JP2009090581A - キャリア付きプリプレグの製造方法、キャリア付きプリプレグおよびその製造装置 - Google Patents

キャリア付きプリプレグの製造方法、キャリア付きプリプレグおよびその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】最外層であるキャリア表面の平滑性に優れるキャリア付きプリプレグを得ることができ、製品の歩留まりを向上させることができるキャリア付きプリプレグの製造方法、該方法により得られたキャリア付きプリプレグおよびその装置を提供する。
【解決手段】本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法は、長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアの前記絶縁樹脂層同士を繊維布を介して接合された接合体を熱硬化性樹脂の溶融温度以上に加熱処理することにより前記絶縁樹脂層をBステージ化し、前記絶縁樹脂層を構成する前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に保持したまま前記接合体を0.2MPa以上、1MPa以下の圧力で厚さ方向に押圧する。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子、電気機器に使用されるプリント配線板の材料として用いられるキャリア付きプリプレグの製造方法および該方法により得られたキャリア付きプリプレグ、さらにキャリア付きプリプレグの製造装置に関するものである。
近年、多層プリント配線板は、高密度、高実装化と共に薄型化が求められている。
多層プリント配線板としては、プリプレグを金属箔とともに積層して加熱加圧成形した金属箔張積層板を回路形成して内層回路基板を製作し、その表裏側にビルドアップ材と呼ばれる絶縁層と、導体回路層とを交互に積層していくビルドアップ方式により製造されるものが主流となっている。
多層プリント配線板は、そのサイズが大型であったり、微細ピッチのフリップチップなどの半導体部品を搭載したりする場合には、実装信頼性を確保するために充分な機械的強度を有している必要がある。このため、内層回路基板として厚みの大きいものを用いる方法があるが、高集積・高実装化に伴う高多層化により、多層プリント配線板の全体の厚みは増加するという問題があった。
そこで、ビルドアップ材としてプリプレグを使用することにより、プリプレグの基材により機械的強度を付与することにより、内層回路基板を薄型化しつつ、実装信頼性等を確保する工法が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
内層回路板にプリプレグをビルドアップする方法としては、内層回路板とプリプレグとを積層し、これを平板プレス装置で加熱加圧して硬化成形する方法、内層回路板とプリプレグとをロールラミネート装置で圧着成形した後、加熱乾燥装置で硬化する方法、などが挙げられる。
このうち、平板プレス装置を用いる方法は、加熱加圧成形時の樹脂の流動が比較的大きいので、プリプレグが有している絶縁層の形態が変化しやすい傾向がある。
一方、ロールラミネート装置を用いる方法では、形成される絶縁層の厚み精度を制御でき、所望とする絶縁層を形成しやすく、また、連続的に実施できるので生産性の面で効率的であるという利点を有する。このため、ロールラミネート装置を用いる方法には、厚み精度、含浸性に優れたプリプレグを用いることが有効な手段であると考えられる。
特許文献2および3には、溶剤系スラリーをシート状繊維基材に含浸したプリプレグと、キャリアフィルムとを表面が弾性材料で構成されたラミネートロールで加熱加圧して積層板を成形し、次いで熱硬化すること積層板の連続製造方法が記載されている。特許文献2および3には、この方法によれば、成形性、板厚精度等に優れたキャリア付きプリプレグを得ることができると記載されている。
特許文献4には、片面側に溶剤系スラリーからなる絶縁樹脂層が形成された第1及び第2の絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層側を、繊維布の両面側にそれぞれ重ね合わせ、減圧条件下においてラミネートロールで加熱加圧してこれらを接合する工程と、前記接合後に、前記絶縁樹脂の溶融温度以上の温度で加熱処理する工程と、を有するキャリア付きプリプレグを連続的に製造する方法が記載されている。特許文献4には、この方法によれば、含浸性、厚み精度に優れたキャリア付きプリプレグを得ることができると記載されている。
特開2004−342871号 特開2005−262591号 特開2005−271349号 国際公開第2007/040125号パンフレット
また、多層プリント配線板の薄型化がさらに求められるようになってきており、ひいてはキャリア付きプリプレグの薄膜化についてもさらに求められるようになってきている。そのため、キャリアの膜厚が薄くなり、特許文献2乃至4のようなラミネートロールを用いて連続的に生産する場合、キャリア付きプリプレグの最外層であるキャリア表面に皺が発生して平滑性が失われ、製品の歩留まりが低下する場合があることを本発明者らは見出した。
また、水系スラリーは溶剤系スラリーに比べて、キャリア付きプリプレグの樹脂層が硬く、加熱してもフィラーが動きにくいので、強制的に押圧して平滑性を出す必要がある。そのため、上記のような課題は、水系スラリーを用いて絶縁樹脂層付きキャリアを作成した場合に顕著であった。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法は、長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアを連続的に積層するキャリア付きプリプレグの製造方法であって、
(a)キャリアの片面に、熱硬化性樹脂を含有する水系スラリーを塗布して長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアを製造する工程と、
(b)長尺帯状の前記第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアの前記絶縁樹脂層同士を繊維布を介して接合し、接合体を形成する工程と、
(c)前記接合体を前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度で加熱処理することにより、前記絶縁樹脂層をBステージ化する工程と、
(d)前記絶縁樹脂層をBステージ化した後に、前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に保持したまま前記接合体を0.2MPa以上、1MPa以下の圧力で厚さ方向に押圧する工程と、を含み、
前記工程(a)乃至(d)の全工程を連続的に繰り返して行うことを特徴とする。
また、本発明のキャリア付きプリプレグの製造装置は、キャリアとその片面に形成された絶縁樹脂層とを備える長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアが巻き回された第1および第2の保持リールと、長尺帯状の繊維布が巻き回された第3の保持リールと、前記第1および第2の保持リールから巻き出された長尺帯状の前記第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアを、前記キャリア側から厚さ方向に押圧して、前記絶縁樹脂層同士を前記第3の保持リールから巻き出された前記繊維布を介して接合する一対の第1押圧ロールと、一対の前記第1押圧ロールにより形成された接合体を、前記絶縁樹脂層を構成する熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に加熱し、前記絶縁樹脂層をBステージ化する加熱部と、Bステージ化された前記絶縁樹脂層を含む前記接合体を、前記キャリア側から0.2MPa以上、1MPa以下の圧力で厚さ方向に押圧する一対の第2押圧ロールと、を備えることを特徴とする。
なお、本発明において絶縁樹脂層がBステージ化するとは、絶縁樹脂層の樹脂粘度が上がり硬化が進むが、加熱すると樹脂形状が変化し半硬化状態であることを意味する。
本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法および製造装置によれば、最外層であるキャリア表面の平滑性に優れるキャリア付きプリプレグを得ることができ、製品の歩留まりを向上させることができる。
以下に、本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法、キャリア付きプリプレグ、およびその製造装置について詳細に説明する。
[キャリア付きプリプレグの製造方法]
本発明に係るキャリア付きプリプレグの製造方法は、長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアを連続的に積層するものであり、以下の全ての工程(a)〜(d)を連続的に繰り返して行う。
工程(a):キャリアの片面に、熱硬化性樹脂を含有する水系スラリーを塗布して長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアを製造する。
工程(b):長尺帯状の前記第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアの前記絶縁樹脂層同士を繊維布を介して接合し、接合体を形成する。
工程(c):前記接合体を前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度で加熱処理することにより、前記絶縁樹脂層をBステージ化する。
工程(d):前記絶縁樹脂層をBステージ化した後に、前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に保持したまま前記接合体を0.2MPa以上、1MPa以下の圧力で厚さ方向に押圧する。
<工程(a)>
工程(a)においては、キャリアの片面に、熱硬化性樹脂を含有する水系スラリーを塗布して長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアを製造する。
絶縁樹脂層付きキャリアとしては、プリプレグや絶縁樹脂層付き金属箔、絶縁樹脂層付フィルム等を挙げることができる。絶縁樹脂層付き金属箔としては、絶縁樹脂層付き銅箔(RCC:Resin Coated Copper foil)等を挙げることができる。また、金属箔の代わりにフィルムを用いた絶縁樹脂層付きフィルム(RCF:Resin Coated Film)等を用いることもできる。
(キャリア)
工程(a)において用いられるキャリアについて説明する。
図1(1)は、本発明で用いられるキャリア1を例示したものである。
キャリア1は、矢印6側に連続的に搬送して供給することができ、幅方向寸法7を有している。ここで、幅方向寸法7とは、キャリア1の搬送方向と直交方向における寸法を指す。
このようなキャリア1としては、例えば、長尺状のシート形態のものを好適に用いることができる。
上記キャリアの材質としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂から形成される熱可塑性樹脂フィルムシート、あるいは、銅または銅合金、アルミまたはアルミ合金、銀または銀合金のような金属から形成される金属箔を好適に用いることができる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂フィルムシートを形成する熱可塑性樹脂としては、耐熱性に優れ、安価であることから、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、金属箔を形成する金属としては、導電性に優れ、エッチングによる回路形成が容易であり、また安価であることから銅または銅合金が好ましい。
上記キャリアとして熱可塑性樹脂フィルムシートを用いる場合は、絶縁樹脂層が形成される面に剥離可能な処理が施されたものであることが好ましい。これにより、多層プリント配線板の製造時または製造後に、絶縁樹脂層とキャリアとを容易に分離することができる。
この熱可塑性樹脂フィルムシートは、25〜75μm程度の厚みを有する。本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法であれば、上記範囲の膜厚を有する金属箔を最外層として用いたキャリア付きプリプレグであっても、キャリア(熱可塑性樹脂フィルムシート)表面の皺の発生を抑制することができるので平滑性を保持することができ、製品の歩留まりが向上する。
上記キャリアとして金属箔を用いる場合は、絶縁樹脂層が形成される面に剥離可能な処理が施されたものを用いてもよいし、このような処理が施されていないか、絶縁樹脂層との密着性を向上させる処理が施されたものを用いることもできる。
上記キャリアとして、絶縁樹脂層が形成される面に剥離可能な処理が施された金属箔を用いた場合は、上記熱可塑性樹脂フィルムシートを用いた場合と同様の効果を発現させることができる。
この金属箔は、1〜70μm程度の厚みを有する。本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法であれば、上記範囲の膜厚を有する金属箔を最外層として用いたキャリア付きプリプレグであっても、キャリア(金属箔)表面の皺の発生を抑制することができるので平滑性を保持することができ、製品の歩留まりが向上する。
なお、上記キャリアとして熱可塑性樹脂フィルムシート、あるいは、絶縁樹脂層が形成される面に剥離可能な処理が施された金属箔を用いる場合、絶縁樹脂層が形成される側のキャリア表面の凹凸は、極力小さいものであることが好ましい。これにより、多層プリント配線板を製造した場合に、絶縁層の表面平滑性を高めることができるので、絶縁層表面を粗化処理した後に金属メッキ等により新たな導体層を形成する際に、微細な回路をより容易に加工形成することができる。
一方、上記キャリアとして、剥離可能な処理が施されていないか、絶縁樹脂層との密着性を向上させる処理が施された金属箔を用いる場合は、多層プリント配線板の製造時に、この金属箔を回路形成のための導体層としてそのまま用いることができる。
このとき、絶縁樹脂層が形成される側のキャリア表面の凹凸としては、一例を挙げると、Ra:0.1〜0.5μmであるものを用いることができる。この場合は、絶縁層と金属箔との密着性を充分に確保できるとともに、この金属箔をエッチング処理等行うことにより、微細な回路を容易に加工形成することができる。
この金属箔は、1〜35μm程度の厚みを有する。本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法であれば、上記範囲の膜厚を有する金属箔を最外層として用いたキャリア付きプリプレグであっても、キャリア(金属箔)表面の皺の発生を抑制することができるので平滑性を保持することができ、製品の歩留まりが向上する。
この金属箔は、キャリア付きプリプレグを製造するのに用いる絶縁樹脂層付きキャリアのうちの一方のキャリアに用いて、キャリア付きプリプレグを製造することができる。
なお、この用途で用いる金属箔としては、1つの層から形成される金属箔を用いることもできるし、金属箔どうしが剥離可能な2つ以上の層から構成される金属箔を用いることもできる。例えば、絶縁層に密着させる側の第1の金属箔と、絶縁層に密着させる側と反対側に第1の金属箔を支持できるような第2の金属箔とを、剥離可能に接合した2層構造の金属箔を用いることができる。
(水系スラリー)
次に、上記絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層を形成する水系スラリーについて説明する。
水系スラリーは、熱硬化性樹脂および無機充填材を含むものであり、以下の実施形態の第1または第2の水系スラリーを例示することができる。なお、本実施形態において溶媒として水のみを含むが、有機溶媒好ましくは親水性有機溶媒を微量添加してもよい。
(第1の水系スラリー)
本実施形態における第1の水系スラリーは、熱硬化性樹脂の水性エマルジョンである。第1の水系スラリーは、熱硬化性樹脂と乳化剤とを溶融混合し、これに水を添加してウォーターインオイル型エマルジョンを経てオイルインウォーター型エマルジョンに転相させ、その後、さらに水を添加することにより得ることができる。
これらの工程は、乳化剤を含む溶融した熱硬化性樹脂に、水、通常は樹脂の軟化点以上に加熱した水を徐々に添加しつつ攪拌混合して水性エマルジョンとし(第1の水添加)、さらに、この水性エマルジョンに水を添加してエマルジョンをより安定化させるとともに、樹脂エマルジョンが適切な樹脂濃度になるようにする(第2の水添加)。次いで、必要により、無機フィラー、硬化剤、硬化促進剤、その他添加剤を配合して含浸用樹脂液とし、これを前記繊維基材に含浸等により担持する。これにより、有機溶剤を実質的に使用することなく従来のものと同等の特性を有するプリプレグを製造できるので、有機溶剤の除去や処理に必要な工程を省くことができる。
本実施形態に用いる熱硬化性樹脂について説明する。
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂等であり、特に限定されない。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等があり、シアネート樹脂としては、ビスフェノールA型やノボラック型シアネート樹脂、そのプレポリマーなどが挙げられる。
フェノール樹脂としてはノボラック型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独あるいは組み合わせて用いることにより、プリプレグ及び積層板として基本的に必要とされる耐燃性、低線膨張性、耐熱性、機械的特性、電気的特性を付与することができる。好ましくは、シアネート樹脂とエポキシ樹脂およびまたはフェノール樹脂とを含むものである。これにより前記特性を更に向上させることができる。
上記の熱硬化性樹脂は、軟化点が100℃以下であることが好ましく、更に好ましくは、70℃以下である。これにより、樹脂を溶融した後、エマルジョン化を通常の方法にて容易に行うことができ、得られた水性エマルジョンが安定しており、かつ、含浸乾燥工程において、樹脂を容易に繊維基材内に含浸させることができる。
また、熱硬化性樹脂は、2種以上を使用する場合、その少なくとも1種が軟化点40〜100℃であり、他が40℃未満であることが好ましい。軟化点40℃未満のものを含むことにより、樹脂の溶融粘度が低くなることから、樹脂を繊維基材のモノフィラメント間に十分に浸透させることができる。また、同様に効果を得るために、共融軟化点(各々の樹脂の軟化点と各々の樹脂の配合割合との積の合計を計算上の軟化点としてもよい)が70℃以下であることが好ましい。
本実施形態において、前記熱硬化性樹脂とともに、硬化剤や硬化促進剤を配合することができる。例えば、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合は、硬化剤として酸無水物化合物、アミン化合物、イミダゾール化合物、及びノボラック型フェノール樹脂等を用いることができ、硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、第3級アミン化合物等を用いることができる。また、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂とシアネート樹脂である場合、必要により硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂等を用いることができ、硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、第3級アミン化合物等を用いることができる。これらは、水性エマルジョンにそのまま配合するか、エマルジョンやスラリーなどの水分散液にした後に水性エマルジョンに配合する。
上記樹脂組成物に加えて必要により無機フィラーを配合することができる。無機フィラーは、水性エマルジョンにそのまま添加混合することができるが、水性エマルジョンへの分散を容易にするために、少量の水と混合ないし混練したものを使用してもよい。無機フィラーの配合により、プリプレグ及び積層板の特性を実質的に低下させることなく、積層板の熱膨張率の低下や耐熱性の向上を達成することができる。配合量としては特に限定されないが、樹脂およびフィラーを含む組成物全体100重量%(固形分)に対して、30〜80重量%であることが好ましく、更に好ましくは40〜70重量%である。配合量が前記下限値未満の場合は、耐燃性や熱膨張率を小さくするという効果が不十分となることがある。特に、積層板に搭載される部品の熱膨張との差が大きいと、熱サイクル試験等の信頼性に問題が発生することがある。一方、前記上限値を越えると、樹脂液のチクソ性も大きくなり、含浸性の低下やプリプレグあるいは積層板の外観が低下することがあり、積層板のドリル加工等の加工性が低下する傾向にある。また、相対的に樹脂の不足から耐熱性の低下などがみられることがある。
無機フィラーとしては、シリカ、水酸化アルミニウム、タルク、カオリンクレー、マイカ、コレマナイト、ブルーサイト、合成水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト、アタパルジャイト、セピオライト等があるが、低熱膨張率を維持するという理由から、シリカ及びタルクが好ましく、また、粒径は、水分散性や含浸性を良好とするために0.2〜5μmが好ましい。従って、粒径0.2〜5μmのシリカ及びタルクが特に好ましい。かかる無機フィラーはカップリング剤で処理されたものが好ましいが、樹脂の中に予めカップリング剤を添加しておいてもよい。
このほか、本実施形態におけるプリプレグに用いられる樹脂組成物には、必要に応じて、消泡剤やレベリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤等の添加剤を配合することができる。
次に、本実施形態のプリプレグの製造方法において、熱硬化性樹脂の水性エマルジョン化について説明する。
本実施形態においては、熱硬化性樹脂と乳化剤を溶融混合し、しかる後、この溶融した樹脂組成物に水を添加して水性エマルジョンとする。エマルジョン化は、通常、まず、第1の水添加として乳化剤を含有する溶融樹脂に水を徐々に添加し攪拌混合し、ウォーターインオイル型エマルジョンを経てオイルインウォーター型エマルジョンに転相させる。この第1の水添加は、通常乳化剤を含まない水を使用するが、乳化剤水溶液を使用してもよい。
その後、さらに攪拌混合を継続した後、第2の水添加として、エマルジョンの安定化のために水を添加することにより行う。第2の水添加において使用する水は乳化剤を含むものであることが、エマルジョンをより安定化させるために好ましい。続いて、通常、攪拌速度を弱くしつつ冷却を行う。
第1の水添加工程では、樹脂および添加する水の温度は、樹脂の軟化点をベースにして決定することができる。即ち、樹脂の軟化点ないしこれより15℃高い温度の範囲である。2種以上の樹脂を使用する場合、これらの共融軟化点をベースとするが、各々の樹脂の軟化点と各々の樹脂の配合割合との積の合計を計算上の軟化点としてもよい。
それぞれの水添加工程において、添加する水の量は、第1の水添加では、好ましくは、樹脂量に対して25〜50重量%であり、この量の水を添加し攪拌混合して樹脂を水性エマルジョン化する。第2の水添加では、好ましくは、樹脂量に対して第1の水添加量との合計量で55〜100重量%である。この量の水を添加し攪拌混合することにより、エマルジョンをより安定化させる。
第1の水添加工程において、水の添加終了後10分間以上攪拌混合することが好ましい。これにより、オイルインウォーター型(水性)に転相したエマルジョンを得ることができる。攪拌時間が10分間未満であると、オイルインウォーター型エマルジョンに十分に転相しないことがある。また、通常は120分間程度攪拌を行えば十分であり、それ以上長く攪拌する必要はない。なお、オイルインウォーター型への転相は、樹脂液の電気伝導度を測定し、その変化から確認することができる。攪拌は、転相までは高速(例えば、周速度200m/分以上)で行い、転相後乳化剤水溶液を添加し冷却する段階では低速(例えば、周速度100m/分以下)で行うことが好ましい。
本実施形態において用いられる乳化剤としては、好ましくは、非イオン系分散剤であり、その中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル型、ポリオキシアルキレンアリールエーテル型あるいはポリオキシエチレン脂肪酸エステル型などが好ましい。具体的には、花王(株)製のエマルゲンA-500(ポリオキシエチレンアリールエーテル型)やエマルゲンA-4085(ポリオキシエチレンアルキルエーテル型)、エマルゲン220(ポリオキシエチレンアルキルエーテル型)、エマノーン3199(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型)、レオドールTW-S120V(ポリオキシエチレン脂肪酸エステル型)などがある。また、水溶液タイプとして、エマルゲン1150S-70(ポリオキシエチレンアルキルエーテル型)などがある。
乳化剤の含有量は、樹脂固形分100重量部に対して1〜10重量%であることが好ましい。より好ましくは、2〜5重量部である。上記下限値未満では水性エマルジョンが不安定で、一度エマルジョン化した樹脂が再凝集してしまうまでの時間が短くなりやすく、上記上限値を越えると乳化剤量が過剰であり、積層板の耐熱性や層間密着性に悪影響を与えることがあり、コスト高にもなる。乳化剤の配合量は、どちらか一方の工程のみで用いた場合に比較して20〜40重量%程度少なくすることができる。
上記エマルジョンの製造方法は、特に限定されないが、例えば、乳化剤を含む溶融した熱硬化性樹脂に水を徐々に添加しつつ、ホモジザイザー、ディスパーザーミキサー、ウルトラミキサー、クレアミックス等の公知の攪拌混合装置を用いて分散する方法を採用する。樹脂を溶融する温度は、通常、樹脂の軟化点と同程度ないしそれより15℃程度高い温度に加熱した水を添加混合するので、その際に混合が容易に行える程度の温度とする。次いで、水、好ましくは乳化剤水溶液を添加して所定の樹脂濃度とすることにより、安定な水性エマルジョンを得ることができる。
エマルジョン粒子の平均粒径は5μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは2μm以下である。これにより、エマルジョン化した樹脂液を高濃度で低粘度とすることができ、かつ樹脂粒子が基材の繊維間へ侵入しやすくなり、塗布含浸性に優れたものとすることができる。水性エマルジョンの樹脂濃度が高いというとは、乾燥に費やすエネルギーも少ないことであり、有機溶剤を使用しないことと共に、環境負荷の少ない処方を提供するものである。エマルジョン粒子の平均粒径が上記上限値より大きいと、分散したエマルジョン粒子が再凝集して分離沈殿することがある。
上記のように、乳化剤を含む溶融した熱硬化性樹脂を水または水と乳化剤水溶液とにより水性エマルジョンとするが、これにより、安定な水性エマルジョンが得られ、樹脂液のハンドリング性に優れ、かつ繊維基材へ含浸性に優れているので、有機溶剤を実質的に使用しない処方として極めて有用である。
なお、本実施形態において、塗布液には、必要に応じて、消泡剤やレベリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、カップリング剤等の添加剤を配合することができる。以上のようにして、本実施形態の樹脂付き基材を得るために用いられる水系スラリーを得ることができる。
(第2の水系スラリー)
本実施形態における第2の水系スラリーは、熱硬化性樹脂であるシアネート樹脂およびエポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂100重量部に対して16重量部以上の乳化剤と、無機フィラーと、硬化剤と、水とを含有する。
シアネート樹脂としては、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等やこれらのプレポリマーなどを用いることができる。
前記シアネート樹脂またはそのプレポリマーの重量平均分子量は、150〜4,500、好ましくは300〜3,000とすることができる。
重量平均分子量が150未満であると樹脂付き基材にタック性が生じ、樹脂付き基材同士が接触したとき互いに付着したり、樹脂の転写が生じたりする場合がある。また、4,500を超えると反応が速くなりすぎ、積層板とした場合に、成形不良を生じたり、層間ピール強度が低下したりする場合がある。そのため、上記数値範囲であれば、上記特性の何れにも優れた樹脂付き基材および積層板を得ることができる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等やこれらのプレポリマーなどを用いることができる。
前記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、300〜15,000、好ましくは500〜10,000とすることができる。
重量平均分子量が前記下限値未満であると樹脂付き基材にタック性が生じるなどの問題が起こる場合が有り、前記上限値を超えると樹脂付き基材作製時、基材への含浸性が低下し、均一な製品が得られないなどの問題が起こる場合がある。そのため、上記数値範囲であれば、上記特性の何れにも優れた樹脂付き基材および積層板を得ることができる。
このようなシアネート樹脂およびエポキシ樹脂を用いることにより、樹脂付き基材及び積層板として基本的に必要とされる耐燃性、低線膨張性、耐熱性、機械的特性、電気的特性を付与することができる。本実施形態においては、上記のシアネート樹脂および上記のエポキシ樹脂を含み、これらを加熱溶融混合することにより、樹脂の溶融粘度が低下し、その後のエマルジョン化が容易となる。
上記のシアネート樹脂およびエポキシ樹脂は、軟化点が100℃以下であることが好ましい。これにより、樹脂を溶融した後、エマルジョン化する操作を通常の方法にて容易に行うことができ、得られたエマルジョンが安定しており、かつ、含浸乾燥工程において、樹脂を繊維基材内に容易に浸透させることができる。また、シアネート樹脂およびエポキシ樹脂は、その少なくとも1種が軟化点40℃以下であることが好ましい。これにより、樹脂の加熱溶融混合およびエマルジョン化が容易となり、加えて、樹脂を繊維基材のモノフィラメント間に十分に浸透させることができる。従って、本実施形態に用いるシアネート樹脂およびエポキシ樹脂は、その少なくとも1種が軟化点40℃以下であることがより好ましい。
本実施形態における乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン系乳化剤、水溶性高分子を用いることができる。
アニオン性乳化剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等を挙げることができる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルピリジウムブロマイド等を挙げることができる。
ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル型、ポリオキシアルキレンアリールエーテル型あるいはポリオキシエチレン脂肪酸エステル型などが挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等を挙げることができる。
本実施形態においては、乳化粒子の分散安定性の観点からノニオン系乳化剤を用いることができる。
以下、第2の水系スラリーを調製する工程(I)〜(IV)を順に説明する。
工程(I):シアネート樹脂とエポキシ樹脂と乳化剤とを溶融混合する。
工程(II):工程(I)により得られた溶融混合物に水を添加して転相乳化するとともに、さらに水を添加してエマルションを調製する。
工程(III):無機フィラーおよび硬化剤を混合撹拌して分散液を調製する。
工程(IV):エマルションと分散液とを混合撹拌して塗布液を調製する。
以下、工程(I)〜(IV)の各工程を説明する。
工程(I):シアネート樹脂とエポキシ樹脂と乳化剤とを溶融混合する。
本工程においては、シアネート樹脂とエポキシ樹脂と乳化剤とを加熱溶融混合する。
本実施形態においてシアネート樹脂とエポキシ樹脂と乳化剤とを溶融混合する際の温度は、通常、樹脂および乳化剤の混合が容易に行える程度の溶融粘度となる温度とする。また、加熱溶融混合する方法については、特に限定されず公知の方法で行うことができる。
従来方法では、軟化点が常温よりかなり高い樹脂ではエマルジョン化することが難しく、粉砕して微粒子化し水に分散してスラリーとしていた。また、複数の樹脂を用いる処方においては、エマルジョン化とスラリー化が必要な場合があり、エマルジョン化のための設備とスラリー化のための設備の両方が必要となり、設備投資の負担が増大し、水分散樹脂液を調製する工程も煩雑になる。本実施形態においては、シアネート樹脂およびエポキシ樹脂を乳化剤とともに加熱溶融混合しエマルジョン化するので、上記の問題点は解消される。
本工程においては、シアネート樹脂100重量部に対して、エポキシ樹脂を20重量部以上、200重量部以下、好ましくは30重量部以上、150重量部以下の量で用いることができる。前記下限値未満では、シアネート樹脂の反応性が低下したり、得られる製品の耐湿性が低下したり場合がある。一方、前記上限値を超えると耐熱性が低下する場合がある。したがって、シアネート樹脂の反応性、得られる製品の耐湿性および耐熱性の観点から上記数値範囲であることが好ましい。
乳化剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して16重量部以上、30重量部以下、好ましくは16重量部以上、25重量部以下で用いることができる。上記下限値未満では塗布液中の乳化粒子が不安定で、一度エマルジョン化した樹脂が再凝集してしまうなど分散安定性に問題がある。そのため、ガラス基材に均一な組成で含浸させたり、金属箔表面に均一な組成で付着させることができないため、このエマルジョンから得られる樹脂付き基材は電気的特性に問題があった。一方、上記上限値を超えると乳化剤量が過剰であり、積層板の耐熱性や引き剥がし特性に悪影響を与えることがある。したがって、これらの数値範囲内であれば、エマルションの分散安定性に優れ、電気的特性に優れた樹脂付き基材や、耐熱性や引き剥がし特性に優れた積層板を得ることができる。
また、前記乳化剤は、シアネート樹脂およびエポキシ樹脂の合計量100重量部に対して、1重量部以上、10重量部以下、好ましくは3重量部以上、8重量部以下の量で用いることができる。
上記数値範囲内であれば、エマルションの分散安定性に特に優れ、電気的特性により優れた樹脂付き基材を得ることができ、さらに耐熱性や引き剥がし特性により優れた積層板を得ることができる
工程(II):工程(I)により得られた溶融混合物に水を添加して転相乳化するとともに、さらに水を添加してエマルションを調製する。
本工程においては、上記工程(I)のようにシアネート樹脂とエポキシ樹脂と乳化剤とを溶融混合した後、この溶融混合物に所定量の水を徐々に添加混合することによりW/O型からO/Wへの転相乳化を行う。なお、添加される水も溶融した樹脂と同程度に加熱されていることが好ましい。
上記転相乳化の方法は、特に限定されないが、例えば、予め加熱溶融混合した溶融混合物に水(好ましくは、加熱水)を逐次添加しつつ、ホモジザイザー、ディスパーザー、クレアミックス等の公知の攪拌混合装置を用いて分散する方法を採用する。
転送乳化を確認したら、残量の水を添加してエマルションを調製する。なお、エマルションを調製する際に添加される水も溶融した樹脂と同程度に加熱されていることが好ましい。
エマルジョン粒子の平均粒径が0.1μm以上、30μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1μm以上、10μm以下である。この範囲であることより、エマルジョン化した樹脂液を、高濃度で低粘度とすることができ、かつ樹脂粒子が基材の繊維間へ侵入しやすくなり、塗布含浸性に優れたものとすることができる。さらに、金属箔表面に均一に樹脂粒子を付着させることができ塗布性に優れたものとすることができる。水性エマルジョン樹脂液の樹脂濃度が高いので、乾燥に費やすエネルギーを低減することができる。したがって、有機溶剤を実質的に使用しないことによる利点と共に、環境負荷の少ない処方を提供することができる。エマルジョン粒子の平均粒径が上記上限値より大きいと、分散したエマルジョン粒子が再凝集して分離沈殿することがある。
上記のように、シアネート樹脂とエポキシ樹脂と乳化剤とを加熱溶融混合したものを水性エマルジョン樹脂液とすることにより、大きな設備投資が必要なく、樹脂液のハンドリング性に優れ、かつ繊維基材へ含浸性に優れているので、有機溶剤を実質的に使用しない処方として極めて有用である。
工程(III):無機フィラーおよび硬化剤を混合撹拌して分散液を調製する。
本工程においては、工程(II)において調製されるエマルションとは別に、無機フィラーおよび硬化剤を混合撹拌して分散液を調製する。
無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、カオリンクレー、ハイドロタルサイト、アタパルジャイト、セピオライト、マイカ、錫酸亜鉛、シリカ、コレマナイト、ブルーサイト、タルク、合成水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等があるが、低熱膨張率を維持するという理由から、シリカ及びタルクが好ましい。また、平均粒径は、水分散性や含浸性を良好とするために0.1〜5μmが好ましい。従って、平均粒径0.1〜5μmのシリカ及びタルクが特に好ましい。かかる無機フィラーはカップリング剤で処理されたものが好ましいが、水性エマルジョン樹脂液の中に予めカップリング剤を添加しておいてもよい。
無機フィラーの配合により、樹脂付き基材及び積層板の特性を実質的に低下させることなく、積層板の熱膨張率の低下や耐熱性の向上とともに、樹脂付き基材からの粉落ちを防止することができる。配合量としては特に限定されないが、樹脂およびフィラーを含む組成物全体100重量%(固形分)に対して、30〜80重量%であることが好ましく、更に好ましくは40〜75重量%である。
配合量が前記下限値未満の場合は、耐燃性や熱膨張率を小さくするという効果が不十分となることがある。特に、積層板に搭載される部品の熱膨張との差が大きいと、熱サイクル試験等の信頼性に問題が発生することがある。一方、前記上限値を越えると、樹脂液のチクソ性も大きくなり、含浸性の低下や樹脂付き基材あるいは積層板の外観が低下することがあり、積層板のドリル加工等の加工性が低下する傾向にある。また、相対的に樹脂の不足から耐熱性の低下などがみられることがある。そのため、耐燃性や熱膨張率の向上や、含浸性や樹脂付き基材あるいは積層板の外観の向上、さらに積層板の加工性の観点から、上記数値範囲にあることが好ましい。
分散液に含有させることができる硬化剤としては、水に難溶性である硬化剤を用いることができる。このような硬化剤を用いることにより、加熱乾燥工程まで樹脂の硬化を抑制することができ、塗布液の保存安定性を向上させることができる。
また、水に難溶性である硬化剤を用いた場合、水に易溶性の硬化剤と比較して、プリプレグの耐熱性及び電気特性がさらに向上する傾向が認められた。これは、以下の理由によると考えられる。
水に易溶性の硬化剤を用いた場合、プリプレグ作成に際して、塗布液中に溶解した硬化剤のみがガラスクロスの間隙を通過し、乳化粒子や無機フィラー等が通過しないことがある。つまり、ガラスクロス中において、硬化剤のみが分布する領域と、硬化剤と乳化粒子や無機フィラーとが共存する領域とが併存し、この共存する領域においては、樹脂に対する硬化剤の量が低下することがある。そのため、このようなガラスクロスから得られたプリプレグは、樹脂に対する硬化剤の量が低下している領域が存在するため樹脂組成物の硬化性が充分ではなく、その耐熱性及び電気特性に改善すべき点があった。例えば、ジシアンジアミド(水温15℃の水100gに対する溶解度が2.56g(14906の化学商品 化学工業日報社))を用いた場合、そのような現象が認められた。
これに対して、前記のような水に難溶性の硬化剤として、水温15℃の水100gに対する溶解度が2g以下である硬化剤を用いた場合、硬化剤が塗布液中にほとんど溶解しておらず、硬化剤のみがガラスクロスの間隙を通過することがない。つまり、ガラスクロス中において、硬化剤と樹脂等とが所定の量比で存在するため充分な硬化性が得られ、プリプレグの耐熱性及び電気特性がさらに向上する。このような水に難溶性の硬化剤としては、酸無水物化合物、アミン化合物、イミダゾール化合物、及びノボラック型フェノール樹脂等を挙げることができる。
また、硬化促進剤を用いることもでき、そのようなものとして、イミダゾール化合物、第3級アミン化合物等を挙げることができる。硬化剤および硬化促進剤は、微粉砕したものを無機フィラーとともに水に添加し撹拌混合してもよく、無機フィラーを含有するスラリーなどの水分散液に添加し撹拌混合してもよい。
工程(IV):エマルションと分散液とを混合撹拌して塗布液を調製する。
本工程においては、工程(II)で調製されたエマルションと、工程(III)で調製された分散液とを混合撹拌して塗布液を調製する。
このように、本実施形態においては、エマルションと分散液とを別々に調製するため、一括して塗布液を調製する場合に比べ、温度や調製時間のような調製条件の自由度が向上し、調製条件を最適化することができる。これにより、塗布液中におけるシアネート樹脂、エポキシ樹脂、無機フィラーおよび硬化剤等の分散安定性を向上させることができ、塗布液を均一な組成で基材に付着させることができる。そのため、塗布液から得られる樹脂付き基材は電気的特性に優れる。
なお、本実施形態において、塗布液には、必要に応じて、消泡剤やレベリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、着色剤、カップリング剤等の添加剤を配合することができる。以上のようにして、本実施形態の樹脂付き基材を得るために用いられる塗布液を得ることができる。
(第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアの製造方法)
次に、第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアについて説明する。
本実施形態で用いられる第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアは、上記キャリアの片面側に、上記絶縁樹脂材料から形成された絶縁樹脂層を有するものである。その調製方法としては特に限定されないが、一例を挙げると、コンマコーター、ナイフコーターなど各種コーター装置を用いて、水系スラリーをキャリアに塗工する方法、噴霧ノズルなどの各種スプレー装置を用いて、水系スラリーをキャリアに塗工する方法、などが挙げられる。
これらの中でも、各種コーター装置を用いて、水系スラリーをキャリアに塗工する方法が好ましい。これにより、簡易な装置で厚み精度に優れた絶縁樹脂層を形成することができる。
絶縁樹脂層付きキャリアを製造する際には、キャリアに水系スラリーを塗工後、必要に応じて、常温または加温下で乾燥させることができる。
これにより、液状の絶縁樹脂を調製する際に分散媒体などを用いた場合は、これらを実質的に除去して、絶縁樹脂層表面のタック性をなくし、取り扱い性に優れた絶縁樹脂層付きキャリアを得ることができる。
また、絶縁樹脂の硬化反応を中途まで進め、工程(a)、あるいは、後述する工程(b)における絶縁樹脂の流動性を調整することもできる。
上記加温下で乾燥させる方法としては特に限定されないが、例えば、熱風乾燥装置、赤外線加熱装置などを用いて連続的に処理する方法を好ましく適用することができる。
本実施形態で用いられる絶縁樹脂層付きキャリアにおいて、絶縁樹脂層の厚みは、用いる繊維布の厚みなどに応じて適宜設定することができる。一例を挙げると、5〜100μmとすることができる。
なお、この絶縁樹脂層は、同じ絶縁樹脂を用いて一回又は複数回数の塗工で形成されてもよいし、異なる絶縁樹脂を用いて複数回数の塗工で形成されたものであってもよい。
このようにして絶縁樹脂層付きキャリアを製造後、絶縁樹脂層を形成した上面側、すなわち、キャリアと反対面側に、絶縁樹脂層表面の保護のために、保護フィルムを重ね合わせることができる。
上記(a)工程で用いられる絶縁樹脂層付きキャリアについて説明する。
図1(2)は、本発明で用いられる絶縁樹脂層付きキャリア3を例示したものである。
絶縁樹脂層付きキャリア3は、キャリア1の片面側に、絶縁樹脂層2が薄層状に形成されたものである。絶縁樹脂層2は、幅方向寸法8を有し、キャリア1の片面側に所定厚みで形成することができる。ここで、幅方向寸法8とは、キャリア1の搬送方向と直交方向における絶縁樹脂層2の寸法を指す。
<工程(b)>
工程(b)においては、長尺帯状の前記第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアの前記絶縁樹脂層同士を繊維布を介して接合し、接合体を形成する。
図1(3)は、絶縁樹脂層付きキャリア3と、繊維布4とを重ね合わせる際の形態5を例示したものである。
繊維布4は、キャリア1の搬送方向と同じ方向に連続的に供給・搬送することができるものであり、幅方向寸法9を有している。ここで、幅方向寸法9とは、繊維布4の搬送方向と直交方向における繊維布4の寸法を指す。このような繊維布4としては、例えば、長尺状のシート形態のものを好適に用いることができる。
上記繊維布の材質としては特に限定されないが、例えば、ガラス繊布、ガラス不繊布等のガラス繊維布、ガラス以外の無機化合物を成分とする繊布又は不繊布等の無機繊維布、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等の有機繊維で構成される有機繊維布等が挙げられる。
これらの中でも、ガラス繊維布であるガラス織布を用いると、多層プリント配線板の機械的強度、耐熱性を良好なものとすることができる。
上記繊維布としてガラス織布を用いる場合、その厚みとしては、一例を挙げると、15〜180μmのものを用いることができる。また、坪量(1mあたりの繊維布の重量)としては例えば、17〜209g/mのものを用いることができる。
そして、本発明の製造方法においては、特に、厚み15〜35μm、坪量17〜25g/mであるような薄手のガラス織布を用いることができる。そして、このようなガラス織布を用いた場合でも、繊維布を構成する繊維束に曲がりを生じにくいので、機械的特性や含浸性に優れたキャリア付きプリプレグとすることができる。
従来のプリプレグの製造方法は、例えば、通常の塗工装置を用いて、繊維布を樹脂ワニスに浸漬含浸・乾燥させる方法では、多数の搬送ロールを通したり、繊維布に含浸させる絶縁樹脂量を調整したりする際に、繊維布に応力が作用しやすいという問題があった。
これは、特に上記のような薄手のガラス織布を用いた場合にはその影響が顕著であり、繊維束に曲がりを生じたり、縦糸と横糸との開き目の部分が拡大したりしやすい。このようなプリプレグは、内部歪を有することで、多層プリント配線板の反り、寸法安定性などの機械的特性に影響を与えたり、拡大した開き目の部分に局部的な樹脂充填欠損部を有することにより、多層プリント配線板の成形性が低下したりするという問題があった。
これに対して、本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法では、繊維布の厚みや坪量に関わらず、繊維布に応力が作用しにくいので、繊維束の曲がり等が生じにくく、かつ、含浸性に優れたものとすることができる。そして、このキャリア付きプリプレグを用いると、機械的特性や成形性に優れた多層プリント配線板を製造することができるという利点を有するものである。また、絶縁樹脂としてシアネート樹脂を用いた場合には、さらに耐熱性、低熱膨張性が良好な多層プリント配線板を製造することができるという利点を有するものである。
上記工程(a)においては、絶縁樹脂層付きキャリア3を2つ用いる。これらをそれぞれ、第1の絶縁樹脂層付きキャリア、及び、第2の絶縁樹脂層付きキャリアと呼称する。
そして、上記第1及び第2の絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層側を、樹脂を含浸させていない繊維布4の両面側にそれぞれ重ね合わせる。
上記工程(a)で用いる第1の絶縁樹脂層付きキャリアと第2の絶縁樹脂層付きキャリアとしては、同じものを用いることもできるし、異なるものを用いることもできる。
本発明においては、第1及び第2の絶縁樹脂層付きキャリアと繊維布とを重ね合わせ、減圧条件下でこれらを接合することが好ましい。
これにより、絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層と繊維布とを接合する際に、繊維布の内部、あるいは、絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層と繊維布との接合部位に非充填部分が存在しても、これを減圧ボイドあるいは実質的な真空ボイドとすることができる。
この減圧条件としては、常圧より700Torr以上減圧した条件下で実施することが
好ましい。さらに好ましくは、常圧より740Torr以上減圧した条件下で実施することが好ましい。これにより、上記効果を高く発現させることができる。
第1及び第2の絶縁樹脂層付きキャリアと繊維布とを接合する方法としては特に限定されないが、例えば、繊維布と絶縁樹脂層付きキャリアとを連続的に供給して重ね合わせながら接合する方法が挙げられる。
また、減圧条件下で接合する手法としては特に限定されないが、例えば、真空ラミネート装置、真空ボックス装置などを用いることができる。
これらの中でも、真空ラミネート装置を用いて、繊維布と絶縁樹脂層付きキャリアとを連続的に重ね合わせながら接合する方法が好ましい。これにより、連続的な処理ができ、簡易な装置で効率的にキャリア付きプリプレグを製造することができる。
上記(a)工程において、絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層側と繊維布とを接合する際には、絶縁樹脂層を構成する熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に加温することが好ましい。これにより、繊維布と絶縁樹脂層とを容易に接合することができる。また、絶縁樹脂層の少なくとも一部が溶融して繊維布内部に含浸することにより、含浸性の良好なキャリア付きプリプレグを得やすくなる。
ここで加温する方法としては特に限定されないが、例えば、接合する際に所定温度に加熱したラミネートロールを用いる方法などを好適に用いることができる。
ここで加温する温度としては、絶縁樹脂層を形成する樹脂組成物の配合により異なるが、一例を挙げると、60〜100℃で実施することができる。
<工程(c)>
工程(c)においては、前記接合体を前記絶縁樹脂層を構成する前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度で加熱処理することにより、前記絶縁樹脂層をBステージ化する。
上記加熱処理する方法としては特に限定されないが、例えば、熱風乾燥装置、赤外線加熱装置、加熱ロール装置、平板状の熱盤プレス装置などを用いて実施することができる。
熱風乾燥装置、赤外線加熱装置を用いた場合は、上記接合したものに実質的に圧力を作用させることなく実施することができる。
また、加熱ロール装置、平板状の熱盤プレス装置を用いた場合は、上記接合したものに所定の圧力を作用させることで実施することができる。
これらの中でも、上記接合したものに実質的に圧力を作用させることなく実施する方法が好ましい。
この方法によれば、工程(c)で樹脂成分を過剰に流動させることがないので、所望とする絶縁層厚みを有し、かつ、この絶縁層厚みにおいて高い均一性を有したキャリア付きプリプレグを効率良く製造することができる。
また、樹脂成分の流動に伴って繊維布基材に作用する応力を最小限とすることができるので、内部歪を非常に少ないものとすることができる。
さらには、樹脂成分が溶融した際に、実質的に圧力が作用していないので、この工程における打痕不良の発生を実質的になくすことができる。
上記加熱処理する際の温度は、用いる熱硬化性樹脂が溶融し、かつ、熱硬化性樹脂の硬化反応が急速に進行しないような温度域、すなわちBステージ化状態となる温度域とすることができる。
また、加熱処理する時間は、用いる熱硬化性樹脂の種類などにより異なるため特に限定されないが、一例を挙げると、1〜10分間処理することにより実施することができる。
工程(d):前記絶縁樹脂層をBステージ化した後に、前記絶縁樹脂層を構成する熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に保持したまま前記接合体を厚さ方向に押圧する。
接合体を厚さ方向に押圧する際の圧力は、0.2MPa以上、1MPa以下とすることができる。
圧力が上記範囲であることにより、キャリア表面における皺の発生を抑制し、キャリア表面の平滑性に優れるキャリア付きプリプレグを得ることができるので、製品の歩留まりを向上させることができる。
このようにして得られたキャリア付きプリプレグは、キャリア表面の粗さがRz値において5μm以下程度のものとして得ることができる。その測定には、JIS B0651の触針式表面粗さ計や、JIS B0652の光干渉式表面粗さ計を用いることができる。
なお、工程(d)の前に、接合体を熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に加熱することができる。これにより、工程(c)から工程(d)に移る際に、接合体の温度が低下した場合においても、接合体を熱硬化性樹脂がBステージ化した状態で厚さ方向に押圧することができるので、最外層であるキャリア表面の平滑性に優れ、製品の歩留まりがより向上する。
本発明の製造方法においては、キャリア、絶縁樹脂層、及び、繊維布を用いる。ここで、各々の幅方向寸法の関係について、その形態例を挙げて説明する。
本発明の製造方法において、キャリア、絶縁樹脂層、及び、繊維布としては、例えば、図2(1)〜(3)、図3(1)〜(3)、及び、図4(1)〜(3)に示したような、種々の幅方向寸法を有する形態で用いることができる。
まず、図2(1)〜(3)に示した形態について説明する。
図2(1)〜(3)においては、第1の絶縁樹脂層付きキャリア3a、及び、第2の絶縁樹脂層付きキャリア3aとして、繊維布4よりも幅方向寸法が大きいキャリアを有するとともに、繊維布4よりも幅方向寸法が大きい絶縁樹脂層を有するものを用いている。ここで、キャリア、絶縁樹脂層、繊維布の各々の幅方向寸法の関係を図2(1)に示す。
この形態では、上記工程(b)において、繊維布4の幅方向寸法の内側領域、すなわち、幅方向で繊維布4が存在する領域においては、第1の絶縁樹脂層付きキャリア3aの絶縁樹脂層と繊維布4、及び、第2の絶縁樹脂層付きキャリア3aの絶縁樹脂層と繊維布4とをそれぞれ接合することができる。
また、繊維布4の幅方向寸法の外側領域、すなわち、繊維布が存在していない領域においては、第1の絶縁樹脂層付きキャリア3aが有する絶縁樹脂層面と、第2の絶縁樹脂層付きキャリア3aが有する絶縁樹脂層面とを直接接合することができる。この状態を図2(2)に示す。
そして、これらの接合を減圧下で実施するため、繊維布4の内部、あるいは、第1及び第2の絶縁樹脂層付きキャリア3a,3aの絶縁樹脂層と繊維布4との接合面などに非充填部分が残存していても、これらを減圧ボイドあるいは実質的な真空ボイドとすることができるので、工程(c)において、樹脂の溶融温度以上の温度域で加熱処理した場合、これを容易に消失させることができる。そして、工程(c)において、幅方向の周辺部から空気が侵入して新たなボイドが形成されるのを防ぐことができる。この状態を図2(3)に示す。
次に、図3(1)〜(3)に示した形態について説明する。
図3(1)〜(3)においては、第1の絶縁樹脂層付きキャリア、及び、第2の絶縁樹脂層付きキャリアとして、繊維布4よりも幅方向寸法が大きいキャリアを有するとともに、2つの絶縁樹脂層付きキャリアのうちの一方、例えば第1の絶縁樹脂層付きキャリア3aとして、繊維布4よりも幅方向寸法が大きい絶縁樹脂層を有するものを用い、第2の絶縁樹脂層付きキャリア3bとして、繊維布4と幅方向寸法が同じ絶縁樹脂層を有するものを用いている。ここで、キャリア、絶縁樹脂層、繊維布の各々の幅方向寸法の関係を図3(1)に示す。
この形態では、上記工程(b)において、繊維布4の幅方向寸法の内側領域、すなわち、繊維布4が存在する領域においては、第1の絶縁樹脂層付きキャリア3aの絶縁樹脂層と繊維布4、及び、第2の絶縁樹脂層付きキャリア3bの絶縁樹脂層と繊維布4とをそれぞれ接合することができる。
また、繊維布4の幅方向寸法の外側領域、すなわち、繊維布が存在していない領域においては、第1の絶縁樹脂層付きキャリア3aが有する絶縁樹脂層面と、第2の絶縁樹脂層付きキャリア3bのキャリア面とを直接接合することができる。この状態を図3(2)に示す。
そして、これらの接合を減圧下で実施するため、繊維布4の内部、あるいは、第1及び第2の絶縁樹脂層付きキャリア絶縁樹脂層3a,3bと繊維布4との接合面などに非充填部分が残存していても、これらを減圧ボイドあるいは実質的な真空ボイドとすることができるので、工程(b)において、樹脂の溶融温度以上の温度域で加熱処理した場合、これを容易に消失させることができる。そして、工程(c)において、幅方向の周辺部から空気が侵入して新たなボイドが形成されるのを防ぐことができる。この状態を図3(3)に示す。
次に、図4(1)〜(3)に示した形態について説明する。
図4(1)〜(3)においては、第1の絶縁樹脂層付きキャリア3b、及び、第2の絶縁樹脂層付きキャリア3bとして、繊維布4と幅方向寸法が同じ絶縁樹脂層を有するものを用いている。ここで、キャリア、絶縁樹脂層、繊維布の各々の幅方向寸法の関係を図4(1)に示す。
この形態では、上記工程(b)において、繊維布4の幅方向寸法の内側領域、すなわち、繊維布4が存在する領域においては、第1の絶縁樹脂層付きキャリア3bの絶縁樹脂層と繊維布4、及び、第2の絶縁樹脂層付きキャリア3bの絶縁樹脂層と繊維布4とをそれぞれ接合することができる。この状態を図4(2)に示す。
この形態では、上記工程(b)後、すなわち第1及び第2の絶縁樹脂層付きキャリア3b,3bと繊維布4とを接合した時点で、幅方向の端部位に存在する非充填部分と、幅方向の端部位以外の部位に存在する非充填部分とが連通しないようにしておくことが好ましい。
これにより、幅方向の端部位以外の部位に存在する非充填部分については、工程(b)を減圧下で実施しているため減圧ボイドあるいは実質的な真空ボイドとすることができ、工程(c)において、樹脂の溶融温度以上の温度域で加熱処理された場合、これを容易に消失させることができる。そして、工程(c)において、幅方向の周辺部から空気が侵入して新たなボイドが形成される場合でも、これを幅方向の端部位のみとすることができる。この状態を図4(3)に示す。
本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法においては、上記形態の中でも、図2(1)〜(3)に示した形態、あるいは、図3(1)〜(3)に示した形態が好ましい。すなわち、第1の絶縁樹脂層付きキャリア、及び、第2の絶縁樹脂層付きキャリアとして、繊維布よりも幅方向寸法が大きいキャリアを有するとともに、いずれか一方または両方の絶縁樹脂層付きキャリアが、繊維布よりも幅方向寸法が大きい絶縁樹脂層を有するものを用いることが好ましい。
これにより、工程(b)で、絶縁樹脂層により繊維布を封じて密閉することができ、繊維布が存在する領域全体において、ボイドが少ない、あるいは、実質的にボイドが存在しないキャリア付きプリプレグを製造することができる。
特に、図2(1)〜(3)に示した形態、すなわち、第1の絶縁樹脂層付きキャリア3a、及び、第2の絶縁樹脂層付きキャリア3aとして、繊維布4よりも幅方向寸法が大きいキャリアを有するとともに、繊維布4よりも幅方向寸法が大きい絶縁樹脂層を有するものを用いることが好ましい。
この形態では、繊維布4の幅方向寸法の外側領域において、両方の絶縁樹脂層付きキャリアに絶縁樹脂層が存在するので、より簡易に、絶縁樹脂層により繊維布4を封じて密閉することができ、上記効果を効果的に発現させることができる。
本発明のキャリア付きプリプレグの製造方法においては、上記工程(c)の後、必要に応じて、上記で得られたキャリア付きプリプレグを連続して巻き取る工程を有することができる。
これにより、キャリア付きプリプレグを巻物形態とすることができ、このキャリア付きプリプレグを用いて、多層プリント配線板などを製造する際の取り扱い作業性を向上させることができる。
[キャリア付きプリプレグの製造装置]
次に、本発明のキャリア付きプリプレグの製造装置について、好適な実施の形態を図面により説明する。
図5(2)は、本発明の製造方法を適用することができる装置の一例を示す断面側面図である。
図5(2)に示すように、本実施形態のキャリア付きプリプレグの製造装置は、キャリアとその片面に形成された絶縁樹脂層とを備える長尺帯状の第1の絶縁樹脂層付きキャリア17aが巻き回された第1の保持リール18aと、
キャリアとその片面に形成された絶縁樹脂層とを備える長尺帯状の第2の絶縁樹脂層付きキャリア17bが巻き回された第2の保持リール18bと、
長尺帯状の繊維布21が巻き回された第3の保持リール19と、
第1の保持リール18aから巻き出された長尺帯状の前記第1の絶縁樹脂層付きキャリア1eと、第2の保持リール18bから巻き出された長尺帯状の第2の絶縁樹脂層付きキャリア1eとを、キャリア側から厚さ方向に押圧して、前記絶縁樹脂層同士を第3の保持リール19から巻き出された繊維布21を介して接合する一対の第1押圧ロール(ラミネートロール24,24)と、
一対のラミネートロール24,24により形成された接合体22aを、前記絶縁樹脂層を構成する熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に加熱し、乾燥する加熱部(熱風乾燥装置28)と、
乾燥された接合体22bを、前記キャリア側から0.2MPa以上、1MPa以下の圧力で厚さ方向に押圧する一対の第2押圧ロール(ニップロール29,29)と、を備える。
なお、図5(1)は、本発明の製造方法の工程(a)を実施することができる装置の一例を示す断面側面図であり、キャリア付きプリプレグの製造に用いられる絶縁樹脂層付きキャリアを製造することができる。
図5(1)において、キャリア1aは、例えば長尺のシート品を巻物形態としたものなどを用い、これより連続的に巻き出すことにより供給することができる。
液状の絶縁樹脂11は、図示されない絶縁樹脂の供給装置により、所定量が連続的にキャリア1a上に供給される。絶縁樹脂11の塗工量は、コンマロール12と、コンマロール12のバックアップロール13とのクリアランスにより制御することができる。
所定量の絶縁樹脂が塗工されたキャリア1bは、横搬送型の熱風乾燥装置14、14の内部を移送し、水系スラリー中に含有される水分などを実質的に乾燥除去し、必要に応じて、硬化反応を途中まで進めた絶縁樹脂層付きキャリア1cとすることができる。好ましい実施態様において、ここで得られる絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層はフィルムであってもよい。
絶縁樹脂層付きキャリア1cは、そのまま巻き取ることもできるが、図5(1)の形態においては、ラミネートロール16、16により、絶縁樹脂層が形成された側に保護フィルム15を重ね合わせ、保護フィルム15がラミネートされた絶縁樹脂層付きキャリア1dとし、これを巻き取って巻物形態の絶縁樹脂層付きキャリア17を得ている。
図5(2)は、本発明の製造方法の工程(b)〜工程(d)を実施することができる装置の一例を示す断面側面図であり、具体的には、樹脂を含浸させていない繊維布の両面側に絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層側を重ね合わせ、減圧条件下で接合し、熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度で加熱処理し、所定の圧力で押圧した後、これを連続して巻き取り、キャリア付きプリプレグを製造する形態の一例を示すものである。
図5(2)において工程(b)は、真空ラミネート装置20を使用して実施される。
真空ラミネート装置20の内部は、図示されない真空ポンプなどの減圧手段により、所定の減圧条件に設定されている。
真空ラミネート装置20の内部には、上記工程(a)で得られた第1の絶縁樹脂層付きキャリア17a、第2の絶縁樹脂層付きキャリア17bが巻き回された第1の保持リール18a,第2の保持リール18bと、繊維布21が巻き回された第3の保持リール19と、が備えられている。
第1の絶縁樹脂層付きキャリア17a、第2の絶縁樹脂層付きキャリア17bは、絶縁樹脂層表面に前記保護フィルムがラミネートされているので、巻き取りロール23により、当該保護フィルムを剥離しながら連続的に供給される(1e、1e)。また、繊維布21は、第3の保持リール19から連続的に供給される。
保護フィルムが剥離除去された第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリア1e、1eと、繊維布21とは、第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリア1e、1eのそれぞれ絶縁樹脂層側で繊維布21を挟む形態で重ね合わされ、ラミネートロール24、24により接合される。このとき、絶縁樹脂層は繊維布21に含浸される。
ラミネートロール24、24間のクリアランスは、絶縁樹脂層付きキャリアと繊維布との接合に際して、実質的に圧力が作用しない程度に設定することもできるし、任意の圧力が作用するように設定することもできる。
接合後の接合体22aは、そのまま次工程に送ることもできるし、ラミネートロール25、25、同26、26、同27、27により、温度と圧力を作用させて、絶縁樹脂層付きキャリアと繊維布との接合程度を調整することもできる。
なお、図5(2)において、ラミネートロール27,27は、真空ラミネート装置20の内部を所定の減圧条件に維持するため、真空ラミネート装置20の外部から内部への空気の侵入を抑制するシールロールとしての機能をも有している。
接合後の接合体22bは、横搬送型の熱風乾燥装置28、28間を移送し、熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度で加熱処理する。これにより、熱硬化性樹脂をBステージ化するとともに接合体の内部に残存している非充填部分を消失させることができる。
熱硬化性樹脂がBステージ化された接合体22bは、ニップロール29、29によりキャリア側から0.2MPa以上、1MPa以下の圧力で厚さ方向に押圧される。
ニップロール29、29は、金属等の熱伝導率の高い材料から構成され、接合体を加熱しながら上記の条件で加圧することができる。これにより、押圧時における樹脂層の温度低下することを抑制することができ、製品の歩留まりがより向上する。
なお、図示しないが、熱風乾燥装置28、28とニップロール29、29との間には、接合体を加熱可能なように搬送方向に沿って別途加熱部が設けられてもよい。さらに、熱風乾燥装置28、28とニップロール29、29との間には、保温カバーが設けられていてもよい。これにより、樹脂層の温度低下することを抑制することができ、製品の歩留まりがより向上する。
押圧後、接合体22cを連続的に巻き取ることにより、巻物形態のキャリア付きプリプレグ30を得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はここで例示された形態に限定されるものではない。
[実施例1]
(水系スラリーの調製)
エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂(NC−3000H、日本化薬株式会社製、軟化点70℃)を使用し、シアネート樹脂としてノボラック型シアネート樹脂(Primaset、PT−30、ロンザジャパン株式会社製、軟化点30℃)を使用した。さらに、乳化剤としてポリオキシエチレンアリールエーテル型界面活性剤(エマルゲンA−500、花王株式会社製)を使用した。
エポキシ樹脂56.5gとシアネート樹脂100gとを、乳化剤10gとともに90℃に加熱し溶融混合した。ディスパーザーを用い、上記加熱溶融した樹脂を40mm攪拌羽根にて6000rpmで攪拌しつつ、90℃に加熱したイオン交換水20gを少量ずつ10分間かけて添加し、さらに40分間攪拌混合して転相乳化させた。さらに、90℃に加熱したイオン交換水40gを少量ずつ10分間かけて添加し、平均粒径0.7μmの水性エマルジョン樹脂液を調製した。
また、無機フィラーとしてカップリング剤処理したシリカスラリー(アドマファインSC2050−WND、アドマテックス株式会社製、平均粒径0.5μm、フィラー含有量70%)241.6gと、フェノール樹脂(GPH−103、日本化薬株式会社製)ジェットミルでの微粉砕品17.5gと、硬化促進剤(P−200K、ジャパンエポキシレジン株式会社製)0.06gとを撹拌混合して分散液を調製した。
上述のようにして得られた水性エマルジョン樹脂液に上記分散液を混合して、水系スラリーを得た。
(絶縁樹脂層付きキャリアの製造)
(1)絶縁樹脂層付きキャリアA1の製造
キャリアとして厚み35μm、幅480mmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
図5(1)に示した形態の装置を用いて、上記キャリアに、上記で得られた水系スラリーをコンマコーター装置で塗工し、170℃の乾燥装置で3分間乾燥させ、厚さ20μm、幅410mmの絶縁樹脂層からなるフィルムを、幅方向においてキャリアの中心に位置するように形成した。
この絶縁樹脂層側に、保護フィルム(ポリエチレン)をラミネートして、絶縁樹脂層付きキャリアA1を製造した。
(2)絶縁樹脂層付きキャリアA2の製造
キャリアとしては上記絶縁樹脂層付きキャリアA1と同じものを用いた。
図5(1)に示した形態の装置を用いて、上記キャリアに、上記で得られた水系スラリーをコンマコーター装置で塗工し、170℃の乾燥装置で3分間乾燥させ、厚さ20μm、幅360mmの絶縁樹脂層からなるフィルムを、幅方向においてキャリアの中心に位置するように形成した。
この絶縁樹脂層側に、保護フィルム(ポリエチレン)をラミネートして、絶縁樹脂層付きキャリアA2を製造した。
(キャリア付きプリプレグの製造)
繊維布としてガラス織布(ユニチカグラスファイバー社製・「E02Z−SK」、幅360mm、坪量17g/m)を用いた。また、上記で得られた絶縁樹脂層付きキャリアA1とA2を、第一及び第二の絶縁樹脂層付きキャリアとして用いた。
図5(2)に示した形態の装置を用いて、第一及び第二の絶縁樹脂層付きキャリアの保護フィルムをはがしながら、絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層側を繊維布の両面側に、繊維布が幅方向においてキャリアの中心に位置するようにそれぞれ重ね合わせ、750Torrの減圧条件下で、80℃のラミネートロール24を用いて接合し接合体を調製した。
ここで、繊維布の幅方向寸法の内側領域においては、第一及び第二の絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層側を繊維布の両面側にそれぞれ接合するとともに、繊維布の幅方向寸法の外側領域においては、第一及び第二の絶縁樹脂層付きキャリアの絶縁樹脂層どうしを接合した。
次いで、上記接合体を、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置28内を2分間通して加熱処理し、圧力を作用させることなく絶縁樹脂層をBステージ化させた。Bステージ化された絶縁樹脂層の溶融粘度は、1×10Pa・sであった。
この接合体を、搬送方向に沿って設けられた保温カバー(不図示)内を通過させ、ニップロール29,29の間に供給した。この接合体をニップロール29,29により0.2MPaの圧力で厚さ方向に押圧することにより、キャリア付きプリプレグを製造した。なお、ニップロール29,29の設定温度(表面温度)は各々100℃と90℃であった。
得られたキャリア付きプリプレグにおけるキャリア表面の粗さを非接触型3次元光干渉式表面粗さ計(NT1100/DMEMS Veeco社製)により測定し、以下の基準によりキャリア表面の平滑性を判定した。結果を表1に示す。
○:Rz値5μm以下
×:Rz値5μmを超える
なお、キャリア付きプリプレグは、耐熱性および耐湿性に優れていた。
[実施例2]
ニップロール29,29による接合体の押圧力を1.0MPaとする以外は実施例1と同様にキャリア付きプリプレグを製造した。キャリア表面の平滑性の結果を表1に示す。
[比較例1]
ニップロール29,29による接合体の押圧力を0.1MPaとする以外は実施例1と同様にキャリア付きプリプレグを製造した。キャリア表面の平滑性の結果を表1に示す。
[比較例2]
ニップロール29,29による接合体の押圧力を1.1MPaとする以外は実施例1と同様にキャリア付きプリプレグを製造した。キャリア表面の平滑性の結果を表1に示す。
Figure 2009090581
[実施例3〜5]
Bステージ化された絶縁樹脂層の溶融粘度と、ニップロール29,29による接合体の押圧力を表2のように変更した以外は実施例1と同様にキャリア付きプリプレグを製造した。キャリア表面の平滑性の結果を表2に示す。
Figure 2009090581
本発明の製造方法に用いられるキャリア、絶縁樹脂層付きキャリア、及び、繊維布について、各々の位置関係を示す概略図である。 本発明の製造方法に用いられる、キャリア、絶縁樹脂層、及び、繊維布について、各々の幅方向寸法の形態例を示す概略図である。 本発明の製造方法に用いられる、キャリア、絶縁樹脂層、及び、繊維布について、各々の幅方向寸法の形態例を示す概略図である。 本発明の製造方法に用いられる、キャリア、絶縁樹脂層、及び、繊維布について、各々の幅方向寸法の形態例を示す概略図である。 (1)は本発明の製造方法に用いられる、絶縁樹脂層付きキャリアを製造する装置形態の一例を示す概略側断面図であり、(2)は本発明のキャリア付きプリプレグの製造装置の形態の一例を示す概略側断面図である。
符号の説明
1 キャリア
2 絶縁樹脂層
3、3a、3b 絶縁樹脂層付きキャリア
4 繊維布
11 液状の絶縁樹脂
12 コンマロール
13 バックアップロール
14 熱風乾燥装置
15 保護フィルム
16 ラミネートロール
17a 第1の絶縁樹脂層付きキャリア
17b 第2の絶縁樹脂層付きキャリア
18a 第1の保持リール
18b 第2の保持リール
19 第3の保持リール
20 真空ラミネート装置
21 繊維布
22a,22b,22c 接合体
23 巻き取りロール
24、25、26、27 ラミネートロール
28 熱風乾燥装置
29 ニップロール
30 キャリア付きプリプレグ

Claims (11)

  1. 長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアを連続的に積層するキャリア付きプリプレグの製造方法であって、
    (a)キャリアの片面に、熱硬化性樹脂を含有する水系スラリーを塗布して長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアを製造する工程と、
    (b)長尺帯状の前記第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアの前記絶縁樹脂層同士を繊維布を介して接合し、接合体を形成する工程と、
    (c)前記接合体を前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度で加熱処理することにより、前記絶縁樹脂層をBステージ化する工程と、
    (d)前記絶縁樹脂層をBステージ化した後に、前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に保持したまま前記接合体を0.2MPa以上、1MPa以下の圧力で厚さ方向に押圧する工程と、を含み、
    前記工程(a)乃至(d)の全工程を連続的に繰り返して行うことを特徴とするキャリア付きプリプレグの製造方法。
  2. 前記接合体を厚さ方向に押圧する前記工程の前に、
    前記接合体を、前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上に加熱する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のキャリア付きプリプレグの製造方法。
  3. 前記接合体を形成する前記工程は、減圧下において行われることを特徴とする請求項1または2に記載のキャリア付きプリプレグの製造方法。
  4. 前記繊維布は、ガラス織布であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のキャリア付きプリプレグの製造方法。
  5. 前記キャリアは、前記絶縁樹脂層と接する面に剥離可能な処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のキャリア付きプリプレグの製造方法。
  6. 前記キャリアは、金属箔であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のキャリア付きプリプレグの製造方法。
  7. 前記キャリアは、前記絶縁樹脂層と接する面に剥離可能な処理が施されたフィルムシートであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のキャリア付きプリプレグの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の製造方法により得られたキャリア付きプリプレグ。
  9. キャリアとその片面に形成された絶縁樹脂層とを備える長尺帯状の第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアが巻き回された第1および第2の保持リールと、
    長尺帯状の繊維布が巻き回された第3の保持リールと、
    前記第1および第2の保持リールから巻き出された長尺帯状の前記第1および第2の絶縁樹脂層付きキャリアを、前記キャリア側から厚さ方向に押圧して、前記絶縁樹脂層同士を前記第3の保持リールから巻き出された前記繊維布を介して接合する一対の第1押圧ロールと、
    一対の前記第1押圧ロールにより形成された接合体を、前記絶縁樹脂層を構成する熱硬化性樹脂の溶融温度以上の温度に加熱し、前記絶縁樹脂層をBステージ化する加熱部と、
    Bステージ化された前記絶縁樹脂層を含む前記接合体を、前記キャリア側から0.2MPa以上、1MPa以下の圧力で厚さ方向に押圧する一対の第2押圧ロールと、を備えることを特徴とするキャリア付きプリプレグの製造装置。
  10. 一対の前記第2押圧ロールは、加熱可能に構成されていることを特徴とする請求項9に記載のキャリア付きプリプレグの製造装置。
  11. 前記加熱部と一対の前記第2押圧ロールとの間に、
    前記接合体を、前記絶縁樹脂層を構成する前記熱硬化性樹脂の溶融温度以上に加熱する他の加熱部を備えることを特徴とする請求項9または10に記載のキャリア付きプリプレグの製造装置。
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