエザストリップをより軽量化するとともに、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125の外形形状を大きく変えることなく剛性を確保して、フランジ部9から抜けにくい、また、トリム部の取付姿勢を維持でき、容易に安価に製造することができる自動車用ウエザストリップを得ることが望まれていた。
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材との間をシールする自動車用ウエザストリップにおいて、該自動車用ウエザストリップは、上記車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジ部に取付けられウエザストリップを保持する断面略U字形のトリム部と、該トリム部の外面に一体的に形成され上記開口部開閉部材又は開口部周縁に当接してシールするシール部を有し、上記トリム部は、インサート部材と、該インサート部材を被覆する被覆材を有し、上記断面略U字形の内面に上記フランジ部を保持する保持リップを形成し、
上記被覆材は、EPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材を用い、比重が0.6〜0.8で、かつ、25%伸張応力が500KPa以上の物性を有するゴムのスポンジ材を使用し、
上記シール部は、オレフィン系熱可塑性合成樹脂がブレンドされていないEPDMゴムを用い、比重が0.4〜0.6で、かつ、25%伸張応力が200KPa以下の物性を有するゴムのスポンジ材で形成されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
請求項1の本発明では、自動車用ウエザストリップは、車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジ部に取付けられウエザストリップを保持する断面略U字形のトリム部と、トリム部の外面から突出して一体的に形成され開口部開閉部材又は車体開口部周縁に当接してシールするシール部を有する。このため、トリム部が車体開口部周縁の又は開口部開閉部材のフランジ部に取付けられると、シール部が確実に開口部開閉部材又は車体開口部周縁に当接して車体開口部周縁と開口部開閉部材との間をシールすることができる。
トリム部は、内部にインサート部材を有し、このインサート部材を被覆する被覆材を有している。また、トリム部の被覆材は断面略U字形の内面においてフランジ部を保持する保持リップを形成している。このため、インサート部材により、トリム部の外形が維持されるとともに、車体等のフランジ部を把持する力が大きくなり、確実にウエザストリップを取付けることができる。また、インサート部材は被覆材によって被覆されるので、美観を向上させるとともに、インサート部材の腐食を防止することができる。
被覆材は、EPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材を用い、比重が0.6〜0.8で、かつ、25%伸張応力が500KPa以上の物性を有するゴムのスポンジ材を使用した。このため、ウエザストリップのトリム部の重量を軽減することができるとともに、トリム部の断面略U字形の内面に形成された保持リップが充分な剛性を有することができ、トリム部の抜け荷重を大きくして、トリム部がフランジ部を確実に把持することができる。
ゴムのスポンジ材は、EPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材であり、オレフィン系熱可塑性合成樹脂をブレンドすることおよび/またはEPDMゴムの架橋密度を大きくして、剛性を上げることができる。そのため、保持リップの外形形状を大きく変化させなくても、その形状を維持できるとともに、フランジ部の挟持においても充分な剛性を備えることができる。
なお、オレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド割合を調整して弾性と剛性を調整することができる。そのため、上記保持リップは、適度な柔軟性(弾性)を有し、上記フランジ部の肉厚が変化しても、保持リップの撓みにより保持力を維持することができ、また、フランジ部の凹凸や屈曲に応じて確実にフランジ部を把持することができる。
シール部は、オレフィン系熱可塑性合成樹脂がブレンドされていないEPDMゴムを用い、比重が0.4〜0.6で、かつ、25%伸張応力が200KPa以下の物性を有するゴムのスポンジ材で形成されている。このため、シール部の重量を低減することができ、ウエザストリップの全体を軽量化することができる。
また、25%伸張応力が200Kpa以下の物性を有するスポンジ材で形成されたため、柔軟性に優れて、シール部が相手部材に当接したときに、相手部材の形状に応じて変形して確実にシールすることができるとともに、ドア閉力の増加を抑制することができる。
請求項2の本発明は、トリム部は、その外面から車内側に延設され一体的に形成されたカバーリップを有し、該カバーリップは、上記EPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材であるゴムのスポンジ材で形成される自動車用ウエザストリップである。
請求項2の本発明では、トリム部に一体的に形成されたカバーリップを有し、その成形材料をトリム部の被覆材と同じEPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材であるゴムのスポンジ材で形成したため、カバーリップがウエザストリップと車体の内装部材又はガーニッシュ等の間をカバーすることができ、美観を向上させることができる。
また、カバーリップは、上記ゴムのスポンジ材で形成したため、カバーリップの部分の重量を低減することができ、自動車の軽量化に資することができる。
さらに、ゴムのスポンジ材は、被覆材と同じEPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材であり、合成樹脂をブレンドすることおよび/またはEPDMゴムの架橋密度を大きくして、剛性を上げることができ、ブレンド割合を調整して弾性と剛性を調整することができる。そのため、カバーリップがリップの形態をなしていても、その形状を維持できるとともに、ガーニッシュ等の相手部材との当接においても充分な当接力を備えることができる。
請求項3の本発明は、上記シール部は、中空形状である自動車用ウエザストリップである。
請求項3の本発明では、シール部は、中空形状であるため、ドア閉時にシール部が開口部開閉部材であるドアや車体開口部周縁に当接して変形しやすく、ドアや車体開口部周縁の凹凸や曲面に対しても確実に当接することができる。また、ドア閉時にもリップ形状と比べて、異常変形することが無く、車体やドアの寸法ばらつきがあっても確実にシールすることができる。
請求項4の本発明は、上記シール部と上記カバーリップの外表面はソリッド材で被覆された自動車用ウエザストリップである。
請求項4の本発明では、シール部とカバーリップの外表面はソリッド材で被覆されたため、表面が円滑であり、美観を向上させることができる。シール部は、内側の部分が比重が0.4〜0.6、かつ、25%伸張応力が200Kpa以下の物性を有するゴムのスポンジ材で形成されたため、シール部の重量を低減することができ、ウエザストリップの全体を軽量化できる。しかし、内側の部分はスポンジ材のため、その外面には発泡による凹凸が生じる。その凹凸を目立たさせなくするためと、表面の耐摩耗性向上のためにゴムのソリッド材で被覆される。カバーリップも同様に内側の部分はスポンジ材のため、その外面には発泡による凹凸が生じる。その凹凸を目立たさせなくするためと、表面の耐摩耗性向上のために熱可塑性エラストマーのソリッド材で被覆される。
被覆材はトリム部の断面略U字形の内面においてフランジ部を保持する保持リップを形成するため、保持リップでフランジ部を確実に保持し、フランジ部の凹凸や屈曲に応じて確実にフランジ部を把持することができる。
被覆材としてEPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材を用い、比重が0.6〜0.8で、かつ、25%伸張応力が500KPa以上の物性を有するゴムのスポンジ材を使用したため、ウエザストリップのトリム部の重量を軽減することができるとともに、保持リップが充分な剛性を有することができ、トリム部がフランジ部を確実に把持することができる。
本発明の実施の形態を、オープニングトリムウエザストリップを例にとり、図1〜図3に基づき説明する。本発明は、オープニングトリムウエザストリップ10以外にも、断面略U字形の取付部としてのトリム部を有するルーフウエザストリップ、ドアウエザストリップ、バックドアウエザストリップ、ラッゲージウエザストリップ等に適用することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10の断面図である。図2は、ドア2を開いた状態の自動車を後方から見た斜視図である。図3は、本発明のオープニングトリムウエザストリップ10を押出成形により製造する工程を示す概念図である。表1は、被覆材の材料配合と物性値を示す表である。
図2に示すように、本発明のオープニングトリムウエザストリップ10は、開口部開閉部材であるドア2により開閉される車体の開口部の車体開口部周縁6に形成されたフランジ部9に対して、全周に亘り環状に取付けられている。
図1は、本発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10の断面図である。オープニングトリムウエザストリップ10は、取付部としてのトリム部20とカバーリップ30と中空シール部40からなる。なお、後述するようにカバーリップ30の上面には、表皮層33が設けられている。
トリム部20は、車外側側壁21と、車内側側壁22と、底壁23から形成される断面略U字形をなし、内部にインサート部材26が埋設されている。また、底壁23の外面から車室内側に延びるカバーリップ30が設けられている。図1に示すように、トリム部20の断面略U字形の内面には複数の車外側保持リップ24と1つの車内側保持リップ25が設けられている。
トリム部20の断面略U字形の内側部分に車体開口部周縁6のフランジ部9が挿入され、車外側保持リップ24と車内側保持リップ25により挟持されて、オープニングトリムウエザストリップ10が上記フランジ部9に装着される。従って、トリム部20は取付部としての役割を果たしている。
車外側保持リップ24は、本実施の形態においては、短い3本のリップであり、トリム部20の車外側側壁21の内面に長手方向に連続して形成されている。車外側保持リップ24は、フランジ部9の側面に当接し、フランジ部9に対し車外側側壁21を平行に保持している。このため、トリム部20の車外側側壁21の外面に形成されている中空シール部40が確実に相手部材であるドア2に当接し、ドア2と車体開口部周縁6との間のシール性を確保することができる。
車内側保持リップ25は車外側保持リップ24よりも長く1本のリップとして形成されている。長いリップであるため、フランジ部9の肉厚が変化しても、車内側保持リップ25が適度な剛性を持って撓みやすく、フランジ部9を確実に保持することができる。また、フランジ部9の挿入時には、その挿入力を下げ、反対にフランジ部9から抜けようとする時には、その可撓性により、フランジ部9にまとわりついてトリム部20の抜けを防止することができる。
トリム部20の被覆材は、比重が0.6〜0.8で、かつ、25%伸張応力が500KPa以上の物性を有する硫黄架橋のEPDMゴムを主成分とし、オレフィン系熱可塑性樹脂がブレンドされたゴムのスポンジ材を使用している。
なお、25%伸張応力とは、JISK6254で定義するもので、加硫ゴムの低変形における静的弾性率を測定したものである。
上記のゴムのスポンジ材では、EPDMゴム100重量部に対して、オレフィン系熱可塑性樹脂が12重量部〜20重量部ブレンドされている。オレフィン系熱可塑性樹脂のブレンド量が12重量部より小さい場合には、25%伸張応力を500KPa以上にすることが難しく、オレフィン系熱可塑性樹脂のブレンドに加えて、25%伸張応力を500KPa以上にするためにEPDMゴム中のジエン(二重結合部分)の配合量を通常の配合量よりもかなり多くした特殊なEPDMゴムを用いて架橋密度を上げて対応することが必要となり、その結果、オープニングトリムウエザストリップ10の製造コストが増大してしまい実用的ではない。
反対に20重量部を超えてオレフィン系熱可塑性樹脂をブレンドすると、25%伸張応力は500KPa以上にし易くはなるが、トリム部20及び車外側保持リップ24、車内側保持リップ25の可撓性が悪くなり、車体開口部周縁のコーナー部へ湾曲させてオープニングトリムウエザストリップ10を装着した時などに、トリム部20が湾曲に追従し難く、また、車体のフランジ部9の挿入時に、フランジ部9の挿入荷重が増加し、さらに、押出成形状態である直線状に戻ろうとする力により、車体開口部周縁のコーナー部においてフランジ部9から抜けようとする不具合がある。
上記オレフィン系熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・オクテン樹脂等EPDMゴムと相性が良いものを使用できる。表1に示す実施例1、2においては、エチレン・オクテン樹脂を使用した。
Figure 2009090967
表1に示すように、実施例1、実施例2のゴムのスポンジ材は、EPDM100重量部に対してオレフィン系熱可塑性合成樹脂であるエチレン・オクテン樹脂を12重量部と20重量部、それぞれブレンドした材料であり、樹脂がブレンドされていない比較例3、4に比べて剛性(25%伸張応力)が大きくされている。また、樹脂がブレンドされている微発泡材の比較例1に対しては、比重が比較例1の方が大きく軽量化が満足されない。そのため、比較例1の材料に発泡剤を増加して比重を0.7になるように調整したものが比較例2であるが、単純に発泡比率を上げて軽量化すると剛性(25%伸張応力)が大きく低下してしまう。これに対して、実施例1では、EPDM中のジエン量を増やし、ゴムの架橋密度を大きくして剛性を上げることができた。
表1の実施例1又は実施例2の被覆材としてのゴムのスポンジ材は、比重が0.6〜0.8内(比重0.7)で、25%伸張応力が500KPa以上(580KPa、530KPa)の物性を有している。このため、車外側保持リップ24と車内側保持リップ25が充分な剛性と可撓性を有することができる。そして、トリム部20がフランジ部9を確実に把持することができるとともに、トリム部20がフランジ部9から外れようとするときに、抜け荷重を大きくして、抜け難くしている。
また、被覆材を上記ゴムのスポンジ材で形成したとしても、車外側保持リップ24と車内側保持リップ25の肉厚を通常の肉厚である1.0mm〜1.5mm程度にすることができる。このため、トリム部20の断面略U字形の内側部分にフランジ部9を挿入する場合において荷重を増加させることがない。
さらに、トリム部20の被覆材の内部にインサート部材26が埋設されている。そのため、トリム部20を上記のスポンジ材で形成しても、トリム部20の断面略U字形の形状が保持され、その結果、フランジ部9に対する保持力を充分に確保することができる。
また、トリム部20の被覆材がゴムのスポンジ材で形成されているため、重量を軽減でき、オープニングトリムウエザストリップ10の軽量化に貢献することができる。
上述のように、トリム部20の底壁23の外面、図1においては下面から、円弧状にカバーリップ30が車内方向に一体的に延設されている。カバーリップ30は、後述する中空シール部40よりも車内側に形成される。カバーリップ30の先端部分であるカバーリップ先端部32は、車内に取付けられたガーニッシュ50に当接して、ガーニッシュ50とオープニングトリムウエザストリップ10の間の隙間を覆い、見栄えを向上させている。ガーニッシュ50がない部分等では、車内の別の内装部材、天井内貼り材等に当接して隙間を覆っている。
カバーリップ30は、カバーリップ本体31とカバーリップ本体31を覆う表皮層33から形成されている。カバーリップ本体31は、トリム部20を形成する被覆材のゴムのスポンジ材と同じ材料で一体的に形成されている。このため、カバーリップ30の重量を低減することができ、オープニングトリムウエザストリップ10の軽量化に貢献することができる。また、カバーリップ30の剛性と柔軟性を増加させているので、ガーニッシュ50と隙間無く容易に当接させることができる。
なお、軽量化の点で言えば、シール部40に適用される通常の比重0.4〜0.6のEPDMゴムのスポンジ材を用いた方が有利ではあるが、カバーリップ30がリップの形態をなしているため、低比重で低剛性の材料では、その形状を維持できない恐れがあるとともに、ガーニッシュ等の相手部材との当接においても充分な当接力が得られない恐れがあるため、上記の表1の実施例1に示す中比重、高剛性のスポンジ材を用いた。
しかし、中比重と言えども、トリム部20とカバーリップ本体31にスポンジ材を用いたため、従来の微発泡材に比べそれらの重量を大きく低減することができ、オープニングトリムウエザストリップ10の重量を大きく低減することができた。
トリム部20の底壁23の外面とカバーリップ30の上面(図1では下面)には、表皮層33が固着されている。カバーリップ30の上面は車室内側から見ることができるが、トリム部20とカバーリップ30は、比重が0.6〜0.8のスポンジ材であるため、表面に凹凸を有する。しかし、表皮層33を熱可塑性エラストマーのソリッド材で構成すれば、表面は滑らかになり、美観を向上させることができる。
ここで、表皮層33の材料を熱可塑性エラストマーのソリッド材としたのは、後述するように、加硫、発泡工程の後にシート状の熱可塑性エラストマーのソリッド材の貼付けが可能だからであって、後貼付けが難しい形状の場合、ゴムのソリッド材の同時押出成形で表皮層33を形成する場合もある。
また、この表皮層33は、デザイン的に自動車の内装の色彩や色艶に対応してその表面模様を変化させることが必要であり、内装に調和した表面模様を有する表皮層33を使用することができる。
表皮層33は、カバーリップ本体31のカバーリップ先端部32を完全に覆って、カバーリップ本体31の内面側まで達している。
この表皮層33は、熱可塑性エラストマーのソリッド材で構成すると、表面に気泡等の凹凸を発生させなくすることができ、ガーニッシュ等の表面のシボ模様に調和させ、見栄えが良く、また、シボ模様の転写を確実にすることができる。
さらに、熱可塑性エラストマーを使用するため、オープニングトリムウエザストリップ10の他の部分をスポンジ材で形成した場合でも、スポンジ材の加硫と発泡の終了後に、熱可塑性エラストマーの表皮層33を圧着させることができる。
なお、通常の比重0.4〜0.6、200KPa以下のスポンジ材でカバーリップ本体31を形成した場合、スポンジ材の加硫と発泡の終了後に、熱可塑性エラストマーの表皮層33を押圧ローラーによって圧着させることが難しい(スポンジ材の剛性が低くローラー圧着ができない)が、本発明では、スポンジ材の剛性が高いため、表皮層33を押圧ローラーによって圧着させることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、カバーリップ本体31がEPDMゴムとオレフィン系熱可塑性樹脂を含む材料で形成される場合は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。この場合、表皮層33が容易にカバーリップ本体31と溶融して、カバーリップ本体31と表皮層33との溶着が強くなるため好ましい。
このオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ゴム分と樹脂分の重量比率が70:30〜80:20にすることが好ましい。ゴム分としては、EPDMゴムとオイル分、樹脂分としては、ポリプロピレン樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
中空シール部40は、トリム部20の車外側側壁21の外面に一体的に車外方向に形成されている。中空シール部40は、中空シール部内壁41と中空シール部表皮層42から構成されている。中空シール部内壁41は、トリム部20の車外側側壁21から延設された中空シール部根元部43から一体的に形成されている。
中空シール部40の中空シール部内壁41は、中空シール部根元部43を除いてオレフィン系熱可塑性樹脂が配合されていないEPDMゴムの比重が0.4〜0.6で、かつ、25%伸張応力が200Kpa以下の物性を有するゴムのスポンジ材で形成されている。
そのため、中空シール部40の重量を低減することができ、オープニングトリムウエザストリップ10の全体を軽量化することができる。
また、上記のスポンジ材で形成したため、中空シール部40は、柔軟性に優れて、中空シール部40が相手部材であるドア2に当接したときに、ドア2のドアフレーム等の凹凸や曲面の形状に応じて変形して、確実にシールすることができるとともに、ドア2の閉力を軽減することができる。
なお、中空シール部根元部43をオレフィン系熱可塑性樹脂が配合されていないEPDMゴムの比重が0.4〜0.6で、かつ、25%伸張応力が200Kpa以下の物性を有するゴムのスポンジ材で形成しないのは、上記中空シール部40を車体開口部周縁6のコーナー部に沿って湾曲して装着する時に、剛性不足から中空シール部が潰れるように異常変形することを防止するためである。
中空シール部表皮層42は、EPDMソリッドゴム材で構成することが好ましい。これは、中空シール部40が小さな曲率の湾曲部を備えており、後工程での貼り合せが難しいからであり、小さな曲率の湾曲部等がなければ、表皮層33と同様に、熱可塑性エラストマーのソリッド材で構成することもできる。
この場合、熱可塑性エラストマーとしては、中空シール部内壁41がEPDMスポンジゴムで形成される場合は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することが好ましく、中空シール部内壁41と中空シール部表皮層42との溶着が強くなる。
次に、このオープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。図3は、オープニングトリムウエザストリップ10の製造ラインの一部分を示す模式図である。
オープニングトリムウエザストリップ10は、まず、トリム部20とカバーリップ本体31及び中空シール部40が押出成形機61により成形される。
押出成形機61にインサート部材26を供給し、トリム部20の被覆材とカバーリップ本体31用のEPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材を用い、比重が0.6〜0.8で、かつ、25%伸張応力が500KPa以上の物性を有するゴムのスポンジ材と、中空シール部40用のオレフィン系熱可塑性合成樹脂がブレンドされていないEPDMゴムを用い、比重が0.4〜0.6で、かつ、25%伸張応力が200KPa以下の物性を有するゴムのスポンジ材をインサート部材26とともに押出成形する。
また、中空シール部表皮層42がゴムのソリッド材の場合は、上記の各スポンジ材とを同時に押出して形成する。その後、それらの一体押出物を高周波加熱炉62、熱風加熱炉63等に移送し、加熱して加硫、発泡させる。
その後、加硫、発泡されたトリム部20等の一体押出物は、カバーリップ30の表皮層33を押出成形する押出成形機64のノズルが取付けられた押出ダイスに送られる。ここで、上記加硫、発泡された一体押出物のカバーリップ本体31の上面に車内の内装に対応した色を有する表皮層33がシート状に押出される。
表皮層33がカバーリップ本体31の上面に押出された後、図3に示すように、押圧ローラー65に送られ押圧ローラー65により、表皮層33をカバーリップ本体31に押し付ける。このとき、表皮層33の表面に模様を形成してもよい。
さらに、曲げローラー66により、表皮層33の側部の端部をカバーリップ先端部32の裏面に回り込ませて、カバーリップ本体31と表皮層33を圧着する。
表皮層33が固着されたオープニングトリムウエザストリップ10は、冷却槽(図示せず)に送られ、水または冷風により冷却される。
冷却槽(図示せず)から出た加硫、発泡された一体押出物は、引取機(図示せず)により引き取られて、そのトリム部20が断面略U字形に曲げられて、所定の寸法に裁断された後、必要な場合は端末部が接着されてオープニングトリムウエザストリップ10となる。なお、オープニングトリムウエザストリップ10によっては両面接着テープやクリップ等が取付けられて製品となるものもある。
本発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップの断面形状であ る。 ドアを開けた状態で自動車を後方から見た斜視図である。 本発明の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップを製造する工程 の模式図である。 従来のオープニングトリムウエザストリップの断面形状である。
符号の説明
10 オープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部
26 インサート部材
24 車外側保持リップ
25 車内側保持リップ
30 カバーリップ
40 中空シール部

Claims (4)

  1. 自動車の車体の車体開口部周縁に取付けられ、車体開口部周縁と開口部開閉部材との間をシールする自動車用ウエザストリップにおいて、
    該自動車用ウエザストリップは、上記車体開口部周縁又は開口部開閉部材のフランジ部に取付けられウエザストリップを保持する断面略U字形のトリム部と、該トリム部の外面に一体的に形成され上記開口部開閉部材又は開口部周縁に当接してシールするシール部を有し、
    上記トリム部は、インサート部材と、該インサート部材を被覆する被覆材を有し、上記断面略U字形の内面に上記フランジ部を保持する保持リップを形成し、
    上記被覆材は、EPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材を用い、比重が0.6〜0.8で、かつ、25%伸張応力が500KPa以上の物性を有するゴムのスポンジ材を使用し、
    上記シール部は、オレフィン系熱可塑性合成樹脂がブレンドされていないEPDMゴムを用い、比重が0.4〜0.6で、かつ、25%伸張応力が200KPa以下の物性を有するゴムのスポンジ材で形成されたことを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
  2. 上記トリム部は、その外面から車内側に延設され一体的に形成されたカバーリップを有し、該カバーリップは、上記EPDMゴムとオレフィン系熱可塑性合成樹脂のブレンド材であるゴムのスポンジ材で形成される請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
  3. 上記シール部は、中空形状である請求項1又は請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ。
  4. 上記シール部と上記カバーリップの外表面はソリッド材で被覆された請求項2又は請求項3に記載の自動車用ウエザストリップ。
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