JP2009082245A - 生体内留置用ステントおよび生体器官拡張器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生体内留置用ステント1は、線状構成要素により構成され、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントである。ステント1は、金属製線状構成要素21,22,23,24により略筒状に形成された金属製ステント基体2と、一端および他端が金属製線状構成要素に接合された複数の生分解性材料製線状構成要素3とにより形成されている。
【選択図】図2
Description
ステントは、体外から体内に挿入するため、そのときは直径が小さく、目的の狭窄もしくは閉塞部位で拡張させて直径を大きくし、かつその管腔をそのままで保持する物である。
ステント留置の目的は、PTCA等の手技を施した後に起こる再狭窄の予防、およびその低減化を図るものである。そして、近年では、このステントに生理活性物質を担持させることによって、管腔の留置部位で長期にわたって局所的にこの生理活性物質を放出させ、再狭窄率の低減化を図るものが利用されている。
例えば、特開平8−33718号公報(特許文献1)にはステント本体の表面に治療のための物質とポリマーの混合物をコーティングしたステントが開示されており、特開平9−56807号公報(特許文献2)には、ステント本体の表面に薬剤層を設け、さらにこの薬剤層の表面に生分解性ポリマー層を設けたステントが提案されている。
本願発明者が鋭意検討したところ、ステントが保有する血管拡張保持力(強度)に再狭窄の一因がある可能性があることがわかった。しかし、血管拡張保持力の低いステントでは、留置時に十分な血管狭窄部の改善を行うことができない。
(1) 線状構成要素により構成され、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントであって、
前記ステントは、非生分解性金属製線状構成要素により略筒状に形成された金属製ステント基体と、一端および他端が前記金属製線状構成要素に接合された複数の生分解性材料製線状構成要素とにより形成されている生体内留置用ステント。
(2) 前記金属製ステント基体は、ジグザグ形状の非生分解性金属製線状構成要素によりステントの軸方向に対して螺旋状に成形された複数の金属製線状螺旋状体を備え、前記生分解性材料製線状構成要素は、前記複数の金属製線状螺旋状体間を連結するとともにジグザグ形状となっている上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
(3) 前記生分解性材料製線状構成要素は、前記金属製線状螺旋状体の螺旋方向と異なる方向に延びるものとなっている上記(1)または(2)に記載の生体内留置用ステント。
(4) 前記金属製ステント基体は、前記金属製ステント基体の両端に位置する部分に、無端に形成された金属製波線状環状部を備えている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(6) 前記ステントは、ステントの軸方向に長くかつ中央部に開口を備える押しつぶされた環状構成要素が複数ステントの中心軸を取り囲むように配列され、かつ、隣接する環状構成要素が接続部にて接続された環状体からなり、かつ、複数の前記環状体がステントの軸方向に並び、さらに、前記環状体の前記接続部と隣り合う前記環状体の前記接続部とが連結部により少なくとも一か所連結されたものであり、前記接続部および前記連結部は、前記金属製線状構成要素により形成されており、かつ、全部もしくは一部の前記環状構成要素は、該環状構成要素の前記接続部と接続しない部分の一部分が、前記生分解性材料製線状構成要素により形成されて、他の部分が前記金属製線状構成要素により形成されているものである上記(1)に記載の生体内留置用ステント。
(7) 前記環状構成要素は、前記接続部より前記ステントの一端側部分が前記金属製線状構成要素により形成されており、前記接続部より前記ステントの他端側部分のほぼ全体が前記生分解性材料製線状構成要素により形成されている上記(6)に記載の生体内留置用ステント。
(8) 線状構成要素により構成され、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントであって、
前記ステントは、前記線状構成要素により環状に形成された環状体が、複数軸方向に配列するとともに、隣り合う環状体が連結部により連結されたものであり、前記環状体は、非生分解性金属製線状構成要素により形成されており、前記連結部は、生分解性材料製線状構成要素により形成されている生体内留置用ステント。
(9) 前記ステントは、前記金属製線状構成要素と前記生分解性材料製線状構成要素との接合部に離脱抑制手段を備えている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(11) 前記生分解性材料は、生分解性金属もしくは生分解性ポリマーである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(12) 前記生分解性金属は、純マグネシウムまたはマグネシウム合金である上記(11)に記載の生体内留置用ステント。
(13) 前記マグネシウム合金は、Zr、Y、Ti、Ta、Nd、Nb、Zn、Ca、Al、Li、およびMnからなる生体適合性元素群から選択される少なくとも1つの元素を含有するものである上記(12)に記載の生体内留置用ステント。
(15) 前記非生分解性金属製線状構成要素は、易塑性変形性金属製線状構成要素であり、前記ステントは、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該ステントの内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張するものである上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(16) 前記非生分解性金属製線状構成要素は、超弾性金属製線状構成要素であり、前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものである上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
(17) チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張される上記(15)に記載のステントとを備える生体器官拡張器具。
(18) シースと、該シースの先端部内に収納された上記(16)のステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備える生体器官拡張器具。
このため、ステント留置時には、非生分解性金属製線状構成要素により略筒状に形成された金属製ステント基体と、一端および他端が前記金属製線状構成要素に接合された複数の生分解性材料製線状構成要素とにより、十分な血管拡張保持力を発揮する。そして、所定期間の経過により、生分解性材料製線状構成要素が生分解することにより、ステントの拡張維持力発現部は、非生分解性金属製線状構成要素により略筒状に形成された金属製ステント基体のみとなるため、ステントとして柔軟なものとなり、血管の変形に対する追従性が良好なものとなる。
このため、ステント留置時には、ステントは、環状体を接続する連結部を備えるため、ステント軸方向に十分な剛性を持ち、十分な血管拡張保持力を発揮する。そして、所定期間の経過により、生分解性材料製線状構成要素により形成された連結部が生分解することにより、ステントは、個々の環状体に分割された状態となり、ステント全体として軸方向の剛性力が小さくなるとともに柔軟なものとなり、血管の変形に対する追従性が良好なものとなる。
図1は、本発明の一実施例の生体内留置用ステントの正面図である。図2は、図1の生体内留置用ステントの展開図である。図3は、図1の生体内留置用ステントの作用を説明するための説明図である。図4は、図2の部分拡大図である。図5は、図4のA−A線拡大断面図である。
本発明の生体内留置用ステント1は、線状構成要素により構成され、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントである。ステント1は、非生分解性金属製線状構成要素21,22,23,24により略筒状に形成された金属製ステント基体2と、一端および他端が金属製線状構成要素に接合された複数の生分解性材料製線状構成要素3とにより形成されている。
そして、この実施例のステント1は、図1ないし図3に示すように、非生分解性金属製線状構成要素21,22,23,24により略筒状に形成された金属製ステント基体2と、一端および他端が金属製線状構成要素に接合された複数の生分解性材料製線状構成要素3とにより形成されている。なお、図3は、図1の生体内留置用ステントより、生分解性材料製線状構成要素3が消失した状態、言い換えれば、非生分解性金属製ステント基体2のみの状態を示している。
本発明のステントでは、ステントの基本骨格部分は、非生分解性金属製線状構成要素により形成されており、生分解性材料製線状構成要素の消失後においてもステント形状を保持する。また、この実施例のステント1では、生分解性材料製線状構成要素が消失することにより、全体の線状構成要素の半分近くが消失するものとなり、図3に示すように、ステント形状を保持するものの線状構成要素間の距離が長くなり、言い換えれば、ステントの側面の隙間がかなり多くなり、拡張維持力が低下するとともに柔軟性が向上する。
この実施例の金属製ステント基体2は、図3に示すように、並列的に配置された2本の線状螺旋状体21,22と、金属製ステント基体の一端側に位置しかつ2本の線状螺旋状体21,22の一端が連結された一端側金属製波線状環状部23と、金属製ステント基体の他端側に位置しかつ2本の線状螺旋状体21,22の他端が連結された他端側金属製波線状環状部24によりにより形成されている。そして、金属製波線状環状部23、24では、線状螺旋状体21,22との連結部部分の谷部および山部の高さ(深さ)が、他の部分より大きいものとなっている。なお、線状螺旋状体は、3本以上であってもよい。
さらに、この実施例のステント1では全体として、複数の線状螺旋状体は、それぞれほぼ等間隔離間しているものとなっている。つまり、ステント1全体として、すべての線状螺旋状体においてその螺旋ピッチが同じとなっている。しかし、このようなものに限られず、線状螺旋状体の螺旋ピッチが部分的に異なるものとなっていてもよい。例えば、ステント1の中央部に位置する部分の線状螺旋状体自体の螺旋ピッチが、両端部に位置する部分の線状螺旋状体のピッチよりも短いものとしてもよい。このようにすることによって、ステント1として、両端部よりも、中央部の拡張力を高いものとすることができる。さらに、ステント1全体として、ステント1の中央部に位置する部分の線状螺旋状体の屈曲部間ピッチが、両端部に位置する部分の線状螺旋状体の屈曲部間ピッチよりも短いものとしてもよい。
生分解性材料製線状構成要素に用いられる生分解性材料としては、生分解性金属もしくは生分解性ポリマーが好適に使用される。また、生分解性材料としては、ステント形成材料と接着性を有するものであることが好ましい。
マグネシウム合金としては、例えば、マグネシウムが50〜98%、リチウム(Li)が0〜40%、鉄が0〜5%、その他の金属または希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が0〜5%であるものを挙げることができる。また、例えば、マグネシウムが79〜97%、アルミニウムが2〜5%、リチウム(Li)が0〜12%、希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が1〜4%であるものを挙げることができる。また、例えば、マグネシウムが85〜91%、アルミニウムが2%、リチウム(Li)が6〜12%、希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が1%であるものを挙げることができる。また、例えば、マグネシウムが86〜97%、アルミニウムが2〜4%、リチウム(Li)が0〜8%、希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が1〜2%であるものを挙げることができる。また、例えば、アルミニウムが8.5〜9.5%、マンガン(Mn)が0.15〜0.4%、亜鉛が0.45〜0.9%、残りがマグネシウムであるものを挙げることができる。また、例えば、アルミニウムが4.5〜5.3%、マンガン(Mn)が0.28〜0.5%、残りがマグネシウムであるものを挙げることができる。また、例えば、マグネシウムが55〜65%、リチウム(Li)が30〜40%、その他の金属および/または希土類元素(セリウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム等)が0〜5%であるものを挙げることができる。
生理活性物質としては、内膜肥厚を抑制する薬剤、抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症剤、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイドおよびカロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症薬、生体由来材料、インターフェロンおよび遺伝子工学により生成される上皮細胞などが使用される。そして、上記の薬剤等の2種以上の混合物を使用してもよい。
この実施例のステントでは、金属製線状螺旋状体21,22は、ジグザグ形状より部分的に突出する接合部31a、32aを備えている。そして、接合部31aには、生分解性材料製線状構成要素3の一端が接合され、接合部32aには、生分解性材料製線状構成要素3の他端が接合されている。そして、この実施例のステントでは、図6に示すように、接合部31a、32aの自由端は、角部が丸められたものとなっている。さらに、接合部31a、32aは、生分解性材料製線状構成要素3の金属製ステント基体2からの離脱抑制手段を備えている。また、この実施例のステントでは、図6に示すように、生分解性材料製線状構成要素3の端部は、接合部31a、32aの自由端部分のみを被包するものとなっており、金属製線状螺旋状体21,22のジグザグ形状部分は、その表面が露出するものとなっている。
そして、このステントでは、図6に示すように、金属製線状螺旋状体21,22の接合部31a、32aの自由端部分の側部には、切欠部が形成されており、生分解性材料製線状構成要素3の一部は、接合部31a、32aの自由端部分の切欠部に侵入している。接合部31a、32aの自由端部分の切欠部とそれに侵入した生分解性材料製線状構成要素の部分により、両者の分離が抑制されている。
図8は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの部分拡大図である。図9は、図8のC−C線拡大断面図である。
この実施例のステントでは、生分解性材料製線状構成要素3は、接合部33において、金属製線状螺旋状体21,22の外面および内面を被覆している。このようにすることにより、ステントの外面および内面は、段差部のないなだらかなものとなっている。なお、生分解性材料製線状構成要素は、金属製線状螺旋状体の外面または内面の一方のみを被覆するものであってもよい。
そして、上述したすべての実施例において、生分解性材料製線状構成要素と接合される金属製線状螺旋状体の接合部分は、生分解性材料製線状構成要素形成材料との接着性を高めるために、全体もしくは一部を表面処理してもよい。表面処理としては、親和性の高い材料をプライマーとして表面に被覆する方法が好ましい。表面処理方法としては、上述したものが好適に利用できる。
図10は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの正面図である。図11は、図10の生体内留置用ステントの展開図である。図12は、図10の生体内留置用ステントの作用を説明するための説明図である。なお、図12は、図10の生体内留置用ステントより、生分解性材料製線状構成要素43が消失した状態、言い換えれば、金属製ステント基体41のみの状態を示している。よって、このステントでは、ステントの基本骨格部分は、金属製線状構成要素により形成されており、生分解性材料製線状構成要素の消失後においてもステント形状を保持する。
この実施例のステント40は、線状構成要素により環状に形成された環状体が、複数軸方向に配列するとともに、隣り合う環状体が連結部44により連結されたものであり、ステントの両端に位置する環状体45,46は、金属製波線状環状体であり、かつ、連結部44は、金属製線状構成要素により形成されている。
図13は、図11の生体内留置用ステントの部分拡大図である。図14は、図13のD−D線拡大断面図である。
この実施例のステントでは、金属製線状螺旋状体42は、連結部44より生分解性材料製線状構成要素43方向に延びる接合部42cを備えている。そして、接合部42cには、生分解性材料製線状構成要素43の端部が接合されている。そして、このステントでは、図13に示すように、接合部42cの自由端は、角部が丸められたものとなっている。さらに、接合部42cは、生分解性材料製線状構成要素43の金属製ステント基体41からの離脱抑制手段を備えている。具体的には、図13に示すように、生分解性材料製線状構成要素43の端部は、接合部42cの自由端部分のみを被包するものとなっており、金属製線状螺旋状体42の連結部44部分は、その表面が露出するものとなっている。そして、図13に示すように、金属製線状螺旋状体42の接合部42cの自由端部分の側部には、切欠部42dが形成されており、生分解性材料製線状構成要素43の一部は、接合部42cの自由端部分の切欠部42dに侵入している。接合部42cの自由端部分の切欠部42dとそれに侵入した生分解性材料製線状構成要素43の部分により、両者の分離が抑制されている。
この実施例のステント40において、ステント40を形成する波線状環状体の数としては、図10および図11に示すものでは、12となっている。波線状環状体の数としては、ステントの長さによって相違するが、4〜50が好ましく、特に、8〜35が好ましい。
また、本発明のステントとしては、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、管状体の内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張可能なステント、いわゆるバルーン拡張型ステントであってもよい。
そして、接続部53および連結部55は、金属製線状構成要素により形成されており、かつ、全部もしくは一部の環状構成要素52は、環状構成要素52の接続部53と接続しない部分の一部分が、生分解性材料製線状構成要素により形成され、他の部分が金属製線状構成要素により形成されている。
この実施例のステントは、上述したようにバルーン拡張型ステントであり、金属製線状構成要素51の形成材料としては、易塑性変形性を有するものが好ましい。金属製線状構成要素51の形成材料としては、ある程度の生体適合性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス鋼、タンタルもしくはタンタル合金、プラチナもしくはプラチナ合金、金もしくは金合金、コバルトベース合金、コバルトクロム合金、チタン合金、ニオブ合金等が考えられる。またステント形状を作製した後に貴金属メッキ(金、プラチナ)をしてもよい。ステンレス鋼としては、最も耐腐食性のあるSUS316Lが好適である。
また、生分解性材料製線状構成要素と接合される金属製線状構成要素の接合部分は、生分解性材料製線状構成要素形成材料との接着性を高めるために、全体もしくは一部を表面処理してもよい。表面処理としては、上述したものが好適に使用できる。
また、生分解性材料製線状構成要素の形成材料中に生理活性物質を含有させてもよい。生理活性物質としては、上述したものが好適に使用できる。
ステントの非拡張時の直径は、0.8〜1.8mm程度が好適であり、特に、0.9〜1.6mmがより好ましい。また、ステントの非拡張時の長さは、8〜40mm程度が好適である。また、一つの環状体54の長さは、1.0〜2.5mm程度が好適である。
さらに、各環状体54(54a,54b,54c,54d,54e,54f)における環状構成要素52は、隣り合う一方の環状構成要素56bが他方の環状構成要素56aよりステント50の軸方向基端側に位置し、各環状体54の端部はジグザグ状に突出するとともに、各環状体54のジグザグ状に突出する端部は、隣り合う環状体の内に侵入した形態となっている。また、各環状体54の接続部53は、ステント50の中心軸に対してほぼ平行(非拡張時)となっている。
さらに、このステント50では、接続部53は、ステント50の中心軸に対してほぼ平行となっている。このため、ステント50の圧縮時に接続部の縮径化を制限することが少なく、ステント50を小径のものとすることができる。
環状体54の接続部53と隣り合う環状体54の接続部53とは、比較的長い(接続部に比べて長い)連結部55により連結されている。具体的には、環状体54aと隣り合う環状体54bとは、接続部53間を連結する連結部55により連結されている。環状体54bと隣り合う環状体54cとは、接続部53間を連結する連結部55により連結されている。環状体54cと隣り合う環状体54dとは、接続部53間を連結する連結部55により連結されている。環状体54dと隣り合う環状体54eとは、接続部53間を連結する連結部55により連結されている。環状体54eと隣り合う環状体54fとは、接続部53間を連結する連結部55により連結されている。また、この実施例のステントでは、連結部55は、隣り合う環状体54を複数箇所において連結するように設けられている。また、連結部は、一か所のみ連結するものとしてもよい。隣り合う環状体間に設けられる連結部の数としては、1〜5が好ましく、特に、1〜3が好ましい。
また、ステントの非拡張時の直径は、0.8〜1.8mm程度が好適であり、特に、0.9〜1.6mmがより好ましい。また、ステントの非拡張時の長さは、8〜40mm程度が好適である。また、一つの環状体の軸方向の長さは、1.0〜2.5mm程度が好適である。
図19は、本発明の他の実施例の生体内留置用ステントの正面図である。図20は、図19の生体内留置用ステントの展開図である。図21は、図19の生体内留置用ステントの作用を説明するための説明図である。(なお、図21は、図20の生体内留置用ステントより、生分解性材料製線状構成要素が消失した状態、言い換えれば、金属製ステント基体のみの状態を示している)。
この実施例のステント60は、線状構成要素により構成され、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントであって、ステント60は、線状構成要素により環状に形成された環状体62が、複数軸方向に配列するとともに、隣り合う環状体が連結部63により連結されたものである。そして、環状体62は、非生分解性金属製線状構成要素により形成されており、連結部63は、生分解性材料製線状構成要素により形成されている。
そして、この実施例のステント60では、図21に示すように、生分解性材料製線状構成要素(連結部)63が消失した状態では、複数の環状体62が連結されておらず、孤立した状態となるため、各環状体は拡張保持力を発揮するものの、環状体間での拡張保持力は消失するため、ステント全体として、柔軟なものとなる。
この実施例のステント60では、連結部63は、隣り合う環状体62の近接する屈曲部を連結するように形成されている。そして、連結部63を構成する生分解性材料製線状構成要素の一部は、金属製線状構成要素62の一部分、具体的には、隣り合う環状体62の近接する屈曲部の頂点部分を被包している。そして、生分解性材料製線状構成要素により被包される環状体62の屈曲部の頂点部分は、生分解性材料製線状構成要素接合部形成材料との接着性を高めるために、表面処理されていることが好ましい。表面処理としては、親和性の高い材料をプライマーとして表面に被覆する方法が好ましい。表面処理方法としては、上述したものが好適に利用できる。
そして自己拡張型ステントであるこの実施例の場合、非生分解性金属製線状構成要素(環状体)の形成材料としては、超弾性金属が好適である。超弾性金属としては、上述したものが好適に使用される。
生分解性材料製線状構成要素に用いられる生分解性材料としては、生分解性金属もしくは生分解性ポリマーが好適に使用される。また、生分解性材料としては、金属製線状構成要素形成材料と接着性を有するものであることが好ましい。生分解性金属および生分解性ポリマーとしては、上述したものが好適に使用できる。
また、生分解性材料製線状構成要素の形成材料中に生理活性物質を含有させてもよい。生理活性物質としては、上述したものが好適に使用できる。
そして、バルーン拡張型ステントの場合には、金属製線状構成要素の形成材料としては、易塑性変形性を有するものが好ましい。金属製線状構成要素(環状体)の形成材料としては、ある程度の生体適合性を有するものが好ましく、例えば、ステンレス鋼、タンタルもしくはタンタル合金、プラチナもしくはプラチナ合金、金もしくは金合金、コバルトベース合金、コバルトクロム合金、チタン合金、ニオブ合金等が考えられる。またステント形状を作製した後に貴金属メッキ(金、プラチナ)をしてもよい。ステンレス鋼としては、最も耐腐食性のあるSUS316Lが好適である。
図24は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の部分省略正面図である。図25は、図24に示した生体器官拡張器具の先端部の拡大部分断面図である。図26は、本発明の実施例の生体器官拡張器具の作用を説明するための説明図である。
本発明の血管拡張器具100は、チューブ状のシャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーン103と、折り畳まれた状態のバルーン103を被包するように装着され、かつバルーン103の拡張により拡張されるステント101を備えるものである。
この生体器官拡張器具100は、シャフト本体部102と、シャフト本体部102の先端部に固定されたステント拡張用バルーン103と、このバルーン103上に装着されたステント101を備える。シャフト本体部102は、内管112と外管113と分岐ハブ110とを備えている。
外管113としては、長さは、100〜2500mm、より好ましくは、200〜2000mm、外径が、0.5〜1.5mm、より好ましくは、0.7〜1.1mm、肉厚25〜200μm、より好ましくは、50〜100μmのものである。
先端側外管113aの細径部での外径は、0.50〜1.5mm、好ましくは0.60〜1.1mmである。また、先端側外管113aの基端部および本体側外管113bの外径は、0.75〜1.5mm、好ましくは0.9〜1.1mmである。
内管112および外管113の形成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用でき、好ましくは上記の熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、ポリオレフィンである。
バルーン103は、バルーン103の内面と内管112の外面との間に拡張空間103cを形成する。この拡張空間103cは、後端部ではその全周において拡張用ルーメン116と連通している。このように、バルーン103の後端は、比較的大きい容積を有する拡張用ルーメンと連通しているので、拡張用ルーメン116よりバルーン内への拡張用流体の注入が確実である。
バルーン103の大きさとしては、拡張されたときの円筒部分(拡張可能部)の外径が、2〜4mm、好ましくは2.5〜3.5mmであり、長さが10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。また、先端側接合部103aの外径が、0.9〜1.5mm、好ましくは1〜1.3mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは1〜1.3mmである。また、後端側接合部103bの外径が、1〜1.6mm、好ましくは1.1〜1.5mmであり、長さが1〜5mm、好ましくは、2〜4mmである。
X線造影性部材117、118は、所定の長さを有するリング状のもの、もしくは線状構成要素をコイル状に巻き付けたものなどが好適であり、形成材料は、例えば、金、白金、タングステンあるいはそれらの合金、あるいは銀−パラジウム合金等が好適である。
内管112と外管113との間(バルーン拡張用ルーメン116内)には、線状の剛性付与体(図示せず)が挿入されていてもよい。剛性付与体は、生体器官拡張器具100の可撓性をあまり低下させることなく、屈曲部位での生体器官拡張器具100の本体部102の極度の折れ曲がりを防止するとともに、生体器官拡張器具100の先端部の押し込みを容易にする。剛性付与体の先端部は、他の部分より研磨などの方法により細径となっていることが好ましい。また、剛性付与体は、細径部分の先端が、本体部外管113の先端部付近まで延びていることが好ましい。剛性付与体としては、金属線であることが好ましく、線径0.05〜1.50mm、好ましくは0.10〜1.00mmのステンレス鋼等の弾性金属、超弾性合金などであり、特に好ましくは、ばね用高張力ステンレス鋼、超弾性合金線である。
なお、生体器官拡張器具の構造は、上記のようなものに限定されるものではなく、生体器官拡張器具の中間部分にガイドワイヤールーメンと連通するガイドワイヤー挿入口を有するものであってもよい。
図27は、本発明の他の実施例の生体器官拡張器具の部分省略正面図である。図28は、図27に示した生体器官拡張器具の先端部付近の拡大縦断面図である。
この実施例の生体器官拡張器具200は、シース202と、シース202の先端部内に収納されたステント203と、シース202内を摺動可能に挿通し、ステント203をシース202の先端より押し出すための内管204とを備える。
ステント203としては、円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元可能である上述した自己拡張型ステントが使用される。
シース202は、図27および図28に示すように、管状体であり、先端および後端は開口している。先端開口は、ステント203を体腔内の狭窄部に留置する際、ステント203の放出口として機能する。ステント203は、この先端開口より押し出されることにより応力負荷が解除されて拡張し圧縮前の形状に復元する。シース202の先端部は、ステント203を内部に収納するステント収納部位222となっている。また、シース202は、収納部位222より基端側に設けられた側孔221を備えている。側孔221は、ガイドワイヤーを外部に導出するためのものである。
シース202の外径としては、1.0〜4.0mm程度が好ましく、特に、1.5〜3.0mmが好ましい。また、シース202の内径としては、1.0〜2.5mm程度が好ましい。シース202の長さは、300〜2500mm、特に、300〜2000mm程度が好ましい。
内管204は、図27および図28に示すように、シャフト状の内管本体部240と、内管本体部240の先端に設けられ、シース202の先端より突出する先端部247と、内管本体部240の基端部に固定された内管ハブ207とを備える。
なお、生体器官拡張器具としては、上述のタイプのものに限定されるものではなく、上記のルーメン241は、内管の基端まで延びるものであってもよい。この場合には、シースの側孔221は不要となる。
そして、内管204は、シース202内を貫通し、シース202の後端開口より突出している。内管204の基端部には、図27に示すように、内管ハブ207が固着されている。
3 生分解性材料製線状構成要素
21,22,23,24 金属製線状構成要素
Claims (18)
- 線状構成要素により構成され、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントであって、
前記ステントは、非生分解性金属製線状構成要素により略筒状に形成された金属製ステント基体と、一端および他端が前記金属製線状構成要素に接合された複数の生分解性材料製線状構成要素とにより形成されていることを特徴とする生体内留置用ステント。 - 前記金属製ステント基体は、ジグザグ形状の非生分解性金属製線状構成要素によりステントの軸方向に対して螺旋状に成形された複数の金属製線状螺旋状体を備え、前記生分解性材料製線状構成要素は、前記複数の金属製線状螺旋状体間を連結するとともにジグザグ形状となっている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
- 前記生分解性材料製線状構成要素は、前記金属製線状螺旋状体の螺旋方向と異なる方向に延びるものとなっている請求項1または2に記載の生体内留置用ステント。
- 前記金属製ステント基体は、前記金属製ステント基体の両端に位置する部分に、無端に形成された金属製波線状環状部を備えている請求項1ないし3のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、前記線状構成要素により環状に形成された環状体が、複数軸方向に配列するとともに、隣り合う環状体が連結部により連結されたものであり、前記ステントの両端に位置する環状体は、金属製波線状環状体であり、かつ、前記連結部は、前記金属製線状構成要素により形成されているものである請求項1に記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、ステントの軸方向に長くかつ中央部に開口を備える押しつぶされた環状構成要素が複数ステントの中心軸を取り囲むように配列され、かつ、隣接する環状構成要素が接続部にて接続された環状体からなり、かつ、複数の前記環状体がステントの軸方向に並び、さらに、前記環状体の前記接続部と隣り合う前記環状体の前記接続部とが連結部により少なくとも一か所連結されたものであり、前記接続部および前記連結部は、前記金属製線状構成要素により形成されており、かつ、全部もしくは一部の前記環状構成要素は、該環状構成要素の前記接続部と接続しない部分の一部分が、前記生分解性材料製線状構成要素により形成されて、他の部分が前記金属製線状構成要素により形成されているものである請求項1に記載の生体内留置用ステント。
- 前記環状構成要素は、前記接続部より前記ステントの一端側部分が前記金属製線状構成要素により形成されており、前記接続部より前記ステントの他端側部分のほぼ全体が前記生分解性材料製線状構成要素により形成されている請求項6に記載の生体内留置用ステント。
- 線状構成要素により構成され、生体内への留置操作時に変形することにより生体内組織に密着する生体内留置用ステントであって、
前記ステントは、前記線状構成要素により環状に形成された環状体が、複数軸方向に配列するとともに、隣り合う環状体が連結部により連結されたものであり、前記環状体は、非生分解性金属製線状構成要素により形成されており、前記連結部は、生分解性材料製線状構成要素により形成されていることを特徴とする生体内留置用ステント。 - 前記ステントは、前記金属製線状構成要素と前記生分解性材料製線状構成要素との接合部に離脱抑制手段を備えている請求項1ないし8のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記生分解性材料製線状構成要素は、前記金属製線状構成要素との接合部分における前記金属製線状構成要素の外面および/または内面を被覆している請求項1ないし8のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記生分解性材料は、生分解性金属もしくは生分解性ポリマーである請求項1ないし10のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記生分解性金属は、純マグネシウムまたはマグネシウム合金である請求項11に記載の生体内留置用ステント。
- 前記マグネシウム合金は、Zr、Y、Ti、Ta、Nd、Nb、Zn、Ca、Al、Li、およびMnからなる生体適合性元素群から選択される少なくとも1つの元素を含有するものである請求項12に記載の生体内留置用ステント。
- 前記生分解性ポリマーが、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、セルロース、ポリヒドロキシブチレイト吉草酸、およびポリオルソエステルからなる群から選択される少なくとも1つ、もしくは、これらの共重合体、混合物、または複合物である請求項11に記載の生体内留置用ステント。
- 前記非生分解性金属製線状構成要素は、易塑性変形性金属製線状構成要素であり、前記ステントは、略管状体に形成され、生体内管腔への挿入のための直径を有し、該ステントの内部より半径方向に広がる力が付加されたときに拡張するものである請求項1ないし14のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記非生分解性金属製線状構成要素は、超弾性金属製線状構成要素であり、前記ステントは、略円筒形状に形成され、生体内挿入時には中心軸方向に圧縮され、生体内留置時には外方に拡張して圧縮前の形状に復元するものである請求項1ないし14のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- チューブ状のシャフト本体部と、該シャフト本体部の先端部に設けられた折り畳みおよび拡張可能なバルーンと、折り畳まれた状態の前記バルーンを被包するように装着され、かつ該バルーンの拡張により拡張される請求項15に記載のステントとを備えることを特徴とする生体器官拡張器具。
- シースと、該シースの先端部内に収納された請求項16のステントと、該シース内を摺動可能に挿通し、前記ステントを前記シースの先端より押し出すための内管とを備えることを特徴とする生体器官拡張器具。
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