JP2009089634A - 鉄強化飲食品用組成物 - Google Patents

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【課題】本発明は、水不溶性鉄塩を含有する鉄強化飲食品用組成物に関する。詳細には、飲食品中で鉄が金属味を呈することなく飲食品自体の良好な風味を維持し、且つ分散性に優れ、保存時の二次凝集を効果的に防止する鉄強化飲食品用組成物及びその調整方法を提供する。
【解決手段】水不溶性鉄塩に特定量以上のガティガムを用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、水不溶性鉄塩を含有する鉄強化飲食品用組成物に関する。詳細には、飲食品中で鉄が金属味を呈することなく飲食品自体の良好な風味を維持し、且つ分散性に優れ、保存時の二次凝集を効果的に防止する鉄強化飲食品用組成物及びその調整方法に関する。
食の多様化・簡便化・利便化に伴い、近年では、いつでも手軽に食べたい食品を食すことが可能となっている。その一方、利便化が進むにつれて、栄養分の摂取が偏り、特にミネラル不足が指摘されている。ミネラルは、健康にとって重要な栄養素であるが、人が体内で自ら作り出すことができず体外の供給源に頼らざるを得ないものの、生命の維持に不可欠な存在である。
その中でも特に鉄は、人体内の鉄の60−70%が赤血球ヘモグロビン中にヘム鉄として存在し、酸素の運搬を行っていることから重要なミネラルである。その鉄が欠乏し貧血を生じると、赤血球の数が減少し、赤血球自体も小さくなり、形が変形し、ヘモグロビン量は低下する。その結果、血液中の酸素輸送能が低下し、疲労しやすくなり、運動能力が減少し、低温状態で体温を維持する能力が失われてしまう。また、リンパ球や好中球の機能にも障害が起こり、感染防御機構が弱まり、感染症に罹患しやすくなる。また、幼児では精神機能の発達が遅れ、泥、チョーク、灰などを食べる異食症という異常行動をおこすことがある。以上のことから、鉄が生命維持に不可欠な存在であり、摂取の重要性が謳われるようになり、鉄を強化した商品が注目されている。
一方、鉄は食品・医薬品等の製品の呈味に大きな影響を与えてしまうため、製品への添加が難しくその添加方法に関して様々な研究がされている。鉄の添加方法として、水溶性の鉄を添加すると、溶解性は高いが鉄味が非常に強く、製品自体の味を損ねてしまうため問題とされていた。そのため、水に不溶性の鉄塩を添加する研究が多くなされているが、不溶性であり比重が2.75以上と高いため短時間で沈殿してしまうという大きな問題点がある。その問題点を解決するために、キレート剤を含有することにより、製造時の作業性及び水相中での再分散性の優れた鉄強化食品用組成物(特許文献1)、カルシウム剤及び鉄剤を特定量のアラビアガムを用い、分散安定性の良好な食品添加剤スラリー組成物及びパウダー組成物、及びこれらの組成物を含有してなる食品組成物(特許文献2)等が開示されている。さらに、鉄以外の不溶性金属塩を分散させる方法としては、ガティガムやサイリウムシードガム等の特定のガム類を配合することにより、カルシウム剤及びドロマイト(苦灰石)の食品中での分散性に優れ、風味の良好なミネラル強化食品を与える食品用組成物添加剤(特許文献3。)が挙げられる
特開2007−215480号公報 特許第3512113号公報 特開2002−186458号公報
本発明は、水不溶性鉄塩を含有する鉄強化飲食品用組成物、特に、飲食品中で鉄が金属味を呈することなく飲食品自体の良好な風味を維持し、且つ分散性に優れ、保存時の二次凝集を効果的に防止する鉄強化飲食品用組成物及びその調整方法に関する。前述のようにミネラルは、健康に不可欠な栄養素であり、特に、鉄剤は貧血に関連することから重要なミネラルである。そのため、鉄分を強化した飲食品が多く検討されているが、分散性が不十分であり、また食品自体の味を損ねてしまうことから、その添加形態及び方法について改良すべき問題があった。例えば、特許文献1ではキレート剤を添加する方法を提案しているが、十分な分散性を得るための添加量を加えると、経時的に鉄の溶解が起こり、鉄特有の金属味が発生し風味が低下してしまうという問題点が挙げられる。また、特許文献2では、アラビアガムによって鉄剤を分散させる方法を提示しているが、その分散性は未だ不十分であり、経時的に二次凝集を起こし沈殿してしまうといった問題が挙げられる。また、特許文献3では、カルシウムやドロマイトを特定のガム質を用いて分散する方法が開示されているが、鉄に関しては一切開示されていない。また、金属としての性質を比較すると、鉄はカルシウムやドロマイトと比較して質量数が大きいこと、金属結合半径、電気陰性度が異なること、分散の指標となる比重が大きく異なる(カルシウム1.55、ドロマイト2.8〜2.9、鉄7.86)ことから、性質が全く異なり、カルシウムやドロマイトでの分散方法がそのまま鉄に応用できるとは限らないと考えられる。以上のように、良好な風味を呈し、且つ分散性に優れた鉄強化組成物の提供には改善の余地があった。
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたもので、水不溶性鉄塩を含有する鉄強化飲食品用組成物に関する。詳細には、飲食品中で鉄が金属味を呈することなく飲食品自体の良好な風味を維持し、且つ分散性に優れ、保存時の二次凝集を効果的に防止する鉄強化飲食品用組成物及びその調整方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、水不溶性鉄塩にガティガムを用いることにより、水不溶性鉄塩を長時間保存しても凝集することなく安定に分散し、更には飲食品中で鉄が金属味を呈することなく、飲食品自体の良好な風味を維持可能とした鉄強化飲食品用組成物を提供できることを見出し、本発明に至った。
本発明は以下の態様を有する鉄強化飲食品用組成物及びその調整方法に関する;
項1.ガティガムと水不溶性鉄塩を含有することを特徴とする鉄強化飲食品用組成物。
項2.水不溶性鉄塩100質量部に対して1〜200質量部のガティガムを用いることを特徴とする請求項1に記載の鉄強化飲食品用組成物。
項3.水不溶性鉄塩の平均粒子径が0.8μm以下である請求項1又は2に記載の鉄強化飲食品用組成物。
項4.請求項1〜3のいずれかに記載の鉄強化飲食品用組成物を含有する飲食品。
項5.ガティガムを用いることを特徴とする水不溶性鉄塩の分散方法。
項6.水不溶性鉄塩100質量部に対して1〜200質量部のガティガムを用いることを特徴とする水不溶性鉄塩の分散方法。
項7.ガティガムを用いることを特徴とする水不溶製鉄塩の溶解防止方法。
項8.水不溶性鉄塩100質量部に対して1〜200質量部のガティガムを用いることを特徴とする水不溶製鉄塩の溶解防止方法。
本発明により、飲食品中で鉄が金属味を呈することなく飲食品自体の良好な風味を維持し、且つ分散性に優れ、保存時の二次凝集を効果的に防止する鉄強化飲食品用組成物及びその調整方法を提供できるようになった。
本発明の鉄強化飲食品用組成物は、水不溶性鉄塩及びガティガムを含有することを特徴とする。
本発明で使用する水不溶性鉄塩は、特に限定されるものではなく、例えば、リン酸第二鉄、リン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、ピロリン酸第一鉄、水酸化第二鉄、酸化第二鉄等が挙げられるが、好ましくは、ピロリン酸第二鉄である。これらは、一種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明で使用するピロリン酸第二鉄は商業的に入手可能であり、例えば、富田製薬製のピロリン酸第二鉄を挙げることができる。
本発明で用いられる水不溶性鉄塩の粒子径は、特に限定されるものではないが、出来る限り微粒子化することが好ましく、平均粒子径が0.8μm以下、より好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。微粒子化する方法としては、物理的破砕法あるいは中和造塩法が好ましい。物理的破砕法としては、ダイノミル、サンドミル、コボールミル等の湿式粉砕機、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー、ホモゲナイザー等の乳化・分散装置、超音波分散機が使用できる。微粒子化することで水中においても極めて安定な鉄強化飲食品用組成物を製造することが出来る。本願発明における水不溶性鉄塩の平均粒子径の測定方法としては特に限定するものではないが、レーザー回折・散乱法、沈降法、動的光散乱法が好ましい。なお、本願発明における水不溶性鉄塩の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-1100(株式会社島津製作所製)を用いて測定されたものである。
本発明で用いられる水不溶性鉄塩は、使用目的や用途に応じて添加量を設定することが出来るが、鉄強化飲食品用組成物中、1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%を例示することができる。
本発明で用いるガティガムとしては、シクンシ科ガティノキ(Anogeissus Latifolia WALL.)の幹の分泌液を乾燥して得られる多糖類を主成分とするものであり、増粘安定剤(食品添加物)として公知のガム質である。本発明で使用するガティガムは商業的に入手可能であり、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のガティガムSDを挙げることができる。
本発明におけるガティガムの添加量は、特に限定されるものではないが、水不溶性鉄塩100質量部に対してガティガムを1〜200質量部含有していることが好ましく、より好ましくは5〜100質量部含有していること、更に好ましくは10〜60質量部含有である。ガティガムの添加量が1質量部以下の場合は、粒子の凝集が起こり十分な効果を得ることができない。またガティガムの添加量が200質量部以上の場合、粘度の上昇に伴い製造上困難となるため好ましくない。
本発明の鉄強化飲食品用組成物は水不溶性鉄塩とガティガムを含有することを特徴としており、水不溶性鉄塩とガティガムの混合方法としては、特に限定されるものではないが、以下のいずれかの方法により調整することができる。
(1)親水性溶媒に鉄剤を懸濁し、化学的分散方法、粉砕機及び/または分散機を用いる物理的方法により粉砕及び/または分散処理した後、ガティガム溶液を添加し撹拌により混合する方法。
(2)親水性溶媒に鉄剤を懸濁した後、ガティガム溶液を加え、化学的分散方法、粉砕機及び/または分散機を用いる物理的方法により粉砕及び/または分散処理する方法。
(3)親水性溶媒に鉄剤を懸濁し、化学的分散方法、粉砕機及び/または分散機を用いる物理的方法により粉砕及び/または分散処理した後、ガティガム溶液を添加し、さらに化学的分散方法、粉砕機及び/または分散機を用いる物理的方法により粉砕及び/または分散処理する方法。
親水性溶媒としては水、またはグリセリンやプロピレングリコールといった多価アルコール等を用いることができる。
本発明の鉄強化飲食品用組成物は、水不溶性鉄塩にガティガムを含有することにより、電荷的に安定となるが、鉄強化飲食品用組成物を含有する飲食品に合わせて適宜pHを調整することができる。用いるpH調整剤としては、リン酸、硫酸、塩酸等を例示することができるが、リン酸を用いることが好ましい。リン酸を使用すると、水不溶性鉄塩が溶解することなく飲食品自体の味を損ねることがない点で好ましい。一方、クエン酸は、水不溶性鉄塩が溶解することにより鉄味が感じられ、食品自体の風味が低下することから好ましくない。
本発明で用いるリン酸は、飲食品の種類や調整するpHによって任意に添加することができる。本発明で使用するリン酸は商業的に入手可能であり、例えば、ラサ工業社製の85%リン酸(食添用)を挙げることができる。
本発明の鉄強化飲食品用組成物の形態は特に限定するものではなく、希釈後の再分散性の問題から液状であることが好ましいが、必要に応じて本発明の鉄強化飲食品用組成物を乾燥粉末化することにより、鉄強化パウダー組成物を調製することができる。乾燥に用いられる乾燥機については特に制限はなく、スプレードライヤー、スラリードライヤー等の液滴噴霧型乾燥機や凍結乾燥機等によって調整することができる。また、パウダー組成物を造粒処理することにより、食品に添加する際に溶解性に優れた顆粒組成物を調製することも可能である。また、適宜公知のバインダーを用いてもよい。
なお、本発明の効果を奏する限りにおいて、鉄強化飲食品用組成物に対して、例えば増粘多糖類、香料、色素、酸化防止剤、日持ち向上剤、保存料、糖類等の添加剤を併用することが出来る。これらを併用することで鉄強化飲食品の味質や香り、テクスチャーに変化を与えることができ、より高い嗜好性を鉄強化飲食品に付与することができる。
本発明に係る鉄強化飲食品用組成物は、上記成分を添加する以外は、常法により製造することができ、飲食品中で鉄が金属味を呈することなく飲食品自体の良好な風味を維持し、且つ鉄が沈殿することなく均一に分散した鉄強化飲食品用組成物を得ることができる。例えば、鉄剤と水からなる水懸濁液にガティガム溶液を混合した後、ダイノミルで粉砕処理することにより均一な鉄分散溶液を得ることができる。
本発明における鉄強化飲食品用組成物を含有する飲食品としては、乳飲料・牛乳・清涼飲料水・茶・水・アルコールといった飲料物や、クッキー・せんべい・ウェハース・ビスケット・かりんとう・チョコレート・ガム等の菓子類や、パン、麺類、白飯、赤飯、おかゆ、炊き込みご飯、スパゲッティ、うどん、そばといった穀物類や、ソーセージ・ウィンナー等の畜肉製品、かまぼこ、ちくわといった水産練り製品、アイスクリーム等の冷菓、ヨーグルト等を例示することができる。また、鉄補強目的の錠剤や散剤等の医薬品に含有することもできる。これらに水不溶性鉄塩の添加を可能とすることで、不足しがちな鉄の栄養強化が容易に行うことが可能となる。特に飲料を中心とする液状食品においては、水不溶性鉄塩の添加は鉄成分の沈降性から応用範囲が非常に狭いものであったが、本発明によって良好な風味を呈し、且つ鉄が沈殿することなく均一に分散した安定な形態で鉄強化を実施できる。
本発明により、水不溶性鉄塩を含有する鉄強化飲食品用組成物を提供できるようになった。詳細には、飲食品中で鉄が金属味を呈することなく飲食品自体の良好な風味を維持し、且つ分散性に優れ、保存時の二次凝集を効果的に防止する鉄強化飲食品用組成物及びその調整方法を提供できるようになった。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明は
これらに何ら限定されるものではない。
実施例1〜5:鉄強化組成物用添加剤の調製
表1に処方を示す。ピロリン酸第二鉄400gをイオン交換水1600gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミルによって湿式粉砕を行い、ピロリン酸第二鉄の粒子径の大きさを0.3μmに均一化し、20質量%のピロリン酸第二鉄組成物を得た。得られた粉砕物をガティガム又はアラビアガム溶液に混合した後、ホモジナイザーにて分散均一化処理して10または5質量%ピロリン酸第二鉄分散液を得た。同様に、炭酸カルシウムの粉砕、分散処理を行い、10質量%炭酸カルシウム分散液を得た。
水不溶性鉄塩の凝集度合いを比較するために、粒子径の大きさ示すメジアン径を測定した。メジアン径はレーザー回折式粒度分布測定装置SALD-1100(株式会社島津製作所製)にて測定した。メジアン径は、値が小さいものほど粒子が小さいことを示し、凝集物を含むことで値は大きくなる。また、実施例1〜5、比較例1〜5で得られた製剤をピロリン酸第二鉄及び炭酸カルシウム濃度が0.2質量%になるようにイオン交換水で希釈し加熱殺菌後、常温で保存し3日後の分散安定性を調べた(表1参照)。更に3日保存した希釈液を用いてピロリン酸第二鉄分散液の呈味評価を行った。分散性の評価は5段階で行い、数字が小さいほど分散性が良好なことを示している。具体的な評価については表2に示す。更に、分散性の状態を比較するために実施例3と比較例2の分散状態を図1に、比較例4と比較例5の分散状態を図2に示す。
Figure 2009089634
Figure 2009089634
以上より、ピロリン酸第二鉄に対してガティガムを添加した実施例1〜5は3日保存後においても分散性が良好であり、また、風味も良好であり、鉄味がほとんどしなかった。一方、添加量が少ない比較例3では、風味は良好であったが、3日保存後の分散性が非常に悪かった。また、ピロリン酸第二鉄に対してアラビアガムを添加した比較例1〜2は、アラビアガムの添加量が増加するにつれて、二次的な凝集物が生じ(比較例2)、また3日保存後の分散性も悪かったことから、ガティガムがアラビアガムと比較して分散性及び二次的な凝集物の発生防止に効果的であることが分かった(図1)。
また、ピロリン酸第二鉄に代えて、炭酸カルシウムの分散性を検討した比較例4〜5に関し、アラビアガムを用いた場合(比較例4)は、3日保存後に上層が透明となり沈殿層が見られたが、二次的な凝集はあまり生じなかった。一方、ガティガムを用いた場合(比較例5)は、上層の透明層がアラビアガムを用いた場合より厚くなり、分散性が低下していた。また、二次的な凝集物が発生し、且つその粒子径も大きく、カルシウムが非常に凝集しやすい状態であった(図2)。本結果より、本発明のガティガムを用いた分散は、鉄に対してより効果的に作用しており、特許文献3のカルシウムにおける分散作用とは異なり特異的な効果があると予測される。以上より、ガティガムを特定量以上用いた場合、良好な風味を呈し、且つ分散性に優れ、保存時の二次凝集を効果的に防止することができる。
実施例6:鉄強化牛乳
牛乳1kgに実施例2で得られた10質量%ピロリン酸第二鉄組成物を1.0g添加し、加熱殺菌後、鉄強化牛乳を得た。得られた牛乳は、牛乳自体の風味が損なわれることなく、良好であり、鉄味を全く感じなかった。また、色にも影響なく、沈殿物も生じなかった。
実施例7:酸乳飲料
酸乳飲料1kgに実施例2で得られた10質量%ピロリン酸第二鉄組成物を1.0g添加し、加熱殺菌後、鉄強化酸乳飲料を得た。得られた酸乳飲料は、飲料自体の風味が損なわれることなく、良好であり、鉄味を全く感じなかった。また、色にも影響なく、沈殿物も生じなかった。
実施例8:鉄強化ヨーグルト
牛乳850gに実施例2で得られた10質量%ピロリン酸第二鉄組成物を2.0g、脱脂粉乳150gを水1kgに添加し、均一になるまで室温で撹拌混合し、加熱殺菌後、乳酸菌スターターを添加し、100mlの容器に詰め40℃で5時間発酵させた後、10℃以下に冷蔵し発酵を停止させ鉄強化ヨーグルトを得た。得られた鉄強化ヨーグルトは、ヨーグルト自体の風味が損なわれることなく、良好であり、鉄味を全く感じなかった。また、色にも影響がなかった。
本発明により、飲食品中で鉄が金属味を呈することなく飲食品自体の良好な風味を維持し、且つ分散性に優れ、保存時の二次凝集を効果的に防止する鉄強化飲食品用組成物及びその調整方法を提供できる。詳細には、水不溶性鉄塩が安定に分散し、長時間保存しても鉄が凝集することなく安定に存在し、更には飲食品自体の味を損ねることなく良好な風味を呈する鉄強化飲食品用組成物を提供することができる。
左側が実施例3(ガティガムを用いたピロリン酸第二鉄の分散状態)、右側が比較例2(アラビアガムを用いたピロリン酸第二鉄の分散状態)である。 左側が比較例4(アラビアガムを用いた炭酸カルシウムの分散状態)、右側が比較例5(ガティガムを用いた炭酸カルシウムの分散状態)である。

Claims (8)

  1. ガティガムと水不溶性鉄塩を含有することを特徴とする鉄強化飲食品用組成物。
  2. 水不溶性鉄塩100質量部に対して1〜200質量部のガティガムを用いることを特徴とする請求項1に記載の鉄強化飲食品用組成物。
  3. 水不溶性鉄塩の平均粒子径が0.8μm以下である請求項1又は2に記載の鉄強化飲食品用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の鉄強化飲食品用組成物を含有する飲食品。
  5. ガティガムを用いることを特徴とする水不溶性鉄塩の分散方法。
  6. 水不溶性鉄塩100質量部に対して1〜200質量部のガティガムを用いることを特徴とする水不溶性鉄塩の分散方法。
  7. ガティガムを用いることを特徴とする水不溶製鉄塩の溶解防止方法。
  8. 水不溶性鉄塩100質量部に対して1〜200質量部のガティガムを用いることを特徴とする水不溶製鉄塩の溶解防止方法。
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